【資料2-1】次世代放射光施設検討ワーキンググループ(第3回)プレゼン項目1

所属:京都大学生存圏研究所
氏名:杉山 淳司

1.今後取り組むべき研究課題について

・想定される社会的・科学的課題及び各課題の解決にあたり、取り組むべき研究課題は何か。

 文化財科学、古生物学、考古学。蛍光X線、XAFS、粉末回折、赤外、CT等。測定精度と同時に大型サンプルのイメージングやそのデジタルストレージ、支援ソフトの充実。

2.次世代放射光施設に期待する貢献について

・今後取り組むべき研究課題に関して、次世代放射光施設に対してどのような貢献を期待するか。

 文化財科学は、遺物や芸術作品の非破壊検査解析から人類の叡智を学び、それを後世につたえるために保存・修復・維持する総合科学である。このような文理融合型の研究プロジェクトに先端科学が融合することにより、放射光が『社会を豊かにする革新的ツール』として高く評価される可能性が高い。 わが国のみならず東アジアの発展途上国にも古くからの歴史があり、国をあげて「文化力」の向上を目指している状況を考えれば、その中核としての国際貢献も期待できる。

3.次世代放射光施設に期待する運営の在り方について

・次世代放射光施設に対して、どのような運営のあり方を期待するか。

 文化財研究はそれ自身「新たな市場を拓く」ことが目的でなく、産業・経済への波及効果を期待するものでない。そのことが公募審査の段階等で不利にならないように、公開を原則としない「文化枠」の設置はどうか。
 文化財専用ラインを設け、文化財科学に詳しい人材をピームラインに雇用する。また放射光の利用を希望する文化財研究者、学芸員と放射光機構との間をとりもつ共同利用コーディネーター的な人材が必要。
 さらに進んで、文化財の診断の目的を兼ねて博物館に併用して専用ラインを建設するならば、文理融合、学際性の高い研究テーマの熟成の場として多いに期待できる。学生のインターン制度なども設けて、積極的に人と文化財が回るしくみを、文化財所有者、博物館機構、放射光機構との間で構築する必要がある。

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科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子放射線研究推進室

(科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子放射線研究推進室)