海洋環境放射能調査検討会(第1回) 議事録

1.日時

平成24年2月13日(月曜日) 13時30分~15時40分

2.場所

文部科学省3階第2特別会議室(東京都千代田区霞が関3-2-2)

3.議題

  1. 海洋環境放射能調査検討会の開催について
  2. 海洋環境放射能総合評価委託事業の成果に関する評価・検討について
  3. 海域モニタリングの今後の方向性の検討について

4.出席者

委員

花輪主査、青野委員、荒巻委員、石川委員、長見委員、乙坂委員、安江代理委員、中田委員、深澤委員、古谷委員、山下委員、山本委員、吉田委員

文部科学省

渡辺科学技術・学術政策局次長、明野原子力安全課長、田村防災環境対策室長、木村国際交流推進官、高岡防災環境対策室長補佐

5.議事録

 7.議事録

【田村室長】 それでは定刻となりましたので、海洋環境放射能調査検討会を開始させていただきたいと思います。私、冒頭の進行を担当させていただきます文部科学省の防災環境対策室長、田村でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、議事に先立ちまして、文部科学省科学技術・学術政策局長の土屋から、ごあいさつ申し上げたいと思います。

【土屋局長】 文部科学省の科学技術・学術政策局長の土屋でございます。本日は、先生方、大変ご多忙の中、この検討会にご出席いただきましてありがとうございました。

昨年の3月11日に発生しました福島第一原子力発電所事故に関係いたしまして、文部科学省は政府の中で、今日ご検討いただきますモニタリングと、それから原子力損害賠償、この2つを中心に対応しておるところでございますが、特にモニタリングについては、事故の影響についての国民の非常に関心が高いところでございまして、こちらモニタリングについては、政府全体としても非常に重要視しておるところであり、文部科学省が政府の中の取りまとめ役ということで、関係各省庁あるいは自治体、関係機関、総力を挙げた取り組みができるよう全体調整をしておるところでございます。

今日ご検討いただきます海域モニタリングでございますが、モニタリング調整会議、政府のモニタリングの司令塔でございますが、こちらで決定しました総合モニタリング計画がございまして、これに基づいて海洋における放射性物質の拡散状況の把握あるいは事象の解明に努めてきておるところでございますが、事故から1年という現在、むしろ海洋モニタリング、海域の汚染状況の把握については関心がどんどん高まっておるところでございまして、実は、本日開催中の国会におきましてもご質問があるということで、この海洋モニタリングについての調査、具体的には放射性物質による海洋汚染への懸念に対応した部分でございますが、実際の海産生物あるいは海底の土、泥等における汚染状況について、より的確な調査を行うことが求められております。

したがいまして、今日お集まりの先生方にご議論いただきまして、今後の海域モニタリングのあり方について専門的お立場からご意見をお伺いし、今後の的確な海域モニタリングの実施の具体化につなげてまいりたいと考えておるところでございます。何とぞよろしくお願いいたします。

また、この検討会では、文部科学省において従来より委託事業として実施しておりました海洋環境放射能総合評価事業についての成果につきましても、先生方の専門的なご見地から評価検討を行っていただきまして、今後の地元関係者への説明等に活用させていただければと考えております。

以上でございますが、先生方からの忌憚のないご意見を賜りまして、今後のモニタリング関係行政をはじめ、文部科学省の行政活動に生かしてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

【田村室長】 どうもありがとうございました。なお、本日は、土屋局長におかれましては、次の会合予定がございますので、これで退席させていただきたいと思います。

【土屋局長】 どうもすみません。よろしくお願いいたします。

(土屋局長退室)

【田村室長】 それでは、事務局の位置を変えさせていただきたいと思います。恐縮でございます。

それでは引き続きまして、議事に入ります前に、今回が本検討会の初会合ということになります。私から委員の皆様方のご紹介をさせていただきたいと思います。

まず、本検討会の主査には、東北大学大学院理学研究科の花輪委員にご着任いただいております。それでは、花輪先生より、一言ごあいさつをちょうだいできればと思います。

【花輪主査】 ただいまご紹介いただきました東北大学大学院理学研究科の花輪と申します。本検討会の主査を仰せつかりました。皆様、どうかよろしくお願いいたします。

昨年3月に起こりました原発事故により、大量の人工放射性物質が海洋にも流出いたしました。海洋は大気や陸上と違い、長い間、放射性物質を含む海水が拡散しつつ広がっていきます。また、一部は海底に落ちますが、それが再び巻き上がって別の場所へと移動することも懸念されます。さらに陸上に降りました放射性物質が降水などにより河川に入り、海にまたそれが流れ出ることも考えられます。この意味で、海洋における放射性物質の移動や拡散がまさに現在進行しつつあると考えなければならないと思います。そのような中で、今後の海洋における放射性物質のモニタリングはどうあるべきか、大変重要な課題に当たります。本検討会の所掌事項の2つのうちの1つがこれに当たります。皆様方のご協力を得て、適切なモニタリング計画を策定できたらと考えておりますので、皆様のご協力よろしくお願いいたします。

【田村室長】 ありがとうございました。

それでは引き続きまして、私から各委員のご紹介をさせていただきたいと思います。まず、五十音に従いまして、独立行政法人放射線医学総合研究所の青野委員でございます。

【青野委員】 よろしくお願いします。

【田村室長】 続きまして、独立行政法人国立環境研究所の荒巻委員でございます。

【荒巻委員】 よろしくお願いします。

【田村室長】 京都大学大学院理学研究科の石川委員。

【石川委員】 よろしくお願いします。

【田村室長】 財団法人日本消費者協会の長見委員。

【長見委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 それから、独立行政法人日本原子力研究開発機構の乙坂委員。

【乙坂委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 それから、福島県生活環境部原子力安全対策課の小山委員。本日は小山委員の代理といたしまして、安江委員にご出席いただいております。

【安江代理委員】 よろしくお願いします。

【田村室長】 引き続きまして、独立行政法人水産総合研究センターの中田委員。

【中田委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 独立行政法人海洋研究開発機構の深澤委員。

【深澤委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 東京大学大学院農学生命科学研究科の古谷委員。

【古谷委員】 古谷でございます。よろしくお願いいたします。

【田村室長】 京都大学フィールド科学教育研究センターの山下委員。

【山下委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 金沢大学環日本海域環境研究センター低レベル放射能実験施設の山本委員。

【山本委員】 よろしくお願いいたします。

【田村室長】 それから、全国漁業協同組合連合会の吉田委員。

【吉田委員】 吉田でございます。よろしくお願いいたします。

【田村室長】 よろしくお願いいたします。本日は、代理出席の方を含めまして、13名の委員の皆様にご出席いただいております。なお、資料1―1―2には、委員名簿をお配りいたしておりますので、適宜ご参照ください。

それでは、以後の議事を花輪先生にお願いしたいと思います。花輪先生、よろしくお願いいたします。

【花輪主査】 ありがとうございます。それでは、本日の議事を進めたいと思います。まず、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【田村室長】 それでは、配付資料を確認させていただきたいと思います。まず、「議事次第」でございます。その下が資料1-1-1「検討会の開催について」、資料1-1-2「委員名簿」、資料1-1-3「議事の公開等について(案)」、それから資料1-2-1「平成22年度海洋放射能調査結果」、引き続きまして、資料1-2-2「漁場を見守る」というタイトルが書いてございます資料、それから資料1-2-3「平成23年度海洋放射能調査結果(速報版)」でございます。それから資料1-3「海域モニタリングの今後の方向性(案)」でございます。それから参考資料といたしまして、参考資料1「総合モニタリング計画」、それから参考資料2「今後の海域モニタリングの進め方」、それから横表でございますが、「食品中の放射性物質をめぐる対応のスキーム」という図を机上に配付させていただいております。

以上でございますが、過不足ございましたら、適宜事務局にお申し出いただければと思います。よろしくお願いいたします。

【花輪主査】 過不足ございませんでしょうか。よろしいですか。

それでは、議事次第に従いまして、議事を進めさせていただきます。まず、(1)「海洋環境放射能調査検討会の開催について」ということで、この件につきまして、事務局から説明、お願いいたします。

【田村室長】 資料1-1-1に基づきまして、検討会の開催についてということでご説明申し上げたいと思います。私、文部科学省の防災環境対策室長の田村でございます。

まず、資料1-1-1でございますが、検討会の目的等々について、資料にまとめさせていただいてございます。先ほど、土屋局長からもご説明のありましたとおり、東京電力福島第一原子力発電所事故に関する放射線モニタリングにつきましては、昨年7月にモニタリング調整会議が開催されまして、今後の計画的かつ確実なモニタリングの実施ということを目的に、関係省庁それから自治体及び事業者等々、連携によって放射性モニタリングを行っていくということで、昨年8月、総合モニタリング計画を策定いたしまして、海も含めたモニタリングを実施してきたという経緯になってございます。

2段落目で書かせていただいてございますが、海域モニタリングにつきましても、昨年10月、こちら参考資料2でお手元にお配りしているところでございますが、今後の海域モニタリングの進め方ということで、調査海域を拡大あるいは測点を増加する等々のモニタリングの見直しを行いながら今日に至っているところでございます。

他方、事故発生から約1年が経過してございます。そういった中においても放射性の濃度そのものについては、低減傾向が見られる一方、海産生物に関する社会的関心が高まっている。あるいは今年の1月にはモニタリング調整会議第3回が開かれたわけでございますが、その中でも海域モニタリングの強化を今後図っていくことに関しての重要性というところが再確認されたという経緯になってございます。

そういった状況を踏まえまして、今後の海についてのモニタリングについて、より合理的かつ効果的なモニタリングを行うため、専門家の技術的あるいは専門的な知見といったものを集約し、今後のモニタリングのあり方をきちんと定めていきたいということを念頭に、この検討会を開催させていただいている次第でございます。

それから、最後の段落にも書きましたけれども、もう一方では、やはりこういった関心の高い海域モニタリングにつきまして、文部科学省では、こちらに書いてございます委託事業、海洋環境放射能総合評価事業というものを従前からやってきたところでございますが、その結果に関する評価及び検討を行うこともこちらの検討会におけるテーマとして設定させていただきたいと考えている次第でございます。

2ポツのところで検討内容を書かせていただいてございますが、まず、海域モニタリングの今後の方向性といたしましては、従前からの取り組みの状況であるとか技術動向を踏まえた技術的課題の検証あるいは今後のモニタリングのあり方につきまして、専門家のお立場からの意見を集約させていただきたいということ。それから海洋環境放射能総合評価の成果につきましても、専門家のお立場からの評価検討を行っていただきたいと考えてございます。

裏面の(2)の米印でも書いておりますとおり、本日ご報告させていただく成果といたしましては、平成22年度それから23年度を予定させていただいてございますが、こちらでの委託事業の委託先は海洋生物環境研究所にお願いして、成果を取りまとめているところでございます。

3ポツで今後の検討の進め方でございますが、海域モニタリングの今後の方向性につきましては、本日の会合において意見聴取をさせていただいた上で、今月中を目途に各委員からのご意見を引き続き集約させていただき、取りまとめたいと考えております。取りまとめた意見につきましては、3月中に今後、改定を予定しております総合モニタリング計画あるいは海域モニタリングの来年度平成24年度の海域モニタリング実施計画へ反映させていただきたいと考えている次第です。

それから(2)総合評価事業でございますが、本日の会合におけるご評価をいただいた結果を踏まえまして、関係漁業組合、関係自治体、関係団体等々へご説明することを予定させていただいてございます。

なお、こちらの評価事業につきましては、次年度以降についても同様に評価が必要となる年度の委託事業成果につきまして、引き続き評価をご検討いただきたいと考えている次第です。

本検討会の位置づけでございますが、科学技術・学術政策局長の私的検討会とし、庶務は私ども防災環境対策室で処理していきたいと考えてございます。

それから引き続きまして、資料1-1-2が先ほどご紹介申し上げました委員名簿となっております。

それから、資料1-1-3でございます。本検討会における議事の公開等について、事務局からご提案申し上げた次第です。まず、1番目でございますが、議事それから配付資料については公開。それから議事内容につきましては、まず事務局において、検討会終了後、速やかに議事要旨を作成し、公表する。3番目でございますが、議事録については、委員等関係者によって内容が確認され次第、速やかに公表するという運用にさせていただきたいと考えております。

なお、資料1-1-3につきましては、事務局からの提案(案)とさせていただいてございますが、提案の内容でございますので、本検討会においてご審議いただきまして、ご了解いただき次第、こういった方向で進めさせていただきたいと思います。

説明は以上でございます。

【花輪主査】 ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見等がありましたら、ご発言お願いしたいと思います。資料1-1-1では、背景それから所掌事項、今後の予定等々が書かれております。ご質問、ご意見ありますか。よろしいでしょうか。繰り返しですけれども、所掌事項は大きく2つありまして、一つはこれまでも行われてきました海洋環境放射能総合評価事業の評価が1点。2点目が今後の海域モニタリングのあり方の検討になります。よろしいでしょうか。資料1-1-3は、本会の議事の公開等についてのご提案です。これについて、ご意見ございますでしょうか。このとおり、運用してよろしいでしょうか。いいですか。どうもありがとうございます。

では、1-1-3の資料の議事の公開等については、このとおり行うということで、「案」を取らせていただきます。どうもありがとうございました。

次の議題に移ります。(2)です。「海洋環境放射能総合評価委託事業の成果に関する評価・検討について」。まず二つあります。一つは平成22年度、もう一つが平成23年度で、まず、平成22年度の調査結果について議論したいと思います。平成22年度と申しますのは、事故の前までの調査結果の報告で、平成23年度が事故後の調査結果の報告になります。

まず、平成22年度の調査結果について、資料を用いまして、事務局より説明いただき、質疑を行いたいと思います。また、この委託事業ですけれども、本日初めてお聞きになる委員の先生方もいらっしゃると思います。そこで事務局からは、この事業概要の説明もあわせてお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

【高岡補佐】 それでは、ご説明に入らせていただきたいと思います。私、防災環境対策室で室長補佐をしております高岡と申します。よろしくお願いいたします。

それではまずは概要という形でご説明をしたいと思いますので、お手元のパンフレットで、資料1-2-2がございます。こちらからご説明をさせていただきたいと考えております。

まずは表紙をめくっていただいたところ、「はじめに」がございます。本事業は原子力施設周辺の海洋の環境放射能調査を行っているものでございまして、昭和58年度から原子力発電所周辺海域の調査を開始しております。また、平成2年度からは核燃料サイクル施設沖合も対象として追加をしているところでございます。

ページをめくっていただきまして、左側のページ「事業の仕組み」でございますけれども、文科省から海洋生物環境研究所へ委託をして報告を受けている形でございます。その報告をもちまして、本日のような検討会の場で評価していただいた結果を関係省庁、関係団体等々に公表している形で実施をしていっております。

その隣のページ、「調査海域」という形でございますけれども、こちらで原子力発電所等周辺海域としまして、泊発電所があります北海道海域から南は川内発電所がございます鹿児島の海域まで15の海域を原子力発電所の周辺海域として実施しております。青森にあります、オレンジ色になっているところでございますけれども、核燃料サイクル施設沖合海域の調査海域という形でございまして、これら15足す1で、これらの主要漁場を対象として実施をしていっているところでございます。

次のページ、「調査試料」という形で書いております。調査対象としている試料としましては、大きく3つ、海水の試料それから海底土の試料それから海産生物試料という大きく分けると3種類を対象として放射能の分析を行っているところでございます。下の写真では、海水の試料を大型採水器を用いて採水しているところ。それからその隣にいきますと、海底土の試料ということで、採泥器を海中におろしまして引き揚げてくるという形でございます。上は海産生物でございますけれども、こちらは漁業協同組合さんの協力を得て収集を行って、それを測定のための前処理をしていっているという形でございます。

次のページに行きますと、分析する放射性核種ということで、発電所の周辺海域ではストロンチウムとセシウムです。ストロンチウムは海水だけですけれども、セシウム-137については、海水、海底土、海産生物試料という形で実施しております。一方、核燃料サイクル施設の沖合の海域では、先ほどのセシウム、ストロンチウムに加えまして、トリチウム、プルトニウムも分析をしているところでございます。

概要といたしましては以上でございまして、次に、資料1-2-1という大きい冊子をごらんいただければと思います。

まずは3ページを開いていただきまして、こちらもパンフレットで見ていただきましたとおり、平成22年度も同じ海域を実施していっております。原子力発電所等の周辺施設、以下発電所海域と称しますけれども、その発電所海域15海域と核燃料サイクル施設沖合海域。以降、核燃海域という形で称させていただきます。それの調査を行いました。

4ページをごらんくださいませ。採取・分析していっています試料といたしましては、先ほどもお話しさせていただいたとおり、大きく3種類ということで、海産生物試料それから海底土試料、海水試料という形でございます。試料の採取につきましては、海産生物試料の収集する魚種の選定とか各調査海域での海底土及び海水試料の採取測点の選定に当たりましては、学識経験者等による技術的・専門的立場からの指導・助言を得るとともに、地方自治体、水産関係、原子力関係事業者団体の意見等々も聴取いたしまして、原子力施設周辺放射線監視事業等との重複を避けるような形で実施をしていっております。

海産生物については、5ページに記載しているとおりの魚種を対象としております。調査の海域の主要な漁場におきまして、漁獲量が多くて、その漁場での生活期間が長い魚種につきまして、漁業協同組合さんの協力を得て、発電所の海域としては1魚種について生鮮重量が20キロを1試料として、核燃海域では30キロを1試料として収集しております。海産生物を発電所海域では、それぞれ3魚種、核燃海域では15種を年2回収集いたしまして、前処理を行った後、放射性核種分析を実施しているところでございます。

海底土、海水の試料の採取測点としましては、各発電所海域について4採取点を行っております。それにつきましては、後ろの19ページ以降になるんですけれども、19ページから25ページの図2(1)から(13)までで、それぞれの海域の測点を示しております。また、核燃海域におきましての採取測点は22測点ございまして、こちらは26ページの図で示させていただいているところでございます。

採取測点につきましては、当該海域の主要漁場でありまして、海底が砂泥質の場所にあることに留意して定めております。海底土の試料は、発電所海域及び核燃海域におきまして、各調査海域の採取測点で、平成22年度の5月上旬から6月中旬にかけて年1回、海底土はその時期に表面から深さ3センチまでの層を湿重量で約2キロずつ採取しております。海水につきましては、1メートルの表層と海底から10から40メートル上の下層の2層につきまして、発電所海域では平成22年度の5月上旬から6月中旬にかけて年1回100Lずつ、核燃海域では平成22年度の5月下旬から6月上旬及び10月上旬から下旬の年2回300Lずつ採取していっております。

次に、放射性核種の分析というところでご説明をしたいと思います。核種につきましては、8ページの表2に記載させていただいているとおりでございます。これらの分析対象放射性核種に関しましては、原子力施設の排水や放射性降下物等が含まれる放射性物質に占める比率が高くて、物理的半減期が比較的長い核種。海産生物や海底土に蓄積される性質が強い人工放射性核種や、海産生物、海底土から検出される例が比較的多い自然放射性核種という観点から選定をしていっております。これらの核種を分析していくわけですけれども、文科省で出させていただいている放射能測定法シリーズに基づいて行っております。

それぞれの試料につきましての分析について、6ページに記載させていただいております。海産生物試料につきましては、凍結して送付されてきた試料を半解凍して、表面の水分をふきとった後、海産生物試料は肉の部分と内臓等に分けて、肉の部分を分析試料として、105度で乾燥した後、450度で24時間灰化しております。灰化した試料を0.35mmのふるいにかけて、混入した小骨等を取り除いてやっております。なお、核燃海域等でとれますイカナゴ、カタクチイワシ等につきましては、体が非常に小さい、全体を食べるということから魚全体を分析対象としております。

海底土につきましては、こちらも凍結された試料を105度で乾燥した後、磁製の乳鉢で摩耗して塊を崩した後、2mmのふるいに通しまして、乾燥細土として分析試料としております。砂質の試料はそのままで、粘土質の試料は細かく砕いてよく混合して分析試料としております。

海水でございますけれども、採取した海水20L当たり40mLの6モル塩酸を添加したものを分析試料としております。

核燃海域につきましては、調査対象核種としているトリチウム用の海水試料には、測定法に基づきまして6モルの塩酸を添加せずに、そのまま分析試料しているところでございます。

発電所海域におきましては、海産生物、海底土分析試料がセシウム-137のガンマ線等につきましては、ガンマ線のスペクトロメトリーでやっております。海水につきましては、化学分離した後、ストロンチウム-90及びセシウム-137につきまして、ベータ線計測によって、一部の試料につきましては、セシウム-134と137をガンマ線のスペクトロメトリーにより測定をしております。

核燃海域におけます海産生物、海底土の分析は、ストロンチウム-90をベータ線、プルトニウムをアルファ線ではかっております。ガンマ線放出核種につきましては、ガンマ線スペクトロメトリーを実施しております。海水につきましては、電解濃縮した後、トリチウムを液体シンチレーションそれから化学分離した後、ストロンチウム-90をベータ線計測、プルトニウムについてはアルファ線のスペクトロメトリー、ガンマ線放出核種をガンマ線のスペクトロメトリーによって測定をしております。

それぞれの試料ごとの検出目標レベルで、9ページ、10ページに表で示させていただいているところでございます。例えば、海水の試料では、セシウム-137で0.2mBq/Lという目標レベルで設定して実施をしていっております。

それで、こちらから22年度の分析結果をご説明していきたいと思います。11ページからまとめさせていただいております。まずは、1-3-1で、海産生物試料でございます。90試料を魚類、イカ・タコ類及びエビ類と分類しておりますけれども、発電所の海域で検出された人工放射性核種はセシウム-137でありました。その濃度は過去の測定値の一番下でありました0.039(Bq/Kg)を下回る0.034(Bq/Kg)というのもありましたけれども、ほぼ過去5年間の測定値と同程度でしたという形でございます。

それぞれの詳細データは、後ろに載っておりますけれども、31ページから45ページに記載しておりますが、こちらでは説明を割愛させていただきたいと思います。

表の下になりまして、核燃海域の試料ということで、こちらは30試料やっております。検出された人工放射性核種はセシウム-137、プルトニウム-239+240であります。ストロンチウム-90は検出されませんでした。セシウム-137は過去5年間の測定値の範囲内でございました。プルトニウム-239+240でございますけれども、魚が1試料、イカ・タコ類が1試料が過去5年間の測定範囲を超えたものもありましたけれども、過去に検出された濃度も考慮いたしますと、自然変動範囲内であろうと考えられます。これらも考慮いたしますと、プルトニウム-239+240の濃度も過去5年間の測定値とほぼ同等であろうと言えると考えております。こちらの詳細なデータも46ページから53ページに記載させていただいております。

その次、1-3-2でございますけれども、こちらは海底土についての結果でございます。発電所の海域全60点で検出されました人工放射性核種としては、セシウム-137でありました。その濃度は過去5年間の測定値の範囲内でございました。こちらもデータとしては57ページ以降に記載させていただいております。

その下の核燃海域の22測点でございますけれども、こちらで検出された人工放射性核種としましては、ストロンチウム-90、セシウム-137、プルトニウム-239+240でございました。これらの濃度も過去の5年間の測定値の範囲になっております。こちらのデータも72ページ以降に記載させていただいております。

その次が1-3-3、今度は海水の試料でございます。表層水それから下層水を採取し、分析した結果でございます。次のページ、14ページでございますけれども、表8にデータとして示させていただいております。発電所海域の60測点で検出されました人工放射性核種としては、ストロンチウム-90、セシウム-137でございます。ストロンチウムの濃度は、過去5年間の測定値のこれも範囲内でございました。セシウム-137の濃度は、過去の測定値の下限でありました0.51(mBq/L)を下回る0.49(mBq/L)というところもございましたけれども、過去5年間の測定値とほぼ同程度であろうと考えられます。こちらも詳細なデータは、81ページ以降に記載させていただいています。

その次に、核燃海域の22測点での年2回測定した表層水と下層水が結果としましては、15ページの表9に示させていただいております。こちらで検出されました人工放射性核種は、トリチウム、ストロンチウム-90、セシウム-137、プルトニウム-239+240でありまして、その濃度は過去の5年間の測定の範囲内でありました。

参考といたしまして、核燃施設のほうはアクティブ試験というのが行われたわけですけれども、その試験の前の平成13年度から17年度のトリチウムの濃度も併記しております。平成22年度としましては、アクティブ試験前と比較しても、その測定値の範囲内になっている形でございます。こちらも詳細なデータについては、96ページから117ページに記載をさせていただいております。

そういうデータ類がずっと後ろに続きまして、その後ページ数でいいますと、121ページ以降でございますけれども、参考までに放射性核種の濃度の経年変化をずっと示させていただいているものでございます。こちらですけれども、発電所海域におきましての昭和58年度から平成22年度までの経年変化という形で記載させていただいております。こちら次のページ、122ページから128ページまでの図でずっと記載をしているところでございますけれども、各海域で継続的に採取することのできた魚種について、セシウム-137の濃度変化でございます。昭和61年度には、チェルノブイリの原子力発電所の事故に起因すると思われる137濃度の一時的な上昇がありましたけれども、昭和63年度までには事故以前の濃度と同程度になって、それ以降につきましては、分析値の間ではばらつきはありますものの、長期的に見ますと、緩やかに減っていっている傾向という形でございます。

129ページ以降は、海底土の経年変化を記載しております。こちらにつきましても、緩やかに減っていっているという傾向にあろうかという形でございます。

136ページ以降には、海水のデータが示しております。こちらも濃度変化をずっと示しておりますけれども、ストロンチウムにつきましても緩やかに減っていっている。セシウムにつきましても減っていっているんですけれども、同じように昭和61年度のチェルノブイリの影響が若干見られているという形でございます。

その後ろに行きますと、核燃海域の経年変化というところ、153ページ、154ページ以降、図として示させていただいております。ストロンチウムとセシウム、プルトニウム等々が記載させていただいているわけでございますけれども、海産生物、ストロンチウム-90、セシウム-137、プルトニウムの濃度変化は示していますが、ストロンチウムにつきましては、1試料30キロほどの供試量を用いましても、ほとんどの試料でも検出されていないところでございます。22年度も検出はされませんでした。セシウム-137につきましては、同じレベルか、若干下がっていっているという形になっていっていると見てとれます。

156ページ以降は、海底土でございます。こちらも若干低下していっているのかなという形で見てとれると思います。

158ページ以降は、海水の変化を記載しております。こちら平成3年度からずっと記載していっているわけですけれども、こちらも緩やかな減少の傾向という形だと見てとれると思います。そういう経年変化をしているところだという形でございます。

資料、ちょっと前に戻っていただきまして、15ページ、1-4の「まとめ」を記載させていただいております。まとめとしまして、「平成22年度に原子力発電所等海域及び核燃料サイクル施設沖合海域の主要な漁場において実施した海洋放射能調査の結果によると、海産生物試料、海底土試料、海水試料の人工放射性核種濃度は、いずれも過去5年間の測定値と同程度でありました。なお、検出された人工放射性核種による環境や人への影響はないと考えられる。」という形でまとめさせていただいております。

以上で説明を終わります。

【花輪主査】 ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見等ありましたら、ご発言お願いします。事業概要の説明と平成22年度の事業の結果評価ということになります。ご自由にご発言お願いします。青野委員。

【青野委員】 今の説明の中で、海産生物のことについてお伺いしたいんですが、6ページの海産生物、1-2-2のところで、「筋肉、内臓等に分割し、分析は肉部」、これはおそらく可食部を指していると思いますが、そこだけを測定したという根拠はどういったところにあるのでしょうか。

【高岡補佐】 やはり人間への影響ということを考えて、可食部という形をとらせていただいております。

【花輪主査】 そのほかございませんでしょうか。山下委員。

【山下委員】 私も同じところが気になったのですが、この目的として、この海産生物というのは、食品の安全性を確認するための分析なのか、それとも例えば生物濃縮ということも含めて検討するための分析なのかによって、分析部位が変わってくると思うんです。おそらく内臓と骨と筋肉では蓄積性が全然違っていると思いますので、目的に照らした分析をしていく必要があるんじゃないかなと思いました。

【花輪主査】 いかがでしょう。

【高岡補佐】 こちら当初、58年度ぐらいの話だと思うんですけれども、主要漁場がどうだというところがメインになっていたと。漁場ということは、やっぱり漁業をされてどうだと。それは何のためにといったら、人が食べるというところがメインになっていたと考えております。したがいまして、そういう理由から現在までやってきたところは、そういう形で食べるところをメインにしているのかなと思っております。

【花輪主査】 ありがとうございます。そのほかございませんでしょうか。青野委員。

【青野委員】 もう一つお伺いしたいのが、この調査自体、相当なデータ数で非常に今となっては、事故前のデータとして非常に重要なデータ集だと思います。これは今からさかのぼって調査を実施することはできないもので、非常に貴重ですけれども、これがどこかのデータベース等にはまとめられていないんでしょうか。

やはり今、国際的に日本のモニタリングはしていることはわかっているけれども、今回の事故前のデータについて、つまりバックグラウンドのデータをどこからとればいいのか。例えば分析センターのホームページ上でクリックして見ることはできますが、あれは図程度ですよね。細かい数値が出てこないと思います。今回見せていただいた、例えばこの22年度の結果についても、エクセルとか何かでちゃんとしかるべきところから発信することによって、今後の研究上、一つのすごく重みを持つデータだと思いますので、そういったところについてもご検討いただければと思います。

【花輪主査】 いかがでしょうか。

【高岡補佐】 こちらにつきましては、ご指摘ありがとうございます。現在、エクセルデータでは公表は、出ていないんですね。だから研究者の方が利用しやすい形かどうかと言われると、ちょっとまだそこまでは至ってないのかなと考えます。ご指摘もありましたとおり、検討していくという方向で考えたいと思います。

【青野委員】 よろしいですか。

【花輪主査】 どうぞ。

【青野委員】 諸外国からの一つのコメントとしてあるのは、現在のモニタリング、今モニタリングして、文科省から発表されていますが、PDFで出ていますよね。あのシートはもともとエクセルからコピーしてきたものでしょうと。ですからエクセルのファイルが存在していると私は聞かれるんですけれども、私は直接わかりませんので、「それは聞かないとわからない」と答えていますが、現在の結果も今ないのですか。

【高岡補佐】 発表しているのはPDFのやつでやっていますので、もとのデータは当然あるんですけれども、そういう形での公表まではまだ至ってないところでございます。

【花輪主査】 私からもなんですけれども、できるだけこういうデータというのは、非常に貴重ですので、利用しやすい形で公表してくださることを希望いたします。余計なことかもしれませんが、サイエンスの世界では、特に海洋関係では物理のデータがそうなんですけれども、だれがどこでどういうお金でどういう目的でとったとしても、とった人のプライオリティー、2年間は認めるんですが、その後は人類共通の財産だから、データセンターにおさめて、皆さん使えるようにしましょうというのがデータシェアリングポリシーといいまして、相当これはほかの分野にも進んでいるんですけれども、ぜひこういうデータもそういう形になれば有益なんだろうと思うんですね。ぜひ検討してくださるようにお願いします。

【田村室長】 木村推進官から一言。

【木村推進官】 モニタリングを担当してございます木村といいます。以前は発表形式HTML方式で、なかなか2次利用が難しい形だったんですが、ご意見いただきまして、ファイル形式を変えまして、今もPDFのものについては、容易にコピーができる形に、使っていただきたいやすい形にはしたところでございます。一応この形でご利用いただければいいのかなと今のところは思っているところでございます。

【花輪主査】 青野委員。

【青野委員】 ありがとうございます。1つは厚生労働省が食品のモニタリングしている報告は、FAO、Food and Agriculture Organizationへ報告をしていますので、そちらが自動的に英訳でもエクセルでデータベースを作成しています。ですので、食品に関しては、もうそこを見ると、すべて英文にされたものが出るそうです。それが今、一般の方がアクセスできるかどうかはわかりませんが、国際機関がそのデータベースを持っていることは、もう周知されているみたいです。

ですので、文科省がやられているものがどこかでまとまらないのか。例えば、今回の場合は、放射性核種ですから、IAEA等に何か報告をされていて、そういったデータベースを今後つくっていかれるのか、そういったものがあるのでしょうかということを尋ねられることがあります。この件は私は専門外ですので答えてはいません。もし、そういった情報がお持ちでしたら、ご紹介いただければ、多分、今の花輪先生のご質問にも対応できるのではないかなと思っております。

【花輪主査】 では、よろしく。

【渡辺次長】 今のデータベース化の話は非常に重要な問題でございまして、今日は海域モニタリングということで海の話だけなんですけれども、実は東電福島原発の後にさまざまなモニタリングをやっておりまして、それのトータルデータをいかにしてまとめて、保存をし、かついろいろ使えるようにすることが重要であるという認識を持っておりまして、海も含めてですけれども、全体のデータをデータベース化することを今、検討しているところでございます。

したがいまして、まず、過去のやつをどれだけ入れられるかというのは技術的に私も詳しくは検討しませんけれども、できるだけインテグレートして、今、説明した22年度はバックグラウンドになるわけですから、それと今度の事故後のやつがどう違うかというのがわかるような同じような使えるものにできればと。具体的な中身はこれから詰めていきますけれども、今どんどんデータがたまっていっているので、それをどう整理していくかと今、はかりながら考えているところですので、ご意見いただきながら、まとめて使いやすいようなデータベースにしていきたいと思っております。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。

そのほか平成22年度の事業成果につきまして、ご質問、ご意見ございましたら、お伺いいたします。山本委員。

【山本委員】 私も今、青野先生がおっしゃったように、データベース化のことで、やはり国民、一般の地域の人は、魚にはこれだけ出ましたよ、海の水はこうですよ、海底土はこうですよといっても、関連というのはなかなか理解できないと思うんですね。だから、せっかく長年の海水、魚のデータもあるから、せめて見かけの分配係数的なものはこれぐらい濃縮される可能性がありますよとかそういうのを、魚の試料もたくさんあるんで、ただ文献的に濃縮係数がこれくらいと書いてあるのが多いんだけれども、日本の近県の魚で発電所周辺でこれだけの魚をこれぐらいの長い間はかっていて、これでもう10倍ですよとか、1倍ですよとか、あんまり濃縮しませんよとか、そういうのを大々的に安全ですよというんじゃなくて、きちっと海水から海藻、海藻からまた魚という感じで、つながりがわかるような意味で、データを有効利用して発信していけばいいんではないかなと思いますけれども。

【花輪主査】 ありがとうございます。確かにおっしゃるとおりだと思います。サイエンスのほうからも重要なデータであるという山本委員からのご指摘だと思います。

そのほかご発言。乙坂委員。

【乙坂委員】 先ほどから話題に上っていますデータベースの話ですけれども、例えばIAEAの海洋データベースのMARISというのがございますけれども、例えばそこへの登録などもご検討いただくと、より海外の方へのオープンな情報発信という意味ではよいと思います。

あと、もう一つ質問なんですけれども、海底土のモニタリングについて、表層3センチの試料を分析されているのは、被曝を安全側に評価するという理解でよろしいでしょうか。

【花輪主査】 これ、いかがでしょう。

【高岡補佐】 海底土のどこまで深く沈むかというのは、私自身はわかっていませんけれども、表面についているやつのほうがまた海水へ再浮遊もしたりして、一番重要なところは表面のところであろうと考えておりますので、上のほうと思っております。

【乙坂委員】 わかりました。ありがとうございます。

【花輪主査】 そのほかございませんでしょうか。深澤委員。

【深澤委員】 いいですか。これの22年度までの報告で、サンプルの採取の方法は、文部科学省の放射能測定法シリーズに従っているやり方ですか。

【高岡補佐】 はい、そうです。

【深澤委員】 というと、海底土で気になったのは、今、スミス・マッキンタイヤで表層の土の放射能をとる人はいないと思うんですけれども、ほとんどアシュラになっていると思うんですが、ということは、ほとんどのこのデータは、マッキンタイヤでとられて、それを船の上に揚げて3センチ切ったものと思ってよろしいんですか。

【高岡補佐】 そういうやり方だと。

【深澤委員】 そうすると、この後23年度もそれと同じやり方になっていますか、それとも違うやり方になっていますか。

【高岡補佐】 特に変わらないやり方、同じやり方を継続しているという形です。

【深澤委員】 そうですか。これは特には、例えば、放射性ストロンチウム分析表というのは平成15年に改訂していますよね。このあたりには、採取法を新たに検討はされていないですか。

【高岡補佐】 特に採取法については、新たなことがあったとは認識はしていません。

【深澤委員】 わかりました。どうもありがとうございます。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。なお、今の海底土の採取等々については、これからどうやるかというときにも非常に重要だと思いますので、またご意見ありましたら、後の議題でもお願いします。

それでは、特にございませんでしたら、この平成22年度の事業成果についてお諮りいたします。お手元の1-2-1の資料の15ページをごらんください。1-4に「まとめ」があります。このようなまとめで、この事業成果報告書、ご承認いただけますでしょうか、お諮りさせていただきます。いかがですか。よろしいでしょうか。

(「はい」の声あり)

【花輪主査】 どうもありがとうございます。では、事務局案で承認されたということにいたしまして、平成22年度の事業評価は「案」をとらせていただきます。どうもありがとうございました。

それでは、この議題の次の平成23年度の調査結果に移らせていただきます。まず、事務局よりご説明お願いいたします。

【高岡補佐】 それでは引き続きまして、私、高岡から説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料は資料1-2-3で、平成23年度海洋放射能調査結果の速報版という形でございます。こちらは宮城県、福島県、茨城県沖におけます海域モニタリングの結果ということで、23年3月23日からのデータという形でまとめさせていただいております。従来のこういう検討会でご審議いただいているのは、前年度、先ほど見ていただきました22年度の結果を取りまとめるという形でやっておりましたけれども、ご承知のとおり、今年度、平成23年3月の震災事故によって、海の環境も大きくさま変わりをしてきております。

したがいまして、前年度、例えば平成22年度までの結果を審議いただいて、それを公表するだけでは不十分であると考えておりますので、今年度の調査結果、23年度も速報版として取りまとめております。その部分を説明させていただきたいと思います。なお、速報版での対象海域、先ほども申しましたように、事故の影響が大きい宮城県、福島県、茨城県の沖という形にさせていただいております。

それでは、資料を1枚めくっていただきまして1ページでございます。調査の経過でございまして、平成23年3月11日の地震の影響により発生しました発電所の事故によりまして、放射性物質が放出されているということで、その確認のために、3月23日より発電所の周辺海域を緊急的に海上モニタリングしております。

測定点といたしましては、後ろになりますけれども、9ページ目に行きまして、別添1ということで海域モニタリング、3月から5月でございますけれども、この赤丸のついた点を実施しております。5月からは環境モニタリングの強化計画を受けまして、福島県のみならず、宮城県、茨城県ということで、次の10ページ目に測点を示させていただいておりますけれども、モニタリングを実施する範囲を広域化して、実施していっているところでございます。さらに、8月からは検出下限を下げて海域モニタリングを実施していっております。8月以降の測定点につきましては、11ページに記載させていただいています。沿岸の海域、沖合の海域、外洋の海域という形で分けさせていただいて、測定を実施しているところでございます。

次、戻っていただきまして資料の1ページでございますけれども、試料についてのご説明という形でございます。まずはこちら対象としましたのは海水と海底土、それから、あと洋上で採取したダストという形でございます。海水につきまして、各測定点において、海面から1から5メートル下の表層。それから時期によって定義が異なっておりますけれども、中間層というところで、当初は水深までのおよその半分の層というところをとっておりました。7月以降は、水深が100メートル、200メートルというところを対象とした中層という部分。それからあと海底から10から20メートル上の下層というところを採取しております。

次に、海底土につきましても、同じように表面から3センチのところまでの層をとっているということでございます。

ダストの試料につきましても、洋上でフィルター上に大気の浮遊じんやヨウ素を捕集しております。ただ、5月以降、ダストの試料の調査は時間の経過とともに検出限界以下となったために、7月末でこちらは終了しているところでございます。

3ポツのところで、海水試料、海底土試料の前処理及び分析法でございますけれども、海水の試料につきましては、当初、海水をそのまま測定していたところもございました。その後、もしくは化学分離・精製した後、ゲルマニウムの半導体検出器で600秒以上の測定をしております。それからストロンチウムにつきましては、イオン交換法または発煙硝酸法にて化学分離・精製後、ガスフローカウンターで3,600から1万8,000秒の測定を実施しております。

海底土の試料につきましては、105度で乾燥して、2mmのふるいにかけて、390から400ccぐらいの容器に詰めて、ゲルマニウム半導体検出器で測定しているところでございます。ストロンチウムにつきましては、シュウ酸塩法またはイオン交換法にて化学分離等々した後、ガスフローカウンターで100から500分の測定という形でしております。プルトニウムにつきましても、イオン交換法にて分離した後、シリコンの半導体検出器で測定しているところでございます。

ダストにつきましては、フィルターをゲルマニウム半導体検出器で実施しているところでございます。

それぞれの分析対象の放射性核種及び目標下限値ということで、表1ということで、4ページ目になります。こちらに示させていただいております。例えば、海水の試料としまして、セシウム-137で、上から3つ目にありますけれども、当初は10 Bq/Lという検出下限で実施しておりましたけれども、5月~7月ぐらいは9Bq。それから8月以降につきましては、1 mBq/Lという検出下限で実施をしていっているところでございます。

調査結果でございますけれども、5ページ目以降に海水のグラフ等々を示しております。海水の試料は12月までで1,160試料を分析しております。当初、一番上がヨウ素の図でございますけれども、ヨウ素は数百のところもあるというような数十Bq/Lという濃度が観測されていっておりますけれども、これが5月あたりまで継続しております。その後、検出限界以下となりましたという形でございます。

それからセシウムですけれども、こちらも当初は10Bq以上の測定値という形になっております。途中、5月から7月ぐらいまで、こちらがデータでプロットできない不検出であったというデータがずっと並んでいる。8月以降に検出下限を下げて測定しているところでございます。こちらから見ますと、当初の値からはだんだん下がっていっているとは見えるんですけれども、例えば、先ほどの22年度で見ていただいたように、2mBqとかいうところでは、まだそれよりも上のところがある。こちらのスケールはBq/Lで書いていますから、mBqですと、0.001 Bq/Lのあたりが通年のところでございますけれども、それよりまだ高い状態が続いているところ。低いところもございますけれども、まだ高いところもあるというところでございます。

海水中のストロンチウムにつきましては、7ページに表2がございます。こちらすべての分析が終わっているわけではございませんけれども、得られたデータはすべて事故前のレベルを上回っている。大体、茨城の海域ですと、0.00096とかいう値が出ていました。それを上回っているという形でございます。このことから、海水中の濃度も依然事故前に比べると高く、だんだん減ってはきていますけれども、その減り方もそんなに大きくもなっていない。まだまだモニタリングの継続が必要かなと考えております。

次に、海底土の時間的な変化でございますけれども、6ページの図でございます。海底土は163試料の分析を行っております。ヨウ素につきましては、当初ありましたけれども、急激に減少していって、6月以降は検出されていません。ただ、その下、セシウムの値が134、137とありますけれども、必ずしも減少していっているという形ではない。注目すべき点、例えば宮城県沖の青いバツ印のB3という点があるのですけれども、9月ではこんな高い値になっている。若干下がり気味というところもある。それから、茨城県沖でJ1というところがあるのですけれども、これはオレンジの丸なんですけれども、急に高くなったりしていて、一定の傾向を示している形ではまだ見られていないと思っております。

これらのセシウムの濃度につきましては、海底の砂の質やら泥の質やら等々でもいろいろと影響があるとも見ております。また、同じ観測点でも試料採取ごとに海底土の組成が変わっていることもあって、濃度のばらつきの要因かなと考えます。さらに、沿岸流の変動とかもあろうし、それから先ほども少しお話が出ていたように、河川からも運ばれて河口域等々への影響もある形だと思っております。したがいまして、海底土のデータにつきましても、さらにデータを蓄積していかねばならないなと考えております。また、底生生物から食物連鎖を通しての水産物への濃縮も懸念されるということで、今後も継続していかねばらないと考えています。

海底土につきましてのストロンチウム、プルトニウムにつきましては、7ページの表3-1、3-2に示させていただいております。こちらですけれども、ストロンチウムは0.1とか2とか3 Bq/kgの濃度。プルトニウムは0.97 Bq/kgという程度です。これらは数字としては核燃サイクル施設の沖合の海底土におけるレベルと同程度ではありました。したがいまして、今回の事故に由来するものとの判断はできない形だと思っております。この中で、表3-1でJ1がありまして、ストロンチウムの濃度は1.9(Bq/Kg)あります。これは通常のレベルを上回っているところでございまして、事故由来の可能性は否定はできないでしょうけれども、例えばストロンチウム-89はあったのかというと、なかったです。そのほか、キュリウム等々も検出されなかったということで、これが事故に由来するものであるということも判断はできない形だと考えております。

こういう形で、まだ海底土についてはいろいろと変動等もございます。ということで、今後もきめ細かいモニタリングが必要かと考えておる次第でございます。

後ろの12ページ以降に参考資料という形でつけさせていただいております。これは分析法や検出下限等を細かく書いたものが参考1でございます。その次のページ、こちらの先ほどの海生研の委託とは別なんですけれども、海域の全体的な把握ということで参考資料でつけさせていただいておりますけれども、東京電力が発電所近辺のデータということで測定しているものの結果をまとめたものです。こちらでは、発電所の非常に近い丸1、丸2、丸3、丸4のところは、非常に高い濃度がまだずっと出ているところでございます。そのほかはほとんど検出下限以下でございます。

次ページをめくっていただきますと、参考2-2-1、2-2-2で、こちらは海底土でございます。こちらも数百Bq/kgというまだ高い数字があるところでございます。

その次のページをめくっていただきますと、参考2-3で、こちらは宮城県沖の海水中では、検出下限が1 Bq/L程度でございますけれども、NDであったという形でございます。

その次が茨城県沖の濃度で、こちらも検出下限以下でございます。

その次のページをめくっていただきますと、参考3-1で、こちらはいろんな関係省庁等々と協力して実施しているというさまなんですけれども、沿岸に近いところは環境省、それから遠いところでは海上保安庁がそれぞれデータをとっていただいているところでございます。近く緑で囲っているところは環境省のデータなんですけれども、こちらはまだ高い濃度の海水があるのかなと。東北に行きますと、特に東北の南に行きますと、通常レベル的なmBq/Lのオーダーが出ているのかなという形でございます。

その次が海底土でございまして、当然近いところは高い濃度なんですけれども、それだけではなくて、例えば下に行きますと、沿岸のところでも五百何がし(Bq/Kg)という数値が出ているところでございます。

その次のページは、6月の実施分のデータでございます。

その次、参考4という形で、水産庁が魚類をとっていただいているデータです。総数としては、6,000検体ほど実施をしていまして、暫定規制値を超えている内訳としましては、総数で219という形でございます。

それぞれとった採出点等がその次のページ以降にありますけれども、白い丸は出なかった地点。黒い丸が指標値500Bq/kg出た値でございます。こういう形のデータもあわせて参考でおつけさせていただいているところでございます。

こういうことから、まとめというのも何なんですけれども、3ページで記載させていただいています。今回の測定結果では、事故前の放射能レベルに比べ、高いレベルがまだまだ継続しています。今後も継続したきめ細かいモニタリングが必要であるというところでございます。

説明は以上でございます。

【花輪主査】 どうもありがとうございました。ただいまのご説明に対しまして、ご質問、ご意見。古谷委員。

【古谷委員】 最初の1ページの調査経過という最初のところに、事故後3月に始めて、それから5月、さらにその後ということなのですけれども、このモニタリングの内容の設計と申しますか、これについての議論はされたのかどうかについて伺います。具体的に申しますと、過去の先ほどご説明いただいた平成22年度あるいはそれ以前のやり方を続けられていらっしゃるわけですけれども、それまでにはなかった大きな放出があったということで、過去に無かった量の放射性物質が生態系内に出ていったわけです。ところが、生態系内に出ていく様子のモニタリングはあまり入っていないようです。3月のときは緊急事態ですので仕方が無いのですけれども、5月とか、あるいはそれ以降の段階で生態系への放出をモニタリングしなければならないという点に関して何らかの議論があったのではないかなと思いまして、後ほどの議題になるかもしれませんけれども、伺う次第です。

【花輪主査】 いかがでしょうか。

【高岡補佐】 ちょっと概略的になろうかと思いますけれども、当然3月の当初は、一体いくら出ているんだということで、緊急的なモニタリングという形で実施しております。その後、環境モニタリングの強化計画等々、そういうところがいろんな場面で話し合われてやっておるのが実情でして、あと、総合モニタリング計画なるものも8月に出されて、その中でどういうことをしていかねばならないとかいうことを議論させてもらってやっている。さらに10月以降になりますと、また今後のモニタリングの進め方というところで、関係省庁でどういうところをどういう下限値でどういう点でどういう視点でというのをまとめて実施しているところでございます。

そういうのを受けて、まださらに来年度どうしていこうかというところを今まさに議論しているところで、本日、またご意見をいただければと考えております。

【花輪主査】 よろしいですか。

【古谷委員】 ほんとうはよくないんですけれども。と申しますのは、やはりプランクトン調査といいますか、いわゆる最初のプランクトン食性の魚に検出されたという議論がございましたですね。そういったところで、そういった調査が開始されているのかなと考えていたんですけれども、そういったところがありません。初期過程のモニタリングは、ある意味で学術的にも社会的にも大事な期間だったと思うんですね、この最初の1年間。その間のデータがちょっととれていないのか、あるいは資料としてもしあるようだったらば、何らかのこの中の計画に組み込まれるような方策をお考えいただけるとよろしいんではないかと思っています。

【花輪主査】 ご意見としてお伺いしておいていいですか。

【高岡補佐】 はい。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。中田委員。

【中田委員】 つながるようなことかもしれないんですけれども、例えば図3の海水のデータですと、大きく下がっていく部分が検出限界以下になってとられておりませんよね。ただ、これ、もしサンプルがあれば、長時間測定することによってできるので、ぜひそういうことを考えていただきたいなというのが1点。

それともう一つは、例えば6ページで、例えばまだまだ海底土で高い値がぼんと出たり最近もしているのにもかかわらず、観測頻度が下がっているんですね。なので、やっぱりこれは、例えばいろんな状況でこういうことが起こっているんだろうと思うんですけれども、その原因につながらない可能性があるので、ぜひこういうところは、今後はサンプリング頻度を落とさないような形で検討していただければなと思います。

【花輪主査】 2点コメントがありましたけれども。

【高岡補佐】 まずは5月、7月の海水の試料でございますけれども、実は何点かの試料が残っておりますので、そのあたりはすべてになるかどうかはわかりませんが、穴埋めはしていきたいなという形を考えています。

それから頻度につきましても、今後の話にもなろうかと思いますけれども、ご意見としていただきます。

【花輪主査】 そのほかございませんでしょうか。青野委員。

【青野委員】 海水の採水ですけれども、当初3月、海洋の汚染が始まったときにモニタリングを始めて、それからモデル化をされて、今後どういうふうに汚染の海水が広がっていくかということを発表されていたと思いますけれども、そうなりますと、当然モデルのシミュレーションをやっていらした専門家の方々が集まっていたと思います。今回、採水については、表層と低層それから単純に水深での中間層というとり方をしているんですが、これはその中間層がほんとうにいいものなのか。もしくはモデルの方たちというのは、水の広がりを見るわけですから、当然、海水の中での密度というのが拡散の上では非常にキーになってくると思います。ですので、その現場水域、例えば冬であると、鉛直混合が深いので、さほど密度は変わらないかもしれないんですけれども、今後は暖かくなってきますと、表面の水が温かくなって軽くなる。上のほうへ広がりやすい。下のほうの影響がどうなのかも含めて、サンプル、数をとりますから、大変な数になりますから、増やすというよりは設定する水深がこの方法が妥当なのかどうかというのを、いわゆる測定屋さんではなくて、モデルを今後解析されていく方々の専門家からご意見をしていただいたほうがいいのではないかなと思います。

ですから、プロファイルとしては、当然少し変わったプロファイルになるかもしれませんが、それを今後、例えば水深にとるのではなくて、海水の密度に対して濃度がどう変化していくかという上では、説明ができる、図ができると思いますので、そういったところについても、ご検討いただければと思います。

 

【花輪主査】 どうもご意見ありがとうございます。先ほどの中田委員の話も青野委員の話も、次に議論します平成24年度以降、どういうふうにモニタリングはあるべきかというところに非常に密接に結びついているコメントだと思います。どうもありがとうございました。

平成23年度のこの速報版に対して、ご意見いかがでしょうか。3ページ目の6の「まとめ」、「今回の測定結果では事故前の放射能レベルに比べ高いレベルが継続しているため今後も継続したきめ細かいモニタリングが必要である」というまとめ方がなされていますけれども、私はこのとおりだと思うんですが、速報版としての平成23年度の事業成果に関しまして、ご意見ございませんでしょうか。どうぞ。

【青野委員】 すいません、もう一つお伺いしたいんですけれども、平成22年度版では海産生物が入っていましたけれども、、この23年度では海産生物が全く触れられていません。これはどういうことでしょうか。

【高岡補佐】 海産生物、実際今とっているんですけれども、まだ分析が追いついていないということで、23年度の最終的なまとめの中には入ってくると考えております。

【花輪主査】 私の理解では、平成22年度と同レベルといいましょうか、同じような内容での報告はまだ時間がかかると。今回は平成24年度のモニタリングを実施する前に、基本的に今やられている情報で、どういうモニタリングをすべきかということに資する報告書をまとめたというように理解しています。

【青野委員】 報告書が最終的に出るのであれば、今の時点でどういったサンプルをとっているかということも記載していただいたほうが、調査をやられているのか、やられていないのかということが外部に出たときに、ほかの方にもわかると思いますので、その辺のところ、ご検討いただければと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。長見委員、どうぞ。

【長見委員】 今、魚ですけれども、3県について、できるだけ早く一緒に公表していただきたいと思います。非常にみんな関心が高いので、ぜひそれは先駆けてお願いしたいと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。コメントはありますか。ご意見ありがとうございます。そのほかございませんでしょうか。

それでは、青野委員からご意見ありましたけれども、基本的に平成23年度の事業成果(速報版)という形での取りまとめですが、原則これでよろしいでしょうか。いただいた意見は反映させるようにいたします。いいですか。

(「はい」の声あり)

【花輪主査】 ありがとうございます。では、平成23年度の調査結果(速報版)は、基本的にこのような形で取りまとめさせていただきます。

それでは議事を進めます。既にいろいろ貴重なご意見いただいているんですが、(3)に入ります。「海域モニタリングの今後の方向性について」です。では、まず資料に従いまして、事務局よりご説明お願いいたします。

【木村推進官】 モニタリングを担当してございます木村と申します。では、海域モニタリングの今後の方向性につきまして、資料1-3に基づいて説明をさせていただきます。

まず最初に、この全体の話をさせていただきたいのですが、現在、海域につきましては、冒頭に書いてございますが、「今後の海域モニタリングの進め方(平成23年10月20日付)」、本日の資料の中で参考資料2としておつけしているものでございます。これに従いまして、右肩にクレジットが書いてございますが、各省庁、ここに書いてありますような関係部署、福島県、東京電力で連名でこの計画をつくりまして、これに基づいて海域モニタリングが実施されてきているところでございます。

あとめくっていただきましたら、後ろに地図も記載がございまして、これらの測点で実施をしているところでございます。およそでございますが、海水につきましては165点、海底土につきましては87点を実質的には上回る数でモニタリングを実施しているという状況でございます。

戻らせていただきまして、資料1-3でございますが、その中で、これまで10月にまとめましてやってきたところでございますが、その後時間もたちまして、世の中の皆様方の関心もだんだん移ってきている部分が見受けられます。そのような状況を勘案して、海域のモニタリングにつきましても、十分そのご関心に対応した修正を加えていかないといけないと考えてございまして、この紙は、その修正をするに当たって方向性をまとめたものでございます。

実のところ、原案は文部科学省、私のところで作成をしてございますが、水産庁、環境省、海上保安庁、気象庁の気象研の方にも事務的には見ていただいてございます。ただし、まだ完全にそれぞれの皆様方に合意をいただいたところまでは至ってございませんが、本日、専門家の皆様方がお集まりの機会でございますので、この方向性に何か誤りとかぶれがあるようであれば、ご意見をいただきまして、そのご意見をもとに、関係省庁で改めてモニタリング計画を4月以降の計画としてつくっていきたいと思ってございます。

最終形は、先ほどご紹介しました参考資料2のような、ああいう形になるイメージでございます。10月20日のものは非常にラフに書いたところもございますので、中身的には、この資料1-3のようなものが書かれる。それに追加して、もうちょっと測点の情報とかいったものが盛り込まれるような、そういうものを最終形として目指しているところでございます。そのような位置づけと趣旨をご理解いただいた上で、1-3をごらんになっていただければと思います。

資料の構成でございますが、1ページ目、「はじめに」でございます。「現状認識」が書いてございまして、それから1ページ目の下に「改定にあたっての考え方」がこの資料1-3の一番肝のところでございますので、1の(2)については、詳しく後ほどご説明させていただきます。そして、2ページ目でございますが、2ポツがございます。ここから具体的な海域モニタリング計画の改定でございまして、柱が3本ございます。(1)が海水。それからページをめくりまして4ページ目になりますが、(2)海底土。それから5ページ、海洋生物という3本柱でございます。それぞれについて、可能な限り具体的に書いているところでございます。そして、5ページの最後、3ポツで、モニタリング実施体制を書いているところでございます。

それでは、最初に戻りまして、「はじめに」でございますが、まずはそれなりに10月20日の計画で海域モニタリングについては実施してきているところでございますが、やはり時間がたったということがございまして、関心が変わってきていることを我々、敏感に感じないといけないと思ってございます。例えば、海水は非常に低いレベルになってきていますが、海底土については、必ずしも距離や、あるいは時間の経過とともに低下するという単純なものではないという状況を見てとれます。また、河川から流れ込む河口域ですとか、あるいは閉鎖性の海域といったところは、非常に皆様方の関心も高い。しっかりとはからないといけないと思われるところでございます。また、単純に海底土の状況というよりも、環境から魚介類、えさ生物、その他海産生物への放射性物質の移行・濃縮といったものも関心が高いと思ってございます。さらには、来年度になりますと、現在の警戒区域、海上におきましても単純に20キロの圏内でございますが、これも解除されるということでございまして、解除された後どうするのかも考えておく必要があると思っているところでございます。

こういった現状認識のもと、水、泥、海洋生物につきまして、考え方をどうするのかというのが(2)でございます。一番最初でございますが、海水についてはセシウムを中心に、ただし、水準的には環境水準に近い濃度でも検出可能なレベル、こういった低い検出下限値にしていくということでございます。海底土につきましては、時間的、距離的なばらつきであるとか、性状、底質についてもちゃんと把握していく。それから魚介類については、規制値を超えたものが流通しないようにしっかりモニタリングをしていくという方針でございます。

また、海域モニタリングは、これまで福島第一原子力発電所から直接流れ出した放射性物質を主に想定して、拡散状況を調べてきたところでございますが、今後は河川を通じた海への流入といったものも考慮して対応していくということでございます。

3つ目、測点の設定に当たっては、これまで測点を設けまして、データをとってきたものですから、ある程度継続性も重視しないといけないと考えてございます。ただし、先ほども申し上げましたような河口域ですとか、海流の影響あるいは漁場といった場所で、別にとったほうがいいというご意見もあろうかと思いますので、それについても考慮の上、単純に増やせればいいんですけれども、増やせない場合は、プライオリティーをつけて一部測点については移すといったことも考えたいと思ってございます。このあたりもご意見、今日いただければと思ってございます。

次は、移行でございます。環境からえさ生物、魚介類への放射性物質の移行というのは、あくまでも研究として我々とらえてございますが、その研究に資するようなモニタリングデータはしっかりとっておかないといけないと思ってございます。そのためにはどこをモニタリングしておけばいいのか。これをしっかり考えてやっていくということです。その際、環境試料として、魚介類とかえさ生物以外の海洋生物についてもモニタリングの対象としていくということでございます。

また、警戒海域が解除された後、東京電力を中心に現在、モニタリングを実施してございますが、東京電力には、引き続き漏えい等に関しまして、監視の観点が大きな役割としてございます。したがいまして、密度高く、あるいは下限値を犠牲にしてでも頻度を多くしてはからないといけないということがございますので、それは当然やっていく必要があるんでございますが、必ずしも監視の観点が重要でない点につきましては、下限値を下げて、可能な限りNDが乱発するようなことにならないように、しっかり仕分けをしてやっていければと思っているところでございます。

以上を踏まえまして、考え方の整理としまして、海域を5つに分けてございます。次のとおりでございます。まずは発電所の近傍。この近傍は、先ほども申し上げました監視の観点が非常に重要な点と狭くとらえてございます。そして、警戒海域が解除された後、主に想定しているところでございます。

それから沿岸海域。これは一部青森県、岩手県からずっと県を下りまして、一部千葉県の沖、海岸から近いところ。距離はそれぞれでこぼこはあるんでございますが、おおむね30キロ以内もしくはもっと近いところ。陸に近いところという区域でございます。

そして3番目は沖合。おおむね30から90キロ。

4番目は外洋。もっと遠いところ。280キロあるいはもっとその外側を考えてございます。いずれにいたしましても、これはいずれも太平洋岸という考え方をしてございます。

そして5番目でございますが、その他河川を通じた放射性物質の流出・蓄積が懸念される閉鎖性水域。現在これは東京湾を想定して、第5のカテゴリーと考えてございます。

以上のカテゴリー分けに従いまして、2ポツで海水から記載してございます。まず海水でございますが、一番最初の近傍につきましては、やはり原子炉等規制法あるいは電気事業法という法律に基づいた安全規制がございますので、東京電力と規制当局でしっかり調整をしていただいて、頻度等を決めていただく必要があると考えてございます。

それ以外の沿岸につきましては、沿岸の中でも河口域を意識したものというのは、主に沿岸に入るんですけれども、この河口域を意識したものというのは、宮城県、福島県、茨城県にかけての主要な河川だと思ってございまして、その1番、河口付近、2番、河口域の流央で岸から1キロぐらい沖合のところ、3番、必要に応じて、その周辺の沿岸流等を考慮した測点の区分で、このあたりを調べることで河口域を押さえようと考えてございます。

そして、それ以外、河口域が関係ないものにつきましては、データの継続性、沿岸流・黒潮あるいは海水、海底土からえさ生物、魚介類への移行あるいは濃縮にかかる研究に資するような、そういった研究に役立つようなモニタリングの仕方を考えて、測点を決めたいと思ってございます。

3ページの上に移りますが、水深的には、表層水と下層水。海底から10から20メートル上を想定してございます。一部測点につきましては、1から5メートル上の場所でも測定することを考えてございます。頻度は2から3カ月に1回程度想定してございます。

次の海域、沖合でございますが、これにつきましては、データの継続的取得にまずは重点を置く。原則と考えるんですけれども、一部沿岸流・黒潮等の流れあるいは漁場の場所等を考慮して、変更することも考えるということでございますが、原則は継続と考えてございます。水深は表層と水深100メートルの採水。頻度については3カ月に1回程度を考えてございます。

外洋については、これもデータの取得継続性の観点で、同じ測点とすることを原則といたしますが、拡散シミュレーションの意義、一部シミュレーションによると、かなり日本から遠く離れたところまで既に拡散してしまっているというデータもあるようでございますので、そういった中で280キロという位置づけがどういう位置づけになるのか。ちょっと中途半端な距離という意見もあるようでございますので、そういった中で、どのくらいの密度でもってやればいいのか。このあたりを専門家のご意見を聞きつつ決めたいと思ってございます。深さは表層と水深100メートル、頻度は3カ月に1回程度と思ってございます。

それから第5のカテゴリーでございますが、主に東京湾を想定しているところでございますが、流入河川あるいは海流等を考慮し、河口域、沿岸、湾央において表層水をとることを想定してございます。また、監視の観点で下限値が高い測点は、近傍でご説明しましたが、そこについては、すべてはできないんですが、一部試料については下限値を下げて、別途分析することも考えて、やむを得ず監視の観点で下限値が高いところも補完的にやっていこうという考えでございます。また、東京の湾央や外洋については、海上保安庁の海水の採取・分析の協力あるいは気象研究所の研究の一環として行うものと連携してやることも考えたいと思ってございます。また、施設から新たな漏えいが、もうほとんどないんではないかとは思うものの、もしあった場合は、急遽体制を変えまして、採水がいつでもできるように、あらかじめ関係者で話し合って、そういった体制も準備しておこうと考えてございます。

また丸2、分析核種でございますが、セシウム-137、134を基本としますが、137が高いところではストロンチウム-90、あるいはセシウム-137が一番高い点については、そこに書いてあるようなストロンチウム-89ですとかプルトニウム系を分析していくことを考えてございます。

また、河口域や過去のデータから、特にストロンチウムを分析する必要があると最初からわかっている点については、最初からもうストロンチウムを分析する。これをすることで、セシウムの分析結果が出るのを待たずしてストロンチウムの分析ができますので、分析期間の短縮を図ることも考えたいと思ってございます。また、近傍では、そのほかの核種としまして、ヨウ素-131、トリチウムも分析することを考えたいと思います。また、漏えいがあった場合の対応ですが、漏えいした核種に対応したものを、特にセシウム以外でも全ベータ等を臨機応変に漏えい物に対応した核種を分析することを考えてございます。

次のページでございます。

【花輪主査】 ちょっと時間が押しておりますので、(2)の丸1で、分析核種のところをはしょっていただきたいんですが。

【木村推進官】 そうですね。すいません、申しわけありません。

次、海底土でございます。同様でございまして、主要な河川の河口及び流央の1キロといったものを考慮してやるということでございます。また、そのほかについては、そこに記載のとおりでございます。また、おおむね先ほどの海水の場合と同様でございますので割愛させていただきますが、下から3つ目、一部試料につきましては、クロスチェックを行って、精度を確保するとかいったこともしていくところでございます。

それから最後のページ、5ページ(3)海洋生物でございますが、東日本沿岸・沖合・外洋海域に生息・回遊する種を対象に、原則週1回、現在行っている調査を継続実施いたします。えさ生物については、水産物への移行研究の一環として随時実施するということでございます。また、海域の選定に当たっては、漁業状況とかを考慮して、検討するということでございます。また、えさ生物以外の海洋生物についても、環境指標として3から4カ月に1回程度を考えるところでございます。そのほか、閉鎖性水域についても関係箇所、自治体と連携してやるということでございます。核種はここに書いてあるとおりでございますが、2つ目のポツでございますが、一応、環境指標や研究用の海洋生物については、セシウムのほかに必要に応じてストロンチウムも分析するということでございます。

すいません、ご説明が長くなりました。最後のページに川とか港を書いた地図もつけてございますので。

以上でございます。

【花輪主査】 どうも急がせて申しわけありませんでした。これまでの議論でも、例えば中田委員からは、高レベルの濃度で観測されたときには頻度を多くするとか、観測点を増やしたらどうかというご提案をいただいたと思います。古谷委員からは、すぐ海産物に行くんじゃなくて、プランクトン等々も計測しておくべきであるという提案があったと思います。また、青野委員からは、単純に深さではなくて、海水の密度に着目して観測されたらどうかというご提案があったと思います。

そのほか、せっかくの機会ですので、大急ぎで来ましたけれども、ご意見がありましたらどうぞ。吉田委員、お願いします。

【吉田委員】 全漁連の吉田でございます。私は漁業者の立場とそれから魚を食べていただく消費者の立場から、大まかな話になると思いますけれども、意見を申し上げさせていただきたいと思います。

今日は私、3点ほど調査の拡大をお願いしようと思っておりまして、それは全部入っております。1つは報道にありましたように、河口域からの流入の問題です。阿武隈川から利根川に至る部分。この辺については、ぜひやっていただきたい。それから閉鎖海域の東京湾は、首都圏に非常に近いこともありまして、水産物それからレジャーを含めて、問題になると思いますので、ぜひやっていただきたい。それから原発の20キロ圏内についても、立ち入りが可能になるということでございますから、これについてもぜひ拡大をしていただきたいということでございます。

その中で、河川との関係でいうと、河口域のモニタリングとそれから河川のモニタリングとの相互関係といいますか、どなたがなさって、それをどう評価するかについて、相互の連携についてご検討いただきたい。今、漁協の中では、既に河口堰を開放するなとか、それから河川の段階で除染を講じられないかとかいった意見等も出ていることはご存じだと思います。その点を考慮していただきたいと思います。

それから各モニタリングの具体的な中身について、3点ほど申し上げたいと思います。海水ではNDが多いということで、ある意味では安堵しています。海水の拡散ということが当初から言われていましたが、太平洋については、東北部のほうに移動して拡散していくシミュレーションがあったと思うんですけれども、このモニタリングの結果がそのシミュレーションの見直し等に活用されるか等について、検討の上、教えていただきたい。

次に海底土の問題ですけれども、海底土については、非常に複雑で、海流だとか泥質であるとか河川の流入だとかいろんな要素があって、ホットスポットもあり、全体が良く解っていない。これについては、私どもの願いとしては、海流等によってより浅いところから深いところにセシウム等が付着した泥粒子が移動して、深海に入っていって、生産物等に影響がなくなるということを期待しております。大体水深200メートルより浅いところに主要な漁業が集中しておりまして、そういう意味では、それが確実に沖のほうに移動して、いずれ魚に影響がなくなるという方向が見えると、漁業者も安心するし、消費者もある意味では魚に対する信頼感が出てくる可能性もある。これは予断を持って言うわけではないんですが、そういったことで、水深に注目して沿岸から沖合へと、こまめに調査点を設定するなどそういった分析・評価の可能性も視野に入れて、ご検討いただければと重います。

それから、水産物の生物濃縮と食物連鎖の問題ですけれども、これは研究分野になると思われますが、先ほどプランクトンのお話も出ましたけれども、海底の餌生物についても、研究も含めてやっていただければと思います。

最後に、発表の問題ですけれども、ホームページ等に出されたものを見ても、私もよくわかりません。数値の変化について、時系列的にどう見ればいいのかを、あまり軽々なことは言えないんでしょうけれども、少なくとも専門家の方が一致したような内容については、発表のときに解説をしていただけると、非常にわかりいいし、漁業者も安心するし、消費者も発表を信頼感を持って見るという関係が醸成されるのではないかと思います。

以上です。

【花輪主査】 貴重なご意見どうもありがとうございました。そのほかございませんでしょうか。深澤委員。

【深澤委員】 今回の件でいうと、今の吉田委員からもありましたように、生活の安全というものに非常に関係しているんですけれども、それと同時に、とにかく北太平洋だけでいえば、これが起こる前は69 PBqあったのが、大体今度で20から23%増えた。それが一体どこに行くのかというのは、やはり特にアジア諸国とかロシアも非常に気にしているところで、我々はそれを何とか答えないとまずい立場にあると思うんです。それで今のところ、いろいろなシミュレーションその他、そのあたりというのは、どうしても平年値でやるしかないんですけれども、多分5月ぐらいになると、もう既にモードウオーターが沖縄諸島のほうまで来る。その後はどのくらいフォールアウトがあったかもなんですけれども、少なくとも今あるバックグラウンドよりも100倍ぐらい高いのが来る。それはもちろんその後、今度は北赤道海流に入って、赤道反流に入ったり、いろいろ世界中に広がっていくわけですけれども、問題はそれがもちろん日本にも影響があると同時に、実態を少なくとも見せておかないと、それを我々がやっているというのをモニターとして示しておかないと、非常に問題なのは、例えばアジア諸国がその国の安全を確保するために、日本のEEZの中を観測させろと言われても一切断る手段がなくなる。つまり、それで何をはかられるかというのはわからない。はかり知れない部分もある。ですから、そういうものがオープンにされていて、そういう申し込みがあったときに、常にこちらの体制の中に組み込んで一緒にできるような形にしておかないと、多分我々の失うものは今以上に大きくなるんではないかというのがすごく心配です。

それで、先ほどモデルを使ってという話がありましたけれども、多分、来月ぐらいになると、論文になると思うんですけれども、それを見る限りでは、例えば、黒潮続流のほうに最初から乗っていって遠くまで行ったというのは、大体ゼロから200ぐらいの間で行くんですが、先ほど、この冬が過ぎてモードウオーターといいまして、黒潮の内側で水が沈み込むんですが、その後、今度は黒潮と反対側に流れていく。一番深いところで400ぐらいですが、沿岸に行くと浅くなるんです。ですから、海洋物理のそういった気候学的な知識をフルに活用して、特に外洋域では、そうするとどこでどのくらいの頻度で何をはかればいいかというのは、かなりはっきりしてくると思うので、我々が今まで蓄積した知識を使って、どこをはかればいいかというのはかなり。少なくとも表面で100メートルでは、外洋では多分もう日本のに行ったら、本体は取り逃すんですよね。少なくとも400とかそのあたりに行かないとだめですね。だからそれもここで細かい話をするよりは、そういう提言を待ったほうがいいのかもしれません。

それからあと、2つ目でちょっと気になるのは、先ほど海底土のことで申し上げましたけれども、もうスミス・マッキンタイヤでとって揚げてきてというのは、100メートルを超えたときに、僕はちょっとそれでどのぐらい、実はこのばらつきがまさか採泥の方法によるとまでは断言できないんですけれども、せっかくアシュラという普通の外の流れとかそういう影響を受けないで採泥する方法があるのですから、今からでも遅くないので。

要するにサンプルのとり方は、きちんとそろそろ放射能シリーズの改訂を含めて考えたほうがいいのではないかという気がします。それは何も海底土だけではなくて、ある船によっては非常に放射能の高いときに海水のモニターをやっていますが、それが例えば外洋域に行ったときに、同じ船と同じものを使ったら、バックグラウンドが高くてはかるどころではなくなるというのもわかっているわけですから、そのあたりも含めて、もう一回サンプルのとり方を共通になるように。つまり、どこが来てもそれにつなげるような形にマニュアルを見るというのが重要かなという気がします。

もちろん、そのデータがオープンというのは早いほうがいいというのは、先ほど花輪主査がおっしゃったとおりで、先ほど、花輪主査、控え目に2年と申しましたけれども、我々がやっている海洋の気候パラメーター、水温とか塩分とか、あの分析次第なんですけれども、常識的には6週間です。それで物によっては公開直後です。ですから、そういうぐあいにやると無駄な努力も省けますし、それからもちろん分析が必要なのは時間がかかるけれども。そういうオープンな方法もうまく考えていただけるといいと思います。

3つ申し上げました。

【花輪主査】 どうもありがとうございました。国際的な視野を持つこと、それから既に得られている海洋のいろんな知識を総動員すること、それからサンプルのとり方、分析の仕方を根本的に見直すことも考えていいのではないかと3点ご指摘があったと思います。どうもありがとうございました。

そのほか皆様方から。山下委員。

【山下委員】 最初のほうでのご質問と関係するんですけれども、モニタリングの目的の中に、生態系を通した生物濃縮の研究に資するというものがあるとすれば、やはり魚とか生き物もホールではからないと意味がないんです、基本的には。部位によって濃縮の仕方が違うというのであれば、やはりホールではかる必要があります。ですけれども、例えば1メートルのスズキをホールではかれるのかどうか、私は放射性物質の専門家ではありませんので、よくわからない。最低、骨と筋肉とそれから内臓、おそらく肝臓あたりが一番いいかとは思うんですが、その3つの濃度の関係ぐらいはきちんとモニタリングの過程で押さえておくことは必要ではないかと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。全体あるいは各部位ごとにはかるのが非常に有益な情報になるだろうというご指摘でした。

そのほかございませんでしょうか。山本委員。

【山本委員】 海底土のことについてですけれども、深澤先生がおっしゃったように、きちっと阪大の藤原先生とよく話していたんだけれども、どういうふうにサンプリングをとっているのか、海底土のサンプリングというのは、非常に難しいんだと。それによって精度がみんな違うんだと。深さは別にゼロから3センチとっているんだけれども、実際は10センチ、20センチまで下手すれば行っているところもあるんで、だからやっぱりきちっとした採泥器で、ほんとうに層別でとるならゼロから5とか、きちっととれるようにして、できれば土壌の場合でもそうだったんだけれども、Bq/kgだけで評価してあるんで、きちっとさえとれれば、Bq/mにも直せるので、深さをとればインベントリーという出し方もできるので、そういうインベントリーでマップをぜひ10kmか30kmに東北のほうで書くことが非常に大事ではないかなと。

だから僕はイギリスのウィンズケールでしばらく研究したことがあるんですけれども、マップをどれぐらいたまっているところがあるのか。ずっと50km、100km離れたところで粘土成分が非常に多いところにセシウムががばっとたまっていて、数年後たったら、またその海域のセシウムがなくなって、またどこかへ移っているんですよね。

そういうこともあるから、地震との絡みで地象研がなさっている粒度分布のああいうデータもきちっと東北で見ながら、どういう場所でとって、どれぐらいたまっているかというのも。だから定点で何カ月ごとにはかるのも大事なんだけれども、一挙に200地点でもいいからだーっと出て、この泥でも、海水は致し方ないんだけれども、泥のデータが月ごとに変わっていたり、サンプリング部位が違うから、比較がどうしたらいいか非常に難しいですね。だからともかく一、二週間以内にだーっと広域でとる。そういうのも非常に大事じゃないかなと。それを2年、1年とか毎年比べていけば、どういうふうに水平移動していくのか、先ほども吉田先生がおっしゃったように、沖のほうへみんな動いていっているのかとかいうのが非常に見えるんじゃないかなと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。そのほかございますか。中田委員。

【中田委員】 先ほど言ったこととかぶるんですけれども、今回この方法の中で沿岸域も沖合域もおおむね二、三カ月あるいは3カ月に1回という観測頻度になっています。特に沿岸域において二、三カ月に1回というのは、あまりにもいろんなイベントに対応した形にはなっていないので、そこはやはりせめて1カ月に1回あるいはそれ以上ということを考えていただきたいなというのが1点。

それから、私は深澤委員の意見に非常に賛成で、研究レベルでいろんなところがいろんなことをはかったりしているので、ぜひ採取方法等については、これが推奨できる方法だみたいなものは出していければいいかなと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。そのほかございませんか。青野委員。

【青野委員】 幾つかあるので、まとめてお話しできるかどうかわかりませんが、海底土については、表面ゼロから3センチだけではなくて、もう少し区切りを、他の先生方、委員からのお話があったように考えていただきたい。例えば、表面から2cmごとに何層かとるとしていただかないと、いわゆるセシウムが吸着した粘土鉱物というものが表面だけを流れているものなのか、それとも鉛直的に混合しているのかというものを見ていくことによって、今の結果というのは、0から3cmですから、最初のほうに乙坂委員から話があったように、安全側に評価するためにはそちらのほうが有効かもしれませんが、今は評価ではなくて、現状のモニタリングだと思いますので、そういった意味では、年数とともにどういうふうに変化しているのかをとらえていただきたいと思います。

あと、深澤委員からお話があったように、採水する場合の水深、表層と100mという考え方も少し考え直したほうが良いではないかなと思います。震災前の要するにバックグラウンドとしてセシウム-137は存在していますけれども、134については存在していません。ですから、今回いろんなところでサンプリングをしてセシウム-134が検出された海域は、明らかに今回の事故の影響を受けているということです。

ですので、水深100メートルでもし検出された場合には、それよりも深い場所、1,000メートルで検出されればさらに深い場所というふうに3次元的に分布をとっていかないと、どういうことが起こるかというと、今、このモニタリングのデータというのは非常に貴重でして、これがベースに今度、線量評価に移っていきます。これを表面的に2次的に行うと、表面が濃度が高いですから、過大評価されます。そうすると、人を含め人以外の生物に対しての線量評価というのは非常に大きい数字になってきます。過大になってくると、多分いわゆるそういうことを発表されてしまった場合には、混乱を来す場合があると思います。ですから、その生物が生息している環境の濃度がベースになるわけですから、それを正確にとらえる上では、深さというのは非常に重要になってきます。

この中で、生物への濃縮、移行パラメーターというものがありますが、これも言葉としては日常的に使われていますが、慎重に取り扱わないといけないということがあります。これは平衡状態を仮定して移行係数が幾らかという計算ですので、1回の観測で分母が海水で分子が魚であるからこれでしたというわけにはならないです。

要するに今までのデータというのは平衡状態をもとにして出ているわけです。今の場合は、まだ海水は落ちついてなくて、海底土もそうですし、生物の中というのもまだ非平衡であるわけですから、そういったものの中で、どういうプロセス、どういったデータをとることによって平衡状態と非平衡状態の状態をカバーできるかといったところも含めて考えなければ、単に文書として羅列しているだけでは全く意味がなさないと思いますので、注意していただきたいと思います。

あと、海底土についてもそうなんですけれども、海水についても単に水という意識だけではなくて、中に含まれる懸濁粒子、例えば沈降粒子等についても分析をされたほうが、水の中からいきなり土ができるわけではなくて、河川からの流域から流れていったもの、それから生物によってつくられた光合成等によって生成さて、死滅によって発生する沈降粒子、生物粒子というものがありますから、そういったものがどのスピードで落ちていっているのか。それが深さ毎でどうなっているのか。水ではないけれども、粒子として沈降しているのが得られているというのは、過去のチェルノブイリの結果でも同じことが得られていますので、そういった意味では、過去の事象のデータとかを比較することによって検討していく必要があると考えています。

最後にもう一つですが、今回このように海域のモニタリングのことについてまとめられているんですが、各省庁間ごとにどういった担当でどうされているのか。例えば魚といっても、先ほどのモニタリングの結果というのは、要するに原発周辺での影響がないかということだったと思うんですが、今、本日ご出席されている委員の方々もあると思うんですけれども、イコール食品になってきているのです。

ですから、そういった意味では、どの省庁がどのサンプリングをされて、どういう結果を出されているのかというのを見せていただかないと、今、一般的には、河川は環境省、それから海の外の海域のほうで文部科学省が主体となっています。今、境界線のあたりをどちらがするのかという話が出てきていると思うのですが、その線引きをやっぱりしていただいたほうが、今後、一般の国民の目から見た場合に、どの部分でどこがされているのか。同じことを二重にされているとまた税金との費用対効果の問題が出てくると思いますので、そういったものも見られるようにしていただきたい。

それによって、例えば海産生物になってきた場合には、やはり水産庁と話をすることによって、可食部だけなのか、とりあえず文科省のモニタリングの中では、可食部をするんだけれども、サンプルとして保管しておいて、もしほかの部位が必要であれば、肝臓であるとかホールボディーで魚全体としてとれるデータを蓄積していくのかといったところの調整ができると思いますので、そういった調整の体制についてもしていただいたほうがわかりやすいかなと思います。

1月16日付で原子力安全委員会が今後の放射線モニタリングのあり方という中で、海域のところで述べられていますけれども、海水堆積物については細かく書いて、例えばこういった委員会で確認をするとありますが、いきなり海産物の話がなくて、今みたいに移行パラメーターのことが出てきていますので、それについてやはりどこまでほかの方々が本気で取り組まれようとしているのかを見えてこない部分もありますので、そういった意味ではすみ分けの部分をはっきりしていただきたいなと思います。

以上です。

【花輪主査】 最後の点はご要望ということでよろしいですか。

【青野委員】 そうです、コメントで結構です。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。それでは、石川委員、ご意見ありましたら。

【石川委員】 私は海洋のシミュレーションが専門なので、その立場から話をさせていただきますと、1つは、先ほど深澤委員からもありましたが、深い方向の表層と水深100メートルは、あまりにも特に外洋域においては浅過ぎると。特にこの時期ですと、100メートルぐらいだともう混合層の中なので、表層の水とまざっているので、二重にはかってもしようがないところもあるわけですね。逆にもっと深いところまでどれだけ沈んでいるかという意味では、より深いところという意味で、時期によっても適切な深さが変わってくると思いますし、表層と100メートルを必ずしも同時にはからなければいけない時期、はかるべき時期、夏場ははかるべきだと思いますが、冬場なんかははからなくてもよいのではないかということもあると思います。

それからもう一つは、中田委員からもありましたが、沿岸域におきましては、特に現在、海底土における放射性測定量が非常に高いということであれば、そこからの巻き上げによって、沿岸域の海水のほうにまた高い値が出てくることが十分に考えられると思います。特に例えば台風なんかが通り過ぎた後なんかは、全体に泥を巻き上げて海洋中に、また海水中に戻り、またそれがどこかに移動するということが必ず起こってくると思います。その場合には、2カ月、3カ月に1回というのはあまりにも長過ぎるので、より細かくモニタリングをしなければ、沿岸域に関しては、何が起こっているのかがわからないのではないかが非常にこれは心配されます。

以上です。

【花輪主査】 どうもありがとうございました。では、荒巻委員、お願いします。

【荒巻委員】 皆さんのご意見、ご指摘とかぶる部分がかなりあったんで、ちょっとコメントを差し控えていたんですけれども、先ほどから何度もお話があるように、私、海水・海洋の化学が専門なんですけれども、海水を表面と100メートルでとるとか、その間をとるとかいうのがあるんですが、手前みそなんですけれども、私はこの辺の海域というのは、東北の沿岸を低塩分、低水温水というのは、南下する親潮潜流という水があると言われています。花輪先生とか深澤先生はお詳しいと思うんですけれども、この水というのは、黒潮の下に潜り込むんです。大体、房総の沖合ですと、水深300から400メートルぐらいのところに、低塩分で低水温の、鉛直プロファイルを見ていくとわかるんですけれども、そういった水があるんです。

私、そういう水があるからということで東京海洋大学の船を使って、低塩分水を追いかけて、その放射性核種をずっとはかっていたんですが、やはり先ほどセシウム-134が検出されるということは福島の影響だろう。水深350メートールの時点で、5月ですけれども、既に134が出ているんですね。検出限界を超えているということで今モニタリングしています。

そういうことで考えると、この今後のモニタリングのあり方ということでいうと、東京以南については全く考慮されていないんですが、この水のモニター、あまり詳しくまだ海洋物理学的にも解明されていないんですが、九州大学の千手先生なんかが書かれている論文なんかを読むと、相模湾までその水が下ると。よくわかるところで、たまちゃんとかあらちゃんとかいって、北の由来のアザラシ等が東京湾内に入ってくるというのは、まさしくそのプランクトンを追いかけた原因だろうと思うんですね。ですから、そういったところも考えてモニタリングする。

ですから、先ほど青野さんがおっしゃっていたような密度等を考慮して水をとらないと、どこに放射能の影響が行っているか、ホットスポット的なものもあるかもしれないことを考えたほうがいいんじゃないかと思います。

以上です。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。長見委員、何かありますでしょうか。

【長見委員】 素人ですから詳しいところわかりませんが、とにかく速度。このモニタリングの結果の発表の速度をできるだけ速くしていただきたい。1年前のものというのはなかなか一般の人には、どうしてそんなに時間がかかるんだろうとなってしまいますので、測定されたところから評価して発表していっていただくようにしていただきたいなと思います。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。安江委員、何かご意見ございますでしょうか。

【安江代理委員】 特に今回、河川からの流入ということで書いてあります。それでご承知のとおり、県の中通りに阿武隈川、大きな河川がございます。放射線量が高い海底土というのは発電所の南側に多いんですが、福島県の北側にも時々出てくる。マップ委員会で文科省で京大の先生がやられたと思いますが、阿武隈川のような県内を通して、毎日500億Bq程度のセシウムが海洋に出ているということがありますので、やはりこの海洋からの調査、環境省と県で海洋海域も河川もやっておりますので、それとリンクした形の調査がやっぱり大事かと思います。

やはり大雨のとき、あるいは洪水のとき、大量に表流水、表土が出てきますので、そのときの状況のフォローも何らかの形でやっていく、あるいはやっていただければと考えております。お願いいたします。

【花輪主査】 どうもありがとうございました。時間も過ぎているんですけれども、皆さんからご意見いただくことができました。最後にどうしてもというご意見がありましたらお願いします。どうぞ、乙坂委員。

【乙坂委員】 いろいろな委員の先生からいろんな意見が出ていると思うのですけれども、先ほど資料1-3でご説明をいただいていて、何度も「継続性をもって」ということが書かれているんですけれども、これはとても重要なことだと僕は評価をしています。というのは、これまでこの1年、いろいろなデータが出てきていますよね。その測定の方法なりサンプリングの方法なり、問題が全くなかったとは言えないかもしれないんですが、その継続性をもって、次のデータを出す。

それと一時期は並行して新しい手法を検討する必要があろうかと思いますが、全く新しい方法に移行するのではなくて、やはり継続性をもったデータを出し続けることはとても大事なことだと思うので、それが先ほど吉田委員からもお話があったような、今後どう動いているのかを評価する上でも大事になります。だからそれは大事にしていくべきだと思っています。

あとはいろいろな意見をすべて拾うには、リソースが限られているわけですから、これについては、専門の研究機関内で緊密に連絡をとり合えるようなシステムをまずつくることが大事になってくるかと思います。ぜひご検討いただければと思います。

以上です。

【花輪主査】 貴重なご意見ありがとうございました。

今日はほんとうに短い時間での議論ということで、まだまだご要望等もあろうかと思います。そこで、これで終わりということではなくて、会議終了後もぜひお近くの方々と、あるいは所属されている機関でも結構なんですが、今回の原案をぜひ議論していただきたいと。これは秘密でも何でもありません。いいモニタリング計画をつくりたいというのが一番ですので、ぜひ検討されまして、その意見をまた上げていただきたいと私は考えています。

事務局のほうで、そういう方向でよろしいでしょうか。

【田村室長】 はい、了解いたしました。こちらの今後のモニタリングのあり方、専門家のお立場の皆様のご意見というのが非常に重要になろうかと思いますので、ぜひとも関係機関のさらなるご専門の方々にご意見いただければ、我々としても非常にありがたいと思います。

そこで事務局からのご提案ですが、一定の時間を区切らせていただいて、例えば来週の水曜日22日とか、そちらでコメントをいただければ、こちらでその後の反映を考えていただきたいと思いますが、詳しくは、またどこにどう提出するかということについては、こちら事務局から皆様にご連絡申し上げるようにいたしますので、ぜひともそのような形でいろんなご意見をいただけばありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

【花輪主査】 どうもありがとうございます。では、来週水曜日22日まで、ご意見を受けつける、それ以降ももちろん受けつけるんですが、可能であれば22日までお願いしますということです。よろしくお願いします。

本日、予定しておりました議事はこれで終了します。10分以上おくれまして、私の不手際で大変申しわけありませんでした。最後に、事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

【田村室長】 それでは、本日はどうもありがとうございました。本日、ご了承いただきました議事の公開に従いまして、議事要旨につきましては、こちらは基本は事務局の文書責任のもとで、速やかに作成の上、ホームページで公表していきたいと考えております。その点をご了解いただければと思います。それから次回でございますが、次回につきましては、いろいろと評価について早目に取りまとめていただいたほうがいいというご意見等々ございましたので、その辺も踏まえて、必要に応じて開催の必要が生じる場合は、こちら事務局からまたお声がけさせていただいて、時間調整をさせていただければと思います。

以上でございます。

【花輪主査】 それでは、以上で本検討委員会を終了したいと思います。皆さん、本日はどうもありがとうございました。

(了)

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