研究開発評価推進検討会(第6回)議事概要

1.日時

平成19年7月19日(木曜日)10時〜12時

2.場所

文部科学省科学技術政策研究所 964号・965号会議室

3.出席者

(委員)

伊地知座長、鈴木座長代理、相澤委員、内田委員、岡村委員、奥居委員、小林委員、小湊委員、桜井委員、嶌田委員、林委員

(事務局)

千原計画官、沼田計画官補佐 他

4.議事

  1. 第5回議事概要(案)の確認
  2. 研究開発評価活動に関する現地調査について
  3. 研究開発評価ワークショップについて
  4. その他

5.配付資料

資料1
 研究開発評価推進検討会(第5回)議事概要(案)
資料2−1
 平成19年度研究開発評価活動に関する現地調査について(案)
資料2−2
 研究評価活動に関するアンケート(案)
資料2−3
 平成19年度研究評価活動に関する現地調査におけるコメント(案)
資料2−4
 調査の範囲について
資料3
 平成19年度研究開発評価ワークショップ(案)
参考資料1
 今年度の主な活動予定について
参考資料2−1
 研究開発評価ワークショップにおけるアンケート結果
(平成18年12月15日 第3回研究開発評価推進検討会資料)
参考資料2−2
 次回のワークショップ開催にあたっての検討事項
(平成18年12月15日 第3回研究開発評価推進検討会資料)

6.議事

 審議に先立ち、事務局の異動に関して紹介があり、次いで資料の確認が行われた。

1)第5回議事概要(案)の確認

 特段の修正意見があれば、7月26日(木曜日)までに事務局に連絡することとなり、その修正を踏まえ確定することとなった。

2)研究開発評価活動に関する現地調査について

 事務局が資料2−1〜2−4に基づき説明し、審議が行われた。主な議論は以下のとおり。

<調査対象機関の選定、調査項目、調査の進め方について>

【委員】

 前回の検討会では、大学共同利用機関法人も調査対象に入っていたが、今回は大学中心ということか。

【事務局】

 評価の実態を聞いたが、参考になるような事例がなかったので、今回は対象から外すこととした。

【座長代理】

 公立大学について、首都大学東京はどうなったのか。

【事務局】

 首都大学東京は、人事評価が主だったので、対象から外した。

【委員】

 秋田大学については、担当者が7月付で異動になったため、今行っても、実質的な話が聞けないおそれがあり、対象から外した方がよいと思う。

【委員】

 認証評価など他機関からの評価を受けることに加えて、8月〜10月に調査に来られると、負担になる可能性がある点が気がかりである。また、検討会の場に来ていただいて、話をお聞きした方が効率的ではないか。
 さらに、マネジメントに活かす評価を考えるときに、評価だけを聞けばよいのか。調査項目に戦略室又は戦略形成との関係を入れる、もしくは対象機関の中に戦略室等を持っている大学を入れるのも良いと思う。

【座長代理】

 調査の範囲について、もう少し明確にしないと、逆に何を答えたらいいか、かなりあいまいになる気がする。国立大学法人評価や認証評価を対象外とすると、残るのは戦略策定のための評価くらい、という気がする。
 また、今年度の調査の問題意識に関わるが、自己点検・評価でのマネジメントに活かす評価と、国立大学法人評価や認証評価等との整合性という点が、一番の課題のような気がする。その実態を聞くのが、国立大学法人にとっても問題意識として合っているのではないか。
 この後、ワークショップやシンポジウムを開催することになる。調査結果を踏まえて、ワークショップ等で発表することになると思うが、そのときに大学の人たちが一番何を聞きに来たいと思うのか、つまり、どういう点が焦点になると考えているのか。

【事務局】

 国立大学法人の自己点検・評価や認証評価、独立行政法人評価の関連づけについても話を聞ければと考えている。

【委員】

 ワークショップ、シンポジウムの想定参加者層によって、現地調査の内容が変わってくるのではないだろうか。

【事務局】

 どういったテーマにするか、また、事前の開催案内をどこに出すのかということになる。去年だと、独立行政法人の方が多かったという印象はある。

【座長代理】

 今年度については、明らかに大学である。大学のどういう役割の方を対象にするかということになる。その場合、先ほど出たように、戦略室や経営企画室などの方も十分対象にできるような仕組みも考えられる。

【委員】

 調査については、大学の本部に聞きにいくことを想定しているのか。

【事務局】

 基本的に、全体の話は本部でと考えている。具体的な事例等があれば、関係の方にも来ていただくという形を考えている。

【委員】

 研究評価、マネジメントという観点で調査するのであれば、大学の本部に聞いても、きちんとした回答が出てこないかもしれない。やはり、基本的には部局単位だと思う。本部に聞くのか、部局や研究センター等に聞くのかでは、中身の水準が異なるということを念頭に置いた方が良いと思う。

【委員】

 大学では研究だけでなく、教育もある。そうなると、研究だけについて聞かれても、教育との兼ね合いで混乱が生じる気もするが、問題にはならないのか。

【委員】

 大学の事情によっても異なると思うが、ほとんど問題ないと思う。研究は研究でと考えているところはあると思う。ただし、全学的な観点での評価や戦略というのは、まだまだこれからというところ。一部の大学で始めているという程度という気がする。研究戦略室などを設置している大学は結構あると思うが、全学的な意味での研究計画の策定などをしているとは、まだまだ言えない状況である。

【座長代理】

 教員の個人業績評価の関係は、今年度は触れないという方針か。

【事務局】

 業績評価について、どこまで踏み込むのかということもあるが、大学によっては、実際に研究費の配分に活用しているところあるので、そのような大学については、聞いても良いかと思う。

【委員】

 一昨年、大学へ調査に行った際に、学内の研究費配分について、幾つかを学内プロジェクトにして、それらの研究費配分で評価をし、良いのがあれば、21世紀COEなどに応募する、という形での評価を実施しているという話が聞けた。大学に評価の話を聞きにいくと、おそらくそういった話がまた出てくるのではないかという印象がある。

【座長代理】

 マネジメントに活かす評価といったときに、学内の部局単位での研究開発評価をどう活かすかというような話があると思う。そういう話はイメージとしてはよく分かるが、実態として学長裁量経費というものはたかが知れていて、全学的な影響という意味では大きくないと思われる。だから、学内でのリソース配分を研究開発評価に基づいて行うための何かモデルがあって、それがどのように実施されているのかという実態調査をするということも考えられる。
 また、マネジメントという話ではないが、逆に考えると大学全体としての資金獲得、あるいは研究の方向性の戦略をどう立てるかということに非常に密接に関連して、学内でどういう強み、弱みがあるのかというのを評価して情報収集するという活動しているかについて調査することも考えられる。

【委員】

 大学自体に配分する資金がないため、理念的に考えるようなマネジメント作業というものにはならないという制約がある。
 だから、外部資金の獲得のための評価、あるいは自己点検というのは、ある意味では合理的な、極めて積極的なことをやっているということになる。

【座長代理】

 ベスト・プラクティスを紹介していくことは、大学として、非常に制約が大きいという現状ではあるが、その壁を打ち破るような工夫を行っているところを紹介するというのが、ひとつの参考になるのではないか。

【委員】

 例えば大学を訪問する場合、一学科、一学部に焦点を当てて訪問、学科、学部レベルでのベスト・プラティクスを紹介してもらう方法も考えられるのではないか。大学としてのベスト・プラティクスを調査しようとしても、何も出てこないのではないかというのが委員の共通理解ではないかと考えている。

【委員】

 全学的に研究体制、連携体制を取るというところもあり、逆に学部、学科レベルでは、有用なものがなくなる可能性があるのではないか。

【座長】

 今までの議論をまとめると、評価担当だけではなくて、戦略又は企画担当、あるいは理事でいうと研究担当理事、そういった方々のラインに当たるような部署にもあわせて聞くことをしてはどうかということ。それから、大学全体、あるいはそれに対応する法人本部だけではなく、できるだけセットで部局もあわせて伺うということを基本とするということとする。
 具体的な対象機関についてはどうか。

【委員】

 戦略という部分を強調するのであれば、東京大学のサステイナビリティ学連携研究機構が科学技術振興調整費のCOEであるが、どちらかというと大学内にシステム改革の目玉的な組織を作って、そこで戦略を考えていこうというもの。

【座長】

 科学技術振興調整費の先端融合領域や戦略的研究拠点育成で、東北大学、九州大学、広島大学があるので、そういうところを伺うのはどうか。

【委員】

 秋田大学は担当者が7月付で異動になったので避けた方がよい。

【委員】

 鹿児島大学に目を見張るものがあると聞いたことがない。ロードマップの作成などをしっかりやっているというところが、下調べの段階ではあったということか。

【事務局】

 国立大学法人評価の立場からであるが、PDCAサイクルを確立してロードマップを作成している。また、学長裁量経費や学長裁量定員の配分の適正性や有効性について、外部有識者も含む委員会で評価をして、マネジメントに活かしている。さらに、データベースも運用も行っている。

【座長】

 それでは、対象機関は1機関につき14大学ということとする。

<事前アンケート及びコメント票について>

【委員】

 質問の体系、つまり、番号づけが非常に分かりにくい。
 また、質問の順番を変えたほうがいいのではないか。例えば、質問の1では、まず評価を総括する組織があって、次に支援するための組織があって、最後にマネジメントに活用するための組織という順番になっている。今までの議論でいえば、むしろ1−7に相当するものを前に出した方が分かりやすい。評価を総括する組織とか支援する組織は、当然聞かれることなので、むしろ1−7を前に持ってきて、もうちょっと明確に書いた方が、活かす評価という観点が出てくるのではないか。

【委員】

 質問の1−7から、マネジメントに活用するための組織というのがあることを前提に聞かれているが、難しいのではないか。昨年の調査でも小さな機関はスタッフの数の問題もあり、企画と評価は同じ委員会で議論されており、外から見たときに分けていないところが多かった。
 大学の場合も、評価の組織については、多くの大学であるだろうが、評価結果を大学の運営系に活かす、支援していくという明示的な組織があるかと聞かれると、難しいという印象を持っている。むしろ、評価結果を大学の執行部の中でどう活用しているのか、部局でどう活用しているのかというほうが答えやすいと思う。

【座長代理】

 どう活用しているかというのを自由記入で答えてもらう以外に、幾つか考えられるモデルを選択肢として出して聞いた方がいい。

【委員】

 評価結果を戦略に活かすのであれば、戦略と評価との結びつきはあるのか、という聞き方をした方が、戦略について少し理解できるという気がする。

【委員】

 質問の2.〜6.について、「評価システム」が前面に出過ぎている感じがする。

【委員】

 中規模大学だと、答えるのが大変になる。もう少し簡単に聞いてほしいというか、わりと簡単に答えられる方がよい。
 「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」に基づき、研究に対して自己点検・評価を実施し、マネジメントに活かすことを、文部科学省としては勧めているが、大学の人はまず知らない。本当に重要なのは、自己点検・評価に基づき改善するということであるが、その点については置き去りになって、現在の評価は実施されている。まず、前述のことが本当は重要であるという話をした後で、調査を行っていく、と明確に送り状などで書いた方が答えやすい。

【座長代理】

 送り状で、何のために調査をしているのか、知ってもらうことが一番重要である。昨年度もあったが、一番困る答えが、評価を法律で義務づけられているので、そのために評価しているという答えである。

【委員】

 こちらが知りたいのは、誰が何を決めているかである。その中身として、例えば、資源配分の重み付けをしているか、そのときにプライオリティー委員会のようなものはあるかなどが考えられる。重み付けをしているのであれば、意思決定が伴い、現状把握が必要となる。そのために、何をしているのか。そういうストーリーを示さないと、こちらが知りたいことが出てこない上に、法律等で義務づけられている評価をやっているという答えしか出てこないことになる。順序としては、評価の実施体制ではなく、マネジメントの実施体制について、誰が裁量権を持ち、誰が資源の再配分をしているのかということを聞いて、その後に、それに用いている評価は何かという順序のほうが答えやすいし、知りたいことを知ることができると思う。

【委員】

 評価という言葉に対して結構ナーバスな状況になっている。大学からすると、評価に対するイメージが悪い。少し敷居を低くする工夫が必要。

【座長】

 送り状は、言葉遣いに気をつけていただきたい。アンケートの内容、コメント票については、例えば目標の側、要するにマネジメントの側から書いていくスタイルにする、マネジメントの対象について例示をする、という形でリバイスをすることを事務局にお願いしたい。なお、決定の過程においては、座長一任とさせていただき、事務局と密に調整して決定することとしたい。
 調査対象機関の方に戻るが、どの機関にお伺いしたいかといった希望を事務局にお伝えいただき、調整をする。決定については座長一任とさせていただきたい。

【座長代理】

 今回、大学全体としての戦略や企画に評価をどう活かすかという観点に絞るのであれば、調査対象から学内組織のものは外してしまい、大学全体について聞ける機関を入れた方がいいのではないか。

【委員】

 一昨年の場合は、まず大学全体の話を聞いて、次に学部あるいは研究所で話を聞くという方法で実施した。全大学に対してそういう方法で実施するのも良いと思う。

【座長】

 そのような方法で実施することとする。

【委員】

 北陸先端科学技術大学院大学などの大学院大学に調査をしたことはあるのか。大学院大学は、研究所に近いものだから、資料に出されている大学に比べると戦略性が非常に高いと思われる。

【座長代理】

 私も、大学院大学を1つ入れたら良いという気がする。

【委員】

 北陸先端科学技術大学院大学よりも、最近は奈良先端科学技術大学院大学の方がいろいろなことをしているという感じがある。しかし、内実がわからないので、もう1機関については任せたい。

【座長】

 大学院大学は調査対象に加えることにする。ただし、どこに調査するかは情報を得た上で、決めていくこととする。

3)研究開発評価ワークショップについて

 事務局が資料3に基づき説明し、審議が行われた。主な議論は以下のとおり。

【座長代理】

 今年度の現地調査の結果をベースにして、大学の経営戦略と研究開発評価にフォーカスを当てたらいいのではないか。

【委員】

 評価をどう活かすかというところが重要で、「評価のための評価」ではない評価、つまり、マネジメントにフィードバックする評価について、認識を共有することが大事だと思うので、大枠のテーマは去年と同じでいいと思う。ただし、具体的な事例になると、大学の場合、研究開発独立行政法人とは異なるので、その辺りを意識して内容を変えるということはあるだろう。

【委員】

 今年の現地調査は大学中心であるが、研究開発独立行政法人の方の期待もあるかと思う。しかし、大学の問題について、研究開発独立行政法人の方に参加して議論してもらうのは無理があると思う。今年の現地調査を踏まえて実施するのであれば、2回開催というのが現実的ではないか。

【委員】

 ワークショップを2回開催するとなると、1回目のワークショップは大学への現地調査を踏まえたものとして、残りのもう1回は何をベースに開催するのか検討しなくてはならないだろう。

【委員】

 おそらく、参加者の日ごろの疑問や課題等という、昨年度の手法で実施することになるのではないか。しかし、2回実施するとなると、大変ではないか。

【座長代理】

 1回ということを前提にした場合、対象は昨年度と同様に独立行政法人、大学共同利用機関などとなるのか。

【事務局】

 テーマによって決まることになる。

【委員】

 もし検討会側の人数が十分であり、ファシリテーターの役割ができるのであれば、1グループの人数を少なくすれば、実質的な討議時間が多くなる。だから、2回にすると意外と参加人数を少なくできるかもしれない。1回にすると大変かと思う。

【座長代理】

 昨年のグループ討議では、私が入ったグループがたまたまそうだったと思うが、人数が少なく、また、グループの構成員の3名ぐらいが話を聞きに来ただけで、実質的には1人か2人しか問題意識を持っている人がおらず、議論にならなかった記憶がある。人数を少なくすると、そういった危険性が出てくる。

【座長】

 1回か2回かというのもあるが、今年実施するとして、優先順位をつけるとすれば、研究開発独立行政法人の人にターゲットをあてるべきか、それとも大学の人にターゲットをあてるべきか、どちらがいいのか。

【委員】

 シンポジウムでは一方を扱って、ワークショップではもう一方を扱うようなことを考えるべきではないか。ワークショップやシンポジウムの位置付けはどのようなものなのか。

【事務局】

 シンポジウムについては、現地調査の結果を踏まえて実施するものである。

【座長代理】

 位置づけとしては、ワークショップで問題点を抽出して、それをシンポジウムで報告するというような形はどうか。

【事務局】

 基本的にワークショップは研修機能が高いと思う。昨年度の最後の検討会において、ワークショップで現地調査を補うという機能を持たせるという御意見もあった。現地調査と同じテーマであれば、そういう機能を持たせて、シンポジウムでも活用することはできると思う。

【委員】

 現地調査の結果を踏まえて、大学の中で研究評価をどう活かすか、マネジメントをどう活かすかという観点で実施すると、そのようなことを考えるべき人は大変多忙な人で、参加できない可能性がある。下手すると参加者が少ない可能性があり、逆に評価の事務担当者レベルの方となると、議論できるかということもある。

【委員】

 テーマ等は、去年と同じで良いのではないか。去年のワークショップは、各独立行政法人の研究開発評価担当者の顔合わせを兼ねてもいいのではないかということを、去年、事務局が言っていた気がする。担当者同士のネットワークが広がっていくことを期待しながら、継続的に実施する方が良いのではないか。去年と同じような人が来て、議論が年を追うごとに深度化していくというのも一つの考え方ではないか。

【委員】

 大学を調査するという話とは切り離して考えても良いと思う。

【委員】

 基本的には現地調査とは切り離して、研究開発評価とマネジメントというテーマで実施した方が良いと思う。今年は、同じ内容でも、もう少し実質的な話ができると思う。

【座長】

 テーマとしては昨年と同じで、参加していただく方の基本的なターゲットとしては、研究開発独立行政法人、あるいは大学共同利用機関法人の評価担当者とした形でのワークショップを開催するということとする。
 今までの意見等を参考に、事務局で実施要綱を作成し、次回の検討会で審議することとする。

4)その他

 次回の検討会は9月中旬開催の予定とし、後日改めて日程調整が行われることとされた。

─了─

(科学技術・学術政策局計画官付評価推進室)