資料30-1 平成17年原子炉等規制法改正に係る施行状況について審議の整理(核物質防護関係)

平成22年11月12日
文部科学省
科学技術・学術政策局
原子力安全課原子力規制室

1.原子炉等規制法の改正とその後の制度整備の状況

○  「試験研究用原子炉施設等の安全規制のあり方について」(平成17年1月14日 文部科学省研究炉等安全規制検討会)に従い、核物質防護強化策として、平成17年の法改正により、(1)設計基礎脅威(DBT)の策定と適用、(2)原子炉設置者等に対する守秘義務制度の導入、(3)核物質防護検査の導入等が行われた。

○ 具体的には、設計基礎脅威の策定と適用については、省令(試験炉規則、使用規則)において防護措置の内容として規定するとともに、原子炉設置者等に対する守秘義務制度の導入、核物質防護検査の導入については、原子炉等規制法に規定した上で、その詳細について、政令(炉規法施行令)、省令にそれぞれ規定した。

○ また、研究炉等安全規制検討会の下に設置された核物質防護ワーキンググループにおいて検討を行った上で、(1)防護目標の設定、(2)審査要領書・原子炉設置者等ガイドライン等の整備、(3)核物質防護検査官への研修、核物質防護検査要領書等の作成が行われてきた。

2.施行状況

(1)設計基礎脅威(DBT)の策定と適用

○ 試験炉規則第14条の3第5項、使用規則第3条の3第5項において、「特定核燃料物質の防護のために必要な措置については、文部科学大臣が別に定める妨害破壊行為等の脅威に対応したものとしなければならない」と定められ、原子炉等規制法第43条の2第1項等の規定による核物質防護規定の認可の際に、その措置の内容が確認されている。

(2)原子炉設置者等に対する守秘義務制度の導入

○ 原子炉等規制法第68条の3に秘密保持義務の規定を設け、原子力事業者等、国又は原子力事業者等から委託されたもの等、国の行政機関等の職員等は、特定核燃料物質の防護に関する秘密を漏らしてはならない旨規定されるとともに、同法78条においてその罰則を設けられている。なお、法施行後、罰則が適用された例はない。

(3)核物質防護検査の導入

○ 原子炉等規制法第43条の2第2項(試験炉)、同法第57条の2第2項(使用施設)にて、それぞれ準用する同法第12条の2第5項において、核物質防護規定の遵守状況の検査の規定が設けられるとともに、検査の頻度(年1回)が、試験炉規則第16条の2の2第1項、使用規則第3条の4の2第1項でそれぞれ規定されている。なお、これまでの検査の結果、核物質防護規定の遵守義務違反はない。

(4)その他

1 防護目標の設定

○ 省令に基づき、設計基礎脅威(Design Based Threat)が適用される事業所においては、文部科学大臣が別に定める妨害破壊行為等の脅威に対応した防護措置を講じる必要があるため、DBTに対応した防護措置を実施するための評価手法を定めた要領書が文科省において作成され、本要領書の中で、不法移転の防護目標、妨害破壊の防護目標をそれぞれ設定した上で、本要領書が事業者に提示されている。

2 審査要領書・原子炉設置者等ガイドライン等の整備

○ 核物質防護規定の認可に係る執務要領が整備されるとともに、核物質防護規定の認可申請に係る記載要領が事業者に提示されている。

○ 秘密情報の取扱いについても、研究炉等規制検討会での検討結果を踏まえ、事業者にガイドラインが提示されている。

○  また、核物質防護のための検知センサーの特徴や情報の管理等についての参考資料が作成され、事業者説明会を通じて、文科省より事業者に提示されている。

3 核物質防護検査官への研修、核物質防護検査要領書等の作成

○ 核物質防護検査のための要領書が定められ、当該要領書に従って検査が実施されている。また、核物質防護検査においては、核物質防護模擬訓練評価、防護設備及び装置の性能試験評価、並びに、脅威到達時間評価も併せて実施されているが、それぞれについて要領書が作成されている。

○ 新たな核物質防護検査官に対しては、研修を実施されるとともに、全ての核物質防護検査官に対し、毎年必要な研修が行われている。

3.論点整理

(1)関係法令関係

○ 平成17年の原子炉等規制法改正については、現時点で法律改正の必要はなく、関係する政令、省令についてもただちに改正が必要な事項はないと考える。

(2)今後の運用面での課題

1 守秘義務制度と情報の共有・発信

○ 事業者間での核物質防護に関する情報共有の促進が必要。

○ 核物質防護に関係する従業者に加え、その他一般の従業者に対する核物質防護に対する意識の啓蒙が必要。

○ 核物質防護を実施していることを事業者から発信(見せる核物質防護)することが重要。なお、事業所を訪れる者に対し、毅然とした態度で核物質防護のためのルールに従って頂くことも広報と啓蒙の観点から重要。

2 効果的な核物質防護措置の実施

○ 事業者と治安機関の間の意思疎通が極めて重要。例えば、治安機関の担当者を招いて事業者に対する講演を行う等の方策を検討すること。

○ 必要な核物質防護措置を満たした上で、事業者に過度な負担を強いることのない合理的な運用方策の追求も必要。

3 核物質防護措置に対する事業者責任

○ 核物質防護検査で防護規定遵守義務違反の指摘がない場合でも、事業所における防護措置は事業者の責任であることを再認識させること。

お問合せ先

科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

(科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室)