平成14年年8月5日
原子力二法人統合準備会議
原子力二法人の統合に関する基本報告目次
(検討の経緯)| (1) | 我が国の原子力研究開発の中核的拠点(Center of Excellence)たる総合的原子力研究開発機関としての地位の確立 |
| (2) | 原子力安全研究の着実な推進 |
| (3) | 行政改革の観点による整理合理化と活性化の推進 |
| (4) | 効率的・効果的な経営・業務運営体制の構築9 |
| (5) | 安全確保の徹底と立地地域との共生 |
| (1) | 原子力の基礎・基盤研究等を総合的に推進すること | ||||||
| (2) | 核燃料サイクルの確立を目指した研究開発を実施すること | ||||||
| (3) | 原子力安全研究を実施するととともに、緊急時対応等への支援を行うこと | ||||||
| (4) | 産学との連携・協力の推進及び原子力研究開発基盤の確立
|
||||||
| (5) | 原子力平和利用に徹する原子力国際協力及び国際核不拡散の強化に寄与すること |
| (1) | 独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制の確立 | ||||||||||||
| (2) | 経営の基本的考え方 | ||||||||||||
| (3) | 業務運営の在り方
|
||||||||||||
| (4) | 経営基盤の確立
|
| (1) | 既存事業の見直しの上、効率化、重点化、整理合理化 |
| (2) | 事業所毎のミッションの明確化と最適な資源配分を実現する組織体制の構築 |
| (3) | 迅速な意思決定のシステム等の実現のための経営・業務運営の具体的な姿の明確化 |
< 検討の経緯 >
日本原子力研究所(昭和31年6月15日設立)及び核燃料サイクル開発機構(昭和42年10月2日設立)(以下「原子力二法人」という。)は、原子力基本法(昭和30年法律第186号)に位置付けられた「原子力の開発機関」として、我が国の原子力研究開発において重要な役割を担ってきた特殊法人である。
政府は、重要な国家機能を有効に遂行するにふさわしい、簡素・効率的・透明な政府を実現する行政の構造改革を推進する一環として、平成13年12月19日に「特殊法人等整理合理化計画」(参考1)を閣議決定した。同計画において、原子力二法人は、廃止した上で、「統合し、新たに原子力研究開発を総合的に実施する独立行政法人を設置する方向で、平成16年度までに法案を提出する」ものとされた。
この決定を受けて、文部科学大臣は、平成14年1月29日、原子力二法人の「事業の重点化・効率化を念頭に置きつつ、新法人の役割・機能等について検討すること」を目的として、本原子力二法人統合準備会議(以下「本会議」という。)(参考2)の開催を決定した。
本会議は、本年2月以来、9回にわたって検討を行い(参考3)、その間、原子力委員会、原子力安全委員会との意見交換を始め、日本学術会議、大学、産業界、立地自治体、原子力国際機関など各分野の有識者及び関係者から意見を聴取し、様々な角度から議論を重ね、原子力二法人の統合と新法人の設立に当たっての基本的考え方を取りまとめるに至った。
( 原子力の研究、開発及び利用の必要性 )
我が国が、自国において持続的かつ安定的なエネルギー供給体制を確立することは、第一次及び第二次の石油危機を経て、重要な国家的課題と認識されることとなったが、現在でも我が国のエネルギー供給構造は一次エネルギーの約8割を海外に依存する脆弱なものであり、今世紀においても、引き続き極めて重要な政策課題である。現在の主要なエネルギー源は石油や天然ガスなどであるが、将来にわたってこれらの化石燃料の消費量を増やし続けることは、その資源の有限性の観点のみならず地球温暖化問題等地球規模の環境保全の観点からも、もはや許されなくなりつつある。1997年(平成9年)に採択された京都議定書では、日本は、2008年(平成20年)から2012年(平成24年)の期間に対1990年(平成2年)比6%の温室効果ガス削減目標を達成する義務を負っており、エネルギー源の化石燃料からの転換は急務である。また、京都議定書を受けて我が国が制定した「地球温暖化対策の推進に関する法律」(平成10年法律第117号)に基づき定められた「地球温暖化対策に関する基本方針」(平成11年4月9日閣議決定)において、原子力の必要性が明確に位置付けられている。さらに、本年6月14日に施行された「エネルギー政策基本法」(平成14年法律第71号)においても、安定供給の確保、環境への適合、その2つの前提の上での市場原理の活用を基本方針としており、非化石エネルギーへの利用の転換を推進すべきものと位置づけている。このように、資源の有効利用やエネルギー・セキュリティの確保、更には地球環境の保全に取り組む観点から、非化石エネルギー源である原子力の研究、開発及び利用を安全確保を徹底した上で着実に進めることが必要不可欠であり、それによって、我が国の経済・社会上の重要課題の解決に資することが極めて重要である。
また、エネルギー利用以外の分野でも、放射線利用などの原子力の研究開発は、基礎から応用にわたる幅広い科学技術の発展や国民生活の質の向上、新しい産業分野の創出に貢献するものである。
( 原子力二法人の研究開発の実績と評価 )
我が国における原子力平和利用への取組は、昭和30年代に、原子力基本法が制定されたことを契機にして多くの国民の期待と支持を受けつつ開始され、多数の優秀な人材をこの世界に招じ入れてきた。その結果、我が国は、原子力平和利用において、世界の先頭集団に属するとともに、原子力は、我が国の基幹電源として、電力供給量の3分の1を超える割合を占めるエネルギー源となるに至っている。また、医療、工業、農業等の広範な民生分野において放射線利用が普及し、定着している。原子力二法人はこのような我が国の原子力の研究、開発及び利用の発展過程において大きな貢献をしてきた。具体的に述べれば次のとおりである。
日本原子力研究所は、原子力の総合的な研究開発機関として、各種の研究炉・試験炉の建設、運転及びその施設の共用を通じて、我が国初の原子炉の臨界達成、原子力発電の成功など、我が国の原子力エネルギー利用や原子力研究の基盤の確立に大きく貢献し、また、高速増殖炉や新型転換炉の基礎研究の成果等を核燃料サイクル開発機構の前身である動力炉・核燃料開発事業団に移転するとともに、安全性研究等により国内外の原子力安全の確保に寄与してきている。さらに、日本原子力船研究開発事業団を統合(昭和60年)後原子力船「むつ」の実験航海成功、核融合研究ではトカマク型臨界プラズマ実験装置(JT-60)による臨界プラズマ条件と世界最高のイオン温度達成、高温工学試験研究炉(HTTR)の建設、運転による電力以外への核熱利用の基礎的技術基盤の開発、放射線利用分野における幅広い研究領域の開拓及び産業利用への寄与など、様々な分野において世界的な研究成果を発信してきた。(参考4-1、4-2)
一方、動力炉・核燃料開発事業団は、高速増殖炉や新型転換炉の開発に取り組むとともに、ウラン探鉱、濃縮、燃料加工から再処理に至るまでの核燃料サイクルを支える幅広い技術開発を担ってきた。その後、同事業団は、「もんじゅ」事故などを契機にその反省の上に立った動燃改革により、高速増殖炉開発、再処理技術開発、高レベル放射性廃棄物処理処分の研究など核燃料サイクルの完結に特化したプロジェクト型研究開発機関として核燃料サイクル開発機構に抜本的に改組(平成10年)され、業務の重点化、効率化が図られた。この間、高速実験炉「常陽」による高速炉技術基盤の確立、東海再処理施設により総量1000トンの再処理の達成などによる再処理の自主技術の確立、新型転換炉「ふげん」による世界のトップクラスのMOX燃料利用実績、地層処分の技術的信頼性の提示など国際的にも高く評価される枢要な成果を挙げるとともに、遠心法により確立したウラン濃縮技術を始めとする核燃料サイクル技術の開発成果を民間に移転してきている。(参考4-3、4-4)
このように、原子力二法人は、原子力委員会や原子力安全委員会の定める計画に沿って、原子力の基礎・基盤研究やプロジェクト研究開発を推進することにより、我が国の原子力の研究、開発及び利用の発展に大きく寄与してきたところであり、その実績は内外に認められている。
また、このような原子力の研究開発は、長期にわたり公的資金や人材の投入を必要とするものであり、更に官民の力を結集して推進するため、特殊法人の形態により実施されてきた。
しかしながら、この特殊法人による活動が結果として、事業の肥大化や非効率化、目的達成の遅延による費用の増大、路線の硬直化等のいわば負の側面をもたらした面があり、国民の批判を惹起してきた。
( 国民の原子力に対する意識の変化 )
加えて、海外における米国スリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所事故や旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故にとどまらず、国内においても高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故、東海再処理施設アスファルト固化処理施設の火災爆発事故、(株)ジェー・シー・オーウラン加工工場臨界事故などが相次いだことと、これらの事故に対する関係者の不適切な対応が、原子力の安全性や原子力に携わる関係者に対する国民の信頼感を大きく損なった。
この結果、国民の原子力に対するかつての期待感は低下し、むしろ、原子力に対する不安感、不信感が国民意識の中に醸成され、その支持の基盤が揺らいでいるのが現状である。
( 新法人設立の意義 )
新法人の役割、機能等を検討するに当たっては、まずは、このような原子力を取り巻く現実を直視することが何よりも重要である。その上で、本会議としては、資源の有効利用やエネルギー・セキュリティの確保、更には地球環境保全の観点から、我が国における原子力の研究、開発及び利用の政策的必要性を明確にしたい。その際、原子力の研究、開発及び利用の大前提として、原子力の平和利用という我が国の国是及び安全確保の重要性を再確認する必要がある。すなわち、原子力に係る我が国の特別の歴史的経緯や国民の感情を考慮すれば,原子力基本法の精神に立脚し原子力平和利用に徹すること及び安全確保に万全を期すことが、我が国が国民や国際社会の理解と支持を得た上で、エネルギーの安定供給、科学技術の水準の向上や新産業創生に向けて原子力の研究、開発及び利用を推進していくための必要不可欠な基礎である。そして新法人はそのための先導役を果たすことが期待される。
今回の原子力二法人の統合は、簡素・効率的・透明な政府を実現する行政の構造改革の一環として推進された特殊法人等改革という我が国の重要な政策として決定されたものであるが、昭和42年の旧動力炉・核燃料開発事業団の設立以降、原子力二法人による研究開発体制は、昭和60年の原子力船研究開発事業団の日本原子力研究所への統合、平成9年から平成10年にかけて行った動燃改革等、いくつかの体制の変更はあったが、今回のような抜本的な見直しにつながる機会はなかなか訪れなかったのも事実である。
以上のような原子力を巡る諸状況を踏まえ、この機会に、本会議は、この原子力二法人の統合を、原子力の研究、開発及び利用を推進する上で必要不可欠な原子力に対する国民の信頼を回復する転換点とし、我が国の原子力研究開発を再活性化させ、新たな発展を目指す重要な機会と積極的に捉えるべきであると考える。実際、原子力二法人の統合によって、基礎・基盤研究とプロジェクト研究開発の間の連携・融合・統合等の大きな効果が発揮されるとともに、人材の交流やそれぞれの成果のフィードバックを行うこと等による研究開発の一層の効率化やスピードアップが期待される。また、既存の研究開発事業の整理合理化や研究資源の有効活用が一層推し進められるとともに、今まで実現できなかった総合的な研究開発体制の実現による効率的な業務遂行が可能となろう。その意味で原子力二法人の統合は、我が国の原子力研究開発の再構築に建設的な意味をもたらすものでなければならない。今般の原子力二法人統合が、このような改革をなし得る絶好のそして最後の機会であるという不退転の決意をもってこれに臨むことを、関係者に強く期待する。
2.新法人設立の基本理念
本会議は、以上のような基本認識に立って、新法人の設立の基本理念を以下のようにすることが適当であると考える。
| (1) | 我が国の原子力研究開発の中核的拠点(Center of Excellence)たる総合的原子力研究開発機関としての地位の確立 新法人は、原子力二法人の統合によって基礎・基盤研究からプロジェクト研究開発までを包含する総合的、かつ、先端的な、我が国で唯一の大規模な原子力研究開発機関となる。このような研究開発機関として、新法人は、二法人時代以上に、研究施設、人材、予算等の研究資源の効率的・有効活用を実現し、社会に対し、より広範かつ高度な研究開発の成果を効果的に生み出すことが求められる。 言い換えれば、新法人は、原子力基本法に定められる唯一の「原子力の開発機関」として、原子力委員会の策定する「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画」(以下「原子力長計」という。)等の計画に基づき我が国が着実に原子力の研究開発利用を推進する上で、研究開発の実施機関として中核的拠点の役割を担っていくことが求められる。 具体的に、新法人は、以下の点を中心に不断の取組みを行うことが必要である。
|
||||||
| (2) | 原子力安全研究の着実な推進 原子力安全の確保は、原子力研究開発利用の大前提である。この点から原子力安全研究は、原子力の研究、開発及び利用を支える中核的研究分野の一つとして位置付けられるものであり、その成果を積極的に活用することは国民の原子力に対する信頼感を得るためにも極めて重要である。 新法人は、日本原子力研究所がこれまで原子力安全研究の分野で果たしてきた実績を踏まえれば、その活動と成果に立って我が国の原子力の研究、開発及び利用を安全面で支える中核的機関としての役割を果たすことが強く期待される。したがって、原子力安全委員会の策定する「安全研究年次計画」等に基づき、国の原子力安全規制や原子力防災を研究及び技術的対策の両面で支援することが強く求められる。 |
||||||
| (3) | 行政改革の観点による整理合理化と活性化の推進 原子力二法人の統合は、今般の特殊法人等改革の一環として、「特殊法人等整理合理化計画」に基づき実施されるものである。したがって、新法人の設立に当たっては、既に動燃改革検討委員会で示された旧動力炉・核燃料開発事業団の事業の整理を確実に進めるとともに、統合による原子力二法人の更なる事業の見直しや管理部門等の重複部分のスリム化を徹底して行い、研究施設や設備の相互有効利用や整理合理化、事業運営の変更に伴う人材の再配置や予算の重点配分による効率化を実施することが求められる。そして、このようなスリム化・効率化は、目に見えるものとして国民に理解されるものでなければならない。 これは、当然、現行の事業、予算、組織及び人員の規模の縮減を伴うものであるが、それが組織の能力や構成員の意欲の減退につながるようなことになってはならない。むしろ、原子力二法人に分散されていた優秀な人材等の研究資源の有機的連携や融合による相乗効果を発揮するという積極的意義を捉えて、民間企業等の例にあるように、事業の「選択」と限られた資源の「集中」投入、そして業務運営の効率化により、活力ある事業展開を実現していかなければならない。そのような事業展開の中で夢のある創造的な研究開発に取り組んでいくことが望まれる。 |
||||||
| (4) | 効率的・効果的な経営・業務運営体制の構築 4,600人強の人員と2,500億円を超える事業規模(平成14年度当初認可予算による。)及び12の研究所・事業所(独立行政法人等登記令(昭和39年政令第28号)に基づく登記による。)を有する原子力二法人の統合は、国内最大の研究開発機関を設立するものとなる。さらに、新法人では、異なる業務遂行方法が求められる複数の事業毎にその円滑な推進に努めながら、併せて、各事業間の有機的連携を確保し、全体として相乗効果を発揮しつつ総合的・一体的に推進することが必要となる。このため、新法人においては、各種事業の異質性、類似性、共通性等を十分に把握した上で効率的・効果的な経営・業務運営体制を構築することにより、迅速な意思決定システムを確立し、経済社会の動向に応じ時宜を得た活動を展開できるようにすることが不可欠である。 |
||||||
| (5) | 安全確保の徹底と立地地域との共生 新法人は、原子力事業者として、従来以上に、その保有する施設及び事業に係る安全の確保について責任をもって業務運営の最優先事項として徹底していかなければならない。動燃改革に至る経緯を振り返れば、自らの原子力施設の安全確保の徹底なくして、地域や国民の理解、信頼、協力があり得ないことは言うまでもない。したがって、新法人の活動について、安全確保を含む事業の実施における責任体制を対外的に明確化した上で、情報の公開及び公表を徹底して実施すること等が極めて重要であり、それらによって社会の信頼を得て、立地地域との共生に最善を尽くす必要がある。 |
3.新法人に求められる役割
新法人は、2に述べたように、我が国の原子力の研究、開発及び利用全体を支える中核的な研究開発機関としての役割を担うべきものである。このため、以下の事項を新法人の主要なミッションとして明確に位置付けることが必要である。
| (1) | 原子力の基礎・基盤研究等を総合的に推進すること 原子力研究開発を総合的・一体的に実施する先端的な研究開発機関として、科学技術の水準の向上を図りつつ、原子力利用の高度化及び多様化の推進に資する。このため、経済社会のニーズや動向等を踏まえつつ、原子力の可能性の更なる開拓を目指して、総合的に基礎・基盤研究を推進する。 さらに、近年、放射線利用の分野において新産業の創成への期待など拡がりがでてきており、新法人の業務としてふさわしい範囲で放射線利用研究を推進する。 |
||||||
| (2) | 核燃料サイクルの確立を目指した研究開発を実施すること 我が国のエネルギー政策上の重要課題である核燃料サイクルの確立を目指した研究開発を、産業界との密接な連携・協力の下、「もんじゅ」の早期の運転再開を目指すなど高速増殖炉等の将来の実用化に向けた取組を推進する。特に、実用化の目途をつける上で重要な要素となる、安全性及び経済性の向上、環境負荷の低減、放射性廃棄物の処理処分技術の確立等の諸点において、高い研究開発目標の達成を目指す。 |
||||||
| (3) | 原子力安全研究を実施するとともに、緊急時対応等への支援を行うこと 我が国全体の原子力安全の確保に係る活動に貢献するために、
|
||||||
| (4) | 産学との連携・協力の推進及び原子力研究開発基盤の確立
|
||||||
| (5) | 原子力平和利用に徹する原子力国際協力及び国際核不拡散の強化に寄与すること 新法人の有する研究開発能力や人材を有効に活用して、国際的な原子力平和利用の高度化と核不拡散の強化に技術的観点から積極的に貢献する。なかでも、核兵器廃絶に向けて、確実な核軍縮の促進に寄与する観点から、解体核兵器から発生する余剰プルトニウムの平和利用方策を実現するため必要な体制、環境を整えつつ、国際協力の場で積極的な役割を果たしていく。さらに、諸外国との研究開発協力を積極的に推進するとともに、アジア地域においては、原子力人材の育成に対する支援等により、同地域の原子力平和利用の推進と安全の確保に寄与する。 |
4.新法人に求められる組織・運営の在り方
新法人には、これまでに述べてきた基本理念を具現化させつつ、果たすべき役割を効率的、効果的に遂行することが求められる。
そのために必要な新法人の組織・運営の在り方を以下のとおり明らかにする。
| (1) | 独立行政法人制度の趣旨を踏まえた組織・運営体制の確立 新法人は、「特殊法人等整理合理化計画」の定めるところに従い、「独立行政法人」として設立されるものである。したがって、新法人の組織・運営体制は、独立行政法人通則法等に定められた独立行政法人制度の趣旨にのっとって構築されなければならない。とりわけ、その検討に当たっては、以下の諸点に留意することが必要である。
|
||||||||||||
| (2) | 経営の基本的考え方
|
||||||||||||
| (3) | 業務運営の在り方
|
||||||||||||
| (4) | 経営基盤の確立
|
5.原子力二法人統合準備会議の今後の検討事項
以上、本会議は、本報告において新法人設立の理念、新法人に求められる役割や組織・運営の在り方について基本的考え方を述べたが、今後は更に以下の点に留意しつつ、より具体的な検討を進めることとしたい。
| (1) | 既存事業について、個別事業ごとの実績及び評価を踏まえ、見直すべき事業内容を明確にした上で、事業の効率化、重点化、整理合理化を図るとともに、新法人として新たに取り組むべきものがあれば検討を行う。なお、核融合分野については、国際熱核融合実験炉(ITER)計画を、本年5月29日の総合科学技術会議の結論及び5月31日の閣議了解に基づいて、第二期科学技術基本計画を踏まえつつ、国内誘致を視野に入れて、推進することとなっている。今後同計画の進捗及びそれに伴う我が国の核融合研究体制の見直しの動向を踏まえつつ、新法人の果たすべき役割を検討する。 |
| (2) | 現在の原子力二法人の個別事業の見直しを踏まえて、各研究所・事業所毎のミッションを明確化し、その再編や人員の再配置を含めて、最適な資源配分を実現する組織体制の構築を目指す。 |
| (3) | 新法人の組織運営における、迅速な意思決定のシステム、各事業の有機的連携及び効率的・効果的な経営・業務運営を実現するため、経営体制、事業組織、その業務運営の具体的な姿を明確化する。 |
以上のような基本的考え方の下で、原子力二法人の統合が、研究資源の融合及び事業の「選択」と「集中」を通じて、相乗効果をもたらし、このことが我が国の原子力研究開発の新たな発展をもたらすことを強く期待する。また、当事者である原子力二法人は、新法人の設立を待つことなく今から、現行の事業の整理合理化や、原子力二法人の協力事業の開始、大幅な人事交流の実施等の連携・協力を強化し、統合を実質的に進めていくことを併せて期待する。
-- 登録:平成21年以前 --