放射性同位元素の使用施設等に係る国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(第1回) 議事録

1.日時

平成20年6月3日(火曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省 16階 2会議室

3.議題

  1. INES(国際原子力事象評価尺度)の運用について
  2. INES評価ワーキンググループの運営について
  3. 密封された放射性同位元素の所在不明について(非破壊検査株式会社京葉営業所)に係るINES評価レベルについて
  4. その他

4.配付資料

  • 資料第1‐1号 放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価ワーキンググループの設置について
  • 資料第1‐2号 放射性同位元素の使用施設等の事故・故障等に係る事象の国際原子力事象評価尺度(INES)の運用について
  • 資料第1‐3号 放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価ワーキンググループの運営について(案)
  • 資料第1‐4号 密封された放射性同位元素の所在不明について(非破壊検査株式会社京葉営業所)
  • 参考資料1 委員名簿
  • 参考資料2 INES追加ガイダンス評価事例

5.出席者

委員

 二ノ方壽主査、山本英明主査代理、石田正美委員、木村俊夫委員

文部科学省

 中矢放射線規制室長、桐生放射線安全企画官 他

6.議事録

(1)事務局より、資料第1‐1号を用いて、放射性同位元素の使用施設等に係る国際原子力事象評価尺度(INES)評価ワーキンググループ(以下「ワーキンググループ」という。)の経緯、検討事項の説明がなされた。続いて、委員の互選により二ノ方壽委員が主査に選任され、二ノ方壽主査の指名により山本英明委員が主査代理に任命された。

(2)事務局より、資料第1‐2号、参考資料2を用いて、放射性同位元素の使用施設等の事故・故障等に係るINESの運用について説明がなされた。
委員からの主な質問及び意見は以下の通り。

【木村委員】
 ワーキンググループの適用範囲は、放射性同位元素の使用施設、貯蔵施設及び陸上輸送とされているが、海上輸送、航空輸送に適用しない理由如何。また、陸上輸送は、国土交通省との関係があるのではないか。

【桐生放射線安全企画官】
 ワーキンググループの適用範囲は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下「障防法」という。)の規制を受ける施設及び放射性同位元素等の陸上輸送に関する事故・故障等で障防法に基づき報告された事象(以下「法令報告事象」という。)についてである。放射性同位元素等の陸上輸送については、国土交通省及び文部科学省が所掌しており、ワーキンググループの対象としては、文部科学省の所掌である輸送容器に係る事故・故障等を考えている。海上輸送、航空輸送については国土交通省でINESの評価をし、また、診療用の放射性医薬品などについては厚生労働省でINESの評価がされる予定である。事象が起こった場合は、関係省庁と連携して対応することも考えている。

【木村委員】
 INES評価レベル2以上と国際的に公衆の関心が高い事象についてのIAEA(国際原子力機関)への報告はどのような経路で行うのか。また、法令報告事象の発生の都度、ワーキンググループが開催されるのか。

【桐生放射線安全企画官】
 放射性同位元素の使用施設等に係るINES評価レベルのIAEAへの報告は、文部科学省にいるナショナルオフィサーを経由して報告することになる。日本のナショナルオフィサーは、経済産業省と文部科学省に1人ずついる。法令報告事象のうち、IAEAに報告するINES評価レベルの検討については、臨時でワーキンググループを開催し、それ以外のINES評価レベルの検討については、原則、半年ごとにワーキンググループを開催することを考えている。

【二ノ方主査】
 深層防護の考え方は、公衆の方にはわかりにくい。例えば、ワーキンググループで検討する深層防護は、原子炉施設の深層防護の考え方である多重防護と違って、放射性物質を閉じ込めている機能、密封性、容器の特性である障壁が対象と思われる。また、深層防護の劣化に基づく評価の安全文化の考え方は、IAEAのINES Additional Guidance(追加ガイダンス)では品質保証プロセスの欠如、ヒューマンエラーなどを趣旨とし抽象的な概念であるため、様々な例示がないと主観で判断することになるのではないかと思う。

【山本主査代理】
 深層防護の考え方は、「実際の影響が生ずることを防ぐために有効な安全対策の状況を考慮する」との趣旨がIAEAのINES Additional Guidanceにある。

【中矢放射線規制室長】
 放射性同位元素の使用施設等に係るINESの運用は始めたばかりであり、事例を重ねていくことで詳細な検討がされていくと思う。

(3)事務局より、資料第1‐3号を用いて、ワーキンググループの運営についての説明がなされた。

(4)事務局より、資料第1‐4号を用いて、密封された放射性同位元素の所在不明について(非破壊検査株式会社京葉営業所)の説明がなされた。
 委員からの主な質問及び意見は以下の通り。

【石田委員】
 被ばくに基づく評価について、容疑者の被ばくはどのように考えているのか。

【桐生放射線安全企画官】
 容疑者の被ばくについては、情報が限られているものの、容疑者の証言、線源の取扱いに熟知していること、線源の回収に従事した作業者の被ばく等からINES評価に影響するような過度の被ばくはないと考えている。

【木村委員】
 資料第1‐4号で、工業用ガンマ線ラジオグラフィーの線源分類は、2とされているが、放射能が低いものもあり、必ずしもこの分類をしなければならないということではない。本事象に該当するものは線源分類3と考えられる。

【木村委員】
 資料第1‐4号では、線源分類を線源の許可上の放射能で評価している。放射性物質には半減期があるため、実態の放射能では線源分類の評価が低くなる可能性がある。どちらの方法が評価をする上で良いのか。

【中矢放射線規制室長】
 評価は実態に即した放射能が望ましいと考える。

【石田委員】
 深層防護の劣化に基づく評価の安全文化については、盗まれた状態を検討すると手順違反、品質保証プロセスの欠如、ヒューマンエラーであると考えにくい。

【二ノ方主査】
 知識を持っている人間の意図的な盗難に対するセキュリティーは、本事象の深層防護の劣化に基づく評価のレベルを上げるほどの安全文化の欠如ではないと考える。
 以上の質疑の後、本事象については以下の結論を得た。

 検討結果:放射線規制室が暫定的に評価したレベル1は妥当なものと判断する。
 被ばくに基づく評価:0
 環境への影響に基づく評価:0
 深層防護の劣化に基づく評価:1

(5)事務局より、IAEAにおいてINESマニュアルの改訂が行われていること、次回のINES評価ワーキンググループの予定は約半年後である旨が伝えられた。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)