研究炉等安全規制検討会(第31回) 議事録

1.日時

平成23年1月20日(木曜日) 13時30分から15時30分

2.場所

文部科学省13F3会議室

3.議題

  1. 平成17年原子炉等規制法の改正規定に係る施行状況の検討について
  2. 少量核燃料物質の適切な安全管理について
  3. その他

4.出席者

委員

寺井座長、瓜生委員、小佐古委員、丹沢委員、土屋委員、中島委員、林委員、平澤委員、前田委員

文部科学省

渡辺科学技術・学術政策局次長・原子力安全監、吉田原子力規制室長、阿部原子力規制室長補佐、鎌倉保安管理企画官、杉山運転管理・検査管理官、江頭安全審査調整官、村上統括原子力保安検査官、安部総合廃止措置専門官、 他

5.議事録

【吉田原子力規制室長】  それでは、定刻となりましたので、委員の先生方におかれましては、ご参集いただきましてありがとうございます。

 本検討会は、お手元の参考資料1に構成員の名簿がありますけれども、構成員は14名ですが、今日、10名の出席ということで予定されております。今は8名いらっしゃいますので、定足数は足りておりますので開催したいと思います。

 それから、服部委員、前田委員、山中委員、山下委員はご欠席ということで連絡を受けているところでございます。

 次に、事務局の異動がございましたのでご紹介させていただきたいと思います。當間補佐がいらっしゃいましたけれども、新しく阿部補佐ということで、来ましたので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の進行は、座長であられます寺井先生にお願いしたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。

【寺井座長】  それでは、第31回の研究炉等安全規制検討会を開催させていただきます。

 本会合は公開となっておりますので、ご発言につきましては、私が指名をさせていただいた後に行っていただくよう、お願いいたします。また、傍聴される方々におかれましては、円滑な議事進行にご協力くださいますよう、お願い申し上げます。

 前回までの会合で、「平成17年原子炉等規制法の改正規定に係る施行状況」としまして、核物質防護、廃止措置及びクリアランス制度についてご審議をいただいております。本日は、これまでの審議を踏まえまして、事務局から報告書案を準備していただいておりますので、報告書案についてご審議をいただきたいと思っております。

 さらに、前回の検討会で事務局からご報告のございました、少量核燃料物質の取扱状況につきまして、さらに本日、詳細なご報告をいただく予定でございます。

 初めに、本日の配付資料につきまして、事務局から確認をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  資料の確認をさせていただきます。まず、1枚紙で議事次第でございます。資料31-1といたしまして、17年原子炉等規制法の改正規定に係る施行状況についてということで報告書の案がございます。資料31-2-1といたしまして、少量核燃料物質の安全な取扱いに向けた検討状況について、パワーポイントの資料でございます。同じくパワーポイントの資料31-2-2といたしまして、少量核燃料物質の安全な取扱いに向けた今後の方向性について(案)というものがございます。

 資料は以上でございまして、参考資料が、本規制検討会の構成員、本日付となっていますけれども、肩書等変更がございましたら、後で事務局のほうにお知らせいただきたいと思います。それから、参考資料2といたしまして、前回、第30回の規制検討会の速記録がございます。なお、この速記録は既に文部科学省のホームページで公開されているところでございます。

 資料については以上です。

【寺井座長】  ありがとうございました。

 先ほどご紹介がございました配付資料のうち、参考資料1につきましては、当検討会の構成メンバーリストが掲載されております。事務局で現在の所属等を確認させていただいて、修正をしておりますけれども、もし万が一変更等がありましたら、事務局までお知らせいただきたいと思います。

 それでは早速でございますが、議題に入りたいと思います。

 本日の最初の議題は、前回までに引き続きまして、「平成17年原子炉等規制法の改正規定に係る施行状況の検討について」でございます。これまで何度か審議をしていただきまして、その審議の結果、ご意見を踏まえまして、事務局のほうで報告書の案をご用意いただきましたので、事務局からご説明をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】  では、資料31-1についてご説明させていただきます。

 平成17年に原子炉等規制法が改正されましたが、核物質防護の強化、廃止措置規制の充実、クリアランス制度の創設の3点が大きな改正事項でございました。なお、17年の法改正時において、改正法の附則第9条に、「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認められるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と規定されました。本年度で5年が経過するということから、現在、この検討会で施行状況について検討をいただいているところでございます。

 それでは、報告書案をご説明します。「はじめに」は割愛させていただきまして、2ページ目の「核物質防護規制の強化」からでございます。前々回の検討会でご審議いただいた核物質防護規制の施行状況について、前回の検討会に審議の結果ということで、取りまとめた要点を事務局からご報告させていただきました。報告書案では、基本的にはその内容について、より詳細に書き記した内容になってございます。

 まず、1-1の法改正の概要でございます。核物質防護については、当時のIAEAの核物質防護勧告の最新版を取り入れるということで、その内容が設計基礎脅威、一般的にはDBTと呼んでおりますけれども、それに基づいた核物質防護を行うというのが主眼でございました。原子炉等規制法の改正では、原子炉設置者等に対して守秘義務制度を導入する。さらに、核物質防護規定がきちんと守られていることについて検査を行うというのが、規定された主な内容でございます。その他、罰則規定等が設けられてございます。

 法改正の後、試験炉規則及び使用規則において核物質防護の具体的な措置が規定されましたが、その内容は、この検討会のもとに当時設置された、核物質防護ワーキンググループで検討をいただいた内容に基づいたものとなっています。

 次に、2.施行状況です。DBTの策定と適用が適切に行われているか、守秘義務が守られているか、核物質防護検査が適切に行われているか、原子炉設置者等において定期的な評価や改善が適切に行われているかという視点で、施行状況についてご説明させていただきました。

まず、DBTの策定については、治安機関を含む関係省庁間で検討して策定されておりますが、年に1回、そのDBTが現在においても適切かどうかという検討も関係省庁間で行っております。

 守秘義務制度の導入については、法施行後、罰則が適用されたという事例はございません。

 核物質防護検査は、年に1回行うものでございますが、これまでのところ、事業所において法令に抵触するような不具合が生じた事例は発生しておりません。また、検査の結果に基づき定期的な評価も各事業所においてもきちんと行われていることも、検査の中で確認しています。

 その他、事業者による防護措置の理解が進むよう、文部科学省のほうで防護措置の実施方法等について様々なガイドラインを作成して事業所連絡会の場で説明をさせていただいております。

 3.検討結果でございます。原子炉等規制法の改正規定を見直す必要があるかどうかというのが、今回の検討の目的でございますけれども、現時点においては、関係省庁の連携のもとで核物質防護措置が効果的に実施されているということで、現行の規定を見直す必要はないという結論としております。

 なお、原子力機関IAEAで今、核物質防護勧告を見直すということで改訂作業が進められておりまして、これが新たに改訂されパブリッシュされた後には、最新の核物質防護勧告に基づいて、これをどう取り入れるか、取り入れることが適当かどうかも含めて、別途検討を行う必要があります。

 なお、法律の規定そのものには直結しませんが、検討会の議論では運用面で幾つかご指摘がございました。

 1つは、守秘義務制度と情報の共有・発信ということで、法律で守秘義務制度が導入された結果、事業者間で情報の交流が逆に難しくなってきているという状況がございます。核物質防護措置の質を高めるため、事業者間で核物質防護秘密に支障のない範囲で情報交換することは重要ですので、何らかの対応を考えていきたいと考えております。

 次に、核物質防護措置に直接携わらない原子力施設の一般従業員に対しても、意識の啓蒙が必要である、重要であるというご指摘がございました。これについても、事業者連絡会等を通じて啓蒙のための方策について検討していきたいと考えております。

 3つ目でございますが、核物質防護のための厳しい措置を行っているということを発信することが、核物質防護のためのルールの啓蒙の観点から重要だということで、そういった情報の発信も重要だろうというご指摘がございました。

 さらに、年1回行う核物質防護検査については、事業者に過度な負担を強いることがないような運用が必要だろうというご指摘もございました。これについては従前から、いわゆる逐条型の検査に替え、最近ではプロセス型検査を一部導入するなどして、合理的な運用方法を追求する取組も始めておりまして、こういった状況を見ながら、過度な負担がないようなやり方についても留意していきたいと考えております。

 6ページのマル2ですけれども、治安機関との意思疎通が核物質防護では重要でございます。例えば治安機関の担当者、警察とか海上保安庁ですけれども、そういった担当者を招いて事業者に対して講演を行うなどの方策について、今、治安機関と前向きな調整を始めているところでございます。

 それから、核物質防護の措置は、一義的には事業者が責任を持ってしっかりやっていただく必要がありますので、それを事業者がしっかりと再認識することが重要であるというご指摘がございました。以上について今後の運用面の課題と対応方針いうことで記載しております。

 以上が核物質防護措置です。

 続きまして7ページからが廃止措置段階の安全規制でございます。

廃止措置段階の安全規制については、法改正前、廃止届という届け出制により原子力施設の解体・廃止が行われるというのが原子炉等規制法の手続きでした。17年の法改正により、廃止措置計画を事業者から提出してもらって、それを国が審査して認可する。認可された後は、廃止措置の進捗状況について、文部科学省の原子力保安検査官が状況を把握する。そして、廃止措置計画に基づいて最終的に廃止措置が終了した段階では、国が廃止措置計画にのっとってきちんと廃止措置が完了していることを確認するという、国が2段階で関与することを法手続として規定されました。これが一つ目の目的でございます。

 また、廃止措置中の施設は、運転中の施設と比べ災害の発生の蓋然性は低減するだろうということで、廃止措置中の施設については運転中の施設と比べ合理的な規制が行えるようにするというのが改正のもう一つの目的でございました。

 1-2の法改正後の制度整備の状況ですが、検討会の下に技術ワーキンググループを設置して、廃止措置計画でどのようなことを記載していただくか、廃止措置終了確認をどのような観点から国が確認を行うかなどについて検討いただきまして、その結果に基づいて、使用規則と試験炉規則の改正を行いました。

 2.施行状況です。まず、検証の視点ですが、法改正の背景を踏まえて、事業者においてきちんと廃止措置計画に基づいた廃止措置が行われているのか、また、国はそれをきちんと把握できているかということ。2つ目として、合理的な安全規制が、廃止措置中の施設について行われているのかということでございます。

 9ページの2-2施行状況でございますが、表1、表2に廃止措置の実施状況を載せています。試験炉施設については、昨年末の段階で表にある8つの試験炉のうち7つについては、現在まだ廃止措置中、残り1つの原子力機構のVHTRCについては廃止措置が終了しております。また、使用施設については7つの施設の廃止措置が終了しておりまして、3つの施設が廃止措置中であります。

 廃止措置がきちんと行われているかということについて、10ページから記載しております。廃止措置計画の認可については、外部有識者である原子力安全技術アドバイザーから専門的な意見も聴取して審査を行うということとしておりまして、厳正な審査をしているところでございます。

 また、廃止措置の終了の確認については、廃止措置の基準が、核燃料物質が移転されていること、放射性廃棄物が廃棄されていること、それから汚染がないことという、主に3つの点について確認する必要がございます。確認にあたっては、必要に応じ、現地に行って実際に目視や線量測定を行って確認するという方法をとっております。

 廃止措置中の施設の状況については、現地の安全管理事務所の保安検査官が、事業者から提出される廃止措置の作業計画、工事計画等に基づいて、最低でも月1回、現場を訪れて廃止措置の状況を確認しております。

 次に、(3)廃止措置中の原子力施設に対する安全規制の状況ですけれども、施設定期検査については、現在、廃止措置中の施設については定期検査を実施していないところでございます。また、保安検査については、解体作業など何らかの作業が行われているところについては、運転中の施設と同様に年4回実施していますが、そうでない場合には、年2回に回数を低減して実施しています。先ほど示しました廃止措置中の原子炉施設で言えば、廃止措置の作業を行っているDCAを除き、すべて保安検査の頻度を2回で行っているという状況でございます。

 12ページです。運転中の原子炉施設では、原子炉主任技術者を選任して配置するということが法律で定められておりますが、運転をしていない原子炉施設では原子炉主任技術者を置く必要がないことから、廃止措置中の施設については、原子炉主任技術者が解任されている状況にございます。ただし、廃止の監督に当たらせる者は必要だろうと。これは当時検討会の下に設置された廃止措置ワーキングでの指摘でしたが、そのような指摘を踏まえ、廃止措置の監督に当たらせる者を各設置者が指名して選任するようにして保安規定に明記するようにしております。また、選任の基準についても、廃止措置ワーキングでの議論を踏まえ、原子炉取扱主任者免状を有する者などとしており、実際に相応の資格を有した方が監督に任じられているという状況にございます。

 その他といたしまして、法改正の前から廃止措置が開始されていた施設については、改正後以降の廃止措置計画を作成してもらい、改正された原子炉等規制法の手続きに基づい認可申請していただき、現在では認可を受けた計画に基づいて廃止措置を進めていただいているところでございます。

 また、施設の一部廃止を行うような場合は、廃止措置手続きではなく使用の変更許可等の手続で行っていますが、一部廃止の場合についても、廃止措置計画と同様の内容の計画を事業者から提出いただき、その内容を確認した上で、一部の廃止を進めていただいているということをご報告させていただきました。以上が施行状況でございます。

検討結果については、核物質防護と同様に、文部科学省による廃止措置の確認等が適切に実施されている。また、廃止措置段階の安全規制も、法改正の趣旨を踏まえて合理的に実施されているということで、現時点においては現行の規定を見直す必要はないという結論としております。

 ただ、廃止措置の実績がまだそれほどないものですから、今後の廃止措置の実績、あるいは原子力開発利用に関わる様々な状況の進展といったものに応じて何らかの規定の見直しが必要となった場合には、政省令の改正も含め適切に対応していく必要があるとしております。

 廃止措置についても、運用面の課題として、リスクに応じた合理的な規制が必要との指摘がありました。文科省としても、対象となる施設の状況、規模とか、内包している放射能の量といったリスクの状況に応じて合理的な規制をするということを、今後とも引き続き念頭に置いて、しっかりやっていきたいということでございます。

 それから、廃止措置計画認可後の施設に対する保安検査は、現在、回数については合理的にやっている状況にございますが、検査内容についても必要に応じ、保安検査官と意見交換しながら調整していきたいと考えております。以上が廃止措置でございます。

 続きまして、3つ目のクリアランス制度の導入でございます。クリアランス制度は、ご案内のとおり、原子力施設の解体や運転に際して発生する廃棄物について、放射性廃棄物として扱う必要のない程度の濃度の放射能しかないものについて、国がその濃度を確認して、安全であることが確認されたものについては、炉規法等の規制の対象から外すことができるという制度でございます。

 法改正後、この検討会の下に設置された技術ワーキングで、クリアランス確認のためのさまざまな基準や留意事項等について検討いただきました。そういった検討結果に基づいて、文科省として放射能濃度の確認に関する規則というのを新たに定めました。濃度規則では、確認の基準、放射能濃度確認の対象となる核種、それらの放射能濃度、いわゆるクリアランスレベルについて定めているところでございます。

 施行状況ですが、これは前回にご説明したとおり、まだ、原子力機構の旧JRR-3が平成元年前後に改造したときに出たコンクリート約4,000トンを対象としたクリアランスしか事例がございません。現在のところ、約800トン弱について国の確認が行われたところでございます。今後、大体年2回程度の頻度で原子力機構から放射能濃度の確認申請が行われる計画でございまして、全体4,000トンのクリアランス確認が終了するまでには、平成25年までかかる状況でございます。

 このクリアランスについては、まず、測定及び評価の方法の認可申請を事業者から提出していただき、対象となるクリアランスの対象物の選び方が適切であるかどうか、測定方法、評価方法が適切であるかどうか、また、対象となるクリアランスの対象物の管理方法が適切であるか、測定器の選定が適切であるかといったことについて、濃度規則の基準に基づき審査を行い、認可をしているところでございます。

 放射能濃度の確認についても、認可された測定評価方法に基づいて適切に評価されていることについて記録や抜取り測定により確認するとともに、放射能濃度についても濃度規則にあるクリアランスレベル以下であるということを、確認しております。

 なお、改正法では、測定及び評価の方法を認可したときや、文科省が放射能濃度の確認を行った場合には、環境大臣にその都度連絡するという規定が新たに設けられておりまして、文科省も適切に環境省に連絡をさせていただいているということでございます。環境省からはこれまでのところ、特に文科省の行為に対して何らかの意見がつけられたということはございません。

 検討結果でございますが、クリアランス制度の実績は現状かなり乏しいということもございますし、実施されたものについては文科省による放射能濃度の確認が適切に行われているということで、現時点では現行の規定を見直す必要はないという結論としております。

 ただ、クリアランスの実績があまりにも限られているものですから、これからさらにいろいろなクリアランス申請がなされ、国が確認をした実績や経験に基づいて、何らかの見直しが必要となった場合には、関係する政省令も含めて適切に対応することが必要であろうということでございます。

 なお、今後の運用面の課題ということで、前回の検討会で幾つか指摘がございました。

 1点目は、これも廃止措置と同じですけれども、合理的な規制が必要だろうということでした。測定及び評価の方法の認可に係る審査の過程で、鉄筋とかいろいろなものがコンクリートの中に混在していたことが判明したことや、放射能濃度が対象物の中で一様かどうかということを示すデータの一部が原子力機構の中になかったため、原子力機構による混在物の除去作業や、原子力機構と国で多くのサンプルを抜き取って確認する必要が生じ、結果として膨大な作業が発生しました。ただ、旧JRR-3のコンクリートのクリアランスは、クリアランス制度ができる前に行われた改造工事で出てきた廃棄物を対象にした極めて特殊な事例であったと考えております。したがって、今後、新たにクリアランスの申請がされる場合には、原子力安全委員会の検認報告書や原子力学会が定めた標準などを参考に事前の調査が十分に行われた上で申請されてくると思いますので、その場合にはJRR-3の事例と比べ、より合理的な形で評価が可能になると考えております。今後、新たなクリアランス申請が出てきた場合には、JRR-3の特殊な事例にとらわれず、適宜、内容に応じて合理的な規制を実施していきたいと考えております。

 2点目、クリアランスについての基準化の推進ということで、現在、クリアランスの基準というのは、平成13年に原子力安全委員会で定められた検認報告書、原子力学会が平成17年に作成したクリアランス確認の標準がありますが、今後、さまざまなクリアランス申請が行われる場合に備え、基準化を推進する必要があると考えております。

 これについては、原子力学会等が、今後も様々なクリアランス関係の標準類を検討していくと考えていますが、文科省もその検討にオブザーバー参加して、国としても参考として使えるような基準にしていただけるよう働きかけをしているところでございます。また、IAEAで行われるクリアランスに関わる基準類の検討状況についても、引き続きフォローしていきたいと思います。以上がクリアランス制度の施行状況の検討でございます。

これまでご説明した核物質防護、廃止措置、クリアランスの3点については、前回までの検討会でご審議いただいたが、17年の法改正では、これ以外にも改正事項がございます。20ページのその他の規定として記載してしますが、17年の法改正では、海洋投棄を原則禁止するという規定、それから、国際規制物資の使用に関して一部改正しております。また、事業者に対する報告聴取権限の拡充ということも新たに規定されました。事故・故障の情報については、独立した規定が新たに設けられました。

 これらについては特に5年間の実績ということではございませんので、報告書では、どういった背景でどのような改正が行われたかということだけ記載しております。

 海洋投棄にいては、ロンドン条約等に基づいて低レベル放射性廃棄物の海洋投棄が禁止されたことを踏まえ、原子炉等規制法の中で従来から規定されていたものについて、原則、海洋投棄を行わないということをより明確にした規定にした改正が行われました。改正する前は、こういった場合には海洋投棄ができるというような規定もありましたけれども、そういった規定をすべて削除し、海洋投棄を行わないということを明確にしたところでございます。

 国際規制物資については、湧き出し等への対応の観点から、少量国規者間でも譲渡・譲受ができないかということを、その是非も含めて、今後検討が必要だろうと考えておりまして、そういったことをここで記載しております。

 報告聴取権限の拡充については、東京電力の自己点検記録の改ざんといった不正を背景として、国が必要とする様々な事項を国に報告してもらえるような法改正が行われました。

 4点目は、事故・故障の報告についてはその重要に鑑み、報告徴収規定と独立した規定が設けられたところでございます。これらの事項についても、現時点で直ちに法律の規定を見直す必要はないとしております。

 以上が、これまでの本検討会での審議も踏まえ、事務局のほうでまとめさせていただいた報告書案の内容でございます。報告書には参考資料として、17年の法改正の新旧対照を添付しております。

 報告書案の内容の説明は以上でございます。

【寺井座長】  どうもありがとうございました。これまでご審議いただいた内容、それから、そのときにいただいたご意見を踏まえて、1章から3章までつくっていただいた。第4章につきましては、その他の規定ということで、特にこれは明示的に、これまでの審議ではご議論、あるいはご紹介されていなかったのですが、本日、取りまとめに当たって、その他の規定ということでつけ加えさせていただいているというものでございます。

 それでは、ただいまのご報告書案につきましてご意見等ございましたら、どこからでも結構ですので、よろしくお願いいたします。

 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  最後に紹介がありました、4のその他の規定のところですが、一応この報告書自体は、この検討会の報告書という形になるかと思うが、そうすると、今日の会をもって、この内容について審議したということでよろしいんでしょうか。冒頭のところには、「現時点で直ちに法律の規定を見直す必要はないと考えられる」と、これがこの委員会としての結論になるかと思います、ここで認められればということで。そういうスタンスでよろしいですか。

【寺井座長】  はい。そういうことでよろしいですね。これは、本日ご審議いただく内容案というふうに考えていただいて結構だと思います。

【中島委員】  わかりました。それに絡んで、特に異議を唱えるつもりはありませんけれども、2の国規物の使用の最後のところに、譲渡の話について、「今後、検討を行う必要がある」ということですが、これと冒頭での、「直ちに」というのがついているからいいのかもしれませんけれども、「見直す必要はない」というのは、何となく筋としては少し矛盾しているような表現に見えるが、いかがでしょうか。

【寺井座長】  ご質問の趣旨はわかりましたか。その他の規定のところの前書きの一番最後の段落、第4章のところですね。それの最後のフレーズの1個前ですか、「直ちに法律の規定を見直す必要はないと考えられる」という文言があって、もう一つは、(2)の20ページから21ページに行くところですが、最後のところで、「今後、検討を行う必要がある」と書いてあるので、その辺の文言の整合性についてのご質問だと思いますが、いかがでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  少量国規物については、次の議題とも関係しておりますが、少量核燃料物質と呼んでいる少量の核燃料物質について、今後どのように安全管理をお願いするかという課題もあります。また、委員もご案内のように、原子力機構が核燃料物質とか研究所廃棄物について管理貯蔵するという計画もございまして、そういった状況も含めて引き続き考えていかなければならないと考えております。今後の様々な検討の状況を見ながら、今後の課題として記載しているということでございます。

【寺井座長】  「直ちに」という文言をどこまでカバーするか、あるいは、今後というところがどの時点を考えるか、その辺の理解かと思いますが、ただいまのご説明のとおりかと思いますので、よろしいでしょうか。

【中島委員】  はい。

【寺井座長】  ほかにいかがでしょうか。細かい文言等につきましては、またご意見をいただける機会はあるかと思います。最終案を出す前に、再度、編集上の修正、あるいは誤字・脱字等の修正、その辺のところは座長と事務局のほうでやらせていただきまして、最終案を出す前に、委員の先生方にメール等で最終案のご紹介をさせていただく機会はあるかと思います。ですから、細かいところは、もちろん今日ご質問いただいても結構ですけれども、全体の構成ですとか、あるいはロジックとか、その辺のところをとりあえずいただいて、もし大きく修正する必要があれば、その辺のところを大きく変える必要がありますので、そういうところも含めてご意見をいただければと思います。

 瓜生委員、どうぞ。

【瓜生委員】  12ページの「施設の一部廃止を行う場合の廃止の確認」のところで、これも以前話題になったが、要するに使用施設の一部を廃止される場合の話で、ここには一応、参考資料として、計画を提出してもらって、廃止措置に準じた形で確認していくということですが、法規制上は、これは読めるところがないんでしょうか。読めるところがないというのか、これはあくまで運用でやっているのか。

【江頭安全審査調整官】  運用でございます。現在、炉規法に基づく廃止措置というのは、原子炉については炉ごとですが、使用施設については、事業所全体を廃止するときに適用される手続となっていますので、一部の建物とか一部の部屋を廃止にしますというような場合には、炉規法の廃止措置に係る手続きは適用されないことになっています。

 ただ、最終的に事業所全体を廃止するときには、過去に一部廃止したところも含めて、最終的にきちんとすべてが廃止されていることを国は確認する必要がありますので、一部廃止についても後でその記録が確認できるようにしていただく必要がありますので、運用ベースで事業者にそういったことをお願いして実施しているということでございます。

【瓜生委員】  仮の話ですけれども、事業者がうまくその辺やらなくて、うまく追えない場合には、最後には事業者自身の管理不備ということで、自分のところに返ってくることになるんでしょうか。

【吉田原子力規制室長】  そういうこともありますので、事業者さんもそうだし、国もそうですね。国も最後には、事業者一体として廃止措置を今度やりますので、特に小施設の場合は。そのときに、国も過去にやったことをちゃんと見ておかないと、国の過失にもなるので、事業者も責任があるし、我々国もある。そういうことを今のうちにやっておきましょう、将来困らないようにやっておきましょうということで、参考にして、今は実施している。

 それで、使用のほうは設置許可変更して、法手続上はそういう方法をやって、一方では、廃止措置については、そういうのを設置許可申請書に参考につけてもらって、お互いに確認しておきましょうというような趣旨で、ある意味では、僕は合理的なやり方ではないかなと、考えております。以上です。

【瓜生委員】  わかりました。

【寺井座長】  よろしいですか。それでは、ほかにご意見いかがでしょうか。

 瓜生委員、どうぞ。

【瓜生委員】  報告書の内容は妥当だと思いますけれども、ちょっとお聞きしたいことがあります。一応、5年を経過したときに見直しするということで、今やられていますけれども、これは1回やれば、あとは適宜という扱いになるでしょうか。

【江頭安全審査調整官】  報告書案の最後のページをめくっていただくと、附則の規定を付けております。附則の規定では、5年を経過した場合に検討するということなので、今検討をしているわけです。ただし、報告書案の中にも書いているとおり、法律の改正に関する検討というのは、従来から必要な都度やっていますので、附則の規定にかかわらず、必要な場合には当然検討して見直していくことになります。

 なお、こういった見直し規定が設けられた理由としまして、平成13年に規制改革推進3カ年計画というのが初めて定められましたが、その中で、新たな規制を定める場合は、一定期間たった後に見直しを行うという、いわゆる見直し条項を設けなさいというのが盛り込まれました。文科省関係の原子力、放射線利用関係の法律では、平成16年の障害防止法の改正のときに、初めて改正規定が設けられました。そのときは、たしか10年たったときにという附則だったと思います。炉規法は、17年改正のときに初めてこれが入りました。また、昨年成立した障害防止法でも、やはり5年たったときに見直しの有無について検討するという附則が盛り込まれているところです。

【瓜生委員】  どうもありがとうございました。

【寺井座長】  よろしいですか。そうしますと、17年の炉規法の改正のときの附則としては、施行後5年を経過した時点で見直すということで、それ以降のことについては特にはここでは規制していないですね。ですから、必要が生じたときに随時ということになるという、それが一般的な解釈だということでよろしいですね。

【渡辺原子力安全監】  追加的に言いますと、もちろん政府としては、法律の運用に当たって、必要があれば随時、5年後だろうと、10年後だろうと、2年後だろうとやるのでございますが、特に炉規法については、クリアランスという新しい制度が入ったこともあって、国会のほうで有無を言わさず、政府のほうに、5年後には少なくとも検討はしろというご命令を我々はいただいたということでございます。ですから、我々はもちろん必要があれば、いつでも改正のことについては検討するという立場は、昔も今も変わっていない、今後も変わらないということでございます。

【寺井座長】  今と関連するが、政府として見直しをするということでございまして、この報告書の表の扉を見ますと、クレジットは文部科学省の研究炉等安全規制検討会と書いてございますが、これは今後どういう流れで、どこに、例えばご報告をして、どういう形でそれを公開していくのか、その辺のところはもうご理解いただいていると思うのですが、もしおわかりになりましたらご紹介いただけますか。

【江頭安全審査調整官】  最終的に報告書としてセットしたものについては、見直しをちゃんとやりなさいということを法律の中で、国会の中で規定されたということですので、何らか一般の方々にも、ちゃんと我々は見直したということがわかる形で報告書を公表していきたいと考えております。

【寺井座長】  わかりました。そうすると、特にこれが原子力安全委員会へのご報告とか、あるいは内閣へのご報告とか、そういうことには直接にはならないということですね。

【江頭安全審査調整官】  そういった手続があるわけではございませんが、もし求められれば、ご報告させていただくことになると思います。

【寺井座長】  わかりました。ありがとうございました。

【渡辺原子力安全監】  もちろん炉規法でございますので、経済産業省のほうも担当しておりますので、あちらはあちらで、同様な検討を今やっているということでございます。

【寺井座長】  そうすると、これは省庁ごとに責任を持って検討結果を報告するということで、特に経済産業省と調整するとか、そういう作業は入らないということでよろしいですか。

【江頭安全審査調整官】  対象となる事業所の形態など、いろいろ違いがありますので、検討の内容や結果に多少違いがあってもいいだろうと思っております。ただ、この検討については保安院とも情報交換はさせていただいております。

【寺井座長】  ありがとうございました。

 ちょっと全般的な話でございましたが、個別のことで結構ですので、もしご質問がありましたらお願いします。

 丹沢委員、どうぞ。

【丹沢委員】  本改正法令の施行状況という意味でのまとめ、検討についてとは、ちょっと間接的な意見ということになるかと思うんですけれども、廃止措置の施行状況について二、三、事業者にとってといいますか、課題があるかなという点を発言させていただきたいと思います。

 9ページのところで、特に私が承知しているという意味では、事業所の状況ということでは日立製作所、東芝、立教、東京都市大学、大体同じようなタイプの100キロワットの炉で、今、廃止措置中ということで、かなりどの施設も静的な状況といいますか、基本的には核燃料物質は事業所から外に出して、施設の保安管理は継続しているということで、これは委員の先生方は皆さんご承知かと思いますが、研究炉等から出た放射性廃棄物の処分といった事業が、制度的には用意されていますけれども、現実として、まだ事業のスタート、開始のめどが立っていないという状況で、各施設ともに次の段階に移れない、今の段階を一定期間続けざるを得ないという状況になっているかと思います。

 法制度上でのかかわりという意味では、直接いろいろとないかとは思いますが、間接的な意味合いでいいますと、1つは、核燃料物質がなくても、保障措置は国際約束上、継続の基本に基づいて計量管理を続けなきゃいけないということがございます。もう1点は、これも災害防止という点でのリスクの蓋然性という意味では、放射線取扱施設と同等というふうな施設になっていますけれども、原賠法は原子炉施設という形で適用しているということで、事業者さんそれぞれに、みずからの法的な義務は守っているところですけれども、人的な措置を含めて負担を強いているという状況になっているかと思います。

 この辺の事情につきましては、安全規制検討会というわけではないかとは承知しております。特に文科省さんで言えば研究開発局なのかもしれませんが、やはりここでも、今後、その辺の廃止措置がより円滑に進んでいくという意味合いでの環境づくりに対して、行政としても、規制担当としても何がしかの貢献をしていただければというふうに、こちらサイドも極力、事業が進捗するべく協力していくということは検討していきたいと思います。ご参考の意見ということで言わせていただきました。

【寺井座長】  ご意見をいただきましたが、これにつきまして何かございますか。

【吉田原子力規制室長】  そういう話は、いろいろなことがあるのは我々も承知していて、我々のほうでも研究開発局に、いろいろな廃棄物の問題の推進、具体的な推進をお願いするとか、そういうことをいろいろやっています。最近ですと、日本学術会議のほうで、原子力大綱を見据えて、そういうことになっているということも我々承知しております。

 そういうことで、規制当局が直接出られないが、できるだけ、皆さんがいろいろなところで努力することに対して、我々も規制当局として支援していきたいと思っていますので、現実、我々やっていますので、ご理解をしてもらいたいなと思っています。以上でございます。

【寺井座長】  今の趣旨は非常に重要なところですが、施行状況についての報告の中に書き込むべきかどうかというところについては、ちょっと難しい感じがしますね。ですから、今は議事録の上では残りますので、そういう形で、今日ご意見をいただいて、規制当局としてのお立場を踏まえて、そういうご回答があったということにとどめさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 ほかにご意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、特段ご意見がなければ、報告書の案につきまして、大きく修正するというご意見はなかったと理解いたしますので、基本的に今日の案の方向に従って、最終案を取りまとめさせていただきたいと思います。本日いただいたご意見はもちろん踏まえまして、修正案をつくらせていただきます。それから、今日お戻りになって、あるいは、お帰りの電車の中で見られて、ここはもうちょっと修正が必要じゃないのということがありましたら、1月いっぱいまでに、ご意見をお寄せいただければと思います。そのいただいたご意見、それから本日いただいたご意見を踏まえまして、再度、事務局のほうで案をつくらせていただきまして、座長である私と調整させていただいて、最終案をつくった時点で、委員の先生方にメール等でご照会をさせていただく。それでよろしいですか。

【吉田原子力規制室長】  はい。

【寺井座長】  委員の先生方、そういうことでよろしいでしょうか。

 それでは、今後、作業を進めさせていただきます。どうもありがとうございました。事務局のほうも大変かと思いますが、よろしくお願いいたします。

 それでは、最初の議題はこれで審議終了ということにさせていただきます。

 引き続きまして、2番目の議題に移らせていただきます。次の議題は、少量核燃料物質の安全な取り扱いについてということでございます。

 前回の検討会では、海外における規制等の状況や国内の少量核燃料物質の取扱事業所の取扱状況について、事務局のほうからご紹介いただきました。本日は、前回ご報告いただいた国内の状況につきまして、より詳細な状況をご報告いただくということにしたいと思っております。

 それでは、事務局からご説明をお願いいたします。

【事務局(林原)】  原子力規制室の林原といいます。私のほうから説明いたします。

 資料31-2-1に基づきまして、平成17年度以降の国内の使用実態調査に関する検討状況をご説明いたします。ご説明としては、まず、検討会での議論の経緯、平成17年度の報告の内容、国内の使用状況調査についてご報告いたします。参考資料としまして、少量の国際規制物資の規制の現状と、前回説明いたしました諸外国の調査報告を添付していますので、ご参考としてください。

 まず、1ページ目になりますが、第9回から、少量核燃料物質についてはこの検討会で検討を開始しています。検討開始当初は、規制の現状及び取り入れ案の報告を行っています。第10回においては、使用状況調査、これは文科省独自の調査した内容報告を実施し、安全の観点より、教育は必須との意見をいただいております。第14回では、国規許可者全事業者を対象とした調査結果を報告しました。学会等の規制の要望により対応を実施しているということを報告しております。第15回においては、16事業所の調査を行っており、意見としまして、原子炉と同じ扱いは難しいため、緩い管理で十分である。また、ガイドラインで運用し、問題点等を洗い出す必要があるとの意見をいただいております。

 続きまして、2ページ目ですけれども、第16回につきましては、15回までの検討を踏まえて、規制の考え方と今後の進め方について説明を行っております。第19回におきましては、17回、18回で審議をしていただいた報告書についての最終結果ということで、報告を行っております。その中で、今後、国外での規制状況、国内の使用実態の調査を行う必要があるとのことで、第21回で、海外の実態について報告も行っております。それ以降につきましては、前回の第30回で、21回以降の調査事項について報告を行いました。

 3ページに移りまして、平成17年度の報告書の内容についてご説明いたします。現行法でいきますと、ウラン(天然、劣化)300グラム、トリウム900グラム以上は核燃料物質の使用の許可が必要ですが、以下のものにつきましては使用の許可対象外となります。ただし、国際規制物資の使用の許可対象となります。国際規制物資の管理を簡単に説明しますと、数量のための管理をする規制となっております。安全規制については行っていないです。参考資料に規制の現状を記載していますので、ご確認ください。

 そのまま続けさせていただきますけれども、平成17年度の報告書改正案では、ウラン300グラム、トリウム900グラム以下、ウラン1グラム、トリウム3グラム以上を、新たに核燃料物質使用の許可対象となる範囲として、それ未満は、現行法と同様の国際規制物資の許可対象として考えておりました。そちらの内容については4ページにて説明いたします。

 規制の考え方としまして、核燃料物質の使用については、合理的な安全規制を行う観点から、BSS免除レベルからの算出シナリオを用いて評価を実施し、現行の核燃料物質の使用等に関する規則に定める使用等の技術上の基準を適用し、施設外への排出を管理することで一般公衆の安全確保をすることができるとしていました。

 17年度の基準につきましては、(2)で記載しているとおりで、まず、管理区域等を設定しないこと。ただし、使用場所は決めること。貯蔵場所についても決めまして、施錠管理をすること。廃棄物は保管管理するが、排水施設を設置して処理を行う場合は、炉規法の技術基準を適用する。また、技術上の基準、安全管理遵守のため、安全教育を実施する等を盛り込んだ規制を考えていましたが、新たな規制対象が、1,000以上の事業所が増えるということで、社会的な影響も懸念されるということで、諸外国におけるBSSの状況、我が国の実態調査ということで詳細に調査をすることとなり、現在に至っております。

 諸外国については前回も説明しておりますので、参考資料として添付しております。ただ、最後のページの参考資料「諸外国の調査について」ですけれども、若干修正を加えております。イギリス、ドイツ、アメリカ、韓国につきましては修正を加えていないですが、フランスにつきましては、規制下限値はないため、ウラン・トリウムが発見された場合、放射性廃棄物管理機関が引き取るシステムがあるということを1点追加しております。

 戻りまして、5ページ目について説明いたします。国内の使用状況調査についてご報告いたします。調査内容については、大きく分けて2項目を行っております。

 まずは、使用・保管及び安全管理に関する調査として、アンケート調査、現地調査を行っております。アンケートについては、1,400事業所あるため、保有量25グラム以上、こちらは製品ですね、一般的に販売されている量が25グラムということなので、こちらを用いて、施設を対象に310事業所に調査を実施しております。内容としては、使用状況、貯蔵、安全管理状況に関する事項を重点に実施しております。アンケート調査より、取扱頻度が多く安全管理がなされていない施設、保有量の多い施設等により27事業所を選定しまして、実際に現地に行き、管理状況を調査しております。

 2点目については、安全上の対策等に関する検討です。有識者から成る検討ワーキングを設置して、上記調査結果より、目的ごとの作業者の被ばく線量の算出、算出された線量等をもとに安全規制のあり方等の検討・整理を行いました。

 結果としては、次の6ページ、7ページになります。まず、アンケート調査、現地調査により、使用状況として調査しております。使用者としては70%、保管管理のみが30%であること、年間の最大取扱量はウランで60グラム、トリウムで240グラム、1回当たり最大で約15グラム使用しておりまして、作業距離は10センチ~50センチの範囲、また、1回の作業時間としましては5分~100分、年間の作業回数は1回~200回程度でありました。ほとんどの施設はほかの作業室と一緒でありまして、貯蔵室も同居している状況であります。マニュアル整備につきましては約30%、測定器につきましての所持は約50%、保護具の着用も50%で、保管場所の施錠については99%となっております。

 気になる点としましては、汚染の可能性について認識している使用者が少ないこと、他の作業場所と廃棄物や核燃料物質の保管場所が同居しているため、一般作業者が無用な被ばくを受ける状況にあること、一部の使用者では、工場内の排水ピットを経由して希釈し、排出している施設もあるということを確認しております。

 続きまして、7ページですけれども、それらアンケートの現地調査結果により、安全上の対策に関する検討を実施し、作業被ばくのシナリオを作成したところ、作業者の被ばく線量としては1mSv、年間の一般人の被ばく限度値を十分に下回る結果でありました。

 ただ、問題とするべき点としては、取扱方法、管理方法によっては作業者の被ばく線量が増加する可能性があるということ、また、事業所の外に廃棄物が直接排出された場合、一般公衆が無用な被ばくを受ける可能性もあるということです。アンケート上での事業者の意見としては、規制を強化しないでほしいという声もありましたが、安全管理上、何もしないということはよくないという認識があるため、管理方法の教示・周知を行ってほしいという意見がありました。

 最終的に、まとめですけれども、先ほども問題としていた一般公衆等への無用な被ばく、あとは、核燃料物質を取り扱う上での安全確保のため、適切な安全管理方策、使用者みずからが認識し、取り扱うための取り組みが必要との結果を、委託により報告を受けました。

 報告としては以上になります。

【寺井座長】  どうもありがとうございました。少量核燃料物質の取り扱いにつきまして、これまでの議論の経緯と17年度に出していただいた報告書の内容の概要説明、それを受けて、国内の使用状況がどうなっているか、それをさらに詳細に調査した結果について、本日ご説明をいただきました。

 今後どうするかは、この後、議論させていただきたいと思いますが、まずは、今ご紹介いただいた内容につきまして、ご質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 特に現状の詳細な調査結果が6ページと7ページに挙げてあって、現在の被ばく作業量というのは一般の方の値に比べても十分に低いけれども、問題点が幾つかありますよというようなご指摘があったところでございます。

 中島委員、どうぞ。

【中島委員】  17年度の報告書ということで、5年前のことになりますが、当時やった調査と現状とは、基本的には変わっていないという認識でよろしいでしょうか。

【寺井座長】  いかがでしょうか。

【事務局(林原)】  はい、そうです。追加されたところといいますのは、現地にて詳細に調査したことと、あとは海外の状況調査ですね。フランス、イギリス等を追加して調査していますので、こちらを追加しております。

【中島委員】  要するに、例えば事業所の事業者の数とか取り扱いの状況は、現在も当時と変化していないと考えてよろしいですかということです。

【事務局(林原)】  事業者数につきましては、当時は1,100ぐらいでしたけれども、それから300ぐらい増えまして、1,400という形で調査を行いました。

【中島委員】  わかりました。

【寺井座長】  よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、蜂谷委員。

【蜂谷委員】 現状ということですが、この間に検査をして、これからという意味ではなくて、今までに、事業所に対して、この検査結果から何かやられたとか指示をしたということはございますでしょうか。

【寺井座長】  事業所に対して何かご指導されたことがありますかということだと思います。調査の結果を受けてですね。いかがでしょうか。

【事務局(林原)】  文科省としては何も行っておりません。

【寺井座長】  今まで行っていないということですね。今後、その辺をどうするかを検討したいということかと思います。

 ほかにいかがでしょうか。林委員、どうぞ。

【林委員】  6ページに、一部の使用者では、使用後の液体廃棄物を工場内の排水ピットを経由して排出しているというのがございますけれども、今の基準に比べて十分低いレベルで放出されていたのかどうかというのは、いかがでしょうか。

【寺井座長】  いかがでしょうか。濃度規制がかかっていると思いますが、それと比べて、この排出実績というのがどうかということかと思います。

【吉田原子力規制室長】  法律そのものでは、規制は必要ありません。しかし、先ほど説明した、安全上必要ないが、事業者に調査に行ったときに確認しています。

【林委員】  私はレベルを確認したかっただけです。

【寺井座長】  小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】  今の議論はちょっと変な議論だなと思いますね。少量国規の使用の後は、基本的には、例えば陶製の容器とかそういうところに、引き取りが完了するまでは保管しておくというのがベースですから、濃度があれだからいいというような議論にはならないと思いますね。そもそも測定器を持っている事業者が50%で、マニュアルの整備が30%という状況で、その種の議論というのはないわけで、これはまずい状態であるという議論をしておしまいにすればいいんだと思いますね。

【寺井座長】  そういうことですね。法律の実施施行状況と、それから、それが該当するかどうかという対象の問題ですので、そういう意味では、現時点でどうかということではなくて、状況についての確認をしていただいているということだと思います。

 ほかにご意見ございますか。土屋委員、どうぞ。

【土屋委員】  質問ですけれども、1,400のうちの310を調べられて、そのうち半分しか持っていないとか、3割しかマニュアルが整備されていないということは、比較的量をたくさん持っていて、少しは意識があるところだけの話がこれで、それをもっと少ないところ、もっとたくさんのところが、何もやっていなかったり、意識もせずに扱っている可能性が非常に高いという結果だと読んでよろしいですか。

 25グラム以下のところは調べていらっしゃらないので、何とも答えようがないということはわかりますが、少ないところは、ほんとうにあまり何も意識していないような感じでしょうか。

【寺井座長】  いかがでしょうか。

【事務局(林原)】  1ページ目でも多少説明しましたけれども、第14回で、全事業所を対象とした調査結果を行っております。25グラム以下というのは、保管管理ですべて届け出をされているという形で調査を行っております。

【寺井座長】  小佐古委員、この関連ですね。お願いします。

【小佐古委員】  今の議論もちょっと変な議論だと思います。ここのバウンダリー、境界条件というのは、ウランが300グラム、トリウムが900グラム以下であれば安全管理は要らない、規制は免除されているということですから、法律をそのまま解釈すれば、土屋さんがご心配されるようなことはしなくていいと、法律が言っているということになります。計量管理はやる必要があるが、法律をそのまま実直に解釈すれば、そういうことは要らないということを言っているわけですね。

 それがいいのかどうかというのがここの議論の中心でして、それがあるから、5年前の2005年、平成17年度の報告書では、法律を改定したいと。つまり、ほかのラジオアイソトープと同じように、BSS、国際安全基準と整合するように、ウラン関係は1グラム、トリウム関係は3グラム以上になれば、何らかの形の安全管理を要するように法律を改定したいというのが最終報告書の趣旨ということですね。

 だから、議論になっているのは、従前それが外れていたものが、1,000を超える事業者がここに一斉に入ってくる。では従前は危なくなかったのか、従前使っていた我々の権利はどうなるのかというところの整合をどういうふうにしましょうかというところが話の中心でして、計ってみたら実態は濃度がこうだったとか、その種の話ではないということになります。

 そのことは規制もご存じですので、内々の指導で使ったものについては一般の排水に流すことのないように、陶製の陶器等に持っておいてくださいということですが、ただ、非常に厄介なのが、持っておいて、ほかのラジオアイソトープと同じように引き取りをやってくれるのか、最終処分の道筋があるのかというところが、先ほどの丹沢さんのご質問にもありましたけれども、ウランを含むものの処分場について、今のところはまだはっきり見えていないので、使われているところは、永久にとは言いませんけれども、当面、見えないところまでは保持しておくことが要求されているわけですね。

 考えますに、既にクリアランスレベルで、ウランを含むもの等々については、随分低いレベルでないと一般の放出はならぬということを決めているわけですから、入り口側のこちらの数字も高いままでよいというのを放置しておくというのは、これはどういう理屈を持ってきても成り立たないということですね。ですから、早い時期に移行措置をとられたらいいが、従前使われているところをどうするのか、あるいは管理のレベルをどういうふうにするのかというあたりが論点になるのではないのかなと思います。

【寺井座長】  何か補足はございますか。

 小佐古委員のほうから、従来の経緯と現行の法規制の問題点、それから、今後、それに対してどういうふうに合理的に規制を行っていくか、その辺の必要性について簡潔にご説明いただきました。ありがとうございました。

 ということで、今の調査結果をもって法律違反である云々という議論はなくて、これは現状の確認をしているということですね。

【土屋委員】  そういう意味で言ったのではないです。私は違反だ何だと責めるために申し上げたのではなく、まさにたくさんの事業所を扱うときに、一番多くて意識の高いところですらこういう問題であるのだとすると、ほかのところはもっと大変になるのではないかなと思ったので、調べていらっしゃらないところがどのぐらいのレベルなのかを把握するほうがとても大事ではないかなと思っています。調査に協力しているところは多分、もう意識があるので、やれと言えばやれると思います。でも、調査にも適応しないようなところは、ほんとうに大変なんじゃないかなと私は思いました。

【寺井座長】  その辺、今後、規制のレベルを少し広げていくときに、具体的な施行上の、ある種、検討すべき課題の一つかなという感じはします。

 どうぞ、小佐古委員。

【小佐古委員】  土屋委員が言われたところの関連の情報を簡単にお話しします。この情報がないとなかなか正確な議論ができないので。

 10年近く前の話になると思うが、今はウラン300、トリウム900以下のところは、安全管理は法律のほうは要求していないですが、計量管理のほうが要求されていて、幾らあるかが要求されているんですが、こちらのほうも変わってきているんですね。昭和57年に、計量管理について低いところまで要求されるようになってきて、それまでは薬局で自由に手に入っていたものが突然、網がかかるようになってしまったということで、世間に出ているものが突然、違法状態になるという状態ですね。

 それがために何年かの猶予の期間があって、その間に回収するとか登録をするということを何度も奨励していましたが、数が数ということで、なかなかこれが徹底しないということでずっと推移してきたんですが、ある時期に、未登録、登録がされていないということですけれども、そのことが随分話題になって、多いケースは、繊維の会社でトンのオーダーで登録していないウランがあるとか、国立大学はほとんどのところで1,000を超えたものが見つかるとか、国立高専で見つかる。あるいは、理科系でないところからも出てくるということで、たしか国会でも話題になったと思うが、そういうことをちゃんとやりたいということで、東大とか、京都とか、名古屋とか、人員とか予算も手当てをしていただいて、未登録問題についてはきちんとやりたいということで、何度もやっているんですが、いまだに登録から漏れたものが時として出てきて、時としてスキャンダルになって、メディアの上でも、言葉は悪いですけれども、たたかれるというようなことが起こるわけですね。

 この原因が何かというのを考えると、みんなの意識が低いというところもあるが、安全管理を要求していないわけですから、通常のラジオアイソトープとかそういうのでしたら、登録をする、検出器を用意する、教育をするというようなことが、場合によると管理区域を用意するというようなことが背中を押していますので、何らかの形で管理下に入るということなんですが、今は法律の上ではそういうことを要求していないわけですから、これはもう半期に一度の棚卸しの報告をするだけということで、安全上の人が要らないということですから、実態としては、事務の職員が時々来て報告をするというようなケースがほとんどなんですね、小さな事業所では。だから、何らかの格好でなるべく早い時期に、管理のレベルをどれぐらいにするかは別にして、安全管理をやるという体制をきちんとおとりになるほうがよろしいじゃないのかなと思います。

 ただ、移行期間を用意するとか、管理のレベルを幾分変えるとか、工夫がないことには、事業所の数も多いですし、従来やられてきたこともありますから、そこら辺のほどのぐあいを、関連学協会とかいろいろなところの力をかりておやりになると一番座りがよろしいかなというのが、やられてきた議論、あるいはここでご提案されようとしている趣旨ではないかなと思います。

【寺井座長】  どうもありがとうございました。今ご紹介いただいたのはまさにその状況ということでございまして、その辺のところは17年度の報告書でもまとめていただいていて、3ページのところに改正案ということで、従前の天然ウラン、劣化ウラン300グラム、トリウム900グラムをそれぞれ1グラム、3グラムまで下げて、新たな許可範囲、対象範囲を定めるということでご提案いただいていると思います。

 そういう報告書の内容を踏まえて国内外の調査をやった結果、これは国内調査の結果ですけれども、7ページの3.のマル4のまとめということに書いていただいていて、「少量核燃料物質の適切な安全管理方策、使用者自らが認識し、取り扱うための取組が必要である」という結論ということで、事務局のほうからはご紹介いただいているということでございます。

 その次のページに、参考資料ということで、もう既にこれは前回までにご報告があったことですが、海外の状況も見ていただくと、韓国は規制下限値が我が国と同じだけれども、それ以外のところは、規制下限値が設定されていないというところが非常に多い。あるいはもっとレベルの下のところまで規制しているというのが、国際的に見ても一つの状況だということかと思います。その辺のところをとりあえず取りまとめていただいたということでございます。

 この後、これをどうするかということについてご審議いただきたいと思いますけれども、まず、資料31-2-1につきまして、もうご質問はよろしいでしょうか。

 小佐古委員、もしありましたらどうぞ。

【小佐古委員】  「諸外国の調査について」というところの表の見方ですけれども、英国、フランス、ドイツ、米国、韓国と挙げてあるんですが、上のほうも数字がばらばらと書いてあるんですね。これはどうしてこういう書き方になるかというと、読み方としては、例えばドイツのところとか、ほかのところにも書いてありますけれども、ヨーロッパ諸国はBSSをベースにして、EUの基準を決めている。それで各国の法律がある。時間をかけてEUの法律に合わせていくというのがEU側の考え方ということですね。EUが持っているのは、ウラン、トリウムで1Bq/g、それと放射能量1,000ベクレルということですから、これに向けて各国がだんだんと合わせていくというのがEUの状況ということです。

 ですから、日本と同じ悩みを持っています。従前、違うルールで動いているものを、低目のところに誘導するということですから、その期間中は、ドイツみたいにすっきりと一番最初からこういうのに移行するところもあるんですが、ほかの国は徐々に移行するとか、まだら状態になるというようなことがありますので、この表はそういうつもりで見ていただかないと、なかなか理解できないんじゃないのかなと思いますね。

 ちなみに、日本の1グラム、3グラムというのは、スケーリングで落としているんですけれども、1Bq/gを実際の量からはじいてみて、グラムに直すと1グラム、3グラムぐらいに、切りがいい数字はそのあたりだろうということで、1と3を誘導したということですね。

【寺井座長】  ありがとうございました。そういう背景があるということで、その辺、非常に貴重なご紹介をいただいたと思います。

 それでは、もし2-1についてご質問がなければ、これまでに事務局からいただいた国内取扱状況に関する報告を踏まえまして、我が国として、少量核燃料物質取扱事業者に対してどういったアプローチで安全確保の向上を求めていくべきかについて、方向性を決めていきたいと思います。

 まず、その点につきまして、事務局から、文部科学省としてこの点をどのようにお考えかということを伺いたいと思いますので、資料31-2-2のご説明をお願いいたします。

【阿部原子力規制室長補佐】  それでは、資料31-2-2に沿ってご説明させていただきます。

 今後の方向性につきまして、ページをめくっていただきまして、早速ですが、1.今後の方向性の考え方でございます。こちらは、先ほどご説明いたしました委託調査の結果より、廃棄の状況など不適切な施設もあったことから、無用な被ばくを避けるために、核燃料物質の適切な取り扱いや、安全教育を実施してもらうことが重要だということが1点ございます。

 また他方で、現在の事業者の多くが線量などを微量のところで、そういった用途で使用していることから、2点目といたしましては、現時点において被ばく線量が年間被ばく限度値を下回っている中で、早急に法規制という厳しい状況で導入した場合に、事業者への負担や研究活動への支障などの社会的な混乱を起こす可能性が否定できない状況にございます。

 以上の2点を踏まえまして、事務局といたしましては、今後、当面ガイドラインということで対応をしたいと考えております。当面はガイドラインによる対応を行い、ガイドラインのフォローアップ状況を見ながら問題点等を精査して、核燃料物質の処分の推進状況など、それら社会状況の展開なども踏まえ、法規制について検討してまいりたいと考えております。

 ページをめくりまして、2.ガイドラインの内容の骨子となっております。現時点でのイメージといたしまして、核燃料物質の、(1)が使用、(2)が貯蔵、(3)が管理、(4)その他教育の実施といった主な項目があるようなガイドラインのものを、今のところイメージとして想定しているという状況にございます。

 続きまして、3.今後のスケジュールでございますが、こういったガイドラインの骨子といったようなものを、関係する学協会の方々と密接な連携をとってご意見を伺いながら、ガイドラインの内容を詰めさせていただいて、よりよいガイドラインの方向に内容を詰めていくような形で検討したいと思っております。本日は、ガイドラインという方向で当面進ませていただきたいということについて、ご審議いただければと思います。

 以上でございます。

【寺井座長】  どうもありがとうございました。ただいまご紹介いただいたとおりでございまして、事務局としましては、国内外の現在の状況を踏まえまして、まず、一気に法規制ということではなくて、ガイドラインというような穏やかな方法で、事業者に対して安全確保を求めていくのが適切ではないかというご意見でございます。

 それでは、ただいまの事務局のほうでお考えの方針につきまして、ご意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。ガイドラインでとりあえず運用して、そのフォローアップの状況を見ながら、今後、必要があれば法規制を検討するという、2段階の行き方ですね。

 平澤委員、どうぞ。

【平澤委員】  基本的な考えとしては、これはありかと思いますが、ちょっと気になるのは、ガイドラインのフォローアップ状況を見ながらというところが、例えば1グラム、3グラム以上を取り扱っている者に対して、どうやってフォローしていくのか、そこがポイントになるのかなという気がするのと、フォローアップの期間というのをどういうふうにとらえられているのかなというのを教えていただきたいと思うんです。

【寺井座長】  フォローアップの具体的なやり方と、状況を見ながらという期間ですね。その辺のところの考え方ということですが。

【阿部原子力規制室長補佐】  まずは、保有しているところの方々にアンケートのような調査をして、ガイドラインをお配りした後、このガイドラインに沿って実際、研究活動とか事業を行っていく上で、どういった支障がありますかとか、レベル的に難しいですとか、こういったところは問題ないのではないかというようなご意見をいただきながら、どういった課題があるのかを調査してまいりたいと思っております。

 また、期間ですが、ガイドラインができてから適宜適切にというような、現場の意見も伺いながら、特にいつまでとかそういう感じではなくて、状況を見ながら行ってまいりたいと思っております。

【寺井座長】  よろしゅうございますか。実施状況の調査というところが主なやり方かと思われましたが。

 小佐古委員、どうぞ。

【小佐古委員】  どういうタイムスケジュールでやるかということですが、実は原子炉等規制法でクリアランスを実施するときに、労働省のほうから、これについては非常に不適切である、あまりにもバランスが悪過ぎるということでクレームがついているんですね。ですから、やるべきは可及的速やかにやる必要があるということではないかなと私は思います。

 ただ、この件だけの法律改定というのはないわけで、原子炉等規制法が改定されるときに、一緒にこういうものが出ていくということですから、すぐ半年先とか1年先ということではないということですから、そのときには忘れずこれをちゃんと出されないと、法律上は非常にまずいことになっているのではないのかなと思うわけです。ですから、ターゲットはそこということですね。

 ただ、それまでに周知を図らないと、法律だけ変えて、足元がだれも知らないということですと非常にまずいですので、ガイドライン等々を通じて広く周知を図る。あるいは課題を抽出するというプロセスがないことには、法律だけをいじっても、なかなか実効性がない。違反だらけになってしまうということになりますので、ただ、ガイドラインのときにやるべきことは、通常はハードというような扱いというのが出てくるが、使用法とかハード以外に、そこのところの区域をどういうふうに設定するか。

 例えば一気に管理区域ということになると収拾がつきませんので、ちょうど今、1990年のICRP勧告の取り入れがあって、監視区域という、1ランク、管理区域と一般の区域の間にあるようなものがありますので、それの法令取り入れ等々を積極的に進めていただいて、中2階のところでやるというのもまた一つのアイデアかなと思うが、それ以外に非常に重要なのは、私どもが東京大学で経験したのは、こういうことをご存じない方が非常に多いということですね。それは安全管理を要求していないわけですから、知らなかったということですね。

 ですから、どういうプログラムで、どれぐらいの時間、どれぐらいの範囲の人に教育訓練をやるのか、あるいは、教育的なテキストなんかどのレベルでやるのかということを学協会のほうから提案をいただいて、試してみるというのも有効ではないかなと思います。ここでやられているのは、従前から1ランク、言葉は悪いですけれども、規制を厳しくする状況になるわけで、周知とかベンチマークの時間をしっかりとる。

 以前にもこういうことは経験したことがあるんです。例えば免除レベルですね。煙感知器なんかは一律3.7メガベクレルから、非常に厳しくなったものもあるし、緩くなったものもあるんですね。47年ぶりの法律改定のときにそれをやって、それもやはり周知とかご意見を伺う会というのを何度かやって、移行期間を1年か2年用意して、それで移行しました。あるいはほかの例ですと、航空機乗務員の被ばく管理とか、あるいは自然界のノルムですね。それは一気に管理の網をかけると言われても非常に困るわけで、規制検討会のほうでガイドラインというのをつくっていただいて、それを周知するという形でやられている例もありますので、そこら辺は参考になって、中2階を用意する、あるいは周知を経て、そういうプロセスを踏まれるということが肝要なのではないのかなと思います。

【寺井座長】  どうもありがとうございました。実際、もしガイドラインとして運用しようとしたときに、具体的ないろいろな項目について、過去の事例も踏まえて、今、小佐古委員からご紹介いただいたところでございます。

 事務局のほうは、何かご意見ございますか。

【吉田原子力規制室長】  小佐古先生、どうもありがとうございました。今ここでは、ぜひ、こういう方向性がいいのかをまず皆さんで議論していただいて、それがよければ、次、我々はガイドラインの中身をもうちょっと詰めてというような方針で行きたいと。それで、さっき先生からあったように、周知、教育とかそういうのがいろいろ大変ですので、まず、1年先とか何かじゃなくて、ガイドラインは速やかに、それこそ今やりたいので、その辺は、またこの委員会で議論してもらいたいのか、それと、ワーキンググループもありますので、そちらでやるのか、そこも我々は考えたいので、まず、ここでは方向性だけをお願いしたいなと思っております。

【寺井座長】  どうぞ。

【渡辺原子力安全監】  それから、そもそも法律は国会議員の先生方が決めていただくので、役所が決めるわけではないんですけれども、役所はあくまで、国会議員の先生方が議論する素案をご提案さしあげるという立場でございますが、先ほど小佐古先生からお話がありましたが、少量の核燃料物質の取り扱いについては、炉規法の中では一つの重要なテーマだと思っておりまして、前回の改正ではクリアランスが一つの大きなテーマだったわけでございますが、これも別な意味で、規制強化という意味で重要なテーマなので、場合によっては、何かのついでにということではなくて、これ単独でやってもおかしくないような重要性を持ったものだと思いますので、我々そういう覚悟で今、検討しているということは申し上げておきたいと思います。

【寺井座長】  ありがとうございました。とりあえず可及的速やかに、移行措置という意味合いも含めて、ガイドライン的なもので作業をされたいというのが規制当局のお考えでございまして、もう一つは、適切な時期に法制度化していくというところも念頭に置いておられるというご意見でございます。

 一応、規制当局のほうからは、そういうふうなご意見というか、お考えでございますけれども、委員の先生方から、ガイドライン的なものをまずはつくって、今、はっきり言うと300、900しかありませんので、より事業者に対して、緊密な管理をしていくと言うとおかしいですが、指導していくという線を出したいということでございますが、いかがでしょうか。その方針でよろしいでしょうか。

 瓜生委員、どうぞ。

【瓜生委員】  ガイドラインを早急につくって、周知していただいて、事業者から教育に取り組むと。僕は非常によろしいと思うが、一応、今の皆さんのご発言を聞いていると、とにかく法規制が最終目的地であって、その経過をこういうふうにやりたいということでしょうか。

【吉田原子力規制室長】  はい、そのとおりです。

【瓜生委員】  そうすると、その法規制があまり過度にならないような方法でやりたいという認識で。

【吉田原子力規制室長】  要するに、ちゃんと安全管理ができ、なおかつ、現状からというから過度というのだと思うが、現状を、今は300なり、900なり、上限は結構高いので、それを、例えば1とか3にした場合は極端に下がりますので、それでいいのか。いずれ、上がる方向ではなくて、下がる方向へ行くが、そこは今後、ガイドラインをまず示して、運用を踏まえて、将来は法律でぴしっと明確にしていきたいと思っております。

【瓜生委員】  ちょっと気になるのは、例えば10グラム使っているところとトンオーダーで使っているところが同じ網がかかるのは、いかにもひどいじゃないかと思ったが……。

【小佐古委員】  900グラムだから、900と300以下のことを議論しているのだから、トンは議論していないです。トンは既に存在している。

【寺井座長】  300、900と1グラム、3グラムのところに、900以上と3グラム以上900以下を同じに扱うということではないんだろう。それは具体的なガイドラインの中身の議論ということになると思うが、多分その辺は、実態に応じた管理ということになろうかと思います。基本的には、もう少しきめ細やかな管理をする、あるいはそのご指導をされるということかと思いますので、よろしいでしょうか。

 大体の感じは、ガイドラインをつくって、それでやってみたらというご意見かと思いますので、特にご反対がなければ、ガイドラインをつくっていただくという方向で行きたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 特に反対はないようでございますので、それでは、事務局にガイドラインの素案を今後、準備をいただきたいと思います。一応、骨子というのが今日出ていまして、2ページにありますけれども、核燃料物質の使用、貯蔵、廃棄物の管理、その他、特に使用者に対する教育の実施というようなところが骨子として挙げられていましたが、この辺のところに基づきまして素案を準備いただきまして、次回の検討会で議論をさせていただきたいと思いますので、事務局のほうでは素案のご準備をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

【吉田原子力規制室長】  はい。

【寺井座長】  それでは、そういうことでよろしくお願いいたします。

 用意いたしました議題は以上でございますけれども、ほかに、委員の先生方から何かご発言いただくべきこと、ございますか。

 どうぞ、小佐古委員。

【小佐古委員】  こちらの原案のところにもご提案があるが、利用の実態というのは多岐にわたっておりますし、いろいろありますので、短期間にここでワークをつくってやると言われるよりは、そういう関連の方がいらっしゃる学協会のほうにぜひ原案を出してみようとか、学協会なんかでガイドラインをつくることを奨励していただいて、ある程度そういうものを、こういうところでいいのか、悪いのかを議論していただく、2段階の構造をとっていただくほうが、実態の反映といいますか、皆さんの利便性を、今、瓜生委員のほうからご指摘がありましたけれども、上手に組み込むことができるのではないのかなと思うんですね。ぜひそういうプロセスを踏んでいただけると、皆さんがお困りにならないで、いいものができるのではないのかなと思うが、よろしくお願いいたします。

【寺井座長】  事務局のほうは何かございますか、今のご意見につきまして。

【吉田原子力規制室長】  そういう観点を含めて、今後、検討させてもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【寺井座長】  貴重なご意見、どうもありがとうございました。

 それでは、事務局のほうから連絡事項等をお願いいたします。

【吉田原子力規制室長】  本日は、ご議論いただきましてありがとうございました。

 次回の開催につきましては、別途調整の上、事務局で連絡させていただきますけれども、先ほども座長から申し上げましたように、炉規法の17年の改正法については、今月いっぱいにコメントをもらって、座長預かりで、事務局で成案をつくりたいと思っています。

 それから、少量の核燃料物質については、今、小佐古委員からもありましたようなことを踏まえて、今後、検討会も含めて、先ほどちらっと言いましたけれども、技術検討会がいいのか、それとも、技術検討会に学協会の人を含めてやったらいいのか、または、学協会にこちらから素案を出して、学協会でもんでもらうほうがいいのか、いろいろやり方も含めて、これから我々検討して、皆さんにこの場で、素案、それから1次案、2次案になるかもしれませんけれども、そういうことを提案していきたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【寺井座長】  そういうことで、今日の議題は以上でございます。

 委員の先生方には非常に活発なご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。それから、傍聴者の皆様におかれましては、円滑な議事進行にご協力いただきまして、どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして第31回研究炉等安全規制検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

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