スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業の今後の方向性等に関する有識者会議(第11回) 議事要旨

1.日時

平成31年3月25日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館5階4会議室

3.議題

  1. 議事運営等について
  2. 検討内容について
  3. その他

4.出席者

委員

重松委員、荒瀬委員、菊池委員、末冨委員、千葉委員

国立教育政策研究所

猿田部長、松原総括研究官

文部科学省

坂本人材政策課長、小田人材政策課課長補佐、浦山人材政策課係員

科学技術振興機構

大槻理数学習推進部長、齋藤課長、石黒調査役

5.議事要旨

○運営規則に従い、会議を非公開とすることとなった。
○文部科学省小田人材政策課長補佐より、SSH成果検証に関する調査の説明が行われた。
○国立政策研究所松原総括研究官より、国立政策研究所における学力調査の説明が行われた。

それに関連して以下の意見交換が行われた。

【主な議論】
(調査対象について)
・SSHの対象ではない学校を「非対象校」と表現することは、「非」という言葉にマイナスイメージがあるので、「一般」あるいは「SSH対象校ではない」という表現とするのが良いのではないか。
→今後、表現を修正する。

・男女差がないと仮定して分析できるかは注意が必要である。

・女子生徒の理系教育に力を入れている学校もあると思うので、そのような取組の影響が本調査でわかると良いと思う。

・調査対象校の選定が調査結果に大きな影響を与える。SSH指定校として4期目指定校を調査対象校とする場合、当該校のSSHクラスが一般クラスに影響を与えていると思うので、SSHクラスと一般クラスの比較は難しいのではないか。

・SSH指定校において、どのような取組をしているかは学年によっても違う。また、理数科だけではなく普通科の生徒も課題研究をしている学校や、SSHとSGHを同時に行っている学校、職業科として課題研究に取り組む学校などがある。そのため、同一のSSH指定校内で比較調査をする場合、SSH生徒とSSH対象ではない生徒を分けるのは、実際の各指定校の状況を見ながら検討する必要がある。以上を考慮すると、SSH指定校ではない学校をSSH指定校の比較対象とすることが良いと思う。

・各SSH指定校で、その取組方はばらばらであるが、3年生に関しては、どの学校も、7~8月頃に成果発表など成果のまとめを行うことから、調査時期の目安となる。

・高校入学時点で医学部志望であったかなど、調査を行う上で、どういう変数でコントロールするかを最初に決めておく必要がある。

(調査問題について)
・SSHの取組の効果を検証する上では、SSH指定校の教員に対しても、可能ならば、過去にどのような取組をしたのかを調べられると良い。

・もともと科学的探究が好きな生徒がSSH指定校に入学している場合もあると思うので、SSHの効果を調べるためには、1年から2年、3年と継続的に調査すると説得力がある。
→全く同じ問題を生徒にやってもらうというのは、今後問題があるのではないかということで、同じレベルだけれども違う問題というのを作っていく必要があり、経年変化を見るのは難しい。今後の検討課題としたい。

・学校自ら作問して取組の効果を実証しているSSH指定校もあるので、それらをうまく活用できるか検討することが大事である。

・SSH指定校において、当初、理数科目に関心が低かった生徒が、SSHの取組を通して、理数科目への意欲が増すという事例がある。そのような生徒の変容を数値化できると良い。

・科学の本質だけではなく、リーダーシップ養成の観点から、SSHの取組が、生徒の自尊感情や自己有用性にプラスの影響を及ぼすのかも証明できると良い。

・もともと探究することが好きな生徒がSSHクラスを選んでいる可能性があるので、そういう生徒が満足する授業を行えているかを測定することも必要である。

・生徒自身に、SSHの取組の中で、自らがどのように変容したか自己評価もさせなければならない。生徒にどのような変容があったかをケーススタディとして調査すると、その変容の真相が見えてくるのではないか。

・SSHで重要なのは、生徒が自らの興味に基づき仮説を立てることである。なので、仮説を立てさせたり、逆の結果になったときにあなたはどう考えるかなど、課題研究をやっていないと身につかないところまで測定できる問題だとよい。

・3年生の調査には自由記述欄があると良いのではないか。3年生がSSHの中で、何が、自分の能力だとか資質を伸ばしたかが分かれば、プログラム評価の手法に寄与する。

・SSHでは、数学教育が弱いので、数学の問題をカバーしていただきたい。

(その他)
・大学進学を考慮して、やる気がないのにSSHに取り組む生徒もいる。ただし、取り組んでいく中で非常に興味を示し、最終的には、当初の進路を変えて、研究者を目指す生徒もいる。

・SSH指定校として取り組むことにより、どんどん理数科を選択する生徒の質が高くなってきて、成績的に課題のあった生徒が意欲を持ってやるようになっている事例がある。

・SSHは、科学の本質に限らず、広く社会と連携した活動もしており、社会性を伸ばすプログラムであると理解できる。
→SSHは、幅広い能力を伸ばしているのではないかと考える。今回の調査ではPISAというツールを用いて測定するが、より幅広い能力をどのように測定するかについては、今後の検討課題としたい。

・SSH指定校が、具体的にどのような形で生徒が変容したかを、主体的に調査するようになると良い。
→各学校が自分たちの活動の効果を自ら知ることはマネジメント上、重要である。ただ、各学校に全部を任せてしまうというのは相当負荷が掛かると思うので、各学校がこういうやり方ならできるという分析・検証の枠組みを作っていけたらと思う。

・ゆくゆくは、そもそも伸ばすべき資質・能力は何かというところを議論し、共通言語として、教育専門家や教育関係者、各学校が認識できる枠組みに発展すべきである。

〇最後に、今後のスケジュールについて説明があり、今後は、作業ワーキンググループにおいて議論を続けていくことを確認し、閉会した。
以上

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科学技術・学術政策局人材政策課

(科学技術・学術政策局人材政策課)