研究開発評価推進検討会(第44回) 議事要旨

1.日時

平成29年11月1日(水曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. 平成29年度研究開発評価人材育成研修(初級)について
  2. 平成29年度研究開発評価シンポジウムについて
  3. 研究開発評価実施者のレベルアップのための活動の方向性
  4. 平成30年度研究開発評価委託事業のテーマについて
  5. 評価活動の成果普及・評価に関する課題の状況調査等について
  6. その他

4.出席者

委員

林座長,小湊座長代理,安藤委員,伊地知委員,遠藤委員,栗本委員,嶌田委員,高橋委員,花田委員,丸山委員

文部科学省

松岡企画評価課長,國分企画評価課課長補佐,菊池企画評価課評価主任

5.議事要旨

議題1 平成29年度研究開発評価人材育成研修(初級)について

 事務局から資料1に基づき説明が行われた。各委員からの主な発言は以下のとおり。


【林座長】
 メインの議論は、ワークショップのところと思うが、テーマをどうするか。大学の3類型のように、機関を3つの類型に整理して、機関の目的であるとか、戦略であるとか、そういうことを考えて、そこから理想的な像と現在の状況との距離を把握するという、SWOT分析のような形で把握してロジック・モデル作成のワークショップを行うのはどうか。

【伊地知委員】
 機関を3類型で整理するとしても、研究開発評価推進検討会が担う研修であるこの研修では、研究開発あるいはイノベーション創出に関わるところにフォーカスすべき。

【安藤委員】
 機関を3類型で整理し、機関レベルのロジック・モデルを作成するということだと思うが、前回の研究開発評価人材育成研修(初級)のアンケートでは、研究プロジェクト単位の要望もあったので、そのギャップをどう埋めるかについても検討するのがよいのではないか。また、大学をテーマにしたもので独法の方々のニーズに応えられるのか、懸念される。

【林座長】
 国立研究開発法人や独立行政法人は、研発法人・独法の受講者同士でグループを作り研究プロジェクト単位で実施することは可能かもしれない。研究プロジェクト単位では例題が何か考えられるか。

【嶌田委員】
 大学だと規模によって事務職員の業務も大きく異なっていて同じレベルでは語れない。昨年も機関単位でやるか、プロジェクト単位でやるか、というような決め打ちはあまりしないで、臨機応変に対応した。

【小湊座長代理】
 何らかのケースをある程度設定して、そのケースの中でどういうことが行われて、どういう制約があって、結果どうなったか。それに対してロジック・モデルを組み立てながら、その評価のプロセスをもう1回、追っていくことで、次の理想的なやり方なり、手順なりを考えていきましょうというようなやり方の方がベースラインをそろえることが可能ではないか。

【安藤委員】
 ケースがあるのもよいと思う。取組や事業、機関などの必要性を考える上で、制約条件、外部環境が重要になる。それらがイメージできないと、妥当なアクティビティ、アウトプット、アウトカム等が出てこないので。

【林座長】
 ワークショップでは、共通テーマを設定することとしたい。具体的なテーマについては、ファシリテータ、モデレータで、メールでもよいので一度打合せをすることとしたい。

【栗本委員】
 この研究開発評価人材育成研修(初級)の成果は、参加者から観ると研修内容そのものだけでなく、評価に関して相談できる仲間を作るという副次的効果もある。評価担当者は所属機関で相談する相手がいないことも多く、この研修の場を通じて所属機関を超えて互いに訪問したり、情報交換したりしているということを参加者から聞いたことがある。研修全体でできる限り親睦を深めるような研修の設計ができるといい。


  この他、ワークショップのモデレータは栗本委員、ファシリテータについては、2班を2委員で担当することが合意された。


議題2 平成29年度研究開発評価シンポジウムについて

 事務局から資料2に基づき説明が行われた。各委員からの主な発言は以下のとおり。

【栗本委員】
 昨年度、実現できなかったImPACT(革新的研究開発推進プログラム)、もう一つは、内閣府との関係もあるが、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を取り上げたらどうか。

【伊地知委員】
 面白いテーマだと思うが、文部科学省主催のシンポジウムとして聴衆が期待しているものと多少のギャップはあるかもしれない。資金配分機関や研究開発法人・独立行政法人の方は関心を持たれると思うが、大学の方は違和感を覚えられるかもしれない。

【丸山委員】
 文部科学省主催のシンポジウムの位置付けを考えると、研究者の評価やプロジェクト評価の手段をテーマにするのは有効だと思う。

【林座長】
 若手人材の評価について、コンソーシアムとか人材育成事業があって、若手の評価システムをしっかり作る条件で採択されているものがある。こうしたものを優良事例として取り上げられるのではないか。

【遠藤委員】
 文部科学省主催のシンポジウムなので、聴衆の所属機関は大学の方が多いので、科研費改革2018について関心のある人も多いかも知れない。もし、要望があれば紹介しても良いのではないか。科研費改革では挑戦的研究や若手研究などの構造も変わっている。

【花田委員】
 幅広い聴衆を対象にということだと、若手の育成というのは大学や研発法人・独法に限らず非常に共通的なテーマになる。チャレンジングな研究開発の評価の在り方というようなテーマも現場ではぴんと来ていないところもあるのでよいのではないか。

【嶌田委員】
 テニュアトラック普及・定着事業については、昨年12月に文部科学省科学技術・学術政策局の別の課でシンポジウムを開催していて、若手の話としては重複してしまうところはある。

【林座長】
 若手人材の育成では、テニュアトラックをテニュアにするための評価の基準作りやデータベース化をして支援している大学がある。我々は評価という視点で切り込んでいくべき立場なので、人材の評価の仕組みはいるのではないか。まだ成果がコンスタントに出ていない若手研究者に対して、いかに支援的な形での評価ができるかというような話がメインになると思う。

【高橋委員】
 論文のような直接的な成果を出さないマネジメント人材の評価は重要な論点だが、研究開発評価という題でシンポジウムに来る聴衆とは、人材の評価と研究活動の評価の整理の仕方の点でギャップがあるのではないか。

【林座長】
 このシンポジウムは「文部科学省の研究及び開発に関する評価指針」が柱だが、委託事業の研究者等の業績に関する評価に関する調査・分析等の結果を踏まえた上で、実質的な人材の育成という最終目的まで考えて、若手研究者の育成・支援を推進する評価を取り扱う方向で今後も検討していきたい。良い事例等があれば事務局にメール等で情報提供をお願いしたい。


議題3 研究開発評価実施者のレベルアップのための活動の方向性

 事務局から資料3に基づき説明が行われた。各委員からの主な発言は以下のとおり。

【丸山委員】
 自分たちの機関での評価事例や困っていることをシェアし合ったり、発表し合ったりする場がいいのではないか。

【高橋委員】
 ジョブローテーションで、担当者が頻繁に替わるときに、ある一定のレベルの人たちを一機関で育てることは難しいから研究開発評価人材育成研修(初級)というのは大切だが、その次のステップは、当事者が自分たちのコミュニティーでレベルアップ、スキルアップ、ポジションアップを考えていくことが重要ではないか。(コミュニティーを作るための)場のセットは難しいので、国が提供するのはよいが、自立的でないと持続性は期待できない。

【伊地知委員】
 研究開発評価に関しては、一定期間だけ職務として評価に関わるという方が圧倒的に多く、担当者がジョブローテーションで異動してしまうので、コミュニティーを形成しにくい。だから、研究開発評価人材育成研修(初級)からさらに進んだ活動としては、相互研鑽に近い形で実施するという方法が考えられる。

【林座長】
 過去に試行的に実施した中級研修の結果からも、相互研鑽というのは妥当ではないか。
 また、研究開発評価の専門職がそもそもほとんどないなかでコミュニティーとしては成立しにくいが、URAの人の仕事の一部が評価であるとか、専門職の一部の仕事が研究開発評価であるという人もいるのではないか。そういう人たちに、場を提供して情報交換し合うというようなことを考えるのがいいと思う。

【栗本委員】
 現場感覚を知るために、大学や研究開発法人・独立行政法人等との意見交換等を継続的に行っていくことが重要。

【林座長】
 現場を調査することによって得られてくる特定のトピックについて、相互研鑽の場を提供することをレベルアップの場とするということを基本的な方針としてやっていくことを確認した。また次回以降、議論を深めていきたい。


議題4 平成30年度研究開発評価委託事業のテーマについて

 事務局から資料4について説明が行われ,平成30年度研究開発評価委託事業のテーマについて了承された。各委員及び事務局の主な発言は以下のとおり。

【伊地知委員】
 委託調査の事業としての「調査」という表現はいいが、活動の中では、大学や研究機関等に対して「調査」ではなく、あくまで、対等な立場で「意見交換」する、という態度で臨むことが大切である。また、大学や研究機関等から率直な意見等を提供していただく上で、受託事業者が大学や研究機関等から得た情報を、他の事業や活動に転用や流用できないように仕様で縛ることが非常に大切である。

【嶌田委員】
 シンクタンクが訪問調査に来るというのと、そこに更に文部科学省の事務局が同行する、というのでは調査を受ける側の対応の仕方が異なる。文部科学省の担当官も同行するということを、相手方にもしっかり伝えた方が情報は集まる。

【遠藤委員】
 優良事例だけでなく、失敗事例も扱うべきではないか。失敗事例は外に出しにくく、どのように共有するかという問題はあるが、調査にあたって念頭には置いた方がいい。

【林座長】
 優良事例は何をもって優良とするか各委員の考えによって意見が分かれるところがあるが、この委託調査から得られたものを、シンポジウム等の場で各機関に情報を提供することが重要である。

【栗本委員】
 受託事業者が、事業者独自の考え方や見方、作業仮説といったものへ結果を導くように事業を遂行して、文部科学省が考える本来の調査目的から逸脱したものに変容しないよう留意しなければならない。

【小湊座長代理】
 調査対象は、機関全体に対してだけではなく、個別の特徴的な取組を行っている部局レベルの組織も対象とすると、全学的な体制や取組とともに個別の部局の動きや仕組み等も同時に把握できる。

【林座長】
 全般的な聞き方をすると同じような回答が返ってくるので、テーマをいくつか絞って、この大学にはこのテーマを聞くというような、その機関の特徴を引き出せるようなやり方をやってもいい。また、学部、研究所の両方を回って、さらにそこで施設見学して現場の人とも意見交換をする、というところまでできるような仕様を検討してもいいかもしれない。


議題5 評価活動の成果普及・評価に関する課題の状況調査等について


 事務局から資料5 に基づき説明が行われ,評価活動の成果普及・評価に関する課題の状況調査等について(案)が了承された。事務局が、調査対象の下調べをして、詳細を詰めていくこととした。

 議題6 その他

 事務局から、「高等教育コンソーシアムにいがた」からの依頼で、11月15日に栗本委員による「国の研究開発に関する大綱的指針と研究開発のマネジメント」等の講演予定があることについて情報共有があった。また、次回の検討会について1月下旬から2月上旬を予定している旨連絡があった。

お問合せ先

科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室

(科学技術・学術政策局 企画評価課 評価・研究開発法人支援室)