平成26年6月10日
文部科学省科学技術・学術政策局
我が国で放射光の研究が開始されてから約半世紀が経過した。この間、我が国では8つの機関で放射光施設が建設・運用され、放射光施設は物質の構造や性質の解析・分析等により、材料科学、地球科学、生命科学、環境科学、医科学などの様々な分野において、学術研究から産業応用まで広く利用される科学技術の進展にとって極めて重要な研究開発基盤となった。
加えて、近年(平成24年3月)には、X線自由電子レーザー施設SACLAが供用を開始して、我が国の放射光科学は新たな局地を開拓したが、平成9年より供用を開始した大型放射光施設SPring-8(以下「SPring-8」という。)や大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構の設置する放射光科学研究施設 Photon Factoryなど、これまで我が国の放射光科学を支えてきた放射光施設の老朽化が同時に進行している。さらに、国外では、SPring-8と同様の第三世代放射光施設であるAPS(Advanced Photon Source)やESRF(European Synchrotron Radiation Facility)のアップグレードの検討や、中型高輝度放射光施設の建設計画が進められている。
翻って、我が国は人口減少や少子高齢化の急速な進行、地球環境問題等の難題が山積し、これらを打開するために科学技術イノベーション政策に期待される役割はますます増大している。このことは、現状の我が国の科学技術イノベーション政策において研究開発基盤として大きな位置を占める放射光施設について、我が国が直面する課題に大きな役割を果たしていくことが求められているものと考えられる。このような中、想定される社会的・科学的課題に関して、学術界が切り拓く新たなサイエンスや産業界が目指す製品開発等に対し、放射光に期待される貢献とは何か、また、その期待に応えるのはどのような放射光施設であるのかを明らかにすることが喫緊の検討課題である。
このため、我が国内外の放射光施設をとりまく現状と我が国が直面する課題を踏まえ、我が国が国際競争力を維持・向上し、社会的課題解決や新たなサイエンスの開拓等に資する次世代放射光施設の選択肢を得ることを目的として、次世代放射光施設検討ワーキンググループを設置することとする。
平成26年6月10日~平成27年3月31日
本会議の庶務は、研究開発基盤課量子放射線研究推進室が処理する。
科学技術・学術政策局研究開発基盤課量子放射線研究推進室