クリアランス技術検討ワーキンググループ(第19回) 議事要旨

1.日時

平成22年8月5日(木曜日) 13時30分~15時30分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. JT-60のクリアランス物量等について
  2. クリアランスレベル暫定値の算出における子孫核種の影響の見直しについて
  3. 評価シナリオの妥当性評価について
  4. その他

4.出席者

委員

近藤主査、石田委員、上蓑委員、木村委員、反保委員、服部委員、古川委員、森本委員、山本委員

文部科学省

明野原子力安全課長、中矢放射線規制室長、上田放射線規制室長補佐、石井専門官

オブザーバー

川妻、武部、宮(原子力機構)、桝本(高エネルギー加速器研究機構)

5.配布資料

資料第19-1号:第18回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)
資料第19-2号:JT-60施設の改造に伴い発生するクリアランス対象物量の精査及びその物量が第2次中間報告書のクリアランスレベルの暫定値の算出結果に与える影響評価について
資料第19-3号:第2次中間報告書で各核種のクリアランスレベルの暫定値の算出に用いた線量換算係数等のうち短半減期子孫核種の影響を考慮すべき線量換算係数等の見直しについて
資料第19-4号:放射線障害防止法におけるクリアランスレベルの設定に係る検討(確率論的解析の結果)(案)
参考資料1:クリアランス技術検討ワーキンググループ委員名簿

6.議事要旨

(1)資料第19-1号の第18回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)について、近藤主査から、修正すべき点等があれば、会合の1週間後までに事務局へ連絡するよう要請がなされた。

(2)資料第19-2号に基づき、日本原子力研究開発機構(JAEA)から、JT-60施設の改造に伴い発生するクリアランス対象物量を精査した結果、及びその物量が第2次中間報告書のクリアランスレベルの暫定値の算出結果に与える影響に関する自らの評価結果について説明が行われた。なお、冒頭JAEAより、JT-60施設の改造に伴い発生するクリアランス対象物の物量を精査する必要性が生じた経緯に関して謝罪を含めた説明があった。具体的には、JAEA側の誤解により、クリアランス物量に係るアンケ-ト調査(高エネるギー加速器研究機構が大学等放射線施設協議会等の協力を得て実施)の際に提出した資料において、クリアランス対象の物量欄を空欄としてしまったため、JT-60施設の改造に伴って発生するクリアランス対象物量も考慮したクリアランスレベルの算出をクリアランスWGの中で行ってもらいたいとの事であった。

委員からの主な質問及び意見は、以下のとおり。

【上蓑委員】JT-60施設では低レベル放射性廃棄物は出ず、全てクリアランス対象物であるという説明だが、これは実測等によってほぼ確定しているという理解でよいか。
【宮(JAEA)】物量については、そのとおり。計算コードによる解析結果と、実測結果を比較・確認して、報告している。

【近藤主査】今回の原子力機構からの説明内容の中で、RI法でクリアランスレベルを設定する放射性核種の追加に係ることとして、RS-G-1.7の計算値との比較等についても、物量の精査とともに良く調べる必要があると思うが。
【中矢室長】今回の原子力機構からの説明については、委員の方々から急に意見を頂くというのは難しいので、今回の説明内容を踏まえて、物量の影響や核種の追加について事務局でも評価して、次回、事務局の方からも再度説明したい。

【石田委員】クリアランスレベルを定める核種として追加が必要となるNb-93mとNb-94について、クリアランスレベルの暫定値とSRS No.44の値との比率を評価した結果で、類似核種にも係わらす比率が大きく異なる理由の記載内容については、もう少し分かりやすく記載する方が良い。
【武部氏(JAEA)】拝承。 

【服部委員】今回の原子力機構からの説明内容は、最初の前提条件なので、きちんと精査されており、良いと思う。過去にも、原子炉のクリアランスレベルを原子力安全委員会が考えたときには、100万KW級位のPWRとBWR、それから1基しかないGCRを想定して、多分そこで包絡性を見ているはず。すなわち、物量が一番大きいだろうというものをもってきて、それでレベルを算出している。今回も同じアプロ-チをしていると理解している。そういう意味では物量が最大になるところがピックアップされて、そこに注意を払った分析がされていると理解している。これは、最初の部分として、こういう包絡性の議論はすごく重要だという認識をしている。

 しかし、今後、将来的にはもちろんこれを超える施設も出てくる可能性があるし、あるいは、来年とか再来年になるとICRPで新しい内部被ばくの線量係数がまとめられるという話もある。その様な時に、数値の変更をどの様に取り扱うのか。もう一度、これらを踏まえて、レベルの検討をやるのかという議論もあると思うが、専門家としての私的な意見だが、レベル等の検討を再び行う必要はないものと思っている。何故かというと、もともと線量係数が変わるというのも、基となる新しいICRPのPublication 103でもリスク係数に大きな変化が無いからで、リスク係数に大きな変化が無い中で、組織荷重係数の比率が変わったので、モデルも少し変わり内部被ばくのその線量係数が変わってくるというものである。つまり大きな違いはないということだと理解している。

 それから、もう一つは、例えばRS-G-1.7の計算値との比較を最後に行い、結果的に今回もRS-G-1.7と同じ値をクリアランスレベルとして採用しようとしている訳だが、そのRS-G-1.7も国によっては、国の規制当局のインフラにより1桁高い緩和された値まで取っても良いとも説明されており、クリアランスレベルを算出する時の目安線量もやはり10マイクロシーベルト/年のオーダーで決められていて、クリアランスレベル自体も最後には0.1、1、10、100、1000(Bq/g)という、そういう10倍のオ-ダ-でまとめていくという様な手順が踏まれていることを考えると、今回の議論は、これはこれで精査する必要があるとは思うが、今後、この様な類似の話が出た場合には、個人的にはあんまり一喜一憂する必要のあるものでは無いと思っている。

【近藤主査】本日のJT-60の方からの説明内容について了解するとかどうかについて即決はできないので、事務局の方で預かり、専門家を交えて今回の問題についてもう少し検討してもらうこととしたい。その検討結果を踏まえて、次回又は次々回に、ワーキンググループのほうに諮ってもらうということにしたいと思う。

【全委員】主査の意見を了承。

(3)資料第19-3号に基づき、事務局より、第2次中間報告書で各核種のクリアランスレベルの暫定値の算出に用いた線量換算係数等のうち短半減期子孫核種の影響を考慮すべき線量換算係数等の見直しについて説明が行われた。委員からの主な質問及び意見は、以下のとおり。

【近藤主査】クリアランスレベル算出に係る内容を事務局で鋭意精査していたところ、今回の見直しについて分かったということであり、今後も精査を続けて欲しい。今回の説明内容については、了解頂いたということで取扱いたい。

(4)資料第19-4号に基づき、事務局から、放射線障害防止法におけるクリアランスレベルの設定に係る検討に関連して、RI汚染物に係るクリアランスレベルの算出に用いた評価シナリオの妥当性評価の結果について説明が行われた。委員からの主な質問及び意見は、以下のとおり。

【古川委員】焼却シナリオに係るパラメータについて注視していたが、パラメータの分布幅や分布型について非常に苦労して詳しく出典を調べられているとともに、実態調査もされていて、非常に良いと思う。資料のパラメータNo.70において、その焼却処理施設の稼働率は厚生省通知でこの何々%という、「義務付けられているので」と書いてあるが、これは確かであるか。「稼働率を90%とすれば」と書いてあるが、例えば、課長通知が出ているということか。ほかのところは、文献調査や実態調査の結果で記載されており、ここだけ、少し分かりにくいので、精査が必要である。
【事務局】内容の確認を行い、もう一度精査する。

【木村委員】今回の確率論的解析の結果は、ある意味では、少し保守的なところも有ると思うが、何桁も違うとかいうものではなく、僅かに異なる程度な感じだと思う。専門家としての意見として、あえて見直しを行う必要があるという様な結果ではないと思う。

(5)事務局から、次回のクリアランス技術検討ワーキンググループについては、8月31日に開催する旨が伝えられた。

以上

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)