資料第17-2号: 確率論的解析を行う対象核種の選定及び対象経路の抽出について(案)

平成22年3月18日
放射線規制室

1.はじめに

 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下、「放射線障害防止法」という。)へのクリアランス制度の導入に向けて、放射線安全規制検討会では、クリアランス技術検討ワーキンググループ(以下、「クリアランスWG」という。)における技術的検討の結果を踏まえ、「放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入に向けた技術的検討結果について(第2次中間報告書)」(以下、「第2次中間報告書」という。)を平成22年1月に取りまとめた。
 第2次中間報告書では、クリアランスレベルの設定に係る検討として、放射性同位元素の使用等に伴って発生する放射性同位元素によって汚染された物(以下、「RI 汚染物」という。)及び放射線発生装置の使用に伴って発生するRI 汚染物(以下、「放射化物」という。)が埋設処分、再利用・再使用及び焼却処理された場合の一般公衆や関連作業者の実効線量10マイクロシーベルト/年又は皮膚の等価線量50ミリシーベルト/年に相当する各核種のクリアランスレベルとなる放射能濃度の暫定値を算出した。
 また、政省令・告示を制定するための技術的検討事項として、暫定値の算出に用いたシナリオ(評価経路及び評価パラメータを組み合わせたもの)の妥当性評価のための確率論的解析に係る検討を、クリアランスWGで進めることとした。
 このような状況を踏まえ、今回(第17回)のクリアランスWGにおいては、確率論的解析を行う対象核種の選定及び対象経路の抽出に係る検討を行う。

2.対象核種の選定

 確率論的解析を行う対象核種として、RI汚染物に係る対象核種を表1に示し、放射化物に係る対象核種を表2に示す。
 RI汚染物に係る対象核種の選定については、第2次中間報告書において「我が国における販売量が上位になる核種の中から、核種の特性を考慮して選定する。」としている。このことから、RI協会が平成16年から平成20年までの5年間に供給した非密封の放射性同位元素供給33核種及び放射性医薬品供給14核種のうち、それぞれ供給量が最大値となる核種の放射能を1として他の核種を規格化した場合に1桁の範囲に入るH-3、P-32、C-14、I-125、Tc-99m及びMo-99の6核種を対象核種として選定する。
 放射化物に係る対象核種の選定については、第2次中間報告書において「放射線発生装置及びその使用施設で用いられている構成材料の成分を基に評価された放射化に伴う核種の放射能濃度(D)と決定論的な方法により算出したクリアランスレベル(C)との比(D/C)を求め、最大値(D/C)max となる核種を主要核種とし、その他の核種の(D/C)と主要核種の(D/C)max の比[(D/C)/(D/C)max]の値が小数点以下2桁目までの範囲に含まれる核種の中から確率論的解析の対象とする核種を選定する。」としている。このことから、RI汚染物における対象核種の選定の考え方を踏まえ、[(D/C)/(D/C)max]の値が小数点以下1桁目に含まれる7核種を放射化物に係る確率論的解析の対象核種として選定する。

 表1 RI汚染物に係る確率論的解析の対象核種(RI協会による供給核種)

No.

核種

1

H-3

2

C-14

3

P-32

4

Mo-99

5

Tc-99m

6

I-125

表2 放射化物に係る確率論的解析の対象核種

No.

核種

1

Na-22

2

Mn-54

3

Co-60

4

Sb-125

5

Cs-134

6

Eu-152

7

Eu-154

3.対象経路の抽出

 対象核種の選定の結果を踏まえ、RI汚染物及び放射化物に係る確率論的解析を行う対象経路を表3及び表 4に示す。対象経路の選定については、第2次中間報告書において「確率論的解析の対象として選定したそれぞれの核種に対して、決定論的な方法により算出した10マイクロシーベルト/年の被ばく線量に相当する各評価経路の放射能濃度結果を基に、それらの放射能濃度の中で小さい方より3つの評価経路を確率論的解析の対象経路として抽出する。また、確率論的解析の対象として選定したいずれかの核種に対して抽出した評価経路は、他の核種の評価経路として加えることとする。」としている。このことから、RI汚染物については、確率論的解析の対象核種を表1に示す6核種とした場合には、対象経路は13経路となり、放射化物については、対象核種を表2に示す7核種とした場合には、対象経路は4経路となる。

表3 RI汚染物に係る対象経路         

No.

経路名

1

操業(埋立-外部)

2

跡地利用(農作物、成人)

3

跡地利用(農作物、子ども)

4

地下水(養殖淡水産物、成人)  

5

地下水(養殖淡水産物、子ども)

6

再利用(金属スクラップ周辺居住-農作物、成人)

7

再利用(金属スクラップ周辺居住-農作物、子ども) 

8

可燃物(可燃物運搬-外部)

9

可燃物(焼却炉補修-外部) 

10

可燃物(焼却炉周辺-畜産物、子ども)

11

可燃物(溶融炉周辺-農作物、子ども)

12

可燃物(溶融炉周辺-畜産物、成人)

13

可燃物(溶融炉周辺-畜産物、子ども)

表4 放射化物に係る対象経路    

No.

経路名

1

操業(運搬-外部)

2

操業(埋立-外部)

3

再利用(壁材等-外部、成人)

4

再利用(壁材等-外部、子ども)

お問合せ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)