卓越研究員制度検討委員会(第1回) 議事要旨

1.日時

平成27年2月9日(月曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省東館15階科学技術・学術政策局第1会議室

3.議題

  1. 「卓越研究員制度検討委員会」の議事運営について
  2. 若手研究者を取り巻く状況等について
  3. 論点整理
  4. 自由討議
  5. その他

4.出席者

委員

相田委員、大槻委員(代理:佐藤氏)、大場委員、金山委員、川端委員、國領委員、五神委員、清水委員、湊委員(代理:北川氏)、村瀬委員、森迫委員、山下委員

文部科学省

(科学技術・学術政策局)
川上科学技術・学術政策局長、岸本科学技術・学術政策局次長、村田科学技術・学術総括官、片岡人材政策課長、和田人材政策室長、近藤人材政策推進室室長補佐
(高等教育局)
豊岡国立大学法人支援課長、猪股大学改革推進室長

5.議事要旨

○本検討委員会の主査に五神委員が選任された。
○事務局より、資料1及び資料2について説明が行われ、資料2「『卓越研究員制度検討委員会』の運営について(案)」が了承された。
○事務局より、資料3から資料5までについて説明が行われ、特に、資料3及び資料5に基づき、若手研究者を取り巻く状況及び卓越研究員制度の目的等について意見交換が行われた。

【主な意見】
(基本的な考え方について)
○ 厳しい財政状況だからこそ、行政改革―人件費の削減が最優先という考え方を超え、日本の競争力という観点に立って、大学・研究機関の研究者の環境を維持、整備することは、今、きわめて重要。
○ 委員会での検討事項で、一番重要なことは、若手研究者をいかに育成していくかということ。若手教員の採用の際の審査・評価の内容についても検討すべきである。
○ 本委員会の焦点は、若手ポストをいかに確保していくかというところにあると思っている。そのためにも、国立大学だけではなく、国公私立大学、民間まで含めた議論をすべき。
○ パーマネント雇用の雇用経費をどのように組み立てるか。民間、競争的資金と連動した形で安定雇用に資する形にしていくべき。その上で、安定したポストを増やす中で、機関を超えた枠を構築し、スケールメリットを保つところに、今回検討する制度の意義があるのではないか。
○ 民間から資金が流れる仕組みとしてクロスアポイントメントを進めるなど、雇用財源の多様化を図るとともに、シニアの評価を適正に行っていくことが必要。また、博士号取得者のキャリアパスについて、半分は民間等の外部へと進む必要がある。出口の議論をしっかりとすべき。
○ 今後、安定雇用を増やそうとするのか。それとも、現在の中で質をあげようとしているのか。研究員の数は増えているが、任期付きになっているのが現状。パーマネント雇用の経費の質を変えるとともに、財源の転換をしていく必要がある。

(中堅・シニア研究者の流動性について)
○ 従前の小講座制では、教授-助教授―助手の構成が1-1-2であり、若手は上位職から研究・教育手法などを学ぶことができ、また良い意味で助手間の競争もあっ。今は、教授のポストが削られないため、1-1-1や1-0-1、あるいは逆三角形となっている。この不均衡な構造を解決しないと、テニュアポストを多くの若手が獲得することは難しい。
○ 大学によっては、現時点で、完全に逆三角形のピラミッド構造になってしまったところもある。若手ポストを確保していくためには、今の人件費の中では、教授を減らすしかない。各大学において、逆ピラミッドの是正することにより、若手ポストは捻出できるはず。
○ 若手だけにフォーカスしていても成立しない。中堅・シニアの流動化を進め、全体としての規模感を検討すべき。ある程度力がついた研究者は、雇用経費のベースを下げる代わりに、競争的資金により割り増し可能にすることで、より流動性を高めてもいいと思う。
○ オールジャパンで、中堅・シニアの流動化を進める方策を検討するべき。
○ 「不安定」という言葉の使い方に留意が必要。若手研究者はスキルアップのためにも、流動化すべきだという考えの下、助教に任期制は導入されてきた。任期制といっても、外部資金型で2~3年で雇用されている者と、基盤的経費で雇用されている者で10年あるいは再任可の実質無期で雇用されている者がある。

(国立大学の法人化について)
○ 科学技術に対する投資は全体として増えている。一方で、国立大学は、平成16年の法人化以降も法人化以前の状況から大きく変化しておらず、人事給与システムや退職手当の考え方が最適化できていない。
○ 法人化後、各大学の人事政策が易きに流れた。大学院重点化、定員削減、助手制度の見直し、ポスドク支援等々の政策も全体としてその後押しをした。法人化後も法人化以前のマインドにとらわれた定員削減や人事システム、その運用がなされている。各大学は、全体的な視点に立って、その人事政策を見直す必要がある。
○ 人事権は国から組織管理に移転された。かつての国研も国立大学も法人化され、人事権は各法人がもつようになっている。パーマネントであるかないかについて国が関与できなくなっている。
○ 若手のポストを増やすための解決策としては、各大学において教授を削減するということがあるが、国全体の中で全体最適化を図るべき。
○ 国立大学法人化後、ほぼ10年経過したが、大学間の給料の差異は生じていない。アメリカでは、各大学の給料が違っており、異動するインセンティブが働く。また、国立大学の授業料も横並びとなっている。国立大学法人の規制緩和を進め、各大学が独自に取り組めるように、より柔軟な制度としていくべき。
○ これまでは、G-COEなどの統一的な取り組みにより、均一な人材を育成する傾向があったが、今後は、各大学の独自性や多様性をしっかりと担保した上で、多士済済な人材が育成されるように国立大学を支援していかなければならない。

(中長期的に持続可能な仕組みについて)
○ 中堅、シニアの研究者をパーマネントでなく、任期付きにすることで、余計に若い人たちが将来に不安を覚える可能性もある。若手も年をとれば中堅・シニアになる。フローを考えて制度設計していく必要がある。
○ 研究者がsustainableに順繰りに回る仕組みをどう作るかがポイント。欧州においても、30年以上にわたり議論されている問題。優秀な者をいかに研究職にとどめるか。シニアであればあるほどキャリアパスも広がるのではないか。
○ 補助金のような制度では、数年後のポストは保証できない。国立大学の定員削減が進む限り、将来的なところを約束できないため、若手研究者を雇うことはできないという悪循環が続く。制度設計に当たっては、恒久性、持続可能性も考慮すべき。

(キャリアパスの多様化について)
○ 企業においては、一旦任期付きで採用したポスドクがその後正社員とならず、大学へ戻った場合でも、共同研究を行うなどつながりができるため、メリットはある。
○ 今回の制度の趣旨として、若手にとっても受け入れ機関にとっても競争が必要。優秀な研究者が全員教授ポストにつけるわけではないが、優秀な研究者は、社会に出ても活躍できる。制度の中で、ビジネスの方面に向かうという道筋が見えるようにすべき。
○ 全体の状況を見ると、縮小期だから問題がある。ある程度ボリュームがある民間を中心にするべき。産総研においても、ポスドクのインターンシップが行われている。就職の先延ばし制度にならないよう、企業マインドをつけることが重要。

(以上)

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