スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第14回) 議事要旨

1.日時

令和2年4月28日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議にて開催

3.議題

1.令和2年度スーパーサイエンスハイスクール採択結果について
2.実践事例集の作成方針について
3.普及啓発の考え方について
4.SSH事業の目指す方向性について
5.認定校制度(仮)の考え方について
6.その他

4.出席者

委員

重松委員、末冨委員、隅田委員、千葉委員、西岡委員

文部科学省

奥野人材政策課長、名子教育課程課課長補佐、小田人材政策課課長補佐、萩尾教育課程課係長、伊藤人材政策課係長、榊原教育課程課係員、中島人材政策課行政調査員

科学技術振興機構

大槻部長、大山課長、石黒調査役

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○事務局より、資料について説明が行われた。
それに関連して以下のとおり意見交換が行われた。

【主な議論】
(実践事例集の作成方針について)
・実践事例集に掲載されて他校の実践に取り入れられることが当該指定校の評価に反映できる仕組みがあるとよい。例えば、実践事例を活用した高校のホームページ等に、参考にした指定校の事例をレファレンスする文化ができると、レファレンス数をカウントすることにより、実践事例の元となった指定校の評価につながり、励みになると思う。

・クラウドファンディングやふるさと納税などを活用する努力をしている事例や成功した事例も、実践事例集に載せるとよいと思う。
→ふるさと納税を、SSHの活動に充てる形で募集をしている学校もあるので、そうした取組を実践事例集に載せることを考えている。

(普及啓発の考え方について)
・SSHの管理機関へインタビューするに当たっては、教育委員会の組織体制が各都道府県、政令指定都市で異なるので、SSHの担当部局の位置づけや、私学担当部署の組織内での位置づけ、特に高大連携を念頭に置いた場合の支援体制など、その部局が庁内でどういうネットワークを持っているのかなどを調べていただけるとよいと思う。
→高校教育を所管する部局の一担当がSSH担当というところが多く、高大連携の部署を明示的に置いているところは少ない。都道府県内のポストでいうと、政策課のような全体をまとめて計画を作る部署や、教職員の定数を担当している部署などと連携しながら、教育指定職や教育長などとうまく体制を作れている例があるとよいと思う。

・中・高あるいは小学校までを含めた連携が重要だという意見がかなり出始めており、義務教育段階を含めた連携が進んでいることはとても良いことだと思う。SSHの高校生の中で、ジュニアドクターを経験した生徒や、グローバルサイエンスキャンパスに参加している生徒がどのくらいの割合でいるのか、データを示せると全体像が分かるのではないか。
→地域の小・中学校からSSH、そして大学までをつなげることを意識して、ジュニアドクター育成塾やGSCと連携しながら取組を行っている指定校があるので、そういう高校のデータを集めることはあり得ると思っている。

・SSH指定校・管理機関へのインタビューが行われる際に、有識者会議委員も参加させていただけるとありがたい。
→オンライン会議か電話によるインタビューを予定している。スケジュールやインタビュー形式などをあらためて共有させていただければと思う。

(SSH事業の目指す方向性について)
・いま教育界で課題となっている高大接続、特に入試改革を見据えて、例えば国際バカロレアの日本版みたいな形で、高校で先生方が行っている適切な評価を大学側が受け止められる仕組み作りが必要だと思う。SSHがこれまで一生懸命育ててきた探究力を保障していく教育制度を考えていくとき、これまでのSSH事業で蓄積された知見は相当生かせるのではないかと思う。大学入試における内申書・調査書に、SSHが取り組んでこられた基盤を上手く生かすことにより、高校の教員の評価力が信頼できるという社会的な意識が作れるとよいと思う。例えばヨーロッパでは、高校が評価した結果を大学が受け止める仕組みができており、海外の入試制度を参考にするなどして日本独自の枠組みを作っていただきたい。
→調査書では主に科学コンテストの成果等が評価されている現状において、自分たちはどういう資質・能力を育成していきたいのかというのを、大学の先生と一緒になって考えて、それを評価につなげていくためにルーブリックを開発している指定校もある。

・高大接続においては、高校の教員の評価スキルが大きな課題になるだろうと思っている。SSHは、教員の評価スキルを全国横断的に捉えることが出来る可能性をかなり持っているので、例えば評価手法の開発に取り組む指定校に対して、教員研修のための旅費を措置したり、研究機関等との連携が図れるようにしたりすることも大事だと思う。

・科学技術人材の育成と確保というのが我が国の至上命題の一つであると思っている。SSHの規模感について、少子化が加速していく中で、科学技術人材はこれだけ必要であるから高校の何割は、SSHである必要があるというような、大きめの勝負をかけないと先細っていってしまうのではないか。
→アプリオリに数を出していく施策というのは説明等が難しい点もあるが、文部科学省としては、初等中等教育段階から、最終的には大学院の博士課程、研究者等まで通した形での一貫した人材政策に取り組んでいるところ。SSHが科学技術人材政策の中で、どう位置付けられるのかというのは、しっかり議論していきたいと思っている。

・課題研究を中心にSSHの議論をされているが、SSHの先生が課題研究を経験したことにより従来の教科の授業が変わってきているということなので、数学教育や理科教育だけでなく文系の教科も含めどのように転換していくかという視点も入れていただけるとありがたい。
→探究を行うことで通常の教科教育にも良い影響が出ている事例は、しっかり示していきたいと思う。

(認定校制度(仮)の考え方について)
・この制度を活用することでどういうメリットがあるのかを現場に実感を持たせることが重要だと思う。

・理科教育振興法に基づく設備整備費について、認定校(仮)は優先的に配分を受けられるなどの仕組みを作ると大きなメリットになるのではないか。
→SSHでも、県の中で、設備を共用したいという場合には何かしら認めていくとか、そういった議論はあると思っている。

・学校間のネットワークをどのように作るか。日本は、学校段階をまたいでネットワークを作っていることが特徴。地域ごとの学校段階を超えたネットワークの戦略的展開や、ネットワーキングの在り方などを認定校制度の選定基準にすると、教員の専門性の向上や施設設備の効果的な稼働を含めて展開しやすいと思う。

(その他)
・博士は出たけれどもという不安をできるだけ若いうちから持たないような、博士課程が終わった後の仕事の在り方、サポート体制も大事だと思う。

・あまり経験のない先生方に課題研究の指導法を分かっていただくために、ビデオ教材があるとよいと思う。
→今後、指導法の公開や普及などの工夫についても指定校にお願いしていければと思う。

・課題研究のテーマの選び方に関して、テーマ自体が価値を持つということが非常に重要であり、生徒間や生徒と教員との議論によって価値が生まれると思う。教員が価値を認め、価値を創るような指導を行うことで、生徒が価値の創り方やアピールの仕方などを学んでいくと思う。課題研究の質を高める上でも教育の質を高める上でも、自主性とか価値の在り方についてもっと広範に議論することがとても大切だと思う。

・SSH指定校には鍵となる先生がいて、その先生の生き方とか姿そのものが波及力、影響力を持っている。そういう先生がSSH指定校から他の高校へ移られても、その先生にアクセスできるようなネットワーク作りを考えていただけるとSSHの可能性が広がると思う。

○最後に、事務局より今後の開催スケジュールについて説明があり、閉会した。

以上
 

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