モニタリング調整会議(第3回) 議事要旨

1.日時

平成24年1月24日(火曜日) 18時00分~19時20分

2.場所

文部科学省3階 東館講堂

3.議題

  1. 各省における放射線モニタリングの取組状況について
  2. 「総合モニタリング計画」の改訂に向けた作業について
  3. その他

4.議事要旨

出席者

(共同議長・副議長)

細野環境大臣、園田内閣府大臣政務官、神本文部科学大臣政務官、藤木文部科学省文部科学審議官

(構成員)

内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室、内閣府原子力安全委員会事務局、内閣府原子力災害対策本部原子力被災者生活支援チーム事務局、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、水産庁、経済産業省原子力安全・保安院、国土交通省、気象庁、海上保安庁、環境省、防衛省、福島県、東京電力株式会社

【神本文部科学大臣政務官】
 3月11日に発生した原発事故について、この数カ月間、原子炉からの放射性物質の大量流出は観測されておらず、空間線量率の状況も安定してきているところであるが、福島県を中心に大量に沈着した放射性物質との闘いはまだまだこれから続くものと考えられる。その中でモニタリングは非常に重要な役割を果たすものと認識しており、関係機関の方々と力を合わせてこの難局に取り組んでいきたい。

【細野環境大臣】
 3月以降、モニタリングについては関係機関がそれぞれ対応していただいており、その努力には敬意を表したい。一方で、依然として、福島を中心に不安な生活をしている方が数多くいる。
 この事故を起こした責任は、事業者と共に政府にあり、すべての国民の皆さんの不安にしっかりとこたえていくのが政府の役割である。今日こうして会議を開催し、全員の意識合わせをした上で、徹底したモニタリングと情報開示、国民への説明ということに努めて行きたいと思う。
 特に、採石場の問題が福島県内で新たに生じたところである。国民の生活に影響を及ぼすものを、すべて事前に予見をすることは難しいが、もう一度何か不安の材料になるものはないか、全省庁挙げて確認する必要があると思う。
 また、海の中や湖の中の放射性物質の沈着ということが報道されたが、国として早期に取り組んできたものの、いまだ包括的に調べられているという状況ではないので、大きな課題を残していると考えている。
 さらに3月末の区域の変更について、政府として線引きの基本的考え方を示しているので、正確な情報を政府としても把握をする必要があるとともに、該当する市町村や住民にそれをしっかりと伝える必要がある。
 昨年8月に策定した「総合モニタリング計画」の改訂に向けて作業をする会議であるが、改訂を待たなくとも、生活の中で必要なモニタリングや、海のモニタリング、さらに区域の変更に伴うモニタリングをどのように協力して行っていくか、それぞれの省庁で適宜連携して実行していくことを強く要請したいと思う。
 3月以降、大変な状況の中で間もなく1年が経過しようとしている。苦しい思いをされているのは被災地の皆さんであるので、我々は被災地の皆さんの不安や怒りに応える責任があることを自覚して、これからもしっかりとしたモニタリングに努めて欲しい。

 議題1及び議題2に関して、関係機関より以下のとおり、説明された。
(議題1)
 文部科学省より資料1-1-1~1-1-8に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 厚生労働省より資料1-2-1、資料1-2-2に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 農林水産省及び水産庁より資料1-3に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 環境省より資料1-4に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室より資料1-6に沿って、原子力安全庁(仮称)の平成24年度のモニタリング関係予算について、説明を行った。
 福島県より資料1-5に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 内閣府原子力安全委員会事務局より資料1-7-1、資料1-7-2に沿って、モニタリング結果の評価に関する取組状況について、説明を行った。
 内閣府原子力被災者生活支援チームより資料1-8-1、資料1-8-2に沿って、取組状況等について、説明を行った。
 国土交通省より資料1-9に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 海上保安庁より資料1-10に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。
 気象庁より資料1-11に沿って、モニタリングの取組状況について、説明を行った。 

(議題2)
 文部科学省より資料2-1に沿って、「総合モニタリング計画」の改訂に向けて特に留意すべき事項について、説明を行った。
 内閣府原子力安全委員会事務局より資料2-2に沿って、今後の放射線モニタリングの在り方について、説明を行った。

説明を踏まえた意見交換で出た主な意見は、以下のとおり
【園田内閣府大臣政務官】
 今日まで、関係機関の方々には、大変ご尽力いただき、また、文部科学省においては、関係機関の連携を含めて行ってきたことについて、私からも御礼を申し上げたい。
 先ほど、細野大臣からも話があったが、モニタリングについて、しっかりと公表・公開していくことは、住民の方には有意義であり、かつ、一つの指標として多くの住民の方から前向きな形でとらえていただいた。生活空間、食品、海域も含めて、事実を知りたいというのが、住民の最大のニーズであったと受けとめているところであり、国がそれに対して責任で応えるという姿勢をしっかりと示してもらったと思っている。引き続き、採石場の話もあったが、何か抜けがないのかというところをいま一度、関係機関の方々には現場のニーズも含めて、しっかりと対応し、また、総合モニタリング計画の中に盛り込めるところは盛り込んでいって欲しい。
 加えて、区域の見直しへの対応がある。モニタリングは実施すれば結果が出るものであり、住民の方には、それをもとに計画を立てる上において、大変有益なものであることから、できる限りの前倒しの取り組みを、スピード感を持ってやっていただきたいと思う。
 4月に新たな機関が立ち上がっていくところであり、3月末に区域の見直しもあるが、喫緊の課題としてとらえて、一刻も早く動き出して欲しい。これから総合モニタリング計画を見直していく段階においても、同時並行的に進められるものは、早急に前倒して進めるようお願いしたい。

【内閣府原子力被災者生活支援チーム】
 3月末を目指して、区域の見直しに関して、各市町村と我々とで意見交換を始めたところ。そのなかでモニタリングの関係で気になることとして、モニタリングデータと健康被害との間で、住民の理解が必ずしも進んでいないことがある。典型的には、福島市で子供たちにガラスバッジを配布しているが、10ミリシーベルト超のところに住んでいても、実際には年間1ミリシーベルト程度の被ばくであったことなどいろいろな事実が積み上がってきているところであるが、住民の方と話をすると、20ミリシーベルト被ばくしたといっている。空間線量については全て被ばくするとの誤解がある一方、食品は全部検査すれば安全だといった、認識のギャップがある。20ミリシーベルトの基準は、毎時3.8マイクロシーベルトの地域において、屋外で8時間、屋内で16時間の仮定で推定したもので、実際は、個人の行動などで、空間線量と実際の被ばく線量は相当違うはずであり、過度な仮定の被ばくを推定していることの丁寧な説明が必要と思う。
 正確なモニタリングをすればするほど、しっかりとしたリスクコミュニケーションをやらないと、逆に恐怖心をあおりかねないところで、住民への情報提供や理解しやすい示唆を、どう専門家を交えて行ってやって行くか、安全庁が相当の役割を果たすと思うが、1箇所の部署だけでは不足だと思うので、データをどう伝えるかを相当重点的にやらないと線引きをしても、住民が戻らないという事態になると思う。

【神本文部科学大臣政務官】
 非常に重要な指摘である。モニタリング結果について、健康へどう影響しているかが住民に正しく伝わなければ、不安をあおるだけになったり、モニタリング結果に対して懐疑的な見方になったりする。その点について、関連して意見等あればいただきたい。

【福島県】
 次の段階のモニタリングについて指摘されているが、優先順位を定めて、利用可能なリソースを最適配分していくことが望ましいが、住民ニーズに応えていくといったところで、依然として、県や国、公的機関の測定や評価が十分な信頼を得ているのかということでは、不十分な点もあると思う。
 ある程度科学的には、それほど重視しなくて良いことかもしれないことでも、なぜ測定をしていないのかと言われると、測定者がいろいろなポイントを押さえてモニタリングしていると話をしても、要求があれば、次々にやっていかなくてはいけないような状況になっている。それらもある程度やっていかなくてはいけないと思う。
 身近なところで、自らが食べる食品などをもっと近いところで調査することが考えられる。今、市町村でも放射能を身近なところで分析しており、住民に近いところで分析したデータを出し行くことで信頼を得ていることもあるので、今後、市町村ともよく連携してモニタリングを実施していく必要があると思う。

【神本文部科学大臣政務官】
 モニタリングの対象や方法について、総合モニタリング計画を改訂していく中で、常に地元のニーズを把握しながら考えていく必要があると思う。
 食品の規制値の見直しが進められているが、厳しくなる規制値に対してどのようにモニタリングをしていくのかが課題である。不安をあおることになってはならないが、住民の方に安全であるという安心を持ってもらうことも一方で重要だと思う。

【文部科学省】
 支援チームから提案のあったリスクコミュニケーションの重要性は、深く認識しており、改訂した総合モニタリング計画の中に書き込んでいってはどうかと思う。まず、計画に書き込むことが最初の一歩であり、その上で、リスクコミュニケーションに関する研究調査のようなものが必要になると思う。

【東京電力】
 福島県の漁業関係者と話す機会があり、除染により河川に流れ込んだ水や雪解けによる河川の増水で、セシウムを吸着した土が海に流れ込み、海域の状況が変わるのではないかとの声もあったので、モニタリングや対策等で検討課題になると考える。

【環境省】
 除染を行わなくとも、ウェザリングによって、川底や海に流れ込んでいく状況があり、除染によって、加速することがないようにというご指摘かと思う。除染は、そのようなことにも留意して進めている。

【神本文部科学大臣政務官】
 貴重な意見がいくつも出たので、それらを踏まえて総合モニタリング計画の改訂作業を進めていただくことになる。関係機関の皆様のご協力をお願いしたい。

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原子力災害対策支援本部