資料4−5

各研究機関における公的研究費の管理・監査の実態把握のための現地調査の実施について(案)

1.現地調査の実施について

 「各研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」(平成19年2月15日文部科学大臣決定)(以下、「ガイドライン」という。)の第7節「文部科学省による研究機関に対するモニタリング、指導及び是正措置のあり方」において、以下のことが記載されていることを踏まえ、各機関の御理解を得ながら現地調査を実施します。

・ガイドライン第7節(1)基本的な考え方(実施上の留意事項)1

 従来も資金配分機関により額の確定現地調査やその他の確認が個別の競争的資金等で行われている。文部科学省等(注1)はそれらの手段を有効に組み合わせて、研究者及び研究機関の負担を可能な限り増やさずに効率的・効果的な検証を行うよう努める。

  •  (注1)文部科学省及び文部科学省が所管する資金配分機関である独立行政法人

・ガイドライン第7節(2)具体的な進め方(文部科学省等や研究機関が実施すべき事項)3

 文部科学省等は、2の報告書に基づく確認以外に、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等により対象を選定して現地調査を行い、体制整備等の実態把握を行う。

・ガイドライン第7節(2)具体的な進め方(実施上の留意事項)3

 評価、改善指導や是正措置は基本的に機関全体に対して行われるべきであるが、具体的な問題点を把握するために、いくつかの部局を選び、現地調査を実施し、機関全体の体制整備等の状況について評価する際の判断材料とする。

2.現地調査の実施方法について

(1) 実施に当たっての基本方針

 現地調査の具体的な実施方法の検討に当たっては、上記ガイドラインの内容を踏まえて、以下の事項を基本方針とします。

  • 1 現地調査は、ガイドラインに関する理解を深めていただくとともに、各研究機関における体制整備等の現状、実態の把握を目的に行います。報告書の内容で問題があると考えられる点について調査することを主たる目的として行うものではありません。
  • 2 現地調査は、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等により行います。
  • 3 現地調査の実施が、当該調査対象機関にとって、調査対象でない機関と比較して著しく有利又は不利になるというものではありません。
  • 4 現地調査の実施に当たっては、文部科学省が所管する資金配分機関である独立行政法人(科学技術振興機構(JST)、日本学術振興会(JSPS))に協力をお願いします。

(2) 実施方法

 現地調査の方法は、当面(注2)、以下のとおりとします。なお、現地調査の目的・趣旨に照らして、資金配分機関による額の確定調査時に確認するなど継続的に現地調査を行います。(年間100機関程度の調査を予定。)

  •  (注2)報告書提出時(平成19年11月15日)〜報告書の分析時(平成20年2月頃)までの間
  • 1 当面の調査対象機関数は、30機関程度(1週間につき4機関かける7週間)とします。
  • 2 調査は、調査対象となる機関と調整の上、平成20年1月〜2月頃に行います。
  • 3 調査は、文部科学省担当官等3〜4名程度(必要に応じてJST、JSPSに協力をお願いします。)が研究機関を訪問し、最高管理責任者等からのヒアリング等により行います。
  • 4 調査は現状把握、実態把握が目的であることから、以下の内容を基本に当該研究機関における公的研究費の管理・監査の現状について確認します。
    • ア)最高管理責任者等から、ガイドラインへの取組状況全般、体制の整備に当たっての問題点や課題と今後の取組予定、報告書の特記事項等について伺います。
    • イ)防止計画推進部署等の担当者から、例えば、検収センター等がどの様に機能しているのかなど発注・検収業務の現状や、不正を発生させる要因の把握と不正防止計画の策定に向けた検討状況や取組予定などについて伺います。
    • ウ)内部監査の担当者から、監査の実施状況について伺います。その際、幾つかの研究課題の経理管理に関する証拠書類を確認させていただきます。
      • (注)科学研究費補助金では、従前から内部監査が義務付けられています。

3.調査対象機関の選定について

(1) 調査対象機関の選定方針

 今回の現地調査は、資金配分額の多い機関を中心にサンプリング等により30機関程度を選定して行います。選定に当たっては、以下の点を考慮して行います。

  • 1 資金配分額や件数(研究課題等数)の多い機関
  • 2 国・公・私立大学、高等専門学校、大学共同利用機関、独立行政法人の研究所等、民間企業、財団法人・社団法人等というような研究機関の種類別のバランス
  • 3 過去において研究費不正使用問題を処理した経験のある機関など

(2) 調査対象機関の選定方法

 今回の調査対象機関は、文部科学省等の配分する競争的資金の平成19年度予算額の約50パーセントを占めている科学研究費補助金の当初配分時のデータを参考に、上記の選定方針を踏まえて以下に示す数を選定します。

(調査対象機関)

  調査対象機関数 備考
1国立大学 16機関
  • 大学の規模のバランス
  • 過去に研究費不正使用問題を処理した経験の有無
2公立大学 3機関
3私立大学 8機関
4上記以外 3機関
30機関  

(参考)

 平成19年度科学研究費補助金の採択件数が100件以上かつ配分額(直接経費)の合計額が1億円以上の研究機関数の概要は以下のとおり。

  機関数 配分総額(注3) 割合A(注4) 採択件数 割合B(注5)
国立大学 58 141,663百万円 74.1パーセント 35,547件 72.1パーセント
公立大学 10
私立大学 23
大学共同利用機関 1
独立行政法人 5
企業、財団法人等 1
98  
  •  平成19年度科学研究費補助金 機関別採択件数・配分額一覧(新規採択たす継続分)に基づく整理
  • (注3)配分総額は、該当機関における直接経費と間接経費の総額
  • (注4)割合Aは、平成19科研費予算額に占める割合
  • (注5)割合Bは、平成19科研費当初採択件数に占める割合

4.今後のスケジュールについて

〜11月頃 現地調査に当たって、各研究機関で確認する事項(調査事項)等の整理
12月頃 調査対象機関への連絡、日程調整
1月〜2月 現地調査の実施 (3月以降も継続的に実施)