環境放射能評価検討会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成19年5月11日(金曜日) 14時~16時

2.場所

丸の内仲通ビル地下1階K2会議室

3.議題

  1. 第3回環境放射能評価検討会の議事録の確認について
  2. 環境放射能調査研究の評価検討について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料1 第3回環境放射能評価検討会
  • 資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)

5.出席者

委員

飯田主査、小佐古副主査、赤羽委員、浅野委員、長見委員、木村委員、津旨委員、長岡委員、成田委員、橋本委員、久松委員、皆川委員(東嶋委、・瀬委員、宮原委員、吉岡委員は欠席)

文部科学省

文部科学省科学技術・学術政策局袴着次長、防災環境対策室木野室長他

6.議事概要

○事務局より資料1により前回議事録について説明があり了承された。

○事務局より資料2により報告書(案)について説明があり、質疑応答の後、委員からの指摘内容を反映した修正を事務局が実施し報告書をとりまとめることとなった。

7.主な質疑応答等

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の3.総合的評価検討結果の(1)放射能調査研究を巡る近年の状況について関連>

(木村委員「1. 核実験放射性物質の環境汚染レ) ベル低下と放射能(線)関連事故・事件や発生源の多様化」において、青森県六ヶ所村の大型再処理工場の本格運転開始と核テロを同列に記載し、「環境放射能汚染の恐れが憂慮されている」と記述しているのは適切ではないので修正が必要である。

(久松委員)「2. 国民がもとめる安全・安心」において、アレルギーの発生原因は放射線等であることを明確に記載したほうがよい。

(橋本委員)「2. 国民がもとめる安全・安心」において、「モニタリングの結果を提供する」との記述があるが、既に実施しているが充実が必要との趣旨で修正したほうがよい。

(久松委員)「4. 調査研究の効率的な運営と技術進展への適切な対応」において、「民間活用等の趣旨、動向」との記述があるが、「趣旨」は必要ないと思う。

(長岡委員)「5. 国民、内外への情報公開」において、「内外」で示す範囲があいまいなのではないか。

(木野室長)国内外という趣旨で記載させていただいた。放射能調査研究の結果は、積極的に情報公開し、一部は英語版での公開も実施しているところであり、御理解いただけるような記述ぶりを検討させていただく。

(長岡委員)「5. 国民、内外への情報公開」において、「国民による現実のアクセス」との記述があるが、その意味がわかりにくいのではないか。

(事務局)ご指摘のとおりであり、わかりやすい記述ぶりに改める。

(飯田委員)加工された二次情報が正確さを欠き、国民に混乱を生じるおそれも考えられるので、一次情報に直接アクセスできることは重要である。

(久松委員)青森県六ヶ所村の大型再処理工場周辺での極めて低いレベルでのクリプトンの濃度の上昇の例など事象の際に、一次情報のみからによる無用な不安が発生しないよう、一次情報の持つ安全上の意味を評価したうえで、2次情報として提供される意味は大きい。

(木野室長)ご指摘のとおりであり、一次情報の適切な評価は重要であると認識している。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の3.総合的評価検討結果の(2)放射能水準調査全般について関連>

(津旨委員)3番目のパラグラフに、調査対象核種をシフトしていく必要があるとの記述があるが、その趣旨は何か。

(木野室長)現在の調査対象核種の一部を対象から外すという意味ではなく、調査の軸足を移し重点を移していくという趣旨で記載させていただいた。

(久松委員)調査方法について工夫する必要はあろうが、放射能調査の放射能レベルが低い結果であっても継続して観測し続けることは重要だと思う。

(成田委員)調査対象核種の見直しについて記載されているが、例えば全ベータ放射能測定を継続して実施するかどうかといったような、調査のあり方そのものを考え直すことも必要ではないかと思う。

(久松委員)(飯田主査)調査対象核種をシフトしていくこととか新たに加えること、原子力施設起因の核種とか、自然に存在する放射性核種に注目を当てていくということは、平成14 年度の放射能調査研究に係る評価検討で指摘され、対応がなされていることであり、今回新たに指摘すべき事項ではないのではないか。

(事務局)ご指摘のとおりである。

(成田委員)もう既に見直しているけれども、絶え間なく必要性を見直していこうということではないかと思う。

(木村委員)第2回の会合でも申し上げたが、宮城県沖の海藻からのヨウ素131の検出問題等に対応していこうという姿勢が必要ではないかと思うので、その辺が汲み取れるような含みを持たせていただければと思う。

(久松委員)4番目のパラグラフに「大型再処理施設が本格稼働した場合に予想される核種も調査対象に加える」との記述があるが、これは青森県だけの調査ということではなくて、全国各地で調査をするという趣旨か。

(木野室長)そうである。再処理関連核種に係る水準調査を当省は全国規模で実施している。

(木村委員)大型再処理施設に関連がある特異的な核種であっても、過去の核実験とか他の再処理施設の稼動の影響による核種もあって、微量分析を行えば日本全国で検出されるということがある。六ヶ所村の再処理施設からはるかに離れた地点において、特異的な核種が検出された場合、この発生源がすべて六ヶ所村の再処理施設ではないかというような間違った評価をされるおそれもある。したがって当該調査において日本全国でのバックグラウンドを適切に把握するのが目的であると理解している。

(久松委員)(飯田主査)(長岡委員)「大型再処理施設が本格稼動した場合に予想される核種も調査対象に加える」という記述については、既に「加わっている」のではないか。

(長岡委員)3番目のパラグラフで大きくとらえて、それを4番目のパラグラフでブレークダウンしようとしているようだが、内容が重複していないか。

(木野室長)3 番目と4番目のパラグラフは、現状をよく見据えてどういう核種を選定していこうかという、先ほども申し上げたように、絶え間なく見直していこうということを記述させていただいたものである。委員各位がご指摘のとおり、既に対象核種もそれに合わせて見直しているし、再処理施設関連の調査としても実施している。海洋試料でのテクネチウム調査などもその一例であり、核種を加えるというのは、既に加えているものもあるが、今後も不断の努力で見直していこうという意味合いで記述させていただいた。

(飯田主査)各委員からのご指摘内容を勘案して、この二箇所を事務局で修正していただくこととする。

(飯田主査)6番目のパラグラフで「大気核実験起源の降下物中のストロンチウム90 やセシウム137 の分析については、適切な試料数に最適化していくことが重要である」との趣旨の記述があり、平成14 年の評価検討報告書にも同様な記述があるが、その趣旨はなにか。

(事務局)最適化を今後も継続していくという趣旨で記述させていただいた。

(久松委員)最後のパラグラフに「屋内ラドンについては、UNSCEAR報告書のデータによれば被ばく線量全体に占める割合が高い」旨の記述があるが、国内に引用できるデータがあるので、UNSCEAR報告書を引用する必要はないのではないか。

(成田委員)UNSCEARの報告書の中ではラドンの被ばく線量の占める割合が高いということだと思う。日本のデータではバックグラウンドの被ばく線量として他の国よりは低いというニュアンスが読み取れるので、そこのところを理解しながら、読む人が誤解のないように記述できればよいのではないか。同じパラグラフで、『屋内ラドンについては、放射線防護の観点から「介入」のあり方について、今後検討を進めることが重要である』との趣旨の記述があるが、「介入」とは、放射線防護の基本的概念としてICRP勧告で定義されている「intervention」のことであり、だから括弧付きなのだが、それをご存じない方がそのまま読むと、「介入」というのは、国が介入して何か行うというような意味にとらえられかねないので、使うのであれば注釈を加えるか、適切な記述ぶりに修正したほうが誤解を生まない。

(木野室長)記述内容については、専門家の知見をお借りして適切なものとしたい。

(長岡委員)6番目のパラグラフで「緊急時にいつでも測定できるような体制を整備しておく必要があり、地方自治体又は関係機関の精度管理が十分なされる体制が重要である」との記述があるが、緊急時体制整備としてやるべきことは「精度管理」だけではないのではないか。

(袴着次長)「緊急時体制整備」と「精度管理」は並列的に記述すべき事項であり、事務局で再検討したい。

(橋本委員)6番目のパラグラフにおいて「大気核実験」は「大気圏内核実験」に、「降下物」は「フォールアウト」に書き換えたほうが用語として適切ではないか。

(橋本委員)放射能水準が低くなってきたから最適化していくという方向なのだが、その中で、レベルが低くなっても測り続けて変動を把握することが重要なのか、NDを確認することが重要なのか、どちらを目的とするのかを考える必要がある。放射能水準が低いレベルでの変動を把握できるような測定を実施することが必要であり、低いレベルでの変動を確実に捉えられる測定技術を持った実施機関が実施することが重要であることを記述できないか。

(飯田主査)自治体が実施されている環境放射能水準調査の結果はNDというのが現実なのではないか。

(成田委員)6番目のパラグラフの「調査を続ける機関を決めて一定規模での水準調査を続けるべき」というところに気持ちが込められているのかと思った。

(長岡委員)記述内容をもう少し明示的にできないか。例えばセシウムなどはかなり低いレベルまで測れる実施機関と、そうではない実施機関があると思うが、ほかの核種に関しても、実施するのであれば変動を測り続けることがいろいろな意味で科学的にも重要だと考える。

(久松委員)調査を続ける実施機関を明示的に記載しなくても、どの機関であるかについては関係者は十分理解できると思う。そのような機関は、広域的なバックグラウンドのデータを精度と正確さをもって提供していると思うので、そこは継続的に調査をしていく必要があるということでよろしいのではないかと思う。

(袴着次長)7番目のパラグラフで、調査すべき自然放射性核種としてポロニウムを挙げさせていただいたが、委員各位のご意見を賜わりたい。

(飯田主査)財団法人日本分析センターの調査結果により食品摂取による預託実効線量のうちポロニウム210 による寄与が大きいとの結果が得られており、ポロニウムの調査は必要である。

(赤羽委員)最後のパラグラフで「屋内ラドンについては、UNSCEAR報告書のデータによれば被ばく線量全体に占める割合が高い」という趣旨の記述があるが、ここでの「被ばく線量全体」には医療被ばくは含まれていないことを明確にしたほうがよい。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の3.総合的評価検討結果の(3)精度管理事業について関連>

(長岡委員)2番目のパラグラフで「地方自治体では所内研修も行ってはいるが、国で行っているものと比較すると不十分である」との記述があるが、表現の適正化を図って、例えば、「必ずしも十分ではない」としたらどうか。

(久松委員)国が研修を実施すれば自治体は内部での研修を行わなくてもよいということではないことを確認したい。

(木野室長)自治体が内部での研修を行って、さらに国も研修を行うという趣旨である。

(飯田主査)(橋本委員)(長岡委員)(木村委員)4番目のパラグラフにおいて「5年ごと程度の間隔で評価する」との記述あるが、5年ごとの間隔で実施するのは、費用対効果の評価のことか、それともクロスチェックの実施も対象なのか、趣旨があいまいである。

(木野室長)ここでの趣旨は、クロスチェックは毎年実施し、費用対効果の評価は5年ごと程度で実施するということである。誤解を生じないような記述ぶりに修正したい。

(飯田主査)(長岡委員)費用対効果の評価の実施間隔については記載しなくてもいいのではないか。

(赤羽委員)3番目のパラグラフで、「早期にマニュアル化して精度の高い測定が望まれる」という部分に対する主語が「測定マニュアルについては」となっているので、「測定が望まれる」という述語と対になるように主語を修文していただきたい。

(長岡委員)4番目のパラグラフに「En数」とあるが一般的な用語なのか。

(木村委員)「En数」とは国際的に各国で導入されている考え方、概念であり、一連の分析の中で何が変動に寄与するのかということを、線源の誤差とか、放射線測定でいけば計数誤差とか、繰り返し天秤で測る誤差とか、そのような誤差を自ら評価して、不確かさを求めようとものであり、財団法人日本分析センターが実施している放射能分析確認調査において、新しい検討基準として平成18 年度から導入を開始している。自治体でも再来年ぐらいまでには自治体独自で「En数」を確立して、それを使って自分のところの測定の不確かさを表示していこうとしている動きがある。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の3.総合的評価検討結果の(4)調査研究について関連>

(久松委員)2番目のパラグラフで「原子力施設起因の核種の環境動態を重点的に調査研究することが重要である」との記述があるが、核種の環境動態の調査研究の実施は難しいのではないか。

(長岡委員)2番目のパラグラフで「国民の半数が原子力エネルギーに対して不安を有している」との趣旨の記述があり、3.(1)2.でも「原子力に不安を感じる国民が過半数を超える」との記述があり、断定的な読み方がされるおそれがあるので、記述ぶりを工夫したらどうか。

(久松委員)2番目のパラグラフは非常に重要なことを述べているところだと思うが、言葉足らずで誤解を招く表現ぶりとなっていると思う。というのは「国民が不安を有していること」と「原子力施設起因の核種の環境動態の調査研究をすること」との間には、かなり記述が抜けていると思うからである。放射線・放射能に対するリスク、生物影響への悪影響に対する不安、周りに核種がどのように存在していているのかわからない不安、核種により自分自身が被ばくをするのではないかという不安があり、その不安を解消するためには核種の環境動態という情報を得ることが必要であるということではないか。あまり詳しく述べる必要はないが、この文章のままだと短絡的なので、もう少し説明を加えた方がいいと思う。

(久松委員)5番目のパラグラフで、「BSS」の用語解説を書いているが、3.(1)3.で既に記載されているので、ここでは必要ないのではないか。

(事務局)ご指摘のとおりであり削除する。

(成田委員)5番目のパラグラフで「これを支えるための製品中や建材などにおける実態調査」という記述があるが、何が何を支えるのかわかりにくいのではないか。

(久松委員)4番目のパラグラフで「海洋等における影響予測システム開発」とあるけれども、この「影響予測」の「影響」が何を意味しているのかが不明瞭だと思う。影響といった場合には、何かものあるいは事象があって、それが要因として何かが起こるというのが「影響」というと思うのだけれども、この場合、海洋生物に対する影響なのか、あるいは、原子力施設が存在すること、稼働することによる影響なのか。この辺ちょっとわかりにくいので、意図しているところを明瞭にした方がいいかと思う。

(成田委員)「環境影響」というと広すぎるだろうか。

(久松委員)その方がわかりやすい。

(津旨委員)これは濃度を評価して、その濃度から海生生物への影響とか海生生物を通じた一般公衆への影響を予測するものだと思われるが。

(成田委員)環境影響というと広いのだが、被ばく線量とか、そういう形での影響だと思われるので「環、境」という言葉を「環境影響」としたらどうかとご提案した。

(津旨委員)「海洋等における」ということをわざわざ言わなくてもいいのではないか、陸域も対象とすべきであり、「環境影響システム」というのであれば。「海洋等における」という言葉を除いてしまって、単に「環境影響システム」としたらどうか。

(飯田主査)ここでは、一般的な「環境影響」とすることとしたい。

(成田委員)最後のパラグラフで「省庁間の重複を防ぐ」とあるが、重複が全くないということもあり得ないと思うので、例えば、「過度の重複」とか「不必要な重複」とか、何か形容詞を入れていただいた方がいいのではないか。競争的資金とすることが研究の質をあげるかどうかというのはいろいろ議論があるところであろう。

(久松委員)長期的な研究で競争的資金にはなじまないものもある。

(飯田主査)すべての調査研究が競争的資金で実施できるわけではない。

(長岡委員)競争的資金だけということでなく表現ぶりを工夫したらどうか。

(久松委員)競争的要素を加味するということだと思う。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の3.総合的評価検討結果の(5)情報公開について関連>

(木村委員)最初のパラグラフに「一部に公開されている」とあるが、インターネットという形でかなり広く公開しているのではないかと思っているのだが、これだとあまり徹底していないように感じる。

(飯田主査)最初のパラグラフの2番目の段落では、一般に公開されているものよりもさらに詳しいデータを公開しているという意味なのか。

(木野室長)そのとおりである。

(飯田主査)(久松委員)「一部に」というのは削除していいのではないか。

(事務局)ご指摘のとおりであり削除する。

(久松委員)2番目のパラグラフに「専門家による相談コーナーによる対応」とあるが、これは確かに望ましくて、ぜひやっていただきたいところなのだが、専門家の相談コーナーを実際に維持するとなると負担が大きいと思う。学会などでそういうことを考えているのだが実現が難しいという現実がある。この報告書でこういうふうに書いて、文科省としてこれを考えているということを明言できるかどうか。

(木野室長)常時設置するのは理想ではあるが難しいことでもある。

(木村委員)株式会社ジェー・シー・オー東海事業所の臨界事故のときに放医研の方々とか原研の方々が実施し効果を発揮したのではないか。

(長岡委員)緊急時にはやれるかもしれないが、平常時も継続的に維持するのは難しいのではないか。

(木村委員)自治体には相談コーナーを特に設けていなくても相談が来る。自治体の所管事項については対応するが、国の所管事項については対応できないので、国の担当部署の連絡先を紹介することがある。相談者をたらい回しにしたととられないように、国において適切に対応できる体制を考えていただいて、自治体と国で連携をとるようにできればいいのではないか。

(木野室長)それほど頻繁ではないが、防災環境対策室にも電話での照会はあり、その場合にはしかるべく対応している。ただし積極的に相談コーナー等を新たに設けると、現状の人的資源では問い合わせの件数に適切に対応できなくなるおそれもあるので、検討させていただきたい。

(長岡委員)ブログでテーマを出すとOBの方々から多数のメールが回ってくるという現状がある。役所が責任を持って解説するのは難しいかもしれないが、そういう場を設定し、公開すると、役所としてもメリットがあるし、有益な情報も得られるのではないか。

(木村委員)これはどういうことなのか聞きたいという人にきちんと理解していただくというのはこれから極めて大事なことだと思う。茨城県庁とか東海村役場では原研のOBの方々を常駐させて、問い合わせに対応できるような体制を作っていると聞いている。

(橋本委員)茨城県では、原子力安全調査員制度があり、関係市町村役場と県庁に原研等のOBの方から1名ないし2名を原子力安全調査員として採用している。外部からの問い合わせの対応のためというわけではないが、自治体の職員が、原子力分野について原子力安全調査員の知見を活用しているところである。

(小佐古委員)相談者が相談して答えが返ってきた場合に、その答えがオーソライズされているものなのかどうか。文科省のホームページなり文科省の名前で答えた場合には、お墨付きがあると一般の人は考える。また、専門家が答えた場合は、その専門家の責任になる。だから、どこまでその答えに対して責任を持てるかどうかが重要である。また、リスク評価等、専門家によっても放射線影響に関して意見が異なる場合があり、そうなった場合にどうするかといった問題がある。緊急時の場合というのは、そのときに切実な質問をしたい、でもどこに聞いていいかわからない、きちんとしたところから聞きたいという一般の方々の切望がある。それに対して答えることは非常に重要であって、それはぜひともやらなければいけないことだと思うが、緊急時に個別に対応することと、これまで蓄積されてきたものをQ&Aのような形で文部科学省からまとめて公表することとは、場合分けが必要でありシステム構築においても配慮したほうがよいと考える。

(木野室長)よくある質問であれば、「よくある質問コーナー」というのをつくって、そこに回答をつけておくという方法もあり得ると思うし、緊急時は緊急時で特別の対応が必要だろうから、そこはよく考えさせていただきたいと思っている。

(久松委員)4番目のパラグラフで「インターネット上で自由にデータが閲覧できる体制を作ることが必要である」とあるが、既にインターネットでの閲覧は可能なのであるから、さらにアクセスしやすいものとするとか、そういう改善の方向の表現にすべきである。

(飯田主査)最後のパラグラフで「国際的な利用の促進」と「緊急時のネットワーク構築」というのは実際に可能なのか。例えば韓国とは進めているのか。

(木野室長)予算上の問題もあり国際的なネットワークは設けていない。

(皆川委員)これは意外と難しいところがあると思う。向こうでは調査機関が軍事機関なのでデータの公表は実施していないということである。わが国からはインターネットで情報を発信できるが、先方からの情報発信のあり方については、韓国、中国などと協議していく必要があろう。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の4.まとめと提言の(1)放射能調査研究を巡る近年の状況について関連>

(久松委員)(長岡委員)「環境・安全」とあるが、「・」が入ると文章の本来の意味をなさないと思う。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の4.まとめと提言の(2)環境放射能水準調査について関連>

(皆川委員)2番目の段落に「ロシアの放射性物質海洋投棄に端を発する海洋調査など事故や事件に起因した調査については、所期の目的が達成された状況にあり」とあるが、こういう事故に対しての一時的な対応については異常はないということで既に発表されたことで、これはここのとおりかなと思う。ただ、こういうような事故に関しては、往々にして発生したときにではなく、発生の10 年、20 年後にやっと公表されるということも多い。特にロシアについては、日本海への海洋投棄を以前からやっていたということ、それから、最近ではウラジオストクの原潜の原子炉事故については、発生の10 年後やっと公表されるということが起こっているので、今後も発生してから10 年、20 年後に報告されるということもあり得ると思う。そうすると、所期の目標が達成された状況にはあるのだが、監視ということでは海洋の場合は継続して行っていく必要があるのではないかと思うが、そこの部分の内容がこれでは読み取れないような気がする。例えば、「初期の目的が達成された状況にはあるものの、監視は継続して行うことが重要である」とか、そういうようなことをつけ加えていただければいいのかなと思う。それに応じた調査内容の見直しと、適切な規模について対応していくということでよろしいのではないかと考えている。

( 事務局)最近の竹島周辺の海洋環境が象徴的だと思う。領土問題と絡んでいろいろな意味で重要である。まさにこのロシアの投棄にかかわる調査、それはもう必要ないということだが、これからも何があるかわからないし、向こうはそれはもう終わっていることとすることもあるかと思うので、引き続き調査そのものは続けるという表現にすべきである。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の4.まとめと提言の(3)測定精度の管理について関連>

(長岡委員)「分析機関とのクロスチェックを効率的に進めていくことが重要である」との記述において「効率的」は「効果的」としたほうが適切ではないか。

(久松委員)「前処理技術」との記述があるが、何をもって前処理にするかというのは、測定する直前までを前処理とするのか、本当にただの前処理なのかということで、ニュアンスが違うので、「前処理」は削除したらどうか。

(長岡委員)「分析技術」としたらどうか。

(事務局)ご提案を受けて「分析技術」に修正させていただく。

(長岡委員)2番目の段落で「測定マニュアルの整備推進や研究の効果的な推進による高い精度レベルの保持」との記述のうち、保持すべきなのは「精度レベル」だけではないのであるから、「精度レベル」は「技術レベル」としたほうがよい。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の4.まとめと提言の(4)調査研究について関連>

(津旨委員)(3)に係る議論において、なぜ海洋だけの影響評価システムかというご質問があったと思うのだが、(4)でのこの文脈を生かすと、大気はもうあって、次は海洋だということなので、こちらの文章を(3)に反映させればよろしいのではないだろうか。

(久松委員)調査研究の重要性が北朝鮮による地下核実験実施によって明らかになった」との趣旨の記述があるが、「地下核実験実施によって」は「地下核実験実施に対する調査」という表現に直すべきではないか。

(飯田委員)当該箇所は「地下核実験実施への対応」のような修正が適当である。

(久松委員)「原子力施設起因の環境動態」という記述も適切でなく、「原子力施設起因の放射性物質の環境動態」のように修正する必要がないか。

(木野室長)ご指摘のとおりである。「施設稼働」と「調査研究」を並列して記述しているのもおかしいので、修正することとさせていただきたい。

<資料2 放射能調査研究に係る評価検討報告書(案)の4.まとめと提言の(5)情報公開について関連>

(小佐古委員)個別の事業に対して情報公開をやられるということだが。本検討会とか、あるいは、文部科学省において、全体の事業がどのように進捗して、どのような成果が得られたかということを、外部から見て理解できるような情報公開の構造にしておいていただければと思う。報告書全体に関する質問であるが、本検討会で議論された放射能調査研究に係る評価検討の結果がどのように予算的なものを含めて放射能調査研究にフィードバックされるのか行政サイドのお考えをお聞きしたい。

(木野室長)ご指摘のとおり、個々の情報公開も重要であるが、全体がどう進んでいるかというのも、当省は各種の事業を実施しているので、それがご理解いただける形での情報をあわせて公開していきたいと考えている。本報告書の取り扱いとか今後の話については、本検討会での審議においていただいたご意見を踏まえて、平成20 年度予算要求の重点化のための作業に活用させていただきたいと思っている。もちろん、財政当局の意向もあるので、厳しい点もあろうが、積極的な応援メッセージについても予算要求作業において反映させていただきたいと考えている次第である。本報告書の内容については、本日確定したというわけではなくて、本日のご議論においても文章的なコメントも含めての様々なご意見をいただいたので、修正箇所等の修正内容を示した修正版を作成し委員各位に配布し、さらに新たなコメント等があれば反映させた上で最終版にと思っている。

(飯田主査)事務局からも説明があったが、今後の予定としては、修正版をもう一度皆さんに見ていただきコメントをいただくという形で、最終報告書を完成する方向に向けて進めていきたい。予定されていた議事の審議はすべて終了したので、本日の会合は閉会する。

平成19年11月30日(金曜日)1539

8.(2)最後の部分の以下を削除

( )最後の段落で「国際基本安全基準(BSS)の安全規制への取り入れに係る放射線審議会等での検討状況などを踏まえて」と書いてあり、現在、検討が進行中であるかのような記述となっているが、放射線審議会での審議は終了しているので修正する必要がある。(事務局)ご指摘のとおりであり修正させていただく。

平成19年12月7日(金曜日)1055
一部誤字を訂正(7、11ページ)

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:高橋、山崎
電話番号:03‐6734‐4040(直通)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)