平成17年11月29日(火曜日) 15時~17時5分
経済産業省 別館 944号会議室(9階)
小佐古座長、河田座長代理、阿部委員、長見委員、日下部委員、近藤委員、反保委員、中村委員、東委員、松田委員、山口委員、山本幸佳委員、山本英明委員、米原委員
(科学技術・学術政策局) 下村次長・原子力安全監、小原放射線規制室長、依田放射線安全企画官、岩田放射線検査専門官 他
【中村委員】
【小佐古座長】
1.資料20‐2の2章1.ウの文章表現については、主旨が正確に伝わるよう、座長預かりとして適切に修文する。3.実測による被ばく線量評価については重要な課題であり、未だ確立されていない部分があるので、今後、宇宙線被ばくの研究等がなされるときには十分留意すべき点である。
【事務局】
2.2章2.アの4カ国については、本ワーキンググループの資料においても国の数のみを記載しているため、バックデータを確認の上、個別に連絡させていただく。
4.被ばく線量の管理目標値については、報告書当初案の段階では幅をもたせて5~6mSv(ミリシーベルト)と設定していたが、目標値を明確にして欲しいという事業者側の要望に加えて、放射線障害防止法や電離放射線障害防止規則等でも従来から5mSv(ミリシーベルト)が使われているように、5mSv(ミリシーベルト)放射線防護の世界では比較的馴染みのある数値であることなどの理由から、5mSv(ミリシーベルト)と設定することで本ワーキンググループでの合意形成がなされた。
5.個人の被ばく線量の閲覧・記録についてであるが、本報告書が述べていることは、宇宙線被ばく対策については「規制ではなく事業者の自主管理を促すべき」ということである。被ばくする線量レベルも考慮し、いきなり規制によって事業者に義務付けるべきという結論にはなっていない。
【反保委員】
大規模太陽フレア時に事業者が行う具体的な被ばく低減策はどのようなもの想定しているのか。また、添乗員の扱いについて記載する必要はないのか。
【事務局】
大規模太陽フレア時の具体的な被ばく低減策についてどのような手段を選択するかは事業者が総合的に判断すべき事項であり、その自由度を妨げないために敢えて事細かに具体的に報告書には記載していないが、例えば、当該年の個人の被ばく線量を考慮した乗務ローテーションを実施することなどによって、十分対策がなされるものと考える。また、添乗員については、当初は検討対象に含められるよう「乗務員等」という名称で本ワーキンググループを発足させたが、議論の途中でまずは基本となる航空機乗務員について検討して結論を出し、宇宙線被ばくに対する認識を定着させて世間の様子を見る必要があるとの本ワーキンググループの判断がなされ、結果的に検討対象から除かれた経緯がある。
【小佐古座長】
大規模太陽フレアによる被ばく線量増加については、頻度が低く、一時的なものであることを理解していただくことも重要である。また、添乗員については、航空機乗務員よりも、より長時間乗る者は極めて少ないと予想されるが、どの程度の者がどの程度の時間搭乗しているのかなどの具体的なデータがなく、その実態が明らかでない。対象事業者の範囲も膨大になるので、彼らの検討を行うためには、まずは適切な実態調査が必要である。
【山本(幸)委員】
仮に、航空機乗務員が放射線業務従事者に転職した場合、航空機乗務時の被ばく線量は集積線量として継続されるのか。
【小佐古座長】
退職後に本人が記録を持つように運用しなければ、継続されないであろう。なお、近年、集積線量の概念はあまり用いられなくなっており、1年毎に被ばく線量を管理することで放射線防護上のリスクマネジメントは十分行われると考えられるようになってきている。
【阿部委員】
添乗員に対する被ばく防護や健康影響に関する知見の扱いなどを、今後の検討課題として本報告書に記載すべきではないか。また、航空機乗務員の集団線量を概算すると、原子力発電所や医療・教育現場の大きさに匹敵しているので、今後の課題として集団線量を取り上げてはどうか。
【小佐古座長】
それらのご指摘は、やや混乱を招く恐れがあり、これから事業者に自主管理を始めてもらう段階で混乱を招くと、根幹となる部分が定まらなくなる恐れもあるので、まずは対象集団を適切に把握できる航空機乗務員について被ばく管理を実施してもらうということが本ワーキンググループの判断である。添乗員の実態を把握するためには労力、工夫、時間が必要であるので、本日の議論では、添乗員の取り扱いの検討を行う必要性をご指摘いただいたことを議事録に残すこととしたい。
健康影響については、本報告書の最終項に取り上げている。現行のICRP勧告は直線仮説に基づく最も厳しい評価であり、本報告書はこの勧告に沿った被ばく管理がなされるよう十分考慮した上で作成されている。
集団線量はリスクマネジメントのパラメータの1つとして扱われるべきものであるが、航空機乗務員については、その集団の大きさゆえにガイドラインが必要とされたので、本報告書は集団の大きさを十分考慮した上で作成されている。
【阿部委員】
健康影響等の最新知見に関する情報を適切に入手することが重要であると記載されているが、誰(事業者、関係団体、規制当局等)が入手すべきであるのか。
【小佐古座長】
最新知見に関する情報の入手については、各関係機関等における所掌の違いがあるので、各々が必要であると判断した情報を入手すべきであるという主旨である。
【小佐古座長】
本報告書は今後どのように扱われるのか。
【事務局】
航空機乗務員等の宇宙線被ばくについては、放射線審議会が平成10年に出したICRP勧告の国内制度への取り入れについての意見具申の宿題事項であるので、今後、放射線審議会へ報告することを予定している。
【阿部委員】
放射線発生装置の解体に伴って発生する廃棄物及び短半減期核種の使用に伴って発生した廃棄物を対象にしているが、それ以外の廃棄物についてもどのようになるか、使用形態、施設の種類、使用核種等を考慮して全体的なマトリックスを組んで検討して頂きたい。また、クリアランスレベルは、既に炉規法においていくつかの核種が制度化されるが、同じ核種であっても、発生する物量が異なるので炉規法と数値が異なるということは、一般的には理解されない。炉規法と整合がとれた数値の方が望ましいと考える。
【近藤委員】
クリアランスレベルについては炉規法と整合をとる必要があると思われるが、短半減期核種によって汚染された廃棄物については、事業所から発生する量が少なく、また、汚染がホットスポットであるという問題があり、これをどのように考えるか整理しているところである。
【河田座長代理】
実効性の無い制度になることは問題である。99Tcの半減期は長いが、逆に半減期が長いので安全だということもある。99Tcの放射能は計算によって簡単に求められるので、単に数値だけの判断で半減期が長いので除外というのは議論として極端と思われる。
【日下部委員】
医療で利用する非密封の放射線源に関しては、短半減期の核種ばかりである。医療法で取り扱っている範囲では、半減期が8日であるI-131を100mCi(3.7GBq(ギガベクレル))程度使用するのが最高であり、使用する施設も70施設程度と限られているため、その他の使用核種が3日以内の半減期がほとんどであることなどを考慮してもセキュリティ管理の等質徹底化されれば問題がないと思われる。
【山口委員】
セキュリティ対策では、ハード、ソフトの両面からの総合的な方策が求められるので、よい指針が提示できるよう考えたい。
【東委員】
ガイドラインにおけるカテゴリの分類においては、機器による分類ではなく、下限数量の何倍というような数値による分類にしていただきたい。
【山本(英)委員】
セキュリティに関する認識を統一して、今後検討を進めていきたい。
【山本(幸)委員】
ここでいうセキュリティとはセキュリティが破られた事後の対応について含むのか。
【小佐古座長】
放射線源の安全とセキュリティについて、制度設計は本ワーキンググループの議論ではないとか、山本幸佳委員が指摘されたセキュリティ関連事象の対応は警察のルールに従う必要があるなど様々な意見があるので、それらはすべて汲み取り、議論していきたい。
科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室