試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第2回) 議事録

1.日時

平成21年12月18日(金曜日) 10時~12時30分

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1
(住所:東京都千代田区霞が関3‐2‐2)

3.議題

  1. 新耐震指針に照らした試験研究用原子炉施設の耐震安全性評価について
    1. (1)試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理
    2. (2)耐震安全性評価の中間報告(京都大学)について(コメント回答を含む)
  2. その他

4.配付資料

  • 施設・構造2‐1 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回) ~ 施設・構造サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理(案)
  • 施設・構造2‐2 前回ワーキンググループ等における主な論点の整理及び対応
  • 施設・構造2‐3 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告)(機器・配管系の耐震安全性評価)
  • 施設・構造2‐4 試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第1回)の速記録
  • 参考資料1 発電用原子炉施設における耐震補強について(事例紹介)

5.速記録(施設・構造サブワーキンググループ(第2回))

試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ 施設・構造サブワーキンググループ(第2回)

平成21年12月18日

【吉田原子力規制室長】
 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、始めさせていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。
 本日の進行は、本サブワーキング主査であられます二ノ方先生にお願いしたいと思います。それでは、先生、よろしくお願いいたします。

【二ノ方主査】
 それでは、第2回の施設・構造サブワーキンググループの会議を開催させていただきます。
 いつものとおりですが、本サブワーキンググループは公開となっておりますので、発言は指名後にお願いいたします。また、傍聴される方々には、円滑な議事にご協力くださいますようお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いします。
 それでは、配付資料の確認からお願いできますか。

【益田係員】
 それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に沿って確認をお願いいたします。
 まず、施設・構造2‐1といたしまして、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)~施設・構造サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理(案)」。施設・構造2‐2といたしまして、「前回ワーキンググループ等における主な論点の整理及び対応」。同じく13ページから続いておりますが、施設・構造2‐3といたしまして、「京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)新耐震指針に照らした耐震安全性評価(中間報告)(機器・配管系の耐震安全性評価)」。施設・構造2‐4といたしまして、「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ施設・構造サブワーキンググループ(第1回)の速記録」。参考資料1といたしまして、「発電用原子炉施設における耐震補強について(事例紹介)」でございます。
 不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
 また、資料、速記録等については、今後、文部科学省のホームページにて公開させていただくことになっていることを報告させていただきます。
 また、施設・構造2‐4の前回の速記録については、現在、ホームページ掲載の準備を行っているところでございます。
 なお、傍聴者の方々にはホームページを参照くださるようお願いいたします。
 以上です。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、次の議題に移っていきたいと思います。議事次第に従いますと、次の議題は「試験研究用原子炉施設耐震安全性評価妥当性確認ワーキンググループ(第1回)の施設・構造サブワーキンググループ(第1回)における主なコメントの整理」でございます。
 それでは、事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

【林安全審査官】
 施設・構造2‐1の資料に基づいて説明させていただきます。妥当性確認ワーキンググループ親委員会のところから、前回の施設・構造サブワーキンググループのコメントの整理についてまとめた資料になってございます。その中で、前回の施設・構造(第1回)の内容に関して説明をしたいと思います。7ページ目からその部分になりますので、7ページ目をお願いします。
 「3.原子炉建屋への入力地震動(続き)」と書かれているところでございますが、「逐次非線形解析の解析結果」の枠の部分の一番下段になり、「施設・構造SWG(第1回)」と書かれているところからになります。
 「一般の建築物で想定している地震動と、相対的な比較をした場合、今回の地震動は、どの程度の大きさか。」というコメントに対して、基準震動及び入力地震動に係る直接的な質問ではなかったのですが、京都大学からの回答が、「保有水平耐力の考え方によれば、重要度係数1.5を考慮した必要保有水平耐力程度の入力動と想定出来る。」という回答でしたので、入力地震動の項目に入れさせていただきました。
 続きまして、「4.施設の耐震安全性評価」。「施設・構造SWG(第1回)」のところです。「試験研究用原子炉施設も、基本的には発電用原子炉施設と同様の考え方で耐震設計が行われてきたと考える。したがって、今回の妥当性確認等に資するため、既設発電用原子炉施設の耐震補強工事における考え方、補強方法等を調査したら如何か。」というコメントをいただき、事務局の回答は「拝承。」と記させていただいております。
 本日、参考資料「発電用原子炉施設における耐震補強について(事例紹介)」として、添付させていただいております。事例として、志賀、島根、柏崎刈羽、浜岡原子力発電所において、原子力安全委員会等で公表されている資料について添付しております。

【鎌倉保安管理企画官】
 参考資料1です。最後についている資料です。

【林安全審査官】
 この内容については、一応、関連する部分について添付させていただいております。以上です。
 施設・構造2‐1の資料に戻ります。
 「設計当時の外力と許容応力度のバランスもあるが、今回は、当時の設計外力よりも大きな地震動により、耐震安全性の確認を行っている。耐震安全性が確保されている理由について、明快な説明は出来ないか。」というコメントに対して、京都大学からは「拝承。」ということで、「原子炉建屋は、建築基準法の1.5倍の外力で弾性設計されているが、そのほかに、遮蔽効果を期待し、壁が厚くなっている。このため、耐震的な余裕があると考えている。今回の応答値と、設計当時の地震力を比べて説明する。」と回答されており、本日、その報告がございます。
 続きまして、8ページ目になります。先のコメントに関連するコメントですが、「現地調査において、機器、配管等は、基本的に、相当なマージンを持って設計されているところがある一方で、詳細な図面等が不足する部分もあった。そのため、上記のコメント回答が分かり易く示されると、理解し易い。」とのコメントをいただいております。それに対して京都大学からは、「設計当時は、さまざまな方面からの検討はされていない。機器に関しても、マニュアル的なものがあったわけではなく、プロポーショナル的な内容で設計が行われたものと考えている。」という回答でございました。
 続きまして、「1建物・構築物原子炉建屋」、「地震応答解析モデル、地盤‐建物連成モデル」としてのコメントで、「シェル状の構造は、同一変位にならないため、質点系に置き換える場合は、設定した仮定条件等、質点系モデルの妥当性について説明する必要がある。」それに対して京都大学からは、「プッシュオーバー解析時に、屋根版等の剛性を考慮した解析結果により、各ノードの水平変位が、概ね、同一変位となっていることを確認している。」とし、更に、「屋根版のところは理解出来るが、その下の部分は、同一変位とはならないと思う。円筒の壁変形も考慮すべきではないか。」というコメントに対しては、「屋根版と、その下部には梁がある。」という回答でございました。
 それを受け、「円筒部に作用する力は、まず、梁に伝わり、その梁から作用力方向の側面壁に伝わる。それからその壁のひび割れ等の検討となるが、屋根版を剛とするのであれば、梁の曲げモーメント等によって伝搬するのではなく、屋根版の平面剛性によって、側面側に伝搬しなければならない。そのようになるには、平面として剛でないと成立せず、この建屋のように、直径に比べて、高さが低い場合は、この原理は成立しなく、壁自身が面外曲げを受ける可能性もある。剛床仮定で解いたという程、剛な屋根版とも思えない。次回、梁の曲げモーメント分布等を平面的に示した形で、ご提示頂きたい。また、厚い壁にひび割れが入る程のせん断力を伝達するためには、あの程度の梁断面では足りるとも思えない。」とコメントされ、それに対して京都大学は「拝承。」と記させて頂いております。
 このコメントの時に、壁のリテーニングウォールの説明を、括弧書きで記されている内容、「壁のリテーニングウォールというが、キャンチレバーの壁の曲げモーメントと、たがとしての梁の変形と、建屋全体としてのせん断変形とが組み合わさって建屋は振動している。」との説明も頂きました。
 続きまして、「先に、全てをフレキシブルとし、構造物の地震時挙動を説明する必要がある。シェル構造であるから、直ちに、質点系に置換され、適切な置換方法であるか確認が出来ない。もし、剛床仮定を考慮せずに解析したモデルから、質点に置換する場合は、解析結果における各節点の変位について、その変位差の程度、及びその対応を説明するべきである。」とのコメントに対し、京都大学は「拝承。」と記させて頂いております。
 続きまして「せん断モデル」の項目です。「せん断モデルでモデル化しているが、プッシュオーバー解析において、壁の曲げ変形等は、考慮されているか。」というコメントに対して、「プッシュオーバー解析では、全ての変形が考慮され水平変位が算出されている。そのため、曲げ変形も考慮され、それをせん断モデルに置き換えた。」との回答です。
 9ページ目です。「復元力特性」の項目です。「Tri‐Linear型の復元力特性において、第1勾配と第3勾配の設定方法について明確にすること。」、「第3勾配は、漸増増分解析の結果ではなく、予備応答解析の結果を用いた理由を明確に記載すること。」というコメントに対して、「第1勾配は、漸増増分解析結果から設定し、第3勾配は、予備応答解析の応答結果を用いて設定している。」と回答し、2点目については「拝承。」ということで、「本来であれば、イテレーション解析を行うべきだが、今回の場合、地震応答解析の応答値が、置換した復元力特性に近接していたため、イテレーションせず、この結果を用いた形となっている。」と説明を加えております。
 続きまして、「水平方向:スウェイ・ロッキングモデル」という項目のところで、中段から下の部分になり、「施設・構造SWG(第1回) 」のところです。「周辺地盤の地震時挙動は、建築振動と連動すると想定される。この検討は、構造体だけか、周辺の地盤も考慮されているのか、検討に用いる質量等を含め、どのようなロジックになっているのか。」というコメントがございました。京都大学からは、「モデル化の質点については、基礎部分と上部構造で集約している。地震時には、土も振動するため、周辺地盤も引きずられた形の慣性力で、土から入力されるものとしている。また、インピーダンスについては、容積法で計算する際に、周辺地盤も連動し振動するという情報も含まれる形になっているという回答でございます。」との回答でした。
 一番下の部分になります。「建屋減衰」の項目です。「原子力建屋の復元力特性は、Tri‐Linear型でモデル化されているが、減衰(3%)は、どの部分で考慮されるのか。3%という数値は、JEAG 1987版で定められた数値か。常識的に設定された値か。特段、安全側とか、保守的とかということはないか。」というコメントに対して、京都大学からは前段に対しては、「概略、初期剛性の部分で効くようになっている。」とし、後段に対しては、「JEAG 1987版の数値となっている。」との回答です。
 10ページ目になります。「建屋の評価基準:許容支持力」の項目になり、この項目については、今回、追加させていただきました。「基礎地盤の反力を評価する場合、プールの形状等を考慮しているか。」という質問がございました。「接続部分等の形状が連続的でないため」というニュアンスでございます。回答としては、「基礎反力は、プールの形状等を考慮して算定している。床版はある弾性剛性を考慮し、また、プール部分も剛性があるため、地震時応力は、変則的な数値になっている。また、基礎梁等含めた基礎部分は、剛床仮定が成立しないため、その影響が考慮された地盤反力になっている。」との回答でした。
 続きまして、「原子炉建屋の屋根版」の項目に移ります。地震応答解析モデルとして、「原子炉建屋(円筒部)側は、剛床仮定を考慮しているため、屋根版のモデル化も、円形状を保つよう設計されているのか。」というコメントに対して、「屋根版の水平方向モデルについては、剛床仮定を考慮しているが、応答値が有意となる上下方向については、屋根版と壁は、同一変位の仮定とはせず、応答解析を行っている。したがって、上下方向の地震力によって、壁が膨らむような変形が発生している。」との回答でした。
 続きまして、「地震時(水平方向)に円筒部が円形を保てるのは、屋根版があるためとしている。一方、屋根版の解析時には、屋根版の周囲についても、剛床仮定を考慮している。これは、仮定条件の使い回しとなっており、証明になってない。」という注意を受けております。
 続きまして、10ページ目の一番下の部分になります。「評価基準:鉄筋を考慮した許容応力度の確認」という項目のことで、屋根版の許容応力度に係る確認の部分です。「常時荷重時と地震荷重時の応力状態の推移状況を把握する必要がある(地震時応力は、常時荷重時を挟み、正負繰返の応力となる)。断面検討用の応力は、法線方向と円周方向の、上下、水平両方向の地震動を同時に作用させたものか。」というコメントに対して、「それぞれ位相を考慮せず、両方の応答値の最大値を採用している。」という回答でございます。
 前回のコメントと、そのコメント回答に対する内容は以上のとおりです。
 説明を終わります。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、只今のご説明について、ご質問、コメント等、ありますでしょうか。

【和田委員】
 的確に記載されていると思います。この参考資料は提示のみされたと。

【林安全審査官】
 そうです。

【二ノ方主査】
 これからの説明に参考、事前に整理させていただいたということです。

【和田委員】
 わかりました。

【上之薗委員】
 1つよろしいですか。8ページ目の右上に「プロポーショナル的な内容で」とありますが、この「プロポーショナル的な内容」とは、どのような意味でしょうか。
 例えば、地震力が1.5倍になっているため、1.5倍程度の外力を想定して設計されたという意味でしょうか。この「プロポーショナル」という意味。

【林安全審査官】
 事務局からですが、ここは釜江先生の発言のまま記させて頂いておりますが。部材の厚さや長さなどが総称されたものと考えました。そのような解釈の基で、「プロポーショナル的な」という言葉で、つじつまが合うと考え、そのままにしております。

【釜江先生】
 今回の耐震バックチェックよりも以前に現地を見ていただいた時に、強度的には問題無いことですが、和田先生から、「配管の径、サポートの大きさと、取り付けボルトの径が、相対的に合っていないのではないか。」というご指摘をいただいた経緯があり、多分、そのようなことも含め発言したと記憶しておりますが。

【上之薗委員】
 普通の設備で使われている管の太さとボルト径の太さ、台の大きさとボルト径の太さ、比例的に大きな場合は太くしていると。

【釜江先生】
 そうです。そういうイメージです。

【和田委員】
 そういう意味ですね。バランスをとったのですね。

【上之薗委員】
 そうですね。わかりました。

【和田委員】
 皆さん早口で発言されておりますが、きちんと記載されていると思います。

【二ノ方主査】
 もし、よろしければ、次の議題「耐震安全性評価の中間報告について」をお願いしたいと思います。前回のワーキンググループにおける主な論点の整理を説明いただきましたが、その対応についてご回答いただき、続いて、前回報告されなかった機器・配管系についての説明をいただき、時間が残っていた場合は、質疑応答までということになると思いますが、とりあえず、機器・配管系までのご説明をいただきたいと思います。
 大体40分程度だと思いますが、まずは、前回のワーキンググループにおける主な論点の整理及びその対応等について、京都大学からご説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【上林先生】
 それでは、上林の方から説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、最初に、先ほども議事の確認がございましたように、前回の施設・構造サブワーキンググループにおける主な論点ということで、主に、3つ大きな項目がありました。それを、まず列挙させていただいています。
 1つ目は、今回の基準地震動による原子炉建屋の耐震安全性が確保されている理由といいますか、設計当時の想定地震力と対比しながら何か明快な説明はできないかというご質問に対してです。
 2つ目は、屋根版の発生応力と許容応力について、長期荷重時以降、地震時にどの程度それが動いて、許容応力度にどの程度の差があるかということについて、本日、準備させていただいております。
 3つ目は、円筒シェルの建屋の振動解析モデルで、今回の検討では剛床仮定を設けた解析結果より質点系に置換していることに対して、一度、フレキシブルなモデルによって解析し、その節点変位をあらかじめ示しておく必要がある。あわせて、円筒壁がバタバタと変形するモードも恐らく出てくると考えられるので、そのようなモードを含めた円筒壁の面外曲げについても検討しておく必要があるというご指摘をいただきましたので、資料を準備させていただきました。
 1つ目ですが、今回採用した基準地震動Ss‐2 EWに関して、その地震動の強さを他と対比し、どの程度の大きさになっているかを、2つの図によって説明させていただきたいと思います。
 まず、右側の図ですが、今回の基準地震動Ss‐2を基礎底面レベルに持ち上げ、入力地震動の加速度応答スペクトルが赤線になっており、基礎底面のレベルでせん断波速度Vs=400m/s程度になっており、工学的基盤相当と見ていただければよろしいかと思います。
 それで、高層建築物で時刻歴解析に用いられる告示(国交省)で示されている速度スペクトルを加速度応答スペクトルに置換したものが青線になっており、このフラットな部分が800galとなっております。
 告示スペクトルは、工学的基盤と設定されており、これと赤線を比較していただければと思います。一応、念のため、2種地盤相当の地盤増幅を考慮したものがこの破線になっており、これを見る限り、今回の基準地震動Ssは、建屋の固有周期あたりでは、およそ2倍程度で、2種地盤相当の地盤増幅を考慮したものと比較しても、1.5倍程度の入力レベルになっていることが、この図での説明するところであります。
 次に、設計当時の地震力との比較ということで準備したものが、左側の図になっており、横軸に層せん断力係数をとり、縦軸は高さ方向とし、地下1階、1階、2階、R階という形で分布形を示しています。
 最初に、設計時のレベルですが、昭和37年当時、実際の設計はそれ以前になりますが、その時のものが、この青線になっており、層せん断力係数はおおよそ一律0.3となっております。水色の線は、設計当時の建築基準法の入力で、高さ16mまでは0.2で、4m増える毎に0.01ずつ加算する分布形になっており、これらと比較すると、設計当時で1.5倍の地震荷重を想定して設計されております。なお、現行の建築基準法における1次設計時の標準せん断力係数Co=0.2と、Ai分布に応じた分布形が緑線になっており、この3つの線が弾性域での設計レベルとなっております。
 今回の基準地震動Ss‐2 EWの応答結果から換算した層せん断力係数は赤点になっており、これと、現行の建築基準法の2次設計時の標準せん断力係数Co=1.0に、用途係数として1.5倍したものが緑線になっており、入力レベルはこれと同程度となっていると思われます。あわせて、ピンク色の線はプッシュオーバー解析による確認保有水平耐力を示しております。
 このようにせん断力係数Ciで概観すると、基準値、Co=0.2から1.0に5倍増えているのと、今回の設計用のCo=0.3に対して、この辺が5倍以上あるという見方をすれば、現行の建築基準法の1次設計と2次設計との比と、ほぼ同程度の入力レベル、或いは、確認保有水平耐力になっているものと考えております。
 我々も、ご指摘いただいた上で、このような図を初めて描き、地震荷重を多角的に捉えることの重要性を改めて認識しました。今後も、このような応答解析に用いる地震波を作成するに際し、このような観点を並行的に確認しながら、入力の大きさ等に係る位置付けを確認することが重要なことと認識しました。
 一応、このような結果となっております。

【和田委員】
 すごく分かり易かったのですが、昭和56年の建築基準法改正から保有水平耐力という考え方が含まれますが、昭和37年当時の法律ではその考え方は無く、この図の緑、青線により示される程度の入力、標準せん断力係数Co=0.3程度の地震力しか考えていなかった。
 多分、京都大学の本原子炉施設を設計された先生方も、地震力は一般建築物の1.5倍の3Coで、許容応力度設計で設計を行うだけで、あとは何も考えていなかった訳では無いと思います。左側の図において、1を超えるあたりを、当時どのようにイメージしていたか、そのようなことは説明できませんか。

【釜江先生】
 設計当時は弾性設計で、図中左側のCo=0.3程度の内容で、2次設計的な内容について、当方で調査する限り確認出来ませんでした。
 当時、横尾先生などがさまざまな施設の設計をしておりましたので、そのような議論がなされ、何らかの形で考慮されたと考えます。したがって、現状、あのような領域で、保有水平耐力が確保されているのだと考えます。

【和田委員】
 そうですね。外力を1Gにする概念は無かったとしても、例えば、せん断応力の上限を抑えるとか、許容応力度の方で抑えたのかもしれませんね。

【釜江先生】
 そうかもしれません。したがって、たまたまかもしれません。現行の2次設計のレベルと非常に良く合致しています。

【和田委員】
 そうですね。設計当時は、このように考えておりましたというよりは、結果として、このようになっていますという説明ですよね。

【釜江先生】
 それは、私も分からないところです。すみません。

【和田委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 よろしくお願いします。

【上林先生】
 2つ目の屋根版の応力の変動というご説明をさせていただきたいと思います。
 この左側の図は、前回お示しした図と同じですが、この赤点は屋根版円周の最縁部となる領域6において、円周、接線両方向の応力が一番大きくなるので、今回も、この部分を中心にご説明させていただきたいと思います。
 縦軸を軸力、横軸をモーメントとするインタラクションのグラフがこれになります。右側の図中の青線及び赤線は鉄筋を考慮した長期、短期の許容応力度の限界値になっております。
 左側の図中の上側の赤点は法線方向、下側の赤点は円周方向になります。円周方向は、このように卵の殻を上から押すと、ここで割れるような応力が作用し、引張応力としてこの程度作用しております。この部分を拡大した図が右側の図となります。ちょうど圧縮力と引張力の境界の軸力ゼロのラインがここになっており、ちょうどこのラインと対応しております。横軸のモーメントがゼロ、ちょうどこの軸に対応し、青点は長期荷重時で、自重による発生応力をプロットしております。上側が法線方向と、下側が円周方向になります。これが地震力を受け、まず鉛直方向の地震力で、この点がここまで最大値が変化します。正負の地震力が作用するため、このように振動していると見ていただければ良いのですが、最大値の検定としては、危険側となる長期荷重時の許容限界曲線、短期荷重時の許容限界曲線に近接する方のみを現在プロットしています。なお、円周方向についても同様です。更に、水平方向の地震力が作用するため、鉛直方向に比べ非常に小さい値ですが、この程度で、水平動の正負振幅となっております。
 今回の長期荷重時に対して、短期荷重時にどのように応力が推移するかについては、一応、この図でご説明させていただきました。短期荷重時の許容限界曲線がここになるので、この線に近い円周方向においても、鉛直荷重時に関しては、まだ2倍程度の余裕があり、水平荷重時だけについては、まだ十分な余裕があると概観出来ると思います。

【和田委員】
 これは、どのような解析モデルで解いたのですか。

【上林先生】
 上下方向に関しては、次に報告させていただきますが、円筒と屋根版を一体とした弾性モデルにより、水平方向に関しては、前回と同様で、周辺固定の状態で解析しております。この図は、前回報告した同一の値でプロットし、モデルは特に変更しておりません。

【和田委員】
 そういうことですね。また次の報告で、影響を受けるか、受けないか分かりませんが。

【上林先生】
 次に、問3に関するご回答ですが、まず、水平動と鉛直動の地震応答解析の流れを簡単にまとめさせていただいています。
 まず、部材要素モデルで静的増分解析を行い、復元力特性を設定した上で、問題になっている剛床仮定を設け、質点系の弾塑性モデルで地震応答解析を行っています。また、屋根版に関しては、弾性解析により、質点系モデルにおいてR階の応答を、屋根版だけを取り出した周辺固定のモデルで解き、応力検定を行っています。
 壁等については、質点系の変位を部材要素に戻した時の部材各部の応答値と許容値との比較を行っていることで、等価になっていると解釈しております。
 鉛直動に関しては、今、ご説明したように、建屋と屋根を一体したようなモデルにより弾性で解いて、各部の応力を求めております。
 この後、お示しします内容は、この剛床仮定に関して、剛床モデルと、非剛床モデルで出来るだけフレキシブルな形のモデルを用い、剛床と非剛床のモード形状と刺激係数、あるいは各節点の応答値として、変位と最大加速度を確認しております。
 もう1点は、円筒部分に関して、壁面外方向に曲げ応力が作用することもあるため、その部分の応力がどの程度発生しているか、この2点について説明させていただきます。
 最初に、先ほど事務局からも説明があったように、前回の回答では、各節点の変位がほぼ同一であると報告しましたが、その後、平成18年度の報告書を再度確認したところ、円筒形をフレキシブルなモデルとして水平力を与えた場合、各節点における最大応答値は5%以内には収まっているのですが、それは同時刻における応答値ではないことが確認され、今回、それについて再確認を行い、同時刻で一番差が大きな応答となる結果をご確認いただきたいと思います。その場合、相対差は後でお示ししますが、かなり大きめに出ており、剛床仮定におけるモデル化の妥当性について、少しご審議いただきたいと考えております。
 まず、モード形状になりますが、剛床モデルについては基礎底面を固定にし、かつ、各フロアの各節点変位について、ねじれ振動も含めて、剛体的に動くというモデルを与えております。
 1次モード、2次モード、3次モード、4次モードとなりますが、前回報告したSRモデルではなく基礎部を固定としているため、固有周期は0.08秒弱程度とかなり固めに出ております。
 固有周期の数値の下にある有効質量比というのは、刺激係数を百分率で表したようなもので、X方向の変位に関する有効質量比Dxの、全てのモードを合算すると100になり、ホワイトノイズ的な外力が作用した場合にどのモードが一番負担するか、その程度を表す比率と見ていただければいいかと思います。
 1次モードについては、Xが5割程度で、これが一番揺れ易いモードになります。2次モードについては、少し見難いですが、この円筒が手前と奥方向に振動しているモードで、1次と2次は、90度回転すると同じようなモードにほぼなっているかと思います。ただし、値が同一になっていないのは、基礎梁及び1階と基礎間の壁の配置など、建物形状的に少し偏心しているため、値が少し異なります。

【和田委員】
 かなり実際の形に合わせて解析されているのですね。
 低層部が少し複雑な形状をしていて、完全に点対称な架空のモデルとして解析した訳ではなくて、実際の建物に合わせて解析したのですね。

【上林先生】
 そうです。一番近い形です。ただし、2階から3階の上部に関しては、完全にほぼ点対称となっており、下部の剛性に関して、方向の違いが少し出てきたと考えております。
 3次モードについては、ねじれ剛性、ねじれ振動のようなことが起こっているのですが、有効質量比を見ると0.0以下になり、このモードは、実際、応答解析でもあまり表れていないというのが、このモードの刺激係数からもおよそ分かってくると思います。
 4次モードについては、質点系で2次モードみたいな形状となっており、5次モードは2次モードの前後に揺れるようなモードで、ほぼ1次と4次を合算すると、90%程度のエネルギーというか、振動モードになってくるという結果が、この剛床モデルになります。
 なお、ここで、前回、梁がたがの役割をしているという報告をしておりましたが、ご指摘のように、少し梁は高さが低いもので、水平に関しては、あまり効かなかったため、正確に申しますと、その部分は訂正させていただきたいと思います。
 今回は、そのような梁を除いた円筒形のみでモデル化しております。梁を考慮すると、少し剛性は高くなりますが、今回のモデルを作る上で、壁だけと見ていただければよろしいかと思います。
 非剛床モデルは、この下のモードのようになっており、非常に見難くて恐縮ですが、1次から24次というモードを描いておりますが、1次モードは、剛床モデルの1次モードと同じように、少し方向は異なりますが、前後にこのように振動するような形状となっております。それと、直交方向に振動するようなモードが、この2次モードとになっております。
 16次モードまでの間に、3次、4次から15次までありますが、ここのモードは後でお示ししますが、有効質量比が、0に近い値となっており、基礎からの入力に関して、あまり影響を与えないモードがこの間に含まれています。
 16次モードになると、このDxが55.48%ということで、このような2次モード的な形状となっております。この間は暫く無くなりますが、また、24次モードになると、これと直交方向のモードとなり、床をフレキシブルにした影響により、近接したモードもたくさんのものが出て、ここで重要なのが、影響係数ということで、2次モードから16次モードの間を次ページで参考ということで、ご説明させていただきたいと思います。

【和田委員】
 只今のご説明で良いのですが、例えば、中学校、高等学校で、ギターの音階を調整するために使用する音叉があります。箱の上にU字型で棒があり。
 あの音叉は、このように開いたり閉じたりして鳴っているおり、下の部分を、指で持っていても音は鳴り止まない。今、途中の3次から十何次は要らないと言ったのは、逆に、このようなモードです。
 要するに、地盤とは関係が無く、地震に対しては応答しないが、そこを金槌で叩くと、勝手に、いつまでも止まらないというモードです。だから、地震には鈍感だというか。

【上林先生】
 ご指摘の通りで、次の説明内容を、話題にしていただきましたが、少しご説明させていただきます。
 只今、ご指摘いただきましたように、3次、4次モードをお示しますが、3次モードはこのように、前回、コメントいただいた壁がベコベコするようなモードは低次でこのように出てきます。今ご説明のように、このように、突然、この部分を押すようなモードで、荷重を与えると、かなり効いてくるということになりますが、基礎からの入力に関しては、刺激されない値になっておりますので、そういう意味で、少し参考ということでお示しさせていただきました。
 ここで、屋根版を参照いただきたいのですが、剛床モデルと同様に、非剛床モデルにおいても、壁は変形しますが、屋根版については、このようなモードも含め、かなり剛体として変形しております。これは、それなりに、屋根版として剛性を有し、シェル構造の特徴が少し出ているものと考えております。

【和田委員】
 また、途中ですみません。
 壁とシェルは、このライン上でピン、またはヒンジとして仮定し、このような壁変形時は、壁とシェルの関係は、フリーだと思っているのですか。
 この非剛床モデルのモード図を拝見していると、屋根版は屋根版の端部で止まっていて、壁のみが膨らんでいるようです。壁があれだけ膨らんだ場合、屋根版も凹む等の変形が表れるのではないか、境界部はどのような仮定条件になっているのですか。

【上林先生】
 ピンとはしていなく、上下動と全く同じモデルを使っており、上下動においても、このようになった時には膨らんでいます。

【和田委員】
 なぜ、壁だけが膨らんで、屋根版は形状を保てているか。モード図通りとすると、角の部分で折れてしまうのではないか。シェル特有と説明されておりましたが、特有と言われても、境界線があのように不連続では。

【釜江先生】
 モード図の描き方と思います。

【藤田委員】
 モード図の比率だけを見易いように、壁側だけ、大樽の変形だけの比率を増やして、描いている。

【和田委員】
 壁側だけを誇張して。

【上之薗委員】
 鉛直は大きくしてない。

【和田委員】
 その場合、少し説明内容と、モード図に差異が生じることになるため、同倍率で描く必要があると思います。

【藤田委員】
 多分、同倍率とした場合、ほとんど見えない状態になると思います。

【和田委員】
 逆に、水平方向の変形に拡大率を掛ける場合、上下方向にも同じ倍率を掛ける必要があると思います。このモード図では、屋根版は止まっているように見えます。
 そのため、只今のご説明のイメージも変わってくると思います。
 先程は端部でモーメントが発生していため、多分、ライン上において、ピンとしているのはないと思いながら伺っておりました。
 その図は、Z方向だけの拡大率がかかってないのですね。

【上林先生】
 今のご指摘の点は、もう一回図を見直して確認させていただきます。

【和田委員】
 私もそうですが、若いうちは、出てきた結果に理屈を付けてしまいます。

【上林先生】
 確認しておきます。すみません。
 一応、このモードに関する応答結果がこの図になっており、少し数字が小さいので、変位の大きいところだけを、下に書き出しております。屋根版の各節点の、同一発生時刻での相対変位になりますが、左側が剛床モデルで、手前と奥で少し応答値に差異が生じておりますが、これは、おそらく、円筒の曲げが少し入ったためと考えております。なお、その差は、ほぼ2%程度なので、これを見る限り、ほぼ剛床仮定的な、当然、剛床のモデルを設けましたので、このようになりますが。
 右側の非剛床モデルについては、以前、和田委員のご指摘のように、剛床に比べると、変位に関して25%程度の相対差が生じております。
 次に、屋根版下部の3階については、中身は空間のため円周上の値だけをプロットしておりますが、非剛床モデルの場合で、この差が18%程度となっております。したがって、上階ほど、その差が少し大きくなり、先ほどのモードの何かが刺激されているものと見受けられます。また、2階に関しても、その差は、ほぼ同じで18%程度です。
 次に、加速度ですが、屋根版の変形という観点で纏めたものが下段の表になり、機器・配管の検討と、屋根版への入力動としての加速度レベルとして、上段の表を纏めておりますが、剛床モデルにおける屋根版から2階における最大応答加速度は左側の値になり、フレキシブルな非剛床モデルにおけるものは右側となっております。加速度では、剛床モデルの方が剛さの分、また、応答スペクトルのある山というか、スペクトル値の大きなところに周期が少し寄ってくるため、最大値としては、剛床モデルの方が応答としては大きくなっております。
 加速度の効いてくるのは、屋根版を独立で解析する時の入力に影響する部分に関しては、平均的な加速度でみた場合は、剛床モデルの方が入力動としては大きくなり、機器関係に関しても、剛床モデルの方が大きくなるため、建屋とは独立したあるものへの入力という観点では、剛床モデルの加速度の方が危険側になっております。
 ただし、変位に関しては、先ほどの結果通りですが、これで、剛床仮定成立の可否については、ここでの審議によらなければ結論は出ないと考えております。
 なお、この応答が質点系のある代表点の、剛床モデルの応答と解釈した場合に、このモードが、相対変位が影響するのは、壁面の曲げとか、屋根版の曲げ的なものに相対的に効くと思いますが、屋根版だけを取り出し、1点ピン支持、周辺をローラー支持とし入力した場合について解析を試みましたが、ローラー支持にしてしまうとたがの効果が全く無いので、とてつもない応力になってしまいました。

【和田委員】
 まず、鉛直荷重が厳しいですよね。

【上林先生】
 水平方向も割とフニャフニャという感じでした。そのモデルは実際のものとは異なり、また、その中間的なモデルというのも、なかなか作り難いため、一応、このような結果になり、先ほどの屋根版の許容応力度限界との差で、少し割り増しとなった場合においても、何とか、これも収まってくれるのではないかと期待をしながら、ご説明させていただいた次第でございます。
 また、曲げに関してですが、ここの曲げの応力は算定しておりませんが、前回、お示しした図で、壁のせん断耐力で、保有水平耐力等が全て決まるという図をお見せしましたが、壁に関しては、しっかりした検討をしておりませんでしたので、先ほどのモデルとは異なりますが、ここのモデルは同じような壁と屋根と一体になったフレキシブルな部材要素モデルになっておりますが、ここに与える力としては、前回の基準地震動Ss‐2 EW成分による強制力というか、各層の最大変位を強制的に節点に与え、その時に、壁に生じる応力を求めたものがこの値になっております。これがモーメント値になっており、1.2kNm/mから102.5 kNm/mとなっております。この設計モーメントに対して、鉄筋による許容モーメントが41、41、57、272 kNm/mという値で、これらを比較し、この程度の差で、短期許容曲げ応力度以内になっておりますが、先ほどの、ベコベコした変形が、ここで、どのようになるのは、まだ準備出来ていません。

【和田委員】
 このページのご説明は、少し分かり難かったのですが、基準地震動Ss‐2 EWの入力は、フレキシブルな非剛床モデルの結果ですか、それとも前回の剛床モデルでの結果ですか。

【上林先生】
 すみません。前回の剛床仮定での結果です。

【和田委員】
 先ほど、地震力が作用し、作用方向の壁の変位と、作用方向と直角方向の変位との差が20%程度あると説明されておりました。したがって、建屋全体が一体となって動いている時の変形ではなく、建屋全体としても動きつつ、壁自身が受けているときの曲げモーメントの方が大きいはずです。
 いわゆる、リテーニングウォール的に壁全部が、キャンチレバーで揺れることによって生じる応力と、側面を伝わって全体の円筒として効いている割合が、ちょうど、このように振動している時の、お腹の部分の慣性力が脇腹に伝わるのか、お腹の皮を伝わって、地面に伝搬されるのか、そのどちらなのかということです。たぶん、剛床仮定での変形は、多分、小さく算出されるので。

【上林先生】
 先ほどのモードの刺激係数の比で、あまり影響無いと思い込んでおり、応答解析を行うところの差が生じてきましたので、今のご質問に対する回答は準備しておりません。

【和田委員】
 繰り返しになりますが、結局、お腹の荷重はどちらに伝搬されるのということです。側面に伝搬され、地盤に移行していくのか、そのまま下方へ移行していくのかということです。

【上林先生】
 その辺は、もう一度確認させていただければと思います。

【上之薗委員】
 よろしいですか。12ページの壁に面外曲げ応力を算出した内容についてですが、この時の応答変位は、ある瞬間の応答変位ですか。最大値を拾ったものですか。

【上林先生】
 各部の最大値です。

【上之薗委員】
 ですから、均一に押したようなものですね。

【上林先生】
 ええ、そうです。

【上之薗委員】
 その影響と、面に対して強制変形を与えたほかに、全体架構として、シェル構造として引張力が発生すると思いますが、それは考慮されていますか。

【上林先生】
 現状のところ、曲げモーメントだけの検討になっています。

【上之薗委員】
 引張軸力による鉄筋に入る引張力は入ってないということですね。

【上林先生】
 現状では入っていません。

【和田委員】
 円筒が全体として曲げ変形すると考えているので、このように引っ張られつつ、お腹がこのように変形するということですが、再検討の結果、全てOKになるのかもしれませんが、折角、現状、解析がそのようなことまで出来る時代になっているのですから。

【上林先生】
 わかりました。軸力と有効面積との比。

【和田委員】
 そうですね。

【上林先生】
 先ほどご指摘いただきました2点につきましては、少し追加で検討させていただきたいと思います。

【藤田委員】
 すみません。最初の剛床モデルのところの字が小さくてよく見えなかったのですが、4次は固有振動数が1次と同じでよろしいのですか。

【上林先生】
 すみません。値が間違っています、確認します。

【釜江先生】
 多分、もっと短くなります。3次の固有振動数が0.06なので、これ少し短くなります。すみません。

【和田委員】
 剛床仮定は、一般的に、このような文部科学省などのビル建築を設計する時の剛床仮定は、平面的にある長方形が、水平力を受け移動した後も長方形の形を保つという意味で、一方の柱が移動する量と、他方の柱が移動する量が同一になることを仮定しております。しかし、上下方向の変形に関しては、例えば、ここは1cm下がり、あちらは1cm上がった時に、中央でゼロになるか、3/4のところでゼロになるかという、鉛直方向は剛床ではないとしています。
 先ほど、XY変位は剛床、加えて、回転に関しても面を保つという。原子力建屋構造のご専門の先生方や実際に設計される方々の言う剛床とは、移動後の多くの節点を結ぶと、元の平らな面が描けるという、いわゆる梁の剛床仮定を考えており、したがって、Z方向の変位に関しても、剛な版の上に載って移動すると仮定してやっているようです。
 しかし、建築分野では、人が生活に供するため、建物内部は大きな空間となっているため、大きな建物では、一端は下がり、他端が上がる変形をしても、その途中の点が、全ての面上に載ることはありません。
 今回、採用した剛床仮定はどちらですか。
 変形後、各節点を結ぶエレベーションを描くと、直線となるよう仮定を入れているのか、上下方向に関しては自由に動くとしているのか。

【上林先生】
 床が曲がるようなモードを考えているかということですか。

【和田委員】
 床が、このように曲がることを考えているのですが、曲がった後に、この線を引くと、真横から見ると直線の上に載っている。
 結局、架空の中心に1つ自由度を設け、それにX、Y方向及び回転の全てを載せて、1次従属で表せると、先ほどの説明から聞いた印象ですが、普通、このようなビル建築で設計を行う時は、水平はX、Y方向と、床の回転があれば、それは1次従属させるのですが、上下方向の変形は独立に扱っております。

【釜江先生】
 多分、これは原子力発電所と同じように、1階のスラブ厚さも1m以上あり非常に剛いため、このようなビル建築とは全く異なります。また、どっちかというと、発電用原子炉施設に比べれば、少し遜色はありますが。

【和田委員】
 ただし、1階はいくら剛としても、上の方の変形で。

【釜江先生】
 上部にはスラブは無いですが。

【和田委員】
 このように変形した時にせん断変形を考慮して、精密に全体をフレキシブルとした場合、絶対に線上には載りません。
 よほど細長い形状のものなら曲げた後も平面が保持されるという仮定ですが、円筒そのものが短い梁ですから、直径より長さが短いものに水平力を与えた場合、変形後も面が描けるということはあり得ない。私は、原子力施設の設計等を行っている方には、このようなお話をさせていただいております。

【上林先生】
 梁材でいうせん断変形を考慮し、平面保持が保たれているかというご指摘と同じものですよね。

【和田委員】
 そういうことです。
 先ほどのご説明は、剛床という仮定に、そのような回転についても含まれていると説明したような気がしたため、確認をお願いします。
 結局、そのような仮定に基づけば、自由度の数が極端に減ることになります。有限要素法において細かく分割しても、各高さに応じた架空の中心線上に未知数を置き、それで全部が表せることになってしまうモデルで行ったのか、上下は別に行ったのか。

【上林先生】
 その辺、確認しておきます。

【和田委員】
 意味はわかりました?

【上林先生】
 はい。

【上之薗委員】
 今のコメントに関して、私も先入観を持っておりました。
 水平方向は剛床仮定とし、鉛直方向は、節点をある距離に関して、回転のモードを一直線にすることはすごく大変だと思っており、鉛直方向は自由と考えておりました。
 それをちょっと確認してください。私の先入観で思っていてはだめですね。

【和田委員】
 建築分野における剛床はそのようなことは行いませんが、原子力施設の分野では、そのように行っているようです。

【上林先生】
 実際の計算は、どちらかというと建築寄りに行われておりますが、一応、その辺も確認させていただきます。

【二ノ方主査】
 よろしいでしょうか。先ほどの加速度の観点からは剛床仮定でも良いという、それですね。それ、大体、OKかもしれませんが。
 変位の観点では、剛床モデルで良いかいうことに関して、少し皆さんのご意見をいただきたいと思いますが、これについて何かコメントいただけますか。

【和田委員】
 壁面から控えを取っている重要なものはあるのですか。
 原子炉建屋は単にシェルターであり、重要な機器等は全て1階床からですので。
 壁自体が壊れる、壊れない、ひび割れ等の議論する場合、また、地震は一方向だけでなく、地震時における壁自体のダワダワするような変形や、先ほどの軸力の影響等を考えるのであれば、考慮する必要がある。
 したがって、加速度の観点では、壁から控えを取っている重要なものがなければあまり考える必要はないと思いますが、壁自身が壊れる、壊れないと観点を論じるのであれば考慮した方が良いと思います。

【和田委員】
 ここでの検討は、全て弾性モデルですよね。

【上林先生】
 今、解いたものは全て弾性で行っております。

【和田委員】
 したがって、全てモード解析して。

【上林先生】
 はい、そうです。

【和田委員】
 もう一度、モード重合法のようなことをやっているのですね。

【上林先生】
 そうです。その時に出てくる刺激係数とか、有効質量というのをモードに掛けております。

【和田委員】
 しかし、時系列でやったモード重合法ですよね。

【上林先生】
 そうです。

【和田委員】
 SRSSとかではなく。
 減衰は、各モード全てに3%とか、2%ですか。

【上林先生】
 全て、同じ3%です。

【和田委員】
 高次だからといって、高い減衰にはしてない。

【上林先生】
 そのようには入れていないです。

【和田委員】
 同じ解析を行う場合、ハイモード程、高い減衰を与えた場合には、全く答えは変わるため、その辺も明確にしておく必要があります。

【上林先生】
 ご指摘の通りです。

【和田委員】
 私も検討していることがおかしいと言っている訳ではなく、このように成るのではないかといことを、初めから成らないと決めて行うことが良くないと言っているだけなので。どうもありがとうございました。

【二ノ方主査】
 さまざまなご説明ありがとうございました。それに、質疑応答ありがとうございました。只今の、論点の整理について、まだ、ほかにコメントの追加はございますか。よろしいですか。
 それでは、ありがとうございました。もし、ご質問等の追加がございましたら、事務局までご連絡いただければよろしいかと思います。
 次に、前回報告はございませんでしたが、機器・配管系の部分に移りたいと思います。それでは、ご説明お願いいたします。

【上林先生】
 それでは、続きまして、機器・配管系ですが、機器・配管に加え、プールと生体遮へい体といった構造物がございますので、その部分を含めてご説明をさせていただきたいと思います。
 それで、この6つの項目で、今回のバックチェックに係る対象施設は全てです。
 少し説明を忘れておりましたが、中間報告書には、「2.生体遮へい体」、「3.制御棒駆動装置案内管」、「4.粗・微調整棒取付部分」、「5.炉心直下1次系冷却配管」は盛り込んでおりますが、「1.使用済燃料貯蔵プール」と「6.炉心支持構造物」については、盛り込まれておりませんので、最終報告書に向けこれらを含め、ご審議をお願いしたいと思います。
 まず、1つ目と2つ目は、機器・配管というよりは、1つ目が使用済燃料貯蔵プールと、2つ目が生体遮へい体です。これらは、主にコンクリートで構成されている構築物となっており、3つ目以降が機器・配管系で、金属で構成されているものになっております。
 順に検討結果をお示しさせていただきたいと思います。
 具体な説明の前に、各施設への入力地震動という観点の整理をする上で、再度、この図を付けさせていただきました。今回は、先ほど示しました構築物のほとんどが、建屋1階床レベル相当にあるため、上図に1階の床の応答波形を示しております。
 入力地震動としては下図の応答スペクトルに示すように、基準地震動Ss‐2のNS成分のものよりもEW成分の方が上回っているため、この青線として、基準地震動Ss‐2のEW成分のものを採用し、これを建屋のX、Y両方向に同じものを入力することとし、それぞれの最大応答値を見つけて評価するという手法をとっております。これは建屋と考え方は同じとしております。
 この時の水平動の最大応答加速度は983galで、この場合、水平震度換算で1.0とし、剛体として近似モデル出来る場合の施設に関しては1.0という値を採用しております。鉛直動については、最大応答加速度は268galで、1.0の半分程度と考え、鉛直震度を0.4とし、大きめに評価しております。
 最初に、使用済燃料貯蔵プールですが、少し複雑な絵で見難いですが、現地調査時にご視察いただいたプールで、こちらの破線側が原子炉建屋の外周壁になっており、こちらの開口部からこちら側へ出て頂き、このプールをこの辺りからご視察いただいたところになりますが、プールの内法幅が3.9m、深さが5.25m、長さが5.2mとなっております。プールの外壁厚さ50cmとなっており、これを取り囲むような形で、ここに地下室がございまして、地下室と外部の地盤と境界の部分には、このように外壁の土圧壁があるという形になっております。建屋の方はこちらになり、こちらの方はそのまま地下構造になっており、この部分には土がない状態です。
 スラブはこのように上部で繋がっており、出入口が、ちょうど、こちら方向からこのように歩いていただいたのですが、1階のレベルで繋がっております。このプールへの荷重の計算としては、まず、この床の荷重の内、このようにお互いの壁で支え合うため、ちょうど半分の所で線引きし、この囲まれた部分の重さが慣性力として作用するという解釈としております。また、壁自体の慣性力に加え水の慣性力があります。この他に、仕上げ荷重と床上部の積載荷重となり、積載荷重は2,100N/m2という値を採用しております。
 このような荷重による壁のせん断応力と、許容せん断応力とを比較した検討を行いました。この検討では、壁の単位幅1m当たりのせん断力を計算し、こちらの値になっております。単位幅当たりの床スラブの部分として9.93kN、仕上げを含めた壁自重として68.25kN、それらにプール内の水を考慮し、合計214.7kN/mとなり、これを216という数値に丸めた値を荷重とし、単位長さ1mと厚さ50cmという面積で割り、発生せん断応力が0.44N/mm2となります。一方、コンクリートがFc180なので、短期許容せん断応力としての許容値が0.9 N/mm2となるため、半分程度に収まっている状況となり、これが使用済燃料貯蔵プールの検討になります。
 続きまして、生体遮へい体はこのようになっており、これ円形に置き直した図が次頁になりますが、この部分は、計測のための配管等のスリーブで少し断面欠損があります。1階床レベルが、ここ図面でいうところのレベルになっており、ここの地下部分の基礎梁で支えられております。応力検討はB、C及びDの、3つの異なる断面で検討を行っております。その結果、今説明した1階床レベルにおいては、少し欠損部分はあるのですが、ここの部分の架台重量が非常に大きいため、最終的に、大きな応力となるD部の基部の検討結果をお示しいたします。
 土台重量は、ここから上部が740t、約7,400kNで、断面積と断面係数はこのような数値となります。生体遮へい体は直径2mの穴が抜けており、その中に水が入っており、断面欠損を見込んだ断面係数となっております。重心位置に水平力が作用し曲げモーメントを求めますが、その高さは3.95mになります。
 右側の「最大応力度と評価」のところで、まず、発生する断面力の最小圧縮力は、自身の重力加速度に負の加速度0.4が作用するとした値に、重量を掛けたこの値となります。一方、最大圧縮力は、鉛直震度が正となるので、加算された値になります。
 せん断力については、先ほど、水平震度CH=1.0に、重量7,400kNを掛けます。
 曲げモーメントについては、この高さを考慮し、計算するとこのような値になります。
 これらから、引張及び圧縮応力度のそれぞれを検討した結果がこのような値なり、軸力を断面積で割った値と、曲げモーメントを断面係数で割った値を重ね合わせております。
 評価結果として引張に関しては引張応力度といい、こちらの値の方が大きいため、引張で1.21N/mm2となり、Fc210のコンクリートにおける短期許容引張応力度が1.4であるので、一応、これ以下に収まっております。
 一方、圧縮については1.8 N/mm2で、これは許容値に比べ十分の余裕度があります。
 せん断応力については、このような円筒管になるため、形状係数1.74を乗じ、最大せん断応力度を算定し515kN/m2となり、単位を換算し0.52kN/mm2となります。
 すみません。こちらの単位はkN/m2ですね。誤植になっております。
 一応、これが炉体基部での発生応力の検討となります。
 続きまして、機器・配管系になりますが、この絵は炉体の所をかなり強調しておりますので、本来のスケールとは少し異なりますが、ここで検討する部分についてですが、これが先に説明した炉体部分になっております。
 まず、最初に制御棒というものがこちらになっており、現地調査時に上に出ていた棒があり、これが少し見難いのですが制御棒で、このトップシールドのところから1.6m程度出ています。ここから下に6m程度あります。
 この部分の制御棒ですが、制御棒自身は機械なので、今回の検討は、制御棒を覆う案内管という筒の部分の応力検討をしております。その先に付いている粗調整棒という制御棒を、要するに、中性子の出力を調整するための棒についても、この部分は放射性濃度が高いため、写真が撮れませんのでございませんが、その部分も検討しました。これが、制御棒を突き刺さしている部分になっております。
 次に、配管ですが、1次冷却系炉心直下の部分がこのようになっており、ここにちょうどバルブがあり、この上でシュラウドの底と、この配管が繋がれている部分が、一番も応力が大きくなり、かつ、そこでの安全性を保つことが、バルブの上で止めることが非常に重要なため、その部分をターゲットに検討させていただきます。
 ここには、書いてないのですが、ここに炉心がありまして、ここの炉心を支える炉心支持構造物という架台があります。これについても検討させていただきます。
 最初に制御棒駆動装置の案内管になります。中間報告書におけるモデルは、かなり簡略化したモデルで、可能な限り、静的に簡略化したモデルで解いているため、構築物をかなり安全側に置換したモデルで解いております、今回は、少し高度化したモデルで計算しておりますので、それと中間報告の簡略モデルと、併せてお示ししたいと思います。
 最初、制御棒の駆動装置ですが、周りの薄い線のところが案内管です。この先に、粗調整棒が刺さっております。
 基本的には20galという地震動のP波部分を感知し、この電磁石の部分で切り離され、0.6秒で自動落下する構築物になっておりますが、先ほどの基準地震動Ss‐2が作用した場合、許容値と比べ、どの程度の余裕度があるかを確認の意味で計算しております。
 最初に、簡略化モデルですが、簡略化モデルはトップシールドから、炉心支持構造物、あるいは、炉心までの距離が6,640mmで、6m強となっており、図はこのように6mと1.6mで、プロポーションは悪いですが、一応、そのようなスケールとなっております。この部分の総重量が15㎏で、150N、上の出ている部分にはモーターなど、いろいろなものが入っていますため、長さの割に、少し重くなっており、110Nという値になっており、それを等分布な21質点系に置き直し、この時の固有値解析を行いました。その時の1次固有周期が0.311秒であり、この周期を先ほどの1階の応答スペクトルにプロットし、得られる最大加速度応答スペクトルは減衰が2%の場合で3,000gal程度であるため、水平震度を3.5とし、これに質量を乗じて、このような分布荷重として与えています。
 鉛直地震力に関しては、この質量に先ほどの水平震度0.4と自身の自重を考慮した形での応力を求めた。
 その結果、軸力とモーメントを断面積と断面係数で割ったものを合成し算出される垂直応力度が得られます。許容値ですが、後で訂正表も掲載しおりますが、こちらは訂正を忘れており、65N/mm2が許容垂直応力度の値になります、ご修正をお願いします。
 最大せん断応力度については、円筒管のため、平均応力を2倍した値が最大となりますので1.8N/mm2となります。こちらも同様√3で割り、37N/mm2となります。すみません。
 これが中間報告による簡略化モデルの検討内容ですが、これを今回はこのように質点系ではなく、連続体で地震応答解析を行いました。こちらのモデルは同じですが、案内管外径72mm、内径64mm、材質はアルミニウムA5052P‐Oを使っております。
 今度は、これをこのような連続梁というか、分布質量系の形に置き、この部分をモード解析しました。こちらがその結果となっており、1次モード、2次モード、3次モードと。1次モードについては、先ほどの21質点系にした場合と、ほぼ同一な周期になっております。これに先ほどの基準地震動Ss‐2 EWにおける1階床レベルの応答を水平に与えて、応答解析を行っております。
 その結果が、この図になっており、トップシールドの部分がここになっており、最大たわみが生じる時の変位分布については、この図のようになります。ちょうど真ん中のこの部分で最大たわみが生じ、34.1mmとなっております。
 なお、参考までに、静的解析時での最大たわみは65.7 mmで、おそらく2次、3次モードが効いた結果、最大たわみに関しては半分程度の低めに算出された結果になっております。その時の最大応答加速度が2,340galなので、先ほど簡略化モデルでは3,040galなので、応答最大値はこのようにモデルにした方が少し小さめに出ています。
 なお、有限要素的に解法しているため、この部分に関しては10分割、キャンチレバーの部分に関しては3分割という形で解いているため、実際のせん断応力は直線になりますが、このように階段状に表記されるのはそのような影響からです。その時の最大せん断力は94.2N、モーメントの最大値がこういう値になっております。これらから先ほどと同様、最大垂直応力度を軸力とモーメントから求めると19.2N/mm2となり、簡略化モデルでの44 N/mm2よりも少しひいき目な結果は出ております。
 なお、ここも先ほど同様に、誤植があり、65 N/mm2と37 N/mm2という値が実際の許容値になっております。簡略化モデルと同様、せん断応力度についても、許容値に比べれば十分小さなものになっております。
 一応、これが制御棒駆動装置案内管での検討結果になります。
 続きまして、制御棒駆動装置の先端に付いている粗調整棒と微調整棒という、中性子の吸収体の部分に関して、これも先ほど申し上げた通り、スクラムがかかって20gal、0.6秒で落下し、これの部分は挿入されてしまうと、特に検討は要らないと思いますが、一応、念のため、これの取り付け部分で働く応力を検討しております。
 これが立面図になっており、こちら側の方は厚みがある形状ですが、このように薄い部分もあります。
 本来であれば、このような横向きの力に対して、ここの部分が閉じ、ここで引張が生じ、このボルトの引張を検討すれば良いと考えるところですが、ここでは、こちら側が薄いためこの被り部分を無視し、安全側の評価ということで、ステンレス製のこのボルトが水平力のせん断力及びモーメントを受けた場合に、安全かという検討をしました。
 この場合、固有周期は0.012秒で、今回は、先ほどの水平震度1.0、鉛直震度0.4という形の剛体モデルで解いております。
 そのモデルの図がこれになっており、材質はSUS304というステンレス綱の、M12のボルトです。これは建築基準法施行令において、このボルトの許容値が規定されており、それを引用し、短期に関しては210N/mm2で、せん断応力に関しては121 N/mm2になっております。
 実際、発生する応力は、このボルトの付け根部の取り付けボルトとナットのこの部分になるのですが、この部分で180 N/mm2と、せん断応力に関しては0.7 N/mm2と、弾性範囲内で、一応、収まっている結果になっております。
 なお、ここでもそうですが、後で整理した表をお見せしますが、中間報告書におけるボルトの許容値についても、垂直応力度が137 N/mm2と、せん断応力度が79 N/mm2と記載されておりましたが、これも誤っており、標記の値になっておりました。訂正させていただきます。
 こちらは、微調整棒という部分になりますが、取付金具の形状が、先ほどの粗調整棒とかなり異なっており、微調整棒はこのようにアルミニウム製の筒に突き刺し、ここで留めている形になります。ここでの検討は、アルミニウム製のこの筒が、曲げ、せん断等を受けた時に許容値以内に収まるか、検討しました。
 この場合、固有周期は0.015秒で、これも、先ほど同様、剛体としてのモデルで解いております。発生する最大垂直応力度は3.9N/mm2で、許容値はアルミニウム製のため42 N/mm2となります。また、最大せん断応力度は0.1 N/mm2で、許容値が24 N/mm2という値になっております。
 次に、炉心直下の1次冷却用配管になります。ここでも、まず中間報告では簡略化したモデルで解いており、その結果からまずご説明させていただきます。
 1次冷却系配管とは炉心に水が入っていく方と、出てくる方の2本の配管が配置されており、縦配管部分の長さが入口側では2,070、出口側では1,800と少し異なります。これは配管下の床に立ち上がり部分で段差があるため、少し異なった長さとなっております。
 これがL字型に曲げられ配管され、サポートはシュラウドの下で、コンクリートとシュラウドは一体化となっているため、固定と見なしますが、中間報告では安全側で、モーメントが、配管中央で最大となるよう、中央部分でのモーメントが耐えられれば、ここでも大丈夫だろうという簡略化モデルで解いているので、出来るだけ最大モーメントが出るような形で両端をピン支持としております。
 配管はL字型に曲がっておりますが、ここが第1サポートになっており、この部分をこちら側へ真直ぐ延ばし、スパンを長くとって計算し結果が、中間報告になっております。
 中間報告ではこれを剛体と解き、水平震度1.0、上下震度0.4で、ここの重量を全て一点集中荷重に置き直し、発生する応力度を算定した内容がこの部分になっており、上段が垂直応力度で、入口側が5.7N/mm2、出口側が6.4 N/mm2となり、許容値が126 N/mm2となります。許容値126 N/mm2は微調整棒取付金物のアルミニウムと同じですが、焼き鈍し等により異なった値となっております。最大せん断応力度については、発生値が0.6N/mm2と1.4N/mm2と、許容値が3.1N/mm2となっております。
 今回は、これを分布質量系、先ほどと同様のモデルをつくり、3方向の地震力を入力し、各方向の最大値を重ね合わせることによって応力値の検討を行いました。
 それがこの図になっており、先ほど説明を忘れましたが、炉心直下の配管の外径350mm、内径336 mmとなっております。この部分については、定期的に肉厚測定を行っており、実際に計測した値を引用しております。
 L字型の部分は、このようにL字型のフレームモデルに置き直し、先ほど申し上げたように、炉心直下部分は固定とし、第1サポート部分は、少し見難い絵ですが、上下方向に関してはフレキシブルに動き、スクリーンに対して手前と左右と関してはピンになるような支持状況とし、このようなモデルをつくっております。ここでは、連続梁の下にヒンジを設けて、ここを上下方向に対してはローラー支持というモデルで、こちらの部分は第2サポートで、上下及び手前奥方向は支持されていますが、左右方向は可撓なローラー支持にしております。
 これに地震力を、左右、上下、手前から奥側への3方向、X、Y、Z方向という形で作用させました。固有周期は0.033秒なので剛体仮定でも良いのですが、このようなモデルをつくってしまえば、分布質量系を与えてしまうと、応答解析もすぐ出来てしまうため、今回は、応答解析そのままの値を引用させていただいております。
 加振方向がX、Y、Z方向のそれぞれの加振力に対して、せん断力としてQx、Qz、軸力、2方向のモーメントMz、Mxとなり、それと、この管に関する捩れモーメントMyになり、力と発生応力の関係でゼロになる部分が、このようなところで出てきております。
 なお、ここで軸力の部分に関して、長期荷重的な配管自重はここに含まれて考慮しております。
 これら発生値を総和し、これから応力を算定する時の各形状係数です。
 管の最大せん断応力を算出する場合、平均せん断応力を2倍とし、また、断面積、断面係数、ねじり係数になり、ねじり係数は、断面極二次モーメントを外半径で割った値になっております。これらを考慮して応力度を計算しますとこの値になります。
 ここで、最大垂直応力の発生する部分を取り出すと、まず軸力に関しては0.79がここに代入され、曲げモーメントについては、MxよりもMzという、この軸に対してこのように曲がる、要するに、水平に作用する力が、モーメントに及ぼす影響が大きいため、この値となっております。この両者を足し合わせて最大垂直応力度を、配管は円筒管ですので、四角形のような角がないため、こちらの垂直応力を採用しました。発生応力が2.65 N/mm2で、許容値よりもかなり小さめとなっております。これは先ほどの中間報告の結果が入口側では5.7N/mm2という値になっておりましたので、今回は2.65 N/mm2と。先ほどは真直ぐに延ばした配管として全荷重が真ん中に作用するとか、スパンを実際よりもかなり長く仮定したため、かなり過大というか、安全側で評価し過ぎたということで、一応、今回はこのような値になりました。せん断応力度についても0.6 N/mm2で、許容値の31 N/mm2よりも下回っている結果になりました。
 同様に、出口側の配管についても検討しました。この場合も同様の計算を行い、結果が2.69 N/mm2で、この場合も中間報告の結果よりも小さく算出された検討結果になっております。
 最後に、炉心支持構造物です、先ほど申し上げました炉心を支えている、このようなプレナムという架台です、炉心のこのようにプレートによりボックス型の形状としたものの検討を行いました。
 材質はアルミニウム合金で、アルミニウムはものによって引張強さなどの機械的性質が異なりますが、ここでは、耐食アルミ合金を用いており、引張強さは材料試験での結果を採用しており、許容圧縮応力に関しては、引張強さを1/3とした値で採用しております。また、せん断応力に関しては、許容圧縮応力の1/√3という値を採用しております。上部炉心を支えるにあたって。炉心は挿入される制御棒など、さまざまな状況によって炉心重量は変動するため、今回は、一番重い場合として5,815Nという値を採用しました。
 プレナムの自重はこの値になっており、固有周期はこのような値のため、剛体としてモデル化し検討しました。水平震度と鉛直震度は、先ほど同様1.0、0.4としております。
 断面係数がここにあり、この結果、今回は、先ほどの円筒管ではなくて、四角形の管になるため、最大の垂直応力度が生じるのは角の部分になり、2方向の力を受けた場合、それぞれの応力度に、上下動の地震と、プレナム自体の荷重を考慮し合算され、最終的に2.33N/mm2という値になっております。
 せん断応力度もこのように1.36 N/mm2で、許容値が34 N/mm2なので、こちらのプレナムに関しても、十分、許容値以内に収まったという結果になりました。
 以上、機器・配管系について、生体遮へい体を含めて検討した結果を纏めたものの表になっており、この「閉じ込める」、「止める」、「冷やす」は、この炉心支持構造物に関しては、どちらにも該当しないため、このような形にしておりますが、応力度の種類としては、基本的に圧縮或いは垂直応力度と、せん断応力度に関して検討をそれぞれ行いました。
 こちら側の黄色い部分が、今回の解析モデルで行った結果の発生値と評価基準値です。こちら側が中間報告の発生値、評価基準値になっており、先ほどの2点ご修正をお願いした部分がここになっており、中間報告における許容値という部分での誤りで、こちら側の黄色い部分の値が正の値ということで、改めて、訂正させていただきたいと思います。
 以上が、機器・配管系の検討結果ということでご報告させていただきました。
 以上でございます。

【二ノ方主査】
 ありがとうございました。
 それでは、只今のご説明についてご意見、ご質問等をお願いいたします。

【藤田委員】
 順番にやった方が良いですか。さまざまな機械や、かなり建築構造物的なものもあるため、順番立てて行った方が良いと思いますが、先に燃料プールですか。

【二ノ方主査】
 16ページですか。どうぞ。

【和田委員】
 これは、大丈夫そうな感じですね。プール内の水がスロッシング現象で溢れ流れた場合、問題となるのですか。

【釜江先生】
 我々の原子炉施設は、かなり冷却された燃料で、プール内の水が減ること自体も全然問題無いですし、仮に、プール外に出ても、当然、管理区域内のため、そのような観点でも問題ないです。

【二ノ方主査】
 冷却というよりは、むしろ格納出来るかどうかということです。

【和田委員】
 それもそうですね。

【二ノ方主査】
 これ、ライナーは? ごめんなさい。どうぞ。

【藤田委員】
 同じ質問です。ライナーが載っているのを見た記憶が無いので。

【釜江先生】
 ライナーはあります。ステンレス製のライナーです。

【上林先生】
 仕上げ荷重として含まれております。

【釜江先生】
 コンクリート躯体で出来ているため、重さ的には誤差の範囲です。

【藤田委員】
  普通の原子力発電所と違って、固定されたラックが置いてあるのではなく、コンクリート躯体自体がラックになっている形でしたか。

【釜江先生】
 コンクリート躯体自体が、プールの底の部分から、またより深くなって、その中に、少し金属の仕切り板があるような形です。金属製のラックという意味ではないです。コンクリートの躯体と思っていただいたらいいです。
 もともと据え置き式とか、さまざまなラックがありましたが、今回、燃料体が限られるということで、耐震的にも据え置き式のものは、なかなかバックチェックには保たないだろうということもあって、躯体と同じものだけに変更し、これだけを貯蔵施設という位置付けに変えさせていただいています。

【二ノ方主査】
 如何でしょうか。よろしいですか。

【和田委員】
 先ほどの、耐震補強を行った原子力発電所の事例のように、サポートを追加しなければいけない箇所などは無かったということですね。

【釜江先生】
 そうですね。

【和田委員】
 現状のままで。

【釜江先生】
 全体的に配管なども含めまして。
 現場では、自主的に少しサポートを増やした箇所をご覧いただいたと思いますが、もともとの設置された時のサポートで、今回、一応、十分である結果が得られましたが、我々自主的に、少しそのような手当てをしておりました。

【二ノ方主査】
 生体遮へい体については、何かございますか。

【和田委員】
 構造の仕組みがどのようになっているのか良く分からないですが、これは、建屋部分の構造体と一体になっていると思っていいのですか。

【釜江先生】
 そうですね。写真の絵、これではスラブだけで記載されておりますが、根の張った構造になっております。
 現地調査時に地下1階のサブパイルルームに入っていただきましたが、その周りは壁があり、その壁によって支えるような構造になっております。

【二ノ方主査】
 一体と考えているのですか。

【釜江先生】
 そうです。一体と考えていただいて結構です。

【和田委員】
 このような箇所も、もともとは構造計算で断面が決まっていなかったということですか。

【釜江先生】
 これは遮へいとして。

【和田委員】
 そういう意味で、十分過ぎる位だった訳ですか。

【釜江先生】
 そうですね。

【和田委員】
 わかりました。

【釜江先生】
 生体遮へいと言うことですから、ほとんど、遮へい効果で、本当の遮へいと言うことです。

【二ノ方主査】
 如何でしょうか。次の制御棒駆動装置の案内管ですか。

【藤田委員】
 固有周期は、応答スペクトルでちょうど山を登る辺りですよね。
 21ページにモード形状が記載されておりますが、刺激係数は、先ほどの応答計算結果も入れて、ほとんど1次モードだけですか。

【上林先生】
 応答は、ご指摘のように、0.3秒のところの入力は大きく、0.1秒程度では相当落ちてくる影響で、これが、かなり支配的であると考えています。

【藤田委員】
 そうですよね。これは長い形状のため、むしろ応力よりも変形の観点で、22ページで、6mで30mm程度変形すると、中央部ですから、変形角ではどの程度ですか。

【上林先生】
 1/200です。

【和田委員】
 そういうことですね。

【藤田委員】
 したがって、中央部がこのように振られるため、1/100程度になるということですかね。変形角に関しては問題無いのですが、一般の商用炉では制御棒が確実に落下するかどうかの検討を、かなり難しいモデルをつくって行っているようですが、この施設の場合、20galで落下するとお聞ききしたため、本当に設計用地震動の時に落下するのかどうかを検討すべきなのか。一方で、0.8秒と言うことなので、この時点では下へ入っている訳です。むしろ、20galと設定され、普段よく落下し、商用炉であれば、多分、使い物にならないと言われるようなレベルです。
 この辺りをどのように考えるか議論いただいた方が良いと思います。

【釜江先生】
 多分、制御棒に関しては、現地調査時に少しご説明させていただきましたが、本日も、上林の方からも少し説明しておりますが、これは案内管というアルミニウムの管です。上部は駆動部なので、モーターなどさまざまなものが入っています。
 それで、ここはネジになっており、ここに電磁石があって、その下は2cm位のシャフトがあって、シャフトの先に制御棒があります、先ほど、耐震の話がありましたが、この間はシャフトがあって、地震時には、この部分は分離し、先ほどの部分にも入るということと、燃料は70cm程度で、ほとんど半分位は絶えず入っているため、原子力発電所と異なるのは圧力が掛かり入り難くなっているなどは無く、この距離からも0.6秒で、ほとんど、そのような抵抗も無く入ってしまいます。
 それと、何度も申し上げますが、30mm程度の変形は、この中で少し横からサポートを取れば、変形は抑えられますが、何分、試験研究用の炉で、燃料を上からマニュアルでハンドリングするため、そのようなサポートが取れない箇所でもあります。
 何度も申し上げますが、20galという非常に小さな加速度で、0.6秒で落下してしまうため、我々が、今回、策定した基準地震動Ssは、非常に近接する地震ではありますが、当然P波にしろ、横揺れだけではなく3成分の地震動によって落下するよう設定されております。したがって、我々としては落下してしまうと考えております。それと、絶えず制御棒は中に、半分程度は入っていますから。
 ですから、上に抜け、入らないということは多分無いと思います。
 要するに、制御棒4本ありますが、1本でも落下すれば原子炉は止まります、念のため、3本も落下してしまいますが、これは二ノ方先生に解説していただいた方が良いかもしれませんが、このような安全性という意味では、「止める」ことの安全性として、私らは専門ではございませんが、いろいろな主任技術者の話を聞いていますと、その辺は試験研究炉ということでご理解していただけたらと思っています。
 構造的には、案内管は弾性体のため、揺れても弾性変形は残らないため、落ちた後も、健全であるということも含めると、「停止」という意味では、問題が無いと、我々は考えております。

【二ノ方主査】
 先ほど、微調整棒と粗調整棒がありましたが、それらの役割として、スクラム機能を持たせているのですか。

【釜江先生】
 そうです。粗調整棒4本と微調整棒1本とですね。

【二ノ方主査】
 粗調整棒4本と微調整棒1本で制御棒と。トータル5本。

【釜江先生】
 そうですね。5本ということで制御している。

【二ノ方主査】
 それらには、全てスクラム機能を期待している訳ですね。

【釜江先生】
 すみません。微調整棒は落下しなく、落下するのは4本だけです。それで、1本落ちれば十分ですが、全部落下してしまうということです。

【二ノ方主査】
 すべて重力で。

【釜江先生】
 そうです。

【二ノ方主査】
 スタンバイの場所としては、常に炉心直上か、または中に入っている。

【釜江先生】
 ここですね。これが燃料だとすると、先端は常に入っています。ストロークの関係からも、抜けてしまうことはありません。

【二ノ方主査】
 上下振動で逆に抜けることは無いですか。

【釜江先生】
 そうですね。もし離れて、それが上がっても、上の分は残っていますから、そこに当たるだけです。
 離れますが、ストローク的には当たった時点で入っているため、上がっても当たるため、また落下し、燃料から抜けてしまうということは機械的にはありません。

【二ノ方主査】
 そのような機構になっているということですね。

【釜江先生】
 そうです。ここで電磁石とシャフトが繋がっている訳です。その繋がった状態で、制御棒は当然その中に入っているため、例えば、地震によりスクラム時に離れると、下まで落下する訳ですが、これが何かの形でそのように飛び上がっても、上の電磁石とまた当たるため、抜けてしまうことは無いです。

【二ノ方主査】
 当然、その辺のところを、全て審査した結果として、使っているので問題無いかと思いますが。あと、よろしいですか。
 これ、案内管のこのようなモードは、水中の振動を含めて、そのデフレクションのようなことは考慮されていますか。

【上林先生】
 水の影響は考慮していません。スロッシングが1秒程度で。

【二ノ方主査】
 スロッシングの前に、水中での振動を考慮する必要があると思います。

【釜江先生】
 減衰にも効くし、入力にも効くしという、非常に微妙なところだと思います。

【二ノ方主査】
 多分、減衰。逆に、20galとか、早めに落下させようとすると、どちらかというと、このような抵抗などを排除する方が大きいのではないでしょうか。したがって、かなり、減少するのではないかなという気がします。

【和田委員】
 空中にある時より、振動が減るだろうということですね。

【釜江先生】
 非常に高周波ですから。

【上林先生】
 実際のスロッシングが起こる時は、もう入ってきてしまっているため、ここが折れても、ここで保つという解釈です。

【二ノ方主査】
 スロッシングの場合は、どちらかというと健全性の問題で、挿入性というか。

【藤田委員】
 制御棒を正確に検討しろと言われると、行うと大変だと思うのですが、粗調整用ボルトも、結構、応力的には厳しいと思って見ていたのですが、これも極端なことを言うと、何かがあったら場合、落下してしまう方なので。
 要は、そのような意味でのフェールセーフの考え方になっていて、むしろ健全性で何とか運転出来るように普段している訳で、何かがあった場合は、止まってしまう方向というような安全の確保の仕方なので、しかし、それを本当に厳密に検討してみようと、複雑な実験になり、揺すりながら、軽水炉等は実験を行っている訳です。

【吉田原子力規制室長】
 軽水炉は、実験を行っております。

【藤田委員】
 大変な実験を行っておりますが、あれも、モデルを造るのは大変なのです。そう考えると、その考え方を理解出来れば良いと、個人的には考えますが。
 検討するとなるとすごく大変ですが、結局、レベルのすごく低い話で、落下してしまうため、変な、架空の実験を行わざるを得ないような、実際の地震動で揺すってみて、変形がどのようになっているか確認し、しかし、その時は、実際には……。
 電磁石ですが、普通だと、電源系が健全な場合、電磁石を切って落とすし、万が一、そうではなく、電源系で落下しなくても、確か、磁石自身が弱いため、接触したりした場合、落下すると説明されていましたよね。

【吉田原子力規制室長】
 電源が落ちたら、落下するのではないですか。

【藤田委員】
 電源が落ちたら、落下してしまうし、万が一、電源だけ健全で、すごく揺れていたとしても……。

【上林先生】
 重力が少ない。

【藤田委員】
 多分、慣性力で落下してしまう。

【釜江先生】
 原子炉の電流値も辛うじて吊っている程度で、一応、ある程度の加速度で動かすため、その程度では十分保つ程度の非常に微弱な電流にしています。
 今、先生が言われたように、上で当たってしまい、落下させてしまうこともあり、非常に気を付けないといけません。

【藤田委員】
 学生実験などで落下させてしまい、怒られてしまう学生はいるのですか。

【釜江先生】
 炉上の見学も少し制限し、気を付けないと、そのようなこともあり得るようです。

【和田委員】
 今回は、地震と原子力ということですが、柏崎刈羽原子力発電所も、そろそろ動き出すのか、動きだしているのか。明日から動かしますというと、何かが漏れたとか報道され、その度に延びて、2年半が経過してしまっています。
 燃料のところから何か出たという報道もあったと思いますが、そのような公開されている情報で良いのですが、あれだけの加速度が入力されると、さまざまな機器に支障が起きたり、報道されたりします。
 京都大学の制御棒については、確実に落下するのでこれで良いのですが、ほかでは、燃料棒の周りから何かが漏れたとかいう報道があっと記憶しております。
 このように公開されている情報として、損傷箇所等がリストアップされ、チェックリストのように確認するようにすれば良いと思いますが。

【鎌倉保安管理企画官】
 試験研究炉については、高経年化対策ということで30年経過した際に保全計画等をたてております。ごく最近に、このKURについてはこの評価が出ており、各機器等の確認を行った状況です。

【和田委員】
 したがって、あのような地震発生後のさまざまなトラブルについては、経年劣化により発生しているのか、地震の影響により発生しているのか、その辺についても、私は別に区別している訳では無いですが。
 再開しようと報道すると、火事が発生しています。

【二ノ方主査】
 経年劣化で、これは耐震だから耐震に任せるとか、これは経年劣化だから経年劣化だとか、お互いに検討しないこともあり得るのではないかと思います。
 したがって、双方で押し付け合わないようにした方が良いと思います。

【和田委員】
 バレーボールで、球が飛んで来て、両方が逃げてしまう。

【二ノ方主査】
 それでは、残りの冷却系配管、支持構造の部分についてです。
 もし、ございましたら。

【上之薗委員】
 1ついいですか。ここでは地震時の検討を行っているので、許容値というのは短期のことですよね。

【釜江先生】
 そうです。

【上之薗委員】
 わかりました。「許容値」としか記載されていないため、短期なのか、長期なのか分からない状況にあるので。

【上林先生】
 最後の一覧表は、全て短期です。すみません。

【二ノ方主査】
 どこの部分に関係する内容でも構いませんので、ご質問、ご意見をお願いします。

【和田委員】
 このような検討は、母材の検討を行っておりますが、ほかに管と管との接合部がありますが、大方、母材の方が弱いのですか。

【釜江先生】
 そうですね。

【和田委員】
 接合部は、十分だと思って良いのですか。

【上林先生】
 ここの部分、バルブの周りにかなり補強があるため、基本的には、この部分が、一番大きな応力と思いますが。

【和田委員】
 その接合部は、十分強いということですね。

【上林先生】
 はい。ほかの案内管も接合部分はありますが、接合部分だけは膨らませ、そこを4点ボルトで留めておりまして、そこの検討も、一応、行っておりますが、上手く設計されているか分かりませんが、管とほぼ同じか、少し上回る程度の強度になっているため、その辺は考慮されているものと認識しております。

【和田委員】
 過大な力が作用した時に、母材が弱ければ、母材が延性的に変形するため一般的には良いとされ、ボルト接合の方が弱い場合には脆性的に壊れてしまうため、接合部は母材より堅固にするという前提の方が良いと思います。全体に余力があれば良いのですが、もし、何かがあったとしても、相対的に母材の方が弱いと良い。
 どこかに、接合部は十分な強度を有するため、母材で検討した旨を記載した方が良いと思います。

【上林先生】
 最終報告書に、反映させて頂きます。

【藤田委員】
 それと、内径と外径は実測値で、外径は変わらないと思いますが、内径は少し減っているか、あまり変わらないのか、どちらですか。

【川辺先生】
 経年変化により変わっておりますが、ほとんど計測誤差程度で、計測をし始めた昭和55年以降は、ほとんど減っておりません。計測する場所と人によって、その年々で、少し変動はありますが、それも計測誤差範囲内だと考えております。

【藤田委員】
 これは、非常時には電磁バルブで自動的に閉鎖し、上の冠水を保つのですね。仮に、それが動かない場合は、マニュアルで閉められるとか、説明していただいたのですが。

【釜江先生】
 そうです。これがマニュアルの、これは先ほどのサブパイルルームから壁を貫通して外へ出ていて、こちら側ではなく、ここに壁があって、外側からこれを閉めるようになっています。
 それともう一つ、逆止弁と水圧駆動弁があります。それは、自動的に水が無くなれば止まります。
 最悪の場合は、人間が行って閉めれば、この上で漏れない限りは、こちら側で漏れてもここで止めてしまえば、一応、冠水維持は出来るということで、2つのバックアップといいますか、マニュアルと自動弁ですが、そこを一つの拠り所にしています。
 ただ、ここを、少しご覧いただいたように、熱交換機とかのループがありますが、サポートのスパン的にはもっと短い箇所が多数あるので、ここで問題無ければ、こちら側はスパンから言うと、配管は同じですから、荷重もまだ弁とか無いだけで配管だけですから、そのような意味では、ここが、一番荷重が作用し易い所で、これは評価には入っておりませんが、配管自体については問題無いです。

【和田委員】
 全然、違う観点からですが、さまざまなことを東京電力と一緒に行っておりますが、地震後に、それほどしっかり耐震設計をしていない建物の扉が開かなくなり入れなくなるとか、発電所自体は良かったのですが、施設全体を管理していた緊急対策室とか、そのようなことは、今回は、全てこの建屋中で独立していると思っていいのですか。

【釜江先生】
 そうですね。我々も、そのようなに地震時、事故時に、対応するために別の建物があります。その建物の耐震設計に関しては、一般の建物より少しは強くという、先ほどの1.5倍に、最近、耐震補強を行っております。かなり古い建物で、かなりIs値が低かったため、補強する時に、1倍ではなく、1.5倍として補強させていただきました。したがって、もし何かあった時は、その建物からも少しは何らかのことができる。原子炉が止まってしまって、水さえあれば、原子力発電所と違うため、ポンプを回す必要があるとか、そのようなことは要りません、静観していても、多分、暫くは大丈夫と思います。

【和田委員】
 何度も同じ例ばかり挙げて悪いのですが、柏崎刈羽発電所は7機全てが止まっていても、冷し続けなければいけなかったため、外部から電気を持って来て冷やしていたようですが。
 京都大学は、制御棒も落下し、あの水があれば、外から循環して冷やすのですか。

【釜江先生】
 強制冷却は要りません。

【和田委員】
 必要無いのですね。

【釜江先生】
 止まった瞬間だけです。それに対して電池を持っていますので、大丈夫です。

【和田委員】
 わかりました。

【二ノ方主査】
 炉心の支持構造といった時には、こういうプレナムの構造だけのことをいうのですか、このような直方体の。

【釜江先生】
 ご覧のように、周りには、さまざまな重水設備、黒鉛、実験設備、配管等も出ているため、炉心自体は下部にプレナムがあり、シュラウドという言い方が良いのかわかりませんが、ここの格子板に燃料が刺さっております。
 その格子板が、下のプレナムに固定され、それが最終的に、炉壁のライニングに溶接されて一体となっております。
 荷重的に支えているのはプレナムしかなく、実際には、これ自身は周りからさまざまな配管等で横から押さえられておりますが、今回は、キャンチレバー的に自立している形で計算をしています。支持という意味では、ここしか支持をしてないと思います。

【二ノ方主査】
 炉心がプレナムという構造物の上に載っているということですか。

【釜江先生】
 そうです。

【二ノ方主査】
 載っているというか、燃料は集合体、ロットでしたっけ、集合体でしたっけ。

【釜江先生】
 一個一コマですね。

【吉田原子力規制室長】
 板です。

【釜江先生】
 ここで、少し板が見えているのは、これはシュラウドで、これが一個一個、黒鉛、反射体、燃料で、それ自身が、断面が無いのですが、この下に、ハチの巣のように穴が開いているアルミニウム製の厚い格子板があり、そこにノズルを差し込んでいるだけです。

【二ノ方主査】
 ノズルというか、冷却材がノズルの中の穴を通して。

【釜江先生】
 そうです。穴が開いているため、水は燃料板のここを通って、その下のノズルの穴から出ていきます。

【二ノ方主査】
 そうだとすると、地震時の横揺れ、または縦揺れで、集合体が抜けたり、動くといった挙動、群振動のような現象については如何ですか。
 そのようなことは検討しなくても良いとは思いますが。

【釜江先生】
 一応、横方向はほとんどクリアランスが無く、詰まっているような形ですが、黒鉛、反射体が入っているため、空いている時は全くありませんので、それをシュラウドというか、この先の、上の部分の板で取り囲んでいるという形です。
 上下方向については、ご指摘の通り「フリー」という言い方が良いか分かりませんが、ノズル中に差し込んでいるだけです。

【二ノ方主査】
 抜けるというのはマイナス要因で。

【釜江先生】
 70cm位ありますから、それが横枠ともあまりクリアランスは無いため、それが70cm飛び上がり抜け出てしまうことは、非常に考え難いことです。
 制御棒が入っている部分は、全然、抜けませんが、そうでない普通の標準の所も何本かあるため。
 全部が抜け出てしまうことは無いですが、そのような意味で、フリーとなっている部分は、全く否定は出来ません。

【二ノ方主査】
 外側からは、かしめているのではなく。

【釜江先生】
 一個一個がノズルの中に突き刺さっているだけです。それと、当然、抜いたり入れたりしますから、少しクリアランスはありますが、外周枠は、一応、アルミニウム製です。前の資料には細かく記載されております。

【二ノ方主査】
 基本的に、燃料体のそのような挙動は、安全側に動くだろうと。

【釜江先生】
 そうです。

【藤田委員】
 プレナムと炉心の固定はどのようになっていますか。

【釜江先生】
 先ほど言った、格子板、プレナムの上にボックスがあり、その上はかなり分厚い格子板はあります。アルミニウム製のハチの巣のような穴が開いている無垢の板ですが、それがプレナムと溶接で接合された溶接構造です。

【藤田委員】
 このようなものは、先ほどの抜出しの話ではないのですが、結構、圧縮応力も小さいため、逆に、浮力とか、そのような影響は考慮されて計算するのですか。
 逆に、上下動を真剣に考え出してくると。

【釜江先生】
 体積はそんなに無いため、浮力……。

【藤田委員】
 むしろ、しっかり押え付けられている。

【釜江先生】
 重さが、炉心全体で、体積がどれ位かといいますと。

【藤田委員】
 計算すると出来ますよね。

【釜江先生】
 ほとんど炉心のところの、燃料の隙間程度しか空間が無いため、その部分については、体積的には、水の体積に比べ8割位は占めているため、浮力としては、それ位は働く可能性があります。

【二ノ方主査】
 浮力よりも、むしろ、流れで、ドラッグで持ち上げられる、そちらの方かもしれないです。

【釜江先生】
 普段は、上から下へ流れますので、それは大丈夫と思います。
 押さえ付けていますから、地震時にもそちら側から流れていた方が良いかもしれません。

【二ノ方主査】
 上からですね。

【釜江先生】
 そうですね。

【和田委員】
 只今のご説明は、昭和三十何年の時から考えられていたことですか。これは、どんどん改良しているのですか。

【釜江先生】
 当初から、ほとんど一緒です。冷却系を少し増やしたとか、そういうことはありますが、メカニカルな話としては、ずっと制御棒から出ております。

【和田委員】
 今の磁石で落とすとか。

【釜江先生】
 ええ、もう全く。

【和田委員】
 そうですか。すごいものですね。

【釜江先生】
 おかげさまで、そのようにご迷惑をおかけするようなことは、今のところは一度もありません。

【吉田原子力規制室長】
 昭和39年に臨界する時に1MWに、昭和43年に5MWにしていることから、そのとき冷却系を増やしたと思います。そういう意味では、昭和43年から設置変更許可は変わってないと思います。
 燃料に関して、濃縮度を90%から20%以下に低くしましたが、構造に関しては、全く変わっていません。濃縮度だけが変わっております。

【二ノ方主査】
 ほかにご意見、ご質問ございませんでしょうか。追加ご意見、ご質問ございましたら、事務局へお願いいたします。
 どうもありがとうございました。それでは、本日の議題はこれでおしまいでございますが、最後に事務局から連絡事項をお願いします。

【鎌倉保安管理企画官】
 本日はご論議いただき、どうもありがとうございました。
 次回については、本日の幾つかのコメントに対する回答をいただくことと、クロスチェックの状況について説明させていただきたいと思っております。開催日については、日程調整の上、またご連絡差し上げたいと思います。以上でございます。

【二ノ方主査】
 それでは、本日はどうもいろいろと活発なご意見をいただき、ありがとうございました。傍聴者の皆さん方も、ご協力ありがとうございました。
 それでは、第2回のサブワーキンググループをおしまいにしたいと思います。ありがとうございました。

‐了‐

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

林、益田
電話番号:03-5253-4111(内線3923)

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)