平成16年11月17日(水曜日) 10時~12時
経済産業省別館 1111会議室(11階)
小佐古座長、河田座長代理、阿部委員、大越委員、大森委員、近藤委員、反保委員、中村委員、山口委員、山本幸佳委員、山本英明委員、米原委員
青山次長・原子力安全監、加藤原子力安全課長、小原放射線規制室長、茶山保安管理企画官他
(説明者) 日本アイソトープ協会環境整備部古川部長
【大越委員】
原子炉から発生する廃棄物の区分と比べ、加速器施設ではクリアランス対象物の割合が高く、特徴的。主に放射化に起因するが、冷却水の放射化による表面汚染はないのか。また、放射化に起因する表面汚染がある場合、どのように対処するか。放射化で生成される放射性核種の種類は、原子炉と比べて特異性は見受けられないが、加速器について特別な材料を用いたものはないか。
【近藤委員】
クリアランス対象物の割合が高いのは、加速器施設では附属の室が多く、その構成材料が非放射性廃棄物とクリアランス対象物になるため。最近、加速器の構成材料などに超伝導機器等を用いた装置もあり、合金が使用されているので、放射化の結果どのような放射性核種が発生するか金属中の不純物を含めたデータについても調査・整備している。
【中村委員】
加速器施設では、放射化による表面汚染はほとんど起こらないと考えてよい。資料にあるように、2007年に大量に発生する廃棄物に対処するため、制度化が急がれるのでは。
【小佐古座長】
原子炉のクリアランス廃棄物は明確に区分できるが、加速器施設は種類が多く用途も多岐にわたるため、区分が複雑となる。実際に加速器を使用している事業者側での検討が重要である。
【阿部委員】
加速器施設のクリアランスは、汚染源が放射化に限定されるため、原子炉のクリアランスの方策が参考となりえる。
【近藤委員】
加速器には、レプトン(電子など)、ハドロン(陽子など)など加速する粒子による違いがあるが、放射化は、加速粒子がターゲットを通った後の二次放射線によるものが中心となるため、加速器による差はあまりない。放射化のためのコードも開発され、様々な計算がされており、現在、測定値とのチェックが進められている。難測定核種についてもデータを整備しているが、どこまで測定されるべきか。また、バックグラウンドの問題もある。
【山本(幸)委員】
以前は、鉛ターゲットが蒸発して汚染が発生することがあったが、現在はどうか。
【近藤委員】
高エネ研では、鉛ターゲットを使用する機会はすくないため、そのような汚染は発生しない。
【中村委員】
一次放射線にさらされるターゲット周りは、生成核種に違いがあると思われるが、その部分は、低レベル放射性廃棄物となる。コンクリートなどしゃへい材料が、クリアランスの対象物質の中心となるので、生成核種は同じと考えて良いのではないか。
【小佐古座長】
物量が少ないとクリアランスは議論しにくい。加速器の放射化物を中心にクリアランスの検討を進める方針でよいか。検認は、計算ベースだけでなく、ある程度実測も必要と思われる。その際、ソフトβ,γ線に対する検討も必要である。
【山本(英)委員】
大きな施設を対象に議論が進んでいるが、資料14‐2‐4を見ると、多数の放射性核種の種類があり、金属も何種類かに区分されるようである。しかし、今までにも解体された加速器の例はあり、クリアランス制度がなくても問題は起きていない。クリアランスの必要性も含め検討を進めてはどうか。
【近藤委員】
様々な加速器はあるのだが、高エネ研での放射化物に関するデータは、他の加速器にも利用できると思われる。
【米原委員】
加速器のクリアランス制度が一般公衆に受け入れられるためには、加速器ごとに検討するのではなく、原子炉のようにまず一般クリアランス制度を確立することが重要。事業所ごとの許認可で個々にクリアランスレベルを計算するのは、今後の検討にかなりの時間を要すると思われる。
【河田座長代理】
加速器の放射化物は、裕度をもった区分を行い、表面汚染がなければクリアランス制度にのりやすいのではないか。
【事務局】
コンクリートブロックなど、再利用する場合、どのように行われているのか。
【小佐古座長】
再利用と再使用という言葉が混在しているように思われる。しゃへい物の再使用は現在も行われている。
【大森委員】
様々な種類の加速器があっても、クリアランスについてある程度統一的な規準が必要ではないか。しかし、あまりシビアな規準にしても制度が成り立たないのでは。
【山口委員】
有効性を十分に検討する必要があるのではないか。
【反保委員】
運転廃棄物のクリアランスについても、物量が重要な問題と理解した。
【小佐古座長】
クリアランス制度の検討は、加速器施設の放射化物を中心に検討を進めることで合意を得たと思われるが、詳細については、今後様々な問題をクリアしなければならない。
【近藤委員】
放射性廃棄物の集荷の際の事業者側の記録について、信頼性はどのくらいか。
【日本アイソトープ協会】
事業所による。当協会としては、事業所と密に連絡をとり対処している。
【中村委員】
廃棄物を保管廃棄する施設に関して、今後、どれくらいの期間廃棄物を集荷することができるのか。
【日本アイソトープ協会】
許可上、全国6ヶ所に200リットルドラム缶で18万本保管廃棄できることとなっており、平成15年度末で、9万4,000本保管廃棄している。今後何年保管が可能かということについては、大規模な加速器の解体などが行われると、1,000から2,000本の単位で増加するため、その時々の発生量によって異なる。明確な答はできない。
【小佐古座長】
集荷された放射性廃棄物は、焼却や圧縮により処理を行い容積を減少させることは可能である。
【阿部委員】
複数種類の放射性核種を使用しているが、放射性廃棄物中に核種が混在しているか。また、原子炉のクリアランス制度の検討の際にも話題となったが、品質保証の体制の充実が必要となると思われる。ISOなど放射線取扱事業所ではどれくらい浸透しているか。
【反保委員】
現在のところ、使用しているすべての核種が混在した放射性廃棄物となっている。核種ごとの分別が必要となれば検討する。当社の放射線部門ではISOを取得していない。
【日本アイソトープ協会】
事業所で発生する一般廃棄物を含めたすべての廃棄物に対し、環境部門のISOを所得している例はある。
【阿部委員】
放射性核種の半減期などによりグループ分けして分別することは可能と思われる。また、クリアランス制度は一般公衆と接点をもつものであり、検認は重要である。事業所ぐるみで取り組まないと一般公衆の理解は得られないのではないか。
【中村委員】
日本アイソトープ協会において、放射性廃棄物の核種別集荷を行ってはどうか。
【山本(幸)委員】
免除の線量規準1年あたり10μSv(マイクロシーベルト)について、連続的な廃棄も含めていると考えて良いか。
【山本(英)委員】
シナリオ上は、連続的な廃棄ではない。少量の放射性物質を使っている事業所が1回廃棄し、それが廃棄物処分場にいくというシナリオに基づいて計算されている。また、核種別の集荷を行うとドラム缶の中の内容物が非常に少なくなるので、処理の対応が難しくなるのではないか。
【日本アイソトープ協会】
長半減期核種4核種について、分別集荷を行う計画がある。分別のための容器が増えるため、多核種になると困難と思われる。
【大越委員】
クリアランスと廃棄物埋設のための処理の議論が混在している。阿部委員の核種分別の意見は、クリアランスのためのであり、日本アイソトープ協会の分別集荷は埋設のためのと思われる。
【山口委員】
短半減期核種の場合、事業所での減衰待ち保管のあとクリアランスすることも可能ではないか。
【小佐古座長】
各事業所における廃棄物について、3点のプレゼンテーションがあったが、クリアランスについてすぐに結論は出せない。実現に向けての情報の整理、事業者からの提案などが必要である。加速器の放射化物と放射性同位元素の運転廃棄物について、2つのグループごとに検討を行い、本検討会において報告をお願いしたいがどうか。
【事務局】
検認に関することも含め、2つのグループで検討を進めることについて問題ないと考える。
【小佐古座長】
2つのグループでの検討について、加速器放射化物については、原研を中心に、放射性同位元素の運転廃棄物については日本アイソトープ協会を中心に議論を進めてはどうか。検討会事務局とよく相談しすすめてもらいたい。
【事務局】
検討の体制については、次回検討会で報告させていただきたい。また、免除レベル以下の放射性物質の一般施設からの連続廃棄の規制の必要性について確認したい。
【山本(英)委員】
免除レベルは単一線源について検討されており、免除レベル以下であれば、問題ないと考えられる。
【小佐古座長】
資料14‐5に対する回答を意見と対比した形でまとめていただき、次回委員会において、議論を行いたい。
科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室