放射線安全規制検討会(第17回) 議事録

1.日時

平成17年3月28日(月曜日) 10時~12時

2.場所

経済産業省別館 1028会議室(10階)

3.議題

  1. 第16回検討会 議事概要(案)の確認
  2. クリアランスの検討状況について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料17‐1 第16回放射線安全規制検討会 議事概要(案)
  • 資料17‐2 加速器施設等の解体に伴い発生する廃棄物に対するクリアランスについて
  • 資料17‐3 RI使用に伴い発生する廃棄物のクリアランスに係る検討状況について
  • 資料17‐4 諸外国のクリアランス制度について

5.出席者

委員

 小佐古座長、河田座長代理、阿部委員、大森委員、長見委員、日下部委員、近藤委員、田中委員、反保委員、中村委員、東委員、山口委員、山本幸佳委員、山本英明委員

文部科学省

 片山次長・原子力安全監、加藤原子力安全課長、小原放射線規制室長、依田放射線安全企画官、茶山保安管理企画官他

6.議事進行

  • 資料17‐2、3により、日本原子力研究所から放射線発生装置の解体廃棄物に係るクリアランスの検討状況について、また、社団法人日本アイソトープ協会から放射線利用に伴い発生する廃棄物に係るクリアランスの検討状況について、それぞれ説明が行われた。
  • 資料17‐4により、クリアランス制度に関する海外の状況について、原子力研究バックエンド推進センターから説明が行われた

7.主な質疑応答

<資料17‐2関係>

【中村委員】
 日本原子力研究所と高エネルギー加速器研究機構が共同で検討しているとのことであるが、高エネルギー加速器研究機構の加速器や放射化物のデータを提示して頂きたい。

【原研】
 現在、データ収集を行っている。高エネ研だけでなく大学の施設に関してもアンケートの実施等により17年度にデータの収集を予定している。また、金属の放射化に関するデータは、現在収集中であり、17年度も継続して行う予定である。

【山本(幸)委員】
 8ページの放射化計算結果と測定結果に差が見受けられるが、理由はどのようなものか。

【原研】
 考えられる核反応を考慮しても実測値を評価できない場合があり、施設の建設条件等(コンクリート中の金属ネットなどの分布)の物理的な要件により、計算結果と差が生じていることも考えられる。現在の段階では、計算コードによる放射化計算は放射化核種の見当をつけることに用い、放射能濃度は実測で確認することが必要と考えている。

【近藤委員】
 元素分析により、材料の組成の情報が集まってくると放射化計算結果と実測結果が合ってくると思われる。25ページの材料別の最重要核種について、アルミニウムについてはZn‐65が最重要核種となっているが、アルミニウム中の不純物の影響か。

【原研】
 アルミニウム材質(型)によって、放射化で生成される核種にある程度の幅があるが、型別に計算することによりある程度、評価核種の予測ができると考える。

【山本(幸)委員】
 8ページの測定結果をみると、コンクリート厚さ15センチメートルあたりにピークがある。理由はどのようなものか。ビルドアップによるものか。

【原研】
 核反応を考えるとビルドアップも考えられるが、それ以外の物理的な影響、例えばコンクリート中の金属部分、コンクリートの状態による違いなども考えられる。

【中村委員】
 計算コードはDCHAINを用いており、このコードは20MeV(メガ電子ボルト)以下の中性子による放射化を評価できるが、20MeV(メガ電子ボルト)を超えるような中性子を発生する加速器についてはどの計算コードを用いるのか。

【原研】
 20MeV(メガ電子ボルト)以下の評価で、国内加速器の大部分(およそ90パーセント)をカバーすることができるが、また、大強度陽子加速器計画等で用いられている核データセットを使用すれば、20MeV(メガ電子ボルト)を超える部分ついても評価できると考えている。

【近藤委員】
 日本原子力研究所のJT‐60施設が解体された場合のクリアランスに関する物量は評価しているか。

【原研】
 今回の資料には記載していないが、JT‐60についても物量を推定している。

【小佐古座長】
 第一にクリアランス制度の前提をどう考えるか。例えば、加速器のエネルギー毎に大、中、小にわけ、大規模の加速器のクリアランスについては、個別審査にするなど。また、対象物についても、加速器施設の全解体時、部分解体時あるいは運転時に発生する部品、材料についてはコンクリートや金属だけでなくオイルやイオン交換樹脂の扱いなど。放射化物の取扱いに関する一形態としてクリアランス制度を考えるべき。
 第二に加速器の特徴をどう扱うか。エネルギー、加速粒子、構成材料の多様性を踏まえ、例えば原子炉でいうPWRとBWRのように大まかに分類する。あるいはクリアランス制度の標準を定めて、外れる事項に関しては個別に審査するなど。
 第三にクリアランス制度の仕組みや手順をどうするか。申請や検認システム、またシナリオや重要核種に抜けがないかなど。
 第四に技術的事項の検討の継続。例えば、検認の方法、測定装置、クリアランスの品質管理の考え方など。
 第五にクリアランス後のトレーサビリティについて。一般廃棄物や産業廃棄物に合理的に渡す検討が必要。

【長見委員】
 一般公衆の理解を得るため、十分な説明とトレーサビリティが明確になっていることが重要と考える。

【田中委員】
 19ページの解体廃棄物の発生量について、日本原子力研究所の欄をみると、放射性廃棄物でない廃棄物が9割を占めている。放射化される部分とされない部分が明確なのか。また、放射化される可能性のある部分について、測定しクリアランス対象廃棄物と放射性廃棄物に分けるのか説明が必要では。

【阿部委員】
 原子力安全委員会では、天然に含まれる放射能濃度と同等であれば、放射性廃棄物ではない旨示されている。炉規法ではリサイクルに関しても検討されており、放射線障害防止法においても必要ではないか。

【大森委員】
 19ページの表をみると廃棄物種類について区分の説明がない。阿部委員のご意見にあるような説明を加えるとある程度明確になるのではないか。

<資料17‐3関係>

【日下部委員】
 医療廃棄物についても検討を進めていきたい。

【反保委員】
 品質保証などにより、安全側の管理を行うことによりさらにクリアランスできる物量が減ると予想される。また、加速器施設から発生するRI利用に伴う廃棄物に関する検討は原研とRI協会のどちらで行うのか。

【事務局】
 RI利用に伴い発生する廃棄物については、RI協会での検討範囲としていただきたい。

【東委員】
 品質保証について、検認はISO9000、廃棄物についてはISO14000となるが、二つを満足している事業所は少ないと思われる。

【山口委員】
 第3者機関による検認などが考えられるが、低コストでクリアランスの健全性を担保できる仕組み、リサイクルを考慮した検討が必要と思われる。

【山本(英)委員】
 RI使用に伴い発生する廃棄物のクリアランスは、炉規法や放射化物のクリアランスとは異なり、しっかり分別することにより短半減期核種は減衰してしまうことを活用すべきではないか。

【中村委員】
 大学等放射線施設協議会では、RI協会に核種毎の分別回収を提案しているところ。また、クリアランス制度の経済的なメリットは物量が少なくても存在すると思われ、物量と切り離して議論してもよいのではないか。

【阿部委員】
 クリアランス制度に関する経済的な検討をこの検討会で行うのか。また、およそ1,000事業所に対して、ISOを導入するのは非現実的ではないか。

【河田座長代理】
 RI協会での検討では、経済性についても念頭に置いている。

<資料17‐4関係>

【小佐古座長】
 原研とRI協会の検討にうまく反映させてほしい。

<その他>

【事務局】
 現在、パブリックコメントに寄せられた意見の整理を行いつつ、政省令告示の改正作業を進めている。一連の作業終了後、速やかに公布・施行したいと考えている。また、本日ご議論頂いたクリアランスの検討状況等を踏まえ、今後も検討を継続して頂き、ある程度まとまった段階で、この放射線安全規制検討会においてご報告していただきたい。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)