○ 従来は、昭和30年代の知見に基づいた規制
・ 密封線源は、核種によらず一定の免除レベル
・ 非密封線源の群分けは、核種の化学的毒性、人体への影響を必ずしも正確に反映していない
↓
被ばく量や管理の簡便性などの観点から過剰な規制、過剰な規制免除が存在
↓
国民に経済的、人的負担と潜在的な被ばくリスクを与えている
↓
○IAEAによる科学的根拠に基づく免除レベルの設定
核種の特性を反映して、個々に計算された免除レベル
↓
過去の規制からの円滑な移行を考慮しつつ、科学的かつ合理的な規制に
○国際機関で合意された免除レベルであり、欧州を中心に取り入れが進んでいる
↓
放射性同位元素の貿易や輸送を円滑かつ安全に行う上で国内法令への取り入れが適切
(検討項目)
数量告示(放射線を放出する同位元素の数量等を定める件、平成12年10月23日、科学技術庁告示第5号)にある現行の密封1群、非密封4群の区分、定義数量の変更を行う必要がある。
現行では、定義数量がすべての核種において群別のどれかに当てはまるように規定されている。今回導入する免除レベルは核種ごとに規定されており、算出されている核種(英国放射線防護庁報告書NRPB-R306で規定される765核種)に含まれないものをどうするか。
○現行規制体制
届出(表示付装備機器、密封線源)、許可(施設検査等の有無)
↓
多少の違いはあるが、届出についても許可と同様の厳しい規制を実施
○ 免除レベルの取り入れにより、従来規制外だった多くの放射性同位元素を装備した機器が規制対象になる一方で、現状の規制から大幅に緩和されるものが存在
↓
従来の枠組みだけでは対応できない
↓
条件付き免除の取り入れなど、規制内容を大幅に緩和した新たな規制区分の必要性
(検討項目)
IAEAのBSSでは、免除レベルを超える放射性物質について、以下の条件で条件付き免除を認めている。
(1) 規制当局によって認可された型式のもの
(2) 放射性物質が、それとの接触又は漏えいを有効に防止する密封線源の形態であること
(3) 通常の運転状態において、人が触れる装置表面から0.1mの距離における周辺線量当量率又は方向性線量当量率のどちらか適切なものが1μSv/hを超えないこと
(4) 処分に必要な条件が規制当局によって定められていること
装備機器、校正用線源、煙感知器などの一般消費財で、現在規制されていないが、新たに規制対象となるものが多い。これらは広く一般に普及しているが、従来の規制を単純に適応すると、ほとんど使用できなくなる可能性がある。条件付き免除の導入が必要か。
現行では政令で定める放射性同位元素装備機器(現在表示付ガスクロマトグラフ用ECD)に限り設計承認、機構確認制度を導入している。機器の放射線障害防止のための機構に係る設計を書類で審査した上で、個々の機器について機構確認員が個別に安全性を確認する制度であり、主任者選任など若干の規制が免除されている。
個別の安全確認を行わないで、規制免除を行う新たな型式承認制度の導入が必要か。
密封された放射性同位元素の定義や密封性の担保に係る一般的な基準は、現法令において明確な規定がない(放射性同位元素装備機器(ガスクロマトグラフ用ECD)についてのみ、政令、告示に技術上の基準に係る記述あり)。
・ 放射線障害防止法施行令 第12条(技術上の基準)
文部科学大臣が定める基準に適合する性能(しゃへい、密封、耐熱その他文部科学大臣が定め る事項に係る性能)
・ ガスクロマトグラフ用エレクトロン・キャプチャ・ディテクタに係る放射線障害の防止に関する技術上の基準等を定める告示 第5条(2)(性能)
密封 日本工業規格JIS Z4821(1999)に定める等級試験C-32211に適合すること。
型式承認や使用届の対象など密封線源の定義や基準に係る規定について検討が必要と考えられるが、それをどのように規定するか。
従来、基本的には、当該放射性物質の放射能又は放射線発生装置の出力を基準に規制。装置表面での線量という基準を規制に取り入れるにあたり、その実現可能性、「通常運転状態において、人が触れる装置表面」の考え方、規制数値の妥当性、機器毎の担保方法などの整理が必要か。
条件付き免除では、使用者にはほとんど規制がかからない。使用後の処分の段階において、線源の処分方法を担保する方策の検討が必要か。
免除レベル取り入れによる科学性、合理性を維持しつつ、国民に理解の得られる新たな規制体系を構築する必要性
↓
・密封線源の特性を考慮した規制区分
・移動使用など従来の使用形態を考慮した規制
・規制体系の変更に伴う放射線取扱主任者制度の扱い などを具体的に検討
(検討項目)
現行法令では、3.7MBqを超え、3.7GBq以下(1000倍)の密封線源は届出使用、それを超える密封線源及び非密封線源は許可使用となっている。新たな規制区分、規制内容の検討が必要か。
現行では、許可事業者に限り、密封線源のみ一時的使用場所の変更届出を行うことで実施可能(第10条第6項)。
管理区域の恒常的な設定を求めているため、非管理区域にある大型共同利用機器を使用したRI利用研究等は実施不可能。また、運転停止中の放射線発生装置の点検に入る作業者に対し、入退出管理、教育訓練等を義務づけている。
新たに規制対象となる水分密度計や校正用線源など移動使用するものについては、従来の規制では、その使用が困難になる可能性がある。
現行では、3.7MBqを超え、3.7GBq以下の密封線源については、届出使用装置として若干の規制緩和は行われているが、かなりの項目において許可事業所と変わらない厳しい規制を行っている。
一方、3.7MBq以下のものは、全く規制が無く、被ばくの防止観点から使用方法に疑問がある装置もある。
BSSの免除レベルで単純に線を引くと、現行厳しい規制が行われているものの一部に、大幅に規制緩和されるものがある一方、現在規制がないものが、厳しい許可のカテゴリーになるものもあり、現行規制との整合性、密封線源の特性を考慮した対応が必要か。
現状では、事業所の形態、規模等に応じて、第1種(密封、非密封及び発生装置の知識を有する)、第2種(密封の知識を有する)など、必要な免状が定められているが、370GBqを超える密封線源を使用する場合には1種免状が必要であるなど、実態に即していない。
また、法律制定時の移行措置として、診療のために用いる場合、主任者免状を有しない医師、歯科医師、薬剤師を主任者に選任できる制度がある。放射線管理の専門家でない医師が主任者になり、実態的に技師長等が管理を行っている場合が多い。この制度が、医療関係が他業種より相対的にトラブルが多いこと、診療放射線技師の役割や地位が低くなっていることの原因ではないかとの指摘もある。
以上の点を踏まえ、今回の規制の大幅な変更に伴い、主任者区分の見直し、新たな資格制度の導入等が必要か。
現行では、法令で定められた一定の貯蔵能力以上の放射線施設を有する一部の事業者のみが施設検査、定期検査の対象となっている。免除レベルの導入にあわせ、検査対象となる施設の放射能数値についても、免除レベルの倍数とするなどの変更が必要か。
現行の施設検査、定期検査対象施設
・施設検査:(密封) 37TBq以上、 (非密封)740MBq以上
・定期検査:(密封)111TBq以上、 (非密封)740MBq以上
免除レベルの基本的考え方と現行の差異の問題。
免除された密封線源は、規制を受けないので、多数同時に使うことも許されることになる。この場合、免除レベルは基本的には一個の線源の使用について算出されていることから、複数の線源を同時使用した場合、免除レベルを超えることになる。
10個程度の重畳は考慮されているが、それ以上の同時使用については、想定被ばく線量を超える可能性があるため、何らかの手当が必要。非密封については、免除レベル以下の線源を複数回購入することで免除レベルを超える可能性がある。集合の考え方について整理が必要か。
昭和32年の制定以来初めての全面的な規制内容、規制レベルの変更となり、今まで規制対象外だった多くの放射性同位元素を装備した機器が規制対象となるなど、社会への影響が大きい
↓
円滑な移行のための配慮が必要
(検討項目)
今まで自由に使われ、今回新たに規制対象となる膨大な機器に新規制を適用できるか。特に、広く使われている一般消費財について検討が必要。新たな規制に対する周知徹底は現実的か。関係機関、使用者等への十分な周知徹底が必要か。
現状でも、膨大な事務作業と少ない人員のため、立入検査を十分に実施できない上に、審査に時間を要しており、審査作業の迅速化を望む声が大きい。
免除レベル取り入れにより規制業務が増えることも想定され、規制業務縮減のために何らかの措置が必要か。その方策として、審査、検査の一部業務を指定機関へ移管することは現実的か。
許可申請の型式・要件を整えるために相当の期間を要しており、審査担当者の業務が増える一方、申請者へのきめ細やかな指導・助言が十分でない状況。
規制の大幅な変更による混乱を防止するため、許可申請等に対する指導助言体制の充実が必要か。
BSSでは、社会に役立つ医療・教育・研究分野のRI利用については、特例を設けて、規制緩和されるべきとの記述。同じ装置でも用途によって規制が異なることが想定されることになるが、現実的か。
(検討項目)
現行法では、放射性同位元素及び放射性同位元素で汚染された物のみを放射性廃棄物と定義しており、放射線発生装置の使用に伴って発生する放射化物については放射性廃棄物に定義されていない。そのため、通知(「放射線発生装置使用施設における放射化物の取扱いについて」、平成10年10月30日、科学技術庁原子力安全局放射線安全課長通知)により、その取扱いを担保している。
また、放射化によって発生する核種については、従来、大部分の施設で申請書に記載していない。
免除レベルを超える放射化物も多く想定されることから、その規制のあり方の検討が必要か。
医療現場で使用される放射性同位元素、放射線発生装置については、低エネルギーの発生装置及び放射性医薬品(ともに厚生労働省専管)以外、基本的に放射線障害防止法と医療法・薬事法の二重規制となっている。
昭和52年の閣議決定「行政改革の推進について」以来、再三にわたり、放射線障害防止法と医療法の二重規制が指摘されている。二重規制の解消に向け、文部科学省、厚生労働省によって具体的にどのような対応が必要か。
放射線障害防止法では、廃棄物の埋設処分が考慮されておらず、発生した固体廃棄物はすべて保管廃棄することとなっている。
(財)原子力研究バックエンド推進センターによるRI・研究所廃棄物の最終処分計画が進行中であり、現行法を踏まえ、どのような改正をする必要があるか。
(規制緩和、合理化関係)
(管理体制の充実関係)
(その他)
担当:斉藤、溝田
電話番号:03‐6734‐4044
ファクシミリ番号:03‐6734‐4048