研究炉等安全規制検討会 技術ワーキンググループ(第11回) 議事録

1.日時

平成22年6月3日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省15階 科学技術・学術政策局会議室1

3.議題

  1. IAEA SRS No.44の評価手法に準拠したU-234、U-235及びU-238のクリアランスレベルの計算結果について
  2. ウランを取り扱う施設におけるクリアランスレベルの確認について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料11‐1 IAEA SRS No.44の評価手法に準拠したU‐234、U‐235及びU‐238のクリアランスレベルの計算
  • 資料11‐2 ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの確認について(案)
  • 参考資料1 研究炉等安全規制検討会第10回技術ワーキンググループの速記録
  • 参考資料2 省令に反映させるべき事項について

5.速記録(第11回技術ワーキンググループ)

研究炉等安全規制検討会第11回技術ワーキンググループ

平成22年6月3日

【吉田原子力規制室長】
 それでは、定刻となりましたので、第11回研究炉等安全規制検討会技術ワーキンググループを開催させていただきます。
 委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、当技術ワーキンググループで取りまとめていただく報告書についてご議論いただくことを予定しております。
 それから、6月1日から軽装で励行いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、川上主査からよろしくお願いいたします。

【川上主査】
 それでは、私のほうで議事を進めてまいりたいと思います。まず、最初に本日の配付資料につきまして、事務局より確認をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】
 資料の確認をさせていただきます。議事次第の配付資料のところをごらんください。資料11‐1、「IAEAのSRS No.44の評価手法に準拠したU‐234、U‐235及びU‐238のクリアランスレベルの計算」ということで、これは後ほど木村委員からご説明いただく資料11‐1です。
 それから、資料11‐2といたしまして、「ウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの確認について(案)」ということで、今回、主に議論いただく報告書の案ということでございます。
 それから、参考資料の1として、前回、「第10回の技術ワーキンググループの速記録」、それから、参考資料2として1枚紙でございますけれども、「省令に反映させるべき事項について」ということで、以上が本日の資料でございます。
 それから、各委員のところに置いてある常備資料、ピンク色の紙ファイルですけれども、この中に今までと同じように「原子力安全委員会の報告書」、それから、「RS‐G‐1.7の概要」、「これまでの文科省のクリアランスレベルの検認のあり方について」という平成17年のときの報告書などを入れておりましたけれども、今回、前回の「第10回の技術ワーキングの資料の一部」、前回ご議論いただきました論点整理についてというものと、それから、報告書の骨子案について入れているところでございます。
 以上です。

【川上主査】
 ありがとうございました。資料、よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 それでは、本日の1つ目の議題でございますが、「IAEA SRS No.44の評価手法に準拠したU‐234、U‐235及びU‐238のクリアランスレベルの計算結果について」でございます。まず、前回のワーキングで、このワーキンググループでございますが、小佐古委員からご指摘がございまして、本日のワーキングでご紹介するということになっておりました。JAEAにおいて「IAEA SRS No.44の評価手法に準拠したU‐234、U‐235、それから、U‐238のクリアランスレベルの計算の結果について」、これを実際に計算を担当されました木村委員にご説明をお願いしたいと思います。
 木村委員、よろしくお願いいたします。

【木村委員】
 ありがとうございました。JAEAの木村です。それでは、資料11‐1に基づいて説明したいと思います。本資料は先般の2月22日の保安院のウランクリアランス検討ワーキングで使用された資料と同じものでございます。
 最初に「はじめに」として、IAEAのSRS No.44におきましては、天然起源の放射性核種でありますU‐234、235、238に対して線量計算をベースとした基準線量に対する放射能濃度によるクリアランスレベルの推定が行われておりません。そこで、本資料ではNo.44の評価に使用されていますモデルを用いた場合、U‐234、235、238に対するクリアランスレベルの計算を行ったものでございます。
 また、パラメータにつきましてはSRS No.44におけるパラメータ設定を基本的に踏襲し、使用しますが、外部被曝の実効線量換算係数とか、吸入及び経口摂取に対する実効線量係数、皮膚被曝の等価線量換算係数につきましては、U‐234、235、238及びその子孫核種に対しまして、本解析の中で新たに計算をして設定したりしております。また、土壌からの農作物の移行係数などの元素に依存するパラメータのうち、SRS No.44において記載のない元素のパラメータについてもここで新たに設定をしております。
 次に評価方法ということで、(1)といたしましてシナリオ及び被曝経路でございます。シナリオにつきましては、表1に示しますようなシナリオをSRS No.44では想定しております。被曝経路も右側のほうに述べてありますように、記載されていますような被曝経路を計算するということになっております。
 2ページ目に移りまして、No.44におけるクリアランスレベル導出のアプローチとして、クリアランス対象の物質の単位濃度、1Bq/gに対する線量計算による導出の方法が用いられておりまして、具体的には以下の2種類の方法が適用されております。最初に現実的なパラメータを用いた線量計算の結果に対しまして、10μSv/yの実効線量基準を適用するというものです。2番目に低確率なパラメータを用いた線量計算の結果に対しましては、1mSv/yの実効線量基準を適用する。ただし、皮膚被曝の経路に対しましては50mSv/yの皮膚の等価線量限度を使用するというその2つでございます。
 本解析におきましても、同様の導出のアプローチを採用しまして、先ほどの表1に示した評価シナリオ及び被曝経路の線量を計算します。なお、同一の評価シナリオにおける個人に影響する被曝経路の重畳を考慮した線量を評価するというやり方をしております。
 (2)としてモデル及びパラメータでございます。評価モデルに関しましては、SRS No.44における同じ評価モデルを用いることとしまして、U‐234、235及び238のクリアランスレベルを計算しました。使用しました評価モデルにつきましては、この資料の後ろのほうの参考資料1のほうに示してございます。今回は時間の関係でそのモデルについては詳細は触れません。
 次にクリアランスのレベルの計算におきましては、子孫核種の生成によりまして長期的に被曝線量が増加するということが想定され、その影響を考慮する必要があります。SRS No.44においては、子孫核種の生成の影響による線量の過小評価にならない期間として100年間を設定し、100年間におけるビルドアップする子孫核種の最大寄与を求めまして、その親核種に対する比を線量計算の中で考慮しております。U‐234、235及び238を対象とした本解析でも同様に100年間における234、235、238の子孫核種の生成寄与を考慮することといたしました。
 234、235及び238の崩壊系列を図1及び図2のほうに示してございます。本解析におきましては、図中の子孫核種に対しまして半減期が10日未満の子孫核種は親核種と放射平衡にあるとして、半減期が10日未満の子孫核種は親核種の線量換算係数に子孫核種の寄与を含めて計算する。半減期が10日以上の放射性核種につきましては、崩壊連鎖に伴う減衰/生成を計算しております。その結果、U‐234、235、238の3核種の場合、100年後が子孫核種の寄与が最大となるということになります。計算したU‐234、235、238に対する各子孫核種の最大濃度の割合を表2のほうに示してございます。それは4ページの上のほうの図になります。
 また、パラメータにつきましてはSRS No.44における現実的及び低確率なパラメータとして設定されております値を基本的に踏襲して使用しておりますが、外部被曝の実効線量換算係数及び吸入及び経口摂取に対する実効線量換算係数、皮膚被曝の等価線量換算係数につきましては、U‐234、235及び238及びそれらの子孫核種に対して本解析の中で新たに設定をしております。土壌から農作物への移行係数などの元素に依存するパラメータのうち、SRS No.44において記載のない元素のパラメータについても新たに設定しております。以下、4ページにパラメータの設定の仕方について説明します。
 まず最初に外部被曝実効換算係数ですけれども、U‐234、235、238及びその子孫核種の以下に示す外部被曝経路に対する実効線量換算係数をNo.44に記載されております計算条件に基づきまして点減衰核積分法による遮蔽計算コードでありますQAD‐CGGP2により算出しております。シナリオWL(処分場での作業者の外部被曝)及びRP(汚染された物質で建設された公共の場所での子供の外部被曝)。シナリオRHといいますのは、汚染された物質で建設された建屋の居住者の外部被曝。シナリオWFというのが鋳物工場での機器及びスクラップの山からの作業者の外部被曝。及びWOといいますのは、機器及びトラックの荷からの作業者への外部被曝。この計算条件、外部被曝換算係数の計算条件を5ページの上の表3に示しております。
 光子エネルギー及び発生率はJAERIのデータコード、2001‐004のデータを使用しております。また、JAERIデータの2008‐001においてコンクリート及び鉄のビルドアップ係数が各照射ジオメトリに対します光子エネルギー及び材料の厚さの条件との関係で整備されておりまして、対象核種の光子エネルギーと各シナリオで想定した材料の厚さに対するビルドアップ係数を使用しております。算出しました外部被曝実効換算係数の結果一覧を同じく5ページの表4に示してございます。No.44では子供を評価対象としたシナリオ、RHの評価においては、成人に対する外部被曝の実効線量換算係数を1.2倍した2割増しという評価を行っておりまして、同様に成人に対する外部被曝換算係数を1.2倍にした計算をここでも行っております。
 5ページの下のほうに移りまして、吸入及び経口摂取に対する実効線量係数、皮膚被曝の等価線量換算係数につきましては、U‐234、235、238及びそれらの子孫核種の吸入及び経口摂取による実効線量係数及び皮膚被曝の等価線量換算係数はNo.44の中に示されておりません。そこで、本解析では作業者に対する吸入及び経口摂取による線量係数は、ICRPのPubl.68、一般公衆に対しましてはPubl.72の線量係数を設定してございます。皮膚被曝の等価線量換算係数につきましては、Radiation Protection 65の値を基本に、値のない放射性核種に対する皮膚被曝の等価線量換算係数に関しましてはHealth PhysicsのVol.53等により値を設定してございます。これらに関しましては次のページの表5、6に示してございます。
 次に、元素依存のパラメータですけれども、地下水による核種移行を対象としたシナリオに必要なU‐234、235、238及びそれらの子孫核種の元素に依存する評価パラメータ、すなわち汚染層及び不飽和層における分配係数とか、土壌から農作物への移行係数、河川水から魚類への濃縮係数はNo.44に記載されているものを使用します。ただし、記載がない元素につきましては、No.44の中で引用している文献からその値を決定することというふうにしております。No.44において記載のない元素に対する汚染層及び不飽和層の分配係数は、No.44と同様に現実的なパラメータ設定係数におきましては、地下水による核種移行の線量を評価するコードRESRADで設定されておりますデフォルト値、これは参考文献7の表のE.4の値を使用してございます。
 低確率なパラメータの設定ケースでは同文献の中で設定されています分配係数の最小値を使用してございます。また、No.44におきまして記載のない元素に対する農作物への移行係数及び河川水からの魚類への濃縮係数につきましては、No.44の引用文献でありますSRS No.19の値を使用することとしております。汚染層及び不飽和層における分配係数を7ページの表7に示してございます。土壌から農作物への移行係数につきましては表8、また、魚類への濃縮係数は8ページの表9に示してございます。
 No.44の溶融過程に関するWF、RFシナリオの吸入被曝につきましては、微粒子の放射性物質の濃縮係数1から70というのが用いられております。Ac以外の元素につきましてはNo.44において設定されている値を用いております。Acに対する微粒子の濃縮係数に関しましてはNo.44の引用文献でありますECのRP‐89の中でさらに参照されていますECのRP‐117の溶融後の生成物に対する重量比と溶融過程におけるインゴットやダストへの移行係数から推定しておりまして、U、Th、Ra等と同じ微粒子への濃縮係数であります10を設定してございます。それらは表10のほうに示してございます。
 次に、最後に計算結果ということで、現実的なパラメータと低確率なパラメータを用いた場合のU‐234、235、238に対する線量計算の結果を表11及び表12に示します。表11は、各被曝経路のクリアランス対象の物質の単位濃度に対する最大線量の結果を示しておりまして、表12は核種の量における被曝経路を重畳した最大線量の結果でございます。また、実効線量基準に対するU‐234、235及び238の放射能濃度の結果を表13に示してございます。U‐234と238の決定シナリオ、決定経路は現実的なパラメータを用いたWLのシナリオの処分場での作業者に対する吸入被曝経路となっております。また、U‐235に対する決定シナリオは、234、238と同様に現実的なパラメータを用いたWLシナリオとなりましたけれども、被曝経路としてはWLシナリオにおける作業者の外部被曝経路が決定経路ということになっております。
 これらの決定シナリオの実効線量基準に対するU‐234、235及び238の放射能濃度はそれぞれ1.2Bq/g、0.53Bq/g、1.1Bq/gという値になっております。この各核種に対する放射能濃度の結果に対しまして、SRS No.44では規制免除に係る放射能濃度を評価する際に用いる手法、計算値が3×10xと3×10x+1の間である場合、10x+1とするというやり方を適用しますと、表14に示しますようにU‐234、235、238に対するクリアランスレベルは、いずれも1Bq/gとなってございます。
 説明は以上でございます。

【川上主査】
 木村委員、どうもありがとうございました。
 ただいまご説明いただきました内容につきまして、ご質問、あるいはご意見がございましたら、よろしくお願いいたします。

【小佐古委員】
 小佐古です。少し細かい話なのですが、表7の現実的な低確率のというのが一覧表になっているのですが、トリウムのところだけが何かえらい数字が違うのですけれども、これはどうしてですか。あるいはほかのところが文献値がないので引っ張っているからこうなったということなのでしょうか。下のウランを見てもそんな傾向があるのですけれども。

【木村委員】
 トリウムに関しましては唯一ここで――唯一というか、ウランとトリウムだけ値が載っているというもので、ほかのものに関しましては確かにおっしゃるようにデータのばらつきというのがトリウムはすごい極端でございまして、この辺に関しましてはデータがどうも現実的と言いつつもかなり極端に大き過ぎるというのは、トリウムに対しては極端に大き過ぎると思います。ほとんど沈殿状態、即沈殿するような感じですので、いろいろなそういうあれも含んでしまったデータになっているとしか、今の時点ではコメントできません。多分、おっしゃるようなものだと思います。

【小佐古委員】
 Decay chainの中におけるトリウムのポジションというのがそれほど大きくないのかもしれないので、結構です。ありがとうございました。

【川上主査】
 ほかによろしいでしょうか。これはある意味で念のためにやっていただいたという側面がございますので、結論から言えば、ほぼ妥当な範囲におさまっていると理解してよろしいのではないかと思います。よろしいですね。ありがとうございました。
 それでは、次、引き続き今日のメインの議題についてご議論いただきたいと思います。前回のワーキングでご議論いただいた報告書骨子(案)でございますが、これに基づきまして事務局のほうで報告書の案を用意していただいております。それでは、事務局から報告書原案の説明をお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】
 資料11‐2の説明に入る前に、実は前回のワーキングでご議論いただいた論点整理等なのですけれども、前回のワーキングからかなり間があいてしまったので、前回の議論を簡単に思い出していただくという意味で、ピンクの常備資料の中に先ほどご説明しましたように前回ワーキングの資料の「これまでの論点整理について」という資料、横紙のポンチ絵ですけれども、それと骨子(案)を入れておりますので、それを簡単におさらいでご紹介したいと思います。
 まず、「これまでの論点整理について」ということで横紙があると思いますけれども、6つほど論点を事務局から提示させていただきましてご議論いただきました。まず、めくっていただいて論点1、文科省としてのこのウランクリアランスの適用範囲ということで、どこまですることが適当かということで1、2、3と並べさせていただきました。まずは当然、金属資材であるということ、それから、使用履歴等から精製されたウラン以外の核燃料物質を取り扱っていないということが明らかであること、これはいわゆる原料物質を扱っていないということでこのように書いています。それから、原子力安全委員会のウランクリアランス報告書にも示されている評価対象核種、ウランの5核種と限定されることということでございます。
 それから、論点2の評価対象核種、これは繰り返しになりますけれども、このウランの5核種でよいかということでご確認をさせていただいたところでございます。
 それから、めくっていただいて論点3ですけれども、放射性核種濃度を評価するための評価単位ということで、これはRS‐G‐1.7とか、あるいは原子力安全委員会のクリアランスの再評価報告書と呼ばれるものでは、年間10μSvに相当するグラム当たりのベクレル数ということで濃度が示されているということで、基本的には数トン以内。ただし、偏りがないということが明確に確認できる場合には10トンまで拡張してもよいというようなことは書かれておりましたけれども、これまでのこのワーキングの議論の中で、特に評価単位については何トンとか、この報告書の中で決めるような話ではないのではないかというご指摘もありましたので、まずはこれまでの濃度を求める考え方と、ここでのご議論をいただいた結果を踏まえて数トン以内を基本として、あとは事業者、それから、実際、審査の中で適切な評価単位を定めていくべきであるということを示すのが適切ではないかというご意見をいただいたところでございます。
 それから、論点4、評価単位と測定単位。これは特に服部委員からもご指摘がありましたけれども、評価単位と測定単位というのは通常、我々のクリアランスの事例でも必ず同一の単位になっていないということではないかということで、測定単位については評価単位の中に適切に設けて濃度の評価を行うということを実際やっておりましたので、そういったこともちゃんと書くべきではないかというご指摘でございました。
 それから、次にめくっていただいて論点5のクリアランスレベルですけれども、ここは今まで一番ご議論いただいたところだと思います。ウラン5核種、評価対象核種として選んだウラン5核種のそれぞれのクリアランスレベルについて、それぞれ0.1、1、10ということになっていたのですけれども、これをどう説明するかというところで、原子力安全委員会で天然に存在する放射性核種ということで、特にU‐234、235、238について1だと。
 これはRS‐G‐1.7の値と比較してもイコールであるという流れだったのですけれども、そもそもそのRS‐G‐1.7というのは世界中の土壌調査などによって1ということで、形式的に規制除外、これは前回、すみません、「規制免除」と書いていたのですけれども、「規制除外」の概念を適用して機械的に定めた数字であるので、今回、我々、このウランのクリアランスレベルを検討する際には規制の中に入って、すなわち精製されて以降のウランを扱っているもので考えるべきだということで、単純に比較するというのはなかなかよろしくないのではないかというご議論でございました。したがって、報告書に落とすときにはあまりRS‐G‐1.7との比較とか、そういったことをあまりごちゃごちゃ書くとどう考えても整合性がとれない内容になってしまうので、ここら辺はあまり書くべきではないという結論を前回いただいたと記憶しております。
 それから、論点6ですけれども、クリアランスレベル以下であることの判断基準。これは論点5とつながる話ですけれども、U‐234、235、238というのが、いわゆる天然起源というよりも、これはむしろ精製された以降のものなので人工起源の核種と同等に扱うべきではないかということで、すべての5核種、5核種すべてについてΣD/Cで判断基準を位置づけるべきではないかというご指摘でございました。ここは原子力安全委員会のウランクリアランスの報告書の中でU‐234、235、238はRS‐G‐1.7の考え方を適用して、それぞれについてクリアランスレベル1以下という考え方とは反しているところでございますが、ご議論いただいた結果は5核種すべてでΣD/Cが1以下とするということで結論をいただいたと記憶しております。
 以上が前回、特に論点ということでご議論いただいたところですが、黄色い紙をめくっていただいて、これもまた前回ご説明した骨子の案ということで、論点になるところについては、先ほどご説明したとおりですけれども、一応、報告書の流れということで「はじめに」ということで、いろいろなこれまでの状況とか、原子炉等規制法改正以降のお話であるとか、それから、文部科学省の、これは旧JRR‐3の研究炉のクリアランスの事例から得られたような知見、こういったものをご紹介しながら第3章としてウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの検認ということで、対象物とか、先ほど論点整理させていただいた適用範囲であるとか、評価対象核種とか、クリアランスレベルとか、そういったことを述べさせていただいているというところでございます。
 たしか前回、この中で特に濃度の過度な偏りがないところをあまり規制側として厳格にやり過ぎるのはどうかというようなご指摘があったように記憶しております。すなわち、部分的に測定したときにクリアランスレベルの10倍以内の範囲の値が出たとしても、評価単位としてクリアランスレベル以下であれば、それは濃度としてはクリアしているのではないか。そういったことを規制行政庁もちゃんと認識しておかないと過度な規制になってしまうというようなご指摘をいただいたところでございます。
 以上が前回ご議論いただいた論点等でございますが、いよいよ資料11‐2ということで、前回のご議論等を踏まえた上で報告書(案)を用意させていただきました。まず、1ページというところで「はじめに」というところが第1章であると思います。これは今までのこの原子力安全委員会とか、それから、IAEAのRS‐G‐1.7が出た経緯など、それから、原子力安全委員会のウランクリアランスの報告書の検討経緯とか、あるいは結論というものをここで書かせていただいております。
 それから、3ページですけれども、これは第2章ということで、文科省におけるこれまでのクリアランスに係る状況ということで、平成17年の原子炉等規制法でクリアランス制度、炉規法の中に導入されましたということで、その炉規法の中では枠で囲ってあるところですけれども、まず、クリアランスするときには事業者による事前の評価、それから、その評価に基づいて、まずは法に基づいて測定及び評価の方法について国の認可を得る。それから、実際にその認可が得られた方法によって事業者は評価の対象物に対して測定や評価を行っていただく。最終的にその対象物に対して、その濃度がクリアランスレベル以下であることを国が実際に確認するということで、そういう流れで法律の中では定められたということでございます。
 それから、炉規法の改正以降のことですけれども、文科省、それから、原子力安全・保安院でもそうなのですけれども、実際にクリアランスレベル以下である濃度の基準とか、評価対象核種であるとか、それから、クリアランスレベル以下であることの判断基準、これはΣD/Cが1以下であるとか、そういったものをルール化した規則というものを定めております。したがいまして、今回、ウランクリアランス、検討いただいておりますけれども、ここで評価対象核種とか、その評価対象核種に対するクリアランスレベルについては、この規則の中に追加して記載するという形になるだろうと考えているところでございます。
 それから、3.として、これは文科省のクリアランスの事例ということで、原子力機構の旧JRR‐3、これは改造工事を平成元年前後に行ったのですけれども、そのときに出た約4,000トンのコンクリート、これのクリアランスの認可申請が平成19年に最終的に行われ、20年に文部科学大臣に認可されたということで、また、その後、つい先日ですけれども、平成22年の5月14日にその約4,000トンの中の一部、約380トンですけれども、そのコンクリートについて実際、文科省が確認して、その確認証を交付したということでございます。
 このコンクリートのクリアランスについては、まず測定及び評価の方法の認可のときの審査のときに文科省が委嘱している原子力技術アドバイザー、これは外部の有識者ですけれども、その方々から意見を聴取して、また実際に現地の調査にも行っていただいているということで審査を行いました。また、その認可した後は炉規法に基づく保安規定遵守状況検査、いわゆる保安検査と一般的に我々は呼んでいますけれども、その保安検査の中で実際に事業者が適切にコンクリートをコンタミネーション等がないような形で保管しているということも確認しているということでございます。それから、最終的に文科省が濃度の確認を行うときには、書面、それから、実際に行って文科省が抜き取りを行って測定するというようなこともあわせて最終的に問題なしということで確認証を交付したという流れでございます。
 それから、ページをめくっていただいて、5ページ目以降が今回のウランクリアランスについてということで種々書いているところでございますけれども、まず1.としてクリアランスレベル確認の対象物。これは、対象物は原子力安全委員会のウランクリアランス報告書では主に金属の資材が出てくるということで、金属を対象物として検討されているということで文科省としても、当面という形になるかもしれませんけれども、まずは対象物としてはウランの取扱施設から出る金属のクリアランスということで考えていこうということでございます。ちなみに、その金属についての評価は原子力安全委員会の中では主なウラン取扱事業者であります原子力機構、それから、新金属協会核燃料加工部会、日本原燃のクリアランス計画とか、実際のその金属の状況等をもとに評価されているということでございます。
 それから、(2)の適用範囲ですけれども、これは先ほどの論点整理の1でありましたけれども、まずは文科省の、いわゆる炉規法の第53条の第3号、いわゆる第52条の使用の許可ですけれども、核燃料物質の使用の許可を持っている使用施設において保管されている金属であるということ、それから、精製されたウランや、それから再処理を経た回収工程によりウラン以外の放射性核種がほとんど取り除かれた回収ウラン、いわゆる回収ウランですけれども、そういった回収ウラン以外の核燃料物質を取り扱っていない、例えば核燃料物質の使用の許可の中にはプールの許可も持っているようなところとか、いろいろな核種の許可を取っているところもありますので、そういったウラン以外の核種の許可を持っておらず、かつそういったもので汚染されてはいないということが使用履歴等から明らかであることと、それから、3番目として評価対象核種が、ここではIIIの2.(1)と言っていますけれども、これはいわゆるウランの5核種ということに限られることということで、適用範囲を定めているところでございます。
 なお、評価対象核種がウラン5核種に限られるということですけれども、これは原子力安全委員会のウランクリアランスの検討の中で、いわゆる相対重要度が3桁以内に入るということで評価して、ウランの5核種しかないということで判断された評価対象核種ですので、仮にその3桁以内の中に別の核種が入ってくるようなものが実際の事業者の事前の調査であるとか、あるいは文科省の審査の中でそういったものがあるのではないかというようなおそれが出てきた場合には、それは現時点では対象外とせざるを得ないだろうと考えているところでございます。
 それから、(3)既に解体されたもの。これは制度ができる以前に既に解体されてかなり期間が経っているようなものということですけれども、こういうものについては実際このウランクリアランスのいろいろな検討を踏まえたような調査とか、あるいは事業者において測定評価というのが行われていない可能性が多分にありますので、そういったものが審査等の中で可能性が指摘される場合にはやはり事業者さんには再評価を行っていただくというようなことは当然のことながら必要になるであろうと考えていることを指摘しております。
 それから、2.のクリアランスレベルの確認の基準ということで、まず(1)評価対象核種ですけれども、これは繰り返しになりますけれども、論点整理等踏まえてウランの5核種ということで文科省の濃度規則の中に定める。クリアランスレベルとともに定めることが必要であるということを指摘させていただいております。
 それから、ページをめくっていただいて、(2)の上のほうを見ていただいて、実際、原子力安全委員会の中でのウランの評価というのは、原子力機構の人形、あとは新金協、いわゆるウラン燃料の加工施設のいろいろな受入仕様とか、規格とか、分析値などをもとに評価されたのですけれども、これは文科省のウランの使用の許可を取っているような施設で扱われているウランも、これはおおむね包含されるだろうと今のところ考えております。ただ、前回のワーキングでもご指摘いただいたとおり、核種組成が今後変わってくる。例えば回収ウランを何度も繰り返すであるとか、そういったことになって評価対象核種というのが場合によっては見直さざるを得ないとなった場合には、関係府省とも調整した上で評価対象核種を見直す。そこは柔軟に対応していくことが必要ではないかということで、そのような考えをここで書かせていただいているところでございます。
 それから、(2)の評価単位ですけれども、これは先ほどの論点整理のとおり、数トン以内が適切。ただ、数トン以内ということを前提に、あとは審査、あるいはその事業者の対象物の状況とか、あるいは測定器の測定範囲等含めて適切にそれは設定することが必要であるということを書かせていただいております。
 それから、マル2の測定点・測定単位ですけれども、これも先ほどの論点整理にありましたとおり、基本的には全表面、あるいは全数測定ということ、それから、測定単位については評価単位の中に適切に設けて、その全体でもって評価単位の濃度を評価するという方法も考えられるということを書かせていただいております。
 ちなみにですけれども、マル2の最後のところに書かせていただいておりますJRR‐3のコンクリートのクリアランスのときには評価単位を1トンとさせていただいて、その中に100キロごとに測定単位というものを設けまして、その100キロごとにゲルマニウム半導体で測定して1トン全体の評価、濃度の評価を行ったということでございまして、実際そのクリアランスが行われる場合には、このようなことが逆に一般的ではないかと考えております。JCOに委員の先生方に現地調査に行っていただきましたけれども、実際、測定器で測定したのはハイドラム缶の切り刻んであったもの、数キロ程度だと思いますけれども、それを測定しておりましたので、ただ、あのときのJCOの説明では、それを1トン以内でまたキャスターの中に入れているということなので、恐らく評価単位と測定単位というのはこの場合も違った形で出てくるのではないかと予想しております。
 それから、(3)のクリアランスレベルですけれども、これは先ほど木村委員にもご説明いただきましたけれども、最終的には原子力安全委員会の報告書にもあるような値、U‐232は0.1、U‐234、U‐235、U‐238は1、U‐236は10ということで、このようにすることが適切である。これは先ほどご説明しましたけれども、RS‐G‐1.7と原子力安全委員会の評価の仕方の比較云々をここで書き始めると、どうしてもなかなか苦しい内容になってしまいますので、あのときのご指摘を踏まえて結論だけをシンプルに書いた上で、先ほど木村委員にご説明いただいたことを表の下の注釈のところに書かせていただいているということでございます。
 それから、めくっていただきましてマル2の目安となるレベルということで、これは前回ご議論いただいた、あまり細かい範囲、例えば測定単位でクリアランスレベルが少しでも超えたらそれは全部アウトだとか、そういったことをやると、そもそも評価単位に対してクリアランスレベルを設けたというRS‐G‐1.7とか、そこら辺の考え方と相反することになってしまいますので、例えばこれは以前から原子炉のクリアランスのところでも考え方が示されておりましたけれども、例えばクリアランスレベルの10倍を超えない範囲で測定値が出たとしても、それは評価単位全体でクリアランスレベル以下であれば、そこは大丈夫なのではないか。それを逆に細かいことをやるとかなり過剰な規制を強いるおそれがあるということを従前から指摘されておりましたので、これはやはりこの技術ワーキングでの指摘も踏まえて、同じような考え方で審査側も評価していく必要があろうと考えているところでございます。
 それから、マル3のところの意図的な希釈の禁止。これはIAEAのほうでも従前からクリアランスレベル以下にするために意図的に希釈をするというようなことは、これは適切ではないということが示されておりますので、これはウランクリアランスについても当然この考え方は踏襲するということでございます。念のために書かせている部分でございます。
 それから、(4)のクリアランスレベル以下であることの判断基準。これはウラン5核種すべてを人工核種というふうに考えて、ΣD/Cで1以下であるというような考え方をするのが適切ではないかということを書かせていただいておりますけれども、この1の評価対象核種の選定というところでは、まず、個別の施設に対して評価対象核種、どれを5核種の中から選ぶべきかということを書かせていただいておりまして、まず、今回のウランの評価対象核種は5核種しかないということで、いずれの施設に対しても5核種すべてについて評価していただくのが適切ではないかということを書かせていただいております。
 ただ、一部の施設に対しては、例えば回収ウランが取り扱われた経歴が全くないというようなところについては、恐らくどう評価してもウランの5核種が出てこなくて、例えば3核種しかないというよう施設はあろうかと思いますので、ここは実際に事業者のところにもそこは十分説明していただく必要はあるとは思いますけれども、審査の中で十分、そこは確認させていただいて、5核種ではなくて例えば3核種しかないということが明らかになった場合には、その3核種をその施設に対しては評価対象核種とすることにしてもよいのではないか。ここはご議論いただきたいところなのですけれども、そういったことを一応、書かせていただいております。
 それから、さらに、先生方ご存じだと思いますけれども、原子炉の場合には評価対象核種が30とか、あるいはホットラボ施設だと50弱あるのですけれども、このすべての個別施設がクリアランスするときに、そのすべてを評価対象核種とするのではなくて、いわゆる10%以内ルールと呼ばれておりますけれども、相対重要度を考えて10%の中に、逆に言うと90%以上を占めるような核種のみを実際に評価対象核種として評価をするというような運用が実際に図られておりまして、このウラン取扱施設についても将来的には、例えば評価対象核種は5ではなく、もっと増えたような状況になったときには10%以内ルールを適用するということも将来的には考えてもいいのではないか。これは将来の課題ということになりますけれども、そういったことを示させていただいております。
 それから、ページをめくっていただいてクリアランスレベルの判断基準、これは先ほど申し上げたように5核種すべてについて、場合によっては5核種ではなくて3核種ぐらいになる施設もあるかもしれませんけれども、そういうすべてについてΣD/Cをとって1以下であるということでございます。
 それから、3.の放射能濃度の決定の方法ですけれども、これは前々回のワーキングでも安念委員からご説明がありましたけれども、現在、原子力学会のほうでウラン取扱施設におけるクリアランスレベルの判断基準について学会標準が検討されておりまして、その中でもいろいろな評価方法が示されているところでございます。実際、我々審査をする立場としては、学会標準がそのままオーケーということではなくて、そこは実際に施設の状況であるとか、使われている測定器であるとか、対象物の形状とか、大きさとか、重さとか、そういったことを確認させていただきながら、実際に事業者さんが考えておられる測定評価方法というのが最適なものであるかどうかということを確認した上で、場合によっては学会標準に書かれているものが適用される場合があるだろうと思っておりますので、学会標準はあくまでも審査の際には参考ということになるかと思いますけれども、そういったものも参考になるだろうということです。
 それから、(2)として測定が困難な評価対象核種、これは実際に測定器ではかってもなかなか検出できないような核種がありますけれども、そういったものがある場合には、いわゆる分析値と測定結果、これは例えば全アルファ測定法などの測定結果から得られた核種組成比を用いて、その核種組成比で案分してそれぞれの評価対象核種の濃度を決めていくというような計算方法ですけれども、そういったことも有効だろうということを書かせていただいております。
 それから、(3)の放射線測定装置の選択及び測定条件等ですけれども、これはクリアランス対象物の性状とか、形状とか、それから、測定場所のバックグラウンドの状況とか、そういったことを考慮して適切なものを選ぶ。その適切なものを選んで適切な条件で測定するということで、これは従前と同じ考え方でございます。
 それから、4.の保管・管理ですけれども、これはまず国が実際に確認するまでの間というのは、事業者の中ではこれは当然のことながら対象物に対して異物の混入とか、それから、新たな汚染を防止するような形でしっかり管理していただく。例えば関係者以外が入らないように施錠管理するとか、そういったことをしっかりやっていただくということでございます。
 それから、(2)の国による確認後の措置。これは実際に国が確認した後、例えば我々が5月に確認証を交付した原子力機構のコンクリートですけれども、これは実際にその後、再利用等されることになると聞いておりますけれども、その間にまたコンタミネーション等で放射性物質の汚染があったら意味がありませんので、それもしっかり管理していただく必要があろうということを書かせていただいております。
 それから、めくっていただいて5.で品質保証活動でございます。これはもう既に実際に今までいろいろなところで述べられている考え方と同様ですけれども、しっかりした事業者さんには品質保証体制、クリアランスに関する品質保証体制をとっていただくということでございます。具体的には、まず責任者をしっかり定めていただいて、その責任者のもとにしっかりした計画を立てていただく。それから、クリアランスにかかわる事業者の従業員の方については、しっかりした教育と訓練を実際にやっていただく。それから、測定評価に用いる測定器というのはちゃんとした点検・校正をやっていただくということ。それから、それらの記録については国が最終的に確認しなければいけませんので、ちゃんと記録はとっていただくということを書かせていただいておりまして、例えば記録の処理であるとか、こういったことについては既に文科省の省令の中に規定されているところでございます。
 それから、6.その他留意すべき事項でございますけれども、これは(1)から(5)まで述べさせていただいておりまして、まず(1)として外部有識者の活用ということで、これは実際の審査の中ではしっかり外部の有識者の方のご意見をちょうだいするということでございます。それから、(2)の抜取りによる測定ですけれども、これはこの技術ワーキングでもご指摘いただいて、国が確認のときには抜取りを実際することになる場合が多いと思うのですけれども、そのときには適切に、いわゆる精度の校正というか、事業者の校正の信頼性を担保するような何らかの手段が必要と考えられる場合にはちゃんと考えて対応しましょうということを書かせていただいております。
 それから、(3)の対象物に係る規制でございますけれども、これはつい先般、RIのほうの放射線障害防止法のほうでもクリアランス制度を導入するということで法律の改正が通ったところでございますけれども、両方の規制がかかっている場所というのは、実際、原子力事業者の中にはございまして、そこの両方の規制がかかっているところから出てくるようなクリアランスについては、どのように整理するか。これは文科省の中での整理ということになりますけれども、そういったこともちゃんと調整する必要があろうということでございます。
 それから、(4)環境省との関係で、これは炉規法の中でも定められておりまして、測定及び評価の方法の認可のときとか、それから、実際にクリアランスの確認をしたときには環境省の大臣のほうにちゃんとした連絡をする。場合によっては環境大臣からご意見をいただくということが法律で定められております。実際、法律で定められていること以外に、例えば原子力機構のクリアランスのときには進捗ごとに事務的に関係省のほうにご説明させていただきましたし、それから、環境省の方にも実際に原子力機構のクリアランスの現場に調査に、たしかあのときは自治体の方もおられましたけれども、調査に行っていただいてちゃんとやっているということを実際に確認いただいているということなので、これはやはりクリアランス制度が根づくまでの間、環境省との関係というのはしっかりこれからもやっていきたいということでございます。
 それから、(5)の金属以外の資材ですけれども、これは冒頭申し上げたとおり、現在のウランクリアランスについては、いろいろ検討の経緯もあって金属しか対象物としては考えていないのですけれども、これは今後のウラン取扱施設の解体の状況とか、それから、汚染の状況とか、そういったことを踏まえて、その状況に応じて金属以外のクリアランスについても、これはまた府省、環境省とも相談しながらということになりますけれども、必要に応じ、検討する。これは前回委員からもご指摘いただいた、今までのように原子力安全委員会で何らかの考え方を示して、それをもとにまた規制行政庁で検討してというようなことをやっているとかなり間があいてしまうので、ここはもうウランクリアランスについては、金属以外の必要性が出た場合には規制行政庁のほうで中心になってちゃんと即座に対応すべきというご指摘をいただきましたので、そういったことを規制行政庁としては当然考えていきたいということを書かせていただいております。
 それから、7.ですけれども、これは放射性廃棄物でない廃棄物というのが、実はクリアランスとはまた別のカテゴリーであるのは先生方もご存じだと思いますけれども、クリアランスするときには必ずこういった放射性廃棄物ではもともとない、そもそも汚染していないことが明らかなものというのはやはり大量に出てきますけれども、そういったものの区別の仕方というのは従前から原子力安全委員会のほうで考え方が整理されておりますので、そういった考え方に基づいてしっかり事業者さんのほうでは放射性廃棄物でない廃棄物、それから、実際にクリアランスの確認を行うべきものと、それから、やはり放射性廃棄物として管理するもの、こういったものをきちんと区別して評価してほしいということで、これは念のためということで書かせていただいている部分でございます。
 それから、めくっていただいて第4章、「おわりに」ということですけれども、ここはやはり、特に文科省の施設だということになろうかと思いますけれども、施設の規模とか、実際にこのR&D施設なので、取り扱っている状況というのは種々さまざまでございます。そういったことで文科省の場合には個別、個別の審査というのをやはり慎重に、当然、これまでの経験というのは生かしつつも、やはり個別、個別の一品物の審査ということで慎重に実施することが必要であろう。それから、クリアランス制度については、まだ文科省でも、それから、原子力安全・保安院のほうでもそうなのですけれども、対象施設としてはまだそれぞれ1施設の事例しかございません。社会の関心はまだまだ高いということなので、クリアランス制度というのが広く国民に今後理解されていくよう事業者、それから、国もしっかりいろいろな情報公開というのを努めていく必要があろうということを最後に締めくくらせていただいているところでございます。
 それからあと、参考文献でこれまでの検討経緯であるとか、それから、参考資料として原子力委員会とか、原子力安全委員会でこれまでクリアランス関係で検討されてきたような経緯、原子力安全委員会のほうのウランクリアランスレベルの報告書の概要とか、それから、文部科学省のいわゆる濃度規則の省令ですけれども、そういったものを参考までに添付させていただいております。
 報告書の全体概要ですけれども、以上でございます。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。
 今までこのワーキンググループで議論してまいりました内容をまとめていただいたということでございますが、前回でも少し私から申し上げましたように、施設をある程度限定して、したがって、その対象とする物質は金属に限定して、さらにその関連で天然物は除外され、なおかつウラン核種についても限定的に適用する。ただし、各項目については拡張性についての記述が必ず入っているというところだろうと思います。それから、国際的な整合性というのは非常に重要だと私は思っておりまして、クリアランスされた物質というのは制限がなくなるわけで、国外から来ることもありますし、国外に出ていくこともある。これは以前からIAEAで常に指摘されている問題で、国際的な流通性というものがありますので、そういう意味では国際的な基準に準拠した議論が必要であるという意味でも、その記載があるということは非常に結構なことだろうと思っております。
 ということで、この報告書につきましてご意見、ご質問を伺いたいと思いますが、いきなり全部というのも少し分散してしまいますので、まず最初のほうから順次いきたいと思いますが、どういたしますか。ローマ数字3章、ローマ数字4章ぐらいまでについてご意見がございましたら、よろしくお願いいたします。ローマ数字4章というか、ローマ数字1、ローマ数字2、ローマ数字3章か、すみません。それでは、最初はローマ数字1、ローマ数字2ですね。「はじめに」から文部省におけるクリアランスに係るこれまでの状況という前書きの部分でございますが、これはよろしいでしょうか。それでは、ローマ数字3の1.、2.、3.、4.、まあ、ほとんど全部ですね。それでは、1.と2.でいきましょうか。クリアランスレベル確認の対象物、それから、確認の基準等というところにつきまして、ページ数で言えば11ページまでの範囲でご意見、ご質問がございましたらよろしくお願いいたします。
 どうぞ。

【服部委員】
 服部です。今、11ページまでということだったのですが……。

【川上主査】
 その先でもいいですよ。

【服部委員】
 いや、9ページについてまず少し言及したいのですが、後ろにも少しかかわるお話になりますので、ちょっと飛んだりするかもしれません。

【川上主査】
 はい。

【服部委員】
 申し上げたいことは、先回、この委員会でコメントしました幾つかのうちの1つなのですが、IAEAの輸送規則を引き合いに出して均一の程度というのがレベルに応じて違ってくるのだというお話をさせていただきました。例えばクリアランスレベルぎりぎりですと、ある程度均一なものみたいなお話になってくるのですが、それがレベルが10分の1、100分の1ぐらいになってきたら、10倍、100倍ぐらいばらついていても何も問題がないのだという、そういうお話をさせていただいたんですね。
 9ページ目にその目安となるレベルというところに、そういうことが少し感じられるような書き方をしていただいていまして、濃度分布についてある程度のばらつきを許容することが想定されているということで、その下に評価報告書のことを述べていただいているということなのですが、私、これ以外にもう1点、今回、新たに考えなければいけない部分があると思っておりまして、それは11ページあたりに行くのですが、11ページの3.に入ってしまうのですけれども、3.の下のところに測定が困難な評価対象核種の放射能濃度の決定というところがあるのですが、これは普通に考えれば測定をしている核種があって、測定していない核種に対しては比率で評価しますというお話ですね。
 これは原子炉のクリアランスでも同じようなことが既に行われておりまして、γ線測定を行って、γ線測定ではかれる核種はきちっとはかって、そのほかの核種、α核種とか、トリチウムとか、ストロンチウム90とか、β線しか出さないものとか、こういうものは比率で評価するということが言及してあるということなんです。ただ、今回、ここは今、α線測定で表面汚染測定が前提となる、そういうクリアランスの議論をしておりまして、ここだけではなくて原子炉のクリアランスでも同じことがきっと起こるのだと思うのですが、例えば大型の廃棄物をクリアランスしようとしたときに、グロスγ測定をするために全部それを切断して、その装置の中に放り込めというのは非常に非合理的でありまして、それをもしそんなことを言ってしまうと、建屋のクリアランスができなくなってしまうんですね。
 建屋のクリアランスをするときには、建屋を壊す前に建屋のままクリアランスするというお話があるわけなんです。そのときに表面汚染の測定をやって、それで評価をするというお話になるのですが、表面汚染の測定の場合はα線の測定、あるいはβ線の測定ということで、γ線の測定とは少し異なる局面を持っていると私は理解しているんです。例えばγ線の測定にしても、たまたま原子炉のクリアランスのターゲット核種が、例えばセシウム137とか、コバルト60のように高エネルギーのγ線を出す核種だったんですね。したがって、少々金属が入っていても遮蔽効果が小さくて、まあまあ、ちゃんとはかれていたという話になるわけです。
 ところが、結局、γ核種であっても低エネルギーのγ線しか出さない核種をもしはかりにいっていたら、それは一部、ひょっとしたら遮蔽効果ではかれていない部分が出るかもしれないんですね。それを考えると、グロスγ線測定でも同じことが言えるわけなのですが、もう一度振り返って表面汚染測定のことを考えますと、α線の測定は特にα線の飛程が限られています。飛程というのは飛ぶ距離ですね。空気中を飛ぶ距離が限られていますので、はかれる、はかれない、感度が低くなるとか、いろいろな局面を持っているわけです。そこでお話ししたいことは、リスクのレベルに応じた測定の仕方というのが私はありなのではないかと思っているんです。
 それは例えば表面汚染測定のJISがあって、それと全く同じようなきちんとした測定ができる部分もあれば、そういうことができないような狭隘部であるとか、角の部分とか、いろいろな部分が出てくるわけですね。そういうところを例えば汚染の履歴とか、除染の履歴、あるいは事前調査の結果、そういったものを踏まえれば十分きちんと、そこにJISと同じような測定ができていなくても、エスティメートはできるはずなんです。そうすると、今ここに書いてあるお話は、測定できている核種とそうでない核種のお話だけが言及してあるのですが、測定しているつもりの核種の中にもなかなか測定が困難な部位、場所の評価対象核種の濃度の決定という、そういう考え方があるのではないかと思うんですね。
 このあたりは実は今、その少し上のところに参考となる考え方とございますが、もう一つ、日本保健物理学会というのがございまして、そこの放射線防護標準化委員会というところで、どういう考え方ができるかというのは今検討してございます。そういう意味では、表面汚染測定によく出てくるケースですね。「測定が困難な」という定義の問題かもしれませんが、測定困難な部位のお話についても、こういうところで言及しておくべきかなというのが私の意見であります。
 以上です。

【川上主査】
 ある意味の測定法的なところになりますね。多分、議論が1つあるのは、この報告書の中でそこまで、これは行政的な意味での考え方を示しているわけで、その辺を、ここは例えば日本原子力学会の標準案というものを引用して、そこに落とし込んでいるわけですけれども、どこまで書くかというところで。
 どうぞ。

【小佐古委員】
 小佐古です。測定が困難なものの放射能濃度の決定というのを政府がやっている例がもう既に幾つかあるんですね。それはどういうところでやっているかというと、低レベルの放射性廃棄物を六ヶ所村に運ぶわけです。その場合に低レベルのドラム缶に入っているものの、クリアランスみたいに低いところではなくて、もう少し高いところですね。高いところの放射能濃度を決めるというときに測定が困難なものの濃度を決定している例がもう既に幾つかあるんです。
 それはJNESと保安院がやっている廃棄体の確認の委員会でやられていることなのですが、どういう事例を既に政府がとってやっているかというと、例えばヨウ素の131とか、昔、原子炉で燃料破損が頻繁に起こるときには、廃棄体のスケーリングファクターというんですか、それを確認するための測定ができていたのですが、今は燃料の健全性が非常に高くて、サンプリングをやってもなかなかはかれないんですね。検出限界以下になってしまっているんですね。だから、濃度が決定できないんですよ。それで、どういう方法を公式なものとして採用しているかというと、最終的な廃棄体のほうではなくて、廃棄体に行く前の循環水の中のヨウ素の129の寿命が短いものを常時モニタリングしていて、その濃度を見て、それがどれぐらい行くかというのを計算で評価をして、測定限界以下なのだけれども、これぐらいであろうというようなことを傍証でもって確定してあの数字を決めているという例があります。
 あと、その種のものはテクネシウムとか、そこら辺も検出限界以下ということで非常にはかりにくいのですけれども、そちらのほうもさまざまな、わきに、今もご説明があったのですが、履歴とか、そういう傍証でもって極めて低くてはかれないものに対して、委員会をもってこういう方法でやれば確定できるだろうということで確定して出しているといことを既にやっているわけですから、ここで決定と書かれて、無理やり最後まで頑張って測定ではかれとか、そういうことではなくて、そういう方法論も非常に濃度が低いとか、非常に測定が困難であるというところに対しては、既にやっている例もあるわけですから、そういうものをどこかの委員会で認知して、そういうのを柔軟に適用していただくのがよろしいのではないのかなと思うんですね。検査の方が最後まで非常に形式ばって、これははかれと書いてあるのだから、頑張って最後まではかれというふうにしていただかないほうがよろしいのではないのか。そうではない例も既にありますということですね。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。
 今の問題につきましては、先ほど事例として、この報告書にも引用されていますが、旧日本原子力研究所のJRR‐3のケースについては、といいますか、クリアランスをやるときは必ず検認についての認可を得るわけです。その認可を得る段階で測定方法について、それをおやりになる。事業者の方から詳細な説明があって、それを行政庁として審査をして許可というか、認可を出しているという流れがございますので、今のご指摘は多分、その中での議論としてあり得る。ですから、ここに書いてある記述の内容、例えば11ページの参考となる考え方、あるいは(2)の測定が困難な評価対象核種の放射濃度の決定というところに何か追加する項目があるかということであろうと思うのですけれども、何か具体的にございますか。
 どうぞ。

【服部委員】
 追加するということになると、測定が困難なという定義をはっきりさせるということかと思います。現状は、これは測定できるものはがっちり測定できていて、測定できない、違う線種、α線をはかっていると違う線種の例えばβ線とか、γ線を出すものははかっていないことになるわけなので、そういうものは組成比でやることもできますとか、α線の中でも、同じα線を出すものの中でもうまく感度が低くてはかれていないものは、そいつは組成比で見てやるとか、そういうことになっていると思うのですが、はかっているという、ここで考えているものにも測定が困難な部位があるということですね。ですから、そこの2つの概念をここに入れていただいたらいいのかなと思うのですが。
 もう一つ、今、小佐古先生のご意見を聞きながら、もう一つ気がついたことは、8ページ目の上のところにマル2の測定点・測定単位というところで、8ページの一番上のパラグラフがありまして、その一番上のパラグラフの下から3行目ぐらいから、ただし、対象物に局在汚染が存在せず、濃度が均一である根拠が明確な場合には、代表できるサンプルまたは測定点で測定する方法を用いることができる。これは当たり前といいますか、こういう代表的なサンプルで評価するという方法があるのですが、これも実は今の考え方、私がさっき申し上げたところの延長にあるのではないかと思っているんですね。ここでは均一であるということに限定しているのですけれども、それは僕は限定する必要もないのではないかなと思うんですね。
 ある程度はかれている場所の濃度レベルと、それから、なかなか困難な部位というところの関係が、先ほど小佐古先生は傍証と言われましたが、事前の調査、あるいは汚染の履歴や除染の履歴というところで、ある程度エスティメートができるのであれば均一である必要もなくて、そういうエスティメートする何かしら比率、あるいは保守的な評価というのがあって、それで代表的なサンプルもしくは測定点で評価することができるということですので、もう既にある種、考え方はここに入っているのかもしれないです。ただ、ここは均一が前提ですという書き方になっているのですが、そういう意味では、先ほどの均一のお話、今の代表サンプルのお話、それから、測定困難な部位の取り扱いというあたりをうまく解きほぐしてちょうど11ページの先ほどの「測定が困難な」というくだりのところに書き込む案もあるのかなというのが私の意見です。

【川上主査】
 どうですかね。測定技術ということをそこまでここに記載する必要があるのかという問題が1つあるように思いますが。

【小佐古委員】
 服部委員の高い見識のご披露があって、なかなかすべて書き切るのは大変だと思うので、この報告書のレベルでは既に参考となる考え方、(1)というのがありますので、そこは活用されたらいいのではないかなと思うんですね。ここでは社団法人日本原子力学会だけが取り上げられているのですが、社団法人日本原子力学会、あるいは日本保健物理学会等においても、こういうのが検討されていて、それらを何かのときには参考にされたしというふうにつけ加えていただければ、今の服部委員のご議論というのは保健物理学会のほうで随分細かくやったものが出てきますので、そこに加えていただいて議論していただく形をとればいいのではないかなと思うんですね。文科省の非常にすぐれているところは、経済産業省、あるいは保安院のほうでやっているほうはパターン化されたものが大量に動く形でやるんですね。
 ほかのところにも既に指摘されているように、文科省傘下のものはR&Dをやっているとか、容態が中物量から小物量になって、その分だけ種々雑多なんですね。だから、決め打ちで何億円もかけてこのパターンでウワーッとやってしまえというようなタイプのものではなくて、ケース・バイ・ケース、いろいろ判断をしていただかないと、なり行かない部分があるんですね。ですから、そこのところは政府のルールだけで決め打ちで、ワンパターンでやるというのはあまり好ましくなくて、原子力学会とか、保健物理学会で議論されているようなものを審査のときに参考にいただいて、それで妥当なものであれば組み込んで判断していただくというのが一番よろしいのではないのかなと思うんですね。
 ですから、種々ご意見があるところなのですが、上のところに日本原子力学会、あるいは保健物理学会等においても、こういうものが議論されているので、参考にされたしというところの一節を加えていただくというところでやっていただくのがよろしいかなと思うのですが。

【川上主査】
 ありがとうございました。
 そうしますと、実は日本原子力学会も、きのう議論していたところがあるのですが、まだパブリッシュされていないんですね。したがって、脚注に入っているというところなんです。保健物理学会も同じ段階ですか。

【小佐古委員】
 そうです。

【川上主査】
 では、そこはいろいろ教えていただいて、もしこの脚注に入れると同時に本文のほうにも並列で記載するという、それでよろしいですかね。

【服部委員】
 はい。

【川上主査】
 という形がとれるかと思います。ほかにいかがでしょうか。

【小佐古委員】
 小佐古です。かなり完成度が高くて、頑張って書いていただくので結構だと思うのですが、幾つかのことを確認しておきたいと思うんですね。ここで実施しようとしているのは、クリアランスレベルということですね。クリアランスとは何のためにやるのかというのをやっぱりきちんとみんなが認識すべきだと思うんですね。我々が責任を持ってやらなければいけないのは、公衆の1mSvを守るということをやらなければいけないということですね。ICRP、IAEAも言っておりますけれども、それの10分の1の100μSvであれば、もう大体安全上の議論はないだろうと言われているんですね。重なるだろうというからセブラルテンズと言われて、そのボトムラインが10μSvで、そこのところはもうトリヴィアル、もう議論にならないということで定義しているということですね。
 ですから、10μSvは1mSvを厳格に守るとか、職業人の20mSvを厳格に守るというのとは若干性格が違うということなんですね。もうかなり低いところに来ているということを最初に確認されるのが大事だと思うんですね。だから、いろいろな評価によって当たりが悪ければ、11μSvになって、おまえ、法律違反だという性格のものでは、少し違うんですね。ただ、法律の適用という上では、10を守るということをやらなければいけないということですね。そのことを考えると、3つのことをちゃんとやらなくてはいけないということです。核種のことを5核種と限定されているのですが、実は今の段階でもほかの核種が混じってしまっているんですね。Decay chainの説明のところにウランがディケイすると、そのままトリウムになって、そのトリウム以下のDecay chainのものがほとんどの線量寄与を与えているということになるわけですね。
 だから、5核種とかって言っているのですが、ものすごく正確に分析すれば、トリウムとかっていろいろなものは既に乗っかっているわけですから、5核種というのは、そういう性格のものであるという位置づけを認識していただく必要があるんですね。これは先ほどの議論の中にもありましたけれども、90%ルールということで原子炉のほうはFPなどにそれが適用されていて、やはり線量寄与が与える主要なものとして位置づける必要があるわけで、厳密な分析をやると、ほかの核種がちょこっと出てきて、線量寄与は小さいのだけれども、法律違反であるからクリアランスできないというのは少し変な議論になりますのでご注意というのが1番。
 2番目が単位のところです。これも既に議論をされていて、このフロアでも出てきたのですが、加工メーカーさんのほうはドラム缶をきれいに切っててよろしいのですが、日本原燃などが例えば濃縮のシリンダーなどを切るということになると、1トンの下の100キロとかって、厳密に言い出すと、ここは非常に切りづらいというようなところがやっぱり出てくるんですね。だから、ここにも書いてありますように数トン、形状とか切りやすさとか、あと、どちらにしても溶融をするわけですから、溶融の単位とか、そういうことを審査の上で考慮いただいて、1トンと書いてあるのだから、あるいは100キロと書いてあるのだから120キロだとけしからんというような議論は避けていただきたい。もう既に書いてありますけれども。
 3番目ですけれども、10倍ぐらいの偏りを許すというのがあるのですが、これも既に低レベルの放射性廃棄物の確認行為では、政府によってこれが容認されているということですね。なぜそれが容認されるかというと、先ほどの木村委員のご説明の中にもありましたけれども、もともとIAEAのルールは3リジッドで、3から30のところを真ん中のところの10にするという作業をしているものですから、もともとの数字が1桁の幅のところを見て丸めた数字ということですから、偏りのところも、そういうところがあっても全体として10μSvが守れるだけのベクレル数になっていればよろしいということなので、何カ所かちょこっと顔を出しているからけしからん、全部やりかえろというのも、これも少し変な話ということになりますので、今の3点のところを十分にあれしていただければと思うんですね。
 もう既にこれでも述べられているのですが、あと社会的な重要性、保安院のほうでは原子炉のほうで、この制度が定着するまでは無制限に社会に再利用の鉄を放出するということではなくて、業界の中で使ってくださいというような話とか、あるいは説明を尽くしてくださいとか、透明性を出してくださいというところは強調されていますので、この点は少し政府側のほうのお力もかりないと、事業者だけがエクスキューズして皆さんが納得されるというのは、なかなか最後まで納得していただけないような側面もあるんですね。ですから、広報関係とか、そういう周知のところではぜひ政府側のお力添えもあったほうがいいのではないのかなと思います。
 これも述べられているのですが、原子炉等規制法を抜けると、これは環境省側のほうに完全に入るんですね。もう何度もおやりだと思うのですが、ぜひここのコミュニケーションを上手にやっていただいて、つつがなくやれるように、この点も事業者が努力すればいいという話ではなくて、やっぱり政府側のほうで、そこのすり合わせをぜひやっていただきたいと思うんですね。少し言葉は悪いのですが、一般産廃のほうは法律を踏み外しているケースというのは年で数千件ある世界なんですね。原子炉等規制法のほうでは1件、2件外してしまうと、その会社がつぶれてしまうとか、業界がつぶれてしまうという世界で、非常に厳格にルールを守っている世界から、まあ、大海の中にポコッと物が出ていくわけですから、ぜひそこの整合性とか、意思疎通のところを上手に政府側のほうで頑張ってやっていただければと思うのですが。ありがとうございました。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。これを実施するに際しての非常に重要なコメントだと理解いたします。
 大分ご議論いただきましたので、残りのほう、10ページ以降につきましてもご意見、ご質問がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。よろしいですか。どうぞ。

【江頭安全審査調整官】
 すみません、事務局から逆にこの辺はどうでしょうかという点が1点ございます。10ページの(4)クリアランスレベル以下であることの判断基準のマル1、評価対象核種の選定、これはいわゆる施設ごとに評価対象核種を例えばJRR‐3のときには、省令上は核種としては試験炉が33ある中で10%ルールを適用するなどして、実際、4核種の評価をやっております。実際はここの報告書ではウラン取扱施設の場合には5核種しかないんだしということもあり、5核種すべてでちゃんと評価しなさいということを最初に書かせていただいております。
 その下に「ただし」ということで、実際、その回収ウランを使っていないようなところは、恐らくどれだけ分析しても、多分、3核種ぐらいしか出ないような施設、特に文科省のR&D施設はむしろ3核種ぐらいしかないようなウランを取り扱っていないところのほうが数としては多いのかなと思っているのですけれども、そういったところについても5核種で評価をしなさいと言うのか、あるいは3核種しかない、評価する必要がないということが審査の中でも明らかになった場合には3核種とか、2核種とか、5核種よりも少ない核種を評価することでよいというふうにしていいのかというところについては、これは保安院側とも後々調整しなければいけないポイントではあるのですけれども、それはここが決めておかないと、文科省もそうですし、また事業者さんのほうでもはっきりしてくれというポイントだと思います。その点はいかがでしょうか。

【川上主査】
 はい。

【小佐古委員】
 小佐古です。これはもうご指摘のように明らかであるということですね。こういう事業所では、こういう事業をやりなさいということを政府のほうが許可しているわけですから、そこの事業所でこっそり回収ウランなどを取り扱っていると、これはクリアランスの議論以前に法令違反ということになりますので、事業許可そのほかを根拠にすれば、これだけであるということをきちんとお出しになれば、審査に入るまでもなく申請の段階で当事業所は回収ウラン等々は使っておらず、この種のものであるから対象となる核種は3核種に限られる。よって、したがって、3核種について議論するというふうにお書きになれば、そのことを審査の入り口のところで確認いただいて、それ以上、審査に入って、ひょっとしてものすごい高精度のやつで分析しろとか、その種の話はお下げになったらよろしいのではないのかなと思うんですね。

【川上主査】
 ありがとうございました。

【江頭安全審査調整官】
 あと、同じ部分ですけれども、最後のところに、いわゆる10%以内ルールの適用についても、一応、将来的にはということで書いておりますけれども、その辺を5、あるいはさらに2とか3とかしかないよというようなところに対しても、さらにこの10%ルールを適用してもいいのかどうか。その辺については、いかがでしょうか。

【小佐古委員】
 よろしいでしょうか。

【川上主査】
 はい。

【小佐古委員】
 すみません、たびたびで、小佐古です。10%ルールはなぜ出てきたかということですね。これは原子炉等規制法のほうでやっているクリアランスのほうは、フィッションプロダクトが出てくる。あと、放射化されたものが出てくるということで、対象となる、あるいは実際にはかれるものがものすごい数あるということですね。それを全部やれというのはかなり困難がありまして、おまけにスケーリングファクターということでフィッションプロダクトの比率でもって幾つかあるものをスライドすれば、残りのところは外挿できる。その条件があって10%ルールということになっているんですね。
 ですから、こちらのように対象の核種が限られているというようなことになれば、大体そこのところはクリアできるのだと思うので、しばらくは特にそのことは触れないでいろいろなことをおやりになって、例えば後で回収ウランとか、いろいろなものが出てきたときに核種としてもさまざまな広がりがあって、ほかの傍証を使えば全部に手をつけなくても外挿してそのところは推定できるというような道筋ができれば、そういうルールを導入されるとよろしいのではないのかなと思うのですが。

【川上主査】
 ありがとうございました。
 今のお話のように原子炉の場合は冷却水中の放射性核種のスペクトルは一定だという大前提があって、それで動いてきたんですね。したがって、こういうふうにニュークライドが決まっているというのとはちょっと相性が悪いものもあるし、この先、多分、RIのクリアランスをやるときはこれがめちゃくちゃになって――めちゃくちゃというのは表現が悪いですけれども、非常にバラエティーがありますから、そっちのほうに持っていくときはさらにまた議論が必要だろうと思いますけれども、ここは非常に限定的な扱い方になりますが、ただ、新しい施設でこれ以外のニュークライドがあるということが明確な場合はやはり最初のアプローチは10%ルールでやってみて、それでもまだ出てくるということであれば、もう一度ご議論いただくということだろうと思います。
 終わりまで品質保証体制とか、それから、最後には放射性廃棄物でない廃棄物というところまで記載してございますが、これらについては何かご意見ございますでしょうか。よろしければ、少し早目にあれでございますが、議論は十分していただいたということになります。きょういただきましたご意見につきましては、主査である私と事務局のほうで一たん預からせていただいて、いただいたご意見をベースに少し修文ということもあり得るかと思います。この辺について何か事務局からお話ございますか。

【鎌倉保安管理企画官】
 いろいろとご意見、ありがとうございました。報告書案につきましては、ただいま川上主査からご提案がありましたように、主査と事務局の間で調整させていただきたいと考えておりますけれども、先生方もご案内のように、先ほど説明がありましたように原子力安全・保安院のほうでもウランクリアランスに関する検討が行われております。保安院のそのワーキンググループでは、今後、報告書案の審議が行われると聞いておりますが、双方の報告書の方向性を一致させる必要があると考えております。したがいまして、必要な場合は保安院側とも調整の必要が生じる可能性があると思っておりますので、保安院側の審議も見ながら、主査と調整を進めさせていただきたいと考えております。
 なお、主査と調整させていただきました報告書案につきましては、委員の先生方にご確認いただきたいと思っております。その後、親の委員会であります研究炉等安全規制検討会に技術ワーキング報告書として報告させていただく予定でございます。引き続きよろしくお願いしたいと思っております。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。
 保安院のほうは小佐古先生が主査でおやりになっていらっしゃいますので、きょうも随分バランスをとっていただきましたので、多分、大丈夫だろうと思っておりますのでよろしくお願いいたします。今後、今、ご説明がありましたような方向でまとめさせていただくということになるかと思いますが、これはよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、その方向で。以上をもちまして、報告書案についての議論はこれで終了させていただきます。
 次の議題でございますが、ウランクリアランスレベルの確認に関するこれまでの議論を踏まえて、文部科学省のほうでは今後、ウランのクリアランスレベル等についての省令改正を検討されているようでございますので、事務局から省令改正のポイントについてご報告いただきます。よろしくお願いいたします。

【江頭安全審査調整官】
 参考資料2、1枚紙でございます。これは先ほどの報告書の中でも若干触れましたけれども、いただいた報告書の考え方を踏まえて文科省のクリアランスレベル、濃度基準等に関する省令を改正するということを検討してございます。現在、その検討の内容、まだ検討中でございますけれども、少なくとも改正が必要と考えていることについて1.で書かせていただいておりまして、ウランクリアランスにかかわる対象物、これは金属ということになりますけれども、それから、放射性物質の種類、これは現時点ではウラン5核種、それから放射能濃度、これは0.1とか、1とか10になりますけれども、そういったものを省令に追加するという作業がございます。
 省令についての報告書案、後ろのほうについておりますけれども、別表という形でこれら対象物とか、放射性物質の種類とか濃度について整理されておりまして、今、別表の中では第1号として、いわゆる試験研究炉から出る金属とか、コンクリートとか、ガラスくずに対するクリアランス、放射性対象核種とかクリアランスレベルが規制されておりまして、第2号として、いわゆるホットラボ施設から出る金属、コンクリート、ガラスくずに関する評価対象核種とか、それぞれのクリアランスレベルについて規定されております。したがいまして、恐らく第3号という形でこのウラン使用施設から出る金属に対する評価対象核種とか、クリアランスレベルを追加するということを少なくとも行う必要があろうと考えているところでございます。
 それから、それ以外、今回、実際に改正する事項になるかどうかまだ検討中でございますけれども、それ以外も少し検討していることがございまして、例えば濃度規則第1条の中には幾つかの言葉の定義があるのですけれども、その中に測定評価単位についてということで、「測定評価単位」という単語を用いて、いわゆる一般的に我々は評価単位と呼んでいることですけれども、その評価単位の説明を「測定評価単位とは」ということでしているのですけれども、保安院のほうの省令は「評価単位」という言葉を使っておりますし、これまでのご議論の中で、特に服部委員から測定単位とか、評価単位というのは実際に概念が違うし、量も違うしということもあって、今の目で見ると若干誤解を招く言葉なのかなというようなところもございまして、こういったところもあわせて、今回、修正することが必要だということになれば、修正する必要があるだろうということで今検討しているところでございます。
 なお、省令改正案については、これは決まり事なのですけれども、パブリックコメントの手続を経た上で改正するという形になります。
 以上でございます。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。
 省令改正につきましては、多分、保安院側との調整の上でおやりになる。省令は1つしかないわけで、これは省令なんですかね。同じ省令が両側に入るということですね。

【江頭安全審査調整官】
 違う省令になりますけれども、考え方は。

【川上主査】
 内容は同じ。

【江頭安全審査調整官】
 ええ。骨子は同じということです。

【川上主査】
 骨子は同じ。はい。わかりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 これできょうの議題はほぼ終了かな。以上できょうの議題は終了でございますが、ほかに何か、本件につきまして何かございますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、最後に渡辺安全監からごあいさつをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【渡辺原子力安全監】
 先生方、いろいろお忙しい中、ウランクリアランスレベルの確認につきまして、結局、ワーキンググループということで本日を含め4回ですか、それから、現地調査ということでご対応いただきまして、ありがとうございます。ご存じのように炉規法ではクリアランス制度ができまして今年で5年目ということで、保安院のほうで、実用炉のほうで金属の関係、それから、つい先ごろですけれども、文科省関係でJRR‐3のコンクリートのクリアランスが始まったということで、まだ緒についたということでございますけれども、これは原子力活動のいろいろな問題の中の1つの重要なファクターと考えておりまして、廃棄物関係ではレベルの高いほう、低いほうからいろいろあって、あるいは種類も原子炉から出てくるもの、ウラン関係、その他のものいろいろあって、表にするとまだできていない、白抜けのところがたくさんあるのですが、1つ1つ埋まってきているということでありまして、このウラン廃棄物のクリアランスもまさにその升目の1つということで、先生方のご努力をいただきましてまた一歩前に進んだのかなと思っております。
 先ほど事務局から少しご説明がありましたが、炉規法ではなくてRI法、放射線障害防止法の関係でも、今国会におきましてクリアランス制度導入のための法改正が行われまして、衆議院でまずやって、4月28日に参議院で可決されまして、5月10日付で公布されております。実はこれはクリアランスのほかに、いわゆる放射化物もRI法の規制の対象にしようということで、いろいろまだ準備とかありますので、実は法の施行自体は公布の日、つまり、今年の5月10日から2年を超えない範囲で政令で定める日ということになっておりまして、RI法のクリアランス、実際の法施行はまだ時間、2年以内、2年めどということで時間があるわけでございますが、いずれにしろ、RI法のクリアランス制度も一応、法制度としてはできたということで、今度は今、政省令を定めるということで当省内、当局内で検討を行っているということでございます。
 先ほど言いましたように、これも先ほど言いました、いろいろまだ決まっていなかった升目の1つでございますが、1つ1つ升目が埋まっていって、原子力関係の規制がだんだん完成されていくということでございますので、これに携わってこられた先生方に改めて感謝を申し上げたいと思います。
 先ほどもご議論のありました、まさにクリアランスというのは国民の皆様の関心の高いところでございまして、環境省との関係とかあるのですが、先ほど言いました、実はRI法の国会審議においても、ご存じのように今の新政権は基本的に国会答弁は役人ではなくて政務三役がやるということで、相当ベクレルだの、シーベルトだの、細かいことについても政務三役にご答弁いただいたのですが、RI法の審議においても環境省のほうからも政務官に出ていただいてご答弁いただいたりしておりまして、まさにご関心のあるところについては、いろいろ環境省側のお考えもきちっと話されておられたと思いますので、今、そこら辺は議事録に載っているので、ご関心のある方はごらんいただけると思いますが、そのように政府全体として各省、協力しながら、本件ウランクリアランスの問題はまさに保安院と同じようにやらなければいけないということで、各省、省の壁を超えて協力しなければいけないというところでございます。
 そういうことを踏まえて国民、社会の関心が高いということでありますので、文科省としても事業者からクリアランスの申請があった場合、この省令をきちんとつくった上で申請があった場合は厳正に対処していって積み重ねることによって、国民の皆さん方がきちんとやっているということをご理解いただけるように努力をしていただきたいと思います。今後とも先生方にはいろいろご指導をいただくことがあると思いますので、また引き続きご協力のほどよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

【川上主査】
 どうもありがとうございました。
 今、ごあいさつを伺っていて思い出したのですが、クリアランスの制度化ということで関係者で議論を始めたのが約10年ぐらい前で、当時、渡辺さんは廃棄物規制室……。

【渡辺原子力安全監】
 13年前。

【川上主査】
 13年前ですか。それがスタートだったと思います。それがウランのクリアランスまで到達したというのも多少感慨深いものがございます。
 これでよろしいですか。それでは、このきょうのワーキンググループはこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

‐了‐

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