「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」の見直し・運用改善等に関する協力者会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成25年12月27日(金曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省東館15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 審議のまとめ(案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(委員)金澤主査、市川委員、大島委員、小林委員、中村委員、三木委員、南委員
(協力者)小原科学技術振興機構参事役、佐久間日本学術振興会研究事業部長

文部科学省

冨岡大臣政務官、土屋科学技術・学術政策局長、川上政策評価審議官、伊藤科学技術・学術政策局次長、松尾人材政策課長 他

5.議事要旨

○事務局より、資料1から資料3に基づき、審議のまとめ(案)について説明が行われ、その後、意見交換が行われた。
○次に、小林委員より資料4-1及び資料4-2に基づき、日本学術会議科学研究における健全性の向上に関する検討委員会が平成25年12月26日付けで公表した「提言 研究活動における不正の防止策と事後措置-科学の健全性向上のために-」について説明が行われた。

【主な意見】
(「はじめに」について)
・不正行為は駄目だというところから始まっているが、なぜ駄目なのかというところも示すべきではないか。
・国民の利益を守るという国としての姿勢を盛り込むと、納得が得られやすいのではないか。
・研究成果の質を維持・向上させていくためにも、不正行為への対策が必要だという観点を盛り込むとよいのではないか。

(不正行為の定義について)
・いかなる場合においてもやってはならない不正行為と、各学協会の規則に準じ、してはならない行為の2種類がある。各学協会のルールに抵触する行為についても、不正行為として扱うべきではないか。
・プロジェクト型の研究の場合、どこまでが自分の研究なのか切り分けができないところがある。プロジェクトに属する学生が、あたかも全ての研究を自分が行ったかのように論文を書いた場合、過失であったとしても不正行為に該当するのか。不正行為の定義が非常に難しくなっているので、明確にする必要があるのではないか。

(二重投稿の定義について)
・二重投稿の定義は何か。かつて自分が発表したものと同じデータを基に、新たに論文を執筆し発表した場合も、二重投稿というのか。
・現在米国で最も問題となっているのは、同時期の二重投稿である。米国のジャーナル等では、同時期に同一内容の論文は1つのジャーナルにしか投稿してはならないという投稿規程を設けており、これに違反した場合を二重投稿と定義している。時間差がある二重投稿は、適切な引用がなされていない行為であり、二重投稿とは別のカテゴリーになるのではないか。
・海外のジャーナルに英語で執筆し投稿した論文を、日本において日本語で新たな論文として投稿するのは二重投稿に該当するのかどうか、以前よく問題になっていた。
・ジャーナルに投稿するのであれば、その投稿規程に従わなければならない。もし多くの日本人研究者が投稿規程に従わないという事態になった場合、日本人の論文に対する信頼が失われてしまうことにつながり得る。

(捏造(ねつぞう)・改ざん・盗用以外の行為の扱いについて)
・審議のまとめにおいて、二重投稿やオーサーシップについて、倫理教育の中で研究者として行ってはならないこととして十分に理解させることが「望ましい」とするだけでよいのか。「十分に理解させることが求められる」「必要である」くらい強く踏み込んではいかがか。
・捏造(ねつぞう)・改ざん・盗用以外の行為については、研究者に対して倫理教育を行い、理解を促すのと同時に、学協会や学術コミュニティにおいて、どのように対応していくのか明確にすることも必要ではないか。
・現行のガイドラインでは、第1部において、重複発表や不適切なオーサーシップも不正行為の代表例としており、不正行為の定義のようにも見え、混乱を招く。新たなガイドラインでは、示し方を工夫する必要があるのではないか。
・二重投稿や不適切なオーサーシップなど、不正行為として定義がしにくい行為は、定義せず、例示するだけでも十分ではないか。

(調査の迅速性・透明性ついて)
・どのような情報をどの時期までに公表すべきなのか。
・少なくとも、本調査の要否が決定した段階で文部科学省に報告をしてもらう。また、本調査の結果、不正が認められた場合、調査結果を公表していただく。
・当該の研究機関における不正事案に関する調査がなかなか進まない場合、誰がどのように勧告・助言を与えていくのか。
・基本的には不正行為の疑いが生じた当該研究機関で調査を行ってもらうのが原則。一定の期間でその調査が完了しない場合は、国から指導を行うこととする。新たなガイドラインでは、各研究機関に対してガイドラインに基づく体制整備を求めることとするため、体制の不備があったり、調査が不十分であったりした場合には、国からも指導を行いつつ、改善が図られない場合は、間接経費の削減等の措置を講じることも検討する。第三者機関の専門的な視点がどうしても必要ということになれば、日本学術会議から専門家を派遣してもらいながら進めていく仕組みも考えられる。

(データの保存・公開について)
・データの保存・公開の義務付けをするのは各研究機関でよいか。第三者的な機関で保存することが必要とならないのか。
・研究機関で保存していただくというのが原則。
・実験ノートは保存しておくのが当たり前だが、試料や試薬、あるいはそのサンプルの一部を保存するのは、特に生物系の研究では非常に難しいのではないか。
・分野によって状況が異なるため、一律に決められない。基本的にデータの保存は、不正行為の疑いが生じた場合に、証拠として検証できるようにしておくことが目的である。分野によっては、追跡実験ができるノートを書くだけでもよいかもしれない。分野ごとにルールを決めることが必要だと考えられる。学協会や学会がルールを決められるのであれば、それに合わせることも可能である。
・一定期間以上は保存しなくても落ち度にならないとするべきではないか。不正防止という意味だけではなく、研究者を守るためにも、保存期間の目安はできる限り示しておくべきである。

(倫理教育プログラムの受講について)
・大学院生に対しては倫理教育プログラムの受講を非常に厳しく求めているが、教員に対しては、「倫理教育プログラムの受講を推奨することが望ましい」と書かれており、やや甘い印象がある。もう一歩踏み込んで、「倫理教育の受講が求められる」とすべきである。教員が受講すれば、指導を受ける大学院生の意識も変わるはずである。
・倫理教育をファカルティ・ディベロプメントの一つとして位置付けることも考えられるのではないか。

(調査期間の目安又は上限の設定について)
・調査期間を各研究機関が規程で定めるよう求めた方がよい。現在、目安がないために実際の調査期間が長くなっているとも考えられるので、調査期間を設定する際は、調査期間の実例よりも短く設定するべきではないか。
・調査に遅延が生じた場合、間接経費の削減措置の対象となるのであれば、調査期間を短く設定することとなると、研究機関としても厳しいのではないか。
・調査に時間がかかる事案であることが合理的な理由が説明されていれば、間接経費の削減の措置を講じないこととするのではないか。各研究機関に対して説明責任を求めるためにも、調査期間の目安の設定自体は必要であると考える。
・研究費の不正使用のガイドラインで定める調査期間とも食い違いがない形で示したい。

(ガイドラインの見直し等の検討成果の共有について)
・他府省だけではなく、日本における研究機関全て、研究者全体で共有すべきものである。


(了)

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