放射線安全規制検討会(第11回) 議事録

1.日時

平成16年2月6日(金曜日) 15時~17時

2.場所

三田共用会議所 3階 大会議室(A、B、C会議室)

3.議題

  1. 放射線障害防止法改正の概要について

4.配付資料

  • 資料11‐1 第10回放射線安全規制検討会 議事概要(案)
  • 資料11‐2 販売業、賃貸業の規制について(案)
  • 資料11‐3 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正案の概要
  • 資料11‐4 その他の中間報告書記載事項への対応について

5.出席者

委員

 小佐古座長、河田座長代理、阿部委員、石榑委員、大森委員、長見委員、日下部委員、東委員、山口委員、山本幸佳委員、山本英明委員

文部科学省

 有本科学技術・学術政策局長、小田原子力安全監、青山原子力安全課長、石田放射線規制室長、茶山保安管理企画官他

6.議事進行

茶山企画官より資料11‐2、11‐3、11‐4について説明

7.主な質疑応答

<資料11‐2関係>

【東委員】
販売業、賃貸業の規制合理化については、製造メーカーとしては大いに賛成であるが、製造メーカー等は、今、販売と使用、両方許可を持っている。それが販売・賃貸の場合は届出で、それから使用の許可となるが、この場合の例えば主任者について、これは同一の主任者でも構わないということか。また、実際に放射性同位元素を取り扱わない場合は、いわゆる記帳という義務は必要ないということになるのか。

【事務局】
具体的な運用の問題になると思われるが、主任者については、同じ方で兼ねることは可能だと考えている。記帳・記録については、所有権が移転する形になるため、だれに売ったかというような記録はつけていただきたい。

【河田座長代理】
販売・賃貸の規制について、使用の許可ということで一元化されるということになると、いわゆるRI一般の使用というような条件と、販売に伴うRIの取扱いで、異なる部分がある。販売に伴うRIの取扱に、全部完全に一致して、一般RIの使用と同じような技術基準を求められると、販売が滞ることが考えられる。十分ご考慮いただきたい。

【事務局】
具体的に使用の基準を省令で定めていく中で、現行も幾つかの基準において、販売業者の場合あるいは許可使用者の場合とか書き分けたりしている場合もある。うまく政省令に反映させたい。

【山本(幸)委員】
販売・賃貸の主任者の件について、講習のみで取得できるのは三種を想定されていると思うが、多くのものを販売するときは二種、一種ということになるのか。

【事務局】
具体的に物を取り扱うときは、今度は使用の許可か届出をとることとなり、取扱量により一種または二種の放射線取扱主任者が必要になる。

【石榑委員】
急な返品や貸付先の倒産などにより、保管を委託する制度を設け、放射線障害予防規定への記載により担保をすることとするということだが、これは具体的にどこどこの業者にやってもらうということまで書くのか。また、現状126事業者、賃貸は2事業者であり、書類上のみの販売・賃貸を行うということにしたら、いろいろな業者がこれに参入してくるというような予想というのはできるのか。その場合に、それぞれについて予防規定がどのように書かれるかというようなことをきちんと見るのはかなり労力を要すると思われる。

【事務局】
運用の問題となるが、例えばメーカーとユーザーの間を取り持って、輸送中に何かあったとかいうときに、適切にメーカーの倉庫へ戻すことが重要。何か緊急のことが起きたときにも速やかに対応できるようにしたい。また、事業者の今後の参入については、例えば賃貸業のほうでは十数社興味を持っていると聞いている。今後、施設を必ず持たなくてもいいということになると、かなり参入していくに当たっての壁というのは小さくなっていると思われる。予防規定のチェックについては、予防規定は届出のため、国がとりあえず受理し、問題があれば指摘するという形となる。人的に国の陣容が難しくなるようなことは、あまりないのではないかと考えている。

【事務局】
放射性同位元素の安全規制をいかに確保するかといった点で、従来はかなり販売・賃貸について、施設を必ず持たせてハードルを高くし、結果として安全性が確保されてきた。今後は、流通、販売のハードルを無用に高くしてそこの安全を確保するという思想ではなくて、使用するところをきちっと押さえることが重要。
放射性物質というのは比較的小事業者などが非常に多いため、流通の部分について、どういうところに売ったか、どういうところに所有権が移ったかといった点について国が押さえておく必要がある。また、万が一の返品など不測の事態に対応して、販売・賃貸の業者が取るべき責務について現実的な規制をし、実際の安全確保は使用の許可、届出、さらには煙感知器などのようなものは設計承認といった制度で確保しておくことが必要と考える。

【小佐古座長】
この種の議論のときには、保険のことをある程度考える必要があるのではないか。例えば身元の不明な線源が見つかると、それを発見した人が費用負担することとなる。保険というシステムがあれば、例えば身元の不明なものの片づけなどいかんともしがたいというときにかなり安定化をもって運用できるということになると思われる。

【山本(英)委員】
放射性同位元素そのものが安全なものなのかどうかというのは、賃貸業者とか販売業者の責任ではないという認識でこういう仕組みになっているというふうに考えてよろしいか。製造業者の話も一緒にこの絵の中に入っているが。

【阿部委員】
ファイナンス・リースの解説について、物件の瑕疵について賃貸者は責任を負わないということで、製造者と賃借者の関係で処理するということであるが、なにがしかの規制をかけておかないと、放射線安全という点で、線源そのものに起因する不安全行為がどういう責任体制になるかというところが見えなくなる。ぜひご検討いただきたい。

【事務局】
今度の新しい制度を理解するにあたり一番端的なのは、販売業、賃貸業の届出、販売業、賃貸業者の資格だけでは、放射性同位元素を直接取り扱うことはできないということ。所持の制限をかけて、よほど緊急時の対応など以外については、放射性同位元素を取り扱うことはできないことにしたいと考えている。実際にRIを製造するときは使用の許可や届出が必要となる。ファイナンス・リースの貸している方たちが直接責任を負わないような形になっているのは、ファイナンス・リース業者、金融業者に放射性同位元素に関する様々なチェックを求めていくということを考えても、そこはおのずと限界はあると思われる。そうすると使用許可を持っている放射性同位元素の装備機器をつくっているような会社、あるいは放射線発生装置をつくっている会社の方が安全管理について効率的であると思われる。

【事務局】
運搬については、現在の制度でもいわゆる委託された者が運搬をできるようになっており、委託された者は運搬を実施する者の責任として運搬の基準を守らなければいけないという形になっている。改正後も販売業者、賃貸業者は、所持しないのが原則であるが、販売業者、賃貸業者が運搬する場合というのは当然出てくるし、あるいはほかの者に委託する場合も出てくる。そのときにはそれぞれ販売業者、賃貸業者自ら運搬する場合、あるいはだれかに委託して、委託された人が運搬する場合、その実施者の方が運搬の基準を守らなければいけないということは、今までどおりという形にしていきたいと思っている。

<資料11‐3関係>

【山本(幸)委員】
設計認証という言葉が初めて出てきたが、これは何か理由があって承認から認証に変わったのか。

【事務局】
中間報告書のほうでは設計承認、型式承認という形でご提案いただいている。設計認証とは、いろんな法律の仕組みなどを調べると、個々の現物の検査を行わず、事業者の設計段階で何らかの国のチェックを働かせるもの。特に事業者など自主的な検査と品質保証で安全を担保するものについては、一般に認証という言葉が使われている。

【大森委員】
危険性が小さいとか、リスクが高いとかリスクが低いとか表現されているが、その基準が、何を基準にしてリスクが高いとか危険性が小さいということになっているのか。

【事務局】
設計認証の基準としては、通常の使用に伴い年間1mSv(ミリシーベルト)を下回るような線量しか受けないということ。また、このうち特に危険性の小さなもの、届出も不要としているものは、これは機器の表面から10センチの距離で、時間あたりの線量として1μSv(マイクロシーベルト)を下回るもの。その数字のみならず、具体的には煙感知器、レーダー受信部など。

【阿部委員】
管理面の安全性向上ということで、定期検査項目にソフト面を入れたことについて非常にいいことだと思う。既に原子炉等規制法では保安規定遵守状況検査なるものを制度化している。障害防止法ではどの程度の頻度をお考えなのか。「過度の負担にならない様」ということで、この負担はどちら側の負担をお考えなのか。

【事務局】
具体的には、2~3年とか、いわゆる年の単位で、数年に1度を考えている。「過度の負担に」とは、基本的に事業者の皆さんの負担のことを考えている。

【山口委員】
改正の趣旨のところで、標準といった表現がされているが、規制の免除レベルのことを指したと思われる。その規制の免除レベル、標準値というとちょっとピンとこないので、表現を工夫されたらどうかと思う。

【事務局】
定義数量の値が変わるという意味を理解していただくには規制対象下限値といった言い方がわかりのいい場合もあり、いろいろ工夫し、補足しながら説明していきたいと考えている。

【日下部委員】
放射線取扱主任者の定期講習というのは具体的にはどんな計画か。

【事務局】
数年に1度主任者に選任された方を対象に講習を受けていただく。講習の内容としては、法令改正の内容や放射性同位元素や放射線発生装置の取扱いやその施設の管理に関すること、また事故事例などを勉強していただくことを考えている。

【長見委員】
放射性物質が我々の生活の中に広がっていくということに対して、そういう状況になっているんだろうなと薄々みんな思っている。特に医療用のものについての不安が今まであり、そういう点では今回の改正により、網の目から漏れていくものが少なくなると考えられる。廃棄物の埋設処分だけは、見た目、規制が緩やかになるみたいに見えてしまうところがあり、わかりやすい情報提供を行っていただきたい。

【日下部委員】
医療の放射性廃棄物に関し、固形廃棄物はアイソトープ協会にすべて出すことになっている。一番問題はおむつの問題だと思われるが、やはり人の体液という問題である程度の限界もあるが、一応、規制に関しては学会が主導となって行っている。

【山本(英)委員】
資料の11‐3で改正の概要を3つの柱にまとめられているが、中間報告書で議論した中で、国以外の機関が規制に参加するということが重要とされている。そういう方向で引き続き進められているということで理解してよろしいか。

【事務局】
具体的に外部の機関を活用するような形で規定していくつもりである。

【山本(幸)委員】
選任主任者の講習再教育ですけれども、これは原則として選任されてない人が受けてもいいということになるのか。

【事務局】
排除するようなことはないと思われる。

<資料11‐4関係>

【東委員】
新規制の遡及の移行期間を十分に取るということと、円滑な移行のための措置を検討するということについて、具体的にどのように考えているか。

【事務局】
経過措置については、かなり今後流動性が高い部分であるが、例えば、ある時点で承認申請中の機器については、当面、その承認の諾否が、承認されるかどうかがはっきりわかるまでの間は従来の扱いを引き続き行うといったような形がとれればと考えている。

【河田座長代理】
今の法律での排気・排水基準について今までどおりなのか、あるいは変更されるのか。

【小佐古座長】
排気・排水というのは拡散することがベースになっていて、放射性廃棄物の分野の議論ではディスチャージは別の扱いになる。免除のもともとの定義は、そういう固形物についてどういうふうに考えていくか、そこに存在するものについてどういうふうに考えていくのかというのが議論になっている。ディスチャージをどう考えるかというのは、環境との絡みの中でさまざまな議論が展開されている。告示に載っている排気・排水の基準を変更する必要はとりあえずはないと思う。

【山本(幸)委員】
医師等の免状の件だが、今後の対応ということで資料に残せないか。

【事務局】
中間報告書のほうには、今後具体的な種々の措置を見て、その効果を見ながら考えていくということが書かれている。

【日下部委員】
医療の場でも放射線に関する何らかの教育は確実に必要な時代であり、むしろ医療法からはやりにくいということもある。今後の検討課題として、ぜひ取り入れておいていただきたい。

【事務局】
継続的な課題ということで報告書の趣旨も踏まえつつ、取り組んでまいりたいと思う。

【小佐古座長】
可能であれば監視区域的なものの導入というものも、今後の検討に加えていただきたい。

【山本(幸)委員】
放射線取扱主任者の独立性、使用者との対等性、あるいは使用者の責任などを引き続き議論していただきたい。

【事務局】
大きな課題の一つとして、今後検討の中で、また先生方のご意見もいただきつつ、いろいろ考えていきたいと思う。

【長見委員】
今、法律の名称を変えていく傾向にある。範囲が広がっていく問題だとか、終戦直後の取り締まりというネーミングになっているようなものも、今、変えている。例えば電気用品取締法という法律は電気用品安全法に、訪問販売法は特定商取引法というふうに変わっている。

【小佐古座長】
いろいろご意見をいただきましたけれども、ご意見の中には、政令、省令の事項で規定するべきことに関する事項も多かったのではないかと思われる。今後の改正する省政令の中で、ぜひ検討していただきたいと思う。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室

(科学技術・学術政策局原子力安全課放射線規制室)