令和4年度 日本学術振興会の評価等に関する有識者会合(第1回) 議事録

1.日時

令和4年7月6日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

オンライン会議

3.議題

  1. 今年度の有識者会合の運営について
  2. 評価項目・分担について
  3. 令和3年度業務実績に係る自己評価及び第4期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績に係る自己評価について
  4. その他

4.出席者

委員

植田座長、秋元委員、岡村委員、加藤委員、東嶋委員

文部科学省

池田研究振興局長、坂本研究振興局審議官、永田学術研究推進課長、高橋学術研究推進課課長補佐、吉田学術研究推進課企画室室長補佐、二瓶振興企画課学術企画室室長補佐、鈴木人材政策課課長補佐、福島参事官(国際戦略担当)付参事官補佐 ほか

5.議事録

【高橋課長補佐】
それでは、定刻となりましたので、ただいまから令和4年度第1回独立行政法人日本学術振興会の評価等に関する有識者会合を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございます。
委員の先生方、恐縮ですが、画面にお顔のほうを映していただきますようお願いいたします。
私、研究振興局学術研究推進課で課長補佐をしております高橋と申します。委員の皆様におかれましては、既に御案内をさしあげておりますが、文科省における組織再編に伴いまして、令和3年10月より日本学術振興会の所管課が研究振興局の振興企画課から同じ局の学術研究推進課に変更となっております。現在は当課が事務局を担当させていただいておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは初めに、議事に先立ちまして、研究振興局長の池田より御挨拶を申し上げます。池田局長、よろしくお願いいたします。
 
【池田研究振興局長】
文部科学省研究振興局長の池田でございます。日本学術振興会の評価等に関する有識者会合の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
まず、委員の先生方におかれましては、昨年度に引き続き、この有識者会合に御参画いただき誠にありがとうございます。日本学術振興会の中期目標期間は平成30年度から今年度までの5年間であり、本年度は最終年度に当たりますので、令和3年度の年度評価に加えて中期目標期間の見込評価をしていただくとともに、令和5年度から始まる次期中期目標の策定にも御尽力いただくことになります。本年度は、そうした意味で重要な節目の年でありますので、よろしくお願いいたします。
日本学術振興会は、科研費事業の充実・強化や若手研究者の支援・育成などの取組に力を入れて活動されておりますので、先生方におかれましては、本日も含めて数回、会議やメールのやり取りなどで調整をいただくことになりますが、何とぞ忌憚のない御助言、御意見をいただけますと幸いでございます。
簡単でございますが、以上で私の挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
池田局長、どうもありがとうございました。
続きまして、委員の御紹介をさせていただきます。五十音順に、お名前を読み上げさせていただきます。
初めに、秋元美世委員でいらっしゃいます。
続きまして、植田憲一委員でいらっしゃいます。
岡村俊克委員でいらっしゃいます。
加藤美砂子委員でいらっしゃいます。
東嶋和子委員でいらっしゃいます。
以上5名となります。
また、昨年度に引き続き、座長につきましては植田委員にお務めいただきますので、ここからの進行は植田座長にお願いしたく存じます。よろしくお願いいたします。
 
【植田座長】
植田です。昨年に引き続いて座長を務めさせていただきます。
本有識者会議は、日本学術振興会の業務運営の改善に資するよう、文部科学大臣による業績評価に際し、その実効性を確保するための助言を行うことと理解しております。
座長として、委員の皆様とともに適切に対応していきたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、本日の出席者等の確認を事務局よりお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
植田座長ありがとうございました。
では続きまして、事務局の出席者を紹介させていただきます。
先ほど御挨拶申し上げました池田研究振興局長でございます。
 
【池田研究振興局長】
よろしくお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
坂本大臣官房審議官でございます。
 
【坂本審議官】
よろしくお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
永田学術研究推進課長でございます。
 
【永田課長】
永田でございます。どうぞよろしくお願いします。
 
【高橋課長補佐】
その他、各事業所管課の担当官がリモートにより参加しておりますので、御承知おきください。
また、本日は業務実績に関する評価に際しまして、日本学術振興会からのヒアリングを予定しておりまして、振興会からは理事長、役員等の皆様に出席をいただいております。お名前だけ読み上げて御紹介させていただきたいと思います。
杉野理事長、水本理事、先﨑理事、小長谷監事、西島監事、伊藤副理事、三輪副理事、河野部長、山本参事、以上でございます。
なお、本日傍聴者はおりませんが、本会合は原則公開となっておりますので、御承知おき願います。
また、本日はウェブ会議による開催となってございます。各委員の皆様におかれましては、今後の議事において御発言をされる際には、挙手ボタンを用いてお知らせいただければと存じます。また発言される際にはマイクをオン、ミュートを解除の状態にしていただきまして、お名前の後に御発言いただければと存じます。発言される際には、なるべく聞き取りやすくなりますように、はっきり、ゆっくりと御発言ください。それから発言終了後には、再度マイクをオフ、ミュートの状態にしていただくとともに、挙手ボタンを解除いただければと存じます。
最後に、会議資料につきましては、お手元の議事次第にある配付資料一覧のとおりとなってございます。委員の先生方には事前に送付しておりますが、Zoomの画面上にも共有しながら進めさせていただきますので、適宜御覧いただければと存じます。
以上でございます。
 
【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、議題1、今年度の有識者会合の運営についてです。本件については、事務局より説明をお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
引き続きよろしくお願いいたします。資料1、今、画面に投影させていただいております、通し番号2ページの資料になります。こちらを御覧いただければと思います。
昨年度も先生方に御説明をさしあげている資料となりますので、今回は、おさらい的にポイントのみを紹介させていただきたいと思います。
まずは通し番号3ページ目をお開きください。こちら独立行政法人の制度の仕組みをまとめた資料となってございます。
資料にありますように、主務大臣と法人の長との間で相互に中期目標、中期計画、年度計画及びそれらの評価を行うといったようなプロセスが設けられてございます。
次のページをお願いします。4ページ目です。有識者会合の役割をまとめた資料になります。
今回、委員の皆様には、4ポツの年度評価、見込評価に関して御助言をお願いしたいと存じます。また、今年度は中期目標期間の最終年度になりますので、1ポツ、2ポツ、6ポツといった次期中期目標、中期計画の策定に関わる御助言も併せて賜れればと存じます。
次の5ページ目は関係業務スケジュールを整理した資料になってございます。
今年度は5年間の中期目標期間の5年目になりますので、赤枠の部分、見ていただければと思いますが、前年度、令和3年度の年度評価と、中期目標期間終了時の見込評価を実施していただきまして、次期中期目標の策定の土台をつくっていただくといった形になります。
次の6ページ目、こちらは今年度の具体的なスケジュールを整理した資料になってございます。
上段の点線囲みの部分、こちらが評価の決定までに至る、こちらの会議の流れを示したものでございます。本日の会議終了後、7月11日頃、事務局から大臣評価書(案)を先生方に送付いたしますので、大変恐縮ですが、1週間程度で先生方から意見や助言をいただきます。それを調整、反映した上で、7月28日に予定してございます次回の有識者会合を開催いたしまして、大臣評価書の案についてご議論いただくといった運びになります。
その後、省内のプロセスを経まして、8月の下旬には、大臣評価書として決定・公表を予定してございます。
例年の流れはここまでになりますが、今年は、先ほどから申し上げておりますように、次期中期目標の作成といったような作業を控えてございますので、下の点線囲みの部分、11月以降に、さらに御意見を賜るような機会をいただければと考えてございます。
続きまして7ページ目、こちらは評価基準を整理した資料になってございます。
昨年度も先生方に評価いただいておりますので、もう御存じかと思いますが、主務大臣による評価におきましては評定とコメントを付すことになっておりまして、評定についてはBが標準という形になります。
右側の項目別評定のところを御覧ください。Bが標準ではありますが、例えば定量的指標で120%以上の実績を上げたような項目につきましてはA評定に、さらに質的にも顕著な成果があるといったことが認められる場合にはS評定になるといったルールになってございます。
最後、8ページ目、こちら参考情報として御紹介させていただきますが、新型コロナの感染症の影響を踏まえた評価としまして、一昨年の12月に、総務省の評価制度委員会において、樫谷部会長から記載のとおりの発言がなされているということでまとめたものでございます。
下線部のポイントだけ御紹介させていただきますが、主務大臣が、感染症によって予定していた業務が実施できなかったと認める場合には、評定において考慮いただくとされています。それから、感染症が業務運営に与えた影響等の分析結果を評価書に具体的に記載いただきたいとのことです。
次のパラグラフですが、特に感染症の影響下でも、法人が、その使命を着実に果たしていくために工夫を凝らした、ポストコロナに向けた具体的な計画を策定したなど、そういった積極的な取組を行った場合には、丁寧に把握し、評定において考慮いただくとともに、その根拠を具体的に記載していただきたいといった内容になってございます。
今回、評価を行います令和3年度も、引き続きコロナの影響というものは継続していたと考えられますので、今回の評価においても、ぜひ御留意いただきたいと存じます。
事務局からの説明は以上でございます。
 
【植田座長】
ありがとうございました。ただいまの説明について、確認すべきことがありましたら、御発言をお願いいたします。特にありませんか。
具体的なことは後でまた質問をしていただければいいと思いますので、それでは次に、議題2、評価項目・分担についてです。
評価項目と、各委員が重点的に助言を行う項目の分担の案ですが、これについて事務局より説明をお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
改めまして、よろしくお願いします。資料2について、こちらも昨年度と同じような動きをなぞったもので、評価の御助言をいただく際の担当案を整理したものでございます。
評価に当たりましては、もちろん評価全体を通して御意見、御助言をいただきたいというところでございますが、特に重点的に確認をいただきたい項目につきまして、先生方の専門分野ですとか、あと分量の御負担といった点も考慮して、2名ずつ割り振らせていただいております。
全て昨年度と同様の分担案を整理しておりまして、昨年度からの連続性を確保させていただいているところでございます。
それから、最初の2ページが令和3年度評価の分担案でございまして、そこから続きます後ろの2ページが見込評価における分担案となってございますが、それぞれの項目、御担当いただくのは同じ先生方という形で整理させていただいております。
簡単ですが、説明は以上でございます。
 
【植田座長】
ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、御質問はありますでしょうか。
昨年と同様で、見込評価が入っていますけれども、基本的には分担としては同じですけどね。それでよろしいでしょうか。
よろしければ、原案どおり決定したいと思いますが、いかがでしょう。
 
(「異議なし」の声あり)
 
【植田座長】
それでは、ありがとうございました。そうします。
それでは、議題の3です。令和3年度の業務実績に係る自己評価及び第4期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績に係る自己評価についてです。
これを、ただいま各委員が重点的に助言を行う項目について役割分担を確認したところですが、早速、日本学術振興会が実施した自己評価の内容について、同会に対するヒアリングを行いたいと思います。
まずヒアリングの進め方について、事務局より説明をお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
ありがとうございます。引き続き事務局から説明させていただきます。
本日のヒアリングですが、ヒアリングは40分ほどで振興会から御説明をいただいた後、残りの時間を委員の先生方との質疑応答の時間に充てさせていただきたいと考えてございます。
振興会からのヒアリングですが、資料3シリーズに基づいて行うということを予定しておりますので、まずは私のほうから資料の位置づけを簡単に説明させていただきたいと思います。
まず、今、投影されている資料3-1、通し番号13ページからの資料は、振興会が自己点検評価をし、振興会として設けている外部評価を経て報告書を作成していただいているわけですけれども、そこに至った経緯を説明した資料になってございます。
続きまして、3-2の資料でございます。こちら、ちょっと細かい表になっていますが、振興会の自己点検評価と、それから外部評価の評定を一覧にしたものになってございます。
左側に中期計画に基づく評価の単位がずらっと並んでおりまして、中ほどの列に令和3年度と見込み、それぞれの自己評価と外部評価の評定を整理してございます。
ページという記載がございますが、これはこの次の資料にある評価報告書本体の該当ページに対応したものになってございます。
それから表の右側、こちらには参考といたしまして、今期中期目標期間の初年度の平成30年からの評価結果を順次整理したものになってございます。こちらが資料の3-2です。
続きまして、資料3-3、通しページの19ページを御覧いただければと思います。こちらの資料は、振興会の自己点検評価、それから外部評価の報告書本体という形になります。
なお、資料3-3と、この後の3-4には、資料番号に小文字のaと小文字のbというのが記されておりますが、それぞれ、小文字のaのほうは令和3年度評価を表す資料、それからbのほうは見込評価に対応した資料という建付けになってございます。
次に、画面に映っている資料3-3の構成を簡単に説明させていただきますと、今の19ページの表紙に続きまして、次の21ページ、こちら報告書の位置づけですとか資料構成といったものを説明する資料になってございます。
次の22ページ目が目次になってございまして、その次の23ページ目以降が報告書の本体ということで、大部の資料が続いていくといった構成になってございます。
後ほど我々事務局のほうで大臣評価案を作成したりですとか、先生方に改めて御助言等を記載いただくといったようなものは、こちらの様式をベースに少し加工した資料になりますので、御承知おきいただければと存じます。
それから、次の資料に移らせていただきます。資料3-4です。通しで302ページというところですが、こちら3-4のaとb両方ありますが、自己点検評価の要旨ということで、振興会のほうで本日のプレゼン用に御準備いただいている資料となってございます。
今日のヒアリングでは、初めに資料3-1に基づきまして自己点検、それから外部評価の経緯を説明いただいた後に、基本的にはこちらの3-4のbになるんですけれども、4年分の見込評価の資料を中心に、実績を説明いただくことになってございます。
事務局からの説明は以上でございます。
 
【植田座長】
ありがとうございました。
本日は杉野理事長に御出席いただいておりますので、一言御挨拶いただいた後、令和3年度業務実績及び第4期中期目標期間の終了時に見込まれる業務の実績と自己点検評価について、日本学術振興会より説明をお願いいたします。
その後、本日は監事の先生に出席いただいておりますので、令和3年度業務実績及び第4期中期目標期間の終了時に見込まれる業務実績に関する各監事の所見について御発言をいただくようにします。よろしくお願いいたします。
 
【杉野理事長】
日本学術振興会の理事長でございます。この4月に着任をいたしました。今日は先生方、お忙しいところ私どものためにお時間を頂戴いたしまして、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
今年度は、先ほど池田研究振興局長から御紹介いただきましたように、私ども第4期の中期目標期間の最終年度であり、また来年度から始まります第5期の中期目標期間、新しい中期目標期間を検討するという意味で、とても重要な年度と心得ております。
このため、私どもの法人内で、これまで時間をかけまして自己点検、それから外部評価の業務をやってまいりました。その際、本有識者会議の先生方から、特に公認会計士の先生方の御協力を得て、しっかりとした作業をすべきではないか、検証すべきではないかというアドバイスを頂戴しておりました。そのアドバイスをいただきまして、特に作業部会を設けて、検証作業を進めることができました。例年に比べて、その意味でも、充実した検証ができたかなと私どもは思っております。この場をお借りしまして、頂戴しました御助言に御礼を申し上げたいと存じます。
既に御案内のように、我が国の研究力の低下についての懸念が指摘されまして久しくなっております。ここは踏ん張りどころかと思っております。私ども日本学術振興会といたしましても、日本を代表するファンディングエージェンシーとして、私どもの業務をしっかりと見直し、さらなる拡充、質の向上を目指していかなければいけないというふうに思っております。
有識者会議の先生方の御意見を頂戴いたしまして、これまでの業務を真摯に見直し、次期中期目標の作成に向けて最大限、先生方の御意見を生かさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
どうか私どもの状況を、後ほど御説明しますけれども、お聞き取りいただきまして、厳正なる御審査と御意見を賜りますようお願いを申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
日本学術振興会副理事の伊藤です。振興会における令和3事業年度の業務実績及び今中期目標期間の見込評価の対象となる平成30年度から今年度、令和4事業年度までの5年間の業務実績に関し、振興会の自己点検評価について御説明申し上げます。
最初に通し番号の13、資料3-1を御覧ください。振興会における独法評価の手続等について説明させていただきます。
資料3-1の1ページ、1、自己点検評価にありますように、初めに、振興会において、理事長を委員長とする計画・評価委員会を開き、振興会が自ら点検して評価を行い、まず報告書をまとめております。
次に、2ページを御覧いただけますでしょうか。それを基に、2の外部評価の項目にあります外部有識者から成る外部評価委員会において、振興会としての外部評価を実施しております。外部評価委員会のメンバーは記載のとおりであります。
今年度、外部評価委員会は3回開催しましたが、昨年度のこの有識者会合におきまして、振興会における外部評価の取組について御指摘をいただきました。このことを踏まえ、本年度は、外部評価委員会の下部組織に、公認会計士などを委員に含む作業チームを新たに設け、振興会の自己点検評価の内容について、専門的な視点から確認をいただいたところでございます。
2ページ目の下にあります注の2段落目を御覧ください。作業チームにおきましては、効率化等を見据えた振興会における予算配分や変更のプロセス、また、そのプロセスの結果として示された年度当初の予算配分や変更後の予算配分などの執行状況に関する資料・説明を踏まえまして、振興会において、中期目標で求められている効率化の要件や、対前年度実績との比較においても効率化が図られていること等に関する確認が行われました。
その結果、運営費交付金を適切に配分して執行し、効率化に向けた振興会のプロセスは適切であること、また作業チームにおいて専門的な視点で確認を行った結果、親委員会である外部評価委員会として示す評価結果の素案については、特段記載の修正を行う必要はない旨の御意見をいただきました。作業チームの意見内容は外部評価委員会にも報告し、当該委員会での審議にも反映されています。
こういった手続を経て、資料3-3関係の自己点検評価、外部評価結果報告書を取りまとめ、6月末に文部科学大臣に提出させていただきました。
次に、通し番号の16、資料の3-2を御覧ください。令和3年度単年度分の評価と今中期目標期間の見込評価の結果を一覧として整理しています。また、見込評価の判断に資するよう、30年度から令和2年度までの評価も併記しています。
自己点検評価の結果ですけれども、令和3事業年度分については、ローマ数字1の1から4の項目は、グレーの部分でございますけれども、A評定、それ以外の項目はB評定となっています。また、5年間の見込評価としては、ローマ数字1の2から4の項目がA評定、それ以外の項目はB評定としております。また、振興会において行っている外部評価におきましては、自己点検評価の結果と同等の御判断をいただいております。
それでは、項目別の評定結果の具体的な説明に入らせていただきます。通し番号361ページ、資料の3-4bを御覧ください。
説明は今中期目標期間5年分の見込評価の要旨をベースに行い、令和3年度単年度分の評価も併せて説明させていただきますので、よろしくお願いします。また、説明に当たっては、横書き資料であります本資料の下のほうの中央にあるページ番号を用いて行わせていただきますので、よろしくお願いします。
まず、資料の3-4bの2ページ目を御覧ください。ローマ数字1の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項についてですが、こちらは7つの業務に区分された項目ごとに評定を行っています。
まず1番の総合的事項ですけれども、こちらは振興会の業務運営に多様な意見を取り入れる観点で、(1)から(3)に示す3つの補助評定項目をさらに設けています。
まず(1)の研究者等の意見を取り入れた業務運営についてですけれども、振興会の評議員会や学術顧問等の方々との意見交換を通じ、研究者等の意見を取り入れる機会を確保しつつ業務を運営していることから、3年度、見込両評定ともにbとしています。
次に、(2)の第一線級の研究者の配置による審査・評価機能の強化についてですが、振興会の学術システム研究センターにおいては、人文学、社会科学から自然科学まで幅広い学問分野の研究者にセンターの研究員をお願いしておりまして、その人選に当たっては、学問分野や性別、それから所属組織の特性、国公私立などでございますけれども、それから地域などの多様性を考慮しております。特に女性の研究員につきましては、本中期目標期間中に、14.8%から32%へと上昇しています。
また、本センターにおける検討・議論を通じて、科研費をはじめ各種事業の審査委員の選考や審査方針、手続等に対する提言が適宜行われております。
令和3年度は、5年度公募から適用する科研費の審査区分表の改定案を文科省の科学技術・学術審議会に報告し、制度改善につながったことなどを踏まえ、単年度、見込の両評定ともにaとしています。
(3)の学術研究の多様性の確保等についてでございます。振興会においては、(1)でも述べた評議員会において、学術研究の多様性の確保等を踏まえた振興会の業務運営状況について御確認いただいているところです。
また、男女共同参画推進については、3年度は特にウェブサイト「CHEERS!」の開設やアドバイザー制度の導入、シンポジウムの開催などに取り組んだことから、3年度の評定はa、見込評定は、過去3年分がbであることを踏まえて、bとしています。
以上を踏まえまして、この総合的事項の全体の評定といたしましては、令和3年度分は補助評定3項目中2つがaであることも踏まえAとさせていただき、一方、見込評定につきましては、過去3年分がB評定であったことも踏まえて、Bとしております。
続きまして、7ページを御覧ください。2の世界レベルの多様な知の創造は、科研費など振興会の研究支援業務に関するものです。
我が国の研究者の自由な発想に基づく独創的・先駆的な研究を支援し、研究者にとって世界レベルの多様な知を創造できる環境を創出することを目指す本業務は、まさに振興会の根幹をなすものと言えます。
万単位の膨大な応募課題の中から優れた研究テーマを選定する必要があることから、重要度、難易度ともに高いものとして設定され、補助評定項目は3つあります。
全体評定については、例年と同様、3年度、見込ともにAとさせていただきました。
次に補助評定項目、細かな内容でございますけれども、まず(1)の科学研究費助成事業の充実・強化に資する取組の推進についてです。こちらは8ページを御覧ください。
科研費事業におきましては、毎年約9万件もの膨大な応募課題の中から優れた研究課題を選定するため、公正性、透明性を確保しつつ、審査・評価を進めてまいりました。また、これらの取組と併せて、審査区分表の見直し、各種申請書類の提出の電子化など、今中期目標期間中、審査・評価から交付業務までについて不断の見直しを行い、事業改善にも取り組んでまいりました。
令和3年度は、基盤研究等の研究種目について、研究者からの要望に応え、公募・審査などを早期化し、2月に審査結果を通知することといたしました。これにより、研究スタッフの継続雇用や出張の調整などについて、前年度からの手続が可能となったところであります。
また、コロナ対応として、令和2年度に引き続き、研究者や研究機関に向けて、各種の申請期限の延伸や研究期間の延長など、様々な特例措置を設け、柔軟に対応してまいりました。
さらに、10ページを御覧いただけますでしょうか。大規模・長期間にわたる国際共同研究を支援する「国際先導研究」を創設するなど様々な取組も行っており、3年度、見込の両評定ともにsとさせていただいております。
7ページに、恐縮ですけど、お戻りください。(2)の研究の国際化と国際的な共同研究等の推進についてです。
振興会では各国学術振興機関との共同研究等も行っており、3年度は特にリードエージェンシー方式の導入を進めてまいりました。リードエージェンシー方式とは、各国の学術振興機関が自分の国の審査をそれぞれ行いその審査結果をお互いに調整する一般的な審査方法とは異なりまして、どちらか一方の国の機関が両国の研究内容の審査をまとめて行い内定を出すというものでございます。効率性が期待できる一方で、お互いに対する信用・信頼が前提になっている方式です。
英国、UKRIとの共同プログラムでは、振興会がリードエージェンシーとして審査を行い、新規課題の採択を進めており、3年度、見込の両評定ともにaとさせていただきました。
次に(3)でございます。学術の応用に関する研究等の実施についてです。
こちらにつきましては、「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」に関し、毎年度のプログラムを着実に実施するとともに、データアーカイブ化を目的とする「人文学・社会科学データインフラストラクチャー構築推進事業」について、令和3年度に人文学・社会科学に係るメタデータの横断的検索を可能とするデータカタログ、JDCatの運用を開始するなどの取組を着実に進めており、3年度、見込の両評定ともにbといたしました。
続きまして、16ページを御覧ください。3の知の開拓に挑戦する次世代の研究者の養成は、近年ますます注目される政策課題でありまして、重要度の高い業務として設定されています。また、補助評定項目は4つ設定されています。
(1)の自立して研究に専念できる環境の確保では、特別研究員制度を取り上げています。いわゆる特研は、優れた若手研究者を特別研究員として採用し、研究奨励に資する資金提供を通じて、自由な発想の下に主体的に研究に専念する環境を提供する制度です。本制度では、毎年1万件を超える申請があり、また5,000人を超える新規・継続の採用者に対し、募集から採用期間中までの業務を円滑に実施しているところです。
あわせて、研究専念義務の趣旨の明確化や報酬受給制限の緩和など、制度改善にも積極的に取り組んでまいりました。
特に令和3年度は、博士課程の学生が対象の特別研究員、DCに対し、採用期間中に博士号を取得してPDに資格を変更した場合、採用期間の残期間についてはPDと同様の待遇とする制度の令和4年度からの適用を決めたこと、またオンラインを通じて採用後の各種申請等ができるウェブサイト、学振マイページの構築、運用を進めてまいりました。
また、コロナ対応として、提出書類の期限の延長、採用期間の中断・延長など、様々な特例措置も積極的に講じてまいりました。
以上、コロナでの取組状況も勘案いたしまして、補助評定について、3年度、見込ともにsとさせていただいております。
続いて、17ページを御覧ください。(2)の国際舞台で活躍する研究者の養成についてです。
海外特別研究員事業及び外国人研究者招聘事業は、いずれも海外渡航を前提とする事業であり、コロナ禍の影響を強く受けております。令和2年度からは、日々変化する状況に対応し、採用開始時期の延期や国内での採用開始を認めるなど、様々な特例措置を柔軟に講じるとともに、研究専念義務の趣旨の明確化、報酬受給制限の緩和など、こちらは特研でも同じ取組を行ってまいりましたけれども、制度改善にも積極的に取り組んでまいりました。
以上、コロナ禍での対応も勘案いたしまして、補助評定は、3年度、見込ともにaとさせていただきました。
次に、(3)の研究者の顕彰・研さん機会の提供についてです。
若手研究者を対象とした日本学術振興会賞や育志賞、国際生物学賞などの各種顕彰について、着実に実施してまいりました。また、国際的な研さん機会を提供する事業として、ノーベル賞受賞者との交流を図るHOPEミーティングやノーベル・プライズ・ダイアログ、若手研究者を対象とした先端科学シンポジウム等も実施してまいりました。
コロナの影響もあり、令和2年度からは開催できていない事業もありましたが、一方で、オンラインによるシンポジウム等の取組も始めております。
以上のことから、補助評定は、3年度、見込ともにbとしています。
最後に、(4)の研究者のキャリアパスの提示についてです。卓越研究員事業では、卓越した研究者である卓越研究員と大学等研究機関とのマッチングを促進し、当該研究員を採用した研究機関に対し、振興会から補助金交付を行うこととしております。また振興会では、卓越研究員の採用審査や研究活動に関する追跡調査も実施しています。
以上のことから、補助評定は3年度、見込ともにbとしています。
最後に、この項目の全体評定についてですけれども、16ページを御覧ください。コロナ禍での対応状況にも鑑みまして、3年度は昨年度と同様のA、見込についてもAとさせていただいております。
続きまして、31ページを御覧ください。4番目でございますけれども、大学等の強みを生かした教育研究機能の強化についてです。
この項目は、大学等における教育研究拠点の形成やグローバル化の取組等の支援を目指すものであり、国が実施する事業について、その審査・評価等の業務の一部を振興会で受託して行っているものです。3年度、見込ともに、いずれも補助評定a、全体評定をAとさせていただきました。
まず、(1)の補助評定項目でございます。世界最高水準の研究拠点の形成促進についてですが、これはいわゆるWPI事業のことであります。現在14か所の研究拠点、WPIアカデミー拠点に対し、拠点の特性等に応じまして、PD、PO等から、きめ細かな支援が行われております。今年度から新拠点の選定を含む10年間の事業が新たにスタートしており、引き続き振興会が審査・評価等の業務を行うこととなっております。
また、コロナ禍での取組として、外国人研究者も参加するプログラム委員会やアウトリーチのための各種イベント開催も、オンラインにより積極的に進めてまいりました。令和3年度においては、特にWPI事業及びWPIの各研究拠点が行った研究活動の科学的、社会的インパクトについて調査・分析を行っており、今後のWPI事業のブランディング構築に役立てていく予定です。
補助評定につきましては、コロナ禍においても例年同様の取組を進めてきたことから、3年度、見込ともにaとさせていただきました。
次に、(2)の大学教育改革の支援についてですけれども、本中期目標期間中、これまで博士課程教育リーディングプログラム、大学教育再生加速プログラムなど5つの事業を文部科学省から受託し、審査・評価等の業務を行ってきました。各事業の目標、内容は異なっており、委員会の開催や採択事業に対するフォローアップなども事業ごとに丁寧に進めてまいりました。グッドプラクティスな成果の積極的な横展開にも努めており、また令和3年度には、面接審査の結果をオンラインで集計するウェブ集計システムの構築も行っています。さらに、今年度は2つの事業を国から新たに受託しております。
最後に、32ページの(3)の大学のグローバル化の支援についてです。
今中期目標期間は、大学の世界展開力強化事業、スーパーグローバル大学創成支援事業の2事業において、大学のグローバル化の取組支援を行ってまいりました。令和3年度は、特にコロナ対応として、従来の対面形式ではできなかった海外に滞在中の日本人留学生のインタビューをオンラインで実施しており、また中間評価では評価の低かったプログラムについて、文科省と連携したフォローアップで、よりよい成果につなげるなどの取組も行ってまいりました。
次に、42ページを御覧ください。5番の強固な国際研究基盤の構築については、国内外の多様な関係者の理解を得ることが不可欠であることに鑑み、難易度の高い業務として設定されています。
補助評定項目は4つあり、3年度、見込ともに、いずれも補助評定をb、全体評定をBとしています。
(1)の事業の国際化と戦略的展開としては、本中期目標期間から設けられている国際統括本部において、振興会の国際的な取組、海外動向などの情報共有を図ったり、広く内外への情報発信を積極的に進めているところです。
(2)の諸外国の学術振興機関との協働としては、GRC、グローバルリサーチカウンシルという各国の学術振興機関の長から成るフォーラムに理事長が出席し、課題共有やその解決に向けた連携を進めているところです。また、日中韓学術振興機関長会議に基づく研究支援事業を実施するなどしています。
(3)の在外研究者コミュニティの形成と協働としては、今中期目標期間において、振興会事業の海外での経験者によるJSPS同窓会をノルウェーとマレーシアにおいても新たに設け、合計20か国において、シンポジウム等の取組を支援してまいりました。また、振興会事業に採用され、日本での研究活動を終了した外国人研究者に対し、再来日して日本人研究者との研究協力関係を構築・維持・強化する機会を提供するBRIDGE Fellowshipにも取り組んできました。
(4)の海外研究連絡センター等の展開としては、振興会では世界9か国10か所に海外研究連絡センターを設置し、海外の学術振興機関等との連携協力やネットワーク構築を進めているところです。センターにおいては、大学職員の国際学術交流研修の場としても活用いただいております。
続きまして、48ページを御覧ください。6の総合的な学術情報分析基盤の構築についてです。
この項目は、振興会に関する各種情報を業務の枠を超えて総合的に分析・活用する基盤の構築を目指したものです。補助評定項目は3つあり、3年度、見込ともに、いずれも補助評定がb、全体評定もBとしています。
(1)の情報の一元的な集積・管理としては、国際交流事業など振興会の各種の業務システムにおける情報整理や情報セキュリティ確保に向けた取組などを着実に進めてきたところであります。
(2)の総合的な学術情報分析の推進について、振興会では今中期目標期間より学術情報分析センターを設置し、振興会事業に関する情報を横断的に活用し、各種事業の動向、成果などの調査・分析を行い、事業改善等に役立てているところでございます。また、学術システム研究センターと連携し、科研費の審査委員等の候補者選考を支援する業務システムの開発、改良を行い、センター研究員の負担軽減にもつながっているところです。
(3)の学術動向に関する調査研究の推進としては、学術システム研究センターの研究員の専門的な知見に基づき、学術研究の最新動向等について毎年度、調査研究を行っておりまして、科研費の審査区分表の見直しなど、審査・評価業務の向上に貢献しております。
引き続きまして、52ページを御覧ください。7の横断的事項では、振興会の個別事業を横断的に支援するような取組について記載しています。
補助評定項目は5つあり、3年度、見込ともに、いずれも補助評定をb、全体評定もBとしております。
(1)の電子申請等の推進としては、振興会の各種事業における電子申請システムを整備するなど、研究者や大学等研究機関の利便性向上を図っているところです。本中期目標期間においては、全ての公募事業において、募集要項等の書類がホームページから入手可能となりました。
(2)の情報発信の充実としては、今年度、10年ぶりのホームページリニューアルに向けた準備を進めているところです。
(3)の学術の社会的連携・協力の推進では、大学と産業界の研究者等による情報交換の場として、今中期目標期間中に14の産学協力委員会を新たに設けたところです。
(4)の研究公正の推進では、研究費の不正使用や研究活動上の不正行為を防止するため、事業実施に際しての研究倫理プログラムの履修義務づけの着実な実施、またシンポジウム、セミナーの定期的開催などに取り組んでまいりました。
(5)の業務の点検・評価の推進としては、振興会において自己点検評価及び外部評価を毎年度実施し、その結果を文部科学大臣に届け出るとともにホームページ上で公開しております。
続きまして、ローマ数字の2以降の項目について順に説明させていただきます。資料の56ページを御覧ください。
このローマ数字2の業務運営の効率化に関する事項では、法人全体としての機能的・効率的な体制整備や業務運営の見直し等を求めております。4つの補助評定項目を設けており、3年度、見込ともに補助評定をb、全体評定もBとしています。
まずは、補助評定項目1の組織の編成及び業務運営についてですけれども、こちらは理事長のリーダーシップの下で、コロナ対応として在宅勤務やリモート会議等の取組を進めてまいりました。
次に、2の一般管理費等の効率化についてです。振興会では、一定の費目を除き、一般管理費は対前年度3%、その他の事業費については1%の効率化を行う計画となっています。毎年度、予算の執行状況を四半期ごとに把握し、変更配分を行うなどの予算管理を行い、効率化の目標達成に向けて取り組んでおります。令和3年度は、一般管理費、その他事業費合わせて約2億5,000万円の削減を図ったところであります。
3番の調達等の合理化としては、振興会において毎年度、契約監視委員会を開き、契約状況の点検を行うとともに、他の独法との共同調達、契約の複数年化など、経費の節減に取り組んでまいりました。
4番の業務システムの合理化・効率化については、コロナ対応も踏まえ、ウェブ会議の利用増加に向けて、振興会内のネットワーク整備等を進めてまいりました。
続いて、59ページを御覧ください。ローマ数字3の財務内容の改善に関する事項についてです。こちらは適正な財務管理を目指すものであります。
補助評定項目である1の予算、収支計画及び資金計画は、当期総利益や利益剰余金の発生要因などを的確に把握しております。
そのほか、2から4の項目は、いずれも今中期目標期間中、実績はございませんでした。
以上を踏まえ、実績のなかった項目を除き、3年度、見込ともに補助評定をb、全体評定もBとしております。
続きまして、62ページを御覧ください。ローマ数字4のその他業務運営に関する重要事項についてです。
こちらは補助評定項目が5つあります。本項目につきましても、今中期目標期間に実績のなかった項目を除き、3年度、見込ともに補助評定b、全体評定もBとしております。
まず、補助評定項目1の内部統制の充実・強化についてですけれども、こちらはコンプライアンス研修の実施、それから内部監査、監事監査、会計の法定監査などの取組も進めてまいりました。
2の情報セキュリティへの対応についてです。振興会におきましては、情報セキュリティ・ポリシーの改正や職員向け情報セキュリティ研修の充実等を図ってございます。
それから、3及び5の項目は本中期目標期間中、実績はございませんでした。
4の人事についてですけれども、こちらにつきましては毎年度、人事管理方針を策定し、これに沿って人材の確保、配置及び育成を計画的に進めているところでございまして、職員研修の充実にも努めているところでございます。
6番の積立金の使途についてです。こちらは前中期目標期間の積立金残額から今期間中の繰越財源として約8,700万円の承認を受けたところです。これについては、海外研究連絡センターに係る前払い費用等として、令和2年度までに取崩しが完了しております。
以上、各項目の評定について御説明しましたけれども、最後に、コロナ対応のところについて若干述べさせていただきます。
令和3年度における振興会のコロナ対応についてですけれども、これまでも各事業、項目の中で、いろいろと御説明させていただきました。これらに加えまして、今回は参考資料2のほうに振興会のコロナ対応への取組について整理しておりますので、こちらも御参照いただければと思います。
また、これまでコロナ対応として行ってきた振興会でのテレワークの推進とかウェブ会議の取組などは、デジタル化による業務の効率化等を進める契機ともなりましたけれども、コロナ後においても引き続き取り組むことが重要と認識しているところです。
一方で、対面によるコミュニケーションの長所や重要性も再認識されており、今後は、いわゆるハイブリッド方式を含め、適宜組み合わせて進めていくことになるのではないかとも思っているところでございます。
また、参考資料1におきましては、我々振興会の外部評価委員会による今中期目標期間全体を通じた外部評価結果の総括を取りまとめてございますので、こちらも御参照いただければと存じます。
説明は以上です。
 
【植田座長】
次は監事の方から説明をいただければと思います。
 
【小長谷監事】
監事の小長谷と申します。
 
【植田座長】
どうも、よろしくお願いします。
 
【小長谷監事】
ありがとうございます。独立行政法人の監事というのは、御承知のように、主務大臣から直接任命された独立の存在でございまして、法人の業務を監査することによって健全な業務運営を確保し、社会的信頼に応える統治体制の確立に資するという責務を負っております。
このほど6月30日付で、法令の規定に基づき、振興会理事長に令和3年度の業務監査報告を提出し、併せて主務大臣に報告したところです。
本日は、その内容から、主務大臣による適切な独立行政法人評価に資するため、また今回の場合ですと、次期の中期目標・中期計画の策定に資するために特によかった点と残された課題について選んで、監事としての所見を述べさせていただきます。
まず最初に申し上げておきたいのが、今も少しありましたけれども、コロナ対応です。御承知のとおりパンデミックによって令和2年に入ってから、海外調査ができないとか、実験室に入ることもできない、図書館や公文書館に入って資料を見ることもできないなど、あらゆる学問領域において研究に支障を来す未曽有の危機に見舞われました。振興会では、日本の研究を止めないというスローガンがあったわけではありませんが、そんなスローガンがないのにやれたというのが、またすばらしいことですが、一丸となって対応していました。
科研の繰越しなど従来の仕組みを応用するということはもちろんのこと、海外に渡航できなくなったポスドクに対して、国内にいても研究ができるように臨時に仕組みを改善したりしていました。
制度は一つでも、実際の状況は個人によってかなり違いますので、そういう実情に合わせて、非常にきめ細やかな対応がなされていました。
こうした地味な作業によって日本の学術を支え続けたということは、もっともっと評価されても良いと思っております。
コロナ対応として進展したオンライン審査についても、大きなトラブルというのは一度もございません。トラブルなしにやってきたのが普通だと思っていましたけれども、いろいろ他所でトラブルがあるのを見るにつけ、このトラブルなしにずっとやれてきたというのは、それ自体が本当に実に皆さんの地道な努力によるものだと改めて評価したいと思っているところです。
審査委員として関わった研究者たちにアンケートを既に取って、今後どのようにするのがよいかという検証段階に入っています。つまり、PDCAサイクルというのがしっかり機能していると言えるものと思います。
令和3年度の事業の中で特に評価したいのは、男女共同参画の取組です。これにつきましても、御承知のとおり、日本の学術界での女性の活躍というのは、国際的に見ると本当に、まだまだ確保されていません。こうした負の環境というのを少しでも是正しよう、改善しようとアドバイザーを置いて、ホームページを刷新し、シンポジウムを実施して、大学に改善を呼びかけるという進展が見られました。これを特に評価したいと思っております。
一方、課題として指摘したいのは学術情報分析センターの機能です。先ほどの説明にありましたように、それなりに業務の改善を果たすということのためには利用されているわけですけれども、より広く本邦の学術の発展のためにどのように使うかという期待にまで応じる取組は、まだ今後の課題として残っているところです。
私からは以上です。
 
【西島監事】
それでは、引き続きまして、監事の西島からです。よろしいでしょうか。私からは、日本学術振興会における人材確保及び育成などに関わる事項について御報告いたします。
振興会では職員の3分の1が2年ないし3年のサイクルで新規に入れ替わるというシステムであり、文部科学省及び大学などの職員が学振事業を実践的に経験する良い機会との印象です。しかし、その人事環境の特殊性に伴う課題を克服することがより重要と思います。
その点、令和3年度の事業では、プロパー人材の新規採用、能力開発のための他大学等への派遣を含めた配置転換などが積極的に実施されて、専門性と総合性を兼ね備えた人材の育成を目指したという進展が見られました。
他方、情報システムにおける人材確保及び育成に関しては、今後の課題として残っています。すなわち、情報システムの維持、更新など、継続的に担当する人材を確保することは喫緊の課題です。
さらに今後は、デジタル社会の実践に向けた振興会のさらなる検討と実施に期待しています。
私からは以上です。
 
【植田座長】
ありがとうございました。
それでは、振興会からの説明について、御意見、御質問をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
岡村委員、よろしくお願いします。
 
【岡村委員】
御説明ありがとうございました。総合的事項のところで、特に(3)ですね。平成30年から令和2年度までbで、令和3年度がaに上がって、まだ令和4年度の単年度評価はされていませんが、そういうのも見込んで、全体的に中期目標ではbになりましたという御説明なのですが、令和4年度はどうなのでしょうか。bになりそうということですか。それとも、このままaを維持できそうなのでしょうか。
要は何が言いたいかというと、確かに5年間平均するという考えもあるのでしょうけど、やっぱり重要性からいうと、この令和3年度、令和4年度のほうが3、4年前よりは重要だと思います。そうすると、必ずしも平均をすればいいという話じゃなくて、今ここの項目がどんどん向上しているということを前提に、この中期目標期間の評価もしてもいいのではないかという、私みたいに外から見る人間だと、そんな感じがあるのですが、その辺はいかがでしょうか。
 
【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
振興会でございます。5年間の評価でございますので、例えばaとbがあって、3年間はaであれば、全体もaにしてもいいかなと。それは今年度まだ途中であったとしてもということで、高い評価を積極的にさせていただくということも、ほかの項目ではございました。
4事業年度につきまして、まだ事業途中でございますので、何とも言えないところでございますけれども、そういった評価をお認めいただけるのであれば、我々のほうもきちんと説明をして、またそのような形で、いろいろとご了解、ご承諾を求めていければと思います。ありがとうございます。
 
【岡村委員】
どうもありがとうございました。
 
【植田座長】
今の岡村委員の意見は私も同感で、ある意味では勢いというのは重要なんですよね。勢いがないと、これから良くなっていくのと、何か平均値でこれから下がっていくのとは、やっぱり評価が違いますので、今どこにあって、これからどうしようとしているか、どんな勢いがあるかということを書いていただければ評価しやすいというふうな気がいたしました。
ほかの委員の方々いかがでしょうか。
加藤委員、お願いします。
 
【加藤委員】
加藤でございます。私も同じ意見なんですが、この2ページ目で質問させていただきたいのですが、男女共同参画に向けた取組ということでアドバイザー制度を導入したというのはすばらしいことだと思います。これに関するアドバイザー制度を導入したのが令和3年度であって、多分その結果というのが令和4年度辺りに反映されてくるのではないかと私は期待しているので、先ほどの岡村先生とか委員長とかの意見に私も賛成です。もしもこのアドバイザー制度を導入して既に何か結果が出ていれば、教えていただきたいなと思います。それが質問でございます。
 
【小田経営企画課長】
日本学術振興会の経営企画課長をしております小田と申します。男女共同参画推進アドバイザーについては、御指摘のとおり、令和3年度から設置させていただいたところでございます。
その成果といたしましては、私どものほうで男女共同参画推進基本指針というものを策定しておりますけれども、その指針に当たりましてアドバイスをいただいたり、この指針のフォローアップを毎年度行っているところでございますけれども、そうしたところで御助言をいただくなどしております。
さらに、昨年12月に、振興会として初めて男女共同参画推進シンポジウムというものを開催させていただきましたけれども、こちらにもアドバイザーの方に参画いただきまして、参加者との意見交換や情報交換に御活躍いただいたというところがございます。
まだ設置されたところでございまして、成果としてはこれからではございますが、取り急ぎ御報告させていただきます。
以上です。
 
【加藤委員】
ありがとうございました。既に成果が出ているということもよく分かりましたし、今後もまた、さらなる成果が見込まれるということで、了解いたしました。ありがとうございました。
 
【植田座長】
それでは、東嶋委員、お願いします。
 
【東嶋委員】
ありがとうございます。東嶋です。2点質問させてください。
1点目は、7番の横断的事項のところで、(2)情報発信なのですが、ホームページのリニューアルを10年ぶりに進めているということをおっしゃったかと存じます。それは裏返しますと、10年間ホームページの改善ということが行われなかったのか、そして10年ぶりにどんな点に着目してリニューアル、改善をしようとなさっているのか、閲覧数はどんなふうに変化してきているのか、お教えください。
それから2点目も申し上げてよろしいですか。
 
【植田座長】
どうぞ。
 
【東嶋委員】
2点目は、ローマ数字4の2、情報セキュリティへの対応のところですけれども、しっかり対応いただいているという御報告ですが、標的型メール攻撃の対策としてメールシステムのセキュリティ強化などを行われたということですが、令和3年度は何かそういったセキュリティ上のインシデントは起こらなかったのでしょうか、教えていただければと思います。
以上です。
 
【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
まず広報についてです。マイナーチェンジ的なところはございましたけれども、まさに我々のほうで10年ぐらい、大規模な改修、ホームページの改修というのは行っていなかったところでございます。そこにつきましては反省する点が多々あると認識しております。
それで、今回のリニューアルにつきましては、例えばスマホ等で見ていく場合に、画面をスマホ等とかにも見やすいような対応をするとか、それから振興会の中では、研究者向けと国民向けとホームページの提示が違っているようなところもあるのですが、この点につきましては、中身が実質的には、同じようなものではないかというところもございまして、その辺も踏まえて、少し検討をしていく必要があると思います。
さらにはデザイン的に、何かごちゃごちゃしているというような話はよく伺うところでございまして、もう少し見やすいような形に整備していきたいと考えているところでございます。
アクセス数につきましては、今期中期目標期間の目標が大体456万程度でございます。昨年度も少しお話がありましたが、平成30年度だけは若干改修、やっていなかったわけではないのですが、改修に伴って業者のアクセス数が結構あったのではないかということで増えておりますけれども、大体毎年度同じような500万件前後ぐらいのアクセス数を得ているところでございます。
それから、インシデントでございますけれども、すみません、ちょっとここにつきましては改めて、また報告させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 
【植田座長】
よろしいでしょうか。
 
【東嶋委員】
ありがとうございました。
 
【植田座長】
それでは、秋元委員、お願いします。
 
【秋元委員】
私もホームページのこと、ちょっと気になって、お尋ねしようかなと思ったんですけど、東嶋先生のほうで質問されているので、大体分かりました。
それに関連してなのですが、私も時々ホームページに入って少しのぞいたりしているんですけれども、特に科研費を使った研究の報告書など、どんな研究があるのか含めて見たりしていますが、研究報告書についてどんなものがあるのかといったときに、なかなか調べにくいようなところがあったりして、そういう意味で、もう少しそういうデータみたいなものにアクセスしやすいような工夫があってもいいのかなということ、ちょっと実際に利用してみて感じたところがあったので、今回ホームページを変えるというときに、リニューアルするといったときに、そういったことを振興会のほうで持っている貴重なデータといったもののアクセスをどうしたらいいかとか、そういったような議論があったのかとか、少しお話しいただければと思っています。お願いします。
 
【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
ありがとうございます。ホームページについては、いろいろ要望等がございました。ほかに、そもそも情報量が多過ぎるのではないかというような意見もございまして、古い情報についてもずっと残したままの状況であって、かえって入りにくくて、どこに何があるか分かりづらい面もあるという御指摘はございました。
会内の職員にアンケート調査などを今行っているところでございまして、そういったことも踏まえまして、不必要といいますか、古い情報については、逆にホームページからちょっと取り除くというような作業など、いろいろとデザインも含め、見やすいようにということが意見として出てきたところでございます。
 
【秋元委員】
ありがとうございます。ただ、人文社会科学系統では、昔の研究がものすごく参考になる場合が多くあることもあって、そういった意見が届いているかどうか分からないのですが、人文社会科学に属する私からすると、逆に古い資料が見られるというのが、それなりに意味があるというところもあるような気がします。ありがとうございました。
 
【植田座長】
それでは、私ですが、科研費の具体的な審査状況のこともちょっと伺いたいのですが、非常にたくさんの、多分日本最大の分量の、多くの応募書類を内容を評価して分類しているわけですね。これは大変な仕事で、それをつつがなくやっておられるのは立派なことだと思っています。
私の古い記憶だと、昔は、例えば物理学一般とか応用物理学一般という分野は1人で150本ぐらいの申請書を対応していたことがあったんですね。大量の申請書が小包で送られてくるわけですよね。それがあまりに負担が大きいというので、多分それを平準化させるということもやっておられると思いますが、現在は最大で1人当たりどれくらいの負担になっているのかというのが1つ、お聞きしたいことです。
それからもう1つは、数年前か、少し哲学を変えて、あまり細かい分野に選択をして、その細かいところのつつき合いをやるのはやめようと。ある意味では自分の専門分野以外であっても、ちゃんと科学とか研究の評価をできないといけないので、評価委員とかレビュアーそのものの質を上げようということを打ち出されたと思います。それは簡単に5年やそこらで変わるとは思いませんけれども、日本の科学全体を実は上げるためには非常に重要な提案をされたと思うので、そういうことについても、どんなふうに進んでいるのかということを少しお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
 
【河野人材育成事業部長(兼)研究事業部長】
日本学術振興会研究事業部の部長の河野でございます。ただいまの植田座長からの御質問に対してお答えいたしたいと思います。
植田座長が今おっしゃっていただいたとおり、昔は100件から150件という大量の申請資料の審査をお願いしていたという状況もございました。そういった先生方の審査負担の軽減ということ、あとは科研費全体の審査をどのように改善していくかということで、科研費改革2018というところで、こちらの学術システム研究センターの先生方を中心に審査制度の改善をしていただきました。
その2018年から約5年経つわけですけれども、大きな改革の方向としては、いわゆる審査区分の見直しということ、大区分、中区分、小区分、現在そうなっているわけですが、以前は分科・細目というところでございました。そういったものをかなり広く公平に見える審査制度に変えたということで、審査区分表が出来上がってございます。
その改善に併せまして、審査委員の負担をどうするかということで、件数を低減化させる代わりに審査委員の数を増やすというのが、この科研費改革2018の大きな方向性でございました。
そういった改善をしまして、現在では70件から80件、多くてもそのくらいでございまして、審査負担という意味では低減化が図られていると考えてございます。
それと、いわゆるタコつぼというか、分科・細目の当時は細かい分野での評価がされていたということだったのですが、そこは審査委員を多くするということで、より審査の観点から広く見えるような形での審査の改善を図ったということです。、ある意味、専門分野以外の評価も入った審査が行われているということで、以前よりは改善していると考えてございます。
以上でございます。
 
【植田座長】
ほかに質問、御意見ございますでしょうか。
加藤委員、お願いします。
 
【加藤委員】
加藤でございます。16ページの特別研究員のことについてちょっとお伺いします。DC採用者の博士号取得によるPDへの資格変更というのはすばらしい方針であると思っているのですが、もう一歩進めまして、例えばDC採用者を増やす。例えばドクターの1年生で、こういう特別研究員に採用されると、ものすごくモチベーションが上がって、研究をしたい、我が国の研究力を支える、未来を支える人材に育つ可能性がものすごく高いと私は思っているのですが、振興会さんのほうで、このDCの枠を拡張するような、そういうお考えというのはあるのでしょうか。質問です。
 
【先﨑理事】
失礼します。日本学術振興会の先﨑でございます。御質問ありがとうございます。
今、特別研究員、DCについての御質問をいただきました。DCの数をもう少し増やせないかということでございますけれども、委員御案内のように、DCについては、申請者数が増加しているという状況もあります。何とか私どもとしても、このDCについては、質を確保しながらも、皆様の御要望にお応えして、力のあるDC候補者にはDCになっていただいてチアアップしたいと考えております。
ただ、これにつきましては、どうしても予算ということ、特にこれは人件費に相当する予算ということになりますので、息の長い予算措置が必要になります。文科省と足並みをそろえて、この辺りをしっかり増要求ができるように今後努力していきたいと思います。
 
【加藤委員】
どうも御説明ありがとうございました。了解いたしました。
 
【植田座長】
岡村委員、お願いします。
 
【岡村委員】
岡村です。まず外部評価委員会の作業チームの件については、早々に御対応いただきありがとうございました。ただ、先日ミーティングさせていただいた時にお話ししたように、若干、目指すところが違うところがあるので、その辺はおいおい改善していただいて、より充実していただければと思います。よろしくお願いいたします。
それから、1点御質問ですが、先ほどの御説明のときに一般管理費で2億5,000万削減というお話があったのですが、私の記憶では前年度とか前々年度は数百万の削減で目標達成という表示になっていたと思うのですが、これは削減する対象の範囲を広げたとか、何か変更があったということでしょうか。よろしくお願いします。
 
【岩田会計課長】
失礼いたします。会計課の岩田と申します。ちょっと音声が途中で途切れましたので、質問のところをもう1回確認をさせていただくと、効率化のいわゆる金額が前回に比べて増えたのがなぜかというところが御質問の趣旨ということでよろしいでしょうか。
 
【岡村委員】
なぜかというか、百万円くらいの削減で目標達成という判定を、一昨年や去年されていたと思いますが、今年については、それが2桁違う数字になってきたので、何か対象を広げたのかなと思いまして御質問しました。
 
【岩田会計課長】
お答えさせていただきます。前回どういう御説明をさせていただいたのかわかりかねるところでございますが、ルールそのものは変わっておりません。まず一般管理費のほうは、人件費や建物借料とか、公租公課みたいな要は固定的経費ですね、削減が難しい経費を除いたところに3%、事業費についても同様に固定的経費を除いた部分のうち、わかりやすく言うと継続しているような部分についてですね1%の効率がかかります。ただ予算上は、いわゆる新規拡充とかが出てきますので、総額は増えたり減ったりとかするというのは変わりません。
効率化対象の考え方、それから規模的なところは大きく変わっておりませんので、もしかしたら前回御説明をした際には、例えば一般管理費の部分のみであるとか、何かごく一部の御説明の削減額のお話をされてしまったのかなと思います。
御説明としては以上でございます。
 
【岡村委員】
ちょっと具体的な数字を後で見せていただいて確認したいと思います。よろしくお願いいたします。
 
【岩田会計課長】
はい。後日、事務局のほうから数字を整理した上でご説明をさせていただきますので、御確認をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
【岡村委員】
よろしくお願いします。
 
【植田座長】
ほかに御意見ありませんか。
それでは、私のほうから。小長谷監事のほうから、コロナ対応で日本の研究を止めない、それはスローガンもなかったけれども、よく対応したというお褒めをいただいているようですが、これは私も同じように感じていまして、コロナ対応というのは、ある意味では、振興会というのは割とコンスタントに動いていること、普通にやる仕事をやっているステーショナリーステートの組織なんですよね。それに対して、こういう突発事故が起こって、そういうものに対してどう対応するかということで、案外ダイナミックにそれに対応して、まさに研究者の立場に立って役に立つことをやるということをやられたのは非常に大きなことで、同時に振興会の持っているポテンシャルがよく見えてきたこともあると思います。
だから、こういうことで生まれたアイデアとかシステムというのをぜひ根付かせるようにやっていっていただきたいというのが1つです。
実はもう1つあって、これは振興会だけでできることではないと思いますが、今年の2月にロシアがウクライナ侵攻をしました。これは世界的な問題ですよね。ロシアから実は人材が流出するというのは、ロシア革命のときの白系ロシア人の人材流出や、それから第2次世界大戦の前から、ユダヤ人への圧迫があって、ユダヤ人が海外へ逃げた。それから、その後もずっと、ある意味では、知識的なエリートがどんどん流出しているわけです。
実はアメリカの科学が非常に発展したというのは、そのナチスやスターリンから圧迫された人たちを全部受け入れて、それを実はアメリカの科学の力に変えていったということが大きいわけです。
ですから、国としては、こういうときにどうやって海外から流出した人たちを受け入れるかというのは大きな問題なのですが、多分、日本にはそういうシステムはない。日本の学会も、そうやって入ってきた人たちをどうやって優遇するかということは、あまり経験もないし、制度がない。
だから、そういう意味では、これは世界史が動くぐらいの大きなことで、人間がすごく大きく動いていて、その結果、実はポテンシャルが変わっていってしまうわけで、あまり我々は関係ないとはできないと思うので、別に振興会だけでできることではありませんけれども、政府として、ファンディングエージェンシーとして、そういうものをどうやって受入体制ができるかということは、今のコロナ対応と同じように考えていただければ非常にありがたいと思っております。ちょっと無理なことかも分かりませんが、何かできればダイナミックな体制に発展してもらえるとありがたいなと思っております。これには答えはなくていいです。
 
【杉野理事長】
理事長の杉野です。答えはなくてよろしいという植田先生の優しい言葉ではありましたけれども、私は今の植田先生のお言葉は大変感銘深く、お話を承りました。学術の歴史の観点から見て、どういう取組が日本として、あるいは振興会としてできるのかという観点から物を考えよという御示唆だったかと思います。
私ども、よく考えてみたいと思いますし、文科省とも、あるいは内閣府などとも、よく意見を深めて、より広い視野で、何ができるかということを模索していきたいと思います。貴重な御意見ありがとうございました。
 
【植田座長】
これはちょっと振興会から離れてしまうからよくないと思いますが、私は一研究者として、ロシアとも、ウクライナとも、ポーランドとか東欧の研究者とも実は知り合いがいるし、友達がいるわけです。中には逮捕されている人も多くいるわけです。一研究者としては、今はほとんどコミュニケーションできない、危ない。日本から我々が連絡をするというだけで彼らは捕まってしまうということが起こるわけです。
だから、そういう意味でも、そういうことができるようなシステムをするには、何かバックボーンがないと、個人的なことをやると、今は異様に危険なんですよね。だけども彼らからは、ブラックリストに載せるだけじゃなくて、ホワイトリストも作ってくれというような要求も来ているわけで、それに対応するのも研究者の1つの仕事、ただし個人ではなかなかできないというところがある。
単なる情報の共有だけですので、ここの話とは別なので、もうちょっと本筋の議論をお願いいたします。ほかに質問ございませんか。
もし御意見がないようでしたら、これからもいろんな意見とか質問はメールで送っていただければ、多分、文科省がつないでくれて、必要な情報を提供してもらえますし、また、こちらの意見を伝えることもできると思いますので、ここのヒアリングにおける質疑応答というのは、この辺で終わってもいいかと思います。それでよろしいでしょうか。
前回もそうでしたように、意見を送っていただく時には必ずこれを反映させてほしいということでなくても、単なるアドバイスの意見で、採用するかどうかはそちらで、具体的な事情が分かっているところでやってくださって結構ですとすれば、割とバリアが低くて、好きなことが言えると思いますので、この有識者会合にとっては、そのような形で情報を提供するようにしたいと思っています。それでいいでしょうか。
よろしければ、今後のスケジュールを説明していただいていいでしょうか。それでは事務局より説明をお願いいたします。
 
【小田経営企画課長】
植田座長、失礼いたします。日本学術振興会でございます。先ほど東嶋委員から御質問いただきましたインシデントの件数の件でございますけれども、数値が分かりました。今、御報告させていただいてよろしいでしょうか。
 
【植田座長】
どうぞ。
 
【伊藤副理事(兼)総務部長(兼)経営企画部長】
先ほどの情報セキュリティの関係でございます。それで、実際に外部から我々のほうのネットワークに侵入されたとか情報の抜取りというようなことはございませんでした。
ただ、その情報に関して攻撃されるようなことは多々あるところではありますけれども、インシデント的なところには至っていないということでございます。
以上です。
 
【植田座長】
東嶋委員、それでよろしいでしょうか。
 
【東嶋委員】
ありがとうございました。
 
【植田座長】
ほかに御意見、もうございませんか。
それでは今後のスケジュールについて、事務局より説明をお願いいたします。
 
【高橋課長補佐】
事務局でございます。先生方の非常に示唆に富む御意見をたくさんいただきまして、どうもありがとうございました。
最後、植田先生がおっしゃっていただいたように、もし御意見、御質問等ございましたら、また別途、事務局にメールでいただければ、振興会とも調整いたしまして、先生方に情報提供させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
スケジュールについて、改めての説明となりますが、本日ヒアリングしました状況も踏まえまして、来週11日月曜日をめどに、文部科学大臣による評価の事務局案を示した評価書を委員の皆様にお送りさせていただきます。
委員の皆様におかれましては、その内容を御確認いただきまして、例えばこの評価項目は、こういった観点からも評価できるとか、あるいは、この項目については、こういった課題があり、今後こういった点で業務運営の改善が求められるといったような御意見、御助言を事務局までお寄せいただきたいと思います。
先生方、お忙しいところ大変恐れ入りますが、1週間程度、次の19日の火曜日までに御連絡をいただければと考えてございます。
その後、いただいた御意見等を取りまとめまして、次回の有識者会合において、令和3年度の評価、それから見込評価に係る大臣評価の案についてご議論いただきたいと考えております。
次回、有識者会合は、7月28日木曜日の15時から17時、今日と同じ時間帯で、同様にウェブ会議による開催を予定してございます。
事務局からは以上となります。
 
【植田座長】
どうもありがとうございました。それではこれで終わりですよね。
本日のヒアリングに御協力いただいた日本学術振興会の皆様におかれましては、長時間にわたりありがとうございました。
それでは、本日の有識者会合を終了いたします。ありがとうございました。

―― 了 ――

 

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電話番号:03-5253-4111(代表)(内線:4090、4088
メールアドレス:gakjokik@mext.go.jp

(研究振興局 学術研究推進課)