クリアランス技術検討ワーキンググループ(第11回) 議事要旨

1.日時

平成21年10月2日(金曜日) 14時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. クリアランスレベルの算出に係る評価経路について
  2. クリアランス判断方法について
  3. その他

4.出席者

委員

近藤主査、飯本委員、石田委員、上蓑委員、木村委員、反保委員、服部委員、古川委員、森本委員

文部科学省

明野原子力安全課長、中矢放射線規制室長、服部放射線規制室長補佐、石井専門官

オブザーバー

大河原賢一 製薬放射線コンファレンス代表
岡﨑 清    日本放射線技術学会
藤淵 俊王 日本放射線技術学会
桝本 和義 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター教授
山口 一郎 厚生労働省国立保健医療科学院生活環境部主任研究官
渡辺 浩   日本放射線技術学会
   

5.配布資料

資料第11-1号:第10回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)
資料第11-2号:クリアランスレベルの算出に係る焼却処理の評価経路及び再使用の対象物品の見直しについて(案)
資料第11-2号
 添付資料1:放射性同位元素の使用等に伴い発生するRI汚染物のクリアランスレベルの算出に係る焼却処理の評価経路(案)
 添付資料2:放射性同位元素の使用等に伴い発生するRI汚染物のクリアランスに係る焼却処理の評価経路の選定について(案)
  添付資料3:放射線発生装置使用施設から発生する再使用物品について
資料第11-3号:医療(JSRT)からの技術的提案1(1.治療用電子加速器  2.PET検査用小型サイクロトロン)
資料第11-4号:医療(JSRT)からの技術的提案2 -非密封RI汚染物-
資料第11-5号:製薬企業におけるRI使用廃棄等の状況-(RIの使用等に伴い発生するRI汚染物のクリアランス判断)-
資料第11-6号:放射性廃棄物の健全な規制整備を目指して
参考資料1:クリアランス技術検討ワーキンググループ委員名簿

6.議事要旨

(1)資料第11-1号の第10回クリアランス技術検討ワーキンググループ議事概要(案)について、近藤主査から、修正すべき点等があれば、会合の1週間後までに事務局へ連絡するよう確認がなされた。

(2)資料第11-2号に基づき、事務局からクリアランスレベルの算出に係る焼却処理の評価経路及び再使用の対象物品の見直しについて(案)の説明が行われた。
 資料第11-2号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【石田委員】資料第11-2号添付資料1に感染のおそれのある廃棄物というものがあるが、あえてこういう表現をつける必要があるのか。感染のおそれのある廃棄汚染物という言い方がちょっと何か違和感を持つ。
【中矢放射線規制室長】放射線障害防止法の関係では、これは処理するとか、そういう話ではない。一般廃棄物として処分する際には処理しなければいけないので、感染のおそれのあるという記述にこだわることはない。
【近藤主査】「感性性のおそれのある」は削除する。

(3)資料第11-3号に基づき、日本放射線技術学会 渡辺氏及び藤淵氏から医療(JSRT)からの技術的提案1について説明が行われた。
 資料第11-3号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【飯本委員】事務局への質問だと思うが、数回ほど前の本ワーキングで議論になった点であるが、本日ご説明のあった資料の中で「免除」という言葉と「クリアランス」という言葉の両方が出てくるが、大方針としてクリアランス一本の考え方で行くのか、それとも免除的なものを入れるかどうか事務局の考えはどうなのか。
【近藤主査】クリアランスを考えたときにBSS免除レベルの概念を入れるかということに対しては少しギャップがあるように感じる。この件については、いずれ、このワーキングでまた議論されると思っている。
【古川委員】カテゴリ区分の中で、普通だったら10ミリオンを超えるもの、それ未満のものという区分が普通だと思うが、10MeVが特出しで1個だけあるというのはどういう理由なのか。10MeV、ほぼ10MeVのものについて、ターゲットを放射化されるが、生成量は少なくて短半減期で減ってくるとのことだが、具体的にどのような核種、濃度なのか。管理区分についてどういう区分で発生装置を分けて考えるのか。
【渡辺氏】加速器のエネルギー別の分布ですと、10MeVが6割ぐらいで、一番多く、ここが基本的に問題になるということも踏まえ、また、10MeVの場合は放射化の考慮はターゲット等の周辺だけでよいという限定ができると考えている。10MeVを超えるものについては、建屋の放射化の評価もある程度せざるを得ないと考えているために、このようなカテゴリ分けを行った。もう一つは、放射化の考慮を必要としない、そういうカテゴリも明確に存在すると考え、その範囲を10MeV未満として、日本放射線技術学会としては3つのカテゴリ分けを考えている。10MeVのターゲットのデータについては、一部エヴィデンスがあったと思うが、今、明確に提示できないところもあるので、整理した上でご提示したいと考えている。
【上蓑委員】サイクロトロンについて、理化学研究所では陽子線で15MeVぐらいの加速器を持っているが、Hプラス加速であるためデフレクタを使ってビームを出しているため、そこの放射化がかなり強い。本日の資料を見ると、あまりそういうことがないように書かれているが、医療用の場合はHマイナスが多いのか。
【藤淵氏】最近はHマイナス型の加速装置が多くなっている。ただ、昔、納入されたサイクロトロンに関しては、Hプラスの施設も幾つかは残っていると思う。
【上蓑委員】そういう点から言うと、医療用だから全部一括というのはちょっと難しいかなという感じがする。Hマイナス型に関しては類型化できるのがあったと思うが、Hプラス型だと汚染がないと言われても、あの強度でほんとうかという感じがする。
 また、例えばコンクリートの元素組成とその運転記録で事前評価というお話だが、わりと問題になってくるのがユウロピウムによる放射化とか、あと微量に含まれているリチウムによってトリチウムが出てくるとかということがあるが、施工前の元素組成でそこまで細かい分析を普通されるのか。結局、廃止するときにサンプルを採取して計るというのが現実ではないか。
【渡辺氏】コンクリートの組成までほんとうに明らかかどうかは調査してみないとわからない。
【近藤主査】医療用加速器施設で例えば装置を取りかえるといったときに、使用をやめて、それからリプレースするのに大体どのぐらいの期間かかるのか。
【渡辺氏】リニアックの場合は基本的に装置のみを更新するため使用をやめた後すぐに更新作業が始まる。サイクロトロンの場合は、別にサイクロトロンを設置して更新する場合、使用中止するサイクロトロンは少なくとも1年半おいてから処分作業に入るのが標準的なようである。
【近藤主査】本日の説明及びこれまでの桝本教授のご説明からサイクロトロンの場合では自己遮蔽体がある、なしで放射化の影響範囲が大きく違うこと、リニアックの場合では10MeV近辺でターゲット、あるいはガントリー付近の放射化があるかもしれないということがわかった。これらについては、もう少し関連するエヴィデンスが揃えば、いろいろな対応ができるのではないかと考える。
【古川委員】17ページのカテゴリ区分はについて、例えばクリアランス可能なB区分は検認をする、C区分は検認をしないで非RI汚染物として処分するとしているが、C区分はまさしくクリアランスが必要と考えるが、これは放射化していても検認をしない区分があるという解釈なのか。
【渡辺氏】クリアランスレベルを超えないことが明らかになっているものについては、できればクリアランスという手続を踏まないで処分できるように法整備していただきたいというのが要望である。どうしてもやはりクリアランスという何らかの形で手続を1回踏まなければいけないのであれば、できるだけ簡素化してほしいと考えている。
【服部放射線規制室長補佐】法律的な観点で制度を考える上においては、汚染された物、クリアランス対象物、汚染が認められないもの3区分しかおそらく制度としてはない。当然、クリアランスレベルの確認というのは何のためにするのかというと、汚染物なり放射化物に関してクリアランスが超えているのか、超えていないのかということを確認する手続なので、明らかに超えていないからといって確認を受けなくてもいいというものではなく、それがいわゆる放射化物と呼ばれるものに定義されるものであるとか、汚染物と定義されるものであるのであれば、一定の手続を踏んで、それは簡素化するとかいうやり方はあるとは思うが、確認の行為を経なければ、それは法律的に法規制の対象から外すことはできないということになるのだろうと思う。

(4)資料第11-4号に基づき、日本放射線技術学会 渡辺氏から医療(JSRT)からの技術的提案2について説明が行われた。
 資料第11-4号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【近藤主査】初期放射能濃度をどう推定するか、これは当ワーキンググループが平成18年6月にとりまとめた「放射線障害防止法におけるクリアランス制度の整備に係る技術的基準について(中間報告書)」では、ユーザー側の信頼性を考慮して、年間最大使用数量を使っていたと思う。これをより信頼性のおけることで対応できるのであれば、年間最大使用数量を使わずに対応できると思っており、これは検討していただければと思う。
【服部委員】説明資料のどこという話ではないが、例えば品質保証するというのはすごく大事なことだと思うが、忘れてはいけないことは、今、我々がクリアランスレベル相当の議論、10μSvという非常にトリビアルなリスクに対する議論をしているということ。この一線を越えたら人の命が損なわれるとか、健康上大きな被害が発生するとか、そういう議論では決してない。そこもぜひ今後のワーキングの議論で考えてほしい。

(5)資料第11-5号に基づき、製薬放射線コンファレンス代表 大河原氏から製薬企業におけるRI使用廃棄等の状況について説明が行われた。
 資料第11-5号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【森本委員】これまでの説明を聞くとクリアランスを行うためには、使用している段階から例えば短半減期のものと分けるとか廃棄物も分けて保管するなど、あらかじめ使用等のあり方を決めておかなければクリアランスは成り立たない。クリアランスのプロセスの品質ではなくて、使用のあり方まで含めた品質保証が必要という認識でよいか。
【中矢放射線規制室長】短半減期核種のクリアランスを考えれば、短半減期核種以外のものが混在してしまえば成り立たなくなるのだから、分けておく必要がある。国は、評価判断方法の認可の際に、その方法を含めて確認し認可することとなる。

(6)資料第11-6号に基づき、厚生労働省国立保健医療科学院生活環境部主任研究官 山口氏から放射性廃棄物の健全な規制整備を目指してについて説明が行われた。
 資料第11-6号に対する委員からの主な質問、及び意見は以下のとおり。

【近藤主査】TECDOC-1000の排水・排気基準での総量規制が合理的というのは、子孫核種については、排水・排気基準での総量規制が合理的ということなのか。
【山口氏】子孫核種も含めた包括的評価と排出量の総量規制は別の話である。TECDOC-1000で排水の基準を濃度ではなく総量で示しているのは、評価シナリオに依存している。医療機関からの排出量は相対的に少なく、濃度ベースでの議論は相対的には意義が低いのではないかと考える。

(7)事務局により次回のクリアランス技術検討ワーキンググループの予定は10月21日(水曜日)であることが伝えられた。

以上

 

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科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)