資料第29-2号:クリアランス技術検討ワーキンググループ(クリアランスWG)における検討の概要

平成21年12月7日
クリアランスWG主査
放射線規制室

1. クリアランスWGの開催等について

 文部科学省において、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(以下、「放射線障害防止法」という。)にクリアランス制度を導入するための法令改正を行う方針が示されたことにより、平成21年4月より放射線安全規制検討会において法律改正に向けた議論が再開された。
 これに伴い、本年6月以降、クリアランス技術検討ワーキンググループ(以下、「クリアランスWG」という。)においては、これまで8回にわたり、放射線障害防止法へのクリアランス制度の導入に向けた技術的な事項として、クリアランスレベルの設定、クリアランス判断方法などに係る検討を行ってきた(開催期日等については、参考1を参照)。
 特に、クリアランスレベルの算出については、第28回放射線安全規制検討会(7月30日)において承認された「放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルの設定に係る基本方針(資料第28-5号)」を踏まえて、8月のクリアランスWG以降、本格的な検討を進めてきた。

2. クリアランスWGにおける主な審議の内容

 クリアランスWGでは、これまで第7回(6月10日)から第14回(11月25日)までの会議をとおして、
 ○ クリアランスレベルの算出についての検討
   (決定論的な方法に基づいたクリアランスレベルの算出、確率論的解析の進め方)
 ○ クリアランス判断に係る技術的課題の整理についての検討
 ○ 放射化物としての規制を必要としない放射線発生装置の種類についての検討に資する情報収集
を行ってきた。これらの検討等の結果を踏まえて、現段階で取りまとめる報告書の目次及び概略について第14回のクリアランスWGにおいて検討を行い、本日の資料第29-3号に示すような内容の報告書を取りまとめる方向で、WG委員の意見の一致が得られている。
 なお、これまでの会議をとおして検討してきた内容の概略を以下に示す。

2.1 クリアランスレベルの算出についての検討

 クリアランスレベルの算出に関しては、以下に示す項目について検討を行った。その内容及びクリアランスレベルの算出結果の詳細については、本日の資料第29-4号において紹介する。
(1) クリアランスレベル設定に係る基本方針の確認
(2) クリアランス対象物の物量について
 ・ 日本アイソトープ協会、日本原子力研究開発機構による調査結果を基に、「放射性同位元素の使用等に伴って生ずるRI汚染物」に係るクリアランス対象物の物量を算出
 ・ 高エネルギー加速器研究機構が大学等放射線施設協議会等の協力を得て行った調査結果を基に、「放射線発生装置使用施設の解体等に伴って生ずるRI汚染物(以下、「放射化物」という。)」に係るクリアランス対象物の物量を算出
(3)クリアランスレベルの算出に係る検討
 ・ クリアランスレベルを算出する対象核種の選定
 ・ クリアランスレベルの算出に係る評価経路について
 ・ クリアランスレベルの算出に係る計算モデルについて
 ・ クリアランスレベルの算出に用いる評価パラメータについて
 ・ クリアランスレベルの算出結果及びIAEAのSRS No.44との比較結果について
(4)クリアランスレベルの算出に用いたシナリオ等の妥当性評価における課題等について

 特に、「(4)クリアランスレベルの算出に用いたシナリオ等の妥当性評価における課題等について」は、今後、省令・告示等にクリアランスレベルを規定するまでに行わなければならない項目のうち、これまでの決定論的な方法によるクリアランスレベルの算出に用いたシナリオ等の妥当性評価のために行う確率論的解析の手法や課題等をとりまとめた。その内容は、本日の資料第29-5号に示すとおり。

2.2 クリアランス判断に係る技術的課題の整理について

 クリアランス判断に係る技術的課題については、省令及び告示等を規定するまでに、今後検討を行わなければならない項目の整理を行い、放射化物を含めたRI汚染物の放射能濃度確認における技術的課題、及び放射性核種の減衰に基づく放射性同位元素の使用等に伴って発生するRI汚染物のクリアランス判断における技術的課題を整理し、資料第29-6号に示すとおりとりまとめている。
 また、医療用小型放射線発生装置については、装置本体及び周辺構造物の放射化の状況に係るデータを参考にして、放射線発生装置に対するその仕様等の区分に基づいたクリアランス判断の適用の可能性について検討を行った。

3. 今後の進め方

 クリアランスWGでは、次回のクリアランスWGにおいて、これまでの検討内容を報告書(案)としてとりまとめ、放射線規制検討会に報告したいと考えている。

参考1

クリアランス技術検討ワーキンググループの開催状況

クリアランス技術検討ワーキンググループ

放射線安全規制検討会

第7回:6月10日14時00分~16時00分

 

第8回:7月24日14時00分~16時00分

 

 

第28回:7月30日13時30分~15時00分

第9回:8月25日15時00分~17時00分 

 

第10回:9月15日15時00分~17時00分

 

第11回:10月2日14時00分~17時00分

 

第12回:10月21日14時00分~17時00分

 

第13回:11月6日14時00分~17時00分

 

第14回:11月25日10時00分~12時00分

 

 

第29回:12月7日10時00分~12時30分

第15回:12月16日14時00~17時00分(予定)

 

 

第30回:12月下旬又は1月上旬

 

参考2

クリアランスWG等での審議の内容

1)第7回クリアランスWG:6月10日14時00分~16時00分
 ○放射線障害防止法へのクリアランス制度導入に向けたクリアランスWGでの検討スケジュールを確認
 ○クリアランス制度化に係る技術的事項に関する過去の検討状況を確認
  (「放射線障害防止法におけるクリアランス制度の整備に係る技術的検討について(中間報告書)」の内容の確認)
 ○クリアランス制度導入に係るニーズ等調査の結果を紹介
 ○放射線安全規制検討会の審議状況を報告
 ○RI協会が集荷したRI廃棄物のクリアランス対象物について情報提供【RI協会】

2)第8回クリアランスWG:7月24日14時00分~16時00分
 ○放射線障害防止法に規定するクリアランスレベルに係る試算値の算出に関するスケジュール及び手順を確認
 ○RIの使用に伴ってRI使用施設等から発生することが予想されるRI汚染物の種類(物、核種)と物量について情報提供【RI協会、JAEA】
 ○放射線発生装置の解体等に伴って発生することが予想されるRI汚染物(放射化物)の種類(物、核種)と物量について情報提供【高エネ研】※アンケート調査結果も含む
 ○クリアランスレベルの設定に係る評価経路、設定に用いる評価モデル・評価式、評価パラメータの整備の方向性を確認

3)第28回放射線安全規制検討会:7月30日13時30分~15時00分
 ○放射線障害防止法にクリアランス制度を導入するための法律改正に係る「制度設計」、「クリアランス判断方法の検討」、「クリアランスレベルの設定」に関する基本方針を承認
 ○検討スケジュールの確認

4)第9回クリアランスWG:8月25日 15時00分~17時00分

 ○放射線安全規制検討会で承認された「制度設計」、「クリアランス判断方法の検討」、「クリアランスレベルの設定」に関する基本方針について、また、クリアランスWGにおける技術的事項の検討スケジュールを紹介及び確認
 ○埋設処分の評価経路に関するクリアランスレベルの試算に係る検討内容を確認
 ・RI使用施設から発生するRI汚染物の「一括クリアランス」、「個別クリアランス」に関するクリアランス対象物の物量の考え方について検討及び確認
 ・放射線発生装置使用施設から発生する放射化物に関するクリアランス対象物の物量の考え方について検討・確認
 ・クリアランスの対象物、クリアランスレベルを設定する放射性核種(RI使用施設[RI汚染物]、放射線発生装置使用施設[放射化物])の選定の考え方と選定結果を確認
 ・埋設処分の評価経路に関するクリアランスレベルの試算に係る事項を確認
  (クリアランス対象物量、評価経路の考え方、評価モデル・評価式)
 ○放射化状況の調査結果について報告【高エネ研】
 ・小規模放射線発生装置使用施設における放射化状況調査
 ・放射線治療用直線加速装置に関する調査報告

5)第10回クリアランスWG:9月15日 15時00分~17時00分
 ○クリアランスレベルを算出する対象核種を決定
  (但し、必要に応じて、クリアランスレベルを算出し、告示等に規定する核種を追加することについて留意しておく。)
 ○焼却処理の評価経路に関するクリアランスレベルの試算に係る検討内容を確認
 ・クリアランス対象物の物量の設定についての考え方、設定結果を確認
 ・焼却処理に係る評価経路の考え方を提案・確認
 ○再利用・再使用の評価経路に関するクリアランスレベルの試算に係る検討内容を確認
 ・クリアランス対象となる放射化物及びRI汚染物の物量設定について確認
 ・評価経路、評価モデルの考え方について検討
 ○放射化状況の調査結果について報告 【高エネ研】
 ・PET核種製造用サイクロトロンに係る放射化状況調査

6)第11回クリアランスWG:10月2日14時00分~17時00分
 ○焼却処理の評価経路について最終決定
 ○再利用・再使用の評価に係る見直し事項を承認
 (再使用の対象となる物品について見直しを行い、クリアランスレベルの算出に係る再使用品として最終的に電源を選定)
 ○関連事業者のヒアリング
 ・【(社)日本放射線技術学会】
  +医療(JSRT)からの技術的提案1:放射線発生装置(放射化物のクリアランス)
  +医療(JSRT)からの技術的提案2:非密封RI(RI汚染物のクリアランス)
 ・【製薬放射線コンファレンス】
  +製薬企業にけるRI使用廃棄等の状況:減衰によるクリアランスの考え方提案
 ・【山口先生(放射線安全規制検討会委員)】
  +放射性廃棄物の健全な規制整備を目指して

7)第12回クリアランスWG:10月21日14時00分~17時00分
 ○焼却処理の評価経路に係る検討
 ・評価モデル(評価式)について検討
 ○放射化物のクリアランスレベル算出に用いる評価パラメータ(一般、核種依存、元素依存)について検討
 ○放射化物のクリアランスレベル算出結果について検討
 (大規模施設、小規模施設に分別した算出結果を提示)

8)第13回クリアランスWG:11月6日14時00分~17時00分
 ○焼却処理の評価経路に関するクリアランスレベルの試算に係る検討内容を再確認
 ・評価式のうち今回新たに設定した評価式についてその妥当性を再確認
 ・焼却処理のクリアランスレベル算出に用いる評価パラメータについて検討
 ○RI汚染物のクリアランスレベル算出に用いる評価パラメータ(放射化物のクリアランスレベル算出に用いたパラメータと異なる点を中心)について検討・確認
 ○RI汚染物のクリアランスレベルの試算結果のうち、主要核種としてH-3、C-14、P-32、S-35、I-125の試算結果について紹介・検討
 ○RI汚染物のクリアランス判断に係る技術的課題について紹介・検討

9)第14回クリアランスWG:11月25日10時00分~12時00分
 ○「RI汚染物のクリアランス判断に係る技術的課題」に係る資料へのコメント対応、及び資料のとりまとめ
 ○クリアランスWGにおいてとりまとめる「放射線障害防止法におけるクリアランス制度の導入に係る法律改正に向けた技術的検討事項について(仮題)」の概要に係る紹介及び検討

10)第29回放射線安全規制検討会:12月7日(月)10時00分~12時30分
 ○クリアランスWGの検討状況を報告
 ・「RI汚染物、放射化物」をクリアランスした以後の埋設処分、再利用・再使用、焼却処理する場合の評価経路に係るクリアランスレベルの算出結果(暫定値)についての検討
 ・クリアランス判断に係る技術的課題に係る今後の検討の方向性について確認
 ○報告書の目次、概要について確認

11)第15回クリアランスWG:12月16日14時00分~17時00分(予定)
 ○クリアランスWGにおいてとりまとめる「放射線障害防止法におけるクリアランス制度の導入に係る法律改正に向けた技術的検討事項について(仮題)」の内容に係る検討

 

 

 

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