科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」アドバイザリー委員会(第19回) 議事録

1.日時

令和5年6月27日(火曜日)10時~11時30分

2.場所

オンラインにて開催

3.議題

  1. 人材育成・基盤研究拠点及び関係機関における第3期中期計画のフォローアップについて
  2. 共進化実現プログラム第3フェーズの選定方向性について【非公開】
  3. その他【非公開】

4.出席者

委員

   有信主査、伊地知委員、奥和田委員、小林委員、田辺委員、長岡委員、吉本委員

文部科学省

   倉田研究開発戦略課長、小野山研究開発戦略課企画官

オブザーバー

   国立大学法人政策研究大学院大学  野呂准教授

5.議事録

【有信主査】それでは、第19回になりますけども、科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』アドバイザリー委員会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席いただき誠にありがとうございます。
それでは、事務局から資料の確認と出席者の御紹介をお願いします。

【小野山企画官】おはようございます。政策科学推進室の小野山です。本日はよろしくお願いいたします。
まず、資料の確認から行います。議事次第に資料の一覧を載せております。出席者の皆様方におかれましては御確認をお願いいたします。不足等ございましたら、議事の途中でも結構ですので、事務局までお伝えください。
続きまして、委員の出欠についてです。小寺委員は所用により11時頃から途中参加の予定となっております。また、狩野委員は所用により本日欠席となっております。
以上です。よろしくお願いします。

【有信主査】どうもありがとうございました。本日の委員会につきましては、議題の2と3についてはまだ調整中の内容を含みますので、非公開議題とさせていただきたいと思っていますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)

【有信主査】それでは、議題の2と3については非公開議題とさせていただきます。傍聴者の皆様方は、議題1の終了後に事務局のアナウンスによって御退室いただければと思います。
議題1の内容につきましては、委員会終了後に委員の皆様方の御確認の上、議事録を公開したいと思っています。
ここまでの説明で質問等ございますか。よろしいでしょうか。
それでは、議題の1であります「人材育成基盤研究拠点及び関係機関における第3期中期計画のフォローアップについて」という内容に入りたいと思います。
各拠点及び関連機関においては第3期の中期計画を策定しており、毎年度、中期計画のフォローアップを行うことになっています。
令和4年度については、中期計画5年間のうちの2年度目となっています。
それでは事務局から、資料に基づいて各拠点及び関係機関における中期計画の令和4年度のフォローアップについて、御報告をお願いします。よろしくお願いします。

【小野山企画官】ありがとうございます。今御説明ございましたとおり、各機関の資料につきましては実際資料としておつけさせていただいておりますけども、資料1-0に基づきまして、事務局より抜粋・要約したもので御説明のほうはさせていただければと思います。
それでは、資料1-0に沿って御説明いたします。
まずSciREXセンターにつきまして、令和4年度活動概要としまして――こちら資料の書き方でございますけれども、ポイントと思われるところを黒字と、あと昨年より新しい記載につきましては下線をつけておりますので、そういったことで御承知おきいただければと思います。
SciREXセンター、4年度の活動概要でございますけれども、人材育成につきましてはコアカリキュラム編集委員会の事務局を務めまして、その活動を支援しております。
また、文部科学省の行政官研修ということで座学演習というところを各拠点の協力を得ながら実施しております。
研究・基盤につきましては、共進化実現プログラムの運営を担当し、共進化実現ステージのプロジェクト11件の推進支援等も行った等で、今年に入ってからですけども、先日、成果報告会のほうも開きまして、各委員の先生方も御参加いただき、コメント、御発言をいただきました。ありがとうございます。
続きまして、共進化、次のフェーズのほうでございますけれども、こちらは昨年度までの共進化の第2フェーズの運営とともに、文科省内の研修でブラウンバックセミナーといったところも開催して、また、共進化方法論に関する調査研究、先日御説明させていただいたところ、海外の事例調査も含めて運営委員会で説明しております。
こういった取組が、今回の議題に後ほどございますけれども、共進化第3フェーズの申請のほうにもつながっているというふうに考えております。
ネットワーキングにつきましては、「政策のための科学」の運営委員会を文科省と共に開催するというところでございますとか、あとは、各拠点の協力を得ながら学生向けのサマーキャンプでございますとか、SciREXセミナー、オープンフォーラム等々について活動及び広報を行っております。
事業終了を見据えた計画に対する進捗状況としましては、共進化方法論の調査の進捗状況の取りまとめを運営委員会等で報告しております。
運営委員会において、共進化方法論に関する調査研究の成果等も踏まえ、事業終了後にSTI政策研究・政策形成を進展させるための必要な機能の維持・発展について議論を行っております。
次年度実施活動として、政策課題対応型研究プロジェクトの試行的実施、あとは今後のEBPMを実現する政策研究の体制検討等の具体的な項目を掲げて議論を行い、次年度の活動についての示唆を得ているというところでございます。
こちらちょっと、関連は、その他議題でもう少し報告をさせていただきたいというふうには思っております。
続きましてGiST、政研大のほうになりますけれども、こちらは4年度の活動としまして、人材育成については、博士課程・修士課程及び履修証明プログラムから成る教育プログラムを実施し、計画以上の受入れ・受講・修了者数となってございます。
研究・基盤のところにつきましては、外部からの科研費等の研究費を得て研究を進めているところでございます。
あとネットワーキングについては、サマーキャンプへの参加、GiSTセミナーの開催等を行っています。
事業終了後を見据えた進捗状況でございますけれども、こちらは補助事業終了後も「科学技術イノベーション政策」の修士課程・博士課程を維持するために必要な教職員等の体制の確保に努めております。また、令和3年度に続き令和4年度も短期履修証明プログラムを継続しております。
こちらに関しましては、厚生労働省への申請により、特定一般教育訓練給付制度の対象講座に指定されておりまして、一定要件を満たす者であれば受講費用の補助が支給されるということになっております。
続きまして3ポツのSTIG、東京大学の拠点のほうになりますけども、人材育成につきましては継続して部局間横断教育プログラムを遂行しまして、共同科目の改善と、基礎科目や展開科目、分野別研究科目の拡充を行っております。
また、研究・基盤のほうにつきましては、科学技術イノベーション・ガバナンス、リスクガバナンス等の理論的枠組みの検討を進めております。
また、人材政策に関する基盤データの収集。あとは科学技術イノベーション政策や循環型経済分野を中心に、デザイン方法論等の文献調査等々の研究を進めているところでございます。
ネットワーキングのほうでございますけども、サマーキャンプ、国際シンポジウム、あとは政策プラットフォームセミナー、コロナの影響で開催できていないOB・OG会の継続的開催を計画していた結果、実務家を招いた政策プラットフォームセミナーを開催しております。
事業終了後を見据えた進捗状況でございますけども、東京大学の12の学部・部局横断型教育プログラムの1つに位置づけられているところでございます。
また、今後とも持続的プログラム運営のため、特任2名程度の人件費を確保して、基盤となる教員の強化に努めているところでございます。
最後のところですけれども、そのため、支援終了後の資金調達について、安定的な事業運営のために学内予算を引き続き要求していくというところでございますとか、寄附講座等の強化に努めているところでございます。
今後とも、このような民間企業や財団法人からの寄附、もしくは官民との共同研究に基づくプログラムを強化する方向で進めているところでございます。
4ポツのIMPP、一橋大学の拠点でございますけれども、人材育成につきましては、IMPP若手研究者3名が積極的に履修生の研究や論文執筆のサポートを行っております。
研究・基盤のところですが、関連ですが、IMPPの修了要件の1つとして、SciREXやIMPPに適した研究を実施し、学術論文2本を執筆することとなっておりますので、こちら、教育と研究を一体に進めているというところでございます。
ネットワーキングのほうは、OB会のIMPPフレンズを対面オンラインでのハイブリッド形式で開催しております。こちらのIMPPフレンズはフェイスブックの登録を行っておりまして、令和4年度も引き続き随時メンバーが投稿を行って、現役生とOB生の区別のない交流を進めているところでございます。
事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況につきましては、IMPPの設置科目は経営管理研究課経営管理専攻研究者養成コースの正式科目として認められておりますので、事業終了後の移行措置は継続が可能と考えているところでございます。
IMPPの事務機能を継続することにも大きな問題はないんですけども、さらに今後、自立化に向けた外部資金の獲得を目指した議論を教員間で重ねまして、活動を支える体制充実の検討を行っていく予定としております。
あとは、令和4年度につきましては、フルタイムとパートタイムのポスドクを計3名雇用したり、研究・論文指導に積極的に参加してもらっております。こうした若手教員を雇用するための外部資金の獲得を進める計画というふうなところでございます。
続きまして5ポツのSTiPSです。阪大と京大の拠点でございますけれども、人材育成、阪大につきましては、大学副専攻プログラムの「公共圏における科学技術政策」、大学院等の高度副プログラム「公共圏における科学技術政策」に加えて、本年度より新規開講の大学院副専攻プログラム、名前は同じ「公共圏における科学技術政策・研究プロジェクトプラス」という、この3つのプログラムを実施したというところでございます。
京都大学につきましては、「研究プロジェクト修了コース」「学際プログラム修了コース」の2つのプログラムを実施するとともに、それらの構成科目を再検討及び拡大するというところでございます。
研究・基盤につきましては、STiPS、阪大・京大では、科学技術の倫理的・法的・社会的問題や、公共的関与、責任ある研究・イノベーション、客観的根拠に基づく政策立案、こちらELSI、PE、RRI、EBPMでございますけれども、等の事例・実践方法に関する研究を行っているところでございます。
ネットワーキングでございますけれども、こちらはサマーキャンプへの参加でございましたり、あとは、国際連携活動としてOECDのバイオ・ナノ・コンバージングテクノロジーの作業部会内のプロジェクトに引き続き参画しているという状況でございます。
その他のところで、カリキュラムの発展及び拡充と、両大学における人材育成プログラムの発展方向性についての検討として、阪大・京大の参画教員で構成される推進委員会を実施しているというところでございます。
事業終了後を見据えた計画に対する進捗状況としましては、阪大では「学際融合・社会連携を指向した双翼型大学院教育システム」を中核とする「社会と知の統合」型教育を進めておりまして、その中核的・代表的な教育プログラムというところで位置づけられているところでございます。
また運営事務業務についても、先ほどのDWAAの事務運営を担う大学の国際共創大学院学位プログラム推進機構とCOデザインセンターの事務機能の連携強化が進みつつありまして、COデザインセンターの本体業務への内製化を進めていくというところで考えております。
京都大学のほうでございますけれども、こちらは学際融合教育研究支援センターに籍を置くユニットについて大学全体で見直しが実施されることとなっておりまして、政策のための科学プログラムを移管予定である大学院教育支援機構が、様々なユニットとの将来提携を検討することになっておりまして、移管に関する具体的な進捗というところはまだではありますけれども、一方で、大学院教育支援機構にてプログラムを継続することが適当との、一応、賛同のほうは得ているという状況でございます。
続きまして6ポツ、CITIPS、九州大学のほうですが、こちらは、令和4年度は拠点の人材育成プログラムが履修証明プログラム「科学技術イノベーション政策人材育成プログラム」として再スタートした最初の年に当たるところでございますけれども、前年度までの準備により、順調な立ち上がりというところになっております。
研究・基盤に関する取組につきましては、東アジアの環境イノベーションをテーマとする共同研究プロジェクトの発足に当たって、テーマの方向性に関する検討を必要としておりますので、こちらのほうを今後進めていくというところになっております。
人材育成につきましては、本拠点が人材育成プログラムとして運営してきました「STI政策専修コース」は、令和4年度より大学院経済学府との連携による「STI政策人材育成プログラム」として再スタートしております。令和4年度の履修者は12名となっておりまして、延べ履修者のほうも80名を超えているというところになってきております。
研究・基盤のほうにつきましては、民研調査のデータを活用した報告書及び論文の取りまとめに当たる形で実施したり、あと、共進化につきましては、産学連携事業として開始した「地域政策デザインスクール」の運営を、共進化を実現するための独自の活動として位置づけております。当年度も、一部の基礎自治体の協力を得まして同スクールを開講して、29名の受講者が自治体の提起する課題を解決するための政策立案に取り組んでいるというところでございます。
ネットワーキングにつきましては、アラムナイ・ネットワーク構築を掲げておりまして、令和4年度には修了生名簿を整理した上で呼びかけを行いまして、24名の参加意向を確認したところでございます。
続きまして、事業終了後を見据えた進捗状況でございますけども、STI政策専修コースを履修証明プログラムとして再スタートをさせているというところでございますけれども、既存の学位プログラムへの進学指導と進学御の研究指導を一貫してサポートする「STI政策人材開発トラック」を設置することになっております。
また、履修証明プログラムとこの「STI政策人材開発トラック」の責任部局を経済学研究院とし、これらの運営を担う教授1名を総長裁量により経済学研究員に配置したというところで、計画どおりに進捗しているというところでございます。
続きまして、連携機関のほうでございます。
7ポツ、RISTEXのほうでございます。こちらのほうは、令和4年度の活動概要としまして、政策ニーズを踏まえつつ、政策の形成や改善に将来的につながり得る基盤的な成果の創出を目指した研究開発を公募により推進していくというところでございます。
採択中の研究課題についてのマネジメントを実施するとともに、終了プロジェクトの終了評価というところを行ってございます。
公募につきましては、前年度中に企画・設定したテーマ(通常枠・共進化)を基に令和4年度公募を行ったというところでございまして、こちらは通常枠3件、共進化枠1件ということで採択をしております。
マネジメントにつきましては、ハンズオンマネジメントということで、エビデンスを政策に反映するよう、効果的な研究開発を進めているところでございます。
事業終了後の評価につきましては、令和4年度中に終了した5件のプロジェクトの評価を実施しておりまして、評価結果は公開しているところでございます。
続きまして8ポツ、NISTEPでございます。こちらは、研究基盤のほうでございますけども、大学・公的医療機関に関するデータ整備、産業の研究開発に関する基盤的なデータ整備、特許データを発明者個人のレベルで分析するための基礎となる発明者名寄せの手法やアルゴリズムについて研究を実施しているところでございます。
共進化につきましては、各大学のリサーチ・アドミニストレーターが実務向上を目指して活動している有志の集まりでございますけれども、こちらを月1回のペースで情報交換会を行って、実務実情及び機関名辞書活用向上に向けた知見を得ているというところでございます。
ネットワーキングにつきましては、令和2年度まで開催していた「関係機関ネットワーク」の後継となる取組として、データ・情報の整理と活用に詳しい専門家による検討グループを立ち上げまして、令和4年度には3回の会議を開催して、整備しているデータ・情報基盤のデータ構造の改善や、国際的なデータ連携を可能にするための方法等について検討した。
最後、事業終了後の状況でございますけども、データ情報基盤の整備につきまして、幅広い分析の基礎となるデータの整備の継続と、NISTEPの調査研究機能を強化しまして、様々な分析や、より深い分析を可能とする政策当局や外部機関等との協力や連携を進めるというところで取り組んでいるところでございます。
説明のほうは以上になります。よろしくお願いします。

【有信主査】どうもありがとうございました。ただいま事務局から報告がありました内容について、御質問、コメント等ありましたらよろしくお願いします。どなたからでも結構ですので、どうぞよろしくお願いします。
どうぞ、小林先生。

【小林委員】各拠点の活動の内容はある程度分かったんですけども、人材育成なのかネットワーキングなのか分からないんですが、拠点間の例えば若手の教員のスタッフの異動とか交流とか、そういうものは実際にあるんでしょうか。ただ別々にやっているだけで、人事交流とかそういうことはないんでしょうか。あるいは人事交流はなくても、結果的にそういうふうに渡り歩くというのもあり得ると思うんですが。

【有信主査】現状どうなっているか、事務局でつかんでおられれば。

【小野山企画官】事務局ですけども、そこにつきましては、もちろん各拠点間の取組、共進化であったり、もちろん学生レベルだとサマーキャンプとか、そういった活動を通じた連携はありますけれども、人事のところで、小林先生がおっしゃっていたとおり結果的に異動とかそういったことはあるかと思うんですけど、ただ、そこら辺については戦略的にそこまではできていないのではないかというような現状かと思っています。

【小林委員】個人的には、もうかなり年数もたってきているので、やっぱりいい経験は共有したほうがいいと思うので、意図的に例えば1年交代ぐらいで出向するとか(クロスアポイントメントを含む)、そういうことも含めて人材交流があってもいいと思うんですよね。
もっと言えば、必ずしも文科省ということではないんですけども、ネットワーキングの対象として、文科省その他、あるいは地方自治体等もあると思うんですけども、そことの人事交流だってあっていいはずです。
恐らく人材育成の結果、育成された方たちの中にはそういうところへ行った方たちもいると思うんですけども、今までの活動の様子を見ていると、そろそろ積極的に人事交流というやり方での共進化――共進化の新しい次元かもしれませんけども、そういうことも考えていいのかなという感じがしていました。
いずれしても、もう10年ぐらいたつので、単独で個別にやって走らせるのは少しもったいないという印象がありました。
以上です。

【有信主査】ありがとうございます。ほかに御質問等ありますか。
今の件に関しては、以前にはコアカリキュラムのようなものをそれぞれのところで発表したり、意見を交流させたりというようなことはあったと思います。今日の報告の中で、NISTEPでリサーチ・アドミニストレーターの有志の会をやっているという報告がありましたけども、この辺は何か関係ないんですかね。これは各拠点間のリサーチ・アドミニストレーターの集まりという形になっているんですか。ちょっと今の小林先生の話とは階層のずれた話になりますけど。

【小野山企画官】そうですね。ここについてはアドミニストレーターですので、教員とかそういったところとはちょっと別のフェーズというか、そういった中での集まりというところです。

【有信主査】これも、うまく機能すれば別の観点から様々な課題だとか問題が出てくるような気がするので、それをうまく使えるといいですよね。

【小野山企画官】それぞれ、そういうネットワーク化の取組というのは、一部書かせていただいていますけど、それぞれ取り組まれているところはあるんですけども、SciREX事業、SciREXコミュニティー、これに限らずですけども、それをよりうまく活用したり発展させていくというところを、もう少し視点なり考え方というのは、一度各拠点とも相談しながら検討してみたいというふうに思います。

【有信主査】ありがとうございます。
ほかに質問、コメントありましたらどうぞ。
奥和田さん、どうぞ。

【奥和田委員】ありがとうございます。教育プログラムで、かなり自立の道というか、ほかの学科との教科のカップリングで事業を継続できるとか、いろいろそういうことが少しずつ出てきたような気がして、そちらの方向へは進んでいるとは思います。でも、一番最初というか、この基本方針の中に書いてあったかどうかは分かりませんけども、最終的な段階ではそれぞれの教育プログラムが独立運営していけるような方向を目指す、みたいなお話が、たしか一番最初にあったと思います。そちらの方向へ向けて、どの程度行けているのかという、その程度感が分からないと思います。
このままで、あと二、三年したら、例えば、このプログラムが終わった後には独立して、あるいは自立して、教育プログラムを進めることができるのかどうかというところの見通し、進捗の程度感はいかがなんでしょうか。今の感じだと、その程度感が分からなかったんですけれども。

【有信主査】この辺、じゃあ少し説明をしていただければと思いますけど、どうですか。

【小野山企画官】こちら、もちろん15年事業をやっている中で、そういう教育的なところ、基盤的なところというのは自走化というところは、ずっとその方針でやってきておりまして、もちろん基本的には自走化というのが前提で進めていただいておりますし、実際、もちろんそれについてかなり進んでいる部分と、ただ、やっぱり少し苦しんでおられる部分、拠点の方というようなところで、拠点間で少し進捗度合いというのは違うところがあるというような認識です。すみません、ちょっと定量的、定性的な言い方ではあるんですけども。
そういった前提の上で、さらに今後このコミュニティーというか、それぞれやってきた取組をどう今後生かしていくかみたいなところはまた別の議論としてあって、そういった中で連携とかそういったところというのを考えていくというような順番というか、工程というか、そういった構造で考えていくのかなというふうには考えております。

【奥和田委員】その点は、フォローとしては重要かなと思っています。このプログラム終了後に、次のフェーズに行くときに、必ず「人材育成」というキーワードは続くと思います。その時に、今の拠点を継続的に支援しなければいけないのか、あるいは、うまくいかないところは、例えばカップリングさせて1つにまとめるとかいう案もあるでしょうし、あるいは、広げたほうがいいとかいうこともあると思います。こちらのところは少しウエートを減らして、新しいところの拠点をもっとやろうじゃないかという話もあると思います。その辺の程度、具合はしっかり見ていかなければいけないのかなと思います。次フェーズを考える上で、それは重要なポイントだろうと思います。

【有信主査】どうもありがとうございました。
それでは長岡委員、よろしくお願いします。

【長岡委員】ありがとうございます。フォローアップのこの内容を読ませていただいたんですけど、研究成果といいますか、これについてあまり議論がされていないというか、研究をやったということは書いてあるんですけども、やっぱり共進化の一つはエビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングで新しい境地を開くというところだと思いますので、毎年毎年、科研費のように研究成果報告書というのを書く必要はないのかもしれませんが、研究としてのコントリビューションですね、これももう少しエクスプレシットにコントリビューションが明確になると、今後の在り方を考えていく上でも非常に重要かなと思います。ちょっとそちらが、記述が弱いんじゃないかなという感じがしました。

【有信主査】どうもありがとうございます。もともとこれは人材育成拠点ということでスタートしているということもあり、その辺のところのウエートをどうするかということに関して、事務局から何か御意見ありますか。

【小野山企画官】すみません、そこのところは今回フォローアップとか抜粋・要約した資料の中でうまくそこが見せられていなかったり、各拠点のほうにお願いを十分できていなかったりというところではあるかと思いますが、もちろん事業終了が近づいていく中での成果をしっかり見せていくというところと、そういったところをベースに、次どうすべきかというところで、そういったところはより一層重要なタイミングではあると思いますので、ちょっと、どういう形でかの議論はあるんですけど、ちょっとそこら辺、もう少し事務局としてもまとめていくというところは考えていきたいというふうに思います。

【有信主査】もともとこの拠点で研究をどうやっていくかということに関しては若干難しい問題もあって、最初は人材育成拠点という形でそれぞれ認定して、それを運用していくという中で、やっぱり研究的な要素がないと人材育成も進まないということで、その研究をどういうふうに進めていくかというのは常にたしか議論があって、その一環としてRISTEXのようなところで公募型というような形で研究を進めるという方向の話も、一つは出てきていたような気がするんです。
その辺を含めて、全体をどういうふうに考えるかというのを整理したほうがいいかもしれないということかもしれないですね。

【小野山企画官】すみません、うまく質問を理解できなくて。そういった点では、もちろんこのプログラムは、基盤的なところは有形無形の成果というのはある中で、有形のところで、やっぱり人材育成で、必ずしも研究成果を求めているわけではないんですけども、しっかり研究としてそれなりに成果というか、しっかり認められているものでないと、実際にこのプログラムで支援している先生って若い先生も含めていますので、やっぱりポストを得ていかなきゃいけなかったり、そういった部分でしっかり研究自体はやれるようなところは、共進化のところも含めて意識していかなきゃいけないというふうには思っておりますので、そういったところも、全部ではないかもしれないんですけど、重要な一つのポイントだというふうには思っております。

【有信主査】そうですね。その辺の整備が、一気通貫できちっと分かりやすくなっているといいかもしれないということかもしれないですね。
長岡委員、よろしいですか。

【長岡委員】はい、よろしくお願いします。結構です。ありがとうございます。

【有信主査】ほかに御意見等ありましたらどうぞ。
吉本委員、どうぞ。

【吉本委員】最初の小林先生の意見とちょっと接点があるんですが、初期の頃は、例えば一橋大学がサイエンス系の学部がないということで、東京大学と一緒にやったらどうか、みたいな話もあったかと思うのです。その観点から、今回特に気になったのが、NISTEPとの連携です。エビデンスベースということであれば当然データの重要性というのがすごく高まってくると思いますし、NISTEPが持っているデータ基盤というのがあると思うんです。NISTEP自身も、国際的なデータ連携を可能にするためのネットワーキングなどもやっているということなので、各拠点がもう少しNISTEPとも連携し、エビデンスベースで共進化するために足りないデータとか、データ基盤整備の在り方はどうあるべきか、というあたりを、もう少し積極的に情報交流するような動きがあってもいいんじゃないかなと。以前もちょっとそういうことを申し上げた気がするんですけども。
あと、そのデータ連携、データ活用においては、これも以前申し上げたと思うんですけども、政府データだけではなく、今民間が持っているデータの中にも政策形成に有益なものがたくさんありますので、実際に政策のための科学に関わっている先生方から、何が足りないかというところも積極的にNISTEPに上げていく形で、そこから足りない情報を収集していくみたいな活動がもう少しあってもいいんじゃないかなと思ってコメントさせていただきました。

【有信主査】どうもありがとうございます。
この辺について何か補足的に説明することがあれば、よろしくお願いします。

【小野山企画官】ありがとうございます。ここの部分は、おっしゃるとおりデータ基盤とかデータ共有ですね、この分野、そういったものは一つ今後のポイントというか課題だというふうに思っていて、昨年度、文科省の委託の中で、データプラットフォームをどのように構築していくかという委託調査を実施しておりまして、こういったところはSciREX終了後の議論の中で、もう一つそういった機能をどのように構築していくか、連携していくかみたいなところは論点として挙がっておりますので、そういった中で議論というか、そういう役割とか機能みたいなものをどういったところで論じていくかとか、発展させていくかみたいなところは議論させていただければなというふうに思っております。

【吉本委員】ありがとうございます。

【有信主査】よろしいですか。それでは、ほかに質問とかコメントありましたら、どうぞ。特にないですか。
伊地知先生、どうぞ。

【伊地知委員】ありがとうございます。一番最初、小林先生がおっしゃっていたこととある程度重なるかもしれませんが、今御報告いただいて――すみません、対象としては人材育成拠点に関することですが――、終了後の方向性についてもある程度進んでいるところと、まだまだいろいろと努力されているというところとあるかと思っていたところです。ただ、その時に、いずれもお伺いしていると、まず専任教員数が、あるいは外部資金で行うにしても2名程度で、やはり教育という観点からすると、ある程度幅が広くないとならないのではないか。
つまりそれは、専任の先生が深く研究にコミットする部分はそれでもいいかもしれないですが、教育という観点からすると、一番最初にこの分野に参入される若い方に対して、ある程度幅広いものが提供されないと、全体像についていい情報を提供できないのでないかと。今せっかくこのように全国的にいろいろとそれぞれの専門を持っていらっしゃる先生方が取り組んでいらっしゃるので、そこをやはり何とかいい形で若い方に伝えていけるようなことがあるといいのではないかと、何かそういったことが全体として取り組まれるといいのではないかと思っています。そういった中で、多分個別には、比較的若手の先生方で、いろいろな機関間で研究プロジェクト等を通じて共同して活動されているところもあると思うのですが、単に研究にとどまらず、教育という部分でもどうにか共同した取組ができるといいのではないかと思いながら伺っていました。
方向性として、ただ、お伺いしていると、阪大は、学内でうまくいっているがために、かなりもう、そこで閉じてしまいそうな感じもしていて、何というか、難しいなという印象を受けました。うまくいっていると集中する引力が働いて、一方で、それでは外とつながるときにどうするのかとか、そこの難しさがあるように伺いました。
それから、これも15年近くなってきて、これを立ち上げられていたときの先生方がそろそろ、いろいろな形でリタイア等をされる。そのときに、やはり若手の方々でリードされていくであろう方々についてある程度目星がついているというような場合には、そこでうまく世代交代をしていくといいのではないかと思うのですが、ただ、今ここで資料を見ても、そこのところは具体的にどういった方がどういうようにされているのかということがよく分からないので、やはりこれから、終了後に中核として担っていただく先生方の状況も見えるといいのではないかと思ったところです。
私からのコメントは以上になります。

【有信主査】ありがとうございます。最初に小林先生から話があった拠点間のネットワークと、吉本先生からお話があったデータを含めていろいろ利用するということ。あるいは、新しく人材が入れ替わるときに、今のお話にありましたように、多分拠点全体を見渡した中で、人がうまく引き継がれるとか動くとか、そういうことも含めて考えられればいいんじゃないかというような感じの御意見がいろいろ出ていたと思います。
この辺のマネジメントを期待するのはSciREXセンターじゃなかったのかなという気もしてきているんですけど、事務局としてはSciREXセンターのマネジメントについて、ここにいろいろ進んでいるということは書いてありますけど、そういう観点を入れていくという点に関してはどうなんですかね。

【小野山企画官】その部分は、後ほどその他のほうで報告させていただきますけれども、そういった観点を含めてワーキングのほうを設置するというふうに考えておりまして、その中で各拠点の先生方、若い先生も含めて、今後どういったところ、SciREX、今のメンバーだけに限らず、多分ここから、SciREXから外に出てやっている方々もいますので、そういう今後のネットワーキングとか、こういった領域を進めていくかというところを、センターのほうが音頭を取ってワーキングをやるというふうに聞いていますので、そういった部分の検討が進むというところと、我々も共進化とか現在やっていますけれども、科学技術政策全体の中でこの領域をどう政策的に位置づけていくか、みたいなところというのは、ちょっと考えなきゃいけない部分もありますので、そこをうまく連動させる形で、一つ案をまとめていければいいのかなというふうには考えております。

【有信主査】どうもありがとうございました。
いろいろ御意見、コメント、どうもありがとうございました。この辺で1番目の議題については議論を終了させていただきたいと思います。
これ以降は非公開議題となりますので、事務局は傍聴者に関しては退出をお願いしていただければと思います。よろしくお願いします。

【松浦専門職】そうしましたら、非公開議事御参加の委員の皆様、それから限られた皆様以外、御退出をお願いいたします。

(傍聴者退出)

<【議題2,3】非公開議題>
「共進化実現プログラム第IIIフェーズの選定方向性について」「その他」について意見交換を行った。

【有信主査】それでは、どうもありがとうございました。これで第19回の科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』アドバイザリー委員会を終了させていただきます。どうも御参集ありがとうございました。御退出ください。

 ―― 了 ――

お問合せ先

科学技術・学術政策局研究開発戦略課

(科学技術・学術政策局研究開発戦略課)