科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(第13回) 議事録

1.日時

平成25年12月16日(月曜日)13時~15時

2.場所

文部科学省東館16階科学技術・学術政策研究所会議室

3.議題

  1. 各機関の取組の進捗状況等について
  2. 「科学技術イノベーション政策における『政策のための科学』推進事業」の今後の進め方について
  3. その他

4.出席者

委員

有信委員、笠木委員、黒田主査、郷委員、小林委員、

文部科学省

土屋 科学技術・学術政策局長、川上 大臣官房政策評価審議官、伊藤 科学技術・学術政策局次長、小山 科学技術・学術政策局企画評価課長、斉藤 大臣官房政策課評価室長

オブザーバー

政策研究大学院大学教授・科学技術振興機構研究開発戦略センター副センター長 有本 建男、政策研究大学院大学教授 桑原 輝隆、科学技術・学術政策研究所長 榊原 裕二、科学技術振興機構社会技術研究開発センター長 泉 紳一郎

5.議事録

【黒田主査】 
 それでは、定刻でございますので、ただいまから第13回の科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会を開催させていただきます。
 前回から大分時間があきましたので、それ以降の経緯も含めまして、今日は御審議をいただきたいと思います。
 議事に入ります前に、事務局に人事異動がございましたので、御紹介をいただきたいと思います。小山課長、お願いします。

【小山課長】 
 失礼いたします。事務局を務めさせていただきます、企画評価課長の小山と申します。そもそもこの会議、10か月ぶりになります。お詫びとともに、よろしくお願い申し上げます。前回は今年の2月に第12回推進委員会で、それから3月には、皆様おそろいではございませんでしたが、懇談会として1回御議論いただきましたが、それからも9か月たっておりますので、本日様々な御報告案件、それから今後の方向性についての再度の御議論をお願いしたいと存じます。
 それから、異動の関係でございますが、まず委員の皆様の中で、桑原委員が11月から政策研究大学院大学の教授に御就任ということで、有本先生が委員からオブザーバーになっていただいたのと同じケースで、今後オブザーバーとして引き続き御議論にお加わりいただくという形でお願いしてございますので、御紹介させていただきます。
 それから、事務局の方も、もう10か月たちますとだいぶ変わっておりまして、座席表に文部科学省側出席者を載せてございますので、それをもって御報告にかえさせていただきたいと存じます。引き続きよろしくお願い申し上げます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、早速議題に入りますが、まず配付資料の確認をお願いいたします。

【坂下(事務局)】 
 お手元の方に、まず1枚目に議事次第がございます。この議事次第の裏に配付資料が一覧で記載されておりまして、資料1-1から1-6、それから資料2-1と2-2、それから参考資料として委員名簿がございます。一つ一つの資料の確認は省略させていただきますけれども、配付資料に不足等ございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局の方へお知らせいただければと思います。
 また、本委員会は設置規定に基づき、公開で開催しております。なお、出席者の御了解を得た上で、議事録につきましては後日公開させていただくことになっておりますので、よろしく御了承いただけますようお願い申し上げます。以上です。

【黒田主査】 
 よろしゅうございますか。
 それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。先ほど小山課長の方からお話がありましたように、約1年弱この会が開かれていませんでしたので、まずその間の進捗の状況につきまして、資料1-1から資料1-4までの報告について、各機関から御報告をいただきたいと思います。最初に、基盤的研究・人材育成拠点の活動状況につきまして、政策研究大学院大学の有本先生から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【有本教授】 
 それでは資料の1-1でございます。基盤的研究・人材育成拠点の活動状況についてということで、先生方御存じのように、このプログラムは6大学5拠点、大阪大学と京都大学は共同ということで五つの拠点になりますけれども、大学としては6大学ということで、今年の4月から正式に各プログラムで学生さんが入り、本格的に活動を開始したという状況でございます。そこにありますように、総合拠点としてのGRIPS、政策研究大学院大学は、現在12人の登録ということでございます。それから、東大が88人、一橋が4人、大阪大学15人、京都大学9人、九州大学が53人。これだけの違いがありますのは、独立選考・ジョイントプログラム、あるいは副専攻、様々な態様があるものですから、こういう形になってございます。
 それから、2.の拠点間全体でどういうことをやっているかということでございますけれども、その下にありますように、まず共催の国際シンポジウムとしては、昨年12月14日に、初めてでございますけれども、「科学技術イノベーション政策の過去・現在・未来」ということで、GRIPSでやりました。これは後で御紹介します。第2回目が、つい先立って10月の初めに東京大学で行ってございます。
 それから、次のページにいきまして、サマーキャンプを開催してございます。第1回目は九州大学にお願いいたしました。第2回目を今年の8月の末、夏休み中に、GRIPSが主催してつくばで2泊3日でやってございます。これも後で御紹介をいたします。それから、拠点ポータルサイトの開設でありますとか、テキストの編集等々、今協働してやっております。
 国際シンポジウム。これは国際的なネットワークを作るという意味もございます。こういう世界トップの産学官ポリシーの方々に集まっていただくことで、その後の共同活動に広がっています。ケンブリッジとサセックスがリードする国際的な科学助言の比較研究のスタディの活動も、緒についたところでございます。
 裏側では、オランダのラテナウ研究所がございます。これはオランダのアカデミーに付属しているユニークなテクノロジーアセスメントの研究所ですけれども、ここが中心になりまして、今、この分野の国際的なトレーニングコースのカリキュラムを作る、あるいは実際にトレーニングをやってみるということで、日本もそのネットワークの中で、試行的にやり始めたところでございます。
 別紙の3でございます。今年8月、先ほど申しましたけれども、サマーキャンプを開催させていただきました。次のページにありますように、学生さんが26名、教職員が30名ぐらい参加し、ここにありますような写真で、特に別紙の3-3のプログラムを見ていただきますと、ここに今日御出席の文科省の斉藤室長から成果のユーザーとして、あるいは課題セッティングというものについて御講演いただき、ディスカッションもありました。それから2番目で、「歴史に学ぶ巨大科学」ということで、朝日新聞の高橋真理子編集委員にお話をいただきました。
 これはなぜかといいますと、筑波でやったものですから、高エネ研にお願いして、学生さんたちにそこを見学していただきまして、その後、CERN、あるいは日本のITER、宇宙ステーションとか、様々な国際科学ビッグプロジェクトがありますけれども、こういうものの在り方について、ワークショップを学生さんたちがやりました。これには大阪大学で開発された手法を使い、大変お世話になりました。課題設定をして、プロポーザルを考えてみるというところまでやってみました。学生さんたちも非常に良かったということを言っております。
 来年は夏に大阪大学と京都大学が幹事校として、淡路島で2泊3日で開催する方向で準備を開始したところでございます。以上です。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きひとあたりプログラムについて御説明いただいた後、全体に御質問等いただきたいと思います。
 公募型の研究開発プログラムにつきまして、RISTEXの泉センター長、よろしくお願いします。

【泉センター長】 
 ありがとうございます。資料1-2でございますけれども、御案内のとおり公募型の研究開発プログラムにつきましては、SciREXの全体の中では、政策形成に活用し得る新しい解析手法とかモデルの分析、あるいはデータの体系化のツール、それから、指標の研究開発と、こういうものを中長期的にSciREXの目的に資するような形で進めていくということで、公募型の研究のファンディングということで、プロジェクト1件当たり大体マックス3,000万円。今年からちょっとジャンル分けをしましたけれども。3年間のプロジェクトで行っているもので、23年度、24年度と募集を行って、今年度25年度、3回目の募集を行ったところでございます。
 25年度につきましては、これまではフラットにいきなり提案書を出してくださいというような形で募集をしておりましたけれども、これまでの公募の経験も踏まえまして、よりプログラムとしての意図に沿ったものをとれるようにということで、二つのこれまでとちょっと違ったことをやりまして、一つはプロジェクトを二つの枠に分けまして、通常枠というものと特別枠というものに分けました。
 資料1-2を1枚めくっていただきまして、一番上のところでございますけれども、通常枠ということで、エビデンスを与える上で有意義であって、政策のための科学としての新規性や独自性を追求する提案を期待するもの。それから、特別枠ということで、社会の特別な課題、特定の課題を対象として、科学技術の研究開発成果を生かせる仕組みや、政策・制度の形成の段階までの議論を含むような研究開発ということで、ちょっとプロジェクトの予算も少し差をつけた形で、通常枠と特別枠ということで募集をすると同時に、2段階選考ということで、最初からフルの提案書を出していただくということではなくて、最初は比較的簡単な構想ペーパーを出していただいて、その構想ペーパーの中でプログラムの趣旨、意図に沿った提案と期待されるものについて、プログラム側の意図も改めて伝えつつ、いいものについてフルの提案書を出していただいて、それをさらに査読をいたしまして、ヒアリング審査を行うものを選んで、それに来ていただいてヒアリング審査を行うという形で2段階、細かく言うと3段階ということになるかもしれませんけれども、大きくは2段階という形で審査を行いました。
 1-2の一番上のところに書かせていただいておりますように、最初の段階で43件の提案がございまして、先ほど申し上げましたようなプロセスを経まして、今年は5件の研究開発プロジェクトと、2件の企画調査を採択いたしました。2ページ目以降に、表の形でプロジェクトのタイトル、それから研究代表者、概要、関係機関等をおつけしてございます。1枚目の2件が、先ほど申し上げました通常枠のものでございまして、2枚目の3件が特別枠。それから3枚目、2件ございますけれども、これはプロジェクト企画調査ということで、そこに書いてございますように、年度内、実質半年ぐらいになりますけれども、企画を具体化するための調査を行って、来年再度応募していただける場合は応募していただくということにしているものでございます。
 それで全体で、ちょっとページが振ってなくて恐縮ですけれども、3/3と下に書いてある次のところに、23年度からスタートしました各プロジェクト、全部で16件になると思うんですけれども、各プロジェクトのタイトルそのものというよりも、むしろより具体的な内容に近いような形でプロジェクトの概要を書くとともに、大体さっきの政策形成にし得るような解析手段とかモデル分析、あるいは体系化のツールといったような意味で、どういうポジショニングになるかということを整理してみたものでございまして、25年度は、先ほど申し上げましたような特別枠を設けて、特定の社会課題の解決を対象とした議論を含む提案を求めるということで、この右側の下の方の特定政策の効果の評価・シミュレーションといったところの課題が、プロジェクトが入ってきているということが読み取れるかと思います。
 普段のプログラムといいますか、プロジェクトのマネジメントでございますけれども、これは森田PO、領域プログラム総括のもとに、この分野のいろいろな専門家の先生方、アドバイザー、経済等もかかわりますので若杉隆平先生とかそういった方々にアドバイザーに入っていただくとともに、黒田先生にもオブザーバーという形で入っていただいたり、アドバイザーのボードがありますけれども、この会議を2か月に1回程度やりまして、各プロジェクトの進捗状況の報告、あるいはもちろんこの審査も含めてですけれども行うとともに、適宜実際にプロジェクトの研究開発を行っていただいている現場に行って、意見交換等を行っております。今日もプロジェクトの平成24年、去年採用したプロジェクトの、この表でいきますと、先ほどの図でいきますと一番上のところですね。経済効果を評価するもの、イノベーション政策による経済成長分析・評価の、一橋大学の楡井先生のプロジェクトのサイトビジットに行っているところでございます。
 そういうことと同時に、国際ワークショップをこれまでに去年と今年、12月ですけれども、2回行っております。今年の分はつい先日行いまして、地域イノベーションをテーマとするプロジェクトということで、日本からは九大の永田先生のプロジェクト等を紹介しながら、ドイツ、それからオランダから専門家に来てもらって意見交換を行っております。
 それから、プログラムサロンということで、これは各プロジェクトの途中成果をセミオープンな形で発表しまして、これらを使っていただくことを期待できる政策担当者、あるいはファンディングエージェンシーの担当の方等にも来ていただいて、問題意識を共有して、それ以降のプロジェクトの研究開発の進捗に資するように行うということで、これまで4回行っておりまして、後ろの方に資料をおつけしてございますけれども、次の第5回目を来年の1月22日に行う予定でございます。
 それから、プログラム全体会議ということで、これは年に1回ですけれども、このプロジェクト間の問題意識の共有とか、プログラム全体の中での各プロジェクトのポジショニングの認識をきちっとするという意味から、年に1回合宿形式でプログラム全体会議を行ってございますけれども、第3回を来年の3月に行う予定でございます。
 それから、プロジェクトの年次報告書、それから終了報告書等につきましては、RISTEXのホームページで順次公開をいたしております。簡単でございますけれども、私からは以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、政策課題対応型調査研究とデータ情報基盤の整備について、NISTEPの榊原所長からお願いいたします。

【榊原所長】 
 では、資料1-3に基づきまして説明をさせていただきます。
 まず1ページ目ですけれども、これはこの事業全体の絵でございまして、特に私ども政策研の方で担当しておりますところが右下の2課題でございますので、ここに丸印を入れております。全体の中でこういう位置付けで研究を行っているということでございます。
 続きまして、3ページにそれぞれの事業の実施課題のリストをつけてございますが、まず申し上げたいのは、政策課題対応型調査研究7課題につきましては、個別には御紹介いたしませんけれども、右にそれぞれNISTEPのレポートをいただいておりますように、それぞれ順調にアウトプットが出ておるところでございます。
 特に2点目のイノベーション調査につきましては、まだ現時点では報告、調査資料としてはまとめておりませんけれども、内容につきましては、OECDのSTIスコアボード2013に暫定版として提供しておりまして、これは既にこの秋にOECDから刊行されております。こういったようなものもございます。
 2点目が、4ページでございます。データ・情報基盤の構築の実施課題リストということでございますが、こちらの方はレポートでまとめておるものもございますし、最終的にはデータ・情報基盤ということでありますので、NISTEPのウェブで公開されていくものが大半となっております。
 個別に主な成果について御説明させていただきますと、まず政策課題対応の方でございますけれども、5ページに挙げておりますのは、無形資産・イノベーション・生産性に関するミクロデータの分析ということでございますが、これは企業の特性に応じまして、インプットとアウトプットから、その間に直接見ることはできないんですけれども、そういう統計的に効果を、R&Dスピルオーバー効果と書いてございますが、こういったものを見出そうというものでございまして、後ほど少しその結果についてグラフをお示しさせていただいております。
 2点目は、産業連関分析を用いたものでございまして、これは早稲田大学とNISTEPの共同研究ということで進めさせていただいております。下の絵に研究の全体像と書いてございますが、NISTEPの方の得意としているところがシナリオの作成でございますので、そちらの方をNISTEPの動向研究センターの方が担当いたしまして、産業連関分析につきましては、早稲田大学の方で分担するというモデルで実施をいたしております。
 それから次に、データ・情報基盤の構築の状況でございます。7ページでございます。これは真ん中の方に絵が描いてございますが、政策、イノベーション、人材、社会的波及効果、経済成長への寄与と、こういったものを分析していくためのデータ・情報基盤を整備しようというものでございまして、細かにはそれぞれのデータベース間をつなぐような辞書の整備でありますとかそういうもの、あるいは先ほどの政策課題の研究で上げたデータ、こういったものを収録しているということでございます。表記につきましては、黒い四角で示しておるものにつきましては、既にデータとして公開済みというものでございます。
 次のページに移りまして8ページでございますが、これは全体のデータ・情報基盤の流れということでございます。2014年度で終わるというわけではありませんが、一応政策研では2014年までの4年間を一つの区切りとして考えております。ここで御説明をしておいた方がよろしいかと思いますのは、真ん中あたりに2月20日に利用促進ワークショップというところに印がしてございますが、一応2011年度から事業に着手いたしまして、データの整備がまだ十分ではないかもしれませんが、整備されつつございますので、現在政策研ではデータ・情報基盤の、今度ユーザーの開拓というところに主眼を置き始めまして、ここには書いてございませんけれども、別途関係者連絡会を設けたりしているところでございます。
 次に、データ・情報基盤に掲載されておりますデータの幾つかの例を御説明させていただきます。9ページですけれども、これは先ほどの研究の方でもお話をいたしました、無形資産・イノベーションでございますが、この上にございますように、アウトプットデータ、インプットデータを分析することによって、それぞれのデータ連結の分析の結果として、スピルオーバー効果というものを評価したものでございます。
 それから、次のページに移りまして10ページですが、NISTEPのホームページのコピーが右の方にございますが、過去の政策のデータを分析したものでございまして、1959年から科学技術白書というのが刊行されておりますが、その内容を文字ベースのデータベースとしたもので、過去の政策の検索をすることができるというものでございます。これも最近整備をいたしまして、公開をしたところでございます。
 次に11ページですが、企業名辞書の状況でございます。これは先ほど全体の進捗状況のところで既に公開されたものもあるという御説明もいたしましたが、概念的に示したものでございまして、それぞれの各種の統計でありますとか、調査の間をそれぞれの企業名の辞書、あるいは大学研究間の名前を辞書化することによって、それぞれのデータベース間の連結ができるようにしようというものでございます。
 最後になりますが、これはまだ実は途中でございまして、全くまだデータが蓄積されているわけではございませんけれども、政策研でも、例えばポストドクター等の調査というのを不定期に文科省と協力しながら作成しておるわけでございますが、やはり高度人材につきまして、もう少しきちんと追跡できるように。他の先進国ではそれを追跡するようなシステムを設けたりしておるわけですが、そういうことができないだろうかということで、ポイントの一つは、大学と共用化したデータベースを作ることによって、データを蓄積していこうというものでございます。一応来年度からパイロット事業みたいなことが始められないかということで、それぞれの大学と、今協議をしているところでございます。以上、短時間で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 引き続きまして、プログラムの一つの普及・広報委託事業につきまして、政策課評価室の斉藤室長よりお願いいたします。

【斉藤室長】 
 資料1-4に沿って御説明させていただきます。こちらの方ですけれども、本事業の普及・広報につきまして、外部に委託を出しまして、それを進めようということで、本年度スタートしているものでございます。今御説明を皆さんからいただきましたとおり、研究も進捗しておりますし、学生の受け入れなども始まっていることから、今後さらなる幅広い展開が期待されるということで、関連があまりなかった機関に対する理解と関心を喚起するための手法をどのようにしていったらいいか、具体的には、ポータルサイトの改良をどのように進めていくかというような観点で進めているものでございます。
 委託業務の内容として5ぽつ目ですが、今後新たな理解と関心を喚起するための手法の調査ということで、どのように関心を喚起できているかと、改善方法を検討するとともに、今後のポータルサイトの改善・充実ということで、分かりやすい魅力的な資料の作成などを行っていこうということで、委託で調査をお願いしているという中身です。
 現状でございますが、関係機関からの調査、聞き取りなども終わりまして、現状の把握、問題点の分析などを進めている状態でございます。今後につきまして、広報活動の実施主体とか目的とか戦略をどのように持っていくのか、ターゲットをどうするのか、具体的なメッセージをどのようにするのか、媒体をどう使うのかなどといったことを検討していきまして、アクションプランづくりやその実施につなげていこうと思っております。
 今、関係機関ごとにばらばらにサイトがあったりですとか、そういう現状もございますので、それらも連携付けながら一緒に進めていこうという計画になっております。以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございます。
 それでは、大分時間があきましたので、それぞれプログラム、かなり進捗してまいりましたが、四つのプログラムについて、何か御質問なりコメントがありましたらお伺いしたいと思います。何かございますでしょうか。どうぞ。

【笠木委員】 
 ありがとうございました。私も全部をきちんと理解していないんですけれども、もともと原点は、エビデンスベースドで政策立案をし、あるいはそれを評価するということだったと思うんですが、今、いろいろ御報告いただいたものを総合したときに、本当にその方向に近づいているのか。具体的な政策立案の方法論であるとか、あるいは評価の方向が出てきているのかと思いました。もっと端的に言うと、第5期の基本計画立案などの一部のプロセスに、何か使っていけるものが出てきているのかという点を、まずお伺いしたいと思いました。
 それから、三つの大ぐくりのプロジェクトが動いたわけですけれども、おそらくそれぞれがばらばらではないはずなので、その間のリンケージをどういうふうにとる努力をしているか。あるいは、そういう仕掛けがあるのかですね。例えば、NISTEPでおやりになっている詳細のデータの蓄積というのは大変有益だと思いますけれども、当然のことながら、例えば拠点等で研究が進んでいったときに、こういうデータが欲しいとか、あるいはこういうデータの整理の仕方が必要であるということが出てきて、そういう要望があれば、NISTEPとしての調査とかデータ集積の仕方も変わってくるのではないか。あるいは、NISTEP側から逆にこういう新しい切り口があり得るのではないかというような提案が研究者側に対してあってもいいような気がするんですね。そうした三つのプロジェクト間でのコラボレーションというか、そういうことがどの程度進んでいるのか。これらの2点についてお伺いできればと思いました。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。では、RISTEXの方から何か。

【泉センター長】 
 特に先ほど申し上げました、個々のプロジェクトのサロン等で進捗状況を御報告するに当たって、榊原所長も含めて政策研の方から関係の研究者の方等に来ていただいて、プロジェクトの研究開発の方向についていろいろと助言をいただくとか、あるいはこういう観点のところを進められないかというようなコメントをいただきながら、研究開発を行っていこうと思います。
 それと、わりと中長期的な指針、指標といいますかモデルということなので、これまではどちらかというと、直ちに現実の政策形成にどう使えるのかが見えにくいものもないわけではないということで、今年から特別枠ということで、特定の政策分野を意識した募集をやりまして、医療政策とか、宇宙環境政策みたいなもののプロジェクトが出てきましたけれども、そういうふうなこともやっておりまして、文科省の方でも政策形成の試行といいますか、トライアルの動きもされていますので、そういったところへのつなぎ込みがより効果的にできるようなプロジェクトがとれるように、今年はそういう枠を設けたところでございますけれども。
 提案公募なので、こちらからこういうふうにやれというふうな形でやられるわけではないので、なかなか100%ぴったりということになりにくい部分はありますけれども、そういったものは先ほどの2段階公募というようなことをしながら、最初の構想段階とは違った形で、最終的にはプロジェクトを採択するというようなこともやっておりまして、あと1回、公募を来年度する予定でございますけれども、このSciREX全体の方向性の連動を一層高めた指導をする必要があるというふうに認識しております。

【榊原所長】 
 先ほど御説明したことの繰り返しになるところもあるかと思いますが、私どもも研究でやっているものもございますし、基本的にはアウトプットのデータを整備していくという形で、データ基盤整備事業というのを進めております。また、今までに既に大学の拠点の人材育成プログラムなんかで実施されているところにも、全てというわけではありませんけれども、人を派遣したりしているところであります。
 ちょっと先ほど説明しませんでしたが、机上にこういう1枚紙をお配りしておりますが、これはできたばかりでありまして、こういったものを配りながら、皆さんできるだけ多くの研究者に使っていただく。やっぱりデータベースでありますので、使われてさらにチューンナップしていくという性格のものだと認識しておりまして、逆に言うとあまり使われないデータを整備しても仕方ないわけでありますので、対外的にはそういう活動を始めています。
 それから、当然これはNISTEP内部の話なんですけれども、内部的にも他のグループがよそのグループの作ったデータを使ってレポートを書くということは推奨しておりまして、近々そういうものがぼつぼつ出始めるのかなという状況でございます。

【黒田主査】 
 ありがとうございました。どうぞ。

【土屋局長】 
 私が言うのも何か変なんですけれども、先ほどの笠木先生の御指摘全くそのとおりで、私もそこを非常に懸念しています。三つのプロジェクトのコラボレーションの問題ももちろんありますし、それから今、榊原室長の説明があったこちらのデータは、これは実は前から私は言っているんですが、平均的な全体の動きが分かるものの、さっき笠木先生おっしゃったように、政策立案に使えるようなデータの観点ではどうでしょうか。【榊原所長】  統計ですから、もちろん全体も把握していますし、そこは政策のニーズによるんだと思いますけれども。

【土屋局長】 
 トータルの日本全体の動きは、それは分からないより分かった方がいいとは思うのですがここで今、SciREXで議論しようとしているのは、もっとシャープに、この課題を解決するとこういう政策的な成果が得られるとか、こういう結果が、経済的な効果があるだとかいうようなことです。政策研がやっているのはそれにどうマッチングしているのですか。

【榊原所長】 
 やっぱり全体的には政策研の集めているデータも、精緻(せいち)化してきていると思っていますけれども。

【土屋局長】 
 精緻(せいち)化では、相当遠いのではないか。どうやったらつながるんですか。

【榊原所長】 
 例えば、ちょっとテクニカルな話ですけれども、データ情報基盤の中で、機関の辞書みたいなことを作っていますから、それによって今までのデータベースのお互いの連関というのが解析できるようになりますから、精度的には随分向上していくものだというふうに期待はしています。

【土屋局長】 
 そこがなかなか難しい。

【黒田主査】 
 私の方から。この間、NISTEPのデータベースの会に私も出席させていただいて、若干同じような感想も持ったんですけれども。ただ現段階は、今年、後から御説明があると思いますが、政策オプションの実践プログラムを動かしていまして、その中でデータとの対応がフレームワークとしてついてくると、NISTEPのデータはかなりいろいろなところで有効になると思います。
 例えば、無形固定資産のデータというのは、政策と結びついてどういうR&Dのインベストメントが生産性を伸ばすかというようなデータになっているわけですが、そのことについては今回のプログラムの中でも使わせていただいていますし、それから、先ほどのR&Dとその研究ペーパーなり特許との結びつきというのも、政策との結びつきが片方でできますと、かなり政策的なサジェスチョンが出てくるような体系の中に取り込んでいくことができると思っています。
 そういう意味では、データ作りというのは、使ってみて注文を出さないとデータはなかなかよくならないので、それとの組合せでもってやることによって、データ情報基盤そのものをだんだん充実させていくということになるだろうと思いますが、いかがでしょうか。

【有信委員】 
 よろしいですか。さっき笠木先生が言われたことは非常に重要だというのを私なりの理解で考えると、例えば今、順番に説明がありましたように、大学を中心に人材育成をやっている。ここはここなりに全体の構想の中でやっていて、一方で公募型のプログラムは、それぞれの研究者がそれぞれの中でやっている。
 一方でデータはデータとしてやるということが、全体としてうまくつながって、黒田先生が言われたような形で、例えば実践のプロジェクトのようなものの中でつながっていくいき方が具体化できればいいかもしれないんだけれども、実際にこれはこのままいくと、それぞれの方向の中でどんどんどんどん深くいくだけ――いくだけと言っては失礼なんだけど、深くいく側にどんどんいってしまうわけで、例えば公募型のプログラムにしても、研究者のスコープの中である種の完結性を持ってやられるわけだから、そうすると、その完結性の中で、実際に今、NISTEPがやっているデータをどう使うかというのがスコープ外になってしまう可能性もあります。そういうときに、これをどういうふうに結びつけていくかというのは、もう少しどこかで俯瞰(ふかん)的に見ている部分が必要で、それが例えば、実践型のプログラムの中でやっていけるのであれば、それはそれでいいんだけど、それにしても今度は実践型プログラムがまたそれだけの中に突っ込んでしまうと、これもなかなか難しいことになると思いますので、非常に難しい課題ではありますけれども、全体を取りまとめるような、そういうミッションが本来は、もともとGRIPSが各大学を結びつけて、その構想まで全部まとめ上げられればいいんだけれども、やっぱり人材育成ということでやっていく限りは、ある程度限界はどうしてもあるという中で、本当の意味で、もう少し政策に直に結びつくようなところの視点を入れることを考えたらいいんじゃないですかね。

【黒田主査】 
 多分御指摘の点、同じように悩みを持っていまして、それを踏まえて次の御提案になるんですけれども、来年度に中核的な拠点を作るというのは、まさにそういう役割を担う拠点だろうと思っているんですが。そこで今までの知見なりデータをどう政策に結びつけていくかということを、常にブラッシュアップしながら、またデータにフィードバックしたり、研究にフィードバックしていくという、そういう枠組みが今まではなかったものですから、そういう枠組みをどうしても作らなきゃいけないということだと思います。

【有本教授】 
 よろしいですか。この5拠点でかなり頻繁に議論していて、一番現場としてつらいのが、研究費がないんです。5拠点は、それぞれの特徴を出さないといけないということで、一生懸命やり始めている。学生を教育するだけじゃなくて研究もです。今、黒田先生がおっしゃったように、そういう形で来年度から今までの蓄積を踏まえて、ユーザー側に対して研究し、アウトプットを出していく。そういう仕組みができると非常にいい。

【笠木委員】 
 私が最初に申し上げたエビデンスベースドの政策立案とか評価というものが、具体的にどこから出てくるのでしょうか。拠点から提案が出てくるのでしょうか。あるいは実践的なプログラムの方?

【黒田主査】 
 いや、プログラムを。これは私の理解ですけれども、今の拠点は、人材育成ということを中心に置いていますので、大学院のコストとしてやっているわけですけれども。有本さんおっしゃったように、確かに拠点から出てくる問題は、研究費がないということです。教育と研究というのは一体的であるというのが、本来の大学院の姿だと思いますので、そういう意味では研究費を何らかの形で各拠点に提供するようなフレームワークが片方で必要かなという気がしますが。
 それと同時に、それらの成果をまた集約して、政策の形成に資するような形で役立たせていくというところをやる場所がなきゃいけないですね。それを後から御提案する、中核拠点と我々が呼んでいるもので完成できるのかなというふうに考えておりますが。少しそれを御説明いただいた後、議論した方がいいかもしれませんね。

【笠木委員】 
 そうですね、はい。

【有本教授】 
 もう一つよろしいですか。個人的には今、いろいろな研究機関、関係機関だけじゃなくて、私が担当している研究開発戦略センターに対しても、ばらばらと総合科学技術会議も文科省からもいろいろな注文がくる。仕方のないところもあるが、第4期科学技術基本計画、科学技術イノベーション総合戦略のレビュー、あるいは日々のオペレーションも含めて。年が明けると、第5期に向けていろいろな作業がうわーっと走り出す。もうちょっとそれを構造的に整理をした上でちゃんと返してあげる。発注側と返す側の作業がシンクロナイズしていないところがあって、それが非常に効率悪くしている。

【黒田主査】 
 それでは、今の点も含めて、多分後でもう一度御議論になると思いますので、小山課長の方から、資料の1-5と1-6につきまして御説明をいただきたいと思います。

【小山課長】 
 二つの資料を一括して御説明申し上げます。先生方の御議論、まさに本質論でございますので、それに対する万全のお答えにはなっていないかと思いますが、この10か月間文科省側で、先生方御指摘のような問題意識の下にどう動いておったかという御報告を、まず資料1-5から申し上げたいと思います。1-5は、今さらでございますけれども、この夏の概算要求の説明の資料です。もう12月ですので、間もなく政府予算案の編成が始まるわけでありますが、その結果はまた別にして、夏の時点の金額での私どもの構想です。
 表紙をめくっていただいて1ページが、先ほども出てまいりましたが、これまでの事業概要、右肩で総額が7億4,900万円余りという要求を出してございます。この1ページ目の右半分に4本柱を掲げてございます。繰り返しは省略いたしますが、一つ一番上の基盤的研究・人材育成拠点の形成の中で、一番下の行に※でSciREX政策形成実践プログラム、25年度1億3,000万円余りは前年度限り、つまり、25年度限りということでございますが、先ほどから話題の実践プログラム、委託事業として1億3,000万円、全体のこの事業の核として始めたわけでございますが、これのさらなる発展形として、拠点の形成を1億7,000万円増にしております。右端の数字で、3億3,000万円から5億円強の金額に。この増加分が、今しがた黒田主査からも御紹介があった、中核的拠点構想のための増という目論見でございます。
 次の2ページ目は、今、関係機関からそれぞれ御報告いただきました進捗状況が改めて書いてございます。2ページ目の下5、6行は、推進委員会は12回開催でございましたけれども、25年度は実践プログラムとして、2月の推進委員会でも御議論いたしました、「予知・予防を前提とした健康長寿社会の実現」を例として、実際には糖尿病の予知・予防というのを作業ターゲットとしまして、政策オプション作りの作業に入ってございます。このほか5拠点6大学でも学生受け入れ等々の実績の御報告です。
 次の3ページでございますけれども、この3ページの一番下の方5、6行、SciREX研究センター(仮称)というのが、この中核的拠点構想の最初の一端でございます。この政策のための科学技術が始まって3年、それぞれの事業はそれぞれ進捗を図っていただいておりますけれども、では全体としてその成果をどう集約していくか、局長からも申しました、実際の政策オプション作りにどう生きていくのかという収れんの場がやはり必要であろうということで、こういったセンター機能をどこか強力に整備する必要があるだろうと。そして、やりたいのは特にこの同じ3ページの上から二つ目の白丸、意義と目的の二つ目の白丸でございますけれども、人文・社会・自然、分野横断的な努力により、政策課題の設定、イシュー設定そのものから科学的合理的に行う。それから、政策オプションの作成も行いますし、(2)では、そういった政策オプションづくりの外で、政官財といいますか、社会での意思形成プロセスそのものも科学的に合理性を持った選択が行われるよう、働きかけていかなければいけない。そういった、車の両輪だという活動を一体的に行う中核拠点が必要であろうと。
 そのイメージが4ページ目でございます。まだ予算要求を出しまして、構想ということでございますので、イメージ的な構造図でございますけれども、左半分の四角が政策課題設定のフェーズでございます。先ほどから、シナリオ等々のことが出ておりますが、エビデンスに基づいた将来ビジョン、目標の策定を科学的知見をもって合理的に行う。それから、右半分の赤い点線で囲ったフェーズが、政策オプション作成の構造です。社会経済影響評価分析の手法も様々にここで生かしながら。そして、今申し上げた意思形成プロセスへの働きかけというのが、この4ページの右下に、合意形成プロセスへの議論素材提供といった形で出てございます。この左上と右下の四角をサイクルで回しながら、世の中に働きかけていく活動が、いよいよ必要なフェーズになってまいったという認識でございます。
 そのイメージを、5ページ目に図にしてございます。これはSciREX中核的拠点機能の整備です。まだイメージだけで恐縮ですけれども、真ん中の黄緑の箱が、そのセンター機能のイメージでして、前のページで御覧いただきましたイシュー設定のフェーズ、オプション作成のフェーズ、一体的取組、そしてサイクルを常に稼働しながら、社会への働きかけるという意味では、右端の方で、常設的な議論の場ということを少し作ってございます。政治家、行政官もそうでございますし、産業界その他いろいろなプレーヤーに、出たり入ったりしながら、課題に応じて議論に加わっていただいて、アカデミアの知見と往復しながら、課題のあぶり出しそのものから行う。あぶり出された課題にオプション作成を次々に行うというイメージでございます。
 この5ページの下の方には、基盤研究・人材育成拠点とか、データ・情報基盤整備とか、先ほどからの御議論のまさに核心ですが、それぞれの柱をどう生かしていくかということを、このセンターとの関係で、今後考えていかなければいけないだろうというイメージでございます。同じ5ページの左の方には、当推進委員会に全体を総括していただきながら、方向として本日御了解いただければ、予算額に応じまして、来年この中核的センター機能の実際の持ち方というのを集中的に詰めなければいけないと思ってございます。
 以下、この資料の参考でございまして、本事業の趣旨、それから先ほど話も出ましたが、科学技術基本計画第5期の検討が、そろそろ政府でも本格化するフェーズでございますので、そういった外国の事例も含めた関連資料をセットいたしました。これが1-5でございます。
 それから引き続き、資料1-6をあわせて御覧いただきますと、1-6は平成25年度「SciREX政策形成実践プログラム」について(案)となってございます。これが今しがたの御議論でも出ました実践プログラムで、この全体の柱の凝集の核となればいいんだが、どうやっていくのだろうかという御質問への御説明に若干なろうかと思います。
 これをざっとお目通しいただきますと、最初の1.背景・経緯でございますけれども、この実践プログラムは、25年度新規でございました。予算額約1.3億円と、5、6行下に書いてございますけれども、この「政策のための科学」推進事業の全体を一体的に牽引(けん引)・主導して、得られた成果を実際の政策形成に役立てるという直接の目的をもって、25年度始めたわけでございます。2月のこの推進委員会の御議論では、健康長寿社会を例にとって取り組んでみるべしという御指示をいただいたところでございます。
 二つ目の白丸ですけれども、その後作業いたしますと、実際には糖尿病の予知・予防をテーマとしました政策オプション作りを急速に進めておりますけれども、では糖尿病以外にもあまた政策課題はあり得るわけでして、ほかの人材育成ですとか政策課題対応型、データ情報基盤等々の関係をどうもたせようかと思いましたときに、この夏の要求では、文科省側で別の形の発展型の要求をいたしたというのが、先ほどの1-5で紹介した中核的拠点構想でございます。
 では、そうするとこの実践プログラムは何だったのかというと、この二つ目の白丸で、来年度以降の中核的拠点機能の前段階のプログラムとして実績を作るという意味で、単年度の実践プログラムであったという理解で、来年度以降に発展させるという目論見でございます。
 では、この2ぽつですけれども、25年度は何だったのかということでございますけれども、実は25年度の実践プログラム、糖尿病以外にも2本目の委託をかけてございます。実践プログラムの具体的内容として、(1)予知・予防を重視した健康長寿社会の実現、これが糖尿病の政策オプション作りでございます。この秋から三菱総研に受託してもらいまして、黒田主査にも御指導いただきまして、急速に作業が進められてございます。
 それから、(2)がもう一つの委託でございますけれども、政策課題の設定、政策形成プロセスの在り方の検討を含めた政策オプション作成過程の試行。先ほどの紙でもちょっと御覧いただきました、イシューセッティング、それから、社会への働きかけ、あるいは社会の要望のキャッチといったような、活動全体を見渡した、どういうふうにやっていったらいいかというレポートを作ってもらいたいという2本目の委託をかけたところでございます。実はこれ、公募による企画競争の結果、政策研究大学院大学が審査に合格しております。まだ委託契約は結べておりませんけれども、年内には調整をいたしまして、年度いっぱいで残り3か月ちょっとになってまいっておりますけれども、既存のノウハウ、知見を生かしたレポートを、今年度作っておいていただきたいという2本のつもりでございます。
 1ページ目、下の(1)は今申し上げました、2030年の社会像を想定しながらの糖尿病を例にした政策オプション作り。次の2ページ目の(2)が、今申し上げました中核的拠点のひな型となるべきイシューセッティングからオプション作成、意思形成の働きかけまで含めた活動の委託の概要というポイントでございます。
 3.に入りますけれども、25年度の実践プログラムでは、わざと性格を変えました2本の委託を行うことによって、3.の最初の白丸の下2行ぐらいでございますが、26年度以降に中核的拠点が整備されれば活動を始めますけれども、それを管轄・迅速に開始する上での参考・指針となるであろうともくろんでございます。
 まず1本目の糖尿病を題材にした政策オプションで、アウトプットとしてどんなものができるのか、サンプル、プロトタイプを作っていただくということ。それから、それ以外にもどんなスキームでイシューセッティングから意思形成の働きかけまでを行うつもりであるのかというレポートが、今年度中に2本出そろうであろうと。そのための実践プログラムであったという意味付けにしてございます。
 来年以降が下二つの白丸ですけれども、また(1)、(2)ともに、今後予想される第5期の科学技術基本計画の策定等々を見据えて、政府部内での政策のための科学事業に対する共通理解を図っていく材料として使いたい。社会への働きかけにもこの2本の研究成果を大いに使いたいという目論見でございます。
 今後想定されるスケジュールが3ページ目でございます。まだ当たり前の情報ばかりですが、12月に2本目の政研大との委託契約を、調整の上締結します。年明け3月には、少々急ですが、2本の委託とも、糖尿病、政研大とも成果を提出していただきます。そうしますと、年度が明ければ、来年度予算、中核的拠点が、予算額にもよりますけれども、その内容、規模を想定できますので、選考決定の手続に入る必要があるであろう。
 通例といいますか、去年の例から見ますと、6月頃には政府のいろいろな基本方針がまた出てまいります。骨太方針ですとか、今年であれば成長戦略も決まりましたし、科学技術イノベーション総合戦略そのものも、この6月に閣議決定でございましたので、来年も6月になると、政府全体の今後の方向性的な文書がいろいろ出るのであろうと。それをもって夏には概算要求に流れ込み、秋口からはCSTP中心に第5期の基本計画の議論が本格化。 CSTPの方でも伺いますと、来年の秋までに第4期の推進状況のレビュー調査をして、その成果をまとめてCSTPの本会議に一旦諮ると。秋冬、主には冬からだと思いますけれども、新しい専門調査会などを必要があれば立ち上げて、第5期に向けた議論を本格化させるというスケジュールであるように聞いております。したがって、それに十分間に合いますように、この「政策のための科学」の構想の全体像を見据える必要がある。そのためには、実際の政策オプションの具体的なサンプルと、今後のスキームについて、今年度中に2本そろえて政府部内の説明に使っていく必要があるという状況でございます。
 したがいまして、この後また先生方に自由に御議論いただきまして、政府予算案ができましたら、来年以降また中核的拠点構想の詳細をお詰めいただければと存じますけれども、私どもの御提案としましては、先生方の先ほどの問題意識と全く同一でございまして、それを生かす形で来年度以降、中核的拠点機能を整備することでございます。
 一つだけ先走って申し上げますと、この中核的拠点機能としては、大学が適当ではないかと御提案申し上げたいと思っております。つまり、政府全体の研究開発投資の質の向上、実際の政策に生かすというのが狙いでございますので、文部科学省限りではない活動になってまいりますので、文部科学省そのものですとか、文科省所管の独法というよりは、大学にそういうしかるべき中核的拠点機能整備がどこかできれば、各省、あるいは政府との距離感という意味でもより適当ではないかという着想で、この概算要求を今出して、政府予算の編成の直前になっているという状況でございます。長くなりましたが、以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。今年度の実践プログラムと称しておりますことでやった内容を簡単に御説明いただきましたが、先ほどの御議論とつながってくると思いますが、資料に関して、少しだけ補足をさせていただきますと、資料1-6の最後に、今年作っております政策オプションのシナリオを作る大きなモデルの構造があります。
 いただいた予知・予防による健康長寿社会の実現ということが大きな課題ですけれども、それを全部カバーするというのはなかなか一遍ではできないものですから、今年に限っては、政策オプションの作成そのものを一度何らかの形の具体例でやってみるということで、今後の政策オプション作りの一つの形として生かしたいということで、具体的に糖尿病ということに対する対策、特に糖尿病に関わる予知・予防の問題を扱う科学技術政策との関連で、財政にどういう影響を及ぼすかとか、産業構造にどういう影響を及ぼすかということを全体で見渡せるような模型を作るということを、実践プログラムでやってみているところでございます。
 私がやった計量経済学的な手法、そして産業連関の手法を主に使っておりますけれども、全体はかなり汎用性を持っておりまして、予知・予防の課題だけではなくて、それ以外のいろいろなR&Dについての課題についても取り組めるような体系になっているだろうと考えておりますので、今後それをベースにして生かしていきたい。また、方法論的にも計量経済学的な手法だけではなくて、いろいろな方法論があると思いますので、そういう方法論は今までRISTEX等々のプログラムで研究者にやっていただいた課題の成果も生かしながらとり入れていきたいと。またデータベースとしても、NISTEPで開発されたNISTEPのデータを可能な限り取り入れるような格好でリンクをできる体系が作れているんだろうと考えているところでございます。
 何か御質問、今までのところでございますか。

【有本教授】 
 それでは、私も補足で、今の資料の2/3ページのところです。さっき小山課長から言われましたけれども、年度末の委託費で、あと3か月ぐらいしかないんですけれども、将来につなげるようないろいろな調査をしたらどうかということでGRIPSが応募したんですけれども、それの大体概要を申し上げておきます。2/3ページの上から5行目から始まるところでしょうか。
 政策課題の設定等を含めた政策オプション作成過程の試行についてということで、三つほど大きな柱があるわけです。ここに書いてありますように、政策課題の設定手法を検討する。それから、設定した各政策課題に対して、いろいろ実行可能な政策案について組合せを作ってくれないかということ。それから、3番目が、これを政策シナリオ、あるいはオプションズができたときの合意を取り付けていく方法、プロセスなかなか抽象的ではあるんですけれども、文科省に申請をして、合格になりました。やれることは限られているところはあると思いますけれども、黒ぽつの1は、まずこういう政策課題を設定する手法について、各国がここ数年、努力をしているところをまず押さえるというところです。
 日本でも、例えば研究開発戦略センターの笠木先生を中心にして、社会のニーズ、あるいは社会の期待、それから科学のディシプリン、これをコンビネーションをして、邂逅(かいこう)といっていますけれども、その上で次にどういう領域を強化すればいいかというような手法を今年度から本格的にやっております。あるいは、文科省ではセンター・オブ・イノベーションでそういう方法を少しやられたと思います。それから政策研究所で、デルファイ法を使った技術予測、最近はニーズをここに取り入れたものとしてやっておられますけれども、そういうもの。
 それから、海外、EUが来年から、Horizon2020をスタートする。そのいろいろなプログラムを作るとき、コンセプチュアルなところも含めて、相当シナリオプランニングや、ワークショップなどを繰り返しながら作り込んでいるようでありますので、そこら辺の方法をきちっと押さえる。EUだけではなくてイギリス、それからドイツのFuturプロジェクトですね。これは過去10年間のいろいろな曲折もあったようでありますけれども。それから、アメリカのエネルギー省。それから、ICSUもやっています。こういうものをまず全体を、いろいろな日本語で既に訳されたものもありますので、それをまず集約する全体俯瞰(ふかん)して、将来こういうものが中核センターができたときの基本の素材として関係者が共有できるものを、作りたいというふうに思ってございます。
 2番目に設定をしたということで、仮置きとして、最近のニーズとしては、国際的なビッグサイエンス、あるいはビッグプロジェクトですね。国際的な例のリニアコライダー。これを直接的に扱うつもりは今のところないんですが。あるいは、次の世代の大きな施設・装置というのは、国際協力でやらざるを得なくなるということを踏まえて、過去日本が経験した施設、CERNに対する協力の仕方、あるいはつくばの高エネ研のいろいろな施設の国際的にオープンにしていったやり方とか、あるいは宇宙ステーション、それからITERですね。あるいははヒューマンフロンティアのようなソフトのファンディングのプログラムとしては国際的に開かれていたもの。こういうものを過去の経緯も含めて、関係者へのインタビューを含めて整理をしたいということです。
 それから、2番目が科学技術外交です。科学技術外交は、今のようなビッグファシリティの問題もありますし、それから、今からASEANとどう向き合うのか。2015年にASEANが経済統合しますけれども、こういうものに対して、日本が様々な外交ツールがあると思います。トラック1のガバメント、ガバメントだけではなくて、トラック2としてのノンガバメント。最近はノンガバメントのプレーヤーがものすごく増えていますので、そういうところも含めて、分析する。分析と、既にSATREPS、eアジア、あるいは振興調整費でいろいろな国際科学技術協力プロジェクトを走らせていますので、これが百幾つぐらい走っている。それを俯瞰(ふかん)的に分析をしてみると、結構いろいろな、局長が言われた、実務者にも役に立つような分析結果・示唆が出てくるんじゃないかというふうに思ってございます。
 それからもう一つは、デュアルユースの問題です。国際的な問題も含めて、それから国内でもこれだけセキュリティ問題というのは非常に厳しくなっています。軍事のデュアルユースだけではなくて、バイオの問題とか、ナノテクとかいろいろあると思います。そういうものを少し課題として設定をして、過去の経験を将来のファンディングなど、どういう具合にやったらいいのかというような検討をやってみたいと思います。
 それから3番目。このオプションズができてくると、次は合意を取り付ける方法。これは民主党政権時代ですけれども、日本でも初めてナショナルレベルで熟議型世論調査というのをやってみたわけですね。大事な一つの事例として、あるいは、RISTEXなどのいろいろな事例の積み上げがあると思います。
 それから、アメリカでは科学アカデミーが福島の問題についての特別委員会を作るとか、メキシコ湾岸のブリティッシュ・ペトロリアムの原油流出事故対応でいろいろな動きをやっている。ああいうものをきちっと押さえて、どういう具合に大きな問題が起こったときに科学の側が対応しているのかということを調べる。
 それから、イギリスでは最近はパブリックエンゲージメントということで、サイエンスポリシーに関するサイエンスワイズという仕組みを作るとか、大学間のパブリックエンゲージメントのナショナルコーディネーションみたいなものを作っているわけです。わずか3か月ですけれども、とにかくたくさん事例を集めて、分析的なところはどこまでできるかというのはありますが、ここに書いてあるように、将来の中核拠点を開始する場合の参考指針となるというようなところまでやってみたいということで、今考えております。長くなり失礼しました。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 以上の御説明に関して、何か御質問ございますでしょうか。どうぞ。

【有信委員】 
 何かすごくいろいろな話をされたみたいな感じが。実は大本のところが、基本的には科学技術イノベーション政策における、政策のための科学ということで、笠木先生が最初に言われたように、エビデンスベースドで政策を形成していくというプロセスをどうするかということだと思うんですけれども。ただ、ここで重要なのは、エビデンスが明確になり、あるいはデータが明確になったからといって、そこから演繹(演えき)的に政策が出てくるわけではない。政策形成というのは極めて創造的なプロセスで、実際にはエビデンスを政策に結びつけるために、さっき有本さん言われたように、ある種の設計だとか、ここで言われていることが必要になってきて、その上で物を作り上げるときの、オプション形成に至るまでのある種の創造的な行為が必要なわけですね。
 研究をやるという立場で考えると、研究というのは、今の日本の研究の主流は、あるものの構造を分析的に明らかにしていくということになりますので、新しい政策を作り上げていくということに対しては、例えば具体的な問題に対して、成功した政策の構造がこういうふうになっていたという具体例が幾つか示されて、その中からそこに至る方法論が出てくるということで、それがかなり一般的にやられているのは、この1-6のさっき黒田先生が提示された政策オプション作成の概念図がその一例だと思うんですが、これも実はかなり分かりにくくて。
 分かりにくいというのは、この中で非常に重要なのは、ここに書いてある産業連関図というのがあって、本来は産業連関ということで考えてしまうと、極めて限定的な話になってしまって、もう少し次元を上げて、例えば価値連鎖の体系のようなものに置きかえてやるとか、そういう様々な創造的なトライアルが、新しいこのセンターで具体的なオプションの中に生かされて、幾つかのオプションとして提示をされる。そのオプションというのは、結局政策を設計するということなんですよね、エビデンスベースで。そういうことを具体的にやれるようにして。
 だから、今やられている研究だとか、大学でやる研究の位置付けと、新しいここのセンターでやる政策オプションまで至る具体的な試みとの間は、これは一緒ではない。これを同じように研究をやってしまうと、ただただ研究が増えただけという話になっちゃうので、皆さんの御意見を聞きたいと思いますけれども。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。どうぞ。

【笠木委員】 
 今、有信さんがおっしゃったことと近いんですが、このSciREXの研究センターというのを見せてもらって、推進委員会のメンバーとしてはっとしたんですけれど、本来もっと早くこれが構想されなくてはいけなかったんですね。三つの大きなプロジェクトが走っていって、何となくそれでうまくいくのかと思っていたようです。つまり、政策サイドが適宜研究成果を拾って、政策立案に生かすのかなと思っていたんですが、そうでないということが今はっきり分かったんです。そうだとすると、少し遅きに失した感があって。SciREX研究センター、これは今、予算次第でというお話もあったのですけれども、そんな悠長なことを言っていられないんじゃないかなと。
 つまり、予算が通る、通らないにかかわらず、既に走っているものがあって、それが十分アカウンタビリティを持つためには、こういう機能がどこかにないといけないわけですよね。
 そういう意味でこれはかなり真剣にお進めいただきたいという気がするのと、それからもう一つは、大学に置かれるということで、見かけはニュートラルでいいと思うんですが、最大の心配は、今、有信さんがおっしゃったことで、やはり分析研究に落ちていかないか、心配ですね。有本さんがおっしゃったように、非常に多様な切り口の政策課題があって、多分全部はできないわけですから、そこからある程度プライオリティの高いものを拾ってやっていくと思うんです。それにしても内外のデータを集めて、それを分析して、そしてその後初めて構成研究に移るというのでは、遅過ぎる感じがするんですね。だから、その辺りのマインドセットがしっかり保てるような、やっぱりここは人だと思うんですけれども、そういう人の構成、チームを作る必要があって、今からそれを始めなくてはいけないんじゃないでしょうか。
 そうでないと、予算がきてから動き出してということだとすると、これはおそらくなかなかゴールというか、アウトプットが出てこないような気がしますね。いずれにせよ、これはしっかり進めないといけないということ、相当前倒しで動いていかないといけないということ、そして人が大事だということです。以上です。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございます。どうぞ。

【泉センター長】 
 ちょっとよろしいですか。今の笠木先生のお話にちょっと触発されて言う感じにはなりますけれども、この1-6の3/3ページで、今後のスケジュールということが示されていて、例えば下の方ですね。6月頃に骨太の方針とか成長戦略を作るとか、8月に予算要求があると。それから、その後第5期基本計画に向けた議論が進んでいくと、こういう動き、実際に政策を形成する節目があるわけなんですけれども、そこに向かってこういう拠点形成だとか、そこでやるアクティビティの成果をどういうふうにつなげていくかということを、すごく意識する必要があるんじゃないかなというふうに思っております。
 これはこれで、このSciREXのアクティビティがずっと走っていって、どこかで成果が出てくると。そのときに、こういう政策形成の機会があったら、そこで使いましょうということよりも、やはり毎年毎年の予算要求とか、それから、それのもう少しグランドな指針である基本計画の策定みたいなところに適用するということをにらみながら、例えば研究開発、このSciREXの活動の途中であっても、そういう政策形成のタイミングというのは、科学技術基本計画は、次のをいつ作るかというのは決まっているわけですから、そういうところをにらんで、こういったものの成果をどういうふうに適用していくか、あるいは活動状況をどういうふうに適用していくかということを考えていく必要があるというふうに感じました。以上です。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。小林先生、いかがですか。

【小林委員】 
 基本的に同じ問題かと思うんですけれども。要するに、大学なら大学がそういうセンター機能を持つとして、現実の政策にどう反映できるかという、そこのメカニズムというか縛りというか、そういうものがどこかで担保されているのか。そこのチャンネルがどういうふうに設計されるのかというのが。

【黒田主査】 
 郷先生。

【郷委員】 
 同じことなんですけれども。この黒田先生の御提案の、糖尿病の予知・予防というのは大変、よく分かりますし、非常にいいと思うんです。ただ、これって時間がかかりますし、今の動いている政策の中で、とても厳しいことを申し上げるようですけれども、過去ずっといろいろな政策をやられてきたけれども、うまくいっていないことが幾つかあると思うんですね。例えば、糖尿病にしても、先ほどのデータベースにしても、データベースを使いこなす、あるいはビッグデータがこれからいろいろなところで必要だけれども、生命科学の中でそういう人材が、この10年ずっと政策をやってきたけれども、育っていない。どうしてなのかという分析、それがすぐに要るんじゃないかと思います。それをどうするか。例えば、第5期の基本計画にどういう形でつなげるべきかということがあって、そういう問題を明確に出しながら、こういう政策オプションの形になるかが、すごく気になります。
 例えば、同じようなことで、日本の女性研究者がどうしてこんなに外国に比べて増加していないのか、増加速度の傾きが違うんですね。今のままではとても韓国にも全く追いつかない、それはどうしてなのかと。政策に何か問題があるんだろうと思うんですね。そういう具体的な課題を組み込みながら、この政策オプションを一緒にやっていけるという気がします。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【桑原教授】 
 文科省の行政に限らないということで、大学がプラットフォームになるというのはとてもいいと思うんですけれども、現在のSciREXのチーム体制でも、拠点大学は主に教育の方をやっている。RISTEXが面倒見られている研究者の方々は、多分アカデミックな研究というスタンスでいる。今、もちろん目的指向でいろいろ工夫されていると思いますけれども、彼らが住んでいる空間自体はアカデミアだと思うんですね、ほとんどが。NISTEPは文科省と同じ建物にいるぐらいですから、行政によい意味で近くて、ある意味では縛られていると。
 それで、これからこの新しい拠点が具体的に実装すべき政策を提案していくとなると、先ほど有信先生おっしゃったように、データがそろえば政策ができるわけでは全くないので、提案のステップになると、行政との距離感って多分ものすごく難しくなりますよね。有効な政策提言になるかどうかというのは、はっきり言ってしまうと行政が使うかどうか次第ですから、全部無視されたら、いろいろやったけどあまり意味がなかったということになりかねないと思うんですね。かといって、素直に行政がはいはいと受け取ってくれるようなものというのは、多分これまでの延長上と同じようなもので、あまりとがったところがないという可能性も強いので、それがいいというわけでもないと。そうしますと、このセンターの設立形態とか、あるいはスポンサーとの契約形態とか、そこは相当よく考えないと、ものすごく難しいなと思うんですね。
 それからもう一つ、第5期の基本計画へのインプットって、私ももちろん重要だと思うんですけれども、このセンター構想との絡みで考えると、フィージビリティがないですよね。だってこういう大きい構想だと、また公募でちゃんと選考してというプロセスを経ないといけないですよね。そうすると、どんなに早くたって、決まるのが来年の8月とか9月になってしまうので、もうそのころには基本計画へのインプットの時期は終わっているかもしれないと思われます。ですから、多分このようなプロセス自体はそう簡単には変えられないでしょうから、何か実務的にカバーするブリッジの仕組みをさっさと作らなくてはならないと思います。これはなかなか難しいと思いますけれども、具体的なメッセージを出していく上での時間的なフィージビリティがないような気がするんですね。ですから、それを是非お考えいただきたいと思います。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。どうぞ、課長。

【小山課長】 
 万全のお答えができるわけではないんですが、先ほど御説明をしている次の資料なんですけれども、あわせて御覧いただければと思います。資料2-1ですが、この2-1は次の議題で中核的拠点構想を含めて、先生方に大筋イメージを共有していただきましたら、整理的な文書をと思っているんですけれども、それは後ほどまた御報告するとしまして、2-1の後ろのページです。横置きの図がございますので、若干スケジュール感というのでは、これもあわせて御覧いただきたいと思います。
 横置きの図になっておりますが、平成で年次をずっと横軸に書いてございまして、26年度から一番上の青い矢印で、中核的拠点機能だと。既存の4本柱は23年度から走っているけれども、引き続きやりながら、その知見、ノウハウを中核的拠点に、逐次集中していくのだと考えてございます。
 ちなみに中核的拠点の左隣に小さく、実践という黄緑の小さい四角が25年度限りで、これが糖尿病、それから政研大のシステム設計の2本の委託のつもりでございます。この図で申し上げたいのは下半分でございまして、第5期の基本計画というのが先ほど出てまいりましたけれども、26年度からもう中核的拠点機能、笠木先生おっしゃるように、それでも遅いのかもしれませんが、この事業3年たって、凝集の核が必要と存じます。拠点の整備であるというのは、先ほど申し上げましたように、26年度も後半に入りますと、秋口からは第5期の検討が本格化するフェーズに入るからでございます。一足飛びに政府のR&D投資、5年間で25兆円と第4期は言われておりますが、これに相当するようなもの全てに、第5期でこの「政策のための科学」の手続を何か急にかませるというのは、確かに難しかろうと現実的には思います。
 したがって、だんだんだんだんですけれども、オプションとしての主たるユーザーは、確かに当面各省ではないかと思いますので、各省の参加・協力も得ながら、だんだん政府全体の研究開発投資の中で質が向上していく、関わりが出てくる部分を増やしていって、第6期に向けて、不断にこのエビデンスに基づいて政策立案、それから合理的な政策形成プロセスの働きかけをずっと続けていく必要があります。そのための第一歩は、26年度から切らなければならないと考えています。
 第5期にと申し上げたのは、「政策のための科学」についての何らか位置付け、記述が何もしないで第5期に入るわけではないと考えてのことでございます。この第4期も、資料2-1の最初のページに掲げてございますが、第4期の抜粋が5、6行ございまして、科学技術イノベーション政策のための科学というのが、閣議決定でこの基本計画に位置付けられて本格稼働しております。この第4期期間の実績次第で、第5期との関連、それから政府全体のR&D投資の総額との関連、見える、見えないというのは大違いですので、少なくともその位置付けを明確に得るということを目標に、あと2か年間、事業の実績を中核的拠点中心に出し始める必要があると考えてございます。
 実際の各省の働きかけは、だんだん随時ということに、時間的にはならざるを得ないかもしれません。それでもぬるいかもしれませんが。これはちょっと内部でも十分調整しておりませんが、私、企画評価課という新しい課をこの7月から預かって、私どもの課などは、そういう先兵といいましょうか、営業部隊として、常に常に中核的拠点であぶり出された政策課題に応じた、関係省庁に営業活動にいって、巻き込みのための部隊だという理解でもよろしいのではないかと思っております。実際この25年度の糖尿病をテーマにした政策オプションも、厚労省の担当課にオブザーバーとして作業には参画していただいておりますので、文科省内での自己満足ではなくて、常に他省庁と関係を持ちながら、政府全体の政策をエビデンスドベースドに少しでも持っていくという、一歩というか半歩は切れているのかなと思っております。そのような活動を第5期期間に入っても、随時続けたいと思ってございます。
 それは各省にとってみれば、必ずしも文科省なり中核的拠点の言うことなど聞く必要はないわけですけれども、それはオープンな場で議論して、エビデンスドベースで議論が積み重なっていれば、それ相当の迫力があって、各省も必要に応じて乗ってきてくれるのではないかというと、ちょっとまた言葉がゆるうございますけれども、当面そういった目論見で進めるというイメージで、今回御提案させていただいております。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。

【有本教授】 
 ちょっとよろしいですか。御報告しておいた方がいいと思います。今の先生方の御発言と似たようなことが、2週間前だったですか、5拠点リーダーに集まっていただいて、GRIPSでいろいろな打ち合わせをやったときに、この構想もかなり詳細に御説明いただいて議論したのですが、全く同じ議論が出ました。これは従来の大学に設置するというのは、大学の従来のやり方では、なかなか難しいんじゃないかと。ただし、何かやらないといけないのは皆さん同じで、桑原さんもさっきおっしゃったとおりで、どういう設置形態にするか、そこら辺。それから、社会、あるいは政治、行政とのインタラクション。さっきの絵にもありましたけれども、インタラクションする仕組みです。その辺を上手に設定する必要がある。
 ということで、私の感じだと、人材拠点の先生方は、問題意識とニーズは非常にあるけれども、単なる大学に公募でやればそれで済むという話じゃないなということを言われましたので、御報告しておきます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございます。今日、先生方からいただいた御意見、私も全く同感でございまして、この3年間、文科省に覚悟が足りない、覚悟が足りないとずっと言い続けてきたんです。かなり覚悟してやらないと、この事業はできないんです。人もいないのです。文科省自身が政策オプションとは何か、どういうデータを集めて、エビデンスをどうやればいいか。どういうふうに問題を発見したらいいかが、今まであまり議論されてこなかった。もしくは、こういう形では議論されてこなかったんだと思うんですね。
 そういう意味で、「政策の科学」を作るということですから、かなり壮大な実験を今やろうとしているので、それこそ文科省自身に覚悟いただかないと、予算がついたらやるとかいうような覚悟では、多分これはだめだと僕も思います。
 そういう意味で、今日先生方からいただいたいろいろな御指摘はそのとおりだと思いますので、是非覚悟を決めていただきたいということを、私からもお願いしたいと思います。中核的拠点を作ったときのアカデミアとの関係、行政との関係、非常にこれもまた大きな実験でございますので微妙な点があると思いますが、これはむしろ推進委員会の先生方に是非お願いしたいのは、的確にアドバイスをいただいて、その拠点を作り上げていかないと、今、残念ながら日本はどこにもないんですね、それが。そういうものを作らないと、日本の政策というのは科学的にならないということだと思いますので、かなり覚悟をしてやらなきゃいけないのかなというふうに、私自身は思っています。
 資料2-1の説明、先ほどちょっといただきましたが、特に追加することがなければ、御意見を先生方からいただきたいんですが、何かありますか。

【小山課長】 
 あと細かいですが、資料2-1の5ページ目、5/8のあたりで、上の方は今し方話題になりました中核的拠点機能を文章化したものでございます。御説明の抜けていた要素は4.で、この事業の評価時期も作業的にはやらないといけませんということでして、全体としては27年度が事業開始5年になりますので、事業全体の中間評価をやる、これは今年の2月までの推進委員会での御議論でもそういうお話でございました。したがって、その前までにそれぞれの4本柱プラスこの中核的拠点を整理して、点検・評価をした上で事業全体の中間評価に乗るということでございます。
 イメージ図としては、後ろから2枚目の横置きのカラーの矢印図になってございます。RISTEXの公募型は、3回の公募が済んでおりますので、そういった点検・評価がRISTEXとしても始まります。それから、ほかの事業、NISTEPでも26年度末までの実績を踏まえて、評価結果を踏まえて27年度以降の第2フェーズはさらに検討していただくという流れでございます。青い長い楕円が27年度末、この政策のための科学事業全体の中間評価をやっておく必要がある。折しも27年度末で第4期の計画期間が切れて、28年度からがおそらく第5期の基本計画期間に入るだろうということで、そういったところをにらみながら、これは済みません、作業のフェーズでございますけれども、評価活動も予定をしてまいりたいと。補足でございました。

【泉センター長】 
 ちょっといいですか。ちょっと自分のところの話で恐縮なんですけれども、このRISTEXの中間評価というところでいっている中間評価が、被評価者はRISTEXなり、これまで走ってきたプロジェクトだと思うんですけれども、評価は誰がやるということで、ここに中間評価というふうに書かれているんでしょうか。

【小山課長】 
 ここは概念上、まだ詳細を詰めておりませんのでこちらでございます。RISTEXから各研究課題に対してレビューをしていただく活動と、このRISTEXの公募型プログラムそのものの評価を、文科省とRISTEXで往復しながら行う、両方の意味を含んでいます。

【泉センター長】 
 何でそういうことを言うかといいますと、通常のRISTEXのプログラムではありますけれども、他とは違う、こういうSciREXの全体の中で位置付けられているものなので、RISTEXのプログラムないしプロジェクトの評価プラクティスをそのまま適用をするものではないんじゃないかというふうには思っていますけれども。一方、通常のRISTEXの評価プラクティスからいうと、領域評価なり、プロジェクト評価をやってしかるべき段階になりつつあると。特にプロジェクトは終わるものが出てくるので、3年間の。これはあくまでもRISTEXの今の評価のやり方でいくとそうなるということを申し上げているわけで、むしろこれはSciREX全体の中で位置付けられているものなので、そちらの観点からの、評価者としてもそちらの方の方がなるのがいいんじゃないかなというふうに、我々は思ってはいるんですけれども。ここのところ、もうわりとごく近い時期のところに丸がしてあって、評価すると書いてあるので、どういうふうにお考えになっているのかなということをちょっとお尋ねした次第です。

【黒田主査】 
 これは私の理解ですけれども、ここでの事業評価というのは、SciREX全体の事業を評価しているというのが、本来の評価だと思っていまして。そういう意味では、推進委員会そのものも評価の対象になるというように私は考えています。それで推進委員会がやろうとしたプログラムの中でのRISTEXの位置付けと、その成果がRISTEXの公募研究から上がっているかどうかを評価いただくというのが、本来の評価ではないかというふうに思っていますが。RISTEXの各プログラムの評価は、プログラムの評価としておそらくRISTEXでやってきたということになるんだろうと思いますが、いかがでしょうか。
【小山課長】  先ほどの資料2-1の6ページ目に関連した記述を少し入れております。先ほどめくらずに御説明しましたが、評価実施時期のめくった6ページ目で、最初の黒ぽちですけれども、基本的に各プログラムの管理主体で評価の仕組みを検討するとともに、管理主体の位置付けや各プログラムの特性に応じた評価を実際に実施していただくとし、まずはここから順次入っていただきます。最後は、この「政策のための科学」は5か年で、27年度、一旦全体で中間評価をしなければいけませんので、そのための知見もあわせ蓄積していくというぐらいのイメージです。まずは可能なところから作業を始めさせていただければという意味で、御相談させていただいております。

【黒田主査】 
 よろしいですか、そういうことで。

【泉センター長】 
 あまりのんびりしていられないなという感じがして。

【小山課長】 
 具体的には、今後詳細は十分御相談させていただきます。

【黒田主査】 
 ほかに何か全体について御意見ございますでしょうか。

【有本教授】 
 管理主体というのは、RISTEX、それから政策研、それからそれぞれの大学?

【泉センター長】 
 いや、特に我々のところは中間評価結果を第4回公募に反映と書いてあるんですね。それなら早く準備しないと、というのはそういう意味なんですけれども。

【小山課長】 
 十分御相談はさせていただきます。

【坂下(事務局)】 
 基本的にはRISTEXにはRISTEX、NISTEPはNISTEP、それぞれの機関の中で必要な評価のスキームというのをお持ちだと思いますので、原則はその中で考えていただくんですけれども、このプログラムとして一体で進めているものですので、具体的な進め方については御相談させていただきたいというふうに思っております。

【泉センター長】 
 分かりました。

【黒田主査】 
 ほかに何か御意見ございますでしょうか。

【有信委員】 
 中核的拠点はもう作るということを前提に話をしているわけですよね。

【黒田主査】 
 まず今日、その御同意をいただけるかどうかというのが。

【有信委員】 
 そこもここの議題の中で。さっきから出ているように、大学に置くということの是非というか、大学に置くにしても、現在の5拠点6大学のところでどうするのか。あるいは、それと全く別の形態を考えるのか、こういうことはどうするんでしょうか。実際何か作ろうと思うと、そういう具体的な話がすぐ問題になるわけですね。

【黒田主査】 
 その点いかがですか。

【小山課長】 
 本日は、この10か月の懸案、それから今後の御報告として中核的拠点構想をそもそも本格的に御議論を始めていただきたいと思います。方向として御了承をもしいただけるのであれば、この資料2-1の5ページ目、何度も戻っていただいて恐縮ですが、真ん中あたりの(2)中核的拠点機能についてというくだりがございます。アカデミアのみならず、政官、企業、多様なバックグラウンドを持つプレーヤーの常設的な議論の場。それで次です。「その機能をより公正・中立に果たす上では、政府系機関内部ではなく、運営に一定の自律性を有する大学にその機能を担わせることが望ましいと考えられる」と。この限りで、もし先生方、御同意いただければ、本日の理解としてはこのペーパーの記載のような内容で、今後さらに詳細な設計をするように進めていきたいと考えてございます。
 有信先生御指摘のように、既存の5拠点6大学との関係とか、RISTEXやNISTEPの関係も含めて、実際にどうワークさせていくかという設計を急速にしなければいけませんが、それはもしよろしければ、年が明けましたら、またこの推進委員会を先生方の御都合を伺いながら開催しまして、そのときには関係機関と相談の上、しかるべき案をお諮りできるようにしたいと思います。本日は、この共通理解として御了承いただけるかどうかというところでございます。

【有信委員】 
 運営の自律性を確保するということは全く異存がないんですけれども、だけど自律性という意味で、さっきから私も言ったしほかの先生方もおっしゃっていたんだけれども、ある意味で従来のアカデミックスタイルの研究に対しても、自律性を持っていないといけないということがあるので、そこが確保できるということが、やっぱり重要だと思うんですよね。
 これは極めて日本的な問題の部分もあると思うんですけれども、そういうところの設計をきちんと考えると、場所はある意味独立していればいいんだけど、大学の中に置くにしても、やっぱりアカデミックディシプリンというか、全体的なそういう従来の日本的なアカデミックのスタイルからは、ある程度自律性が担保できるような形が望ましいかなと思います。つまり、研究成果の評価だとか、そこでやったことの評価のスタイルも全然違うわけですね、はっきりいって。

【有本教授】 
 ちょっと技術的な話になるんですけれども、ほかの国は様々な形態があると思うんですね。スペクトラムが広い、大学に置いているんだったら、ハーバードのケネディスクール。大学本体とは人事も異なる。それから、サセックスもSPRUを作って、人事は独立させていたけど、それがだんだんだんだん独立できなくなってくる。もう少しインディペンデントなものとしての位置付け、どういうのが一番日本に適しているのかというところまで議論しておくと、みんな納得ずくでスタートできるという感じがします。

【黒田主査】 
 先ほどの話だと、もし中核的拠点を形成ということを御同意いただければ、その内容についてはこれから案を作って、来年早々に一度お諮りするということになるんですかね。そこで議論いただくという形でよろしいですか。

【小山課長】 
 はい。具体的にはそのようにお願いしたいと思いますが、一方で本日、この資料2-1の文章について、御同意いただくときにどうしたものかですね。有信先生御指摘のように、従来型のアカデミックな研究とはちょっと違うという御指摘を生かすとしますれば、ちょっとにわかには修文案がないですけれども、まず、大学が担うのが望ましいと考えられるとし、「なお」とやっぱり一文足して、そういう既存のものじゃないよという一文をつけるという形が望ましいのか、あるいはそこまで考えるのであれば、大学が望ましいという記載自体、本日としては落としておくかですね。
 あるいは、有本先生から御指摘あったように、いろいろな組織形態が本来あり得るわけでございまして、私どもが予算要求を出して、財務省との調整の中で説明してきた限りでは、我が国の実情を考えると、NPO的な機関とか新法人とかを立ち上げるという手もあるんだけれども、手間がかかって時間もかかるわりになかなか難しいし、ディシプリンも学際融合的な取組をすることが不可欠であるので、我が国の土壌でいうと、大学という形態が望ましいのだと、予算要求の上では言い張ってまいっております。ただ、要するにそれに唯一拘束されるものではございませんので、本日の御理解としてどういうあたりでまとめるのかということかと存じます。

【有信委員】 
 いや、いいんだけれども、心配しているのは、そういうものを作ってそこで活動するときに、大学に対してはまた別途、大学評価という視点があって、その視点で評価をされるわけですよね。その評価の視点の中で、大学内の組織もそれなりに評価をされてくるので、そうするとそこでの一番の重要なポイントというのは、研究成果であり教育成果であるという話になってくる。もう一つ大学には、教育基本法の改正以来、社会貢献という項目が非常に重要だという話になっているんだけれども、社会貢献というスペクトルで評価をされるかという話になっちゃうわけですよね。つまり、そういうことを心配しているわけです。
 実際にはそういうことがあるから、結果的にそこで実際に活動する人たちの思考パターン、マインドセットがそれに向いてしまうということになってしまうということを恐れているわけで、逆にそういうことに対する評価が別評価としてきちんと確立するのであれば、それは大学の中でもそういうことを明確にしておけば。

【小山課長】 
 区分けと申しますか、従来型のそういうスキームと一線を画すという、何か記載が。

【有信委員】 
 だって毎年毎年大学は評価されるし、数年ごとに中期計画のチェックとかされているわけだから、それはその中で、余分な組織が1個あるととんでもないことになるわけですよ。

【笠木委員】 
 関連して、このプログラムが始まったときに人材育成について随分論議があって、その中で、ここで生まれてくる人材というのが、今まで未開拓の領域に立ち入ることになるから、キャリアパスの開拓ということも非常に大事だと。これは随分この推進委員会で議論されましたよね。

【黒田主査】 
 そうですね。

【笠木委員】 
 それで、先ほどNISTEPの方で、各人材育成拠点での卒業生、あるいはPDのフォロー、トレースをしていくということが始まるとおっしゃったと思いますが、私はそれを丁寧にやっていただきたいという気がします。数だけで捉えるのではなくて、個別にどういうキャリアを積んでいて、どんなところに行って、どんな仕事をしているかという、仕事の中身まで見ないと、判断を誤る可能性があります。ここで巣立っていく人たちが、社会に役に立つ仕事を生き生きとしているかどうかということをきちんと見極めないといけないと思うんです。そのためのデータ集めを丁寧にしていく。その仕掛けを今からインプリメントしておく必要があるという気がします。
 そのことは当然評価にも、きちっと反映されていないといけない。各拠点大学は、人の育成結果もしっかり見てほしいという気がしますね。

【榊原所長】 
 ちょっと補足しますと、NISTEPで考えているのは、一応全大学院を将来的に考えて。もちろん排除しているわけでは全くなくて。

【笠木委員】 
 そうすると、このプロジェクトの人達については、何か格別のトレースができないですかね。もちろん大学の協力が要るわけですけれども。

【榊原所長】 
 ええ、それは個別に大学とお話をさせていただいて、進められるようであれば、十分考えられると思います。

【黒田主査】 
 まだ始まったばかりですので、まだちょっとすぐに追跡はできないと思いますけれども、是非今から準備して。

【笠木委員】 
 今から準備をして、そういう仕掛けを作り込んでいくと。

【黒田主査】 
 重要ですね。

【榊原所長】 
 来年の春から始めようと思っていますので。

【黒田主査】 
 大学、中核的拠点をどういう形のものにするかというのは、相当考えないといけないと僕も思っていまして、役所の中に置くことは、何となく行政との中立性が保てないという意識があったものですから、そういう意味で外にと。アカデミアとのコラボレーションがうまくいくということを考えたら、大学かなということで思っていたんですけれども、確かに御指摘いただきましたように、大学の中に入っちゃうと、これまた人事の問題等々いろいろ問題がややこしくなってくると思いますし、行政の評価も問題が出てくるかもしれません。その辺少し今日いただいた御意見を受けて、案を練らせていただいて、1月明けにでもお諮りするということでいかがでしょうか。
 評価スケジュールにつきましては、先ほどの最長のスケジュールでいきますと、27年に評価を受けるということで進めさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

【泉センター長】 
 ちょっと済みません。くどいようで大変恐縮なんですけれども、今、このSciREX全体のところを27年度ということについては特段の異論はないのでよろしいかと思いますけれども、この線表の我々のところの評価のところに書いてあるところと、それから、4/8ページの上のところに書いてあることは、同じだということでお書きになっているかもしれないけれども、私どもの作業としてはかなり違うので。

【小山課長】 
 では、この点も次回までに、また御相談をさせていただきます。先ほどの拠点、大学との関係の方も大きなテーマでございますので、全体の評価スケジュールもよく再度決めたいと思います。

【黒田主査】 
 この4/8のところの一番上の3行目のところですか。

【泉センター長】 
 そうですね。これは評価した上でやれと。プログラムを中間評価した上でやれと、ここには書いていないですけれども。8ページの4のところはですね。ここは評価した上でやれと。プログラムを中間評価した上でやれと書いてあるんですよ、公募をですね。公募は普通はやっぱり応募者のこととかいろいろ考えると、新規の場合は、年度10月ぐらいには新しいプロジェクトがスタートできるように公募をかけますので、そういうことを考えると、ものすごくタイトな作業になるということで、これだったら実際の評価、中間評価と称した作業は行うことはなくても、実質的に我々と本省との間で議論して、実際にこの拠点機能とのつなぎというようなことを考えて、募集というのは、これから例えば通常の公募ですと5月ぐらいに公募をかけますから、予算が決まったらそれまでにはできるかなという感じはしますけれども。ちょっと実務的な細かい話で恐縮ですけれども、その辺をちょっと相談させていただきたいと思います。

【黒田主査】 
 全体評価の時期については、もう一度具体的にスケジュールを御提示するということでよろしいですかね。
 どうもありがとうございました。資料の2-2について、何か御説明ありますか。

【坂下(事務局)】 
 資料2-2でございますけれども、この推進委員会の下に科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会基盤的研究・人材育成拠点整備のための分科会というものが設置されてございます。こちらは主査の黒田先生と、各拠点の責任者の皆様がメンバーになっておられる分科会です。昨年平成24年5月15日に、各拠点の役割と拠点間連携の仕組み2012という文書が作られております。こちらはそれを2013年度版に更新したものということになりますけれども、これにつきましては、現在分科会の方でまだ引き続き議論を続けている段階の案でございます。本日委員の皆様から御意見を伺って、分科会での議論に反映したいと考えていたものでございます。
 ただ、これまでの議論の中でも拠点に対する様々な御意見を既にいただいておりますので、そちらも含めて伝えたいと思います。内容につきましては、最初に有本先生の方から、拠点の活動状況ということで報告のあった内容とかなり重複もございますし、前段の方は全体の目的とか進捗とほぼ重複しておりますので、細かい説明は省略させていただきますけれども、各拠点の性格、位置付け、具体的に走っております科目等のプログラムの内容、それから、拠点間の連携の体制というような資料になっております。
 こちらにつきましても、中核的拠点機能というものが来年度検討されていく中で、次の2014への改訂の際に、改めて大幅な見直し等を検討したいと思っておりますけれども、現時点では2012から2013にかけての進捗が反映されたものということになっております。以上です。

【黒田主査】 
 ありがとうございました。有本さんの方から、何が補足ありますか。

【有本教授】 
 いえ。

【黒田主査】 
 それでは、人材育成拠点のことにつきまして、何か御意見はございましょうか。よろしゅうございますか。
【有本教授】 
 ちょっとよろしいですか。是非御検討いただきたいのは、文部科学省のもこの推進委員会が、そもそもこれは局長の推進委員会でしょう、多分まだ。もうちょっと構えを大きくして、科学技術・学術審議会のものにするとか、それぐらいしないと、文部科学省全体にこれが広がっていかないという話になって。やれやれ、やれやれといったところで、最初からでしたよね。受けとめる側のサイエンスと、それからポリシーディシジョンの方、こちらが共進化だということで丸を二つ書いたはずなんですよね。この共進化がほとんどできていない。サイエンスの方がどれぐらいできたか分からないけど。そこら辺の構造を、やっぱり根本的なところをちょっとこの際よく考えて。中長期的な話かも分かりませんけれども、是非よろしくお願いしたいんです。

【黒田主査】 
 ありがとうございました。

【笠木委員】 
 今の有本さんのお話だと、結局サイエンス・フォー・ポリシーと、ポリシー・フォー・サイエンスをちゃんと切り分けて、それを明確に切り分けて文科省が出さないといけないんですね。前者があまり見えていないと思いますね。ポリシー・フォー・サイエンスに重きがありますね。

【有本教授】 
 うん、なるほど。

【黒田主査】 
 同じようなことをずっと思い続けているものですから、言い出すときりがなくなるので。是非その辺の文科省の覚悟をきちっと決めていただいて、本気でやるということでないと、この推進委員会の評価がまたいずれくるでしょうから、そこもまた問題になりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
 では、本日の議題は以上ですけれども、今後のスケジュールに関しまして何か追加はございますか。

【坂下(事務局)】 
 今後の推進委員会のスケジュールにつきましては、改めてまた先生方の御都合をお伺いした上で、こちらから後日御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【黒田主査】 
 それでは、以上で本日の会議を閉会したいと思います。どうもありがとうございました。

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科学技術・学術政策局企画評価課

(科学技術・学術政策局企画評価課)