平成19年5月10日(木曜日)10時〜12時
文部科学省 K2会議室
伊地知座長、鈴木座長代理、相澤委員、内田委員、岡村委員、奥居委員、小林委員、小湊委員、桜井委員、嶌田委員、永田委員、林委員
森口科学技術・学術政策局長、江崎評価推進室長、沼田計画官補佐 他
審議に先立ち、各委員の紹介、事務局の紹介、及び、森口科学技術・学術政策局長の挨拶が行われた。
事務局が資料2、及び、資料3に基づき説明し、審議が行われ、原案のとおり決定された。
互選により、伊地知委員が座長に選任された。座長代理については、座長より鈴木委員が指名された。
事務局が資料4に基づき説明し、審議が行われ、原案のとおり了承された。主な議論は以下のとおり。
【委員】
本検討会は、機関評価、あるいは、機関の中の組織の評価に焦点を絞った会という理解でよいか。組織評価だとして、それを含む評価のあり方の全体像の議論がなくて混乱を来たしているが、そういうグランドデザインに関しては検討しないのか。
【事務局】
全般的なことの議論はしていただくが、具体的な話として、実際に独立行政法人や大学がどういう評価をしているのか、あるいは、すべきなのかについての助言をいただくことになると思う。
国でやっているようなプロジェクトについての評価は今回除外し、現場でどういう評価がされるのか、あるいは、必要かということを中心にご議論いただくのが、この検討会の趣旨であると考えていただきたい。
グランドデザインについては、内閣府で作った内閣総理大臣決定の大綱的指針と、それに基づき各省が作った研究開発評価指針があり、これに沿ってどのような評価をしているか、ということになる。国立大学法人や私立大学、独立行政法人の機関評価は、この指針は直接適用されず個別の法律の中で評価することになるので、評価全体の中で機関評価をどうするかについては、本検討会では扱わないと考えていただきたい。
よって、より現場に近い形で、どういう評価を今後組織の中でしていく必要があるか、が議論の中心になると考える。
【委員】
初めに制度設計されたにもかかわらず、実際には制度自体が設計された制度に則して展開されておらず、現場は何に合わせて評価していけばよいのかわからない状況になっている。組織内部の改善のためのみの評価の検討でよいのか。
【委員】
今の研究開発評価の実態は、法人評価や様々な法令に準拠した評価があり、一方で大綱的指針あるいは各省の指針に基づき動いている。その中で、現場は当然法令に準拠したものが優先される。現場で見ると、研究開発評価だけを議論しても始まらない面があり、ほかのことを考えないと研究開発評価ができない状況だと推測される。その上に、制度に則した展開が行われないため、現場はますます混乱する。現場の方たちやシンポジウムからもそのような意見が出ている。現場からのそのような問題を明確にしていかないと、現場がついてこないのではないかと思う。
【委員】
昨年のシンポジウム、アンケートにも様々な意見が出ており、課題出しは終わった感もある。現場の本音が出て、問題意識が出た。今年度それをどうするのかが本検討会のポイントという気がする。
今年度検討会でやらなければいけないことは2つある。1つ目は、現地調査で事例を集めると同時に、現行制度などに対する不満や感想を抽出すること、研究開発評価の課題や、今の評価制度自体の問題と思われる点を明らかにすること。これが結果的にはグランドデザインについて言うことにもなると思う。2つ目は、成果を見て予算配分するという流れがあるならば、研究開発をどうつくっていくのかを取り上げるのが良いのではないか。
【委員】
独立行政法人の立場からいうと、自主的にやっている大綱的指針に基づく評価は、自分たちの役に立つ評価を行うという考えに基づき評価制度をデザインし、自分たちにとって有意義なものを実施しようとしている。独立行政法人通則法に基づく評価もあるが、(自主的に実施している評価は)基本的に研究開発法人にとって有用な評価、という観点で実施している。研究マネジメントに活かす評価ではなく、研究マネジメントをするための評価、という立場にたち、評価制度のデザインを行っている。
独立行政法人評価委員会に対しては、機関評価のレベルで行った評価を文部科学省や総務省に上げる際のつながりを担うのが役目ですよというように、独立行政法人評価委員会の機能をうまく誘導するようにしている。
よって、まずこの検討会でやっていくのは、大綱的指針に基づく自主的評価に対し、どのくらいちゃんとしたデザインを各法人が持っているか、それがある程度でき既成の制度との間の違和感を生んだときに独立行政法人評価委員会はどのような機能を持つべきか、あるいは、各ファンディングエージェンシー(研究資金配分機関)の評価はどうあるべきか、ではないか。研究開発法人が最高のパフォーマンスを出すための評価活動についてボトムアップしたいというイメージでこれまでやってきた。
【委員】
現場でも、評価の受けとめ方は多種多様であり、一つの組織の中でも意識が統一できていない。
自分達の目指すべき方向に対し課題抽出し解決していくためのPDCAサイクルをどう回すか、という、研究開発マネジメントは大事。組織みずからが目指す方向に積極的にかかわり目標に近づいていくための手法や考え方を積極的に取り上げ、共有していくことが、本検討会の趣旨の一つになるのではないか。
【委員】
1つの評価結果に対し、2種類の評価がある。1つは、課題を見極め改善の意思決定をしていく内向きの評価で、もう1つは、社会に対し、例えば法的な制度に対して、きちんとやっていることを説明する外向きの評価である。制度に合わせた回答を作成しなければいけない点で2つの評価が乖離しているのが問題という気がしている。外部評価制度に引っ張られ内部の研究開発の質が下がる場合も問題ではあるが、中のマネジメントの改善も考えなければならない問題と考える。
【委員】
評価の問題点は昨年の調査で指摘されていると思う。また、機関ごとに特殊性があるので、一つ一つ検討する話でもないと思う。それを全部やっていると、総論的になり、調査するだけになってしまうので、今年何を問題に上げるかをもう少し議論して欲しい。
【座長】
今までのところ、枠組みとスケジュールには特に意見がなかった。個別の内容については、この後の議題で引き続き議論していただくとし、現地調査、ワークショップ、シンポジウムを開催することと、スケジュールについては提案とおりでよいか。
【座長代理】
スケジュールの一番下のその他の委託事業とは、具体的に言うと何か。
【事務局】
研究開発評価推進のために毎年行っている業務委託のことを指す。平成18年度は、研修を目的とした評価のテキストの基礎編と応用編の作成をお願いしている。平成19年度についても、同様にある程度テーマを決めて委託をお願いしたいと考えている。テーマの内容について、具体案が評価推進室である程度固まった時点でご相談したい。
【委員】
研究開発マネジメントの推進を考えると、評価人材の評価自体をどう考えどう組織の中でマネジメントとして活用していくのかという部分と、去年の委託事業でやっている、評価に携わっている人材のスキル向上という部分は、関係ある気がする。ワークショップはその辺とリンクさせるような開催が効果的という気がする。
【座長代理】
昨年度は、政策評価相互研修会が理論指向でワークショップが実務指向、という役割分担があったと思うが、今年度はどうか。
【事務局】
政策評価相互研修会がかなり高レベルになり、2,3年で異動する省庁や独立行政法人の事務担当者、異動してきたばかりの人はついていけない状態ができている。そのような省庁や事務担当の人にわかりやすいテキストを、ということで昨年6月、7月ころ案を作成し、委託に出した。政策評価相互研修会は今後更に高度になっていくので、基礎的、実務的な部分で、昨年委託に出したテキストを使用して研修できればと思っている。昨年も開催したワークショップについては、より専門的に、あるいは、実務担当者が現場で考えている課題や問題点などについて、突っ込んだ講義や議論ができる形で続けたいと思っている。
【座長】
検討会としての検討事項には入らないかもしれないが、情報はあり、各委員は各機関に戻ればその同僚などが研修などに出席するかもしれないので、情報共有や効果的なリンクができればそのような形で進めるのはどうか。
【座長代理】
それぞれの研修やワークショップなどが、どの層を対象に何をやる予定かを、比較できる形で各機関に通知したほうが良いように思う。
【委員】
政策評価相互研修会で実施されているのは、基本的に政策評価や政策レベルの評価であって、機関評価や組織評価はあまり入っていない。機関評価や組織評価の調査の委託は出ていないのでは。例えば外国の研究機関でどのようにしているかなどは、あまり調査を出していないのでは。もし出ているのであれば、その情報を出して欲しい。
【事務局】
外国の機関での評価などは、平成17年度の委託や、その前にもいろいろと委託をやっていたので、報告書はできており、配付もできる。
【座長代理】
各機関の担当者から見ると、区別がつかない。どれに出たらよいのかよくわからない。
【委員】
過去に委託でいろいろな海外調査をしていたり、いろいろな研修が行われているが、それぞれが、どのような人を目的にし、どんな内容を取り上げるのかが多分あまり知られていないと思う。
【委員】
政策評価相互研修会の講義は計量可能なものが対象となっており、解析学的要素が強い。また、政策論でもあるので、投資対効果といった数学にのるものであるが、我々現場はまだその前段階で、研究開発法人にとってどのような指標が最も良いか、いい法人であることをどう表現するかという段階であるように思う。そこに講習を受ける意識との乖離があるような気がしている。
【座長】
議題3について、スケジュールは認めていただいたということで、よろしくお願いしたい。中身については、引き続きの議題、及び、次回の検討会で検討していきたい。
事務局が資料5に基づき説明し、審議が行われた。主な議論は以下のとおり。
【座長代理】
今年度の調査は、研究所で切るのではなく、各機関が行っているであろうタイプの違う活動について個別に聞き、それを最終的にそれぞれの独立行政法人でどう組み合わせるかを各独立行政法人で考え活用してもらうという枠組みでやったらどうか。例えば独自資金で内部で実施する研究をやっている所もあるし、自分でやる研究は殆どなく外部への委託をどうマネージするか、になる所もある。大学も自己資金でやる研究と外部資金でやる研究を比べると、外部資金でやる研究がほとんどなので、そのマネジメントも全然違う。だから研究所に分けて聞くのではなく、研究所の中のいろいろな研究活動のタイプに分けて聞いたらよいのでは、と思う。
【委員】
大学において、附置研究所は、研究目的、ミッションがありそれに則してみんなやっているので、研究評価は比較的容易である。学部の研究評価のほうが難しい。平成17年度は大学の調査をし、平成18年度から基本的に独立行政法人と附置研究所に絞っているが、独立行政法人の話がどこまで大学の学部などの参考になるのかわからない。先進的な事例として独立行政法人などを調査しておけば、学部にも参考になるだろうという前提が本当に成り立つかどうかわからない。もし成り立たないのであれば、学部や、あるいは、附置研究所という固定した組織でなく教育組織と研究組織に分けているような組織であれば、そういう組織を調査するのもあるだろう。
それからもう1つの根本的な問いとして、大学評価において理系の評価は比較的容易であり、文系の評価をどこまで入れるかが問題。人文社会系の研究所や、文部科学省以外でも政策系の独立行政法人があるので、それらの評価をどこまで入れるか、ご検討いただければと思う。
【事務局】
学部は教育という面があるので、それを考慮して、去年は附置研究所をかなり調査した。特に理系で、人文系についてはあまりないが、理系だけに対象を絞っているわけではない。
【委員】
科学技術基本計画のように、ウェートをどちらに置くか、というのはある。確か平成15年以降も、どちらかというと理系の部分を主体的にやってきたという過去の経緯はある。
【委員】
研究所、附置研究所の調査から大学の学部の方向の調査に展開するのか、他省庁の独立行政法人に展開するのかという点について、両方とも非常にアンビシャスな展開の仕方である。例えば独立行政法人の有り方も、ほかの省庁の独立行政法人は基本的にミッションが明確で、文部科学省系の独立行政法人とは異なる。ほかの省庁の独立行政法人にとっては役に立つかもしれないが、どこまで役に立つかということもあるし、調査の枠組みが本当にこれでいいのかというところがあると思う。
どこでもそうだが、文部科学省系とミッションのとらえ方が異なるので、そこは考えどころだと思う。どちらにいくのも悪いとは思わないが、両方とも大変だろうと思う。
【委員】
好例を探すという観点で調査するならば、多分ミッションが明確なところのほうが評価は一定程度うまくやっていると思う。大学の学部は、好例はあまり聞けない可能性がある。むしろ大学の中で、研究に関して外部資金が主なプロジェクト、例えば振興調整費によるプロジェクトは、学内にバーチャルな組織をつくってやったりしており、そのようなところだと、研究のミッションは明確で、時限が切られており、中間評価もやるように言われている。そのような、学内や大学横断型でつくられているバーチャルな研究組織に行き話を聞くと、一定程度グッドプラクティスはあるかもしれないと思う。枠組みをあまり崩さずいくのであれば、学部よりはそのような組織がよいのではないか。
【委員】
現在大学が置かれている状況をふまえると、大学を現地調査の対象とすることは難しいのではないか。こちらには法人評価するという意図が全くなくとも、大学が現地調査に対しどのような反応をするのか、疑問が残る。
【委員】
平成20年6月に研究に対する評価を大学評価・学位授与機構に自己点検評価書として提出することになるので、非常にデリケートな時期ではある。特に、関係者(大学評価・学位授与機構所属の委員)が行くと、痛くもない腹を探られるというような感じになるのでは。
【委員】
調査するときは、まず対象となる法人や組織の性格を明確にすることをしっかりやるべきだと思う。去年の報告書を書いていても、ミッション指向の研究所は簡単で、かつ評価活動についても、独立行政法人評価を機関評価で代えてもさして違和感がないという組織もある。それはそれでいいという印象を持った。
混乱しているのは、キュリオシティ・ドリブンの研究である。基本的に何をやっても良い研究機関であるときに、経営者によって経営がうまくいっているところと、どうかと思うところがある。要するにキュリオシティ・ドリブンの場合は、方向性を自分できめられるので、マネジメントが非常に問われる。そうしたときの評価活動の利用の仕方はどうなのか。あるいは、背景として、方向性を決めても人の流動性がないとそちらに動いていかない、という人的流動性の問題もある。要するに、うまく動いている理想的な組織を考えた場合、人的流動性が担保されていないと、キュリオシティ・ドリブンの研究所は動かない。
そのような中で、どのようにして方向性を見出し、評価をどう活用していくかという見方にどうしてもなり、独立行政法人評価では足りないということになる。そして、そのときにうまくいろいろなタイミングをとらえて評価活動を利用し方向性を決めているような研究所はうまくいっているし、研究は研究者がやるのだから研究者のために環境だけつくればいいというような研究所はさしてうまくいっていない。報告書を書くときには、その点を気をつけて書くことが重要だという気がする。
【事務局】
テーマについては、「研究開発マネジメントに活かす評価」ということでは昨年度と一緒だが、調査結果を昨年度と同様にシンポジウムに活用したいと考えており、そうすると、シンポジウムのテーマとも関連してくる。主テーマは「マネジメントに活かす」ということにしてさらにその中で、より小さなテーマを定め、調査してはどうかということも考えている。
【座長代理】
今年の活動を始めるにあたり、もう一つ考えておいたほうがいいと思うのは、個人の業績評価にどこまで深入りするかという点。去年もあやふやだったが、大学も独立行政法人も今、非常に微妙な時期にある。
【委員】
キュリオシティ・ドリブンの話になると、結局個人の業績評価になり、組織としてどうかという話はあまり抽出できなくなってくる。基礎研究の話になると喧嘩になりそうなこともある。5年で区切られても成果は出せないという先生や、50年みてほしいという方もおり、なかなか難しい。
【委員】
教員個人評価についてアンケートをとっているが、大学に関する限り、実施に対するインセンティブなどを先に検討する大学は実施が遅れている。先行する大学は走りながら考える傾向があり、現時点では教員評価という制度を導入しながら成熟化を待っている段階と考えて良いと思う。現時点で、ある程度課題が決まり、運用しているところを調査対象とするならば問題はないかもしれないが、そのような機関はまだ少ないかと思う。大学と同列に考えるのは良くないかもしれないが、個人評価まで落とした段階で、恐らく何も進んでいないという結果が見えるのではないかと、個人的には推測している。
【委員】
大学という資源が限られる中でそれをどう配分するかは大変大きな問題としてあるが、資源配分するためには現状がわかっていなければ配分の基準が立てられない。大学の場合、個々の教員が何をやっているかは、部局長さえわからない。最初から資源配分にリンクさせると、基準作りで妥当性をめぐりもめてしまい、なかなかうまくいかない。だから、例えば、まずは資源配分抜きに、現状を知るところから始め、何とか回っている大学もある。ミッション・オリエンテッドな組織の個人評価と、今、大学で行われているような教員評価は、同じテーブルに乗せて語ることが難しいという実感を私も持っている。
【委員】
理化学研究所では、個人業績評価については考え中という状態。任期5年ぐらいで異動することが前提になっているので、基本的にミッション指向のところは毎年の活動を見ていくことにしている。キュリオシティ・ドリブンのところは、研究の時間スケールが基本的に長くなるので、昇進時審査で評価しようとしている。ある程度研究成果がまとまり、次のステップの研究をというとき、つまり、普通の一般研究員がPI(Principal Investigator研究責任者)になるとき、その審査を、プロポーザルを出してもらいアクセプトしてPIになるというステップにし、それを評価にかえるという形になった。そのような形で、定年制の人と任期制、また、キュリオシティ・ドリブンとミッション・オリエンテッドで評価をうまく使い分けるようにしているが、果たして正解かどうかはまだよくわからない。
【座長代理】
去年附置研究所を調べた中でも、個人評価で完全にリンクさせている所もあり、大学でも相当変わりつつあるという感じはしている。逆に変えていこうという方向性の例を、かなり先進的なことをやっているほかの省庁や研究所などについて、見たいという声も強いのではないかという気がする。
【委員】
今のは附置研究所の話であり、個人の評価をうまくプロジェクトベースに置き換えている。まだ評価活動が進化の途中である所もあるので、今回は個人評価には触れないほうが良いのではないかと思われる。代わりに、間接的にプロジェクトベースでの評価を調査するという形にするのがよいかもしれない。
【委員】
我々がやっている研究課題評価についても、結局あるPIがその課題を1つ背負っていることになるので、課題評価と個人業績評価は区別できないという見方をしている部署もあり、部署ごとに異なっている。特定の研究課題については、結果の公表を控えている所もある。理由は、研究者個人が引っ張っていることが明らかなので、個人の評価を世間に知らしめるのは、個人情報保護という観点からあまり良くない、とか、将来をつぶす必要はないということ。その辺の取り合わせが難しく、研究所として対応がばらばらな所がある。ということで、個人業績評価に立ち入るのは、やはり今年は難しいのではないかというのが実感である。
【座長代理】
学内あるいは組織内でのリソース配分が、人事ポストまで含めた話にならざるを得ない、ということになると、逆に個人評価に踏み込まざるを得なくなり、相当皆さん悩んでいるという感じがしている。しかし確かに今非常に流動的なので、そこまでやると混乱を招くかもしれない。
【事務局】
このテーマを考えるとき個人業績評価も考えた。ただ、昨年度やそれ以前の結果を見た感想として、やはり今皆さんが言われたように、それをテーマにして回るのも難しいのではないかと思う。大きなくくりとしてマネジメントということで、その中で例えば個人業績評価や人材育成というものをより突っ込んで聞けるような形でやれたらよいと思う。
【座長】
平成19年度の案として、平成18年度当初想定していた中で既に終わった所を除いて挙げられている、資料5に記されている調査先と、この調査先の数でよいか。
【委員】
独立行政法人の研究機関の場合、研究ミッションと行政ミッションがあり、それぞれ固有でギャップがあるので非常に苦労している。場合によっては大学を入れるのも1つの手だと思う。学部や文系の附置研究所をやるのも手ではないかと思う。好例だけでなく、問題点を拾うのも必要かもしれない。
【座長代理】
独立行政法人の調査対象の予定に入っている産業技術総合研究所は、文部科学省の研究所や大学から見てあまり参考にならない感じがする
【委員】
私は私立大学の物理学科出身だが、そこでは、例えばマテリアルサイエンスに関して重きを置くという方針が基本的にあった。ただ一応教育もしなければいけないので、理論物理学や素粒子物理学の人もいる。そのような経営方針があるところだとおもしろいが、教育ミッションを追ってしまうと総花的になり、研究開発機関として学部を見に行ってもおもしろくない気がしている。
ロボットの研究が盛んで、ロボットオリンピックに出て学生がよく集まる大学があるが、それが本当に学部としての意向なのか、偶然そのような先生が集まっているのかも、よくわからない。だから、踏み込むとすると、そのような所に踏み込んで、いい事例があると面白い。要するに今後大学も競争の時代なので、研究開発機関としてどのくらい目立つかということも非常に重要である。
【委員】
今余裕のある大学は、多分そのような、どういう研究編成をしていくか、ということを考えていると思う。学部は当然比較的小規模な個人研究室ベースの研究主体で、それに少し大規模なものを別立てでやるといったことをいろいろ考えている。名古屋大学エコトピア科学研究所は、その1つのバリエーションといえる。
【座長】
調査先については、今挙がっている大学の学部も同じように加えたほうがよいということで、具体的には、後ほどまた事務局にメール等でお知らせいただくということになるかと思うが、調査先の数についてはどうか。
【委員】
予算の制約はあるか。
【事務局】
前年度は19機関に調査に行っており、その程度の機関数であれば予算上の問題はないが、委員の負担が大きかったという指摘を踏まえ、今回は12程度に絞ったほうがよいと考えている。
【事務局】
本件については、事務局に意見をいただき、まとめたものを座長と相談し再度委員に確認していただくということでどうか。
【委員】
評価を根付かせることがテーマに入っていると考えており、うまく回っている所は、その仕組みがベストプラクティスになるのであろうと思う。それを共有化することで成熟度を高める、早めることが多分できるのではないかと個人的には思う。
【座長代理】
機関独自でメタ評価のような活動をやっているのかという話になる。
【委員】
去年も評価人材の話をアンケートで聞き、現場でも聞き、やはり問題ありそうだと思うが、うまく拾い上げていなかった。この点も一工夫必要かもしれない。今の話と結びつけるとうまくいく可能性があるかもしれない。
【座長】
評価人材とは具体的にはどのような役職の方か、などはあるか。
【委員】
多分やり方はいろいろで、例えば独立行政法人はある程度専門部署を作る。個別の研究所や附置研究所や大学は、そうなっておらず、一人で頑張っている人がたくさんいる。そのあたりを含めて考え、うまく議論に乗せていくと良いのではないかと思う。
【委員】
宇宙航空研究開発機構の場合、ロケットの打ち上げなどプロジェクト的にわかりやすく評価しやすいものもある。一方、総合技術研究本部のように基礎・基盤的研究を行う部署は評価が難しい。そのようなテーマは、グループ長や本部長やピラミッド的にどこかで評価するようにしている。
【委員】
独立行政法人もある程度任意性があるので、まず中期計画に基づく予算を取った後オーバーヘッド分を理事長が確保し、理事長裁量経費という形で特に緊急の課題があれば募集しファンディングする。その中に評価が入ってくるというスキームを作っている。従って、独立行政法人評価には出てこないが、理事長裁量経費をどう使ったかという点で評価対象となり得る。大綱的指針に基づく機関評価の中では非常に重要な課題であると思う。
【委員】
年度計画の中でそういった評価を全部取り上げているケースもある。
【座長】
全体のテーマは基本的に研究開発マネジメントを活かす評価だが、せっかく現地調査で伺うので、情報を集め、できればこの議題に乗せられるようなものも集めていきたいということだと思う。今までの意見を踏まえ、事務局で再度検討いただきたいと思う。
調査対象機関については、具体的な対象を委員の皆さんから事務局にお知らせ頂き、実際の選定とアンケートの様式については、委員の皆さんにお伺いすることもあるかもしれないが、基本的に座長に一任させていただきたいと思う。
さらに意見がある場合は、5月18日までに事務局にメール等でご連絡いただきたい。
今後ともメール等を活用し、効率的に意見交換、検討を行っていきたいので、よろしくお願いしたい。
次回の検討会は7月上旬開催の予定とし、後日改めて日程調整が行われることとされた。
−以上−
(科学技術・学術政策局計画官付評価推進室)