科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会(第12回) 議事録

1.日時

平成25年2月19日(火曜日)10時~12時

2.場所

科学技術政策研究所会議室(新霞が関ビル201D号室)

3.議題

  1. SciREX政策形成実践プログラムについて
  2. 基盤的研究・人材育成拠点の準備状況について
  3. その他

4.出席者

委員

相澤委員、黒田主査、桑原委員、郷委員、小林委員、森田委員

文部科学省

阿蘇 科学技術・学術政策局計画官、山下 科学技術・学術政策局政策科学推進室長

5.議事録

【黒田主査】 
 おはようございます。定刻でございますので、第12回の「科学技術イノベーション政策のための科学推進委員会」をやらせていただきます。
 昨年の夏から間があいておりまして、久しぶりの会合ということになりますので、昨年御意見いただいてから今まで文科省を中心にいろいろ作業等をやっていただいたことをまず御報告をして、御意見をいただくことから始めたいと思います。
 まず資料の確認からお願いいたします。

【山下室長】 
 おはようございます。それでは、お手元の資料をごらんいただければと思います。議事次第と資料ということでお配りしてございます。資料につきましては、資料番号を付してございます資料1から5まで、枝番も含めて7種類の資料がございます。それに最後、参考資料ということで、現時点でのこの推進委員会の委員名簿の最新版を参考資料1でお配りさせていただいてございます。
 配付資料に不足等ございましたら、議事の途中でも結構でございますので、事務局のほうまでお知らせいただければと思います。以上でございます。

【黒田主査】 
 よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、議事次第に従いましてやらせていただきます。きょうは大きく分けて二つの課題があります。SciSIPの実践プログラム、新しくSciREXという言葉で呼ばせていただきますが、SciREXの政策形成の実践プログラムにつきまして8月以来やってきたことを事務局からまず御報告いただいて御議論いただくということ。それから、前に立ち上げていただいた拠点大学の応募が25年度から正式に始まることになりますので、その基盤的研究と人材育成拠点についての準備状況について御報告いただいて御議論を少しいただきたいという二つでございます。
 それでは、山下さんのほうから、最初の議題についてまず御説明いただきたいと思います。

【山下室長】 
 それでは、お手元に資料1を置いていただければと思います。今年は変則的でございましたけれども、1月末に政府原案が固まりまして、政策のための科学の事業につきましても一定のお金が認められたところでございます。政府原案ベースでは、24年度予算額としては7億5,700万でしたけれども、ほぼ同額を確保してございます。その中で、資料1のポンチ絵の真ん中あたりに赤い字で書いてございますけれども、SciREX政策形成実践プログラムということで、新しい取組についても一定程度の評価を得て、予算としては政府原案の中に盛り込まれたということになってございます。
 具体的には、もう1ページおめくりいただきたいと思います。夏の時点から議論させていただいていたポンチ絵と基本的には同じ構成になってございますが、政策オプションを科学者あるいは産業界、行政官ともにつくっていきましょうというプログラムになってございます。政策ビジョンを掲げて、その中で取り得る政策とその社会的・経済的影響・効果を定量的、定性的に分析することとあわせてパッケージで示すと、そういう内容を考えてございます。
 具体的には、その下のほうにございますとおり、ライフとか、グリーンとか、横断的な政策課題を設定いたしましてやっていくということです。25年度につきましては、後ほど少し詳細な御説明をしたいと思いますけれども、ライフイノベーションの課題についてまずは試行的に行って、課題については順次、その成果も活用しながら展開していきたいと、このように考えてございます。
 続きまして、資料2-1をごらんいただければと思います。今申し上げましたこの新しいプログラムは予算としては25年度から開始する予定ですけれども、24年度の間にもできるだけ前へ進めたいということで検討してございました。その中で、政府全体の枠組みの中で今、成長戦略の議論をまさに政府の中で議論していますけれども、その中におきまして、例えば目指すべき2030年の社会像を捉えてバックキャストし、そのバックキャストしたものから技術とか制度はどういったものが必要で、それをどのような形でシナリオとして書いて、ロードマップを示すかという、新ターゲティングポリシーという考え方が政府の中で今、部内検討のような形で進んでいます。それにもこのSciREXの政策形成実践プログラムが役立つのではないかということを念頭におきまして、来年度の概算要求までに政策オプションをつくる作業を少し加速的にかつ集中的にやってみたいということで、まずはそのプロトタイプを作成したいと、このように考えてございます。
 具体的なイメージとしましては、二つ目に書いてございますように、2030年の社会像を設定して、それに必要な方策あるいは社会・経済インパクトの構造を明らかにして、どういったエビデンスや分析手法が必要になるのかということをはっきりさせるとともに、全てがわかるわけではございませんので、不確実性とか、あるいはオプション自体の将来の発展可能性を明らかにして、シナリオを作成したり、ロードマップをつくると、そういったことを考えてみたいと思ってございます。まずは先ほど申し上げましたライフの課題について取り組みたいと思ってございますので、例えば健康寿命の延伸とか、医療費・介護費の抑制につながる取組を推進してはどうかということで検討してございます。
 少し具体的に申し上げますと、資料2-2のポンチ絵をごらんいただければと思います。これは全体を進めていく上でのフレームワークの整理をした資料でございます。左側にございますように、まず政策課題をきちんと設定する仕組みが要るだろうと。ここもまだ十分カチッと固まったものがあるわけではございませんが、やっぱり目指すべき将来ビジョンに対して、フォアキャスト、バックキャストを通じまして、今のまま、現状のまま推移する状態、いわばas isな状態と目指すべき将来ビジョンを狙って手をうっていく、すなわちto beな状態のいわばギャップのようなものを見定めていく。その際、それをどうやって解消していくのかということ自体が課題設定につながっていくと、そういう流れというか考え方で進めていってはどうかということを考えてございます。
 具体的には、先ほど申し上げましたとおり、健康長寿社会を政策課題として試行的にやってみたいと思ってございますが、その際、下にございますようにエビデンスによる現状の把握の中には、例えば労働人口が減るとか、高齢者が増加して、かつ、高齢者の方が単身の世帯が増えて、従来みたいな大家族ではないというところでケアが不十分といったような指摘がございますとか、あるいは現状でも既に医療費・介護費が毎年1兆円ずつ増加するような非常に厳しい財政状況になっています。
 そういう中で、科学としては、がんとか糖尿病といったような生活習慣病に関するメカニズムが科学的にも随分わかってきて、対処をいろいろ、医療という行為でも、介護という行為でも、それ以外の行為でも様々な手立てが打てる可能性が増えつつある。そういう科学的な状況も踏まえまして、右側になりますけれども、どういった手段を選択あるいは考えることができるのか、そういう手立てを打った際に社会とか経済にどういうインパクトがあるのか、これをロジカルに詰めていく。こういった形で政策オプションをつくっていけばいいのかなと今、検討しているところでございます。
 概念だけではわかりづらいので、その次のページの2ページ目をごらんいただければと思います。これはまだイメージ図で、これで固まったというものではございませんけれども、考え方の整理としてはこういう方向性で考えていったらどうかということでございます。
 一番上にありますように、健康寿命を何らかの社会指標として捉え、あるいは医療費・介護費――そのまま医療費、介護費とするかどうかは若干議論があるかもしれませんが、社会保障まで広げるのかも含めて、そういったものを維持する、サステーナブルなものにするという経済指標を例えば置いた際に、青いところにございますようにいろいろな手立てが考えられると。この中には、時間のかかるものとか、科学に根ざしたものとか、あるいは社会やシステム、制度にかかわるもの、もうちょっと広いワークシェアのような概念まで広げるかどうかもあるかもしれませんが、様々な手立てがある。
 これをどういう組合せで実施することによって、社会あるいは経済が変わるのか。社会、経済のインパクトの例としましてそれぞれ三つずつ、緑色と少し青い濃い色の部分でインパクトの指標の例を少し載せてございますが、こういったインパクトがどのように変化するのか。その結果、一番下の部分にございますように、どのような将来像あるいは価値を創造できるのかということにつながるのかを選択し、オプションという形で示していけるようにする。こういった一連の流れを先ほどの前の図にあるような取組を通じて少し試行してみてはどうかと考えてございます。
 ただ実際には、やはりエビデンスとしてまだまだ世の中にないもの、あるいは十分まだ探査できていないものもあると思いますし、これを分析するための手法とか指標開発のようなものがまだカチッとフレームワークに合致するようなものが完全にでき上がっているという状況ではございませんが、そこは開発しながら、走りながらつくっていくということを目指していきたいと思ってございます。
 新しいプログラムの検討状況につきまして以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 それでは、前回から大分時間があきましたので、御理解しにくい部分もあるかと思います。大きく分けて二つ、予算がついたということと、それから、その予算に基づいて政策のオプションをどういうふうにつくっていくかという試行をやり始めて、FSと最初言っていた部分ですけれども、そろそろそれをプロトタイプのモデル化にまで持っていきたいというステップになっているということでございます。
 最初に予算の資料1でございますが、政権交代等あって予算が大分手間取りまして、こういう形で最終的に決まったということでございますけれども、何かこの点について御質問なり御示唆がありましたら、委員の先生方、どうぞ御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
 よろしゅうございますか。
 右側にあります幾つかの形の中の最初のSciREX政策形成実践プログラム(仮称)となっておりますのが、新規についた予算の部分でございます。当初、何らかの形でこういうことを実行するための場所をつくらなければいけないというのを前回の議論の中で御指摘いただいたと思いますが、それについての予算としてこれだけついたということでございます。
 それ以外の部分については、従来からの継続によってやっている部分でございますので、オプションづくりをして、政策を実行に移していく形をつくるのは、新しく予算のついた部分で行おうということになるんだろうと思いますが、いかがでしょうか。

【桑原委員】 
 済みません、JSTの科学と政策の橋渡し基盤形成プログラム(仮称)は、「(仮称)」だから、これ、去年なかったんですよね。

【山下室長】 
 はい。

【桑原委員】 
 これ、ちょっと御説明いただけますか。

【山下室長】 
 ここの「(仮称)」をまず御説明させていただきます。今、政府原案ですので、国会で御審議いただいて予算が成立した暁には、この「(仮称)」は両方とも取りたいと思ってございます。
 今御質問いただきましたJSTの科学と政策の橋渡し基盤形成プログラムという部分でございますけれども、従来からJSTのCRDSでは、我々と一緒に政策オプションづくりのみならず、政策のための科学の立ち上げの段階から随分いろいろな御尽力をいただいてございましたけれども、実はJSTには政策のための科学を行っていくための予算が計上されてございませんでした。今年度、我が省からの委託調査、これはJSTが入札いただいたということになってございまして、現時点では、事業の一部を担っていただいておりますが、きちんとした位置付けの中で活動していくというためのお金が措置されていなかったと。したがって、運営費交付金の事業の中ではございますので別に予算なり積算が明示的に決まっているということではないのですが、一応、中のミシン目として、この政策のための科学で活動いただくという予算を運営費交付金の一部でも明確に位置付けたと、そういうことになってございます。
 具体的には、また来年度に向けて我々もJSTとよく相談していかなければいけないと思っておりますけれども、従来JSTの運営費交付金の中で何とかやりくりしていた活動、具体的には構造化研究会の運営などですが、この様な従来の取組とともに、この新しいSciREX政策形成実践プログラムの活動の一部もきちんとやっていただくということになろうかと思ってございます。

【桑原委員】 
 二つありまして、構造化研究会でいろいろ御貢献いただいてきていることはよく承知しているのですが、あれは今年度までの位置付けは本省からの委託事業の一部じゃないのですか。

【山下室長】 
 あれは委託事業ではなくて、運営費交付金事業でやっていらっしゃった部分です。

【桑原委員】 
 ではないんですか。そうすると、今度、SciREXの、プログラムがスタートしたときには、黒田先生に全体の司令塔の役割を果たしていただくということで、4本柱と通常言っていたんですよね。

【山下室長】 
 はい。

【桑原委員】 
 昨年来議論があって、一番上のSciREX政策形成実践プログラム、これはこの委員会でも随分議論があって、概算要求もしていただいて通ったと。だから、今度、柱立てとして5本柱になるのかと思っていたら、6本柱にするということですか。であれば、それは全く結構なんだけれども、この委員会としては4本プラス1本にするという流れできたような気がするので、4本プラス2本にするのは全く結構ですけれども、それはここでちゃんと議論して、この黒田委員会が決めるという手続が必要じゃないでしょうか。

【黒田主査】 
 私の理解では、これ、予算のつき方の問題が大きく関与しているんだろうと思いますが、当初こちらでSciREXの実践を行うセンターをつくるべきという話を委員会でもお認めいただいて予算を申請した段階では、場所としてそれをどこに置くか、そして、どういう形のものにするかということを念頭に置いて、できれば本省に置いたらいいだろうというような議論も出ていたわけです。
 ところが、実際についた予算、この1億3,400万というのは、委託研究費の形の予算しかつかなかったというのが、我々の考えた構想と違ったものにならざるを得なかった。したがって、本省が持つ予算が委託研究費としてこれだけ認められることになりそうだと。その予算をSciREXを動かすために使うということになるんだろうと思います。したがって、それとは別に、センターをどこに置くかというのはまだ宙ぶらりんのままになっていて、具体的な拠点が形の上で成立しないままで今のところきているということになるんだろうと思います。
 それをJSTが受けるかというと、JSTがそこまできちっとした組織の中で認められているわけではないし、それからまた、JSTが交付金で今回、運営費交付金の一部として認められているものでそういう拠点形成ができるかというと、これ、ヒューマンリソースの関係もあって、僕自身の感じでは今すぐはなかなか難しいのかなという感じがしています。それについてはむしろお知恵を絞っていただいて、この予算の範囲内でどういう方向に持っていけばいいかと、御意見をいただいたほうがいいかもしれないと思っています。

【桑原委員】 
 何度も申しますけれども、6本柱にすること自体は全く結構だと思いますけれども、ちょっと議論が詰まっていない感じがするんですよね。ここで政策課題という名前が出るのが三つになるんですけれども、これがどういう関係にあるのかもわからないままに、予算でこうなりました、あと、事後追認というのは、あんまり適当じゃないんじゃないかなという感じがいたします。

【黒田主査】 
 どういうふうにしたらいいですかね。事後追認というつもりではないんですが、とりあえず予算がこういうふうにつきました……。

【桑原委員】 
 政策課題の抽出というのが表に出てしまうと、初年度から政策課題対応型研究というのが柱の4本のうちの1本で走っていて、昨年来、政策課題を特化してオプションまでやるというのを昨年から準備が進んでいて、新年度から本格化しますと。また新年度から課題の抽出を新たに始めますみたいなのは、形がちょっとわかりにくいという印象を受けますよね。

【黒田主査】 
 どうですかね、僕の理解ではNISTEPが当初から受けられていた政策課題対応型の調査研究の推進という部分は、当初、政策のための科学の発想そのものは役所としても非常に認めるし、重要だと思っていると。しかし、それをやるについては、ある意味でデータベースの開発から人的な資源の開発から含めると相当時間がかかるであろうと。しかし、実際の政策対応という意味ではもっと短期的に適宜政策効果をはかるような部分もあわせて進めていきたいんだということで、SciSIPのほうの一つのプログラムとして政策課題対応型の調査が提示されたというふうに私自身は理解しています。おそらくそのことと、長期的にSciREXというプログラムを徐々に実践していくというのは、どこかで融和していって一つの統合がなされるべきだとは思うんですけれども。

【桑原委員】 
 政策課題対応型という柱は最初からあって、ただし、当面はここの下に書いてある投資の経済・社会波及効果、しかもこれ、当初想定されていたのが主にマクロ。

【黒田主査】 
 マクロですよね。そうですよね。

【桑原委員】 
 決して個別ミクロのことをやるということではなくて、それに特化すると、それ以外やらないというのでもともとスタートしたんですね。ですから、スタート時点では、政策課題対応型で個別政策に対応するような取組はすぐには立ち上げないというのがこの委員会の基本方針であったと。その個別政策のほうを立ち上げる受け皿ツールとしてこのSciREX政策形成実践プログラムの御提案があって、これは着々と進んだと。これは全く整合的だと思います。
 じゃあ、もう一つの政策課題の抽出、これは書きぶりの問題なのかもしれませんけれども、政策課題の抽出を3年目から始めるように見えてしまうのは誤解を招く恐れがあると思います。昨年度までおやりになっていたことも別に個別具体課題の抽出作業じゃなかったですよね。枠組みがどうあるべきかというような概念の在り方を御議論いただいたので、それはそれで非常に重要だと思っています。

【黒田主査】 
 ここの部分ですね。

【桑原委員】 
 はい。しかも、基盤形成というのはどうとでも読める言葉なので、位置付けが何だかわかりにくいんじゃないかなと。

【黒田主査】 
 ここ、僕の理解では、交付金と書いてありますけれども、JSTが昨年までやってきたのは、中身は構造化プログラム。

【桑原委員】 
 それはよく承知しています。

【黒田主査】 
 これ、全体をどうやってするかと。構造化プログラムの結果としてSciREXみたいな発想が出てきた。SciREXを実行しようということになってきた。そのときに、実際にやってみるといろいろな政策課題がそこであり得て、今、例えば何の政策課題が重要で、どういう形で政策課題を選択してSciREXのプログラムに持っていくかということの議論もどこかでしていかなければいけないと。
 例えばこのSciREXとは直接関係ないんですが、御承知のように、社会的期待の抽出とか、社会的期待から課題を抽出するというようなプログラムをCRDSそのものは並行してやっているわけです。そういうような知見もあわせて、構造化プログラムの中をよりブラッシュアップするというのがこの政策課題の抽出等の中身ではないかと私は理解しているんです。

【桑原委員】 
 それはまさに事務局から御報告いただいて。きちんと決定するプロセスをとってくださいというのが私の要望です。

【黒田主査】 
 なるほど。

【山下室長】 
 後ほどの部分にもちょっとかかわるかもしれませんけれども、実は昨年夏に既存の四つのプログラムに加えて、二つと言ったほうがいいのか、一つと言ったほうがいいのかちょっと悩ましいですけれども、新しいプログラムを含めてロードマップをきちんと描くべきで、そのロードマップを描く方向性について8月の段階で少し御相談をさせていただいておりました。新しいプログラムの予算がほぼつきそうだというのが見えてまいりましたので、いずれにしても次回までに事務局のほうでも各プログラムの関係者とも御相談をさせていただいて、どういうふうに位置付けをしていくのか、整理ができるのかというのを、きょうの桑原委員の御指摘も踏まえまして少し考えさせていただければと思いますけれども、そういう形でよろしいでしょうか。

【相澤委員】 
 ちょっとよろしいでしょうか。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【相澤委員】 
 この1枚目のこの表現が、今の議論にも反映しているんですけれども、これ、理解しにくいんですよね。予算としては、SciREXと科学技術の基盤形成プログラム、この2本という形で理解してよろしいんですか。

【山下室長】 
 そうでございます。

【相澤委員】 
 2本ならば、2本であることを明確に出して、そのもとに個別の施策をどう展開するかという形で出していただけるとわかりやすい。これだと、二つの予算の柱と、実際に推進していることが混同しているのではないかと思うんです。そこはどうなんでしょう。ここの理解。下の四つは、全て基盤形成プログラムに属するものですか。

【山下室長】 
 いえ、そうではございません。

【相澤委員】 
 そうではないんですよね。

【山下室長】 
 はい。

【相澤委員】 
 だから、そこが今の議論のところになっているんではないかと。
 下の三つのところ、公募型と、データ、基盤・人材、これは基盤形成プログラムという予算立てのもとで動くものと?

【山下室長】 
 いや、違います。これ、そういう意味でいいますと、連携していくものはしていくのですが、全て独立したプログラムとして立っているものでございまして、別にこれの下部構造として位置付けられているというわけではないです。
 この表、確かに見づらくて大変申しわけありません。この表が意図しているのは、一番上にございます「政策の決定 政策の実施」のところの次の段階からなのですが、課題をどうやって発見、発掘しというところから、実際に合意形成に至って、さらには政策評価にまで生かされるという、一連の政策の形成されるプロセスの中でどの部分を主に担っていますかということを示している図でございます。
 一番上に新しく立てたこの新しいプログラムは、いわば一気通貫で全部やってしまいましょうと。それぞれのほかのプログラムは、特に公募のプログラムはどこで採択されるかによって、合意形成がより中心になるものもあれば、指標化みたいなものが中心になるものもあれば、アナリティカルなものが中心になるものもあればいろいろございますので、分散していますというのをわかるように書いている。そういう位置付けでございまして、縦の関係に上下関係があるということは全くございません。

【相澤委員】 
 それはない?

【山下室長】 
 はい。

【相澤委員】 
 そうすると、具体的にSciREXのほうがイメージが湧きにくいんですが、これは何に対して予算が使われるプログラムなんですか。

【山下室長】 
 予算としては、先ほど黒田先生からもお話しいただきましたとおり、今回委託費で全て予算がとれていますので、調査とか研究のための委託費ということで支出するという予算になってございます。本省のほうに全部計上されている予算でございます。

【相澤委員】 
 そうすると、下の四つのところには、具体的にはこの予算が使われないと考えるべきなんですか。それとも、ここの中にも予算が手当される?

【山下室長】 
 基本的には別でございます。

【相澤委員】 
 別なんですね。ちょっとこの図の全体の構成が理解しにくいのではないかと思います。

【山下室長】 
 はい。次回までの宿題事項として、表現の仕方も含めて少し工夫をさせていただければと思います。

【黒田主査】 
 いかがでしょう。そういうことで、ともかく予算は最終的にここで、どういうふうな形で使うかということを含めてコンセンサスを得ていただいたほうがいいと思いますので、事務局に整理していただいて、次回の委員会で精査していただくということでよろしゅうございますか。

【森田委員】 
 よろしいですか。今の御議論を伺ってきての私の印象ですけれども、私自身の理解でいいのか、確認させていただきたいと思います。一つは、下の四つというのは既に走っているわけですね。私自身も公募型研究開発プログラムを担当しておりますけれども、その印象からいいますと、どうしても政策のための科学全体からいいますと、特定の課題に集中する研究が下のほうは多かったのではないかと思います。それに対して、それではここで期待されている成果に結びつくのに少し時間がかかるのではないかと。そして、私自身の理解ですと、上のSciREXのほうはむしろ実際の政策オプションをつくるまでに時間的に通してしっかりとしたものをモデル的につくろうとしていると思われます。
 もう一つ、2番目の基盤形成プログラムというのは、確かに政策課題の抽出等という書き方をするとやや曖昧になるのかもしれませんけれども、これはむしろまさに、その前についております「俯瞰(ふかん)」という言葉に意味があって、トータルに見て、政策のための科学、今の政策状況全体を見通してもう少し、そこをまさに俯瞰(ふかん)的に大きく捉えようという、今までの四つの成果を踏まえた上でさらにそれが新たに必要という形で、こういうプログラムが生まれたのではないかと理解しております。
 その俯瞰(ふかん)的というのは、こちらのほうは内容的には具体的なイメージが湧きにくいんですけれども、イメージとしては、下の4本に対して新たな2本といいますか、上のほうは、そうした意味での下のものを踏まえた上でのより強化するためのプログラムというふうに認識しておりまして、そういう説明であったかと思うんですけれども、それでよろしいんでしょうかということでございます。

【山下室長】 
 御指摘どおりで、申し訳ございません、説明が十分じゃないんですけれども、おっしゃるとおりでございます。

【黒田主査】 
 まさに今までやってきた下の四つというのは、SciREX全体を構成する一つの基盤的な研究の形で、森田先生に中心になってやっていただいている公募型研究というのは、その基盤をつくるために公募でいろいろなプログラムを動かしてみようというのがそうですし、下のデータ・情報とか、その上の政策課題対応型調査というのは、具体的にデータをどう構築していくかということをNISTEP中心にやっていただいていまして、一番最後、一番下が、各拠点大学の構想で人材育成ということになっている。
 それを進めてきたわけですけれども、実際に政策オプションをつくっていくという政策志向型のSciSIPを具体化していくには、それらの出てきた基盤研究の成果をすくい上げて体系化していく部分が必要で、それを昨年は構造化プログラムということでCRDSに担っていただいた部分だと思っているんですけれども、それをもう一歩進めて、全体の俯瞰(ふかん)とそこからの課題の抽出を中心にしたものをもう1本立てるということになるのかなという気がします。いかがでしょうか。
 とりあえずそういう形の御意見を少し整理していただいて、次回までに関係を明らかにしていただくということにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
 それで、もう一つ、今、政策オプションということで、2ページ目ないしは、プロトタイプとしてつくるモデルとして将来の政策課題というのはいろいろあり得るわけですけれども、とりあえず予知予防を重視した健康長寿社会の実現ということを少し考えてみて、プロトタイプまで進めてみたいというのが事務局の意向でございます。それについて、資料2ないしは資料1の2ページ目を含めて、何か御議論がありましたら御質問いただければと思います。

【小林委員】 
 よろしいでしょうか。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【小林委員】 
 先ほど委託というお話でしたけれども、実際にこの作業をするのは、どういう能力、資質を持った組織で、どのぐらいのマンパワーが要るというふうに考えたらいいんでしょうか。実際にノウハウはそこに残るわけで、委託というのがあまり適当ではないような気もする。

【黒田主査】 
 僕の本音ベースでいくと、そこが一番問題です。それで、昨年御議論いただいたときの、実践プログラムをすぐつくる場所がない、そういう人材がまとまってノウハウの蓄積をやっていく場所がない、それが一番問題だと思います。いずれそういう方向に一歩ずつでも近づけていきたいというふうには私自身は思っているんですが、残念ながら委託研究費しか今年つかなかったということで、それをいかに有効にその形に持っていくかということなんだろうと思っています。
 具体的に事務局で相当、数か月間議論はしてきていて、この課題自身がいいかどうかという議論もありますけれども、2030年をめどにして考えたときに、いろいろな課題が当然あり得るわけです。その中で高齢化社会というのはある意味で必然であるし、その中でいかに安心安全の世界をつくっていくかというのは、どの政策をやるにしても欠かせない大きな柱になりますので、当面、科学技術に絞って政策を打つと。その科学技術の中には、自然科学、人文科学を含めて技術そのものもありますし、それから、社会システムという意味での制度の設計もあると思いますけれども、そういう社会技術という部分も含めて、高齢化社会の姿を課題として選んで描いてみようということに事務局と御相談してとっかかりを決めてみたわけです。
 その間、資料2-2の2ページ目にありますように、そうはいっても、これ、なかなかオプションづくりというのは難しいことだというのを議論をしてきながら反復しているわけですけれども、最終的に2030年にどういう社会をつくるかということを前提にして、その社会をつくるためにバックキャストをした結果、現時点どれぐらいのギャップがあって、そのギャップは政策で埋められるものかどうなのかという立て方の論理もあり得る。
 それから、逆に現在の科学技術が前提にされて、将来をどういう形で進むかという予測を、いろいろな知見を得たときに、今度はフォアキャストとして、将来どんな社会が出てきて、それが理想化している2030年の高齢化社会とどれぐらいギャップがあるかということを見つけて、それに対する対策をやるという、いわばフォアキャスティングのやり方、多分、両方あり得るだろうと思うんですが、方法論的には多分、フォアキャスト、バックキャスト両方をうまく駆使しながら考えていかなければいけない。
 そのときに、フォアキャストにしろ、バックキャストにしろ、問題をどういうところに見つけるかということをやらないといけないので、それがお手元の資料ですと資料2-2の最初の図だと思います。最初の図の左半分の部分で、まず高齢化社会云々という課題に今、大きい課題を絞ったとして、その社会を動かしていったときに、2030年で抱えていて政策的に解決しなければいけない課題というのは一体どんなものだろうかということの政策課題の設定をやって、その課題の目標を明示化するという作業があり、右の部分は、それに対してその課題を解決するためにいろいろな政策手段があり得るとしたら、その政策手段ごとにその政策の効果を評価するためのモデルをつくるということになるんだろうと思うんです。そういう形のシミュレーションになるんだと思うんですけれども、作業を現時点でやってみようと。
 この課題だけ見てみても、じゃ、どんな人材をここに投入しなければいけないかというと、科学者としての医学の知識は当然必要です。また、医学をサポートする医療機械等の技術みたいなものも必要。それから、ITがどれぐらい進むかによって、マイナンバー制を含めて個人情報がどれぐらいビッグデータとしてきちっと整理されるかということの知見も必要です。それから、マイナンバー制度を入れたときに、社会構造がどうなるかとか、社会構造に対してどういう功罪をもたらすかということも、これはセキュリティーを含めて考える社会科学者が必要です。
 かつ片方で、長寿社会で予知予防をやったときに、例えばですが、健康寿命はどれだけ延伸して、延伸した結果、労働力人口がどういうふうになって、その労働力人口を吸収できる就業機会が産業構造としてあり得るのかどうかということは経済等の分野の知見もかりなければいけない。そういう方が総合して議論をしていただきながら、オプションの中でできるモデルをつくっていくことの作業になるんだろうと今、考えているところです。
 いかがでしょうか。森田先生、何かその辺では。

【森田委員】 
 そのとおりだと思いますけれども、実際問題、それはマクロ的な視点でやっていくのか、あるいはもう少し具体的に絞り込むかですね。両方ともつながってくると思いますけれども、その辺はまさに、時間軸も入れてどういう形のロードマップを描くかということをきっちり詰めていかなければいけないかなと思います。

【黒田主査】 
 ですね。

【山下室長】 
 小林先生の質問にお答えをしないといけないと思ってございます。御指摘のとおり、委託だと、確かに文部科学省に基本的にノウハウは残せるのですが、それは理屈の上の話であって、実際のノウハウはやっぱりやっていただく組織に残る。したがって、我々も今の来年度の予算が委託費でしかとれなかったというところは、実は財務省とかともかなりいろいろやったのですけれども、現実的に厳しい状況でございました。
 25年度の予算はそういう意味である程度額としての確保はあるんですが、26年度以降の体制を含めて、どういう組織あるいは仕組み、ノウハウを残せるところが非常に重要だと思いますが、それ以外のものを含めて体制づくりができるのか、それがどういう組織の下、予算をきちんと措置するのかということも考えなければいけないと思ってございまして、何とかそこにうまくつながっていくように来年度の運用も工夫をしたいと。短期的にはどうしてもやむを得ないのですが、その点を工夫をする必要があるという問題意識は持ってございます。

【黒田主査】 
 ほかに御意見。どうぞ。

【郷委員】 
 よろしいでしょうか。この資料の2-2の2枚を拝見して、それから、今のお話を伺って、やっぱりタイムスケールというのがすごく重要だという気がしております。特に予知予防とか、生命科学、このあたりはものすごい勢いで今、動いています。そういう研究者が、やっぱり自分たちがやっていることがすぐに大きな日本の構想、将来の政策にどういうふうにつながっていくかということがわかっていて研究をやるというのは非常に励みになるし、そういうことをわからずに何となく、これは必要だし、世の中もそう動いているからやるんだというのとはやる気がやはり違ってくると思います。日本の国をどういうイメージで変えていくのかというそこがわかるということは、研究をしている人にとってすごく大事です。
 それから、国民にとって、今まで政策というのが科学技術に関してあまりよくわからない。地震とか、その予知もやってきたけれども、本当の意味でもうちょっとわかりやすく、こういう政策が動いていると、それを明白にするというのは、今までなかったことであるとすごく思います。
 ただ、あんまりのんびりしていられない。予知研究はものすごく進んでいますし、そこには人が随分動いていますから、そういう人たちが本当に能力を生かせるためには、時間的にいつまでに何をするのか。のんびりとやれないんじゃないかと。そうすると、先ほどの、1人の方がいろいろな能力を持っているなんていうのは、とても期待ができないので、やはり専門分野の方たちが一緒になって力を合わせてやっていくという形になるんではないかなと思っています。

【相澤委員】 
 よろしいでしょうか。

【黒田主査】 
 はい、どうぞ。

【相澤委員】 
 私も運営形態が非常に重要ではないかと思います。特に2ページ目のイメージというところに書かれているように、三つの区分で調査研究をしていく筋道がここで見えてくるわけです。こういうことを本当に俯瞰(ふかん)して進められる受託組織というのはどういうイメージかということと、もし適切な受託者があった場合に、この推進委員会、あるいはこれに特化した運営全体を進めるしっかりとした組織がないと、ただ丸投げして結果が出てきたものを議論するという構図では、意図したものができないのではないかなと危惧いたします。そういう意味で、この運営形態をしっかりと立てる必要があるのではないかと思います。

【黒田主査】 
 今の両先生のおっしゃることは僕もそのとおりかと思います。それを今の段階ではまだ、予算措置とか議論をするところに、こういうことができて、こういうことに役立って、将来の日本の科学技術政策を進めるためにこういう形のやり方が絶対必要なんだということを多くの方に理解していただかないと、なかなか予算とか組織とかいう形にはならない。
 それをある意味で見える化していくというのが今年やらなければいけない最大の課題で、その構造ができれば、例えば政策課題として予知予防のこういう課題がある場合もあるし、ある場合には国際競争力をどうつけるかとか、社会保障構造をどうするか、いろいろな課題があり得るわけで、その課題がそこにインプットされたら全体構造がこういう形でやればつくれるという形のひな形をまずつくってみるのが今年の一番大きな課題の役割かなと考えています。
 それに委託研究費なり、交付金の予算をどうやってうまく組み合わせて使っていけるかということをやはり組織としてきちっとつくっていかなければいけない。できれば相澤先生のおっしゃるように、将来に向かってその組織の形をきちっと提案できれば、推進委員会としては一つの役割が一番果たせるのかなという気がしています。

【桑原委員】 
 これ、時間軸として、平成25年にスタートするのは1年で終わらせるんですか。SciREXプログラムはとりあえず4年計画で始まっているので、平成25、26年は一応当初の視野に入っていると。その後はまだ白紙かもしれませんけれども。この新規の政策形成実践プログラムというのは、まずぶつ切りでやる方針なのか、それとも、25、26年の2年間、ただ、委託費という制約がありますからうまく連続的にできるかどうかはケース・バイ・ケースになってしまいますけれども、意図としては2年ぐらいかけてやるということなのか、あくまで単年度なのか。
 これ多分、レベルがまるで違いまして、単年度というと、相手の選定とか何とかやっていると、よくて8か月なんですよね。8か月でやる仕事か、2年物になると実質では20か月になるので、実は期間は2倍じゃなくて3倍ぐらい違うんですけれども、そこは今、どっちのお考えなんでしょうか。
 8か月でやるとなったら、私、正直申し上げて、このシナリオづくりまで含めていろいろなことをやるというのは無理だと思います。もちろんいろいろな政策のタイミングがありますから、そこに第1弾のインプットをすると。これはこのプログラムのまさに目的なので、研究が終わらないからそれを一切無視すると、これは本末転倒ですから、できることはやっていくと、これは当然の前提なんですけれども、ただ、研究の枠組みとして、ここに書いてあるようなことを一通り、初めて経験する委託先といろいろ議論しながら8か月で何か出すというのは、私、極めて無理だと思います。でも、そこは今、御計画はどうなんでしょうか。1年物なのか。

【黒田主査】 
 桑原先生がおっしゃることが僕はまだ完全に理解できていないんですが、今回、予知予防を重視した云々という一つの課題を選んでみました。この課題を今まで申し上げたような政策オプションという形で、政策の選択ができるような幾つかのオプションをつくるということをやってみましょうと。しかし、これはSciSIP全体の構造からいくと一つの課題をたまたまやってみたというだけであって、将来的には、もし科学的な方法というふうに言えるという評価をいただけるんだったら、その科学的な方法でそういう政策オプションをつくるよう根づかせていくというのがSciSIPそのものの大きな構想であると。大きな構想に持っていくための準備段階として、2年をかけてそういうことの必要性と全体系が理解できるようなところまでつくっていくというのがここ1年2年の作業の内容だと思っています。
 それでも、どこまで完璧なものができるかというのはいろいろありまして、データがないからできない部分もいっぱいあるんですね。だから、こういうデータも開発しなければいけないとか、こういうことをやらなければいけないとか、こういうツールを開発しなければいけないとか、いろいろ出てくると思いますが、それをあわせて試行しながら、なるべく納得できるようなものに2年間かけて近づけていこうということじゃないかと思います。

【桑原委員】 
 じゃ、2年間かけてなんですか。そこをお伺いしたんですか。

【黒田主査】 
 はい、2年かけてというか、1年目のところでともかく、これまた2年目の予算がどうとれるかわからないんですよ。

【桑原委員】 
 ええ、もちろん。

【黒田主査】 
 だから、1年目のところで、ほぼ2年目を視野に入れたときに予算がとれるぐらいのものを提案しないと、概算要求の段階でそれがもう削られてしまいますので。

【桑原委員】 
 でも、先生、それはほとんど不可能ですよ。1年目の成果で2年目の概算要求の資料をつくるということは、だって、7月に要求されてしまうんだから、まだ委託先も決まっていないぐらいの感じですから。

【黒田主査】 
 だから、それもどこまでできるかですね。オプションを一つ一つ出していくまでというのはなかなか難しいと思いますけれども、どの程度までそれができるか。そこは、できればそういう要求を満たすかというのから逆算していくよりしょうがないですね。
 内部ではモデルの構造も相当議論していまして、モデルの構造そのものの議論もスタートしているんですけれども、概算要求に間に合う程度のものがどれぐらいのものなのかというのはもちろんありますけれども、方向としてはそういう方向で今やっているということです。

【桑原委員】 
 済みません、そこで概算要求とおっしゃっているのは、今年の夏の概算要求ですか。来年の夏の概算要求?

【黒田主査】 
 まずそれが第1関門ですね。

【桑原委員】 
 今年の夏の概算要求に間に合わせる?

【黒田主査】 
 はい、第1関門です。それは僕の感じですから、事務局のほうで何か。

【山下室長】 
 今、黒田主査がおっしゃったとおりの方向で、一応、1課題2年と。ただ、1課題だけじゃなくて、ほかの課題もやっぱり取り組みつつ、おそらく課題に共通するような指標づくりの在り方とか、分析の手法とか、ライフの課題だとエビデンスは多分共通するものも多いでしょうし、そういったものは何とか蓄積、ノウハウをストックしていかなければいけない。それはさっき小林先生が御指摘いただいたところと共通する部分だと思っています。
 ただ、26年度にどういう予算にするのかは、引き続き委託費は委託費でとって別の運営組織のためのお金をとっていくのか、あるいは運営組織の中にビルトインさせたような形で、運営費とランニングだけじゃなくて、実際にサーベイしたりとか分析手法を開発したりするような要素も何らかの形の運営組織のほうにつけていくのか、そこはテクニカルにはいろいろまだ選択肢が十分あり得るかなと思ってございます。透明性、公平性の面もございますので、夏までにそのあたりどこまで作業ができるのか、あるいは一番最適な要求の在り方がどうなのかを。
 極端に言いますと、ある程度、概算要求で芽出しをしておけば、編成までの間にある程度予算のつけかえの整理はできるとは思っていますので、編成までにはそれなりに具体的な姿が必要になってきますが、概算要求に絶対的な解が必要であるわけではないかなとは思っています。だから、いずれにしましても、ここ半年、あるいは1年弱の間で、組織の在り方、予算のつけ方、ノウハウをきちんとためるやり方、あるいは発展のさせ方というところに最適解が見出せるところを考えていく必要があろうと思ってございます。

【相澤委員】 
 ちょっとよろしいですか。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【相澤委員】 
 今の御説明だと、2年ごとに対象とする課題を変えていくと。当面は予知予防の課題を対象として、それでこれの政策の方向性をここできちっとつけると。その次に、少し時間差をつけながらほかの課題にも取り組んでいくと。こういう御説明と理解したんですが、それでよろしいんですか。

【山下室長】 
 はい。基本的にはそうしたいと思っています。

【相澤委員】 
 そうすると、たとえ2年であるとしても、この予知予防で始まったことの次のステップをどういう形で展開するかということはいかがでしょうか。それがむしろ重要なことではないかと思うんですね。課題の対象を変えていくということは、この攻め方というか、戦略をある程度きちっと形にあらわすという、モデルケースとしてやるという要素もあるわけです。だから、次のステップというのは、課題を変えることが重要ではなく、ここで出てきたアプローチが次のステップとして有効になるかどうかを、私は予算的にもそこのところを強調していかないといけないんではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

【黒田主査】 
 僕もその点に関しては先生のおっしゃるとおりだと思います。それで、見てみますと、各国がいろいろなことを模索しています。非常にうまくいっている一つのケースはイギリスみたいなところで、イギリスは、そういう課題を常に三つぐらいローテーションしながら、ピリオディカルに10年間やっているという感じで、それで、その一つ一つの課題について政策オプション的なものをつくるのは、同時に三つぐらい並行して課題として動いているわけです。それが入れかわり立ちかわり動いてきて、その中で的確なものを、どれを政策として採用するかというのは、もちろん政策決定を含めて政府そのものの責任でやるんでしょうが、そういう場が常に存在する。
 日本の場合、基本計画ができても、基本計画の中身がどう実行されて、どういうふうにフォローアップして、どこまで成功したかを見ていくところがどこにもないという状態で今まで政策がぐるぐる回ってきた。それではやっぱり困る。だから、そういうことになるような形のものをつくっていかなければいけないということだと思うんです。それはなかなか言うは易し、行うは難しで、そこがすっきりいけば一番いいんですけどね。

【桑原委員】 
 まず一つ、立ち上げるというのはとても重要だと思うんですよね。やらなければ前に進まないというのが現実ですから。

【黒田主査】 
 そうですね。

【桑原委員】 
 やって初めてわかることはたくさんあるので。ですから、これを立ち上げることは私は全く大賛成なんですけれども、何かきょう、今たまたまかもしれませんけれども、予算の整理学のペーパーと、それから、このプログラム全体をどのように回していくのかという話で、予算の整理学上だと、平成25年度予算で初めて委託費がつきます、それで始めますという形にとらわれると、今年の夏にその成果の一部を使って概算要求するというのは時間的にあり得ないんですよね。それを申し上げたので。
 ただ、そんな固定的に物を考える必要はないし、山下室長ベースでもFSなんかの検討をいろいろ進めていただいているわけですから、もっと実態的に動く部分があって、そちらの時間軸は何をどう想定するのかと。予算でがっちり保障された委託というのは早くても今年の6月ぐらいにしか契約できないと思いますから、そこから何かがさらに加わると。その加わったものは、初期の成果をいつごろまで予定する、あるいは単年度の最終は当然来年3月でしょうけれども、それが出てきた段階で、その外縁で進んでいるものはどこまで進んでいて、その委託の成果が合体することによって次のところに移ると。何かそういう実態的なスケジュール観を組むことが重要だと思うんです。
 そうすると、いろいろな政策につなげていくということは、相澤先生の御指摘のとおり、それがもともとの目的ですから、そうすると、やっぱり時々の概算要求、あるいはその数か月前にいろいろ決まる政府の政策の枠組み、そこの議論にインプットできるかどうかが勝負になってきます。
 そうすると、来年の春から初夏にかけての次のステップの政策議論に向けてどういう準備ができるのかと、そこから逆算していかないと、こういう大きな話はそのタイミングで間に合わないともうチャンスがなかなかないです。文科省単独でできる話ではあればもう少しフィージブルかもしれませんけれども。そこで間に合わないものは、またその翌年のそのタイミングにインプットする。あとは、どのタイミングで願うべきは第2の柱が立ち上がるとか、第3の柱が立ち上がると。何かそういうストーリーを整理していただいて、それを世の中にどんどん見せていくということが重要だと思います。

【黒田主査】 
 必要なんでしょうね。そうですね。

【相澤委員】 
 よろしいでしょうか。

【黒田主査】 
 はい。

【相澤委員】 
 もう一つ重要なことは、委託する内容を相当詰めておかないと、丸投げするわけにいかないと思うんです。これは先ほどのFSがこれに直接対応するような状態になっているんでしょうか。あるいは、本当に委託するんだということで、その内容をさらに詰めて、これは委託研究の契約をするときに明確に内容が整理されていて、その仕様に基づいて調査研究が行われる。その途中のプロセスでも、先ほど私が組織の対応が必要だと言いましたのは、この推進委員会が途中プロセスのチェックなり、その後の進め方についてのコメントを出す組織なのか、あるいはそれのための対応する組織を新たにきちっと設定するのかと、そこのこともここで決めておかなければいけないんではないかなと思います。

【黒田主査】 
 そうですね。昨年来やってきたFSの成果がかなり蓄積されていることは事実ですので、それを前提にして、必要な委託研究の中身をはっきりさせる。これは委託研究に出すときはやらないと成果は上がりませんので、そういう形になると思います。ただ、委託研究のタイミングが、予算が決まって実際にできるのが6月というのでは全く遅過ぎるので、そうなるまでに、今もうほとんど手弁当で皆さんにやっていただいている。いろいろな研究者に声をかけて、手弁当でやっていただいて、内容を詰めているという段階なんですけれども、そういう形で、いずれ委託研究予算がはっきりすれば、それを使っていくということに実態的にはなるんじゃないでしょうか。
 よろしいでしょうか。きょういただいた御意見はもうごもっともなことばかりで、ずっと悩み続けていることばかりなものです。なかなかそれでも実現できない部分があるということなので、どこまでできるかということまで含めて、何とか3月の時点の委員会ではもうちょっと内容を、進行を御報告できると思うんですけれども。

【山下室長】 
 そうですね。相澤先生の今の御指摘の、この委員会あるいは違う組織できちんと進めていくドライビングフォースというか、責任を持てるかどうかという体制の問題も含めて、先ほどの工程の管理の話も含めまして、次回の推進委員会までに事務局のほうでよく整理して、もう一度先生方に御相談できるようにしたいと思います。

【黒田主査】 
 よろしいでしょうか。
 それではもう一つ課題がございますので、基盤研究として最も重要な人材育成拠点のお話に移らせていただきたいと思います。
 12月ぐらいから先生方何人かにも御参加いただいて拠点大学を一通り回らせていただきまして、各大学ともかなり準備が進んできているという印象を持っているんですけれども、そのことを含めて、御訪問した結果について事務局のほうから簡単に御説明いただくと。

【山下室長】 
 それでは、お手元に資料3-1を取り出していただければと思います。A4の縦紙のものでございまして、題名が「基盤的研究・人材育成拠点の訪問結果(概要)」になってございます。
 今回、12月下旬から1月下旬にかけまして、本年4月から人材育成プログラムが5拠点6大学で開始されるということになりましたので、その準備状況をまずきちんと把握するということとともに、採択されてからほぼ1年間たちましたので、課題あるいは中長期的な展望というところで、少し推進委員の先生との意見交換ということを目途に拠点訪問をさせていただきました。
 1ページおめくりいただきますと、別添1のほうに具体的な日付と訪問者の一覧が掲げてございます。黒田主査をはじめ、御都合のつく先生には各大学のほうにも御訪問いただきまして、意見交換という形で6大学5拠点を回らせていただきました。
 またお戻りいただきまして1ページのほうでございますけれども、訪問全体を総括した部分が1ページから2ページにかけて書いてございます。どの拠点におきましても、来年4月からスタートさせるということで準備のほうは進めていただいてございまして、カリキュラムやシラバスなど必要な準備がなされているということはわかりました。
 個別で少し申し上げますと、特にカリキュラムの中でも座学の部分につきましては、科学技術イノベーションに関する基礎的な知識の習得とか、あるいは科学技術イノベーション政策に求められる分析手法の習得とか、あるいは科学技術と社会との接点や関係の理解、そういったような科目、一連の科目がそれぞれの大学の特徴に応じて設定されてございます。
 またそれに加えまして、三つ目の丸にございますとおり、政策立案に関するプロセスを実践するような演習科目とか、あるいは2行目から3行目にかけて書いてございますけれども、具体的な政策課題に対して政策形成プロセスを経験する実践的な科目が、大学それぞれによって個々に違いますけれども御工夫されていて、単なる知識の習得だけではなくて、それを実際に演習とか実践ということで生かしていくというような御工夫をされているということがわかりました。
 また、1ページから2ページ目にかけて書いてございますけれども、多くの大学で、行政機関をはじめとしたインターンシップの積極的な実施ということについても御関心があるというお話でございました。この点についても、文部科学省でもできるだけインターンシップの機会をつくるということを含めて、今、部内でも検討しているような状況でございます。
 また、政策研究大学院大学は専攻科目として設置されてございますので、若干ほかの大学とは違うかもしれませんが、それ以外の拠点につきましては、副専攻あるいはサーティフィケートを発行するということで、単位数とか必修科目には必ずしも全部が一致しているということではないということではございます。したがいまして、今後とも総合拠点を中心にどのような学生を育てていくのか、その人材像を皆さんで共有化いただいて、学生の資質がきちんと確保できるようにしていただければなというところが訪問した際の率直な印象でございます。
 また、これもどの大学でも御工夫と苦労がおありだった部分でございますけれども、最後の丸にありますとおり、可能な限りキャリアパスを明らかにすると。ここは我々も一緒になってということではあると思いますが、優秀な学生がやっぱり入ってくるためにも、どのようなキャリアパスが想定されるのか、あるいは考え得るのかということを拠点間でも共有しつつ、明らかにしていくということが重要だというところは共通認識だったと思います。
 4ページ目からは、訪問した大学ごとに、これ、東西とか南北とかではなくて、訪問した大学の日時の順番に、それぞれの訪問結果をまとめてございます。ここは今この場で個別に読むのは差し控えますけれども、全体の概括、カリキュラム・シラバスの整備がどういった状況にあるのか、学生募集の状況がどうあるのか。全ての大学はもう今、ブログを含めてホームページで案内を掲載していただいてございますし、我々が現時点で把握している限り、もしかしたら拠点大学、違うところがあるかもしれませんが、GRIPSさんはもう募集をたしか終えられていらっしゃるのだと思いますけれども、一橋大学、大阪大学、京都大学のほうでは、学生募集の案内もホームページに今、掲載されているというのは把握してございます。そういった状況がホームページでも確認することができます。一番最後に、我々訪問者の率直な所感も載せさせていただいております。
 また、資料3-2でございます。こちらのほうは、拠点大学の皆様とも御相談させていただきまして、我々のほうでまとめさせていただきました各大学の人材育成プログラムの概要という紙でございまして、ポンチ絵1枚紙、資料3-2という資料がございます。
 これは実は民間企業をはじめ、いろいろなところに拠点大学の活動を知っていただくために我々のほうでも委託調査をやっていますので、訪問したりする際に、なかなかどの大学でどういうことが学べるのかということが一覧になってわかりやすくなっているものがないのではないかなという御指摘もあった中で、全体の位置付けが少しわかるものを掲載したいということでつくらせていただいたものでございます。
 真ん中に各拠点に共通するコアな内容、身につけることができる内容を掲載してございまして、その周りに各大学の特徴というところで記述をさせていただいてございます。ピンクの部分はいわばどの大学でもきちんと学べるもの、周りの部分は各大学の特徴と、一応そういう位置付けの整理にしてございます。この紙も、今後、拠点大学の概要を知りたいという外からの問い合わせも含めてきちんと出していけるようにしたいと思ってございます。
 先ほどの各大学のホームページももちろんあるのですが、文部科学省の作成しているホームページの中にも、拠点大学にリンクを張って見られるように、一番下に書いてございますけれども、ホームページを掲載して、外の人に対してもアカウンタビリティーが見えるようにと。
 また、大学の中でも、せっかくそれぞれの大学の学生さんが科学技術イノベーション政策を学ぶということでございますので、今後、サマーキャンプとかで顔を合わせる機会がいろいろあるとは思いますが、ほかの大学でどういったことが学べるのかということをお互い知るということにも非常に意味があるのかなと思っていますので、積極的にこの資料を活用いただければという趣旨でまとめたものでございます。拠点大学の皆様の御意見は既に反映しているというものになってございます。以上でございます。

【黒田主査】 
 ありがとうございました。
 今御報告がありましたように、五つの大学をそれぞれ御訪問させていただきまして、意見交換をしてまいりました。今、山下さんのほうから御報告いただいたことに尽きると思いますが、各大学には、行った際に、いろいろな形での質疑を経ながら、少し言いにくい質問、それから、きつい質問もさせていただいた部分もありましたけれども、かなりいろいろな形でそれを取り入れて、今、さらに新しいプログラムになってきつつあるというふうな印象を持っております。
 全体の印象ですけれども、各大学の方向性については、資料3-2にありますように、ほぼそれぞれの大学に特徴が出てきているような気がいたしております。もう一つの、SciSIPもしくはSciREXを進める人材というのは、この五つなら五つの大学が今度連携をしていくようなシステムがどこかでできないかなと常に最初から思っていたものですから、それをGRIPSを中心に拠点間の連携の形をつくって体系化をさらに進めていただけるとありがたいなというのが一番感じたことでございました。
 それからもう一つは、どの大学も御苦労なさっているのは、サーティフィケートを取ったり、専攻であれば資格を取った、ディグリーを取った人材が、どういうキャリアを将来描いていくんだろうかというキャリアパスの開拓ということが非常に重要になってきているという感じを持ちました。これはぜひ文科省、それから、この委員会でも少し議論をしていただきながら、方向性をはっきりさせていくことが必要だなというのが私の全体に感じた印象でございます。
 御一緒におつき合いいただきました相澤先生、森田先生いらっしゃいますので、何か御印象がありましたら、御報告いただければと思います。

【相澤委員】 
 今、黒田主査が御説明になったと同じ印象を受けたということをまず申し上げたいと思います。
 それから、私は一橋大学を訪問させていただきましたが、実際の場所を見ながらディスカッションしてみるということが極めて重要だったなと思っております。といいますのは、これは一つの専攻レベルだけの問題ではなく、その大学にとって非常に重要な位置付けのものだということを大学全体の認識の中で進められているかどうかということを直感的に感じることが必要だろうと思ったわけです。
 そのことが具体的にどういうことにあらわれているかというと、例えばこの新しい、一つのコースとして進んでいく場所、拠点となる場所、これが全学の特別配慮できちっと確保されている。それから、その場所にどういう体制を整備してもらえるか。こういうことは、単に予算だけの問題ではなく、大学の強い意思が働かないとなかなか実践できないわけです。それが一橋大学は特に着々と進んでいるということを実感いたしました。
 それから、これはおそらく関連大学全部に共通することだと思うんですが、ぜひ大学の学長からそれぞれ強いメッセージを出していただくことが必要ではなかろうかと思うんです。そうしないと、それぞれの大学の中に、ある専攻レベルの組織ということで埋もれてしまう可能性がありますので、これはぜひ大学の学長がやっていただければと思いました。
 それから、一橋大学の場合には、サーティフィケートを出す母体が副専攻というような位置付けになるところですから、この副専攻の位置付けも、全体の専攻の方式から考えると、埋もれてしまう可能性があるんですね。もう既に一橋大も入試の説明に入っているというところですが、そこのところが一橋大の場合、準備の期間等もあって、まだ大学全体の入試だという位置付けに必ずしもなっていないのではないかなという印象を受けました。先ほどの、大学として強いメッセージを出してもらうためには、大学としてきちっとした、ほかの組織と全く同等なものだというふうに位置付けられることが極めて重要だと思いますので、そのあたりは今後の進め方としては留意していただく必要があろうと感じました。以上です。

【黒田主査】 
 ありがとうございます。
 森田先生、お願いします。

【森田委員】 
 私も直接伺ったのは政策研究大学院大学だけだったのですけれども、それまでにいろいろな大学に行ったときの報告などを拝見いたしまして、それぞれの大学が学生募集に向けて着々と準備を進めていらっしゃるということで、この努力は続けていただきたいと思います。
 ただ、さらにといいましょうか、相澤先生がおっしゃったこととかなり共通しているといいますか、それは同じことを申し上げようと思っていましたので省略いたしますけれども、さらに加えて申し上げたいのは、これはやはり新しいプロフェッションといいましょうか、それの形成を目指しているわけでございますので、大学の中できちんとした位置付けを獲得するということはもちろんですけれども、大学を超えて、こうした学位といいますか、こういうプロフェッションを持っている人が社会的に非常に重要なのであるという、そのメッセージを共同して発信していただく必要があるんじゃないかなと思います。
 私自身、大学にずっといてこういうことを言うのも変なんですけれども、どうしても大学の場合にはサプライサイドの思考で見るものですから、大学の事情と大学の都合と大学の認識に基づいてこういう人材をつくろうという発想に陥りがちなんです。けれども、これはある意味でいいますと、社会が何を求めているかという、マーケティングの話ではありませんけれども、デマンドサイドから見て人材をつくっていくという必要があると思います。
 ただ、この場合には、既に社会に一定のニーズがあって、そのニーズに応えるために人材を生産し、供給していくというよりも、ニーズそのものが必ずしも顕在化されていないところだと思いますので、こういう人材が社会にとって必要である、そして、それにはこういう能力を持った人が必要なんだ、それを育てていく、というような形での、いうなれば、マーケットリサーチも含めて、あるいはマーケットの開発を熱心にやるような形でのアピールが必要ではないかと思います。
 これは正直言って、大学にとっては意外と難しいところだと思いますけれども、そうしませんと、やはり個々の若い人たちが、将来、自分がその知識を身につけることによって社会的に活躍すると、そういう意識を持たない限り、なかなか優秀な方が応募してこないであろうと。そういう人たちを育てていくというのが必要ですし、そのためには、それぞれの五つの拠点、六つの大学で共通した意味でのそうした人材イメージを形成するように努めていただきたいと思います。
 その中では、いうなれば、コア科目のほうは先ほど資料3-2でもありましたような形で絵が描けると思いますし、それぞれの大学が個性あるプラスアルファをしているというのも間違いないと思いますけれども、学生さんにとっては、どこの大学に入るかといいますのはいろいろな事情で決まってくるわけですから、例えば単位の互換とか相互乗り入れもそうですし、ダブルディグリーというのは学位の基準が違うので難しいかと思いますけれども、そうした形で一体となってこうしたプロフェッションの育成に努めていただくと、そういう姿勢をぜひ持っていただきたいというのが要望でございます。以上です。

【黒田主査】 
 ありがとうございました。
 あとは野間口先生と笠木先生にも御一緒いただいたのですけれども、両先生はきょう、御都合が悪くておいでになっていませんので、先生方、ほかに何か御意見がありますでしょうか。
 拠点校との意見交換会をこの推進委員会としてまた持ちたいと思いますので、そこの場で両者の御意見をいろいろ御開示いただければと思います。時間が限られておりますので、次の報告に移りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、まずデータ・情報基盤の整備事業について、NISTEPのほうからよろしくお願いします。

【富澤(NISTEP)】 
 科学技術政策研究所のデータ・情報基盤を担当しております富澤でございます。お手元の資料4に沿って御説明いたしたいと思います。
 ただ、その前に、データ・情報基盤の位置付けに関して、資料1も御参照いただいて、一言だけ申し上げさせていただきたいと思います。資料1の1枚目の下から二つ目のところで、データ・情報基盤が六つの柱の一つということになっております。これは横幅がちょっと短くなっていて、もしかすると見方によっては、経済的・社会的影響の分析のみにかかわっているように見えるんですけれども、決してそういうわけではなくて、これは政策のための科学事業全体にかかわっているものだということを一言申し上げさせていただきます。
 それでは、お手元の資料4に基づいて説明いたします。表紙を1枚めくっていただきまして、「データ・情報基盤の構築」の成果の概要ということで、現時点で明確になっているものでございます。これは、左のほうにカテゴリーが三つあり、その下に個別プロジェクトがありまして、それぞれについての成果の状況を示しております。
 まず一番上の全体システム設計及びデータ提供事業の推進というところですけれども、公開済みのものからいきますと、科学論文の国際共著データの地図表示システムがあります。これは必ずしも専門家向けというよりは、一般の方にも見ていただく、あるいは行政官がちょっと見るとか、そういった想定をしたものです。これは私ども科学技術政策研究所のウエブサイトの中にこういうものを公開しております。
 それから、近日中に公開予定のものとして、科学技術指標2012HTML版。科学技術指標は、私どもが毎年出している報告書ですけれども、やはりこういうものは電子的に見たほうがいいこともありますので、そういったものをつくっております。
 それから、整備中のものとして、科学技術予測調査というのは、科学技術政策研究所が過去ずっとやってきた調査でございますが、その全ての調査結果について検索できるようになっております。これについては見本がありますので、後でごらんいただけると思います。
 それから、科学技術指標インターラクティブ表示システム。これについても、ユーザーが自由に変数を選んだり、対象とする国を選んだりしていろいろ見ることができるというようなインターラクティブなシステムでございます。
 それから、次の個別データの整備というところの1で公的研究機関に関するデータ整備ですけれども、ここでは、大学・公的機関名辞書、それから、大学名英語表記ゆれテーブルを公開しております。公的部門についての状況を把握するためには、大学とか公的研究機関の個別の機関レベルのデータが非常に重要であると考えておりまして、そういったものを活用するための一番基礎になるものとしてこういったものをつくっております。大学名英語表記ゆれテーブルというのは、論文に関する定量データを見たいときに、論文のデータベースの中にいろいろな表記の揺れがありますので、そういったものを統合して見ることができるようなものでございます。
 それから、近日中に公開予定のところですけれども、Scopusというのは科学技術論文のデータベースでして、それと機関名辞書との対応テーブルとか、公的機関に関しても英語表記ゆれのテーブルを出すと、そういったものを準備しております。
 それから、整備中のものとして、科学論文のデータベースとしてもう一つ、Web of Science、WoSというものがありますので、それについても同じようにデータを整備しているというところでございます。
 それから、2の産業の研究開発に関する基盤的なデータ整備。これに関しても、やはりミクロレベルのデータ、個別企業レベルのデータが非常に重要であるということで、それを扱うことは非常に大変ですけれども、それを扱う一番基礎になる企業名辞書とか、各種データとの対応テーブルといったものを準備しております。近々公開できる予定です。
 それから、3、科学技術システムの状況の時系列観測の実施、いわゆる定点調査と呼んでいるものです。これに関しては、定量データを補うような定性的データあるいは半定量的なデータということでこういう調査をやってございます。それに関しては、例えば自由記述のテキストを回答していただいていますので、それの検索用のデータベースとか、それをテキストマイニングするための辞書とか、そういったものを用意してございます。
 それから、4、博士課程修了者の追跡システムの構築。これに関しては、当初より博士人材データベースの構築に向けていろいろ準備しているところで、これについてはいずれこういったものができてくると考えております。
 それから、(3)政策課題対応型調査研究の進展に伴い作成されたデータの提供ということで1、2とそれぞれあります。1のほうは、R&Dのストックのデータとか、それのスピルオーバーの推計値とか、生産性上昇率を被説明変数としてイノベーションタイプ別に企業データなど、そういったデータを使った寄与率の推計とかそういったものを整備しております。
 それから、下のところに、この箱の枠組みに入り切らない、現在検討中のものも書いてございます。科学技術予測調査の実施・データの提供ということで、政策形成的なアプローチをするために必要なデータ・情報ということでこういったことを考えております。
 そのほかにも、過去にこれまでに公表してきた、当研究所から公表したレポートの中のデータを提供するとか、こういったものがここに入ってございます。
 こういった、今申し上げたようなことがどういう構造といいますか、全体的な位置付けになっているかということに関しては、次のスライド3に示しております。真ん中の左側に五つの箱を含んだ箱がありますけれども、これがこの事業を始めたときに考えた枠組みのモデルでございまして、1から5までのカテゴリーを考えて、それぞれどういうものが必要かというのを考えていくということをやりました。今申し上げたようなものをここに張りつけていきますとこういうふうになります。
 1番の政府および公的研究開発システムに関しては上にあるようなデータ。それから、2とか3、それから、5に関しても、それぞれデータが張りついている。ただ、下のほうにあります3と4に関しましては、まだこれ自体いろいろ調査研究をしなければならないことが多いということで、必ずしもデータ基盤から手掛けていくというよりは、調査研究をして、その中から出てきたものをデータ基盤として取り入れていくと、そういったことを考えております。
 それから、3ページの右側は、そのほか政策立案のためのデータ・情報基盤ということで、主に私ども科学技術政策研究所で実施した調査結果とかそういったデータを公開するといったようなものでございます。
 こういったデータ・情報基盤をどのように公開するかということですけれども、それに関してはもう1枚おめくりいただいて、ページ番号が抜けておりますが、4ページになります。データ・情報基盤のウエブページということで、NISTEPのウエブサイト内にこのようなページを設けております。トップページにも大きなバナーを張って、直接ここに行けるようにもなっております。この中に、先ほど申し上げた既に公開済みというデータがこのように出ております。
 次に、データ・情報の具体的な例といいますか、イメージをお示ししたいと思いまして、5ページ以降、それの例を幾つか選んで出しております。5ページは、大学・公的機関名辞書がどういうものかというのを示しております。ここでは、下部機関、例えば大学とその下部にある研究所の関係をどういうふうに整理しているかとか、それから、二つの大学が統合した場合にどうなっているかとかいったことを上のほうの例で示しております。それから、下のほうは、大学名の英語表記ゆれテーブルということで、一つの大学でもこういうふうにいろいろな表記のバリエーションがありますので、こういったものを整理しているということを示しております。
 それから、6ページは企業名辞書で、ちょっと字が小さいんですけれども、企業に関して基本的な項目の情報を集めているということでございます。
 それから、7ページは、これは先ほど申し上げました科学論文の共著データの地図表示システムの画面をコピーして張りつけたものです。このように国を選びますと、その国を中心に、国の間で国際共著論文数の大きさがどのぐらいかということを示しているものです。これは自由に国を選ぶことができます。
 それから、8ページ。これは科学技術予測調査結果です。過去に9回実施されました科学技術調査、いわゆるデルファイ調査ですけれども、その全調査結果をキーワード等で検索可能になっているというものでございます。
 とりあえず以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明に何か御質問ございますでしょうか。

【森田委員】 
 ちょっとよろしいですか。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【森田委員】 
 私はあんまりデータを使った研究をしているほうじゃないものですから的確にいえないのですが、いろいろ研究者の方からの御要望、こういうデータを蓄積してほしいという、そういうものはかなりあるんですか。

【富澤(NISTEP)】 
 はい。この事業を始めたとき、すぐ走り出さなければいけなかったものですから、まずは私ども科学技術政策研究所で過去の経験に基づいてこういうデータが必要だということでとりあえず走り出して、それと並行して、専門委員会を設けて議論していただくとか、それから、インタビュー調査とか、それから、専門家ですので少数の方ですけれども、アンケート調査とかをやっていって、いろいろニーズを調査するということをやっております。
 そうしますと、大体皆さんがおっしゃるのは、やはりミクロデータを使うことが非常に重要であって、それにいろいろと障害があるということで、ほぼ我々が考えたことと一致していたのではないかなということで、先ほど申し上げました大学・公的機関名辞書とか、そういったものはそれに対応するものと考えております。

【森田委員】 
 例えば細かいデータですと、企業名のデータというのがありますけれども、これはほかのほうで企業登記も含めていろいろございます。けれども、法人としての企業というのと、それぞれ多分、科学技術の研究だとしたら、工場とか、いろいろさらに細分化されたところのデータも必要であるとか、そういう話はよく聞くんですけれども、そういうものに対してちゃんと応えていただけるような形で進められているのかどうかというのをちょっと教えていただければということでございます。

【富澤(NISTEP)】 
 主に企業レベルのことをやっているので、確かに企業の事業所とか部局レベルまで必ずしも応えているとはまだ今の時点では言えないですけれども、そういった分析をやるためにも、まだ半分ぐらいかもしれませんけれども、まずは企業名の情報がきっちりしていると少しはそれのサポートになるという考え方で取り組んでおります。

【小林委員】 
 一つよろしいですか。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【小林委員】 
 博士課程修了者の追跡システムとあります。追跡はなかなか難しいと思うんですけれども、何かうまい手法をお持ちなんですか。

【富澤(NISTEP)】 
 はい。これに関しては、大学院で博士を取られて、そのときに登録して、在学中から登録していただいて、その後、卒業した後も連絡するような情報があって、その後、電子メールとかで連絡する、そういうシステムを考えています。ですから、大学院に協力いただいて、博士を取る前の方から登録していくと、そういうことを考えています。

【黒田主査】 
 よろしゅうございますか。
 ほかに何かございますでしょうか。
 NISTEPで非常に大変な作業をやっていただいていると思うんですけれども、SciREXの先ほどのシナリオなりオプションをつくっていく中で、こんなデータがあったらというのは結構ニーズがこれから出てくるんだろうと思うんですね。データづくりといわばデータに対するニーズをマッチングさせるというところで、既に幾つかのところで御協力いただいているわけですけれども、コミュニケーションをとりながらぜひ一緒にやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

【富澤(NISTEP)】 
 はい。

【黒田主査】 
 R&Dのストックのデータなんて、いつごろできそうですか。

【富澤(NISTEP)】 
 産業レベルのR&Dストックについてはほぼ準備ができておりまして、今、その説明のドキュメントとかの用意をしておりますので、近々公開できるというふうに。

【黒田主査】 
 そうですか。ぜひ。ありがとうございます。
 それでは、もう一つの報告に移らせていただきます。RISTEXのほうでやられている公募プログラムにつきまして、よろしくお願いします。

【渡辺(RISTEX)】 
 JSTの社会技術研究開発センターの渡辺でございます。どうぞよろしくお願いします。
 資料5をごらんいただければと思います。公募型研究開発プログラムの進捗状況について御説明させて頂きます。本プログラムは、平成23年度より開始しておりまして、本年度は第2回目の公募を実施しております。本年度4月から6月にかけて公募を行いまして、43件の提案がございまして、そのうちの5件を研究開発プロジェクトとして採択しております。そのほか、企画調査として、2件の採択をしております。
 本年度の採択については、森田総括およびプログラムアドバイザーによる書類選考と面接選考を経て、昨年の10月1日より業務を開始しているところでございます。
 プログラム運営に関しましては、今までに2回公募されたということで、全体で11件のプロジェクトが並行して実施されているところであります。そういうこともございますので、プログラム全体として、プロジェクト間の連携、あるいは情報発信・共有といったことを目的に幾つかの活動を行っております。
 例えば2.まる1にございますように、政策担当者や研究者との間で情報交換というのは非常に重要ですので、意識的にそういうような場をつくるということで、プログラムサロンといった試みとして始めております。各プロジェクトの先生に研究活動の報告をいただいて、その場に政策担当者や関係者の皆さんに集まっていただいて、プロジェクトに対していろいろな意見交換をするということで、非常に有益ではないかと考えており、今後も続けていきたいと思っております。
 次に、2.まる2でございますが、国際ワークショップということで、これも試みではございますが、英国からサセックス大学のStirling先生等がお見えになった機会に、幾つかのプロジェクトに関して、進捗状況を御説明しながら、それに対していろいろな意見を伺うということ、あわせてプログラム全体についても意見を伺うというような機会を設けております。
 更には、本年の2月でございますが、プログラム全体会議を実施しております。これはプログラム総括、アドバイザーとプロジェクトのメンバー、全てのプロジェクトから複数名の方、実際実施されている学生の方も含めて御参加いただいて、今回は75名の参加ということで非常に大規模なものでございますが、そういう方に集まっていただいて、個々のプロジェクトの紹介と同時に、横断的な議論を実施しております。
 その中で特に成果の「実装」に対しての考え方、プロジェクト間の連携、次年度の第3回目の公募をどういうふうに進めていくかということについての意見交換等を行っております。
 今後の予定ですが、予算の成立の時期ということもございますが、来年度の公募につきまして、明後日に開催予定のプログラム会議等において、公募の内容を具体的にどのように実施していくかということについてご議論いただいた上で、募集要項を作成し、公募の手続きを進めていく予定としております。以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 森田先生、何か。どうぞ。

【森田委員】 
 これ、私は質問するというより答える側じゃないかと思いますけれども、今、室長が報告されたように進めております。当初は、本当はこのSciREXのモデルになるようなものがドンと出るというのを期待しておりました。そのためのそれぞれのプロジェクトにおいてはそういう研究もされていると思いますけれども、正直申し上げまして、なかなかオプションを課題から提示するというような形での研究というのは、この規模のファンディングでは少し難しいのかなという気がしていますけれども、可能な限り、それはほかのプロジェクトとの連携することによって、そうした形での政策の提言が出てくればいいなと思っております。3年目は、経験を積み重ねましたので、だんだんそうした期待に沿えるような形での公募をしていきたいと思っております。
 これからの課題も含めてですけれども、今月の初めに合宿をやりまして、75名御参加いただきました。それで、それぞれのプロジェクトから何名かの方が参加していただいて、ほぼ1日かけてディスカッションをいたしましたけれども、それは大変有意義であったと思っております。その中で、私自身の印象で申し上げますと、やはり実際に政策をつくっていらっしゃる実務家の方の批判とか要求にどれくらい応えられるのか。応えられるような形での研究といいますか、そういう方向での研究をさらに進めていただきたいと思っているところでございます。
 3年目、今、お話がございましたように予算が決まり次第ですけれども、そろそろ公募の準備に入るというところでございます。以上です。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 先生方、何か御意見ございますでしょうか。

【桑原委員】 
 これ、タイミングとすると、平成23年にスタートしたものは、今はまだ途中でしょうけれども、25年になるとある程度まとまるものが順次出てくるんでしたっけ。

【渡辺(RISTEX)】 
 プロジェクトの実施期間は、基本的に3年間としております。

【桑原委員】 
 全部3年間でしたっけ。

【渡辺(RISTEX)】 
 はい。

【森田委員】 
 フィージビリティースタディは1年ですけれども。

【桑原委員】 
 そうすると、平成26年度にならないと終わったということにはならないということですか。

【森田委員】 
 最初に採択したものですか。はい。

【桑原委員】 
 うん、初期のものですね。先ほどおっしゃったプログラムの会議で政策実装をやっている方も御参加になったということなんですけれども、もちろんテーマによって、かなり根本的な方法論に取り組んでいるものは途中で中途半端な発表をしにくいというものもあれば、実務的なものである程度のことが途中でも世の中に出せますと、いろいろなケースがあると思うんですけれども、もしそういうものが幾つかでもあれば、平成25年度は3年目に入りますから、もし可能なのなら、やや一般向けの報告の場のようなものを順次設定していただけるといいなと思います。ただ、研究の状況からいって、あまりに中途半端で生煮えだということであれば、無理するとやはり逆効果ですから、そこは御判断にお任せします。

【渡辺(RISTEX)】 
 先ほど御説明しましたように、個別にいろいろな場面で活動等を行っておりますし、テーマ毎等である程度まとめてサロン的なもので発表するというようなことも今現在行っておりますが、もう少し大規模なプログラム全体での活動を見せるような、そういうようなイメージのことでしょうか。

【桑原委員】 
 必ず大規模じゃなくてもいいんですけれども、さっきサロン的とおっしゃったのが、そこに参加できる人が最初からクローズド……。

【渡辺(RISTEX)】 
 いや、ではないので。

【桑原委員】 
 完全オープンですか。オープン・ツー・パブリックですか。

【渡辺(RISTEX)】 
 はい。

【桑原委員】 
 そうですか。

【森田委員】 
 今、桑原さんがおっしゃったようなことは、この間、合宿の後で、外部から参加していた方の中でもちょっと意見が出ました。合宿の段階でいいますと、お互いに何をやっているかということを知り合うということがありまして、共通の疑問点も出てきたというのがありますし、他方では、そういう方法とかそういうやり方があるのか、我々の研究にもそれを反映させようと、そういう形での建設的な認識もあらわれてきたと思います。けれども、それがどうもこの仲間内といいましょうか、こちらに参加していらっしゃる方の中だけですと、ちょっと限界があるのではないかと。その意味でいいますと、もっと外からの方に批判してもらうと同時に、そこでやったものを、今おっしゃったような形で発信をしていく必要もあるのではないか、そういう意見もあったと思います。その辺についても考えていきたいと思いますけれども、一応3年計画でそれぞれのプロジェクトが動いておりますので、どこまで可能かというのはこれからの課題だと思います。

【黒田主査】 
 どうぞ。

【相澤委員】 
 森田先生の総評のところにも書かれておりますが、今回の公募というのは、必ずしも公募の趣旨とするところにぴったり合った形で応募があったというふうに思えないことが起っている。ここは極めて重要ではないかと思うのですね。合わないことが、応募してくる方々の理解不足というか、あるいはその方向性にまだ照準がきちっと合っていないという観点なのかはともかく、現段階ではいろいろな角度からの提案があって、そして、その中からいろいろな形が見えてくるという段階ではないかと思います。その辺のところは具体的にはどんな実態なのでしょうか。

【森田委員】 
 最初私たちは、こういう研究を期待していると具体的にはないんですけれども、今の言い方をしますと、政策のオプションを提示するような形で結びついてくるような成果を出せるような、そういう形の研究をある意味で期待していたというところがありますけれども、実際に応募された研究は必ずしもそれだけではなくて、ある程度特定の課題に取り組んだり、あるいはもっと大きな課題であるとか、いろいろありました。その中には、確かにこれも重要な要素だなと私たちのほうがそういうふうに思ったところもございます。
 いかんせん、これ、この推進委員会でもそうですけれども、最初に政策のための科学って何なんだというのが必ずしもかたい形で共有されていなかったと思います。こちらのほうも随分工夫をして公募の募集要領とかを出しましたけれども、やはりその辺についてのイメージがいろいろありまして、それが1年目はかなり広いものだったと思います。私たち、もうちょっとこういうのがあってもいいんじゃないかなというのが十分なかったですね。今も言いましたように、こういうのもあるのかというのはあったりしましたけれども。2年目に関しては、もう少しそれを絞り込むという形でだんだんイメージが固まってまいりましたし、3年目はさらにそれが固まったということでございます。
 おっしゃるように、応募していただけませんと、応募案件の中でしか選べませんので、最初の発信、どういうものをこちらは期待しているかというメッセージは非常に重要だと思っております。

【黒田主査】 
 私もこの間合宿に参加しまして非常におもしろかったと思うんですが、SciSIP全体が、この資料1にあります、問題発見からオプションをつくって、合意形成をしてぐるっと回すというサイクル全体にかかわるものですから、おそらく公募のプログラムはこのいろいろな局面の課題が今、取り上げられているんだろうと思います。そういう意味で、それをどうやって例えばオプションづくりのところにつなげていくかというのは、成果をもう少し、こちらのニーズをはっきり伝えることもこれは必要だろうという気がします。
 RISTEX自身は何か実証的なことというか、実装実験ということをほかのプログラムなんかでもいろいろ言われているわけで、それは必要なんですけれども、中には、データをつくるということとか、オプションづくりの方法論をやるとかいうような研究もありますので、そういうものは実装に結びつけるというところまではいきなりはいかない。それはむしろこちらが吸い上げなければいけないというのがあるんだろうと思います。
 よろしゅうございますか。

【森田委員】 
 プロジェクトを4年間公募するということですけれども、折り返し地点に来ました。けれども、これからは少し着地点を見ながら進めていきたいというふうに思っています。ただ、最初は、例えば最初の募集要項に少し書いてあったんじゃないかなと思いますけれども、東日本大震災がございまして、それに関連するような具体的な政策課題というのは社会的にたくさんあったものでございますから、それに対して何らかのコントリビュートをするような提案がかなりあるのではないかなと思ったんですけれども、実際には非常に少なかったとか、そういう意味でいいますと、私たちのほうの認識と、研究者、応募された方の思いに多少ずれがあったのが、それが少しずつは修正されてきていると。

【黒田主査】 
 よろしゅうございますでしょうか。
 どうもありがとうございました。きょう御討議いただく課題は以上でございます。いただいた宿題は、もう少しきちっとした形で次回報告をさせていただきたいと思います。
 では、事務局のほうからスケジュール等を。

【山下室長】 
 次回の推進委員会の日程でございますけれども、現在、先生方にお諮りしてございますが、一応、3月の下旬ということで考えさせていただきたいと思います。1か月少しでございますけれども、いただいた宿題をきちんとこなして、御報告できるように、御相談できるようにしたいと思います。以上でございます。

【黒田主査】 
 どうもありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 それでは、きょうの会議はこれで閉じさせていただきます。どうもありがとうございました。

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