研究開発評価推進検討会(第46回) 議事要旨

1.日時

平成30年8月27日(月曜日)13時00分~16時00分

2.場所

文部科学省15階 15F1会議室

3.議題

  1. 研究開発評価推進検討会の運営について
  2. 座長の選任及び座長代理の指名について
  3. 平成30年度の研究開発評価推進検討会の活動について
  4. 研究開発評価研修プログラム教材を使用した研究開発評価人材育成研修等
  5. その他

4.出席者

委員

林座長,小湊座長代理,安藤委員,伊地知委員,遠藤委員,嶌田委員,高橋委員,花田委員,丸山委員

文部科学省

勝野科学技術・学術政策総括官,井上企画評価課長,工藤科学技術・学術戦略官(制度改革・調査担当),國分企画評価課長補佐,菊池企画評価課評価・研究開発法人支援室主任

5.議事要旨

 審議に先立ち,事務局より資料1に基づいて委員の紹介が行われた。

議題1 研究開発評価推進検討会の運営について

 事務局から資料2に基づき説明が行われ,資料2の運営要領について了承された。

議題2 座長の選任及び座長代理の指名について

 運営要領に基づき,委員の互選により林委員が座長に選出された。
 また,林座長の指名により小湊委員が座長代理に決定した。

議論3 平成30年度の研究開発評価推進検討会の活動について

 事務局から資料3の概要の他、参考情報として机上配布資料「平成30年版科学技術白書」及び「科学技術指標2018」について説明が行われ、平成30年度の活動スケジュールについて了承された。各委員及び事務局の主な発言は以下のとおり。

【事務局】
 各種データを紹介したが昨今の日本の科学技術力が相対的に低下していると言われている。今年度の研究開発評価推進検討会においては、こうした状況を踏まえ、研究力の向上や研究者の育成に資する研究開発評価についても御意見・御助言いただきたい。また、「研究開発評価実務者のスキルアップのためのワークショップ(仮称)」については昨年度から検討してきたところであるが、今年度は試行的な実施方法についてより具体的に検討していきたい。

【林座長】
 本検討会は今年度4回予定されている。最初の2回で「研究開発評価人材育成研修(初級)(案)」及び「研究開発評価実務者のスキルアップのためのワークショップ(仮称)(案)」の実施方法等を議論して、10月下旬以降は別途実施している「研究開発評価推進委託事業」の途中経過の情報が逐次上がってくるのでそういう情報も使いながら3、4回目は研究力の向上、研究者の育成の話も含めて議論を展開していきたい。

【高橋委員】
 今年度の検討事項に掲げられている、研究力の向上や研究者の育成に資する研究開発評価というテーマは重要だがなかなか難しい。これまでに実施され評判が良かった事業を参考にするのもよい。例えばヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)は若手人材育成に効果があったプログラムとして研究者コミュニティーから一定の評価を得ていると聞く。研究者の育成に資する評価を考えるときに良い事例となるかもしれない。

【遠藤委員】
 我が国の論文の数が減っているという現状については、我が国の大学等で資金が伸びない中でこれだけの研究成果をだしているというような見方もできる中で、ネガティブに評価してしまうことによってマイナスな印象を持たれるかもしれないという懸念も感じている。ある例を取り上げることによって、ほかの例が捨象されてしまう、あるいは多くある例から限られた幾つかのみを取り上げることによって他の例が重要でないと受け取られないように注意するべきだ。

議題4 「研究開発評価研修プログラム教材を使用した研究開発評価人材育成研修等について」

 平成29年度研究開発評価推進委託事業「研究開発評価研修プログラム教材の改定に係る調査・分析」の受託者である(公社)未来工学研究所の担当者田原氏から資料4に基づき研究開発評価人材育成研修への活用方法の説明が行われた。続いて事務局から資料5及び6に基づき研究開発評価人材研修の実施方法案について説明された後、意見交換が行われた。

【田原氏】
 今回のテキストでは、研究開発の現場ではプログラム評価を含めて評価の意義がなかなか伝わらない、必要性が伝わりづらいという状況があることを踏まえて、テキストの随所に評価の必要性や意義を繰り返し、大綱的指針と他の関連法案、法人評価、大学評価等の関係を明確化した上で機関ごとの評価のポイントを解説した。研究開発評価の研修方法案として次のように提案する。まず、研修の基本システムとしては多様な組織の人たちを相手にするので、事前にテキストの該当部分を読んでいただいて講義とグループワーク対話後、一度組織に持ち帰って自分の組織に適用した上で再度それを持ち寄って検討結果を共有し理解を深めるという研修(資料4 18ページ)と、これまで文部科学省で行ってきた研修を踏襲する形で、更にケース教材を取り上げて評価基準、評価項目や評価体制の優れた点や完全点等をグループワークで議論するというような研修(資料4 19ページ)。

【林座長】
 今回の提案内容及びこれまでこの検討会で行ってきた研究開発評価人材育成研修を総括しながら、テキストを活用した3年分くらいの研修方法を議論していきたい。

【伊地知委員】
 この「研究開発評価プログラム教材」と、この研究開発評価人材育成研修の対象者には若干のずれがある印象がある。受講者の所属を考えたとき大学からが多いが、独立行政法人・国立研究開発法人からもあり、資金配分機関について言えば、外部評価者にも研究開発評価についてよく認識してもらう必要がある。また、評価と言った場合に、評価を行う側と評価を受ける側とがある。評価を受ける側と言っても、法人評価の対象である法人のように、被評価者でもあり自己点検・評価としての評価者でもある。また、プログラム評価と機関評価の関係で「国の研究開発評価に関する大綱的指針」の流れからするとプログラム評価と機関評価は別物だが、機関評価とは広い意味ではプログラム評価の一部であって、研修の受講者にはそこを理解してもらうようにしないと教材全体との整合がとれない。そういう観点を受講者に認識してもらうことができるような教材とすることが重要である。

【林座長】
 プログラムレベルの話とプロジェクトレベルの話があるが、研究開発評価人材育成研修(初級)については本日、大体の方向性を確認しておきたい。研修の対象者は大学、独立行政法人・研究開発法人、大学共同利用機関の係員か課長補佐クラスを対象として田原さんの提案では合計2日程度で1回ワンクッションをいれるという御提案があった。先ほどの伊地知委員の御発言のとおり、評価を作る、評価を設計する側と評価を受ける側ということとなると、初級研修は評価を受ける側に一致してくると思うが、一方で評価をする側の設計もしなくてはならない。評価をする側、評価を受ける側が全く違う講義を受けるという形よりは、講義をする者がウェイトの問題としてテキストをそれぞれかみ砕いて説明するという形になるのではと思うが、いずれにしても評価は組織のマネジメントにも関する話であり、どういう目的で行われているのかは理解してもらえるような研修である必要があり、評価における文脈(例えば今の科学技術の中ではイノベーションが重視されている等)と目的の理解というところは重視しなければならない。

【花田委員】
 評価を受ける側、評価をする側という観点も大事だが、受講者たちの立場を考えたとき、評価制度全体がどうなっていて、自分たちが担当している業務がどこに当たるのかということをともすると忘れがちになってしまう。この研究開発評価人材育成研修においては全体像がわかるものがあるといい。

【林座長】
 政策の文脈、評価の目的、そして評価の大枠を冒頭の講義で、次にロジックモデルのワークショップをしながらプログラム評価を学ぶという構成でいいか。

【嶌田委員】
 この研究開発評価人材育成研修を行うときに、受講者に何を持って帰ってもらうのか、大学の方、独立行政法人・研究開発法人、資金配分機関等いろいろな立場の方いる中で、共通して必要な知識とか用語の意味とか研究開発評価のコンテクストみたいなものがある程度わかるようになって帰ってもらう必要がある。時間に限りがあるのである程度事前に勉強してきてもらうのもいい。

【林委員】
 テキストは事前に読んできてもらって、ただ一度に十分な理解はできないだろうから、講義と実習でもう少し定着させる。

【田原氏】
 それぞれ所属する組織が違って、求められる評価も違う。その中で、自己点検評価のようなものを行う必要があって、それが自分たちの事業の遂行の改善や研究開発マネジメントをやるための必須スキルだと、評価の要諦をきちっと実感してもらうというのがこの研究開発評価人材育成研修では大事だと考える。その意味ではロジックモデルは非常に仮説思考型というか、目的に対してどうアプローチしていくのかということを論理的に整理していくやり方なので、研修としては組織に持って帰れば何かの役に立つなという気づきの機会にしてもらえればよいのではないか。

【小湊座長代理】
 機関内の資金面を含めた資源配分でそれが一体何のために行われているかというのは、高邁(こうまい)な目標を立てていても、5年後、10年後に結果がどうなっていて欲しいのかという議論は余り聞かない。それは掲げた目標がそもそも曖昧で検証しにくいということに大きな理由があって、研修ではそこのところを、事例を使ってこういうやり方があるのかと知る機会にしてもらい中長期的にパフォーマンスをどう上げていくのかを考える際のベースになり得ると思ってもらえるといい。

【林座長】
 短い時間の中でどういう視点を入れ込んでいくのかという整理は事前にしっかりした方がいいが、大きな方向性としてはこれまでのロジックモデルワークショップを継承して、詳細を追って詰めていくこととする。研究開発評価実務者のスキルアップのためのワークショップについては十分な議論はできなかったが、次回以降継続して議論する。

議題5 その他

 事務局から平成30年度研究開発評価推進委託事業の進捗状況と平成29年度研究開発評価シンポジウムのアンケート結果報告があった。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室)