資料4−2

報告書における各研究機関のコメント等について

1 特色ある取組みに関する記載例

○ 研究費の使用等にかかる運用に関する取組み例

  •  管理・監査体制の整備に当たって、競争的資金に限らず、全ての教育研究経費を対象として、検討を進めた。(複数の大学)
    • 全ての「教育研究経費」の場合、全ての「公的研究費」の場合、「全ての外部資金(共同研究、受託研究を含む)」の場合など様々なパターンがある。
  •  科研費の繰越の活用について、総長及び研究担当理事のリーダーシップの下、積極的な繰越制度の促進広報活動を学内・学外に行い、大幅な繰越申請が行われた。(大学)
  •  大学による立て替え払い制度を導入した。(大学)
  •  全ての研究費の管理を事務局で行い、教員発注を全面的に禁止した。(大学)。
  •  出張に関し、事前に計画を事務に申請させ、必要性を事務が判断の上、許可。出張後も必要な書類等をもれなく提出を求める。(大学)
  •  人事異動時期を7月に移行し、年度末の教育研究費の管理の安定化を図った。(大学)
  •  有期契約職員の勤務把握については、業務報告を兼ねた「競争的資金による雇用職員に係る出勤簿」を勤務開始前に事務部から受け取り、勤務終了後、事務部に返却させるなど勤務事実の確認を徹底することとした(大学)
  •  科研費の監査については、役員会の意向を受け、重点項目を設定し、それに限っては交付課題全件監査を実施している(大学)
  •  任意に抽出した数件の外部資金(特に研究課題が同種のもの)について、当該研究分野に関する専門の教員等を含む特別チームによる特別監査を実施することにした。(大学)
  •  学長裁量経費で財務会計システムのカスタマイズを行い、予算執行状況の確認などの改善を図った。(大学)
  •  新しい会計システムの導入を検討している。(大学)
  •  公的研究費の申請から成果報告までの研究活動にあわせ発生する業務・情報(研究費申請・採択、経費支出、物品発注、監査、アルバイト管理、成果報告等)を網羅的、一元的に把握できる「研究サポートシステム」の構築を行っている。(大学)
  •  単価契約への移行を検討している。(大学)
  •  多くの研究者が外国人であり、ガイドライン及び関係規程等は英訳し、日本語と英語バージョンの両方を作成し、公平性を確保している。(大学)
  •  検収について、各キャンパス内に検収実施箇所を複数設置した。(大学)
  •  科研費補助金の内部監査の件数を30パーセントを対象にして実施し、内部監査を強化した。(独立行政法人)
  •  15分単位で従事内容を電算システムに記録しており、このデータは業務の重複記録を排除。したがって、複数の研究事業を実施している研究者の労務管理を適切に行うことができる(財団法人)
  •  全事業について、番号で識別し、各担当者が業務フローに従って適正な管理をしている。また、工数、予算執行等の進捗状況を電算システム上でリアルタイムに管理し、また、共有情報として公開している。(財団法人)
  •  科研費に関する規定の整備を行ったが、関係規定が複雑であるため、マニュアルの作成をはじめ、関係フロー図や一覧表を作成し、職員が理解しやすいように努めた。(公立試験研究機関)

○ 組織の整備に関する取組み例

  •  研究費の管理・監査体制の整備に向けて、学内にワーキンググループ等を設置し、検討を行った。(複数の大学)
  •  学外の有識者も含めた「研究費不正防止推進会議」を設置した。(大学)
  •  告発窓口の窓口を広げるため、受付窓口を学内2カ所と学外1カ所(法律事務所)の3カ所に設置した(大学)
  •  間接経費の活用などにより、再雇用、派遣職員を活用し、納品検収に関する要員の充実を図った。(複数の大学、独立行政法人)
  •  試薬や薬剤など専門的知識がある物品検収員を配置(大学)
  •  大型外部資金で複数研究科にまたがるものは、関係教員・担当事務職員が定期的に連絡会を設け、実施計画や進捗状況の報告、ルールの周知を行っている。(大学)
  •  コンプライアンス室を設置している。(複数の大学)
  •  コンプライアンス室や監査部門の人員の充実を図った。(複数の大学、独立行政法人)
  •  監査室の設置にあたって、室長を学内公募で課長級職員を充てた。(大学)
  •  外部資金のみの契約を担当するグループを設置し、外部資金に対する責任体制を明確化した。(大学)
  •  間接経費などを活用して、科研費など外部資金の運営・管理機能の強化のための人員を拡充した。(複数の大学、独立行政法人など)
  •  会計アドバイザー(監査法人)を置き、科学研究費補助金等の運営・管理における内部統制の設計、運用、是正・改善について助言を受けている。(大学)

○ 学内の意識向上・職員の資質向上等に関する取組み例

  •  研究費に関するマニュアルやガイドブック、ハンドブックを作成した(複数の大学)
  •  学内でのアンケートやパブリックコメントを実施した。(複数の大学)
    •  全教職員を対象としたアンケートの実施も散見される。
  •  学内での理解を深めるための説明会への、競争的資金交付対象者の参加の義務化を図った。(大学)
  •  戦略イニシアティブ推進機構を設置し、専門知識を有する職員の養成、配置を図っている。(大学)
  •  他大学の優れた取り組みを検証し、有効なものは積極的に取り入れ、可能な限り実現できるよう検討を進めることにしている。(大学)
  •  パソコンにより実施できるWEB−CTを活用し、一人一人に実効性のある研修等ができるよう検討している。(大学)
  •  不正防止計画推進部署の議論は最高管理責任者に報告され、一方最高管理責任者より他大学の例が情報提供された。(大学)
  •  内部監査の過程で発見された問題点等を下に、研究実施部門等に広く関わりのあるコンプライアンス事例として一問一等形式のQアンドAとしてとりまとめ、監査室の所内イントラに掲載し、所内に周知徹底している。(独立行政法人)
  •  研究実施部門等に対して内部監査に出向いたときは、予算執行の最高責任者であるユニット長に対して、問題事例等についての説明や意見交換を行い、類似事例を防止している。(独立行政法人)
  •  監査室員に日本公認会計士協会の内部監査士の資格を取得。異動後においても、当該資格を生かし組織のリスク低減のリスク低減に寄与している。(独立行政法人)

○ その他

  •  クレームに真摯に対応するなど、公益法人として適正な事業の推進に努めている(財団法人)
  •  担当理事、監事、監査室及び会計監査人の4者が定期的な会合を開催し、相互の情報を共有することにより、監査が効率的・有効的にできるよう連携を図っている。(大学)
  •  研究活動に係る不正行為に関する通報が学長に速やかに転送され、学長主導の調査が行える体制を構築している。(大学)
  •  それまで未対応であった研究行為の不正への対応についても包括的に検討した。(大学)
  •  ガイドラインへの対応をホームページに公表している。(複数の大学)
  •  教員と職員の距離が非常に近いため、様々な場所でコミュニケーションの機会が確保できている。(大学)
  •  小規模な大学であることを生かし、最高管理責任者までの伝達を敏速、機動的に対応している。(大学)

2 文部科学省に対する意見・要望・感想の例

○ 総論

  •  学内教職員に対しても、不正防止を体系的に周知し、啓発を図る上で重要な手だてとなった。(大学)
  •  規模の大きい大学では、大学本部がすべきことは、各部局の実情にあったルール策定のため、最低限守るべきルール、方針を示すべきではないかと考えている。(大学)
  •  科研費の申請時期と重複するような報告書の提出期限の設定は、事務作業が集中してしまうので配慮してほしい。(大学)
  •  単科大学であり、組織を多く作れないが、それがかえって問題が起きたときに多くの組織を経由せずに済むため、情報が早急かつ適切に最高管理責任者につたわるメリットであると思われる(大学)
  •  研究費の不正使用に対応するガイドラインの分野だけでなく、大学全体としての内部統制の在り方の視点から常に検討していきたい。(大学)
  •  小規模研究所にとって負担の重い内容となっている。不正使用が減らない実態ではやむを得ないと考えているが、大規模も小規模も徹底指導ということではなく、自己責任の徹底と不正使用の罰則を強化し、一部の不心得者による影響で研究に充当すべき限られた資産を他に回さねばならない状況をなくして頂きたい(財団法人)
  •  弊社のような小さな組織は多数の教職員を抱える研究機関と同じような管理・監査システムを構築することは不適正であり、小規模な組織に適したシステムを構築していきたいと考えている。(民間研究所)

○ 研究費のルール・制度改善等に関すること

  •  予算規模の小さな研究費制度を適切に統合するなど、公的研究費制度の数や使用ルールの数そのものを減らし、研究機関の事務手続きのルールの一体性を確保しやすい環境を醸成することが重要ではないか。(大学)
  •  競争的資金制度のルールの統一化を図るべきではないか。例えば、「使用できる経費」と「使用できない経費」のメルクマールを検討してほしい(複数の大学)。
  •  配分機関側においても各競争的資金間で用語の定義、表現を含めた使用ルールの統一を図ってほしい。(大学)
  •  間接経費の拡充を図って頂きたい。(複数の大学)
  •  競争的資金の応募・内定等の連絡方法の簡略化・統一化を図ってほしい。(大学)
  •  配分機関においても交付時期の早期化などについて検討を要望したい(複数の大学)。
  •  配分機関によって予算執行の期限が異なっており、複数の競争的資金を管理するに当たって年度末の事務手続きが煩瑣となっている。今後はe−Radなどを通じ、配分機関間の執行ルールの統一化に対応頂きたい。(大学)
  •  競争的資金は原則単年度での使い切りとなっており、柔軟な運用ができない。予算の編成において債務負担行為などによる一定期間の間で使える制度を構築して頂きたい(大学)
  •  競争的資金と競争的資金以外の資金が分かるようにしてほしい(大学)
  •  少額の消耗品費でも相見積もりが必要になり、拒否され、調達に支障が出ている。(大学)
  •  管理体制の強化維持のための経費については大学としても対応してきたが、全ての研究費に間接経費を措置するなど対応をお願いしたい。(大学)
  •  年度越えの手続きを配分機関のレベルで決裁できるように、また決裁がおりた場合、繰越金を一度国庫金へ戻し入れすることなく、各研究機関で保管できるようにするなど、制度の柔軟化を図って頂きたい。(大学)
  •  科研費に限らず一律に、研究費の残金を継続研究の場合は一定程度額を無条件に近い形で繰越ができるようにしてほしい。一定額以上についても許可制で繰越ができるようにしてほしい。これが預け金による不正使用改善の重要なポイントである。(大学)
  •  研究費繰越分を合算して複数年度で決算できる方法の検討を強力に推進して頂きたい。(大学)
  •  資金別ルールの統一化を図ってほしい(使用方法、費目間流用の制限、報告の仕方等)。できる範囲でかつ使い勝手のよい方向で統一して頂きたい。(大学)
  •  科研費には、年度末合算の例外ルールがあるが、対象をすべての研究費としていただき、また残金1万円という制約を緩やかにして頂きたい。伝票操作など不適切な処理をなくすのに有効だと思われる。(大学)
  •  費目流用の上限について緩和して頂きたい。(大学)
  •  科研費の分担者が他機関に所属している場合は、他機関の職員に納品検収を依頼しているが、現実的ではないため、統一的な取扱いを検討頂きたい(大学)
  •  架空伝票防止のため、単品毎に検印を行っているが、その事務量は膨大、煩瑣であり、要員コストも増加。電子的な仕組みの導入により事務処理の省力化を図るべきであるが、会計検査院等の検査に対応するため全て紙媒体で保存する必要があり、抜本的改善ができない。(大学)
  •  ガイドライン第3部の提言が実現されることを望む(大学)

○ 報告書の取り扱いに関すること

  •  全国の研究機関の取組・参考となる事例等に関して、集計後に情報提供してほしい。
    (複数の大学)
    例えば、
    −その規程や特色に応じて適正な体制を構築するための参考事例
    −不正対策を講じつつ、経済性・効率性を両立している好事例など

○ ガイドラインに関すること

  •  小規模な研究機関では、ガイドラインに示されたような体制整備は困難。(複数の大学など)
  •  小規模で創設間もない大学であり、国が求める体制作りにはもう少し時間が必要である。(大学)
  •  極めて多くの大学で対応困難な事項や課題として挙がっているものについては、ガイドラインの見直しを考慮に入れたフォローアップを検討すべき(大学)
  •  体制整備を図り、外部に公表することは、社会に説明責任を果たすという観点から、ガイドラインは非常に意義がある。(大学)
  •  管理監査体制の整備は社会的な責任を果たしていく上で大きな位置を占めつつあることは当然のことであると考える(大学)
  •  適正な管理・監査は至極当然であるが、ガイドラインの趣旨にのっとった管理監査を完全実施するには相当の時間を要するので順次着実に行っていきたい。(複数の大学)
  •  先行する他大学の取り組みを参考にして改善していきたいと考えている。(複数の大学)
  •  大学が取るべき対応の全体像が見えてきたと考えている。(大学)
  •  ガイドラインに沿ってルール等整備することで、内部統制がより機能する体制整備が図られた(大学)
  •  ガイドライン等の強化により、研究者と事務職員の連携が図れ、担当事務職の雇用等が見込まれより強固に事務が推進できる。(大学)
  •  今後のためにはガイドラインに沿ったルール作りをするよい機会であるが、全てを網羅することは困難である。(大学)
  •  ガイドライン全般に謳われた点に関して、全てが明確に体系化・明文化されていないのが実状である。少人数体制ではあるが、機関としてガイドラインに沿ったないようで規則等を整備を予定している。(民間研究所)
  •  モニタリングについては他大学の例も参考にしながら体制の整備を図り実施したい(大学)
  •  法人化時の説明の相違から議論を始める必要があり、実態に合った取扱をするための周知期間がほしい(大学)
  •  学内の意見は「研究が遅れる・進まない」、「研究の効率が悪くなる」、「教職員の事務負担が増える」などの消極的なものが大半であった。体制整備を進めているが、ある程度の基準(教官発注を認めた場合の金額、旅行の確認方法、謝金の確認方法)等が示されれば一層の参考になったと思う。(大学)
  •  ガイドラインへの対応で教員から現状を変えることへの抵抗も大きく学内の理解を得るには時間を要する(特に発注・検収)(大学)
  •  ガイドラインの体制整備が研究費配分にどうつながるか関心がある(大学)
  •  ガイドラインに書かれたことは重要で、完全なる実施に向け努力したいが、事務職員が県職員であり、事務が分かり始めたころに異動という現実がある。(大学)
  •  科学研究費補助金が公的資金であることを研究者に認識させるため、今回のような体制整備は必要不可欠であり、半強制的にでもガイドラインにより実施せざるをえないこととされたことは研究機関としても感謝すべきことと思う。(大学)
  •  理解度を測定するためのアンケートのひな形がないか。(大学)
  •  小規模な単科大学では設置窓口や担当が一カ所に集中してしまう体制にならざるを得ない状況である。(大学)
  •  ガイドラインの項目中にはその実施によりいたずらに事務処理が煩瑣となり研究遂行の阻害要因となるもの散見される。形式的制度化により、かえってルールと運用の乖離が生ずるおそれがあると思料されるので、これらの項目については一定時期に見直しが実施されることが必要であると考える。(大学)
  •  締め付けることが優先されるとなると、結果として研究に対する萎縮につながってしまうこともあり得るのではないか。(大学)
  •  ガイドラインの対象は全機関となっているが、どちらかというと比較的規模が大きく、関係者も多い機関を想定しているように感じられる。(複数の民間研究所)
  •  組織が単純で関係者が少人数のところは個別の緊密な対応で不正は防げるものと確信している。(民間研究所)

○ その他

  •  未収金の確認を行うことが納品漏れ、癒着防止に効果があるのではないか(大学)
  •  他の大学の事例を参考にした。ただ、あまりに膨大で、教職員が日常的な行動規範として対応できるか心配であった。本学においては、運用して問題点が発生したらその都度協議と言うことにした。(大学)
  •  会計検査院の指摘を受けて、返還となった場合の財源の工面の問題は大きい。事務職員のミスということだけですまされては、事務職員のモラール低下につながるおそれがある。(大学)
  •  科研費や21世紀COEなどは、個人補助となっているが、機関管理が義務となっており、実態にそぐわないのではないか(大学)
  •  来年法人化を予定しており、各種規程の再整備が必要になってしまう。(大学)
  •  通常各種資金の並列管理は多大なコストを要するものだが、当社は平成18年度までにこれら管理機能をもつ社内基幹業務システムを4億円以上かけて整備、運用している。これによって、厳正な経理処理、責任分担体制の明確化が可能になっている。(民間研究所)
  •  研究代表者は民間企業の取締役であり、規則には明示していないが、当該企業の行動規範、コンプライアンス規程に準じた対応としている。(民間研究所)