資料7-2 施設検査、定期検査の対象範囲について(案)

1.現状

(1) 非密封線源取扱施設の施設検査・定期検査対象範囲

  現行の非密封線源については、種類及び数量により4群(第1群から第4群)に分けられており、その貯蔵能力が定義数量の20万倍(第1群(以下、「現行1群」)の定義数量3.7kBqに換算すると740MBq)以上の施設が、施設検査・定期検査の対象となっている。検査対象事業所数は、約240である(密封線源又は発生装置が合わせて定期検査対象となっている場合を含む)。

(2) 密封線源取扱施設の施設検査・定期検査対象範囲

  現行の密封線源については、核種に関係なく貯蔵能力が一律111TBq以上の施設が定期検査の対象となり、その1/3の37TBq以上の施設が施設検査の対象となっている。定期検査対象事業所数は、約230(非密封線源又は発生装置が合わせて定期検査対象となっている場合を含む)、施設検査対象事業所数は、約380である。

  現行の検査対象範囲の根拠については、以下のとおり。

1.施設検査制度の導入当時1,000~5,000Ci(37TBq~185TBq)の医療用照射装置が多く存在し、また、万一の事故時にはかなりの被ばく線量を受けるおそれがあることから、1,000Ci(37TBq)以上の施設を検査の対象とした。

2.定期検査は、インターロックの設置が義務づけられている3,000Ci(111TBq)以上の施設を検査の対象とした。

2.規制免除レベルに基づく新たな検査対象範囲

(1) 非密封線源

  現在は、定義数量の20万倍が基準となっているが、現在までの規制経験から判断し、免除レベルに20万倍と同じオーダーの倍数をかけた値に設定することが適当と考えられる。今回の免除レベル取入れにより非密封線源では多くの核種で規制が緩和されることや、今回検査の内容にソフト面の検査を追加することを考慮し、免除レベルの10万倍を基準として設定することが適当と考えられる。このような基準の設定により、現行の検査対象事業所と、免除レベル導入後の検査対象事業所は、大きくは変動しないと判断される。

  なお、複数の核種を使用する事業所では、従来と同様、各核種の免除レベルの10万倍の値に対する使用数量の割合の和が1以上の場合に検査の対象となる。

(2) 密封線源

   密封線源では、使用される機器によって、その使用法や機器の構造、遮蔽等が大きく異なるとともに、同一の機器については生産国やメーカー、機種によらず、構造等が似ており、同様の安全への配慮が必要になる。このことから密封線源では、使用する核種の安全性、放射能等を考慮し、万が一遮蔽等が失われた場合の人体への影響の観点で機器を特定して検査の対象とすることがより合理的であると考えられる。具体的には以下のような機器が想定される。

・γ線照射装置(滅菌、血液等)
・遠隔治療装置(回転照射装置等)
・ガンマナイフ  等

  BSS免除レベル取入後は、これらの装置を設置している、または新たに設置する事業所に対し、施設検査及び定期検査を実施することとする。このように設定した場合、現行規制から大きな変更はなく、安全上重要な機器を検査対象とすることができる。

  なお、このような考え方は、国際原子力機関(IAEA)における線源のカテゴリー分け(Categorization of radioactive sources (IAEA‐TECDOC‐1344,2003))においても採用されている。それによると、安全に管理されていない線源が人体に与える影響を基に、線源を5段階にカテゴリー分けしており、最も高いリスクを与える線源として数分から数時間近づくことで死または永久的な損傷を与える線源がカテゴリー1とされている。カテゴリー1には、Radioisotope thermoelectric generetors、(放射線熱電発生装置)、Irradiators(照射装置)、Teletherapy(遠隔治療装置)、Fixed multi‐beam teletherapy(ガンマナイフ)が該当している。今後、IAEAにおける放射線源の安全管理、セキュリティ確保の取り組みが、このカテゴリー分けを基準に実施されることから、我が国の検査対象の設定の際もこれを参考にすることとする。

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