原子力安全規制等懇談会(第2回) 議事要旨

1.日時

平成14年10月7日(月曜日) 14時~16時

2.場所

経済産業省 別館1014号会議室(別館10階)

3.議題

  1. 研究炉等安全規制検討会の検討状況について
  2. 自主点検記録の不正等の問題への当省の対応について
  3. ITER安全規制検討会の検討状況について
  4. 我が国の環境放射能調査のあり方について
    ・放射能調査研究に係る評価検討報告書について
  5. 放射線安全規制検討会の開催について

4.配付資料

  • 資料1 第1回原子力安全規制等懇談会議事概要(暫定版)
  • 資料2 研究炉等安全規制検討会の検討状況について
  • 資料3 安全規制のあり方について‐自主点検記録の不正等の問題への当省の対応‐
  • 資料4‐1 ITERに関する今後のスケジュール
  • 資料4‐2 ITERに係る安全規制体系の整備について
  • 資料4‐3 ITERサイト提案書(青森県六ヶ所村)の安全規制関連部分について
  • 資料5‐1 環境放射能調査のあり方について
  • 資料5‐2 放射能調査研究に係る評価検討報告書
  • 資料6 放射線安全規制検討会の開催について(案)
  • 参考資料1‐1 ITERの安全確保について(平成13年8月原子力委員会)
  • 参考資料1‐2 ITERの安全規制のあり方について(平成14年6月安全委員会)
  • 参考資料1‐3 ITER施設の安全確保の基本的考え方について(平成12年7月科学技術庁)
  • 参考資料2 放射性物資の規制免除に関する報告書について
  • 参考資料3 環境放射能調査に係るインターネットによる情報公開について(環境防災Nネット(抄))

5.出席者

委員

 岡座長、飯田委員、長見委員、片山委員 木阪委員、北村委員、佐々木委員、早田委員、服部委員

文部科学省

 山元科学技術・学術政策局長、広瀬原子力安全監、青山原子力安全課長、吉田原子力規制室長、石田放射線規制室長、名雪防災環境対策室長 他

6.議事要旨

(1) 岡座長より開会の挨拶

(2) 事務局より資料の確認及び事務局(広瀬原子力安全監)の紹介

(3) 事務局より、第1回原子力安全規制等懇談会議事概要(暫定版)の確認をお願いした。

(4) 「研究炉等安全規制検討会の検討状況について」、「自主点検記録の不正等の問題への当省の対応について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。(○印:委員の発言、→:事務局の発言。以下同じ。)

  • 検査の合格基準については、研究炉についても世間に対し、こういうものが基準であると、わかるような手当てが必要。問題は社会から見たときにどのように見えるかを常に考えて、規制をやらなくてはならない。
     → 原子炉等規制法においては、維持基準という規定はなく、性能の基準になっており、性能が担保されていることを確認している。事業者の行う分解点検等の内容についても十分に検討していきたい。
  • それをあらかじめ公表しておかないといけない。
     → 公表については、研究炉の特徴を踏まえて検討していきたい。
  • 解体廃止過程にある原子炉では、核燃料取扱主任者、第1種放射線取扱主任者でもいいとあるがどういうことか。
     → 原子炉主任者免状を持っている人がいなくても、核燃料取扱主任者免状を持っている人がいればいいのではないかということ。
  • 保安検査はまだ確立したものでなく、日々改善していくべき性格のものだと思う。事業者との信頼関係も大事であり、単に検査というだけでなく、協力していく点も必要。
     → 今のやり方が一番適当かどうかは、今後も検討が必要な点だと思う。この保安検査をどううまく活用していくかが、今後の安全規制で重要であると考える。
  • 申告制度の対応整備とは具体的にどういうことなのか。
     → 申告を受けた場合には、まず文部科学省内に原子力安全監をヘッドとする調査チームをつくり対応する。また、外部の委員からなる調査委員会を設置することとしている。調査委員会については、現在設置のための準備を進めているところ。
  • 定期安全レビューに関しては30年経ってからはじめてするのではなくて、10年ごとに振り返り、こらから先の10年後の運転管理のあり方等を考えていくものが本来の形であろう。
     → 定期安全レビューに関しては、研究炉には全く実績がない。まずどのような形でやっていいったらいいか検討したいと思っている。その第1段階としてJMTRをモデルとしてやっていく。
  • 研究炉の一覧表を見ると、出力の違いが大きい。一概に研究炉が小さいとか、熱的な条件が厳しくないと言うが、この差をきちんと考えてた上で自主点検は大丈夫だったということか。
     → 自主点検については炉の出力の違いを考えていろいろ検討したわけではない。17の事業者すべてに対して、自主点検作業が適切に実施されているかどうか、又は記録が正しく作成されていたかに対し、全体的に確認させたということである。

(5)「ITER安全規制検討会の検討状況について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

  • 国内法はつくらないと考えていいのか。
     → ITERの規制の問題で、とくに我々が心配しているのは物納の機器がある点。どのような形で各極からの物納品の品質を保証するかという点が問題としてあり、そのための答えをこれからつくっていかなくてはいけないと考えている。ホスト国の国内法体系に従うということで、現在調整が進められている。
  • 品質保証の体系も含めて、安全規制サイドとして、安全を確保していくための体制を国際機関に対してどうのように要求していくのか。資料4‐2では、どのような体制で安全を担保していくのかについての視点が足りない感じがする。
     → どのような体制を求めることが適切であるかについて、これから十分に検討したいと考えている。
  • 廃止はホスト国が全責任を負うのか。
     → 解体にはかなりの時間を要する。その間、国際的な機関を維持していくことは、現実的ではないということから、建設、運転の段階で、廃止の措置に当てるための資金を積み立て、解体の実際の作業は、ITERを設置したホスト国でやるというのが、現在進められている交渉での考え方である。参加している各国は、この考えを受け入れている。
  • ITERは実験装置なので、実験をしていくうちに予め予想していた性能と違う性能を出すかもしれない。その度に、例えば申請、設置変更などを行うと時間がかかり、国際的に文句を言われる可能性があるのではないか。
     → ITERについては、概念設計、工学設計と、10年以上にわたって活動が行われてきている。基本的な設計は完了しており、これからサイトが決まってサイトに依存する設計を考えることになる。これまでにされた技術的な蓄積が十分あるので、我々のほうで予習することが可能であろうと考えている。申請書が出てからはじめて物事を考えるということではないよう検討しなくてはいけないと考えている。座長のご指摘のとおり、ITERは実験装置であるから、柔軟な規制を考えるべきと考えている。そのため、規制は、国際的に見ても、合理的かつ科学的に行われていることを示していく必要があると考えている。

(6)「我が国の環境放射能調査のあり方について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

  • 内容については2名の本懇談会委員を含む検討グループで検討したものだが、核実験の影響が下がってきているので調査を適正規模にする、また、原子力潜水艦等の寄港に対応した調査を充実するということなどがポイントである。ただし、もちろん適正化する調査についてもある程度の規模を残す必要はあるということである。
  • JCO事故時のように何かあったときに初めて説明しても一般の方に納得してもらうのは難しいので、普段から適切な知識を一般の人と共有していくことが必要。情報公開はもちろんのこと、基本的な知識を持ってもらうための積極的広報活動が必要。
  • 自然放射性核種の調査はどのような体制で行うのか。現状では体制があまりできてないと思う。
     → ラドンの調査については現在までの分析試料数では不十分である。諸外国のように簡便な測定器を使用したり、各県の協力を得たりして調査を拡大していく必要があると考えている。今後検討していきたい。
  • 環境放射能調査は研究として論文になりにくい、高い評価を受けにくい分野である。国としても重要な課題であると認知いただければありがたい。

(7)「放射線安全規制検討会の開催について」事務局より説明の後、委員より意見、質問があった。主な意見及び質問は以下のとおり。

  • 「専門家による具体的な検討を行うため」にとあるが、専門家に限定されて開かれるのか、それとも非専門家も含めて議論するのか。
     → メンバーについては検討中だが、放射線防護の専門家、主に安全管理をしているユーザーの方、産業界の方に入っていただきたい。
  • (2)の「放射性同位元素管理体制の充実に関すること」とは、どういうことを考えているのか。
     → 放射線審議会で検討された免除レベル、その他の項目について取り入れていくことが主体だが、同時に、現行の障害防止法の中で直すべき部分もある。また、免除レベル取り入れによる、現行管理体制に及ぼす影響も含め検討する必要がある。
  • 途上国では時々問題が起こっており、ブラジルでは廃棄物にいってしまったりしているが、何か考えはあるのか。
     → それは、IAEAでも検討されており、我が国も意見を聞かれているところ。今後、検討していきたい。日本では、比較的小さい線源がスクラップ等から発見されることがあるが、一般の方々に影響があったことはなく、ブラジルで起こったような大線源が転がされているようなことは、現状としてはないと考えている。
  • 我が国における放射性被ばく事故はほとんどRIに起因するもので、原子力の事故に伴うものというより、むしろ放射性物質の取り扱いに伴う。原子力・放射線の取り扱いに伴う安全規制の共通的な基盤の部分でもあり、それについての考え方もいただきたい。
     → BSSの免除レベル以外の部分についても検討する。一つとして、医療関係では厚労省ともコンタクトをとっており、具体的には埋め込みで刺入の線源について、病院から出るレベル等について検討しつつある。
     → RI関係のトラブルは、大きくは3種類あり、1つはRI施設関連の火災トラブル。これについては、RI施設若しくは近くで火災があった時、どう対応していくかという体制を整備していきたい。もう一つは、「わき出し」で、色々な形で使われていたRI等がスクラップや古い工場の中で見つかったりする。これは、安全管理の観点から適切に対応し、然るべき機関に適切に引き取ってもらう体制を作りたい。三つ目は、医療関係の放射線トラブル。最近、過剰放射線照射で、幾つかの病院でトラブルになっている。基本的には医療行為でRI法の対象外なので、厚生労働省の方で対応していただくことかと思う。科学的な検討をやっていただいたが、規制が厳しくなるもの、緩和されるものがある。それをどう規制に取り入れていくかが、大作業になるのではないか。関係法令も、RI法、原子炉等規制法、医療法、薬事法等、多々ある。関係省庁と連携をとりながら、検討会で検討していきたい。ただ、1990年のICRP勧告に基づくIAEAの検討結果を、放射線審議会で検討していただいたものなので、長い時間をかけてやるのではなく、合理的検討により一定期間内に結論を得たい。

(8)次回の予定について事務局から説明。

(9)岡座長より閉会の挨拶

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科学技術・学術政策原子力安全課

(科学技術・学術政策原子力安全課)