試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第3回) 議事録

1.日時

平成22年3月30日(火曜日) 9時30分~12時30分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
(住所:東京都千代田区霞が関3‐2‐2)

3.議題

  1. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について
    • (1)試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの整理
    • (2)耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について(コメント回答を含む)
    • (3)京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックについて(報告)
  2. その他

4.配付資料

  • 施設・構造3‐1 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの整理(案)
  • 施設・構造3‐2 施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの回答
  • 施設・構造3‐3 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(機器・配管系(7.燃料要素)の耐震安全性評価)
  • 施設・構造3‐4 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックについて(報告)

参考資料

  • 参考‐1 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第2回)の速記録

5.速記録(施設・構造サブワーキンググループ(第3回))

試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第3回)

平成22年3月30日

【鎌倉保安管理企画官】
 おはようございます。時間になりましたので始めさせていただきたいと思います。
 委員の先生方におかれましては、朝早くからの会合にご出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の進行は二ノ方主査にお願いしたいと思います。それでは、先生、よろしくお願いします。

【二ノ方主査】
 おはようございます。
 それでは、第3回施設・構造サブワーキンググループの会合を開催させていただきます。
 本サブワーキンググループは公開となっておりますので、発言は私の指名の後に行っていただきたいと思います。
 また、傍聴される方には円滑な議事進行にご協力いただけるように、よろしくお願いします。
 本日は、可能であれば、原子炉建屋及び機器・配管系の耐震安全性評価に対して、本サブワーキンググループにおける妥当性評価の確認を取りまとめたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料の確認を、事務局の方からお願いします。

【益田係員】
 それでは、配付資料についてお手元の議事次第に従いまして、ご確認をお願いします。
 施設・構造3‐1として「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの整理(案)」、施設・構造3‐2として「施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの回答」、一緒に綴じ込まれておりますが、施設・構造3‐3として「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(機器・配管系(7.燃料要素)の耐震安全性評価)」、施設・構造3‐4として「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)の耐震安全性評価の妥当性確認に係るクロスチェックについて(報告)」です。

参考資料として、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第2回)の速記録」を配付しております。
 不足等がございましたら、事務局までお申しつけ願います。
 また、資料、速記録等については、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくことになっていることを報告させていただきます。
 なお、傍聴者の方々におかれましては、参考‐1の速記録については、当省ホームページに現在公開されていますので、そちらのほうをご参照願います。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 資料の過不足がないようでしたら、議題へ移りたいと思います。
 最初の議題は、議事次第の1.(1)にありますとおり、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第2回)における主なコメントの整理」でございます。
 和田委員は、ご都合により途中退席なさるということなので、議事については、和田委員がいらっしゃる間に出来る限り建屋関係の確認を行い、その後、機器・配管系の確認を行いたいと考えております。
 したがって、コメント整理表についても、先に、原子炉建屋に関連する事項についてお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。

【林安全審査官】
 事務局のほうから説明させていただきます。資料は施設・構造3‐1になります。
 前回の議事内容における重要なポイントを説明させていただきます。
 入力地震動にかかわる内容については、7ページから8ページまでとなっておりますが、前回、入力地震動レベルについて京都大学からコメント回答がなされております。8ページ、回答の欄の一番上の部分から確認させていただきます。
 「入力地震動については、国交省告示で規定されている高層建築物の時刻歴応答解析に用いる地震動レベルと比べ2倍程度、2.種地盤相当の地盤増幅を考慮した場合でも1.5倍程度と、大きな加速度レベルとなっている。また、設計当時に用いた水平震度0.3と、入力地震動に対する応答値並びに保有水平耐力の比は、現行の建築基準法における1次設計及び2次設計で規定されている標準せん断力係数と同程度となっている。」という回答でした。
 それに対して、中段から少し下の部分になりますが、委員から、「本SWGでのコメント回答の内容は、設計当時の地震動レベルに関する考え方を示したものではなく、耐震バックチェックにおける再検討の結果として、地震動レベルの程度について説明したものとなっている。」との確認がなされております。入力地震動レベルについては、このような内容になっております。
 8ページ下段から9ページ上段にかけては、原子炉施設の耐震安全性という観点からは、少し外れた内容になっておりますので、ここでの報告は省略させていただきます。
 9ページ中段、「1.建屋・構築物」、「原子炉建屋」の「地震応答解析モデル」のところになりますが、第1回での内容ですが、「シェル状の構造は同一変形にならないため、質点系に置き換える場合は、設定した仮定条件等、質点系モデルの妥当性について説明する必要がある。」とコメントがありました。
 これに対して、第1回では「概ね、同一変位となっていることを確認している。」との回答でしたが、第2回においては、「前回SWGで提示した円筒形部分をフレキシブルな非剛床モデルとして水平力を与えた場合における、各節点の最大応答値は5%以内におさまっていたが、その結果は、同時刻における応答値ではなかった。そのため、改めて確認したところ、同時刻による応答変位の相対差は25%程度生じている。」としております。
 第1回では、「同一変位となっている。」との回答に対して、「屋根版のところは理解出来るが、その下の部分は、同一変形とならないと思う。円筒形の壁変形も考慮するべきではないか。」とのコメントを受け、これに対し、京都大学からは梁があるとの回答でしたが、第2回においては梁の効果が十分でなかったため、梁を除き再度検討したとの回答内容になっております。
 10ページも、円筒形の壁の振動性状についてのコメントと回答ですが。
 第1回の、「全てをフレキシブルとし、構造物の地震時挙動を説明する必要がある。」とのコメントに対し、第2回において、「剛床モデルにおけるモード解析より、1次及び4次モードの有効質量比が9割程度を占め、応答に大きく寄与している結果となっている。非剛床モデルでは、1次、2次、16次及び24次モードが応答に大きく寄与し、変形は主として円筒形壁の水平ずれが支配的となっている。なお、前回SWGにおいて、ご指摘を受けた壁の局部的なへこみやたわむような変形は、3次及び4次モードにあらわれるが、これらのモードに関しては、このような部分を押す力に対しては鋭敏にあらわれるが、基礎からの入力動に対しては鈍感で、全体に対するモード寄与の割合は少ない。なお、屋根版をフレキシブルとした影響により、近接したモードも多数あらわれている。屋根版自体については、剛床モデル同様、非剛床モデルの各モードにおいても、比較的、剛体的な変形となっている。」とのコメント回答でした。
 さらに委員からは、「剛床モデルにおける2次モードは、1次モードを90度回転させた変形となっているが、有効質量比の値が異なる理由は。」という質問があり、これに対し、「低層部の建物形状が点対称ではなく、その形状に合わせた解析モデルとしているためと考えている。」との回答でした。
 11ページは、「非剛床モデルにおける3次及び4次のモード図において、屋根版の変形は、壁端部の変形に追従していないが、どのような境界条件になっているか。」と質問を受け、壁の変形だけを拡大表示したとの回答でしたが、さらに、「表示されたモード図では、屋根版の端部は何らかに支持されているように見えるため、説明時に受けるイメージも変わってしまう。そのため、拡大率は水平方向及び上下方向を同一に設定する必要がある。」とご指摘を受け、本日、改めてコメント回答の予定です。
 つづいて、剛床仮定についてですが、「剛床仮定を考慮せずに解析したモデルから、質点系に置換する場合は、解析結果における各節点の変位について、その変位差の程度、及びその対応を説明するべきである。」とのコメントを受け、第2回において、「応答変位の相対差は25%程度生じていることを確認している。なお、非剛床モデルよりも、剛床モデルによる固有周期の方が、応答スペクトルのピークとなる周期帯に近いため、最大応答加速度としては、剛床モデルの方が大きくなる。そのため、屋根版モデル及び機器・配管系への入力動としては、剛床モデルの値を用いる方が安全側の評価となる。一方、相対変位差の影響は、壁及び屋根版に作用する曲げ応力等にあらわれると考えている。」との回答でした。
 その下段に、「地震力の作用方向と、直行方向の壁において相対変位差が25%程度生じているため、建屋全体の変形(一体的な変形)に加え、壁自体の変形(個別な変形)もあると考えられる。壁自体の面外方向に生じる曲げモーメント等も生じるため、リテーニングウォール的な効果について検討を行う必要がある。」とコメントを受けております。
 これに対しても、本日、コメント回答の予定です。
 12ページの中段になります。
 剛床仮定という観点についてご確認いただいておりますが、解析プログラム中の剛床仮定の仮定内容について、「建築構造分野で取り扱われる剛床仮定とは、水平変位に関しては、平面的な形状は保つが、上下方向に関しては自由に移動するとしている。一方、原子炉施設の構造分野では、水平変位に加え、回転に関しても面を保つよう仮定されているようだが、今回の解析は、どのように設定されているのか。説明からは、架空の中心に1つの自由度の項を設け、そこに水平・上下方向の全てを載せ、1次従属で表しているモデルと印象を受けた。」と質問を受け、この内容についても、本日コメント回答の予定です。
 13ページ「建屋減衰」の部分ですが、「採用した減衰定数については、全てのモードに対して一定とし、高次モードに対応させるよう、高い減衰定数とはしていないか。」との質問に対し、「同一の値としている。」と回答し、さらに、「高次モードに対応し、高い減衰定数を与え解析した場合、得られる解は、現状の解析結果と全く異なるため、その旨を、資料等に記載しておくこと。」とのご指摘を受けました。
 14ページ、「耐震壁の最大応答せん断ひずみ」のところになります。
 円筒形の壁における面外方向の応力についてコメントを受けており、この項目にまとめることは適切でないかもしれませんが、それについて説明させていただきます。
 「円筒壁の面外曲げ応力の検討において、強制変位として与えた応答変位は、フレキシブルな非剛床モデルによる結果か、前回SWGで説明された剛床モデルによる結果か。」とのコメントに対し、「前回SWGの剛床モデルでの結果である。」と回答され、さらに、「剛床仮定に基づき解析した変形量は小さいため、実際のリテーニングウォール的な効果を考慮し、円筒形の変形を、適切に検討するべきである。」とのコメントを受けております。
 また、「強制変位により与えられた変位は、ある時刻での応答変位か、または、最大応答変位か。」とのコメントに対し、「各部の最大応答変位である。」との回答でした。さらに「強制変形から得られる面外の応力以外に、架構全体としてシェル構造の引張力の影響は考慮されているか。」との質問があり、「検討の内容は、曲げモーメントだけとなっており、鉄筋への影響等は考慮していない。」との回答でしたが、最後に、「円筒形が全体として曲げ変形すると考えているため、引張力の作用に加え、リテーニングウォール的な変形が作用している。」とコメントされております。
 これらに対しても、本日、コメント回答の予定です。
 最後に、剛床仮定成立が評価全体に与える影響について、ご議論いただきましたので、項目として追加させていただきました。
 「壁面から控えを取っている重要な機器等はあるか。」との質問がなされ、つづけて、評価全体に与える影響として、「重要な機器等に作用する慣性力を応答加速度から算出するという観点では、壁から控えを取っている重要な機器が無ければ、剛床仮定を考慮する必要はないが、壁自体の崩壊、ひび割れの程度、地震時における壁自体のリテーニングウォール的な変形、シェル構造における軸力の影響等を検討するのであれば、考慮する必要がある。」とされ、京都大学からは「原子炉建屋は単にシェルター的な役割であり、重要な機器等は全て1階の床の支持となっている。」との回答をいただいております。
 これら円筒形の振動性状については、クロスチェックにおいて少し詳細なモデルにより検討しており、クロスチェックの報告で詳細を述べさせていただきます。
 続きまして、15ページになります。
 原子炉建屋として最後の項目になりますが、「屋根版」のところになります。
 屋根版の断面照査の部分です。第1回で、「常時荷重時と地震時荷重時の応力状態の推移状況を把握する必要がある。」とのコメントに対し、第2回において、「M‐Nイントラクションカーブによって、長期荷重時から上下方向の地震荷重、更に、水平方向の地震荷重の応力の推移を確認し、円周方向における長期及び地震荷重時の応力は、長期及び短期許容限界曲線に対して、余裕度があることを確認している。」との回答となっております。
 原子炉建屋の部分の重要なポイントのみ報告させていただきました。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明について、何かご意見、ご質問等ございましたら、よろしくお願いします。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題「耐震安全性評価の中間報告」でございます。前回サブワーキンググループにおける主な論点の整理及びその対応について、ご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【釜江先生】
 京都大学の釜江でございます。よろしくお願い申し上げます。
 本日は、先ほど事務局から、ご紹介ありました第2回施設・構造サブワーキンググループでの質疑応答の中から、4つのコメントに対する回答についてご報告させていただきます。

【上林先生】
 それでは、前回のコメント回答として、資料3‐2について説明させていただきます。説明は同じく、原子炉実験所の上林が説明させていただきます。
 最初に、前回から時間もたち、先ほど、事務局から報告がありましたが、改めて、コメントの整理をさせていただきます。4つのコメントのうち、最初の2つをここに記述しております。
 1つ目は、建屋‐屋根一体部材要素、今回、弾性FEMに基づく非剛床モデルによる固有地解析を行っております、それに基づく固有モード図において、前回の資料、施設・構造2‐2の7ページを示しておりますが、このようなところで、壁は局部的にへこむような変形がありましたが、屋根版は壁のこのような変形に関係なく剛体的になっているようでしたので、その理由について調べることというコメントでした。
 2つ目は、先ほどのFEMモデル非剛床モデルに対する地震応答解析の結果、壁には面外方向の慣性力が作用し、面外方向の曲げモーメント等の応力が発生する、これらの応力は、円筒壁の円周水平方向に伝わる応力と、基礎の方へ下降する応力とに分解され、これらの割合について少し考察することというコメントでした。
 3つ目は、先ほどのコメント1.で、壁が局部的にへこむような変形があらわれる非剛床モデルにおいて、前回は、質点系モデルの応答解析結果に基づく各層の水平変位を強制変位として、弾性FEMモデルの外力として与え、円筒壁に発生する曲げモーメントについて、この検討では基礎の方へ下降する曲げモーメントとなりますが。この応力を基にした断面照査を行っておりますが、前回は曲げモーメントのみの検討だったため、軸力も加えて検討することというコメントでした。
 4つ目は、復元力特性設定時の静的増分解析において剛床仮定が設けられておりますが、この剛床仮定の設定内容として、各節点に取り付く部材モデル毎の剛性等により、各節点の鉛直変形が、接点毎に単独に変形するようなものか、あるいは、同一構面として一律な変位となるものかを確認することというコメントでした。
 早速ですが、1つ目のコメントについて説明させて頂きます。
 これは前回お示しした資料ですが、剛床モデルと非剛床モデルの2つのFEMモデルについて、剛床モデルの1次固有周期は0.0749秒、非剛床モデルは0.083秒となっております。 
 先ほどお示しした、壁だけがへこむような変形となる原因は、各節点における上下方向の変位を、強制的に拘束する条件となっていたためです。今回は、拘束を解除した条件でモード図をお示ししますが、このような設定の場合、壁が局部的にへこむような変形においても、屋根版は剛体的になっているため、この箇所が急激に変化するような形状になります。
 これらFEMモデルは、各節点に形状関数があり、実際は屋根版と壁との節点のところでは、ある角度を保持するよう設定されていると思いますが、図の表現上の問題として、各節点同士を結ぶような表現となっているため、この箇所で折れ曲がるように見えるのだと思います。これは表現上の問題ですが、何より一番は、上下方向の変位を拘束した設定となっておりましたので、今回、この拘束を解除した上で固有値解析をやり直しました。
 これが、その結果になりますが、これは非剛床モデルにおける固有モードで、1次モードは屋根版が壁と一体となり上下変形するようなモードで、固有周期0.1136秒となります、今回、対象とする水平応答にかかわる最小モードは2次モードで、このような形状で固有周期0.0973秒となり、拘束を解除したことにより、固有周期が少し伸びております。
 以前は、壁が局部的にへこむようなモードがありましたが、上下方向の拘束を解除したことにより、90次位までは、あれだけ極端にへこむようなモードはなく、屋根版と一体となって変形することが、今回、訂正した資料に示しております。
 この内容がコメント1.に対する回答ですが、上下拘束されたモデルから固有周期は0.0973秒となり、約14%伸びた結果となっていることを、追加的にコメント回答に加えさせていただきます。
 参考までに、剛床モデルも同様に上下拘束されていたため、これに関しても解除したモード図をお示しします。これは剛床モデルのため、先ほどのモード図とは少し異なる形状となりますが、拘束した固有周期0.0749秒から0.0855秒と、こちらの固有周期も約13%伸びております。
 なお、この固有周期の内容は、この後のクロスチェックの報告でも、事業者側の固有周期として比較されておりますが、そちらの記載は、前回までの固有周期となっているため、今回の結果と比較いただければと思います。
 また、後ほどクロスチェックの報告の際に、改めて、申し上げたいと思います。
 コメント2.ですが、ご質問は、円筒形壁に生じるダワダワした変形に伴う応力が、円周方向に伝わるのか、鉛直下方に伝わるのかということについて、それらの応力の比率として考察しております。
 この左の図では、FEMのグリッドを示しておりますが、力の方向は、こちらをX方向とし、最も大きな面外曲げモーメントとなる壁の要素を抽出しております。
 剛床が議論となっており1階床面よりも上部の壁部分を、このように黄色で塗りつぶしております。
 右の表は、壁要素の各成分の応力を示しておりますが、ここでの表記は、縦軸をY方向とし、軸力をFyyと、その方向において作用する曲げモーメントをMyyとし、これが基礎側下方へ伝わる曲げモーメントと軸力としております。
 これに対し、円周方向に伝わる曲げモーメントをMxx、軸力をFxxと表記にしております。

【和田委員】
 説明の途中ですが、どのような荷重を作用させたのですか。

【上林先生】
 入力地震動をFEMモデルの基礎部分に入力しております。

【和田委員】
 動的な地震動として作用させたのですか。

【上林先生】
 そうです。

【和田委員】
 この曲げモーメントについては、どのようにされているのですか。

【上林先生】
 曲げモーメントについては、屋根版周辺の節点が最大応答変位となった時の値としております。

【和田委員】
 動的な解析として、弾性FEM解析をしたということですね。

【上林先生】
 そうです。

【和田委員】
 質量は、全体に分散しているのですね。

【上林先生】
 分散させ、一応、分布質量系としております。

【和田委員】
 1032等の番号は、節点番号ですか。

【上林先生】
 1000番台が節点番号で、300番台が要素番号になっております。

【和田委員】
 そうですか。左側にはFEMモデルの条件設定が示され、右側は応力の表ですね。わかりました。

【上林先生】
 右側の表の上段が、円周方向に伝わる曲げモーメントMxxとなっており、下段が基礎側下方に伝わるMyyとなっております。
 応力の値は、要素四隅の各節点と中央で5点出力しております。
 この表の見方ですが、節点番号の右側が、非剛床における最大応答変位時の応答値で、その右側が剛床仮定での応答値です。今回は、非剛床による付加的なダワダワ感を考察するという目的で、これらの差を、この右側に表記しております。
 下段のMyyに関しても同様に行い、Myyの差に対するMxxの差の比をとり、右端の表としております。
 この比率は、1を上回ると円周方向に伝わる曲げモーメントの方が、基礎側下方に伝わる曲げモーメントよりも大きいことになりますが、上部の黄色で塗られた箇所については、最も大きな比率で、屋根版が接続されている部分で8割程度と、下方に伝わる部分と円周方向に伝わる部分の割合としては、ほぼ1に近い状態となっております。
 これ以外については、おおよそ5割程度以下で、全体としては、円筒形の基礎側下方に伝わる方が大きくなっていると解釈をしております。
 なお、この曲げモーメントは、単位幅当たりの値として計算しております。
 続きまして、ダワダワと変形する円筒形壁の断面照査として、非剛床モデルによる円周方向に伝わる曲げモーメントと、壁の耐力とを比較しております。
 これは、先ほどの円周方向に伝わる曲げモーメントMxxと軸力Fxxの関係を、N‐Mインタラクションにプロットしております。
 左上の図から、屋根版に近い要素375と、1つ下の373になり、1階と2階間、基礎部分となっており、今回、ここでは短期許容と、終局耐力で表記しております。終局耐力については、鉄筋の短期許容応力度の1.1倍の値を用いて、終局のN‐Mインタラクションを描いております。
 発生応力値として、二隅と中央の値をプロットしております。
 壁の大部分はゼロの近傍か圧縮側ですが、屋根版に近いところでは引張側となる応力もあり、非剛床モデルにおける円周方向に伝わる曲げモーメントと軸力の関係による断面照査によって、壁要素のいずれも短期許容値以下であることを確認しております。
 ただし、ここでは壁要素のみをモデル化しておりますが、実際には、壁要素の円周間には梁形があるので、大きな引張力の作用する最上階の屋根周りにはリング梁Tscがあり、軸鉄筋15‐D22を短期許容引張力に換算すると1,712kNになります。
 ここ部分で約500 kNのため、このリング梁を考慮することにより、安全側に評価できる結果となります。これは参考としてお示しいたします。

【和田委員】
 壁・屋根版の自重である固定荷重による軸力も、壁に作用していると思いますが、それらはこのグラフに反映されていますか。

【上林先生】
 ここでの検討は、短期荷重時のため、固定荷重も含まれた形となっております。

【和田委員】
 要素369の方が、要素375、373より下方にある壁ですよね。
 下方にある壁は、壁厚も厚くなり壁自重も上部よりも重く、支えている荷重も大きくなります。縦軸が見え難いため良く分かりませんが、縦軸が軸力を示すのであれば、要素375、373より、下方にある要素369の方が大きな値で、その軸力を中心に地震時に振れてないと不自然ですが、誤りではないですか。

【上林先生】
 この図は、円周方向の軸力と曲げモーメントの関係になります。

【和田委員】
 そうですか。縦方向の応力は確認していますか。

【上林先生】
 この後の、コメント3.の回答のところで報告させて頂きます。

【和田委員】
 わかりました。それでは、軸力はフープテンションを示しているわけですね。

【上林先生】
 そうです。円周方向における引張力、ある程度引張力が生じておりますが、1階床付近では、床スラブがあるため引張力は生じておりません。

【和田委員】
 床スラブで拘束されているということですね。

【上林先生】
 はい。そう解釈しております。

【和田委員】
 わかりました。

【上林先生】
 続きまして、先ほど和田委員からございましたコメント3.に移りたいと思います。
 今回、外力を修正しております。
 前回は、先ほど少し説明したように、質点系モデルの弾塑性応答解析における最大応答変位を、弾性FEMモデルの各フロアレベルに強制変位として作用させましたが、弾性モデルに、弾塑性応答による応答変位を反映したところ、相当大きな応力になってしまいました。
 今回は、前回の応答変位から、最大応答せん断力から求めた外力に変更しております。こちらがその値で、最上階の8,651kNから1階床レベルでは56,363kNとなっております。
 このように、静的な水平力を作用させた場合のFEM弾性モデルの変位を赤色のワイヤーフレームで示しております。この解析によって得られた曲げモーメントと軸力について断面照査したものが下段の表になっております。

【和田委員】
 せん断力を、このような矢印で表示されると分かり難くなります。これは水平力ですか、せん断力ですか。

【上林先生】
 すみません。水平力に換算しております。

【和田委員】
 それでは、ここの表示は、せん断力と記載しては不適切です。加えて、このように建物の端部に水平力を作用させた場合、壁が壊れてしまいます。したがって、この水平力は、周辺の質量分布に合わせ分散させたことを記載しておく必要があります。今後、注意して下さい。

【上林先生】
 失礼しました。ご指摘のとおり、水平力をその質量分布に合わせ作用させており、これらの内容は最終報告書で反映させます。

【和田委員】
 しかし、ダワダワした変形となるため、屋根版にも上下方向の加速度が作用しますが、その辺はどのように検討されておりますか。この図を見てもわかるように、シェルの構造物が横に動くと、屋根版全体が上下振動することはありませんが、このように波打つようになります。それはクロスチェックの方でも変形図等で示されているとおりです。
 したがって、静的な地震力として作用させる場合は、屋根版にも上下方向の力を作用させるべきです。この変形図でもそのようになっており、変形しているということは、慣性力が作用していることになります。
 一般的な建築物で用いられるせん断系モデルの振動解析の概念によって、シェル構造を解析しようとしているため、地震時挙動を適切に評価できないでいるようです。

【上林先生】
 すみません。今回は、壁の縦方向における応力に着目した検討としております。

【和田委員】
 そこに注目しているから、問題がないと言えば、問題ないのですが。

しかし、ご提示の図においても、屋根版の左側がめくれ上がり、右側が下がるような変形となっています。屋根版にも慣性力が作用しているため、実際にもこのような変形になると思います。

少なくとも、表示は訂正して下さい。

【上林先生】
 はい。わかりました。

【和田委員】
 どの程度の震度換算になっていますか。

これも弾性解析による検討なので、検討の目的は、力の流れ方の確認か、耐震安全性にかかわる確認かどちらですか。

【上林先生】
 基礎側下方に伝わる軸力と曲げモーメントについて、前回、曲げモーメントのみの検討だったため、軸力を検討に加わった場合の余裕度というか、許容値に対する確認です。

【和田委員】
 一応、耐震安全性を確認する目的もあるのですね。

【上林先生】
 はい。そのような目的を含んでおります。
 それでは、説明を再開させていただきます。
 まず、上部の壁要素375、373については、長期荷重時の軸力の方が水平荷重時の引張力よりも大きいため、その差をとっても、短期荷重時の軸力としては圧縮側となります。短期曲げモーメントについては、鉄筋のみを考慮した許容曲げモーメント、Ma’=at・ft・jの式から算出した41kNm/m以内となっており、上部については、それぞれ許容値におさまっております。
 下部の壁要素については、水平荷重時の引張力が長期荷重時の圧縮力を上回るため、次の図に示すN‐Mインタラクションに基づき断面照査を行っております。左側のN‐Mインタラクションを拡大したものが右図となっており、そこに発生応力をプロットしております。
 1階の壁については、発生応力はこの赤色かける印になりますが、このラインに近接しており、上段の解説にあるとおり、壁要素369、1階の壁となりますが、短期引張力は376.4 kN/mとなり、鉄筋の負担する短期許容引張力の375kN/mに対して、若干、上回る結果となっております。
 次に、終局引張力として、短期許容応力を1.1倍し412kN/mとなり、この値を含む終局耐力のN‐Mインタラクションと比較し、この赤色かける印が終局耐力以内におさまる結果となります。
 参考値として、コンクリートの引張強度(fc/15)を考慮すると480 kN/mとなり、この青色三角印、ここにプロットされます。
 さらに、地下壁については、同様の計算を行い、発生応力は短期許容以内におさまっております。
 軸力と曲げモーメントの関係で確認した結果、一応、終局耐力以内におさまっております。

【和田委員】
 弾性解析による応答結果ですか。

【上林先生】
 そのとおりです。

【和田委員】
 したがって、弾性解析では、応力は上限無くリニアに算出されるため、厳しい側の検討をしたということですね。

【上林先生】
 はい。そのとおりです。
 最後、4つ目のコメント回答として、静的増分解析における剛床仮定の仮定内容についてです。水平方向については第1回から剛床として説明しておりますが、各節点の鉛直変形が、節点毎に単独に変形するような設定となっているか確認しました。
 先ほどの図でも見ていただいたとおり、1階の床部分において、このような床スラブの変形があらわれ、フレキシブルに床が面外方向に変形するような剛床仮定として、すべて計算しております。
 以上が、資料3‐2についてです。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 説明の合間に、和田委員からのコメント、ご質問をいただき、その都度、ご回答をいただいたと思いますが、その他にいかがでしょうか。

【和田委員】
 これまでに、さまざまな固有周期をご報告いただきましたが、実際の常時微動測定等で測定された1次固有周期は、ご提示いただいた値のどれに整合しますか。

【上林先生】
 常時微動としては、卓越周期として非常に高い建物であったため、明瞭な分解能のある部分は確認できない状況でした。実測値との比較については、このような状況でしたが、今回お示しした固有周期は、前回までの1階部を固定とした質点系モデルよりも少し堅め目となっております。この質点系モデルにおける固有周期(0.11秒程度)は入力地震動の卓越周期側に寄る形となり、逆に、このFEMモデルではピークから短周期側に外れるため、入力地震動としては小さくなります。
 固有周期の差については、正確な検討は行っておりませんが、おそらくFEM立体モデルと、壁と柱要素に置換した弾塑性モデルの違いと解釈しております。

【和田委員】
 建物が堅過ぎて卓越周期がわからなくても、屋根版に3成分の加速度計を設置することによって、地震動には関係のないモード位ですが、屋根版程度はわかると思います。なお、今回の検討では、測定する必要はないと思いますが。

報告していただく度に、提示される固有周期が異なるため、実際の固有周期としてはどの程度かと思い、最新の加速度計を設置すれば分かるのではないかと思いました。私自身、実際に測定した経験が無いため、実際にどの程度かはわかりませんが。

【上林先生】
 わかりました。今後の検討課題としておきます。

【和田委員】
 折角、このようにさまざまな検討を行っておりますが、どれも手探りのようになっております。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 藤田委員、上之薗委員はいかがですか。

【上之薗委員】
 なぜ、コメント2.の回答で行った解析で、コメント3.の壁要素の鉛直方向に生じる力の検討しなかったのですか。8ページと10ページの回答では、異なる解析方法となっております。

【上林先生】
 前回のコメント回答では、コメント3.で用いたモデルにより曲げモーメントのみの検討を行い、今回の回答は、前回の結果と、鉛直方向の軸力を加えた結果の差異をお示しすることが、本日の主旨と考えておりました。
 一方、コメント2.では壁のダワダワ感を確認するために動的解析を行う必要がありました。このように、2つのコメント回答の主旨が異なるため、別々に検討した形となっております。

【上之薗委員】
 そうすると、コメント2.のダワダワ感を検討した動的解析と、コメント3.の縦方向の軸力を検討した静的解析では、縦方向の曲げモーメントMyyと軸力Fyyの値は、同じ程度となっていますか。

【上林先生】
 コメント3.は、今回も静的な力として作用させており、コメント2.の慣性力は小さめ目の値でしたので、コメント3.の方が大きな外力とし厳しくなっております。

【上之薗委員】
 そうですか。そのようであれば大丈夫です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。

【和田委員】
 先ほどの、資料中の不適切な表示をご指摘させていただきましたが、例えば、8,651kNを水平力だとし、これを最上層に分散して作用させますが、この水平力を全体の質量で徐ずると、層せん断力係数ではなくて震度となり、0.6、0.3等の数値となります。逆に、この震度に各部分の質量を乗じると水平力となりますので、「震度」として表示いただくと、非常に分かり易くなると思います。

【上林先生】
 わかりました。配分が分かるのですね。報告書に反映させていただきます。

【二ノ方主査】
 対応、よろしくお願いします。
 それでは、今後、追加のご質問、ご意見がございましたら、事務局のほうに、ご連絡をいただいて、それによって対応していきたいと思います。どうもご質疑、ご応答ありがとうございました。
 それでは、クロスチェックの報告に移りたいと思います。最初に、事務局の方から、よろしくお願いします。

【林安全審査官】
 それでは、妥当性確認に係るクロスチェックということで、資料は施設・構造3‐4になります。早速、説明させていただきます。
 スライド2が、クロスチェックの作業概要となっております。
 作業概要としては、本サブワーキンググループにおいてご指摘いただいております円筒形の壁の面外方向の地震挙動について、精密な解析モデルを用い、その振動性状を把握しつつ、事業者と同様な質点系モデルによる振動解析も行い、耐震安全性評価の妥当性を確認するものであります。
 具体的には、この作業概要に示されているとおり、動的地盤ばねについては、事業者側の実施した方法と異なる2つの方法によって比較検討を行い、その妥当性を確認しております。
 振動解析に用いる復元力特性ですが、立体モデルによる静的解析によって得られた結果と、事業者側の結果を比較し、その妥当性を確認しております。
 振動解析については、質点系モデル及び立体モデルによる振動解析を実施し、事業者側の応答結果を比較し、その妥当性を確認しております。
 機器・配管系については、事業者の方法をトレース的に計算し、その結果により妥当性を確認しております。
 検討の詳細、結果については、本業務の委託者であります株式会社構造計画研究所の担当より報告させていただきます。
 ひとまず、60ページまでの原子炉建屋の部分について、報告させていただきます。
 それでは、よろしくお願いいたします。

【説明者(梁川)】
 株式会社構造計画研究所の梁川と申します。クロスチェックについてご報告いたします。
 本資料のスライド2の作業概要については、ただいま、説明があったとおりです。
 最初に、動的地盤ばねの算出をいたしました。地盤ばねの算出方法についてはスライド3にまとめております。
 まず、事業者が行った方法としては、薄層要素法とFEMを組み合わせ、地盤ばねを算出しております。位置付けとしては、非常に複雑で精密な解法と考えております。
 なお、本資料では「事業者」と略称としております。
 クロスチェックでは比較的簡単な解法として多治見の振動アドミッタンス理論、これはJEAGに示されている方法ですが、これを「方法2」として採用しました。
 事業者側の方法との相違点としては、まず、埋め込み効果を無視していること、地盤の成層補正を行い、均質地盤に置き換えていること、円形基礎を正方形に面積等価置換を行っていることです。
 さらなる比較のため「方法3」として、静的ばねの理論解を算出しております。これは日本建築学会のこの資料に示す静的な理論解により、クロスチェックにおいて算定される動的ばねを、改めて確認する目的で採用しております。
 以上、3つの方法、事業者側の結果と比較する目的で、クロスチェックでは2つの方法を採用しております。
 スライド4に、「方法2及び3の共通事項」ということで、それぞれの共通的な条件を示しております。簡単に申し上げると、対象地盤は地震基盤GL‐184m以浅とし、地盤の物性値は、事業者が計算した収束物性値を採用しております。また、地震波についても、事業者が作成した基準地震動を採用しております。成層地盤の均質地盤への等価変換を行っており、多治見の成層補正法を採用しております。地反力分布については、2種類を比較いたしました。あと、代表変位の算出方法としては、資料に示します方法を採用しております。
 クロスチェックで採用した条件については、このようにスライド4に示したとおりです。
 スライド5に採用した地盤の物性値の具体的な値を示しております。上段の表は事業者が行った解析結果の収束値を示しており、下段の表がクロスチェック側で行った成層補正法後の等価物性を示しております。多治見の成層補正法を採用し、この6つの物性値を算出しました。
 地盤ばね算出時には地反力分布の仮定を行っており、スライド6に示しております。これはJEAGに規定されている基礎盤底面の反力分布を仮定した図です。算定では剛板分布と一様分布を採用し、事業者の計算値がどのような位置付けとなっているかを比較しました。
 算定結果がスライド7に示しており、これがスウェイに関する地盤ばね定数と減衰係数の比較を示した図です。地盤ばねについては、今回、ばね定数は振動数ゼロのところの値を、この資料では青色で丸を付けたところの値を採用しております。
 クロスチェックでの検討結果を赤色と青色で、事業者側は黒色で示しております。
 地盤ばね定数はかなり近い値が得られ、その差は10%から20%程度です。
 減衰係数は、赤色の丸で囲まれたところになり、建物の固有周期に対応する値を採用しており、X方向とY方向それぞれの周期が微妙に異なりますが、このあたりが近似的な状況となっております。減衰係数ついては、ばね定数よりも差はありますが、地盤の減衰係数としては、比較的近い値になっていると考えております。
 同様にして、スライド8、9が回転ばねと上下のばね定数を示しております。回転ばねについても同様に、ばね定数は、青色で丸を付けた振動数ゼロのところの値を採用しており、この差は1割程度となっております。回転の減衰係数は、やや差が出ますが、事業者の方が大きな値となっております。上下方向については、地反力分布の設定にもよりますが、ばね定数、減衰係数とも、かなり近い値となっております。
 これらの結果をスライド10からまとめております。スライド10は水平、回転、上下のそれぞれを、事業者の方法を「方法1」、JEAGの方法を「方法2」、静的理論解を「方法3」の3つの方法による結果を列記し、それぞれの数値を比較しており、方法3の結果を分母とし、方法1、方法2のばらつきを見るという観点でそれらの比をとっております。
 これによると、色を塗った部分が剛版分布による数値ですが、剛版分布の場合、事業者の採用した解法を、比較的簡単な理論解をもって近似することができたと考えております。今回の地盤ばね定数については、事業者が採用した非常に複雑な地盤モデルに対し、簡単な理論解、あるいは、簡単な計算方法においても比較的近い結果が得られることが確認できました。
 スライド11が地盤減衰係数を比較した表です。これも同様に、水平方向の減衰係数X、Y、回転のX、Y、上下のX、Y、と列記しておりますが、これを見ていただくと、水平のX、Y以外は比較的近い値を示しておりますが、この中で、水平方向については、方法1の3割程度大きくなっておりますが、これ以外は比較的近い結果が得られました。
 スライド12に全体の近似状況についてまとめております。先ほど申しました結果と重複しますが読み上げますと、地盤ばね定数については、方法2と3は比較的よく一致した結果となり、方法1(事業者)はクロスチェック(剛版分布)に比べ2~8%程度大きな値となった。ということで、地盤ばね定数は、かなり近い値であることがわかりました。地盤減衰係数における水平方向については、方法2と方法3のクロスチェック間では比較的近い結果となったが、事業者との間には30%程度の差が生じました。
 回転と上下については、方法3と方法1が比較的近く、4~7%程度の違いとなり、全体的には近い値の結果となりましたが、水平方向の減衰係数については、やや大きな差となっております。
 これに関しては、スライド13で、地盤ばね算出における妥当性評価として示しておりますが、地盤ばね定数については10%程度の差であるため、事業者の結果に対して、妥当性の確認はできたと考えております。地盤減衰係数については、差が30%とやや大きいため、建屋の応答に与える影響を検証しております。
 回転、上下については4~7%ということで、これも十分妥当と考えております。
 以上が、地盤ばねに関する確認です。
 今の結果を受けまして、建屋の解析に移らせていただきます。
 スライド14から建屋の解析を示しております。建屋はこのような外観となっており、直径28m、高さ19mとなっております。建屋は平面的にはこのようになっており、円筒形の部分が原子炉建屋で、1階中央部に非常に重い生体遮へい体が設置されております。
 今回、事業者のモデル化を参考にし、原子炉棟内に含まれる使用済み燃料プール等の構造物も一体としてモデル化しております。
 建屋断面としてはこのような形になっており、躯体はすべてRC構造となっており、詳細な情報は省略させていただきます。
 スライド17に、「解析モデルに対する要求項目」として、モデル化にあたり、どのような評価ができるモデルとするか、要求される項目をまとめました。
 まず、円筒形の動的・立体的挙動が評価できる弾塑性モデルとしたいと考えました。特に、円筒壁の面内・面外に対する弾塑性挙動についてです。加えて、開口位置、開口形状の反映、円筒壁と屋根版との一体性を考慮できること、各階に質量が集中していないことで、一般的な建築物と異なる架構が考慮できることと考えました。
 作成したモデルの概要をスライド18、19に示しております。
 スライド18は、静的解析モデルの概要として、事業者側とクロスチェック側のモデルの概要を示しております。
 事業者側は弾塑性モデルとして、ここでは耐震壁付きラーメン構造モデルと称しておりますが、16角形、全4層のモデルを採用しており、壁要素の面内せん断力については荒川式を採用しております。また、この検討に加え、補足モデルとして弾性FEMモデルを採用しております。
 クロスチェックでは、弾塑性モデルとしては立体モデルとし、64角形、全20層、面内せん断力はシアーパネルで、面外は格子梁モデルとしております。せん断耐力式は事業者側の採用した荒川式とは異なり、JEAGの耐力式を採用しました。
 なお、比較のために、事業者側と同様に、弾性FEMモデルを採用しております。これは固有値解析によるチェックのために作成しました。
 スライド19に、モデルの概観を示しております。これが格子梁モデルと称しているもので、64角形、全20層のモデルです。モデル化範囲は地下から使用済み燃料プールの一部を取り込んだモデルになっております。
 スライド20に、モデル化の基本方針を示しております。水平に64角形に分割し、その1要素にシアーパネルをはめ込み、その周囲を置換梁と置換柱で取り囲んでおります。置換梁と置換柱は、面内にはすべてピン接合になっており、面外には剛接合とし曲げに抵抗する形となっています。面内については、シアーパネルが主にせん断を負担し、置換柱、置換梁については軸力のみ負担するモデルとなっております。
 事業者側は、耐震壁付きラーメン構造でよく用いられる壁要素を採用しておりますが、これに対して、クロスチェック側ではこのような要素を採用しました。
 スライド21に、最も重要な項目であります、壁版の面内方向におけるせん断に関する復元力特性の比較を示しております。
 クロスチェックではJEAGで規定されている赤色の線で示す復元力特性を採用しました。基本的には3折線、2つの折点のモデルを採用しております。第1折点はひび割れ発生点として設定し、第2折点は壁のせん断耐力となり、ひび割れ耐力の1.35倍の耐力となっております。
 これに対し、一般的な耐震壁付きラーメン構造で良く採用される荒川式等による復元力特性を重ね書きすると、この下の細い青色線になり、第1折点をひび割れ発生点、第2折点を耐力と、第3勾配については初期勾配の1/1,000と設定し、比較するとこのような状況になっております。耐力点は比較的良く整合しておりますが、最終勾配は大きく異なるものとなっております。今回は赤色の線を採用しました。
 スライド22は円筒壁の置換梁、スライド23は同様に置換柱についてです。
 置換梁と置換柱については、面外方向の曲げと軸力に対し、精度良く剛性及び耐力を評価できるモデルとして、断面を面外方向に層で分割したファイバー断面を採用しております。これによって、断面の軸力と曲げのインタラクションを考慮しております。
 置換梁については、梁せいは上梁と下梁間の寸法、梁幅は壁の版厚を採用し、置換柱については、柱幅は柱間の寸法、柱せいは壁の版厚を採用しております。
 スライド24が、置換梁と置換柱の断面を構成する材料等の情報です。コンクリート断面については、板厚方向に9分割しております。
 それぞれの断面に対してコンクリートの応力~ひずみ関係を図のように与え、復元力特性はNew RC研究会での崎野モデルを採用しております。本検討では、コンクリートについては、圧縮側だけでなく引張側についても、fc /15までの引張耐力を考慮した復元力特性を与えております。
 鉄筋については、バイリニア型、材料強度は図面に記載がなく、想定し資料に示すようにSD295とSD390を採用しました。
 スライド25が、解析結果の1次の固有モードです。この図で、少し右下になりますが、方角でいうと南北方向になり、南北方向に変形している状態になり、これを主軸とし、X方向と呼んでおります。
 スライド26は、2次モードになりますが、これは先ほどのX方向と直交方向の変形で、方角でいうと東西方向になります。
 固有周期の比較としては、スライド27に記載しております。これについては、先ほど、事業者側のFEMモデルの数値が訂正されましたが、この資料では訂正前の数値を記載しております。
 まず、事業者側の串団子振動解析モデルとFEMモデルでの数値は、それぞれ表に示すとおりとなっており、クロスチェック側は下3段の数値になります。
 全体の傾向として、事業者側の串団子振動モデルについては、やや周期が長い結果となっており、FEMモデルがやや短い、堅いといいますか、短い周期となっております。それに対して、クロスチェックの方は、どのモデルも0.1秒前後の値になっております。
 今回、事業者側のFEMモデルにおける固有周期が、床剛体仮定では0.0855秒、非剛床では0.0973秒に訂正され、若干、クロスチェック側に近い値になりました。なお、訂正された内容については、報告書の方で反映したいと思います。
 この訂正により、スライドの記載内容が正しく状況を示しておりませんが、訂正された数値をもって確認すると、クロスチェック側の全般と事業者側のFEMモデルの固有周期は、全体的に近い値になっておりますが、事業者の串団子振動モデルは、これらより少し異なる結果となっております。
 それと、事業者側も、クロスチェック側と同様に壁開口等の建物形状を考慮しているはずですが、事業者側の方が形状の違いの影響を受け、方向毎に周期の差があるようです。
 スライド28は、予備応答解析結果から決定した層せん断力分布です。ここに示した数値は、今回の入力地震動に対する応答せん断力を丸めた値になっており、1階のせん断力係数は1を少し上回る値になっております。それと、上層ほど大きく最上階で1.3程度となっております。これは事業者の層せん断力とは少し異なる値ですが、本検討では、この分布形で検討を進めております。
 スライド29から、上部構造の弾塑性解析における結果の比較になりますが、まず、スライド29の太い実線が、クロスチェックの格子梁モデルにおける荷重増分解析結果です。かなり大変形まで変形させておりますが、実際の地震応答レベルは丸で囲った辺りの領域で、最初に、シアーパネルがせん断強度に達した時点を破線で示し、確認保有水平耐力と呼んでおります。
 事業者側のモデルとの違いを確認する目的で、実際の解析には必要の無い領域まで変形させております。
 スライド30は、剛床性を確認する目的で、層せん断力に対する各部変位の違いを示しております。先ほどのスライド29では、平均変位を採用しておりましたが、スライド30では、平均変位に対して、1.、2.、3.及び4.の部分のそれぞれの変位が、荷重変形曲線でどのように変化するかを示しております。
 この図では、地震応答レベルまでは大きな変形量の差は生じないが、シアーパネルがせん断強度に達した時点付近から大きな差が生じることが分かります。したがって、おおむね応答が小さいところでは、一体性が保てていると考え、一部の壁がせん断耐力に達してからは、変形量の違いが顕著になることがわかります。

【和田委員】
 応答がどの程度かを、このグラフに記載して下さい。なお、記載内容の選定は難しいのかもしれません。

【説明者(梁川)】
 わかりました。

【和田委員】
 それと、グラフの最大変位としては35mmですか。
 いずれにしても変位差に違いがないように見えるのは35mmまでのグラフを描いているためで、ここだけ拡大し表記した場合には、相当な変位差が生じていると思います。したがって、今の説明は不適切かと思います。

【説明者(梁川)】
 わかりました。

【和田委員】
 35mmのスケールで表記した場合は確認できない程度かもしれないが、もし、応答の2万kNから3万kN程度で表記した場合には、変位の差は1.7倍程度あるようで、それを「差がない」としては不適切です。

【説明者(梁川)】
 はい。確認して報告書に反映します。

【和田委員】
 ものの言い方は、その注目しているところをもって、差を見ないといけません。

【説明者(梁川)】
 ありがとうございます。
 グラフのスケーリングが、応答結果と対応しておりませんので、再確認して報告書に反映したいと思います。
 スライド31はY方向で、これも同様な結果です。Y方向は、開口の影響を受け難い方向になっており、X方向よりも大きな耐力となっております。ただし、地震応答レベルでは、X方向とY方向ではほとんど差がない状況になっております。
 あと、JEAGのせん断応力(τ)とせん断ひずみ(γ)の算定式にから、単純に計算した結果と、立体格子モデルにおける建屋全体としての解析結果が、良く整合しております。
 スライド32も、先ほどと同様に、それぞれの地点の変形を描いております。X方向には3m×4m程度の大きな搬入口の影響がありますが、Y方向の場合は、この開口の影響を受け難い方向になっており、X方向程のばらつきは発生しません。
 ただし、Y方向も必ずしも一体ではなく、せん断力を受ける側面と、その直交する面とでは変形差が生じていることが確認できました。
 スライド33は、その変形の状態を平面的に見た図として示しております。搬入口辺りの変形が乱れることが確認できます。
 スライド34は、Y方向ですが、これは搬入口の影響がやや小さいことが確認できます。
 スライド35は、建屋全体の変形の状態を示しております。
 復元力特性のモデル化ですが、ほとんどの応答が弾性範囲であるため、重要性は低くなっておりますが、スライド36に示すとおり設定をしております。第1折点は99%に低下した点、第3点は最大応答に達する点で、第2点は面積等価としました。
 スライド37は、動的解析モデルの設定として、事業者とクロスチェックの比較を行っております。質点系に関しては事業者、クロスチェックとも同じ等価せん断型弾塑性モデルとし、クロスチェックでは立体格子モデルによる弾塑性解析も実施しております。これは剛床仮定と各部の発生応力を確認することを目的としております。
 スライド38、39が、復元力特性をトリリニアにモデル化したものですが、ほとんど線形領域でモデル化しているため、うまくモデル化できず、初期剛性を採用し「弾性」としたところも一部あります。第3勾配とした部分についても、ほぼ直線でモデル化したようになり、目立った非線形の復元力特性になっていないことが確認できます。
 スライド40は、本検討における入力地震波の再確認です。これは事業者が作成した入力地震波の応答スペクトルを描いたものですが、今回の固有周期はこの辺りにあり、非線形化に伴い周期が伸びた場合や、長い周期のモデルを設定した場合などは、応答が大きくなる傾向にあることが分かります。したがって、今回、事業者側は、固有周期が長いため、厳しい結果となっていることが分かります。
 スライド41が、最大応答の比較を示しております。事業者側の応答値が1つ、残りは、クロスチェックの立体モデルと質点モデルを示しております。事業者側の層間変位で飛び抜けて大きな値が出ておりますが、これは事業者のモデルにおいては、非線形領域に入っているものもあり、ここだけ大きな応答値となっております。結果的には、確認保有水平耐力を上回る応答は、ここでは確認できませんでした。
 スライド42が、Y方向になっており、こちらでは事業者の方もあまり大きな非線形領域には入らず、クロスチェックに近い結果になっております。ただし、クロスチェックの平均値よりは2倍程度の変形となっておりますが、最大応答せん断力については近い値で、いずれも確認保有水平耐力以下となっております。
 スライド43が、最大応答値のまとめとなっており、最後に示されているとおり、最大応答値は確認保有水平耐力以下となっていることをまとめとしております。
 スライド44からが、部分的な応答の内容を示しております。個別に報告すると煩雑になりますので、ここでは簡単に触れる程度としたいと思います。
 スライド44は、屋根版の応答加速度を示しており、おおむね0.5G前後となっております。
 スライド45は、変位を示しており、最大変位として12mmを示しております。
 スライド46は、軸力を示しており、コンクリート強度Fc18に対して、非常に小さな軸力であることが分かります。また、常に、圧縮応力が作用していることも確認できました。

【和田委員】
 地震応答だけで確認していくのでなく、水平動+上下動の応答の確認前に、固定荷重における状況の確認を行い、先ほどの報告で述べられていたシェル構造としての圧縮力、フープテンション等の応力状態も記載しておく必要があります。

【説明者(梁川)】
 そうですね。スライド44、45では記載してありますが、スライド46では抜けておりました。すみません。

【和田委員】
 自重による応力も記載してあるのですね。

【説明者(梁川)】
 自重、スライド45に、長期は荷重静的載荷と記載してあります。

【和田委員】
 これはどのような意味ですか。「長期:荷重静的載荷」と記載されており、表題には「応答最大変位」と記載され、図としては変形が示してある。
 このスライド45は記載された下向き8mm、12mmの変位は、地震波を入れた時の変位を示しているのか、長期の変位を示しているのか、どちらですか。

【説明者(梁川)】
 これは長期荷重を荷重増分解析で作用させ、その後、水平と上下の地震波を同時に入力した結果として得られた最大値の範囲です。

【和田委員】
 ここでの技術的な確認手順としては、まず、長期荷重時の撓み量を確認し、地震動を受け、正負に反復する変形を確認するべきです。最大変位のみ説明されても、地震動を受けて、揺れている様子が分からないと思います。また、応力についても、無意識に足し込むのではなく、鉛直荷重時と地震時の応力状態が、それぞれ確認できるよう表示して下さい。

【説明者(梁川)】
 わかりました。

【和田委員】
 単に、耐震安全性を確認するということではなく、揺れている時の様子を確認するべきと思います。

【説明者(梁川)】
 報告書では、長期荷重時の状態を表示するようにします。
 スライド47は、曲げモーメントを示しており、中央付近では表示上はゼロと、微小値の曲げモーメントになっております。なお、端部では、やや大きな曲げモーメントになっておりますが、RCの許容耐力に対しては、非常に小さな曲げモーメントになります。
 スライド48は、屋根版のせん断力を示しており、最大せん断力が0.27N/mm2となり、これもコンクリート強度Fc18の許容せん断応力度に対しては、非常に小さな値になっていることが確認できました。
 スライド49は、鉄筋の塑性率を示しております。本検討はファイバーモデルを採用しているため、鉄筋の塑性率は直接的に算出されますが、非常に小さな塑性率であることから、発生しているひずみ自体も非常に小さいことが確認できます。
 スライド50は、円周方向の塑性率を示し、放射方向と同様な塑性率であることが確認できます。
 スライド51は、屋根版のまとめを記載しております。加速度は±0.5G程度で、最大軸力は圧縮側が0.1~0.9N/mm2であり、事業者の報告と比べ、若干は小さな値ですが、近い結果となっております。
 最大曲げモーメントについても、おおむね事業者と一致しました。
 塑性率については、事業者側の出力はありませんが、非常に小さなことが確認できました。
 スライド52は、壁の塑性率ですが、これも小さな値であることが確認できました。生体遮へい体が非常に重いため、地下の方が、若干大きな塑性率となっております。
 スライド53は、応力履歴を示しております。これは地下1階部の置換柱における応力履歴をN‐Mインタラクション内に表示した図となっており、短期許容応力以下であることが確認できました。
 スライド54は、1階の部分で、ここも同様に短期許容応力以下であることが確認できました。
 スライド55は、Y方向の地下1階も同様な結果であることが確認できました。
 スライド56は、Y方向の1階ですが、同じく短期許容応力以下であることが確認できました。
 スライド57のまとめとしては、鉄筋の塑性率は最大で0.11程度であり非常に小さい、軸力‐曲げモーメント関係の応力履歴は、短期許容応力以下であることが確認できたとしております。
 スライド58から、動的地盤ばねのところで事業者側のスウェイの減衰係数が30%程度大きなことを示しましたが、減衰係数を増大したときの影響について図化したものです。最大応答を丸印と三角印で示し、三角印が減衰係数を30%増大させた結果です。
 スライド58がX方向ですが、30%スウェイの減衰係数を増大させても、建屋の応答としては10%程度の小さな差に留まっている結果となっております。
 スライド59はY方向です。X方向に比べ、少し、差は30%程度と大きくなりますが、いずれも確認保有水平耐力以下であることが確認できました。
 スライド60は、ただいま口頭で述べたことについて、まとめとして記しております。
 地盤と建屋に関するクロスチェックについては以上です。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 原子炉建屋に関するクロスチェックの耐震安全性評価及び妥当性確認について、何かご質問、ご意見ございましたら、いただきたいと思います。

【和田委員】
 スライド28に、層せん断力分布、あるいは、層せん断力係数と記載されておりますが、これは層せん断力ですね。

【説明者(梁川)】
 はい。

【和田委員】
 層せん断力係数が最上部で1.32、最下部で0.88と、一般の建築物に比べ相当大きな値ですが、これも、先ほどの京都大学の説明時に「震度」による記載をお願いしたことと関係し、床があって、柱と梁で構成されている一般的な建築物と異なるため、クロスチェックにおいても、やはり、その層辺りの震度に換算し記載していただくと、京都大学の報告との関係が良く理解できると思います。
 それから、あと、この壁のせん断応力(τ)‐せん断ひずみ(γ)のモデル化の図で、第3勾配はかなりの上り勾配になっておりますが、地震応答はこの領域までは行かないということですが、壁に十分なせん断補強筋がないと、このように降伏以降も、耐力が上昇しながら、変形することはありません。
 この辺りは上之薗委員の方がお詳しいと思いますが、実際、どの程度のせん断補強筋比(Ps)となっていますか。資料のどちらかに記載してありますか。

【説明者(梁川)】
 せん断補強筋比は0.3%程度です。

【和田委員】
 何らかの規準等に、この復元力特性の適用について問題のないことが規定されているのであれば、適用することも可能かもしれませんが、せん断補強筋比0.3%程度で、このような上り勾配を保たれるものか難しいと思います。
 それから、屋根版も面外はファイバーモデル、面内はせん断パネルとモデル化した内容等、屋根版のモデル化に関する資料も追加して下さい。

【説明者(梁川)】
 はい。モデル化は壁と同様に行っております。

【和田委員】
 屋根中央部の厚さは薄く、シングル配筋となっているようでしたが、屋根版の断面形状や配筋の程度が分かる図を、適当な箇所に追加していただき、先ほど説明された円筒状の壁を、縦に分割して置換柱に、横に分割し置換梁にモデル化した資料と同様に、屋根版についてもモデル化の資料を追加して下さい。
 また、この屋根版の端部、壁の最上部には梁形がついていたようでしたが。

【説明者(梁川)】
 周囲に設けられております。

【和田委員】
 当初、設計された先生は、直接、板と板が接続するのではなく、梁形を設け、確実に剛接合となるよう、配慮した設計をしております。
 解析の内容だけ聞いていると、単に板と板を繋げたように思えるため、本報告書に、これらの図を追加してはいかがでしょうか。

【林安全審査官】
 一応、スライド16に、ポンチ絵ではありますが梁形があることを記載しております。なお、最終報告書には、根拠資料として図面等の写しを少し添付したいと考えております。

【和田委員】
 そうですね。
 それと、先ほど京都大学の方で報告された、1階壁脚の曲げモーメントと軸力の検討において、鉄筋の終局引張力に対しては近接し、コンクリートの引張を考慮すると余裕度があるとした、11ページで示された検討についてですが、両方で検討を行っているため比較していただければと思います。

【説明者(梁川)】
 はい。比較してみたいと思います。

【和田委員】
 この京都大学側の動的な弾性FEM解析時に、この円筒形の壁面に生じるせん断力は、せん断応力(τ)としてはどの程度になっていますか。
 1階の壁脚が終局引張力に近接している応力状態で、同時に壁にはせん断力が作用しています。その部分のせん断耐力に余裕度があるのなら、この構造物は、先に壁脚付近にひび割れが発生し、その後、ある程度の変形後に、壁のせん断破壊に至ることになりますが、破壊に至る変形がどの程度かいうことです。
 第1回からせん断破壊するという報告は聞いておりますが、漸増的に荷重を増した場合、壁がどこからどのように壊れていくかというと、先ほど、コメントの整理でも「リテーニングウォール」とあったとおり、1階床から上部の壁が、このような曲げ変形に伴いひび割れが入ります。それは「壊れる」と言っている訳ではありませんが。その時に、この壁のせん断応力として、かなり厳しいのか、まだ余裕度があるのかということです。
 本日の京都大学側からの4つのコメント回答にはなかったため、後になってからで申しわけありませんが、その時のせん断応力(τ)としてはどの程度なのか表示していただくと、それぞれの壁の状況がわかると思います。
 クロスチェックでは、弾塑性解析を行っておりますが、建物全体は弾性体で、塑性域に入ることはないと報告しています。
 私の印象では、多分、先に壁脚部にひび割れが入ると考えられます。

【説明者(梁川)】
 わかりました。壁の面外の状況と崩壊の関係について、少し資料を補足いたします。

【和田委員】
 それで、京都大学側も、先ほどの曲げ応力と軸力、引張で厳しい時に、壁がどのような状態なのかご確認下さい。

【上林先生】
 両方の応力を組合せで、検討するのですね。

【和田委員】
 応力の組合せは行う必要はありませんが、この側面の壁の応力状態です。
 地震力が作用し、お腹の皮がベコベコする応力と、この脇腹がこのようになる応力とは、いつもセットで確認していくと、この構造物がどのような振動をしているかが理解できると思います。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。

【上之薗委員】
 よろしいですか。スライド21に記載された第3勾配を1/1,000とすることはJEAGで規定されている内容ですか。それと、この図は、1/1,000の勾配よりも高いように見えます。

【林安全審査官】
 赤色線がJEAGの線で、青色線が1/1,000として描いた線です。

【上之薗委員】
 すみません。青色線が1/1,000とし、横に注釈を入れた線で、赤色線がJEAGで決まっている線ですね。わかりました。
 それで、このJEAGの線を使って解析を行ったということですね。

【林安全審査官】
 そうです。

【上之薗委員】
 わかりました。

【林安全審査官】
 しかしながら、応答としては第3勾配まではいっておりません。

【上之薗委員】
 行かずに、第2折点の前でとまっていると。

【和田委員】
 壁のせん断補強筋比(Ps)が0.3%程度で、このように耐力が上っていきますか。

【林安全審査官】
 JEAGの規定となる基の論文を確認したところ、和田委員のご指摘のとおり、かなりの配筋量における実験であることを確認しました。
 しかし、その第1勾配を示す式の構成は、やはり建築分野の内容と同様に、コンクリートのみの項でせん断力を決め、それに対応するひずみも同様でありました。

【和田委員】
 そうですね。第2折点位までは問題ないと思いますが、第3勾配の線に関する適用は難しいと思います。この部分を点線で表示されては如何ですか。

【林安全審査官】
 わかりました。点線で表示させていただきます。

【説明者(梁川)】
 そうですね。実際の解析では第3勾配は使用しておりません。

【和田委員】
 応答が、そこまで行かないわけですからね。それに、壁のせん断補強筋比が0.3%程度では、実際には、このような勾配にはならないと思います。

【林安全審査官】
 本検討においてJEAGの規定を用いた理由としては、やはり円筒形の壁であることです。JEAGの規定となる基の実験では、円筒形壁のモデル実験もかなり実施しており、そのような考え方で引用しました。

【和田委員・上之薗委員】
 わかりました。結構です。

【二ノ方主査】
 ほかにいかがでしょうか。藤田委員、よろしいですか。

【藤田委員】
 一般論として、コンクリート等の劣化はどのように考えるのでしょうか。この検討で用いている諸数値については、完成時の公称値だと思いますが、どのように劣化を考慮して計算しているのですか。

【説明者(梁川)】
 一般の建築物の耐震診断では、劣化係数として考慮しますが。

【釜江先生】
 そうですね。少しよろしいですか。
 以前に、ご報告申し上げましたが、最終報告書にはこのような内容を盛り込む予定としておりますが、過去に3回程度、原子炉建屋の健全性調査を10年間隔で実施し、コンクリートの圧縮強度、中性化深さ、鉄筋の発錆状況等を調査しております。
 調査結果としては、コンクリート強度的については、現状においても上昇する状況にあり、鉄筋等も、特に構造的に影響のある劣化を伺わせるような結果ではありませんでした。
 今回は設計基準強度を採用しておりますが、それ以上の耐力及び剛性があるものと判断させていただいております。
 ちなみに、バックチェックでは、設計値だけでなく現状の強度も採用できますが、現実的には、調査頻度等の問題もあるため、実強度は採用していないと思います。

【二ノ方主査】
 高経年化対策評価アドバイザー会合において、そのあたりのチェックを行っております。構造強度としては、おおむね問題ないだろうと思っております。あとは、その内容を、耐震安全性評価において、どのように評価するかということと考えております。
 ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 大体いろいろなご意見が出たものと思います。解析結果の表示や、追加として確認いただく内容について、幾つかご指示、ご指摘がございましたので、その辺のところを最終報告書のところでは取り入れていただければありがたいと思います。
 先ほどの、クロスチェック報告での、各項目におけるまとめにおいても、事業者の耐震安全評価は、おおむね、よろしかろうということだったと思います。
 したがって、原子炉建屋の耐震安全性評価については、京都大学からいただいたご報告、及び、本サブワーキンググループにおけるコメントに対するご回答、並びに、クロスチェックでは、先ほどご報告いただいたようなモデルによって、円筒形壁の振動性状を正確に評価し、耐震性について検討した結果として、おおむね、京都大学が実施した耐震安全性評価の妥当性が確認されたと判断できると思っております。
 よろしゅうございますか。

【和田委員】
 固有周期等も整合してきており、京都大学とクロスチェックの両方で確認し、良かったと考えております。

【二ノ方主査】
 クロスチェックにおいて、非常に詳細な検討を実施していただいたおかげです。
 耐震安全性評価が、より正確に、より高い精度により検討され、さまざまな解析結果が報告されました。入力も異なり、必ずしも、どちらの評価が保守的かいうことではありませんが、耐震安全性評価の妥当性が確認できたと考えております。よろしゅうございますか。

【和田委員】
 はい。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、今のような結論で、よろしいでしょうか。
 それでは、最終的な結論としては、本サブワーキンググループにおいて耐震安全性評価の妥当性の確認ができたものとさせていただきます。
 それでは、何かご意見、ご質問等追加がございましたらば、事務局のほうにご連絡いただければ幸いだと思います。
 引き続き、機器・配管系についてご報告いただきたいと思いますが、先ほどのコメント整理表に戻り、ご説明を事務局の方からお願いします。

【林安全審査官】
 それでは、そのコメント整理表として、資料の施設・構造3‐1の資料に戻ります。
 機器・配管系については15ページの部分から始まります。
 15ページ、「2.機器・配管系」ということで、全体的なご指摘として、「施設・構造SWG(第2回)」のところで、「資料中には、『許容値』としか記載されていないため、短期許容応力度、長期許容応力度の区別が確認出来ない。」とコメントがあり、「地震時検討のため、短期許容応力度である。」との回答がされておりますが、最終報告書には、その辺の内容について追記していただく予定です。
 その次、「本原子炉建屋内に地震等の発災時において、その災害応急対策活動等を指揮する居室はあるか。」という質問があり、「別棟建物内に緊急対策室があり、その建物の耐震性能は、一般建築の1.5倍となるよう、近年、耐震改修を行った。」と回答いただき、これは、原子炉建屋自体の内容とも異なるため、ここに記載させていただきました。
 それでは、具体的なコメントについて、16ページ、「使用済み核燃料貯蔵プール」の部分から説明させていただきます。
 「耐震安全性は確保されているようだが、プール内の水がスロッシング現象で溢れ流れた場合、トラブル等の事象となるのか。」との質問に対して、「冷却された燃料であるため、プール内の水が減ること自体に問題はない。仮に、水がプール外に流出しても、管理区域内のため問題はない。」との回答でした。
 ライナーの有無についての確認では、「ステンレス製のライナーがある。」と回答頂きました。
 ラックについては、「発電用原子炉施設と異なり、固定されたラックがあるのではなく、コンクリート躯体自体がラックとなっている形式と聞いているが。」とされ、「プールの底が一部深くなっており、その中に金属製の仕切り板があり、コンクリート躯体自体がラックとなっている。」との回答でした。
 生体遮へい体に移ります。「構造的には、建屋躯体と一体となっているのか。」と質問され、「一体的な構造となっている。生体遮へい体の直下に、サブパイプルームがあり、その周辺壁によって支持する構造となっている。」との回答でした。
 生体遮へい体の応力評価についてです、「必要となる断面等の決定は、構造計算によるものではなく、遮へいの性能により定められているようだが、耐震的な性能に関しては、現状の断面で確保出来ているのか。」と質問され、「遮へい性能の要因で決定し、断面検定における応力は、評価基準値以下となっている。」との回答でした。
 制御棒駆動装置の案内管に移ります。
 16ページの下段になりますが、「1次固有周期は、加速度応答スペクトルのピークの周期帯から少し外れたところにあるようだが。固有モードは1次から3次モードまであるが、卓越するモードは1次モードか。」と質問され、「ご指摘のとおり、応答加速度は、1次固有周期で応答は大きく、2次及び3次の固有周期では小さくなるため、1次モードが支配的であると考えている。」との回答でした。
 17ページ、「細長い形状のため、応力よりも変形に係る検討のほうが厳しいと思うが、中央部での変形は変形角としてどの程度か。」と質問され、「100分の1程度である。」との回答でした。それを受け、「変形角に関しては問題ないが、発電用原子炉施設においては、制御棒の落下に関する検討を、非常に難しいモデルを用いて行っている。本原子炉施設も同様に、スクラム設定されている地震動により、落下に支障が無いことを確認する必要があると考えるが、一方では、スクラム設定の加速度が20galと小さく、挿入完了に要する時間も0.6sと短時間であるため、大きな変形が生じる地震動の主要動時には、既に挿入完了されている状況にある。」とコメントされ、「制御棒は炉心高さの半分程度は常時挿入され、地震時には、電磁石部分で分離され、炉心内に完全挿入される。したがって、上に抜け、入らないという問題はなく、また、発電用原子炉施設と異なり、何らかの圧力が作用し、入り難くなることもない。この距離からは、何ら抵抗もなく0.6sで挿入される。構造的には案内管は弾性体のため、変形後の残留変形は無い。落下後も健全であることも含め、『停止』という意味では問題ないと考えている。なお、今回の基準地震動Ssは、非常に近傍の断層からの地震動であるが、スクラム設定されている加速度を感知し、問題なく落下すると考える。」との回答でした。
 「微調整棒及び粗調整棒はスクラム機能を有しているのか。」と質問され、「5本の制御棒は、粗調整棒4本と微調整棒1本からなる。スクラム機能は微調整棒以外の粗調整棒4本が有し、地震時に落下する。なお、反応的には1本で十分であるが、スクラム時は4本全てが落下する機構となっている。」との回答でした。
 「落下方式は重力式によるものか。」と質問され、「そのとおりである」と回答し、さらに、「スタンバイの位置は、炉心直上、または炉心中に一部挿入されているのか。」とされ、「先端は常時挿入されている。」との回答でした。
 「上下振動を受け、抜け出すことはないのか。」と質問され、「ストロークの関係からも、抜け出すことはない。電磁石とシャフトが接続された状態においても、制御棒先端は炉心中に一部挿入されており、上下振動を受け、仮に、持ち上がる状況となっても、シャフトは電磁石と接触し、過度に持ち上がることはなく、制御棒先端も、炉心部分から全て抜け出てしまうことはない。」との回答でした。
 「振動に関しては、水中での影響は考慮しているのか。」と質問され、「水中での振動は考慮していない。考慮した場合、減衰及び入力の両方に影響すると考えられる。」と回答し、さらに、「多分、減衰に大きく寄与すると考える。スクラム設定を20galとし、地震の初期微動で落下させるため、地震動によって生じる振動抵抗も少なく落下させることが出来ると考える。」とコメントされ、「入力地震動が高周波のため、減衰には大きく寄与すると考えられる」という回答でした。
 18ページに移ります。
 「粗調整用ボルトも厳しい応力状態であるが、極論を言えば、何か起きた場合には落下してしまうため、そのような意味でもフェールセーフ的な考え方になっている。本原子炉施設は、健全性を保ち、運転出来るように保全整備され、何か発生した場合は、止めてしまうことによって、安全性の確保が図られている。しかし、それを厳密に検討しようとすると、軽水炉と同様、大規模・複雑な実験となる。本原子炉施設の場合、地震動を入力し、変形の程度を確認しようとしても、実際には、低い地震動レベルで落下するため、架空な実験となってしまう、そのように考えると、本SWGの確認においては、安全性の確保の考え方に問題が無ければ良いと考える。現地調査の際に、電気系統が健全な場合、制御棒は電磁石部を切り離し落下させるが、仮に、電気制御の方法によって落下しない場合でも、電磁石は微弱な磁気のため、地震の慣性力で落下するとの説明があった。」とコメントされ、 「常時の作業もあるため、ある程度の慣性力に対しては、十分保持出来る微弱な磁気としている。炉上で接触し落下させる場合があるため、見学も制限するなどの注意を払っている。」と追加説明を加えております。
 1次冷却系配管です。「非常時には電磁バルブで自動的に閉鎖され、冷却水により炉心タンクは冠水を保持されるようだが、仮に、電磁バルブが作動しない場合は、手動により閉鎖出来るのか。」と質問され、「そのとおりである。漏洩による流量低下により逆止弁と水圧駆動弁が閉状態となり、冷却水は炉心タンクに保持される。主閉鎖弁は通常(運転時)開状態であり、逆止弁や水圧駆動弁から漏洩等の異常が生じた場合に、手動で閉止する。自動弁と手動の2つの方法となっている。」との回答でした、さらに、「新潟県中越沖地震の際に、柏崎刈羽原子力発電所は継続的な冷却を要したため、外部からの送電を受け対応した経緯があると聞いているが、本原子炉施設は、制御棒が所定位置に落下し、冷却水で冠水維持ができれば問題ないのか。」と質問され、「継続的な強制冷却は不要である。停止時のみ冷却の必要はあるが、非常電源設備により対応することとなっている。」との回答でした。
 1次冷却系配管の応力評価です。「母材部分において断面検定を行っているが、接合部は十分な強度を有しているのか。」とされ、「バルブ周りは補強もあり、応力的にも母材部分に大きな応力が生じている。また、接合部の強度は、母材部分と同程度か、少し上回る程度の強度となっている。」との回答でした。さらに、「資料等には、接合部は十分な強度を有するため、母材において検討した旨を記載すること。」とご指摘をいただいております。
 続きまして、19ページに移ります。
 1次冷却系配管の続きです。「断面検定時の内外径を実測値としているが、減厚等の経年変化は生じていないか。」と質問され、「計測開始(昭和55年)から、殆ど減厚はない。なお、計測結果の変化は、計測誤差の範囲と考えている。」との回答でした。
 炉心支持構造物です。「炉心がプレナムに載っているのか。」と質問され、「そのとおりである。」と回答し、また、「プレナムと炉心の接合方法はどのようになっているか。」とされ、「溶接で接合されている。」とし、さらに、「プレナムに作用する炉心荷重も小さいため、浮力の影響は考慮されているか。」とされ、「炉心部分は、燃料体の隙間程度の空間しかなく(体積的には8割程度)、その程度の浮力が作用する可能性がある。」とし、さらに、「浮力よりも、むしろ、抗力による影響の方が大きいと思われる。」とコメントされ、「普段、冷却水は上から下へ流れるため問題ない。上部から押さえ付ける方向のため、地震時においても効果的な働きをすると考えている。」との回答でした。
 燃料要素については、本日、京都大学から説明される予定ですが、第1回においては、集合体としてコメントをされております、「燃料集合体」と項目を追加し、「地震時の振動で、燃料集合体が個別に動くような挙動については如何か。」と質問され、「挿入長さが70cm程度あり、横枠とのクリアランスもないため、燃料集合体が70cm飛び上がり抜け出てしまうことは、非常に考え難い。」と回答し、さらに、「燃料集合体の挙動は、安全側に作用すると考えているのか。」と質問され、「そのとおりである。」との回答でした。
 以上です。

【二ノ方主査】
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明について、ご質問、ご意見等がございましたら、いただきたいと思います。よろしいですか。
 それでは、先ほどのコメント整理表においても、燃料集合体が燃料要素のところで説明されておりますが、京都大学から、燃料要素の耐震安全性についてご報告いただきます。
 それでは、よろしくお願いします。

【上林先生】
 それでは、資料3‐3において、機器・配管系のうち、1つ積み残しがございました燃料要素の耐震安全性評価についてご報告させていただきます。
 燃料要素の全体を把握するために、下段に写真を付けております。燃料要素の図面が横置きとしてありますが、実際には縦置きとなり、右側が上になり、左側が下となって、これが立っている状態でプレナムへ突き刺さっております。
 燃料集合要素としては、写真に示す2種類がありますが、上の方が標準燃料要素と呼ばれるもので、下の方が特殊燃料要素と呼ばれるものになっております、中に入る燃料は標準燃料要素の方が多く入るため、地震時における慣性力も標準燃料要素の方が大きいということで、こちらを検討しております。
 最初に、材質についてはアルミニウム合金で、ヤング率、燃料要素の重量が58.8N、断面積、断面2次モーメント。断面2次モーメントについては、ここに断面を示しておりますが、これが右側部分の断面となっており、この両端に側板と呼ばれる板によって燃料を支えております。形状はH型鋼に似た形になっており、この側板の受ける応力について検討しております。
 実際には、この燃料要素が、どのような形で刺さっているかといいますと、ちょうどこのノズル部分が刺さっており、先ほど、事務局からご説明がございましたプレナムに、刺さっている部分がここになっており、実際は、このプレナムの枠のところにこれが刺さりますので、若干のクリアランスはありますが、このようにフリーとなっているという解釈により、この先の突き刺さった部分から、こちら側を片持ち梁として、水平2方向と上下方向の地震力を受けた場合の耐震検討を行っております。
 燃料要素の固有周期を算定したところ0.012秒で、前回、お示ししたほかの機器・配管系と同様に、剛体モデルに置き直し、水平震度1.0、鉛直震度0.4としております。
 なお、1階部分の地震応答解析結果による最大応答加速度は、水平方向で983galとなり、水平震度1.0とし、鉛直方向では268 galとなり、鉛直震度は大き目に0.4とし、これは、前回までの機器・配管系と同じ値を採用しております。
 外力としては、水平方向FH、鉛直方向FVとし、水平方向についてはX、Y方向の2方向を同時に作用された場合を検討しております。したがって、ここの断面で説明すると、弱軸がY軸、強軸がX軸となっており、側板の厚みが4.76mmで、長さが79.18mmとなっております。
 最大応力度と評価については、上段部分が外力を計算した内容で、鉛直方向は自重分に鉛直震度を足し、それに自重を乗じて82.4Nとなり、水平方向は自重に水平震度を乗じて58.8 Nとなっております。この右側の図のとおり片持ち梁モデルの重心位置にそれぞれの外力を作用させ、曲げモーメントを算定しております。
 曲げモーメントMx、Myとも同じ値となっており、せん断力は水平力の値となります。
 さらに、最大垂直応力度を計算していますが、算定式の第1項目は鉛直地震力及び自重によるもの、第2項目は強軸方向の曲げ応力、第3項目は弱軸方向の曲げ応力となっており、それらを合算し3.1N/mm2となっております。
 この側板の許容値は、64N/mm2となっておりますが、既許可時に120℃程度の熱応力を考慮し、設定したと思われる安全率4.0を、今回の検討でも採用し、許容値16N/mm2としております。
 これらを比較すると、許容値より十分下回っている結果となっております。
 続きまして、最大せん断応力度については、先ほどの表示されていた側板の面積は、1枚分のため、2枚分を長方形に置換し計算すると0.12N/mm2となります。
 許容値については、同じ安全率4.0として8.5 N/mm2となり、せん断応力については、垂直応力度よりも安全側の結果となっております。
 以上が、最後に1つ残っておりました燃料要素の耐震安全性の評価に関する結果になります。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、ご意見、ご質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。特に問題ございませんか。

【藤田委員】
 応力が小さいため、問題ないと思います。

【二ノ方主査】
 では、どうもありがとうございました。
 今後、ご意見、質問等がございましたら、事務局のほうへご連絡をいただきたいと思います。
 それでは、続きまして、クロスチェックのご報告をお願いします。

【林安全審査官】
 機器・配管系の確認についても、クロスチェックを実施しており、先ほどの施設・構造3‐4の61ページから機器・配管系の内容になっております。
 ただいま、京都大学から説明いただいた燃料要素を除き、従前に報告いただいた6設備について、先ほどと同様、委託者であります株式会社構造計画研究所の担当者より報告させていただきます。

【説明者(梁川)】
 それでは、機器・配管系に関する確認内容をご報告させていただきます。
 資料のスライド61からが、機器・配管系の確認となっております。
 最初に、検討箇所として、ここに挙げました6カ所を行っております。これは事業者が検討し、前回までに報告された内容をお示ししており、使用済み燃料貯蔵プール、生体遮へい体、制御棒駆動装置案内管、粗・微調整棒取付部分、炉心直下1次系冷却配管、炉心支持構造物の6カ所です。
 検討方法は、事業者と全く同じ方法で行っております。
 ただし、次に、ご説明する入力地震動、あるいは、震度が少し変わっており、それを反映した検討になっております。
 まず、水平方向の入力地震動ですが、今回、原子炉建屋の振動解析においては立体モデルにより1階床部分の応答加速度波形を算出しており、それがスライド62に示した図になっております。
 この1階の加速度波形を見ると、まず、最大応答加速度が1,116 galで、若干、事業者の採用された数値よりも大きくなっており、事業者は水平震度を1.0と設定をしておりましたが、クロスチェックでは1.2に引き上げております。これは、先ほど、和田委員より、水平震度に置換し表示した方が良いのではないかとご指摘いただきましたが、本検討での応答加速度としても1Gを上回っており、水平震度を1.2と設定しました。
 これが水平方向で、上下方向については、逆に、事業者の値より、若干、小さな値が得られており、事業者側は応答加速度268galから鉛直震度として0.4を採用しておりますが、クロスチェックでは243 galが得られ、同様に0.4としております。したがって、スライド62、63の結果から、水平震度1.2、鉛直震度0.4を用いて今回の検討を行いました。
 スライド64からは、事業者の資料を基に、水平震度を入れ替え同様な検討を行っております。
 スライド64は、使用済み燃料プールの検討になっております。使用済み燃料プールは基本的には剛体と考え、地震による増幅はないとし震度を乗じ、その外力から応力を求め許容値との比較を行っております。これについては、プール内の水による慣性力等も含めて震度1.2を乗じております。
 したがって、水平方向は、基本的に事業者の2割増しの検討となり、結果としても、もともと許容値に対しては十分な余裕度があったため、2割増しにしても、余裕度という観点では大きく変わらないことが確認できました。
 続いて、スライド65に、生体遮へい体を示しております。これも同様に剛体とし、震度を乗じ、それに対する各部応力と許容値との比較を行っております。
 ここで詳細を説明しますと、水平震度CHが1.2、鉛直震度CVが0.4として検討しております。1.0からCVを足し引きしているのは重力加速度を考慮とする観点で行っており、応力的には、引張応力の検討をしておりますが、これが最も厳しい状況になっており、許容値に非常に近い値となっております。なお、圧縮応力は全く問題がなく、せん断応力もかなり余裕度がある内容になっております。
 この検討において事業者は、大きな転倒モーメントが作用しても、コンクリート断面における発生引張力は、許容引張応力を上回らないことを確認する意図で検討されておりますが、ここでの応力が、許容値に対して最も厳しいものとなっております。これに関しては、まとめの部分で、少し触れさせていただきたいと思います。
 スライド66が、制御棒駆動装置案内管です。これに関しても、全く同じモデルをトレース解析しております。
 ただし、応答解析については21質点系振動モデルによって行い、そのときの応答加速度を震度換算し、それを用いた設計用外力から各部の応力を算出し、許容値との確認を行っております。
 このスライドから、入力が大きくなった分、応答も大きくなり、事業者側の中間報告における水平震度3.5から、本検討においては3.7と1割程度引き上げております。鉛直方向については、剛体として仮定し、震度0.4を採用しております。
 結果としては、スライド66に示すとおりで、若干、応力は大きくなりますが、すべて許容値以下となっております。
 続いて、粗調整棒取付けボルトですが、これは質点系モデルによる振動解析ではなく、水平震度1.2、鉛直震度0.4を乗じて検討しております。この結果については、事業者側の結果に対し、比例的に大きな結果となっておりますが、発生応力は許容値以下であることを確認しました。
 スライド68は微調整棒取付け金具ですが、これも粗調整棒取付けボルトと同様な検討で、単純に、剛体として水平震度、鉛直震度を乗じております。したがって、スライド68に示すとおり、比例的に応力は大きくなりますが、許容値以下であることを確認しました。
 続いて、炉心直下1次冷却系入口配管ですが、スライド69に示しております。これも、前回、事業者側の検討方法が振動解析に修正され、再評価されておりますので、本検討でも、それのトレース的な確認となります。この図に示すような振動モデルをトレース的に作成し、これに原子炉建屋の振動解析から得られた時刻歴波形を入力し、得られた応力を示しております。これも、応力としては、若干、大きくなりますが、いずれも許容値以下であることが確認できました。
 スライド70も同様の検討を行っております。これは、先ほどの入口と出口とで配管形状が異なるためモデルを変えたものです。基本的には同様で、結果についても、評価値に対しては十分な余裕度があることが確認できました。
 最後、炉心支持構造物ですが、スライド71の検討方法については、基本的には震度法による水平力を作用させて、各部応力が許容値以下であることを確認しております。ここでも設計用の水平震度は1.2、鉛直震度は0.4で検討した結果、圧縮応力、せん断応力とも許容値以下であることが確認できました。
 スライド72に、今まで説明させていただいた応力を表にまとめております。右側の黄色で塗られた列がクロスチェックでの発生応力値となっており、その左側2列が事業者の結果と評価基準値となっております。なお、評価基準値は、本検討でも、事業者が採用したものと同一の値を採用しております。
 京都大学とクロスチェックにおける発生値の比較としては、生体遮へい体の引張応力が最も厳しくなっております。事業者の引張応力1.2に対して、クロスチェックでは1.33となり、評価基準値1.4に対しては、かなり厳しいところかと思います。
 そのほかの応力については、比較的余裕度はありますが、粗調整棒取付けボルトの垂直応力は1割程度の余裕度となっております。
 なお、生体遮へい体の引張応力に関しては、引張側の応力が許容引張応力を上回らないことを意図して確認しておりますが、実際には、それを上回った瞬間に、漏れ始めるということはないと考えられます。非常に厳しい評価値を採用し、余裕度がほとんどない結果となっております。
 そのほかの設備・機器については、評価値に対して発生値は十分に余裕度があることが確認できました。
 最後に、スライド73のまとめとして、事業者と同様な検討方法で、水平震度を2割増しとした検討の結果、各設備・機器に発生する応力は、すべて評価基準値を下回ることが確認できたと、まとめさせていただきました。
 以上です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、何かご意見、ご質問ございましたら、いただきたいと思います。

【上之薗委員】
 アルミニウムについて、同一な材質として記載されて機器において、異なる許容応力度が記載されております。その理由を教えて下さい。

【説明者(梁川)】
 許容応力度については事業者側が採用した値としております。

【上之薗委員】
 例えば、スライド68、69を見ていただいて、スライド68には、A5052というアルミニウム合金の許容値が42N/mm2と24.5N/mm2と記載してあり、スライド69も同じアルミニウム合金A 5052として、126 N/mm2と31 N/mm2と記載してあります。同一の材質で、異なる許容応力度が記載されております。

【川辺先生】
 よろしいでしょうか。アルミニウム合金の焼きなましの方法によって、記載されている記号の後にT4、6等の記号が付記され、強度も変わってきます。

【上之薗委員】
 その後に記号が付くのですね。

【川辺先生】
 詳細な記号は忘れてしまいましたが、記号が付きます。

【上之薗委員】
 ここでは、同じ番号が書いてありますが。

【川辺先生】
 同じ番号は書いてありますが、少し違います。

【上之薗委員】
 材質が違うわけですね。

【川辺先生】
 はい。

【上之薗委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 少し確認ですが、燃料貯蔵プールのラックについては、耐震安全性の評価を実施する設備・機器ではないと考えてよろしいですね。

【釜江先生】
 そうです。躯体そのものがラックになっております。

【二ノ方主査】
 それから、もう1つ、第1回妥当性確認ワーキンググループのところで説明された炉心タンクは、生体遮へい体と同一のものですか。

【釜江先生】
 そうです。炉心タンクはアルミニウム製であり、それが生体遮へい体のライニングとなっております。実質的には、強度確認は生体遮へい体で評価していることになっており、ライニング自体の材料強度は、生体遮へい体の評価では含めておりません。当然、アルミニウムの方が延性はあるため、生体遮へい体のコンクリートが弾性範囲であれば、ライニングについても健全であると考えております。

【二ノ方主査】
 わかりました。
 何か問題になるようなことはございますか。

【釜江先生】
 こちらから質問してもよろしいでしょうか。

【二ノ方主査】
 どうぞ、ご質問して下さい。

【釜江先生】
 制御棒駆動装置案内管ですが、クロスチェック報告における応力をまとめた表を拝見させていただくと、我々のところとクロスチェックとでは発生値において2.5倍程度の差が生じております。

【上林先生】
 振動解析における質点系モデルは整合していますか。

【説明者(梁川)】
 はい。

【上林先生】
 事業者側の中間報告書では、質点系モデルでの応答スペクトル法による結果をまとめておりましたが、前回の報告では、一応、それを参考にお示しした上で、連続梁として地震応答解析した結果における発生応力が、中間報告書でお示しした質点系モデルよりも下回ることを報告させていただきました。
 クロスチェックにおいては、中間報告側の解析方法を採用したのではありませんか。

【説明者(梁川)】
 これはモデルが違うということですか。

【上林先生】
 クロスチェックのスライド66には、水平震度3.7と記載してあり、我々の中間報告では3.5となっております。

クロスチェック側は時刻歴応答解析結果として発生値49N/mm2で、当方は、中間報告においては応答スペクトル法で44N/mm2と、この結果では同様な発生値となっておりますが、追加検討により報告した連続梁モデルによる地震応答解析の場合は19.2N/mm2と大幅に発生値が異なります。

【二ノ方主査】
 そのような意味で、追加検討した新たな結果が、マイナス側というか非安全側になるということはあり得ますか。

【上林先生】
 いや、非安全側というか、精密な解析モデルによる検討の方が、発生応力としては小さく算出されます。

【二ノ方主査】
 どちらにしても、多分、そのようなことはなかったと思いますが、先ほどのご報告に関しては、最終報告書の作成にあたり、改めてご確認して下さい。

【上林先生】
 はい、わかりました。

【二ノ方主査】
 クロスチェックにおける生体遮へい体の引張強さについては、1.33 N/mm2に対して評価基準値が1.4 N/mm2というで、先ほど、ご説明いただき、少し厳しいのではという報告がありましたが。

【説明者(梁川)】
 そうですね。ここでの確認の意図です。
 許容応力度として引張側の値をチェックする意図が、「閉じ込める」という観点では、一対に対応していなく、少し厳し過ぎるのではないかと考えております。

【上林先生】
 万が一、ひび割れが入った場合は剛性が変化し、異なる周期帯の地震動が作用することになるため、一応、そのような観点で、ひび割れが入らないことを引張応力で確認しています。

【説明者(梁川)】
 そういうことですか。具体的な検討では、縁応力に引張が生じた瞬間にNGとなるため、そのよう意味では少し厳しいと思いました。

【釜江先生】
 現状は、弾性の検討のため許容値を上回ったら直ちにNGということはないとは思います。機能維持という意味では、炉心の冠水を維持させる必要があり水が抜け出さないことが生体遮へい体における一つの機能と考えれば、縁応力が許容引張応力を上回った時点で、別途、この機能が保てることを別の方法により評価する必要があります。したがって、縁応力が許容引張応力を下回れば、または、それが上限に近い応力状態であっても、私は問題ないと考えております。

【二ノ方主査】
 安全係数としては、どの程度見込まれているのですか。

【上林先生】
 これの検討は引張力のため、一応、終局強度という解釈となり、安全率はほとんど無いと思います。

コンクリートの引張力として、fc/15としておりますが、15という数値にどの程度の安全率が見込まれているかということになると思います。

【釜江先生】
 少し重要なポイントではあると思いますが。

【二ノ方主査】
 わかりました。
 これはよろしいですね。ほかにございますか。
 ただいまの機器・配管系のまとめのところにありましたように、クロスチェックの結果としては、発生応力はすべて基準値を下回るということで、おおむね妥当であろうとしております。
 よろしゅうございますかね。
 これらの結果として、先ほどの原子炉建屋のとりまとめの繰り返しになりますが、機器・配管系の耐震安全性評価については、京都大学からご報告いただいたことと、クロスチェックの検討結果においても、耐震安全性評価の妥当性が確認されたとなります。
 したがって、本サブワーキンググループとしても、京都大学の実施した耐震安全性評価は妥当であると評価したいと思いますが、よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 全体をまとめて、京都大学の耐震安全性評価は妥当であると結論立てたいと思います。
 それでは、今後、ご意見、ご質問等の追加がございましたら、先ほどから申し上げますとおり、事務局のほうにご連絡いただければと思います。
 どうも、本日の議題は以上でございますが、何かございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、最後に事務局の方から、連絡等をいただきたいと思います。

【鎌倉保安管理企画官】
 本日はご議論いただきまして、ありがとうございました。
 京都大学の試験研究炉KURについては、本日の会合をもちまして、施設・構造サブワーキンググループにかかわる耐震安全性評価の妥当性は確認されました。
 今後、京都大学からは地質・地震動サブワーキンググループ、施設・構造サブワーキンググループのご確認の際にご指摘いただいた内容等について反映した最終報告書を提出していただきます。
 その後、親委員会であります妥当性確認ワーキンググループを開催させていただき、京都大学からの最終報告書、並びに、それぞれのサブワーキンググループからいただいた確認内容により、私どもで、最終的な妥当性確認にかかわる評価について取りまとめさせていただき、その確認を親委員会のワーキンググループでご確認いただきたいと思っております。
 一応、そのような予定としておりますが、来年度については、原子力研究開発機構の原子炉施設7施設のうち4施設について、引き続き妥当性確認を開始していきたいと考えております。
 これら親委員会であります妥当性確認ワーキンググループ、それから、日本原子力研究開発機構のご検討については、別途、日程調整の上、事務局より連絡させていただきたいと思っております。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。来年度は、原子力研究開発機構のJRR‐3、STACY、TRACY、JRR‐4ですか。

【鎌倉保安管理企画官】
 そうです。

【二ノ方主査】
 それでは、どうも委員の先生方にはいろいろ活発なご意見、ご議論をいただきまして、ありがとうございました。
 傍聴者の方々には、議事進行に関して、円滑な進行にご協力いただき、ありがとうございました。
 以上をもちまして、第3回施設・構造サブワーキンググループを閉会にしたいと思います。どうもありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

林、落合
電話番号:03-5253-4111(内線3923)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)