科学オリンピック推進会議(第2回) 議事録

1.日時

平成29年3月6日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省15階特別会議室

3.議題

  1. 科学オリンピック団体の活動状況について(報告)
  2. 日本科学オリンピック委員会の設立について(報告)
  3. 次世代人材育成施策の実施状況について(報告)
  4. 科学オリンピックの推進方策について
  5. その他

4.出席者

委員

有馬座長、野依座長代理、浅島委員、大西委員代理、筧委員、北原委員、小林誠委員、庄山委員、鈴木委員、遠山委員、濵口委員、春山委員代理、久田委員、三好委員、元村委員、山中委員

文部科学省

伊藤科学技術・学術政策局長、真先大臣官房審議官、神代科学技術・学術総括官、塩崎人材政策課長

5.議事録

科学オリンピック推進会議(第2回)議事録
平成29年3月6日
【有馬座長】皆さん、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第2回科学オリンピック推進会議を開会いたします。本日の会議は、冒頭より全て公開となっておりますが、カメラは頭撮りの部分のみとなっておりますので、よろしくお願いいたします。皆様、お忙しいところをお集まりくださいまして、まことにありがとうございます。前回の会議では、各団体からの御発表、2番目に、各団体が協働して科学オリンピック全体を推進する動き、第3に、文部科学省から、小・中学生の才能伸長に関する動きなどについて御発表を頂きました。また、その後の意見交換では、委員の皆様から、各種科学オリンピックの推進方策や有効な発信方策などについて貴重な御意見を頂きました。本日は、各団体の取組はもとよりのこと、第1回の会議でお話があった科学オリンピック全体の推進の仕組みについて、更なるお話があると伺っております。本日も、これらの発表を踏まえまして、本日お越しいただいている各界を代表する皆様から御知見を頂き、科学オリンピックの推進、そして、将来の社会を牽引(けんいん)して未来を創造する科学技術人材の育成について意見交換ができれば幸いと思っております。大学のランキングは低下してしまい、科学技術論文の数は2005年ぐらいをピークにしてどんどん低下していって、評価も落ちているということ、それから、工業界の方でも、様々なところでどうも調子が悪い。何とかこれをしていただくため、自分も努力いたしますが、ひとつよろしくお願いいたします。山中先生のところぐらいは今一生懸命やっておられて、御成功になっていますので、是非またこれもどんどんお進めいただきたいと思いますが、ともかく日本の科学技術を何とか進めていただきたい。そのためには、小学生、中学生、高校生を磨くことと、もう一つ、大学生を磨いて、大学生の学力を上げる、そういうことが非常に必要だと思いますので、ひとつよろしく広範な面から御意見を賜れれば幸いでございます。それでは、事務局から、委員、出席者の紹介と配付資料の確認をお願いいたします。
【塩崎人材政策課長】本日、事務局を務めさせていただきます人材政策課長の塩崎でございます。よろしくお願いいたします。それでは、カメラの頭撮りはこれまでとなりますので、事務局の誘導に従い御退室をお願いいたします。なお、引き続き傍聴される方は、傍聴席に御移動をお願いいたします。(カメラ撮影終了)
【塩崎人材政策課長】本会議の委員は、お手元の資料1の2枚目、別紙に記載のとおりでございます。昨年5月の第1回の会議から2名の交代がございますので、御紹介させていただきます。一般社団法人日本私立大学連盟会長でございました慶應義塾大学の清家篤塾長が平成28年6月に御退任をされまして、その後任としまして、早稲田大学の鎌田薫総長が御就任されたことに伴いまして、本会議におきましても鎌田総長に御就任いただいてございます。なお、本日は、御用務のため御欠席ということでございます。また、日本放送協会(NHK)の籾井勝人会長が、平成29年1月に御退任されまして、その後任として、上田良一会長が御就任されました。これに伴いまして、本会議メンバーに上田会長に御就任いただいておりますが上田委員におかれましても、御用務のため、本日は御欠席ということでございます。委員の交代は以上でございます。また、本日は、ただいま御紹介いたしました鎌田委員、上田委員のほか、井上委員、内山田委員、大西委員、小林喜光委員、里見委員、白石委員、春山委員、宮本委員の、合わせて10名の方が御欠席ということでございます。なお、大西委員の代理といたしまして、日本学術会議副会長の花木啓祐様、それから、春山委員の代理としまして、国際地理オリンピック日本委員会実行委員会委員長の井田仁康様の2名にお越しいただいております。また、山中委員におかれましては、御用務のため、11時半頃御退席ということで伺ってございます。本日の配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし議事進行の過程で不備・落丁等ございましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。以上でございます。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、議題に入らせていただきます。時間の都合上、進行方法は、議事次第の議題1、2、3について、それぞれ御説明いただき、その後、議題4において、まとめて意見交換を頂く予定でございます。早速ですが、議題1、科学オリンピック団体の活動状況についてです。本議題では、資料2に基づき、各科学オリンピック団体から、それぞれ活動状況の説明を頂きます。事務局からあらかじめ事前に連絡があった旨伺っておりますが、時間の関係上、1団体当たり5分以内で御説明をお願いいたします。それでは、初めに数学オリンピックからお願いいたします。
【鈴木委員】数学オリンピックについてお話しします。数学オリンピック財団では、日本の国内の数学オリンピック大会と中学生以下の日本ジュニア数学オリンピックの2つを柱にして、日本の大会を開いております。そこから上位者を集めて選抜試験を行い、国際数学オリンピックと、それから、近年、ヨーロッパ女子数学オリンピックへ代表団を送っております。昨年は、第57回の国際大会で、香港でございました。初めて参加者が600名を超え、国際大会もだんだん参加国、参加者が増えております。日本の成績は10位だったのですけれども、10位以内に入れればということで、希望として10位になっております。それから、ヨーロッパ女子数学オリンピックは、ルーマニアで行われまして、ここは11位です。ここは例年10位前後の成績になっております。名前のとおり、ヨーロッパの30か国ぐらいが主催していて、ほかに、日本を含めて何か国かがオブザーバーとして参加しております。日本のオリンピック大会は、第27回まで済んでいるのですが、応募者が初めて4,000名を超えました。実際の参加者は4,000名より少なく、3,389名だったのですけれども、試験の内容上、これ以上、そんなには多くは増えないだろうと思っていますが、応募者が5,000名ぐらいというのを一応目標にしております。例年、1月の成人の日に予選を行い、2月の建国記念日に、上位200名ぐらいを集めて本選を行っております。それから、2003年の日本大会を機に、中学生以下のジュニアの数学オリンピックを開いておりまして、これも少しずつ増えておりまして、今、3,000名を超えております。成績を見ますと、大体ジュニアで一回受けて、改めて高等学校に入って一般の数学オリンピックを受けるというのが、だんだん一般的になってきております。全国的に見ますと、成績上位者が首都圏と関西の一部に偏っておりますので、地方の生徒たちをエンカレッジするという目的もありまして、全国を16の地区に分割して、その1割程度に表彰状と楯を贈って、学校長から表彰してもらうということを行っております。数学オリンピックの今後のために、幾つか挙げてありますが、広報活動を中心に、特に受験生の少ない地域に対する学校訪問などを中心に行っていきたいと思っております。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、物理オリンピック、お願いいたします。
【北原委員】物理オリンピックの話をさせていただきます。最初のスライドは現状のデータでありまして、国内大会が下の方にあります。それから、その上の方に国際大会がありまして、国内大会は、今、1,500名程度の人たちが参加してくれております。全国80か所程度のところで試験を行いますと同時に、私たちは実験を課しております。それは後ほど少し説明させていただきます。それから、2014年、2015年、2016年と、年が経つに従って、19位から12位、6位と、国際大会の方はランクアップしております。これは1つには、ちょうど2014年のときから、国内大会で選ばれた11名に対して、秋合宿というものを導入いたしました。選ばれた直後、全員を軽井沢に集めまして、そこで2泊3日の研修を行っております。そこでは特に実験や理論につきまして、全体の研修のガイダンスを行うと同時に、実験並びに理論の高名な研究者をお呼びして、そこでお話をしていただくということにしています。小林先生にも一度来ていただいて、お話をしていただきまして、それが子供たちにとっては非常に大きな励みになりました。その成果だと思いますけれども、オリンピックでの成績は上がってきました。次のスライドで、全体として、私たちの物理オリンピック日本委員会でどういうことを目的にしているかと言いますと、若い人々が物理学の課題に挑戦する機会を与えること、それから、多様な同世代との出会いを作っていくことそれが将来の協働の基盤となります。それから、優れた研究者との出会い、これは将来のモデルとなること。こういうことを通して、科学技術の人材の育成にしていこうということであります。国内大会の物理チャレンジ、それから、国際大会の物理オリンピックを、そのように位置付けております。同時に、物理の広報普及活動を行っております。去年、このスライドにありますような『物理チャレンジ独習ガイド』というものを作りまして、これまで私たちが作ってきた問題の解説とその物理の内容について説明をしております。その次のスライドで、物理チャレンジ事業12年間の成果として12年間に約1万3,000人の生徒が第1チャレンジに参加しましたし、第2チャレンジの全国大会では毎年100人集めていますので、約1,200名の中高生が参加したということになります。第1チャレンジ、第1選抜ですけれども、そこでは実験課題レポートを課しておりまして、その実験レポートの書き方も含めて募集要項にきちんと書いてあります。これで恐らく多くの子供たちが、少なくとも1万3,000人の子供たちが、実験というものはどういうものなのか、レポートはどう書くべきかということを学んでくれたと思います。それから、第2チャレンジでは、国際物理オリンピックと同じ仕様でやっておりまして、この写真にありますように、パーティションを入れて5時間頑張るということをやっています。それから、3泊4日ですので、研究所の見学とか研究者との対話の機会を与えて、それのロールモデルを見てモチベーションを上げるということをやっております。次のスライドでは、11年間の派遣事業の成果として、第1回の参加から最近までどんなふうにメダルの色が変わったかというのが書いてあります。最も大事なことは、生徒たちに国際舞台を体験させるということと、それから、引率した役員たちにとっても、他国の理科教育に関する情報を得ることができる。つまり、私たちが「井の中の蛙」から脱却するのだということであります。それから、第2チャレンジのところで、100人の中から派遣候補者というのは10名程度選ぶのですけれども、今年は公立高校の生徒の割合が約半分になりまして、今までは割合特別な私立の高校が多かったのですけれども公立高校にもこういうふうに参加してくれる子供が増えてきました。これは恐らくスーパーサイエンスハイスクール(SSH)政策が功を奏してきたことではないかと私たちは理解しております。そして、物理オリンピックや物理チャレンジが広く認知されて、多様な中学校、高校からの挑戦が行われるようになってきたということは、大きな成果だと思っております。最後に、2022年に日本大会を開催しようということで、今、準備をしておりまして、ここに実施体制が書いてあります。国際物理オリンピック2022組織委員会というのを去年立ち上げまして、小林誠先生に委員長になっていただき副委員長には天野浩先生、梶田隆章先生になっていただいております。少し準備を始めておりますけれども、科学委員会はもう既に発足して、毎月のように委員会が開かれております。国際物理オリンピックは、開催国が問題を作ることになっておりますので、日本から歴史に残る優れた問題を作って、世界をうならせたいということで、もう科学委員会の人たちは非常に張り切ってやっております。これは物理関係の学会、文科省、科学技術振興機構、そしていろいろな工学系の学会にも呼び掛けまして、大きな動きにしていきたいと思っております。2020年までの日本大会までの流れを書きましたけれども、今のところ、少しずつ準備をしておりますので、是非また皆さんに御協力いただければと思います。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、化学グランプリ・オリンピック委員会、お願いいたします。
【三好委員】化学の方から発表させていただきます。1枚目の基礎資料に書いているように、去年度は、ジョージアで国際大会が行われました。これは、実を言いますと、ロシアが直前にキャンセルした後、パキスタンのカラチでやろうというのが中止になりまして、最終的に、昔のグルジア、ジョージアでやっていただいたというので、無事派遣することができました。その結果、金1つ、銀3つという形で、国別順位は10位ぐらいです。後で述べますけれども、レギュレーションの中でやっておりますので、大体20位から10位前後までの成績は常に上げている状況であります。下に移りまして、化学グランプリ・オリンピックについてですが、私の所属する日本化学会だけで行っているわけではなく、化学関連団体として、夢・化学-21委員会というものを作っております。これは私が所属する日本化学会と、化学工学会と、日本化学工業協会と、新化学技術推進協会の4団体で構成し、それを我々の化学会が中心になってやっているという形を作らせていただいております。化学グランプリに関しましては、ちょうどミレニアムを挟んだ1999年ぐらいから、数学、情報に遅れて始めたというのが歴史であります。当時はまだJSTがやっております科学の甲子園はなかったので、我々としては、化学の甲子園というふうにやっておりまして、「出る杭」を伸ばして、「化学」の面白さと重要性を涵養(かんよう)し、「科学技術立国日本」を支える人材を育成しようと言ってやっております。そこに書いてありますように、化学に高い興味を持っている生徒に対して、理論と実験を競い合ってもらおうというものです。生徒さんをちょうど80名呼んでいるのですが、皆さん顔見知りで、本当に楽しく化学の談義をするというのが二次選考ではよく行われます。ですから、こういう会というのは是非続けていかなければならないなと思います。彼ら自身、彼女ら自身、やはり化学の話に飢えていて、本当に身近なクラブ以外、高校では余りできない。一般的に話す場というので、化学グランプリというのは非常に大きな役割を果たしていると我々は考えております。先ほど述べましたように、そこに化学グランプリのオリンピックで、ジョージア大会というので行わせていただきました。国際大会ですので、個人的な指導というのは幾らでもできることにはなっているのですが、全体の講習というのはレギュレーションが定められておりまして、ある一定期間以上やってはいけないとなっております。要するに、国策として詰め込んではいけないとかというのがありますので、これはレギュレーションの中でやっていて、我々が、20位から10位前後までやっているというのは誇るべきことではないかと思います。我々としては、きちっとレギュレーションに則ってやりますし、最近では、通信教育とか集合教育というのも併せてやっておりまして、今度の11、12日に、今度のタイの大会の代表が決まる予定になっております。彼ら、彼女らに関しましても、頑張って我々、指導していきたいと思っております。次のページで、普及・広報についてですが、先ほど北原先生がおっしゃったように、SSH校からかなり受けてくれるようになっておりまして、最近では県教委やSSH校からの講演の依頼もたくさんありまして、だんだん広がっているというのが実際であります。ただ、女子の受験率が若干少ないので、これをもう少し上げたいというのが我々の願いです。また、今まで地方の方で二次試験をやっていただいていたのですが、引率の先生の方から、高校の現場も、是非こういうものが見たいというので試験が終わった後オープンにしているのですが、非常に好評を博しております。多くの先生にやはりこういうのを見ていただきたいというのが我々の願いです。ここに今後についての課題を挙げさせていただいているのですけれども、一応JST様からある程度の支援を頂いているので、非常に有り難く思っております。ただ、そこに書いているように、二次試験を地方でやりますと、実を言うと、かなりお金がかかるのです。普及効果に関しては大きいのですが、お金のつり合いというものをどうやってとっていくのか。あと、二次、これは必ず夏休みになりますので、他教科で食い合うというのは、これはやはりやめた方がいいと思います。本当に伸びる生徒というのは、実を言うと、最終候補に2つも3つものこっていますので、そういう人たちをどうやって育成していくかということも、今後考えていかなければいけない。日本化学会は今赤字で動いているのですが、これに関しては、体力の続く限り一応支援していただけるというふうになっているのですけれども、実際、化学グランプリ・オリンピックは、延べ数にすると、100人ぐらいの先生が作題から何から関わっているのですが、それは、実を言うと、全部手弁当でやっています。旅費の代金は化学会の方から出していただいていますけれど、謝金とか何か一切なく、手弁当でやっていますので、それをここに書いているように、運営に携わる教員の評価と処遇、そういうのも一応考えていかないと、今後、これがもし国民的な大会になっていくと、もっと負担が増えてくると思うので、そういうことをクリアしながら、今後、着実に、体力の続く限りやっていきたいと思っております。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、情報オリンピック、お願いいたします。
【筧委員】資料を御覧ください。そこにありますように、最初のページ、国内大会及び国際大会の結果が出ております。情報オリンピックでは、大体12月中旬に、インターネットを使って予選を開きます。そこに参加してくれる生徒の数が、総勢で2014年に1,000名を超えて、良かった良かったと思っていたら、2015年、16年になって1,000を切り、やっとまた1,000を回復したという状況で、なかなか予選の段階で参加してくれる生徒の数が増えなくて、頭を悩ませております。インターネットの予選で80名ほどを選出して、上位の80名を一堂に集めて、1泊2日で本選をやります。その結果、20人ほどを選び、3月の春休みに1週間、勉強会と、それから、世界の大会と同じ形式の競技をやるというのを正味4日繰り返してその4日の成績が良かった者を4名選んで、世界大会に送り出すということをやっております。ほかの科学オリンピックとは違って、情報という科目そのものについて、教科が作られたのは2003年です。その2003年にできて後も、1単位分だけの必履修科目になっているものですから、普通の規模の高校だと1人の先生を雇うだけの時間数にならないということがあって、調査結果もあるのですが、ほかの教科を持っている先生が代理で担当するというようなことが行われていることもあって、なかなか思い切った力を伸ばした子供たちが出てくる、あるいは、ポピュラリティがないと言うべきかもしれません、というのが続いております。その意味では、今後、それをどうやっていくかが一番重要なところだと思っておりますが、一方、成績の方はというと、これは、この情報オリンピックが始まってすぐは、誰もそういうのができたから日本からも参加させなきゃというのがなかった時代に、実は、一番向こうにいらっしゃる数学オリンピックの先生方が、せっかくああいうのが出ているのに、なぜだか情報の人たちは興味を示していないみたいだと。数学といっても、高校生までの数学オリンピックでやるものは、どちらかというと、組合せ数学であったり、幾何学の直感であったりというものを重視する内容になっていますから、それらが得意な子供たちには、少しトレーニングをしてやれば情報もできるのではないかということで、3年ほど送っていただきました。それは1990年代の半ばでしたので、御存じのように、経済状況が悪くなって、やっていられないということと、それから、まだ情報という教科そのものが存在していませんでしたので、高校側からのアプライも少なかったこともあって、一回、選手を送るのが絶えました。その後、2006年から選手を送り出すようになって、現在に至っております。結果としてどうなっているかというと、先ほど、これも数学の方だったと思いますけれど、関東と関西の特定の高校に集中しがちでという話がありましたけれど、全く同じ状況が広がっています。つまり、何かというと、私の下手な言葉で言えば、地頭のいい子供が集まっている学校で、「おお、情報もあるみたい」と言って興味を持ってくれる子がやり始めると、ぐっと伸びて、それで、世界の大会へ出ると。その結果、出た結果は、そこに見ていただくとおりで、このところ必ず金メダルを取る人もいますし、2年前は金3つ、銅1つというような状況で、最低でも10位を上回る程度の成績を収めております。ところで、ここからが悩みの種なのですが、先ほど言ったような仕掛けで生徒が育ってきますので、実は、情報で世界戦に送れそうだなと思う子供の何人かは、数学でも物理でも選手候補になるのです。取り合いになりまして、やっぱり情報は何となく逃げられてしまう側に回っているという弱みがあります。が、そこも、そこそこそれだけ頑張っておりますので、これを続けていきたいと思っています。それで、手を挙げたときにはもう2年前だったのですが、準備がやっと少しずつ回り始めて、気が付けば、来年の9月に世界大会を日本で開くことになっております。準備も順次そろってきまして、茨城県及びつくば市から強い勧誘がありまして、会場はつくばの中央にある施設を使わせていただくことになりました。奇しくも昨年、G7のつくばコミュニケとかいうのが出て、科学技術を中心に新しい社会を創るのだというアナウンスが出ました。それのときの中心には、IT関係の話が書いてありました。それをアピールできる場になって、それをきっかけに参加者が増えるようなことをしたいと思っております。一番の話は何かというと、高校になって教科「情報」に出会って、情報オリンピックもあるそうだと言って始めたのでは、2年間ぐらいしか余裕がなくて、つまり、高校生以下の競技ということになっていますので、ということは、やっぱり中学から始めてほしいというのがあります。現に、特定校に集まると言いましたけど、みんな中高一貫校なのです。中学のときから始めて、もう中学3年、高校1年生で本選へ出、世界戦に行くという状況にあります。そういう場を学校教育だけに頼るわけにいきませんから、とにかく予選をもっと易しいレベルに落とすと、上の世界戦に送る人を選ぶという機能には逆の効果になりますので、予選に参加するためのテストみたいなものを何度でも受けられるようにして、それがトレーニングを兼ねるような形に、今年の秋からはちょっと無理そうなのですけれど、来年、ちょうど世界戦を日本でやることもありますので、そういう工夫をしつつ、中学校から多くの子供たちが興味を持ち、学校教育を超えて情報オリンピックに参入してくれることを企画しようとしているところでございます。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、生物学オリンピック、お願いいたします。
【浅島委員】生物学オリンピックは、お手元の33ページと34ページで説明させていただきたいと思います。まずは、国内大会と国際大会があるわけですけれども、国内大会の方は、予選がありまして、そこで見ていただくと分かるように、中学生も100名余り受けていますけれども、ほぼ高校生で受けています。そうしたときに、合計で3,400名余りなのですけれども、男性と女性が、むしろ女性の方が多く参加してきています。これは生物にとっては、こういう方向で考えているわけですので、いいバランスを取っているのかなと思います。全国102の会場で一斉にやっておりますけれども、そこから80名を選抜しております。そして、更に本選がありまして、そこで選抜を16名選ぶわけです。今回は筑波大学で3泊4日やったのですけれども、この80名は最初に入ってきたときと帰るときの顔が全然違いました。つまり、どういうことかというと、本選では、今まで彼らは実験をやったことがないのですが、ここできちっと実技とペーパーテストをやりますと、ほとんどの生徒たちが本物に触れて、感動したと述べています。やはり実験をさせるということのすばらしさというのがあります。それから、問題も、ただ単に暗記ではなくて、常に国際標準に向けて、考える問題というのを参加者にやっております。そうすると、彼らは本当の意味でそれを駆使して、伸びていきます。この伸び方が、単なる直線に伸びるのではなくて、私は、exponentialに伸びて、つまり、指数関数的に伸びているというのを実感するのは、この本選と選抜試験であります。そのようなことをしまして、実際的には国際大会に行くわけでありますけれども、そこに書いてあるように、最近はずっと10位以内でありまして、昨年のベトナム大会では5位になりました。生物学の派遣者は、今まで全て参加したら、メダルはかなり取っています。そういう意味では、成績としては、彼らは頑張ってくれています。この国際大会に出た、金メダルを取った生徒たちはどういう生徒かと言いますと、ある面で言うと、ほとんど地方の生徒たちです。宮崎であったり、広島であったり、秋田であったり、その辺が出てくるのです。近畿も、大体都会というか、非常によくあったところでありますけれども、そういう意味では、地方の生徒たちも、3,500名ぐらいから、磨けば非常に優れた生徒たちが出てくるということも、ここで分かります。それから、参加国数は年々増えておりまして、今は68か国ですけれども、今年のイギリス大会は70か国を超えるようになっています。そういうこともありまして、参加国もどんどん増えているという中で、日本は比較的その中では上位を常に占めているということもありますけれども、ただ、1、2、3位あたりを見ますと、中国、あるいは、フィリピン、アメリカあたりが非常に頑張っておりまして、そのあたりはなかなか超えることが難しくなっております。そして、代表選抜を送るときでありますけれども、国際大会に出ていくときに、いわゆる翻訳部隊というのが必要であります。それはどういうことかと言うと、これは国際大会のその日のときに、その国別に問題を作ってもらうわけではなくてジュリー会議というのがありまして、そこで問題を、どういう問題かというのを検討するわけです。そして、皆さんが持ち寄ったものをそこで決めるので、あらかじめ問題が決まっているわけではないのです。そうすると、翻訳してやらないと、英語など、いろんな言葉が出てきますので、特に生物の場合で言うと、いろんな専門用語というのが必ずしも中高生では理解できないところがありますので、それを翻訳しています。そういうふうにして、その翻訳部隊の中に、大学の先生とか高校の先生が多いのですけれども、最近は、国際大会に出たOG・OB、つまり、彼らは今、大学院生や、あるいは大学で研究者になっている人が多いです。あるいは、海外に行っている人が多いですね。そういう人たちが手を挙げてくれて、この翻訳部隊に加わってくれています。非常にすばらしい能力でありまして、そういう人が来てくれるということが、この生物学オリンピックの継続性ということで言うと、やっぱり人が育っているのです。人が育っていって、こういうところに入ってきてくれていますので、彼ら自身がアレンジしてくれる、そういうところまで行っています。1つ例ですと、アメリカに行った国際大会に出た学生が――アメリカの大学というのは、1つのことをテーマとして与えるのですが――ケニアに行って、科学オリンピックを立ち上げているのです。ケニアの生徒たちを国際大会に出すことを最初から立ち上げた学生がいるのです。ですから、そういうふうにして、今、世界的な広がりを、この生物学オリンピックを通して、若い人たちが育っているということもあります。そういうこともありまして、生物学オリンピックでありますけれども、このときに、大会に出るときに、生徒たちにいろいろな特別訓練をしてくれるわけですけれども、いろいろな大学にお世話になっています。そういう意味で、ベトナム大会は終わったわけですけれども、やはりそういうときに、単にそこであったことだけではなく、彼らはほかの国の方とコミュニケーションしているのです。若い人たちは英語でコミュニケーションし始めている。そうすると、あるときにネットワークの輪ができるのです。このネットワークができるのが非常にすばらしいと思っています。それから、ちょうど3月に、これからイギリス大会の方に出掛けるわけですけれども、先ほども言った、こういうOG・OBが入っているのですけれども、そして、彼らが継続的にやってくださっている、そういう中にありまして、我々は2020年に日本で国際生物学オリンピックを開きます。今まで生物学オリンピックでは、1か国で2回やるというのはないのです。2009年につくばで国際生物学オリンピックをやりまして、そして、2020年に2回目をやります。これは、実は2020年というのは飛び入りがありまして、なぜこういうことになったかというと、当時の文部科学大臣が、オリンピックは単にアスリートのためだけではない、科学もちゃんとやって人材育成しなさいと、文科省からそう言われたのです。それで、我々も手を挙げまして、2020年になったわけです。そういういきさつもありまして、ここで我々も手を挙げましてやったわけです。実は、やる場所は、東京近辺では場所がなくて、ほかのところでやってほしいと言われたので、どうしたらいいものか考えまして、日本から平和を発信するということで、長崎で行うことにしました。そういう意味で、新しい概念を含めまして対応しておりますので、どうぞよろしく御支援のほどお願いします。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。それでは、地理オリンピック、お願いいたします。
【井田氏(春山委員代理)】では、地理オリンピックの方を説明させていただきます。37ページを御覧ください。国際地理オリンピックの方は、国際大会は順調に参加国が伸びておりまして、今年度の中国では45か国になっています。日本の成績は、平成26年度の成績を見ていただきますと分かりますように、メダルが1つ。これ以前もメダルは1つないしは2つで、大体真ん中から下ぐらいだったのですが、2015年のロシア大会から急激に成績を上げまして、上位10位ぐらいに入るようになってきましたし、メダルも複数確実に取れるようになってきております。これは、ある意味、強化合宿が成功している1つの例かと思います。今年度は、38ページを見ていただきますと、昨年度に比べて申込者数が減っています。これは初めて減ったのですけれども、この大きな理由としては、最初の試験日が1月6日ということで、非常に生徒が集まりにくかった。いつもは1月の第3週にやっているのですが、この3週がいろんな模擬試験等とぶつかって、高校の現場からちょっと無理だということで、1月の初めに繰り上げたのですが、結局、生徒が集まりにくいということで減ったということで、来年度以降はまた日程の調整をしたいと考えております。それから、広報普及活動の実績ということですけれども、高校の先生方、特に若い先生方が入っていただきまして、普及していただいています。ここは、先ほどもほかのオリンピックから出ましたけれども、先生たちはみんな手弁当でやっていて、交通費も出せるか出せないかという状況で、ぎりぎりの状況でやっているという状況です。特に地理オリンピックの場合は、背後となる大きな企業がないものですから、JSTの資金に非常に多くよっているのですけれども、そういう意味では、かなり基礎的な学問の厳しさというところがそこに表れているかと思います。次に、39ページを御覧いただきたいのですが、ここで地理オリンピックの特徴は、英語での出題、つまり、翻訳者がないということです。英語でも解答、これも翻訳者がなく、子供たちが全部英語で読んで、英語で解答します。そういうこともあって、なかなか成績が伸びなかったということもあります。そういう意味では、国内大会でも、20%は英語の問題にして、英語対応しております。それから、もう一つは、フィールドワークです。フィールドワークに関しましては、二次試験で金銀銅を国内大会で取りますけれども、そのうちの金メダリスト約10名程度を国際選抜試験、これはフィールドワークをします。ここでフィールドワークの基礎を培ってもらいまして、国際大会へ派遣する4名を選ぶというようなことを取っています。2022年から高校で地理が必履修化されます。その必履修化される背景には、こういう地理オリンピックがあって、世界的にも地理が重要だということが非常に強くアピールできたのではないかと考えています。それから、もう一つ、地理の場合は、高校では地理歴史科ということで、文系の科目に入っていますが、地理オリンピックでは、科学を重視しています。一方では、理系と文系の融合ということがあって、理系のこういう科学的な知識がどうやって人間生活に反映できるのか、これも問題として入っていますので、そういう意味では、文系からもアプローチできる、理系からもアプローチできる地理オリンピックとなっております。ちなみに、国際大会に参加したメダリストたちですけれども、その後、大学に行って地理に進んだのは一人もいなくて、例えば、工学部だとか農学部だとかいうことで、それは地理が基礎になっていて、地理をやることによって、もっと都市を発展させたい、都市計画をしたいということで進んでいるということで、ある意味、いい方向ではないかと考えております。それから、42ページの写真を御覧ください。地理オリンピックでは、それぞれ行く前に、テーマ、課題が出されて、ポスターセッションをすることになっています。そのポスターセッションを45か国やるわけですけれども、その中でお互いに投票して、非常に優秀だったポスター、つまり、そこも英語で全部説明するのですけれども、そこで初めて上位に入りまして、上位4か国以上は表彰されるのですが、その4か国以上に入って、今年度初めて優秀賞を取ったということです。以上、地理オリンピックでした。
【有馬座長】ありがとうございました。では、最後に、地学オリンピック、お願いいたします。
【久田委員】それでは、地学オリンピックを説明させていただきます。45ページを御覧ください。45ページ、上の方に国際大会の様子が書かれております。スペイン大会、ブラジル、それから、今年度は日本で開催いたしました。これは、これから国際大会が日本で目白押しに開催されますが、そのトップを切りまして、地学が行ったということになります。8月に行われまして、2ページ後の47ページを御覧ください。47ページに、今回、第10回国際地学オリンピック日本大会の様子が書かれております。三重県の三重大学を中心として行われました。そこにありますように、20日~27日まで行われたわけですが、この大会、組織委員会として、平朝彦海洋開発研究機構の理事長、それから、鈴木英敬三重県知事、それから、駒田三重大学学長に副委員長をお願いいたしまして、このような内容で行われました。この大会の特色は、そこにもいろいろとあるのですが、まず26か国、高校生100名が参加いたしました。これは、ほかのオリンピックさんと比べまして小規模になりますが、地学の普及ということでは、この規模ということになるかと思います。ただ、この26か国というのは、過去最高の数を集めております。それから、この大会の我々の目玉ということになるかと思いますが、地元の高校生にも楽しんでもらおうということを考えました。そして、そこにありますように、三重県の高校生にかなり参加していただきました。高校生、選手は100名なのですが、地元の高校生の皆さんに220名も参加していただいて、いろんな意味で選手との交流、あるいは、いろんなことを行ったということになります。そして、成績ですが、日本は金メダル3つ、それから、銀メダルを1つと、そのような成績になりまして、今までにない好成績を得ることができました。このような大会だったのですが、あと1点、開会式には、水落副大臣にも参列していただきまして、御挨拶を頂きました。それでは、また前の方に戻らせていただきます。45ページで、この数年間の国際大会の動向ですが、先ほども出ましたように、参加国数が増えております。増えておりまして、ただ、下にもあるのですが、国内大会の予選参加者の数を御覧いただくと分かると思いますが、若干減っているかと思います。この分析ですが、実は、この数の減少は、今まで高校単位で受験を申し込んでくださっていた学校が、やはりいろいろな状況、行事とのバッティング等もございまして学校ぐるみで参加ができないということがございます。ただ、私たちといたしましては、むしろ、その下にございます予選参加者のうちの中学生以下をちょっと御覧ください。これを見ていただくとお分かりになるかと思いますが、ここ120名前後だったのですが、今年は160名を超えました。これは、特に中学生の参加者が非常に増えてきた。しかも、最近になって分かったのですけれども、小学生も、参加はしていないのですけれども、非常に興味、関心を持ってくれているということが分かりました。これが地学が10年目を迎えまして、地学の内容が下に下に行っているということで、我々としては非常に心強いものを感じております。今年は8月にフランス大会がございます。その準備がもう既に始まっておりまして、来週には筑波大学で二次予選を行います。その下の46ページを御覧ください。これは国内の大会の様子ですが、国内の大会でも準備を進めておりまして、そこにもありますように、野外研修とか、化石を見せたり、あるいは天体望遠鏡で観察をしたり、こういうような、今、高校現場ではなかなかできないようなことを積極的に取り入れてやっております。そこのページの「未来ガイド」という冊子ですが、先ほども言いましたように、今、むしろ関心は低学年化しておりまして、「将来、地学はどこで勉強できるの」ということを聞かれるようになりました。それに対しまして、私たちは、この「未来ガイド」というのは、現在、大学で地学が、地球科学ですけれども、勉強ができるところの冊子を作りまして、これは内容的には、各大学の方から、「是非、皆さん、来てください」というような内容で構成されております。こういうような冊子を低学年に配って、さらに、実力のある、将来見込みのある小学生、中学生を喚起したいということで、このような活動も併せて実施しております。以上のように、ある意味、今までになく地学の関心がどんどん広がっているということが、我々の地学オリンピックの特色かと思います。以上であります。
【有馬座長】ありがとうございました。続きまして、議題2の日本科学オリンピック委員会の設立についてでございます。第1回の会議では、委員会の設立に向けて、各団体間で調整を開始した旨、北原和夫東京理科大学教授からお話がありました。今回は、第1回の会議後、委員会の設立に向けて、各科学オリンピック団体間で御議論いただいた内容を、引き続き北原先生から御報告いただけるようでありますので、北原先生、お願いいたします。
【北原委員】では、報告いたします。資料3を御覧ください。日本科学オリンピック委員会準備協議会より、設立予定の「日本科学オリンピック委員会」について説明申し上げます。次の2ページ目でありますけれども、そもそも科学オリンピックの活動というものは、高レベルの課題に挑戦する機会を若者に与えて、若者たちが科学への関心と意欲を更に高めるようにすることであり、国内の選抜においては、日本中から集まった生徒たちが、数日間の合宿の試験を通して、将来にわたるネットワークを形成し、そして、切磋琢磨して日本の学術、あるいは、科学技術の質を高めるということであります。そして、更に選ばれて国際大会に行く代表たちは、世界の同世代の若者と競技と交流によって、将来にわたるネットワークを形成し、また、世界的な研究者、研究機関、文化に触れることによって、グローバル人材へと成長していく、これが科学オリンピック活動の大きな目的であると思います。これは日本並びに世界にとって非常に大事なことでありまして、単に科学技術研究の世界だけではなくて、広く社会との協働作業でなければならないと思います。それで、私たちは、そういう考え方で、今回、日本科学オリンピック委員会の設立の準備をしてまいりました。それで、次の3ページ目でありますけれども、これまで、7つの教科がそれぞれに社会とのネットワークを形成してきました。そして、関係機関、関係者とともにやってきたわけでありますけれども、その経験を生かしていきたいと思っています。実際には、日本で数学や情報は早い段階から国際オリンピックに参加しておりましたけれども、他の教科では、今世紀に入ってからの参加であります。しかし、それが非常に活発に行われてきた結果、2009年には生物があって、2010年は化学のオリンピックが日本で開催され、2016年、昨年、地学、そして、18年には、先ほど報告がありましたように情報、それから、2020年は生物、21年は化学、2022年には物理オリンピック、2023年には数学というふうに予定されております。ですから、こういう時代になりましたので、日本での開催が続く状況において、この7つの団体で互いに経験を生かし合いながらやっていくのは、非常に大事なことであると思います。それで、これまで、実は、7つの団体は定期的に情報交換の機会を持ってまいりましたけれども、これをもっと強い協力関係にしていこうと考えております。このように、様々な科学オリンピックの団体が協力して、連携していくというやり方は、実は、ほかの国ではほとんどやっていなくて、恐らく日本独自のモデルになるのではないかと考えております。ただ、ドイツは比較的それをやっておりまして、キール大学が拠点として、生物、物理、化学、地学の主な人たちがそこに行って連携しております。ですから、このいわば日本モデルを推進して、7つの団体だけでなくて、産学官を含めた社会との協働ネットワークへとこれが進化していくようにしたいと考えております。4ページ目に参りまして、日本科学オリンピック委員会はどのようなものであるかというと、共同事業体を形成していこうということでありまして、7つの教科がここにあります。これが一体となって社会へアプローチしていきサイエンス・オリンピックへの全体的な支援へのパートナーを開拓していこうということであります。これまでの経緯でありますけれども、昨年5月に検討母体として準備会を設置しまして、5月20日に、この席でそれの表明をいたしました。その後、運営規約等を作りまして、各団体で今、批准・承認の手続中でありますけれども、昨年9月にはエンブレムを作りまして、このページにありますような7つのものが、それぞれ頑張りながら、またつながっていくという、そういうことを絵にするものであります。そして、来月4月には、この日本科学オリンピック委員会を発足させたいと考えております。次の6ページでありますけれども、活動内容は、大きく分けて2つでありまして、1つは、科学技術の将来を見据えた異分野協働と産学官連携によるオールジャパンの科学技術人材育成を推進しようということで、7つの団体が一緒になっていき、7教科一体となった科学オリンピック活動の普及・広報を行って、この科学オリンピック全体に対して協賛と支援の輪を広げていきたいと思っています。これで、科学オリンピックに対するブランド力といいますか、それから、それに対する魅力を社会的に広めていこうということであります。例えば、スポーツにおけるオリンピックは、各分野でも行われておりますけれども、オリンピックということでやることによって、それが社会の注目を浴びるわけであります。ですから、この7教科全体に対して、全体が一体となって社会に訴えることによって、サイエンスを盛り立てていこうということを国民的な運動にしていきたいと考えております。次の7ページの今後の予定でありますけれども、4月から本格的な広報活動を推進したいと思っておりまして、来年度中にオリンピック委員会発足イベントを予定しております。そこでは、サイエンス全体の人材育成の必要性、それにおける科学オリンピックの意義についてアピールするようなものを計画したいと思っています。4月早々にオリンピック委員会の第1回を開催して、これについての基本的な方針を確認しようと思っています。それから、日本科学オリンピック委員会の特設サイトを今作りつつあるわけですけれども、そこに様々な情報を上げて、広くアピールしていきたいと考えております。最後が、これに参加している委員会の名前でありまして、こういう形で、是非、全体として科学オリンピックを通しての科学技術人材をオールジャパン、国民的に運動として持っていきたいと考えております。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。いろいろ御質問もおありと思いますが、まず議題を進めさせていただきたいと思います。議題3、次世代人材育成政策の実施状況について、資料4に基づいて、事務局から説明をお願いいたします。
【塩崎人材政策課長】資料4でございますが、1枚めくっていただきますと、目次として2つございます。まず、7教科の国際科学オリンピック全体の状況を、年ごとにどうなっているか御紹介させていただき、それから、次世代人材育成関連の平成29年度政府予算案の状況を御紹介させていただきたいと思います。3ページ目は、国際科学オリンピックについてでございます。2016年の参加国・地域数については、最も多い数学の場合は109か国ということで、先ほども御紹介があったとおり、かなり増えてきております。また、日本の代表選手は、国内選抜、合宿等を踏まえて国際大会に派遣されるわけですが、国内大会への参加数も、平成16年から比べると大分増えてきているという状況がございます。それから、一番下の段、先ほども各教科のオリンピックの先生方から御紹介いただきましたとおり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせて、各教科のオリンピックの国際大会が日本に誘致されておりまして、今後、続けざまに日本開催される予定になっております。それから、4ページ目を御覧いただきたいと思います。7教科での国際科学オリンピック国内大会への参加数の推移につきましては、若干減ったところもありますけれども、全体としては増加傾向という状況がうかがえると思います。それから、次のページに参りまして、5ページ目、先ほど男性・女性の比率という話がございましたが、それをまとめさせていただいたものでございます。2016年度の状況につきましては、各教科、生物以外は、予選は男性の方が圧倒的に多いという状況、それから、日本の代表選手の男女比ということで見ますと、ほとんどが男性で、今年は生物の方に1人女性がいらしたという状況でございます。それから、6ページ目、これは先ほど御紹介いただいたところを、全ての教科についてまとめた結果でございますので、御覧いただければと思います。それから、7ページ目以降が、これまでの国際科学オリンピックにおける成績上位国の一覧でございまます。どの教科を見ても、赤字で表記しております中国が上位に目立っております。例えば生物学ですと、初めは米国が強かったのですけれども、だんだん中国が出てきているという状況が見えます。また、韓国も非常に追い上げており、アジアの国々が上位を占めているという状況が、9ページ目からもご覧いただけるかと存じます。次に、12ページ目を御覧いただきたいと思います。平成29年度の政府予算(案)の状況でございます。次世代人材育成の関係では、初等中等教育段階にあります児童生徒を対象とする施策を進めておりまして、科学コンテストの推進というところが、各種科学オリンピックへの支援予算となっております。来年度予算案におきましても、今年度と同様の予算を要求しております。それから、その1つ下の段についてですが、高等学校について平成26年度からグローバルサイエンスキャンパスを始めております。卓越した意欲・能力のある生徒個人を対象として才能を伸ばすというプログラムでございます。また、その左側に赤字で書いてありますジュニアドクター育成塾ですが、高等学校の生徒だけではなく、小学校の5年生から中学校の生徒を対象に、少し年齢を下げて対象にしていこうということで、平成29年度から新規として、1億円ほど予算案に盛り込ませていただいております。その下の段にありますスーパーサイエンスハイスクールは、高等学校を対象としまして、生徒の科学的能力、科学的思考力を培うために、理数系教育を実施する高等学校・機関を対象として支援をするという施策でございまして、昨年とほぼ同額の予算を要求させていただいております。それから、中高生の科学研究実践活動推進プログラムですが、中高生の科学部活動を充実していただくために科学部活動への支援として行っているもの、それから、教員の実験等の研究力・指導力の向上を図るために教育委員会等を対象として支援をしているものがございます。若干減額という形になってございますが、引き続き行っていきたいと思っております。一番下は、女子中高生の理系進路選択支援プログラムについてでございます。女性の方々がなかなか参加しづらい、特に理系に進む方がなかなかいないということで、中学校段階から少し興味を持っていただくため、中高の女子生徒を対象として科学の魅力を伝える出前講座などを支援させていただいており、来年度も引き続き実施させていただきたいということでございます。それ以降、幾つか資料が並んでおりますが、平成29年度新規で要求させていただくジュニアドクター育成塾について、簡単に御紹介させていただきたいと思います。大学、高等専門学校、それから、民間団体の方々に協力を頂きまして、1機関1,000万円ほどですが、教育委員会の方から推薦していただいた非常に才能のある子供たち、各種のオリンピック・科学の甲子園ジュニアといったコンテスト等で優秀な成績を収めた子供たち、さらに、科学館や博物館から推薦を頂いた、各地における意欲・才能のある小学生・中学生を集めまして、大学・高等専門学校等の中で各種講義、実験等を実施していただき、科学技術人材としての基盤を構築しようというものでございます。その中から更に選抜をしまして、特に意欲・能力の高い小中学生については、研究室とのマッチングで、実際に研究、論文等の作成といったようなところまで育成をしていただきたいということで、この施策を作っております。簡単ではございますが、以上でございます。
【有馬座長】どうもありがとうございました。それでは、議題4に入りまして、科学オリンピックの推進方策について御議論いただきたいと思います。これまで頂いた御報告やお手元にございます事務局からの論点案の資料を参考にしつつ、今後の科学オリンピックの推進方策や、次世代に活躍する科学技術人材の育成について、自由に御意見を頂きたいと思います。特に、広報戦略を含めた、社会全体での気運の醸成、2番に、科学オリンピックの活用方法といったような点についても御議論を賜れれば幸いでございます。そこで、まず第1に、広報戦略を含めた社会全体での気運の醸成についてお諮りをいたしたいと思います。まず山中先生からお願いいたします。
【山中委員】委員の先生方、御説明ありがとうございます。科学オリピックの推進によって、次世代人材を育成することは本当にすばらしいことですので、この活動がますます発展することを本当に心から祈っております。広報戦略という意味では、科学オリンピックが一般の方にどれだけ周知されているかというのが大事だと思っています。私もニュース等で、日本の高校生が金メダルを取ったというニュースは時々耳にするわけですが、それ以上の情報というのは、今までほとんど知りませんでした。世界の国々の中で日本はどういう位置付けなのか、中国、韓国、台湾、アジアの他の国が上位をずっと占めているとか、一体どういう問題が出題され、それをどういうルールで高校生が解いているのかとか、そもそも金メダルは何個出るのかとか、そういうことも全然知らないまま、この委員になっているのも非常に問題があるとは思いますが、私がそういうレベルですから、一般の方にとっては、まだまだ十分には知られていないのかなと思います。やはり一般の方が知らないと、いろんな意味で社会からの応援というのは得られないですし、企業等からの支援もやはりどうしても少なくなると思いますので、当然のことではありますが、いかに一般の方への周知を広めていくかが重要だと思います。例えば、テレビから見ても、科学オリンピックを題材に取り上げるとすごく面白いのではないでしょうか。―日本の若い子供たちがものすごく努力して、世界の若者と競い合っている姿。でも、実は日本がトップではなくて、中国とか韓国の方が上なのだと。それじゃ、いったい彼らはどういう努力をしているのだろう―、そういうことは、一般の方からも非常に興味があるのではないかと思います。スポーツのオリンピックでもものすごく感動しますが、同じように科学オリンピックにも感動の場面があり、実はものすごいメディア性もあると思いますが、僕の知識では、あんまりそういうことが大きくテレビ等で取り上げられたことはないような気がします。メディアへの露出により、活動が一般の方に広まっていくと、寄附等も増えていくでしょうし、科学オリンピックへの参加者も増えていって、日本のレベルも上がってという好循環につながるのではないかなと思います。まず手始めに、日本や成績上位の中国、韓国で、科学オリンピックに対する一般の方の認知度がどれぐらい違うのかという、そういう調査をしてはいかがでしょうか。まず現状を知ることによって、どういう対策をとるべきかが見えてくると思います。調べてみないとわかりませんが、もしかしたら中国とか韓国では随分認知度が高いのかなと予想しています。あとは、参加者についてですが、中国や韓国はそもそも参加者がものすごく多くて、裾野が広い中から選抜されているから成績がいいのか、それとも、ごく少数の人を英才教育しているからいいのか。これも調べてみないと分からないですけれども、実態を知ることが非常に大切ではないかなと感じました。
【有馬座長】大変重要な御指摘を頂きまして、ありがとうございました。特に中国、韓国、シンガポールも入れていいかと思いますが、その辺が子供たちの成績が非常にいいのをどう考えるか、それは国民全体にどういうふうに認識されているか、こういう点の御指摘であります。実は、先々週、シンガポールに行ってまいりました。なぜ行ったかというと、東京大学のランキングががたっと落ちてしまって、日本の大学がみんな落ちてしまって、アジアの中で見る限り、シンガポールの国立大学が一番になったのはなぜだろうかと。それから、南洋工科大学も非常に成績がいいというようなこと。もともとリー・クワンユーの手伝いでシンガポールの教育顧問をしていましたので、どうして伸びて、こっちは下がっていくのか、見に行ったのですけれどやはり金の使い方が違うのです。そして、国民も非常に熱心だと言えばそうなのですが。ただ、先ほどの山中先生の御発言にも関係するのですが、これは問題があるのです。小学校で卒業するときに、Aクラスの生徒、Bクラスの生徒、Cクラスと分けてしまって、Aクラスの生徒だけが大学に行ける。Bクラスの生徒は専門学校、Cはもう中学校ぐらいで終わると。それを聞きまして、確かにTIMSSなどを見ると、あるいは、PISAを見ると、シンガポールは非常に上なのだけれども、果たしてこれがいいのだろうかと。要するに、Bクラスに入りまして、将来大学に行きたいぐらい頑張っても、なかなか大学に行かせてもらえない。よっぽどの場合だけAクラスに行けるといったような格好で、小学校6年の卒業のときに、そういうクラス分けしていいのだろうかと余計なことですが、心配になりましてね。中学校あたりも非常に格差がありますので。そういうやり方がいいかどうか、シンガポールはよくやっているけれども、そういう問題があるということで、山中先生の御指摘の、韓国にせよ中国にせよ、どういう国策を取ってどうやっているかを一度調べ上げた方がいいかもしれませんね。そのことが1つ。それから、もう一つ、非常に心配なことが今起こっています。それは、度々お金の話を申し上げて恐縮ですが、長年の間、日本は高等教育への公的支出がGDP比0.5%、韓国がちょっと良くて0.6%、これはずっとこの10年、20年、そういうふうに進行していたのですが、日本が少し延びまして0.6%近くになってきたときに、韓国が、驚いたことに、0.9%になる。変な言い方ですが、要するに、欧米の先進国並みになった。ですから、韓国が高等教育を猛然と考えるようになった。この辺がどういうふうな影響を日本に与えてくるか、韓国に与えていくか。もちろん韓国に与えるでしょうが、日本にも与えるだろうと。そういうことについても分析をした方が良いと。これは山中先生の御指摘のとおりでありまして、少し国民全体、それから、教育政策、その辺を、科学に関し、技術に関してお調べいただければいい。これはJSTあたりでやっていただけませんでしょうかね。山中先生どうもありがとうございました。それでは、今度は、どなたからでもいいのですが、順番の方がやりやすい。元村さん、マスコミの立場から一言。
【元村委員】去年、第1回の会合のときに私の印象をお話ししたものが、参考資料1の1の①のところに多分載せていただいていると思うのですけれども、まずは、この印象はいまだに変わっていません。それで、私からお示ししたようなことについて、文部科学省サイドでどれぐらい努力していただいたかということは知りたいなと思いました。もう一つ、この7つのオリンピックの主催者の方から共通に出てきていた課題としては、先生方が手弁当でなさっているということと、あと、やっぱり生徒さんたちが大変忙しいタイトなスケジュールの中で頑張っているということが共通しているかなと思いました。学校行事、ただでさえ詰め込みになっているのに、更に余暇のときに幾つものオリンピックの合宿に出たり、お友達を作ったり、財産も多いのですけれども、確かに忙しいだろうなと思ったので、この日本科学オリンピック委員会ができたのであれば、例えば、共通で合宿をできるところは一緒にやるとか、先生方の手数も共有できるところを共有するといったようなことで、具体的な時間をシェアするというのでしょうか、そういった事はとても有効だと思いました。あと、山中先生のお話にもあったのですけれども、やはり中国がどうやってどういう目標で、どういうふうにやっているのか、大変気になります。むしろちょっと習いに行くような、敵を味方にするような、そういう試みがあってもいいのかなと、個人的には思いました。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。濵口先生、JSTの立場から、一つ。
【濵口委員】初めに、スーパーサイエンスハイスクールとか、科学の甲子園とかに触れていただいて、大変うれしく思います。JSTとしては、しっかりバックアップをしていきたいと思っております。先ほどの日本と韓国、中国との比較の問題、私、気になっておりますのは、やはり中国はかなり戦略的に、長期的視点で人材を育成する、しっかりした視点を持っているのではないかと実感しています。例えば、GDPに合わせて科学技術予算を増やしていくという国是を持っているということで、GDPが伸びる限り、科学技術予算は並行してどんどん増えてくると。その結果、2000年を1とすると、最近では、中国の科学技術予算は10.5倍、10倍以上になっております。この間、日本は1.1倍です。韓国は1.5倍になっています。この差が、やはり現実の違いになってきているのではないかと。今、それは、この科学オリンピックで優勝できるか、金メダルを取れるか取れないかという問題のレベルに終わっていなくて、いわゆる論文のサイテーションの量を見ておりまして、メタ解析をやりますと、そのサイテーションが調査できる27分野で、全ての分野で日本はもう中国に、トップ10%の引用件数でいきますと、完全に負けております。最近見えてきていますのは、2011年から12年がターニングポイントになっておりまして、臨床医学と基礎生物学以外は、アメリカも中国にかなわなくなっております。はっきり言えば、中国は科学技術立国を国是として、極めて戦略的にやっていて、その一部がこういうところに表現型として出ているのではないかと。私どもも、しっかりした戦略を持ってやっていかないと、日本は小さな小さな国になっていくのではないかと大変心配しております。もう一つ、心配は、有馬先生がよくおっしゃる人口減少の問題です。データはいろいろありますけど、例えば、日本人の30代の人口は、最近、もう愕然とするのですが、2010年から2015年までのこの5年間で20%減少しております。すごいスピードです。研究だけでなくて、社会の中核を占める人材が、量的にもうどんどん減ってきている。今、日本が取れる道は、そのどんどん少なくなっている人材をいかに磨き上げて、的確な場所で、的確な能力を発揮できるように人材を育成していかなければいけないということがあると思います。例えば、極めて個別的な話ですが、私が医学部の出身なので、いつも引っかかる問題が、数学の優秀な子が、ほとんど医学部へ入ることです。金メダルを取った子が。私の実感としても、これは、職業選択として、間違いなのです。私も18歳の頃は物理数学が好きだったことがあります。ただ、医療というのは、非常に社会貢献が見えるので、ついそちらへ入っていくわけです。ところが、これは本当に記憶の世界で、昔は自分は賢かったのにな、と最近よく思うことがあります。もう一つ大きな問題、日本の問題は、職業選択のところがうまくそれぞれの若者の才能とつながらないのです。何かそこの歯がゆさを感じております。化学の強い人が、例えば、化学系の会社ですごい力を出せるのに、医学部へ行っちゃうとか、物理のすごく優秀な人材が、その関係の会社で働けばイノベーションを起こせるはずなのに、どこかの地方で―こういう言い方はいかんですけれども―医療を淡々とやるようなこの状態。私たちの時代のように、若い人材が山ほどあふれている頃は、何となく補完していたと思うのですけど、今は数が限られていますので、そういう、うまくその才能を生かせるような場をどう作ってあげるかというのは、すごく大きな課題だなと。このオリンピックの場で、例えば、化学が強い子、数学が強い子の人生はこうなっていく道もあるのだよと。医学部へ行くだけが全てじゃないよというのを、もう少し産業界の人が入っていただいて、「あなたのそんな才能があったら、こういう生き方があるのだよ」というのを、ロールモデルをもっと見せていただきながら、「物理をやるというのは、将来、私の才能が伸びるので生きがいを感じるような場があるのだな」というのを感じさせるような場を、この科学オリンピック推進会議ができ上がったところで、もっと一段進められないかなというのが私の強い希望でございまして、そのためには、産業界の方々の御支援をいろんな形で頂かないと実現しないのではないかなと思っております。是非よろしくお願いいたします。
【有馬座長】ありがとうございました。次に、スーパーサイエンスハイスクールの生みの親である遠山さん、お願いいたします。
【遠山委員】まずは、7分野の担当の先生方、本当にお力を頂いて、予算もない中でよくやっていただいていると感謝を申し上げます。今日の議題の広報戦略についてですが、例えば、高専のロボコンのように、コンスタントに、毎年みんなが興味を持って、それを待って見てくれるような、そういう番組が作れるかどうか、それから、今はSNSの時代ですから、そういったところで、頻繁にこういうことの大事さとか面白さというのを発信していく等々、それから、予算の面、いろいろあります。でも、今日は、むしろそういう広報戦略のことよりは、根本的にこの制度を通じて、どうやっていい人材を見つけ、どうやって育てるかということを論じていただきたいと思います。私は、この科学オリンピックの催しというのは、いいきっかけだと思います。なかなか日本社会では、全て平等ですから、子供たちの中で選抜して、この子は伸びるからどんどん伸ばそうなどということはできないのですが、これでやればできるのです。特に日本が渇望している科学技術関係のいい人材というのは、これを契機に、是非充実していったらいいと思います。その意味では、合宿であり、あるいは、予選を通じて、いい子を選んで、その人たちを大学と連携しながら育てていくということが大事です。その意味では、予算ももちろん重要なのですけれども。やはり問題は、中学生なり高校生なりに、このオリンピックに参加することがどんなに自分にとっていいことであるかというインセンティブを与える必要があると思いますね。今、濵口委員のおっしゃったようなこともすごく大事です。それと同時に、大学側が、こういう賞を取ったり、あるいは、予選を通過した人たちを、通常の受験ではなくて、優先的に入れたりであるとか、努力すれば大学側もちゃんと受け取ってくれる、その後も保証されているということが分かればかなり多くの子供たちはそれにチャレンジすると思います。今日本では、メディアもそれらを大きくとり上げてくれております。オリンピックを控えている日本としては大事なのですが、やはりもっと知力、あるいは、人間の感性を使った、そういう分野もすごく大事だということを子供たちに示していく必要があります。それはもう広く国民にPRしていくというのも大事ですけれども、着々と大学と組み、あるいは、企業と組み、研究所と組み、そういう形で、それこそ戦略を立ててやっていく必要があるのではないかなと思います。ちょっと主題とは離れますが、そういう意見でございます。
【有馬座長】ありがとうございました。産業界の立場から、庄山さん。
【庄山委員】今日はどうもありがとうございました。7人の先生方が大変御苦労されているというのを承知しております。よくよく分かって良かったと思います。私は、この科学技術オリンピックというのは、今、遠山先生からもいろいろお話ありましたが、2つあると思います。1つは、できるだけ幅広くファンを増やすということと、それから、そこから先は、そういう言葉があるかどうかですがやっぱり英才教育的な形で育てると。それで、今、大学によっては、これに参加したことによって、ある程度入試の条件を緩和するなど、そういうふうにだんだんなってきているのではないかと思いますが、是非、そういうことをもっともっとやっていただきたい。それから、世の中に広めるために、今までもやっているかどうかですが、今、スポーツのオリンピックの話になると、どの新聞も、テレビも、もう大変な騒ぎようでありまして、科学技術オリンピックになると、どうしてそれをみんな書かないのだろうな、思わないのだろうと残念です。私は、もちろん、文科大臣に表彰されるのもあると思いますし、安倍総理に、やっぱりそれぞれ今年から、科学技術オリンピックでも金メダルを取ったら、もっともっとどうだと言って、自信満々に各々がやってもらったらいいのではないかと思います。科学技術立国ということに日本はなっていたはずなのに、あまり政治家の先生方から聞かないような気がするのです。それで、さっきのGDP比の問題でも、昔から科学技術に1%が目標だったのに、今まだ0.7%のままじゃないかと残念です。それで、日本は、残念ながら、これは産業界もだらしないのですが、GDPが伸びていかないため、ここ何年間、ほとんど変わっていないわけです。ほかの国々は、ものすごく力を入れてやっているわけで、GDP比で言うのはもう駄目で、これからは金額で言わなくてはいけないと思います。科学オリンピックへの配分費用を増やし、先生方、もちろん、今はほとんどがボランティアみたいな格好でやっていただいているわけですが、少しでも貢献できればなと思っております。割合身近なところで言えば、これはもうじき金メダルを取ってくる子供が戻ってきたら、少なくとも文部科学大臣、安倍総理のところへ行って、これだけやりましたというのを大いにアピールしたら良いと思います。総理も同じ気持ちだと思います。
【有馬座長】ありがとうございました。小林さん。
【小林(誠)委員】2つのことを申し上げたいと思います。まず、第1に、これは学校の教科の殻を超えるような科学に接する機会を提供するというので、非常に意味があると思います。その意味で、一番大事なことは、やはり裾野を広げることであろうという気がします。各オリンピック委員会でその努力をされているわけでありますが、その意味では、似たようなプログラムで、例えば、科学の甲子園とか、いろいろなものがあるわけで、そういうものとの、特にリソースの配分が適切かどうか。先ほどからボランティアベースでオリンピックが行われているという話がありましたが、その辺を是非改めてお考えいただきたいなと。当然、補助金はJSTから出てはいるとは思いますけど、そのバランスという問題があると思います。第2点として、オリンピックと言えば、頂点として世界大会があるわけですが、それが、各教科から見れば、10年とか何とかで1回という、忘れた頃にやってくる話になるわけで、それに対して、各教科がアドホックな組織を作って、その大会の運営をするというのは、無駄も多いし、負担も多いと思いますね。7教科全体を一つのまとめた形で、共通する部分も多いと思いますから、特に運営面をサポートする仕組みというのをしっかり作っていただきたいという気がします。科学オリンピック委員会に期待しますけれども、先ほどの話では、必ずしも具体的にどうサポートするかというところまで十分分からなかった。文科省、JSTと御相談いただいて、具体的な仕組みを提示していただきたいという気がします。以上です。
【有馬座長】非常に良いポイント、ありがとうございました。学術会議には頑張っていただきたいので、花木さん、よろしくお願いいたします。
【花木氏(大西委員代理)】  学術会議として頑張るお話ができるかどうか分からないのですけれども、女性の比率でいつも苦労している学術会議として、ちょっとお話ししたいと思います。先ほど文部科学省の人材育成の資料4の中で、4ページに、これまでの予選会への参加者数推移のグラフがありましたよね。もちろん、全体として、金メダル、銀メダルというのも大変重要なのですけれども、私とすると、この裾野が広がっているというのが、これはすばらしいことだと思っています。なぜなら、子供の数は減っているわけですよね。それが、こうやって右上がりになっていくのは、近年、日本の統計でほとんど見ない形の増え方なのです。これは、全て、7つのそれぞれの部門で増えていて、それぞれの御苦労が大変だなということを思うわけですが。しかし、さっき申し上げたように、女性の比率の問題があります。これは次のページにあるわけですけれども。生物学は女性が多いということでありますが、化学も何とか、3分の1弱ぐらいですか、それぐらいはおられるわけですが数学、物理、情報、地学も、地理、そのあたりが非常に女性の比率が少ない。女性の比率も、あるグループがあったときに、その中で3割ぐらいおられると、例えば、合宿とかトレーニングをやるにしても、余り違和感がなく普通に過ごせると思います。2割を切ってくると、参加する方も恐らく抵抗があって、少数派だという気持ちになるので、何とかこの3割ぐらいの壁を超えるというのを目標にできないかなと思っております。実は、学術会議も3割の壁があって、今度会員が改選になるのですけれども、今年の10月には3割にしようということで、多分できるのではないかと思っていますけれども。その3割になってくると、大体普通に議論ができるということであります。さて、それをどうするかという中で、幸い、中学・高校で女子中・女子高がございますよね。特定の高校・中学に働きかけるというのはあまり良くないのかもしれないのですけど、そうは言っていられないと思います。女性をターゲットとするとすれば、今までもやっていられると思いますが、女子中学・女子高、特に一貫のところはレベルが高いところもあるし、ユニークなことをやっておられるところもありますので、そういうところに是非働きかけを一段と強めていただくということがこれまで以上にできれば、何とか次第に上がってくるのかなと思います。ある程度増えてくると、そこで企画されるプログラムも、そういった女子生徒の意見がかなり色濃く反映したものになってくると、更に増えるのではないかなというので、ある程度最初のマスを増やす努力を、今やっておられると思いますが更にしていただければなというコメントでございます。
【有馬座長】ありがとうございます。よろしくお願いいたします。野依先生。
【野依座長代理】先生方、本当に御苦労様です。ありがとうございます。先ほどから韓国、中国の話がいろいろ出ておりますけれども、中国には科学技術が国力の源泉であるという信念があると思っています。韓国はちょっと違うなと思っておりますが。一方で、日本は、歴史的に科学技術は経済のしもべでしかないのではないかと残念です。科学者、技術者の地位が相対的に低いですね。経済界も、おまえたちをうまく使ってもうけてやろうみたいな考えが根底にあると私は感じています。そこを直さなければいけないので、マスメディアにもしっかり頑張っていただきたいと思います。有馬先生は科学技術指標の低迷を非常に御心配で、私も心配しております。それでも、古典的な分野、物理とか化学はそこそこ頑張っていますが、新しい領域の開拓、学際領域の開拓力が徹底的に劣後しているところに問題があると思います。例えば、今日も話に出ています情報科学は、ICT革命と関連して、極めて重要であるわけです。これは何もGDPの拡大だけでなくて、日本が超スマート社会を創るという観点から、経済を超えて極めて重要です。しかし、全く人材が育っていない。大学もしっかり育てていないけれども、先ほどから出ておりますように、中高のところから苗床をしっかり作っていかなければいけない。筧先生から、参加者が全く足りないとのことですが、中国は初めからたくさんいるわけです。問題は、1つは、入学試験のシステムの問題だろうと思います。教科になったのが比較的新しくて、東京大学に情報科学の入学試験はない。
【筧委員】ないです。
【野依座長代理】ないですね。物理、化学、生物はある。東京大学やその他の著名な大学が、それを入学試験の科目にしていない。日本人は入学試験を一番大事だと思っていますから、ここに問題があると思います。入学試験に出ないから勉強しない、しても受けるところがない。それから、もう1点は、公立で情報科学を教えることはなかなか難しいと思います。公立の中高では、教科、指導要領とかに縛りが多分あるので、これ、特色ある教育は、私学に任されるのではないかと思います。
【北原委員】物理の経験では、先ほど申し上げましたように、昨年、最終選考に残った15名のうち、半分が公立高校の出身。だから、公立高校でも、そういうずば抜けた子がチャレンジする雰囲気は出てきたことがあると思います。
【野依座長代理】ですけれど、私学の方が自由でしょう。
【北原委員】ええ、もちろんでありますけどね。
【野依座長代理】今、大阪でややこしいことが起こっていますが、私学は、割とそういう縛りから外れて、比較的自由なことができるのではないかと思っております。それがまた私学の生きる道でもあると。ここを是非、庄山委員はじめ産業界にうんと支援していただきたいです。今、産学連携とか言って、共同研究に大変意欲はありますが、人を育てるという観点は若干軽視されていると思うので、よろしくお願いしたいと思います。
【庄山委員】軽視はしておりませんよ。力不足なのだと。
【野依座長代理】それから、もう一つは、情報科学など、エマージングサイエンスを教えるとして、生徒に意欲があっても教える先生はいるのかということもあります。これは、大学との連携、あるいは、産業界からも御助力いただくことが必要と思っております。そういったいろんな観点から、科学あるいは技術を担う若者たちを育てていく。そのためには、やっぱり国民が、科学技術こそが国力の源泉であると考える。国際競争力を作り、そして国際協調力を培うためにも科学が非常に大事だということをみんなが認識しないといけないのではないかと思っておりまして、改めて先生方の御努力に御礼申し上げたいと思います。
【有馬座長】ありがとうございました。あともう1つ、科学オリンピックの活用方策についての議論をすることを命ぜられておりますので、今、一所懸命オリンピックの方をやってくださっている方から、この活用方策があれば、少し御意見を賜りたい。数学界から一つお願いいたします。まず数学、物理と、ずっと一言ずつ、こうやればいいよと。
【鈴木委員】なかなか活用方法というふうに絞られると難しいのですが、とにかく日本の国際大会での成績、その他、いろいろたくさん出ましたけど、1つ、日本が非常に不利なのは、学期制に問題があります。ほとんどの大会が7月にありますけど、ほとんどの国が9月に始まって、6月末か7月初めに終わる。それで、7月に国際大会を行って、夏休みに入って、次の学年に進むというのが普通のサイクルなのですが、日本の場合、7月の大会の最中というのは高校3年生の前期の真っ最中でして、ちょうど期末試験等が行われる時期に当たります。それと、先ほど来、中国、韓国、台湾等の成績が云々と言いましたけど、数学の観点から言うと、10倍の人口があるから、そのぐらいの成績でいいだろうというのがあります。日本が国際大会で10位前後の目標というのは、大体ヨーロッパの国々等と比較して、その程度だと思っております。韓国はちょっと異例でして、2つ全国に理科系の特殊な高等学校を作っておりますから、韓国の数学のオリンピックはじめ、理科系のオリンピックは、韓国の全国から出ているわけではなくて、その2つの高校から全員出ています。入学した途端に、オリンピックに向けての特殊講義、特訓をやっております。挙げ句、メダリストは全員アメリカへ行って、ほとんどは韓国に戻りません。そういう状況は、台湾もそれに近いので、メダリストは、ほとんどアメリカにそのまま行って、ほとんど戻ってこないという状況です。日本は、オリンピックでメダルを取るためのモチベーションがほとんどないのです。もう皆さん、自分の希望の大学に普通に試験を受けて、みんな入るような人たちばっかりですので、推薦入学が影響するということもありません。もっと下位の人たちについては、推薦入学がそれなりに価値がありますけれども、トップレベルの人たちについては、特別、奨学金が大学でたくさんくれるとか、実際は奨学金も必要のないような家庭の方がほとんどです。
【有馬座長】ありがとうございます。
【北原委員】先ほど山中先生のコメントで、一体実態は何が行われているのかということがありまして、そのことは、私たち、これからもっと伝えていかなければいけないなと感じました。というのは、やっぱり実験が弱いのです。それはなぜかというと、やっていない。このコンテストに出ることによって、物理の場合ですと、最初の選抜から実験を課しております。それから、問題が、答えがすぐには分からない問題をどういうふうにシステマティックにアプローチしていくかということが問われるのであって、それの解答に筋が通っていれば、最終的な答えに到達しなくてもいい成績がもらえるような仕組みになっております。ですから、物理オリンピックで問われている能力というのは一体どういうものであるかということをもっと広報していかなければいけないなと。それは、現在の高等教育における教育にも影響があるはずでありまして、有馬先生がおっしゃった高等教育の現状にも問題があるとすれば、どういう能力を得るかということについて、大学も含めて、やっぱり共通認識を持つことが必要かな。そのことが、科学オリンピックの活用の一つだろうと思っています。
【有馬座長】ありがとうございました。三好先生。
【三好委員】先ほどちょっと進路の話が出ましたが、少なくとも化学に関しては、実を言うと、全員ほとんど化学に行っております。あと、やはり私としては、遠山先生が言ったみたいに、地道に教育をしていきたいのですけれども、先立つものがないと慌てふためくのです。オリンピックも、今回は早いですけれども、物理とか数学が早いので、化学になると飽きがきて要するに、絵にならない、マスコミに取り上げられないのです。そういうことから考えると、やはり全員、もうメダリストを全部集めて、ぱっとやれば、絵になると思います。変な話、私から見ると、これだけの先生方が集まっていても、テレビカメラが一台も入っていない。やっぱり絵になるようなものをしなきゃいけないというので、メダリストを集めて、逆に、それを表彰しながら、一般人に開放して、先ほど言ったみたいな進路に関して、我々のOBたちに対して、そういう発表の機会を与えることによってメディアに出ていけば、全然社会的認識も違いますし、グランプリとかこれに関しまして、一応文科省さんからも後援いただいているのですが、オリンピックの派遣事業に関しても、文部科学省の名前があればもっと記事を出してくれると思います。ですから、その辺も含めて、今後、協力していただけるのを非常に期待しております。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。
【筧委員】今、目立つようにという話で言うと、夢物語ですけれど、前から申し上げているのは、中学生でもオリンピックの金メダルを取ると、園遊会に呼ばれて天皇陛下が直々にというのがあるのですが、科学オリンピックもそれができないでしょうかと思います。もちろん、内閣総理大臣、文部科学大臣でも結構ですけど、是非、そう思います。つまり、これは名が広まれば、そこから先、輪が広がると思いますけれど。あとは、情報の場合で言うと、もう明らかに中学、高校生の現役の生徒たちに試験問題を作り、鍛える部分は、世界大会に出ていって、今、現役の学部生、大学院生の人たちが汗をかいてくれています。それぐらいもう高度化されていて先生方も、あの反応の速さには追いつかないぐらいなのですが、その人たちの力が、情報で言うと、情報だけではなく、物理だ、数学だと、もう非常に連携が深いので、そういうところで一緒に何かやるような仕組みができればと思っています。
【有馬座長】ありがとうございました。浅島先生。
【浅島委員】生物学は、追跡調査をしているのですけれども、どういう生徒たちが例えば80名来て、それから、更に上の方に行くかというと、高校に、そこにいい先生がいるのです。その先生がいるかどうかで大体決まるのです。ですから、中高でいいですけれども、本当に意欲があって、いい先生がいれば、その先生をサポートする、そういうシステムを作ってもらいたいです。そうしたら、私は、どうでもいいという先生は困るのですよ。やっぱり生徒にちゃんと向き合っている先生のところ、あるいは、こういう組織があったときに、協力してくれること、そういうような、何かインセンティブを与えるような仕組みを中高に与えてほしいと、私はそう思っています。
【有馬座長】ありがとうございました。井田先生。
【井田氏(春山委員代理)】地理の場合は、地理オタクという子は、ほとんど地理オリンピックで勝てません。というのは、知識を追求しているわけではないので、そういう意味では、先ほどありましたけれども、東大とか京大で推薦入試をしていただいて、地理オリンピックでいい成績を取った子を採っていただいています。そういう意味では、能力の活用が、地理においては、いろんな学問とか分野にいっぱい提供できる。それを小中高、あるいは、この地理オリンピックを通して普及させていきたい。いわゆるキャリア教育を地理オリンピックでできればいいのではないか。それが今後の方策かなと思っています。
【有馬座長】ありがとうございました。北原先生。
【久田委員】地学オリンピックは、先ほど御紹介ありました文科省のこれからの政策に、私たち、非常に期待を大にしているところであります。それは、例えば、我々、地学オリンピックは、英才教育をこれからもっと積極的にやりたい。特に小学生のレベルから、是非地学に興味を持ってもらいたいなというところとか、あるいは、最近行われます、この次の英語力の、こういうオリンピックは、友達づくりももちろん大事ですし、いろんな意味で英語力がないとやっていけません。そういう意味では、これからの小学校から始まる英語教育に期待したい。さらに、地学は部活動への依存が非常に大きいところがあります。ですから、部活動をこれからますます充実していく方策に期待したいと思っています。以上です。
【有馬座長】ありがとうございました。金メダルをもらうと、大学に無試験で入れるところはたくさんできたのでしょう。まだそうでもない?
【塩崎人材政策課長】A3の一枚紙の資料に記載がございます。
【有馬座長】そういうところで、もっとそれを活用して、金メダルだけではなくて、参加しただけで入れるようにして、特に情報は有利になるようにやりましょう。文科省から要望が出ていまして、御意見を賜りたい件というのがたくさんあるのですが、今日は十分その御議論を頂けなかったので、また次の機会にやらせていただくことにいたしましょう。それでは、科学技術・学術政策局の伊藤局長から締めの言葉を頂きたい。よろしくお願いいたします。
【伊藤科学技術・学術政策局長】本日も大変活発な御議論いただきまして、ありがとうございます。第1回の会議以降、特に7団体の方には、日本科学オリンピック委員会の設立に向けた準備を大変集中的にしていただきまして、また、JSTの方の御支援も頂きまして、4月以降、発足の運びとなりましたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。今日の議論では、オリンピックだけではなくて、日本の科学技術が抱える問題が全部出てきたような気もいたしますけれども、スポーツの場合、オリンピックですと、スポーツをする人、観る人、支える人ということで、いろんな形で参加範囲が広がっているのですけれども、この科学の分野についても、是非、社会の様々な方々との支援といいましょうか、共同作業になるような形で、このオリンピック委員会の今後の活動が展開していただけることを期待しております。文部科学省としても、本日頂いた御意見に対して、また、30年度以降の予算要求にも向けまして、しっかり検討させていただきたいと思います。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
【有馬座長】ありがとうございました。最後に、事務局より事務連絡があればお願いいたします。
【塩崎人材政策課長】本日はありがとうございました。次回の委員会の開催につきましては、今年10月ぐらいを予定させていただきたいと思います。また座長と御相談させていただきまして、皆様の日程を調整した上で、改めて御連絡をさせていただきたいと思います。また、本日の会議の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様方にお目通しを頂きまして、座長に御確認の上、文部科学省のホームページに掲載させていただきたいと思います。以上でございます。
【有馬座長】では、ありがとうございました。今日は、皆さんお忙しいところを、しかも、非常に活発に御意見賜りまして、ありがとうございました。どうぞ、またよろしくお願いいたします。何とかして日本の科学技術を伸ばすように、ひとつよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
―了―

お問合せ先

文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課

(文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課)