環境放射能評価検討会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成19年12月10日(月曜日) 13時~15時

2.場所

財務省三田共用会議所第2特別会議室

3.議題

  1. 平成18年度海洋環境放射能総合評価事業の成果について
  2. その他

4.配付資料

  • 環境放射能評価検討会構成員
  • 環境放射能評価検討会構成員
  • 資料5‐1 第4回環境放射能評価検討会議事概要(案)
  • 資料5‐2 平成18年度海洋放射能調査結果(文部科学省)
  • 資料5‐3 平成18年度委託事業成果報告書(財団法人海洋生物環境研究所)
  • 資料5‐4 平成18年度委託事業成果報告書(財団法人温水養魚開発協会)
  • 資料5‐5 環境放射能測定法マニュアル策定専門家会合の開催状況について
  • 参考資料放射能調査研究に係る評価検討報告書

5.出席者

委員

飯田主査、小佐古副主査、赤羽委員、浅野委員、長見委員、木村委員、津旨委員、東嶋委員、長岡委員、成田委員、橋本委員、久松委員、広瀬委員、皆川委員、宮原委員(吉岡委員は欠席)

文部科学省

防災環境対策室木野室長他

オブザーバー

財団法人海洋生物環境研究所(御園生研究参与他)、財団法人温水養魚開発協会(鈴木業務部長)

6.議事概要

○ 事務局から資料5‐1 により前回検討会の議事概要について説明があり、発言者が不明の箇所については、5 ページは赤羽委員、7 ページは久松委員、11 ページは事務局と記 載することとし、了承された。

○ 事務局から資料5‐2 により海洋放射能調査結果(案)について、財団法人海洋生物環境研究所から資料5‐3 により委託事業成果について、財団法人温水養魚開発協会から 資料5‐4 により委託事業成果および同協会の解散について説明があり、質疑応答の後、了承された。

○ 事務局から資料5‐5 により本検討会のもとに設置された環境放射能測定法マニュアル策定専門家会合の開催状況について報告があった。

○ 事務局から前回までの検討会で審議された放射能調査研究に係る評価検討報告書の最終版が配付された。

7.主な質疑応答等

<資料5‐2、資料5‐3 関連>

(津旨委員)資料5‐2 は一般向けの公開資料であるから、検出されたストロンチウム、セシウム、プルトニウムはフォールアウト起源であることを記載するのが望ましい。また、用語 の解説で「人工放射性核種」の解説に、大気圏内核爆発実験の負の遺産として自然界に見い出される核種として「プルトニウム」を明記するのが望ましい。

(久松委員)海洋生物環境研究所の報告書(資料5‐3)に記載のある、支援調査の対象核種であるヨウ素‐129、ポロニウム‐210 等の核種についての調査結果は、資料5‐2 には記載されていないが、住民の関心を呼ぶ事項であり、今後、記載することが望ましい。

(皆川委員)資料5‐3 に記載されている濃度レベルの経年変動のグラフは資料5‐2 には記載がない。漁業関係者を主とした一般のかたがたにはグラフによる説明は理解しやすいと思うが、資料5‐2 に記載しなかった理由はなにか。

(事務局)資料5‐2 と資料5‐3 は、平成18 年11 月に開催した第1 回検討会において配布された資料と基本的には同様の構成であるが、海洋放射能調査の結果のまとめにおいては過去5 年間の結果と比較していること、調査開始からの濃度レベルの経年変動は参考までに示していること、また、原子力安全委員会の「環境放射線モニタリングに関する指針」において、平常の変動幅を求めるとき、フォールアウト核種は過去にレベルが非常に高かった時期があるので遡及する年数を増してデータ数を増やすことは適切でないとの考え方が示されていること、を勘案して、今回、資料の構成を見直し、資料の簡略化を図った。

(小佐古委員)環境放射能調査全体の流れとして、放射性降下物への対応から大型再処理施設や自然放射性核種を対象とした調査へ移行している状況で、海洋放射能調査の位置づけについて今後議論することが望ましい。資料5‐2 は結果の数字のみが記載されていて理解しにくいので、情報発信の方法としては、文部科学省の環境放射線データベースとの組み合わせ等が考えられる。

(木野室長)環境放射能の評価のあり方については今後本検討会で検討していきたい。

(飯田主査)資料5‐2 の「はしがき」に、環境放射能調査全体のなかでの海洋放射能調査の位置づけを記載したらどうか。

(木野室長)その趣旨で資料5‐2 は修正する。

(宮原委員)本年7 月に発生した新潟県中越沖地震は柏崎刈羽原子力発電所に大きな影響を与えたが、今後の調査において、海洋環境の安全性について証明できるのか。

(海洋生物環境研究所)連続測定でなく地震から時間がたってから採取した試料を対象としていること、海産生物の全長等による濃度のばらつきがあることなど、得られた測定結果により漁業関係者に納得いただけるかどうかは懸案事項である。

(小佐古委員)評価事業全体は三つのフェーズに分かれ、それぞれ別の性格をもつものだと思う。1番目は事業の受託者がデータを集めること。2番目は得られたデータを総合的に判断すること。3番目は普及啓発していくこと。 2番目の評価と3番目の普及啓発に工夫、配慮が求められており、漁業関係者をはじめ関係者からの疑問等を把握して、本検討会での議論に反映する仕組みを議論していきたい。

(宮原委員)本調査が新潟県の沖合海域で長年実施されていることが新潟県中越沖地震での漁業関係者の不安解消に資することとなり、漁業関係者が動揺しないことがその他の地域住民の安心につながったと考えるので本事業を継続して実施することは重要である。

(木野室長)ご参考として。新潟県は新潟県中越沖地震発生直後から実施した放射能調査で発電所周辺海域の水産物の放射能測定を県の監視センターと財団法人日本分析センターで実施して放射性物質が検出されなかったことを速やかに公表しており、漁業関係者の安心感醸成に貢献したと考えている。

(小佐古委員)資料5‐2 に核種濃度がBq/kg単位で記載されているが、この数字だけからその数字の持つ意味を理解するのは、漁業関係者はもとより専門家でも難しいと思う。海産生物のような食品の摂取により人体の受ける被ばくは内部被ばくであり、人体の組織に取り込まれた放射性物質は代謝による体外排出等により時間とともに減少する。食品摂取後長期間にわたって人体が受ける内部被ばくの影響を評価する基準として、摂取後長期間にわたって受ける線量を最初の1 年間で受けるとして畳み込んで積分して算出された預託実効線量が用いられている。文部科学省のホームページでは以上の考え方を動画により説明し、食品から受ける放射線量の計算例も示されており、今後の本事業の広報において参考となろう。

(長見委員)資料5‐2 は、大部であり、調査結果がグラフ化もされておらず、一般向けの資料としては、内容を工夫し要約したものが望ましいと思う。

(事務局)今後の資料作成については各委員からのご指摘等を考慮したい。

(小佐古委員)普及啓発については、事業者のホームページ、地方自治体のホームページ等を参考にして、本検討会でも議論し、文部科学省の既存のホームページの改善を図っていくことが望ましい。

(飯田主査)海洋放射能調査の結果のまとめとして、海産生物、海底土および海水の各試料のの平成18 年度の放射能濃度範囲は、過去5 年間の濃度範囲と比較すると同程度であったことを了承することとする。各委員からのご意見については、事務局で資料5‐2 を適宜修正することで反映することとする。

<資料5‐4 関連>

(宮原委員)(温水養魚開発協会評議員、同協会理事長は全漁連理事長) 温水養魚開発協会の解散については各方面にご心配をかけ、また、ご配慮をいただいたところ。本協会は原子力発電所から放水される温水を利用した増養殖技術の研究開発を昭和48 年から実施してきたが、その成果については現在とりまとめているところである。

(木野室長)本年度、文部科学省から日本分析センターに委託して事業成果のとりまとめを実施しているところである。

(皆川委員)長年の調査で得られたデータはどこに継承されるのか。

(事務局)成果は文部科学省で保存し、活用することとなる。

(小佐古委員)文部科学省がホームページで公開している環境放射能データベース等を活用して、本事業も含めてあらゆるデータにアクセスできる体制を構築するのが望ましい。

(木野室長)本事業の成果の公表は可能である。新たなデータベースの構築等については予算上の制約もあり今後の検討課題としたい。

(東嶋委員)資料5‐4 の18 ページに「普及資料を作成し、インターネット上のホームページを維持管理した」とあるが、この普及資料はホームページで見れるのか。解散後は同ホームページはどうなるのか。

(温水協)ホームページは閉鎖した。

(小佐古委員)ホームページを保存するのであれば、国立国会図書館のデジタルアーカイブのウェブアーカイブに登録するという方法もある。

(木野室長)調査したうえデジタルデータが保存されていればホームページで公開したい。

(小佐古委員)まず内容を評価したうえで公開の方法を考えるべきである。

(木野室長)了解した。

(飯田主査)資料5‐4 の46 ページ、47 ページに飼餌料に由来する濃縮係数についての記載があるが、海水からの寄与による濃縮係数に係るデータ等は得られているのか。

(温水協)不明である。

(飯田主査)データ等の有無について調査していただきたい。

(小佐古委員)関連して、飼料5‐4 の2 ページの記載によると飼育海産生物は他県で採取購入しているものもあり対象生物の飼育環境に注意が必要である。

(飯田主査)まとめとして、温排水で飼育した海産生物等の平成18 年度の放射能濃度範囲は、過去5 年間の濃度範囲と比較すると同程度であったことが了承することとする。委員各位 からいただいたご意見については、国は今後の海洋放射能調査の事業展開に活用していただきたい。

<資料5‐5 関連>

(小佐古委員)事務局は、マニュアルの使用者の意見を本専門家会合の議論に適切に反映してほしい。

(飯田主査)事務局からの報告内容を了承するとともに、今後の専門家会合の開催状況、マニュアルの整備状況については、適宜その結果を本検討会に報告していただくことを事務局にお願いする。

<資料5‐6 関連>

(事務局)配布資料は、前回検討会までご審議いただいた報告書案について、その後、事務局にて誤字訂正等を実施し最終版としてとりまとめたものである。審議への委員各位のご協力に感謝する。

<閉会>

(飯田主査)以上で予定していた議題の本日の審議は終了したので、第5回環境放射能評価検討会を閉会する。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室

担当:重松、山崎
電話番号:03‐6734‐4040(直通)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4042

(科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室)