国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第7回) 議事要旨

1.日時

平成20年7月10日(木曜日)9時30分~11時30分

2.場所

経済産業省別館 10階 1036号会議室

3.出席者

中込委員長、石田委員、越塚委員、須藤委員、土屋委員、ニノ方委員、三澤委員、目黒委員
(事務局)
小原原子力規制室長、南山運転管理・検査管理官、他

4.議題

(1) 独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(南地区)高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいについて
(2)独立行政法人日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所の非管理区域における核燃料物質による汚染について
(3)国立大学法人金沢大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について
(4)国立大学法人名古屋大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について
(5)核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に係るINESの運用について

5.配布資料

○ INES19下‐01    第6回INES評価ワーキング・グループ議事概要(案)
○ INES19下‐02    独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(南地区)高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいについて
○ INES19下‐03    日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所の非管理区域における核燃料物質による汚染について
○ INES19下‐04    国立大学法人金沢大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について
○ INES19下‐05    国立大学法人名古屋大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について
○ INES19下‐06    研究炉等に係るINES評価ワーキング・グループ設置要綱
○ 参考-1   文部科学省プレス発表資料;独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(南地区)高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいに係る独立行政法人日本原子力研究開発機構からの報告及び当省の対応について,平成19年10月18日
○ 参考-2  文部科学省プレス発表資料;(独)日本原子力研究開発機構の非管理区域における核燃料物質による汚染に係る最終報告及び当省の対応について,平成20年3月6日
○ 参考-3  文部科学省プレス発表資料;放射性物質使用施設の排水系統からの漏水に係る国立大学法人金沢大学からの最終報告及び当省の対応について,平成20年5月1日
○ 参考-4  文部科学省プレス発表資料;放射性物質使用施設の排水系統からの漏水に係る国立大学法人名古屋大学からの最終報告及び当省の対応について,平成20年6月13日
○ 参考-5  INESユーザーマニュアル改訂について

6.議事要旨

INES評価ワーキング・グループ委員の変更について、渡部委員に替わり、目黒委員が加わったことについて事務局から説明があった。

第6回INES評価ワーキング・グループ議事概要(案)が了承された。

(1)独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター(南地区)高速実験炉「常陽」管理区域内における放射性物質を含む水の漏えいについて

資料INES19下-02に基づき、事務局より説明があった。主な質疑は次のとおり。

(土屋委員)このポンプは使う度に必ず分解点検をして、ねじを締め直すのか。

(事務局)定期的な期間で分解点検を行っている。

(事務局)今回の点検後、ポンプの使用中にねじがゆるんでしまった。

(二ノ方委員)ループの中のトータルの水量に比べて、漏水量は気付かない程度の量だったのか。

(事務局)床のドレーンピットを通って階下のタンクに溜まったものは、検知できたが、部屋の床面には検知器等がないので、ここでは階下に滴下してから気がついた。

(委員長)今回の漏水を受けて、どのように改善されたのか。

(事務局)床面の補修を行い、センサー、カメラも設置した。

(目黒委員)床面塗装の点検は、どのくらいの期間実施されていなかったのか。

(事務局)床面の塗装に着目した点検は行われていなかった。

(目黒委員)管理区域内なので、床面に漏れがないということは確認すべきではないのか。

(事務局)立入禁止区域なので、人がめったに入らない場所であるということ、それから、漏水が起きても階下の方で検知されるので、管理区域全体としては安全性は保たれている。

(二ノ方委員)常陽は、高経年化評価が成されているので、コンクリートの劣化等についてはかなり見ているはずなのではないか。

(事務局)床面の塗装をきちんとしていれば漏えいの拡大は起こっていなかった。 

(土屋委員)点検や装置を使う前の準備の手順が不十分な印象を受けたのだが、そのあたりはどのようにとらえているのか。

(事務局)これまでに一度もねじのゆるみ等が見られておらず、今までのものが手順として明らかに間違っていたというわけではない。

(石田委員)保安規定上の問題はなかったのか。

(事務局)保安規定上の問題はない。点検は行われていたが、不十分だった。

(二ノ方委員)潜在的故障があったとしているが、これは具体的には何か。

(事務局)塗装面のひび割れのことである。

(土屋委員)ここは構造的欠陥があったかどうかではなく、潜在的起因事象だったかどうかを判断するのではないか。

(事務局)床面塗装のひび割れは事象の前からあり、それが顕在化したのは本事象であったということで、塗装面のひび割れを潜在的故障として広い意味でとらえた。

(土屋委員)故障という言葉ではなく、起因事象という言葉を使った方が分かりやすいのではないか。

(委員長)適切な表現に直していただくと共に、具体的に分かるようにしていただきたい。当ワーキング・グループの結論としては,本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。

(各委員)異議なし。

(2)日本原子力研究開発機構東海研究開発センター原子力科学研究所の非管理区域における核燃料物質による汚染について

資料INES19下‐03に基づき、事務局より説明があった。主な質疑は次のとおり。

(二ノ方委員)今回の調査を行う前には分からなかったのか。

(事務局)担当者が変わるなどして風化していったと思われる。

(土屋委員)報告が上げられなかったというのは、安全文化に関する事象で、管理区域の解除基準が不十分というのは、手順の不備についての問題ではないのか。

(委員長)安全文化の欠如というと「認識しなければいけない」とか「管理しなければいけない」という意識が欠けていることを言うのではないかと思うが、本事象については、それらの意識が欠けていたとは思えない。

(三澤委員)平成18年に発見した汚染について、報告がされていないが、安全文化上、問題になるのではないか。

(事務局)容認できない管理とまでは言えない。一時管理区域を設定して、汚染をチェックするという手順に問題はなかった。

(委員長)最初から管理区域外として放置したわけではないという結果を反映したという理解でよろしいか。

(事務局)管理区域の解除の判断が甘かったということである。

(委員長)当ワーキング・グループの結論としては、本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。

(各委員)異議なし。

(3)国立大学法人金沢大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について         

INES19下‐04に基づき、事務局より説明があった。主な質疑は次のとおり。

(目黒委員)所外への影響を評価する際に、放射性物質が広範囲に放出されているかという問いに対してNoとしているが、それは何故か。

(事務局)ユーザーマニュアルでは所内の影響評価の手順であるが、フローチャートの注釈では拡散の定義として、作業員が急性健康障害を起こすなど、相当レベルの拡散のことを言っているので、本事象ではNoと判断した。

(委員長)理由を明示すること。当ワーキング・グループの結論としては、本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。

(各委員)異議なし。

(4)国立大学法人名古屋大学における放射性物質使用施設の排水系統からの漏水について

INES19下-05に基づき、事務局より説明があった。

(石田委員)環境への影響が「異常がない」という定性的な表現になっているので、定量的な表現にすべき。

(土屋委員)いつ設置され、どんなメンテナンスがなされ、どんな事象があったということも報告書に記すべき。

(事務局)そういった情報も盛り込むようにしていく。

(二ノ方委員)初めの段階で、これをINES評価の対象とするかどうかというところで、基本的には何も影響がない事象であるにも関わらず、INES評価の対象としたのは何故か。

(事務局)本来、排水を流すべき所ではない所から流れてしまっており、法令報告とした。本ワーキング・グループの評価は法令報告事象を対象としている。

(三澤委員)名古屋大の例と原科研の例ではレベルが違うように思う。発電所の例のように0+などの評価の導入についても検討すべき。

(事務局)今後、検討させていただきたい。

(委員長)当ワーキング・グループの結論としては、本件のINESレベル0は妥当であるとしたいがよろしいか。

(各委員)異議なし。

(5)核燃料物質等の工場又は事業所の外における運搬に係るINESの運用について 

資料INES19下-06に基づき、事務局より説明があった。主な質疑は次の通り。

(委員長)輸送のレベルは3段階評価になるのか。

(事務局)想定しにくい状況ではあるが、100人以上の人が、重大な被ばくをしたらレベル6になるなどの可能性はある。評価の仕方については、次回整理して説明させていただく。

(石田委員)商用炉も対象となるのか。

(事務局)商用炉の輸送物に関わるトラブルについては、原子力安全・保安院が評価する。

(石田委員)国土交通省ではINESの評価はしないのか。

(事務局)国土交通省でもINESの評価を行う。

(二ノ方委員)RIの施設の事象もこのワーキング・グループで評価するのか。

(事務局)RIについては、別途放射線安全規制検討会の下にワーキング・グループがあり、そちらで評価される。

また、会議の最後に事務局より参考-5に基づき、INESユーザーマニュアル改訂について年内には英語版マニュアルが出版される予定の旨、説明があった。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

江田、竹内
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ファクシミリ番号:03-6734-4037

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)