研究炉等安全規制検討会 技術ワーキンググループ(第2回) 議事要旨

1.日時

平成17年3月3日(木曜日)14時~16時10分

2.場所

古川ビル 6階 F1会議室

3.議題

  1. 試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスに係る技術的要件として留意すべき事項について
  2. 試験研究用原子炉施設等における廃止措置に係る技術的要件について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料2‐1:第1回技術ワーキンググループ議事概要(案)
  • 資料2‐2‐1:試験研究用原子炉施設等におけるクリアランス制度 ‐ 背景となる考え方について ‐
  • 資料2‐2‐2:試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスレベル検認の技術的要件及び留意すべき事項
  • 資料2‐2‐3:核燃料使用施設(照射済燃料及び材料を取り扱う施設)における重要放射性核種の選定について
  • 資料2‐3:試験研究用原子炉施設等における廃止措置制度の導入に当たっての技術的要件について

5.出席者

委員

川上主査、石川委員、大越委員、佐々木委員、丹沢委員、

文部科学省

片山原子力安全監、加藤原子力安全課長、青木原子力規制室長、黒村安全審査企画官 他

6.議事趣旨

(1)前回(第1回)WGの議事概要の確認
資料2‐1に基づき、事務局より説明。訂正等を求める意見はなく了承された。

(2)試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスに係る技術的要件として留意すべき事項について
資料2‐2‐1、2‐2‐2、2‐2‐3に基づき、事務局より説明の後、次のとおり委員からの意見及び質疑応答があった。

○背景となる考え方について(資料2‐2‐1)

  • クリアランスレベルの値は、基本的にRS‐G‐1.7を使用し、RS‐G‐1.7に設定されていない核種については原子力安全委員会の評価値を使うということであるが、RS‐G‐1.7については国際性を考えれば妥当であると考えるが、原子力安全委員会の評価値の妥当性についてはどう考えているのか。(川上主査)
    →今後、制度の整理を行う中で、検討することを考えています。
  • RS‐G‐1.7の値を使うとは、そのまま使うという趣旨か、IAEAの考え方を参考として日本独自のシナリオを想定して値を定めるという趣旨か。(佐々木委員)
    →原子力安全委員会の評価値は、原子力施設から出るものを対象として考えられているが、RS‐G‐1.7については、汎用的な考え方により検討されているので、そのまま使用することを考えています。
  • 保安院は、原子力安全委員会の報告書を踏まえ、IAEAの値を使用しても問題ないとしている。IAEAの値を用いることには賛成であるが、文部科学省もそういう考えと理解してよいか。(丹沢委員)
    →はい。
  • どちらの値を使用しても問題ないという考えであるが、基本はRS‐G‐1.7とするのか。原子力安全委員会の評価値の方が高いものもあるが。(川上主査)
    →その場合、原子力安全委員会の評価値の方が厳しいレベルではないが、基本はRS‐G‐1.7とし、RS‐G‐1.7に設定されていない核種についてはIAEAの考え方に基づき再計算するか、原子力安全委員会の評価値とすることを考えています。
  • クリアランスレベルを適用する放射性廃棄物の量が多ければ、値の小さな違いでも影響は大きいことも考えられる。個々に確認した方がよい。(川上主査)
  • 重要放射性核種の値は個々の事例毎に選定するのか、それとも一般的に適用するのか。(佐々木委員)
    →一部、資料2‐2‐2に示すように、全ての核種を想定しないケースもありますが、統一的に適用することを考えています。ただし、例えば、想定している核種のうち、ある核種しか出てこないような小さな炉の場合、全ての核種について測定するのでなく、技術的な理由をクリアした上でいくつかについて測定する等、今後議論頂きたいと考えております。
  • これらの値を表としてまとめる場合、RS‐G‐1.7の核種を全部載せるのか、重要放射性核種のみとするのか。(大越委員) →発電用原子炉との整合性を図りつつ、今後検討を行いますが、少なくとも重要放射性核種については記載することを考えています。

○試験研究用原子炉施設等におけるクリアランスレベル検認の技術要件及び留意すべき事項(資料2‐2‐2)

  • 認可申請の際、重要放射性核種として、当該施設における重要放射性核種をあげるのか、それとも全てあげるのか。(丹沢委員)
    →原子力安全委員会のクリアランスレベル検認に関する報告書にも明示されていますが、同じ考えにより9核種全て評価することを考えています。ただし、資料2‐2‐1の説明の際にも申しましたように、技術的な理由をクリアにした上で核種を限定するということもできるのではと考えております。
  • プラスαの放射性核種がある場合についてはどうするのか。(丹沢委員)
    →その場合、別途、評価対象核種(原子力安全委員会が示した対象核種)が設定されているため、その値を使い評価することとなります。
  • 資料のP2において、「スケーリングファクターを用いることが可能な場合」とあるが、試験研究用原子炉施設における事例は少ないが、用いることは可能か。(佐々木委員)
    →事例が少ないため、個別に判断することが必要であると考えています。
  • 「計算による評価」とあるが、主要な部分についてはサンプリングして計測を行い検出限度以下であるということを担保するというような、計算と計測併用という考え方をとるべきではないか。(丹沢委員)
    →サンプリングによる確認は必要であると考えております。
  • 試験研究炉にはスイミングプールの生体遮蔽等、商業炉と異なるものもあるので商業炉と同じような考え方をするのはちょっとどうか。スケーリングファクターを行うことは、なかなか大変な仕事であり、経費がかかる。いろいろなところが協力してデータを収集したり勉強会を行ったりすることが実態としては重要であると考える。(川上主査)
  • 計算による評価といっても難しい。具体化にはさらなる議論が必要と考える(川上主査)
  • 資料のP3において、原子炉設置者及び解体事業者が十分な技術と知識を有せずに作業を行うことも想定されるとあるが、このようなことが想定されるのか、それともこのようなことは許されないから教育訓練を行うという考え方なのか。(佐々木委員)
    →教育訓練等により、知識・技術レベルを確保するという意味。書きぶりが良くないので、訂正します。
  • 保安院での議論においても、万が一の見逃しがないよう、二重チェックを行う、当面の間はフォローを行う等とされている。きちっと教育訓練を行い、そういうことがないようにすべき。(佐々木委員)
  • 解体中で、しばらく動きのない原子力事業者もあるため、知識・技術のレベルは考慮したほうがよい。(川上主査)
  • 知識や技術があるから、認可申請ができるのではないか。たしかに、実施段階の知識や技術については、考慮すべきといえる。(丹沢委員)
  • 技術基準の整備には、抜取確認の技術基準の整備も含まれるのか。(佐々木委員)
    →含まれます
  • 資料P6のRS‐G‐1.7に設定されていない、半減期の短い3核種が問題となる場合は、どのような時か。(川上主査)
    →これらの核種は重要放射性核種ではありませんが、評価対象核種としている安全委員会の集めた49核種に含まれているため、これらについても考慮するということであげています。問題となる場合については運転中が考えられますが、その場合でも特に問題になるとは考えていません。
  • 例えば、放射線廃棄物の管理はそれぞれの原子力施設に係る規制に従い行っているところであるが、管理方法の本質は原子力施設の種別に因らず同じにすべき話であり、そのあたりについて検討を行えないか。(丹沢委員)
  • 同じ値を法令に取り入れる等行えば、二重規制を受けていても、安全性を十分担保できるような方式でクリアランスシステムを構築することができると考える。(大越委員)
  • ある施設を解体する際、どこから放射性廃棄物でない廃棄物で、どこからクリアランスレベルかという判断基準が必要。(石川委員)
  • 明らかに非放射性廃棄物のところで切っていたが、これからは、グレーなところからも切れる。ここの判断がクリアランスということになる。(川上主査) →いずれの場合も測っても出ないというところで判断せざるを得ないこともあります。判断基準については、本技術ワーキンググループで議論頂きたいと考えています。

○核燃料使用施設(照射燃料及び材料を取り扱う施設)における重要放射性核種の選定について(資料2‐2‐3)

  • この資料は、照射済燃料及び材料を取り扱う核燃料施設であれば、原子炉のようなクリアランス制度を取り入れられるということを示しているが、そのあたりがわかりにくいので明確にした方がよい。(川上主査)
    →書きぶりを検討します。(高橋説明員:核燃料サイクル開発機構)
  • D/CのDはどのような値か。(佐々木委員)
    →原子力安全委員会の評価と同じものを用いました。(高橋説明員)
  • 本資料は、本日のコメントを踏まえて、修正を行うこととしたい。(川上主査)

(3)試験研究用原子炉施設等における廃止措置に係る技術的要件について
資料2‐3に基づき、事務局より説明の後、次のとおり委員からの意見及び質疑応答があった。

  • 取り扱う核燃料物質のグレードに応じて、廃止措置計画に係る技術的要件を定めるのは合理的。許可段階で要求していないことについて、廃止段階で要求するのはおかしい。(石川委員)
  • P9~P10における「×」の意味は。全く考慮しなくても良いと思われると困る。別途資料を作成するのか。(大越委員)
    →使用における災害防止の観点からは整理されているが、解体における観点からは行っていないため整理も含め検討します。
  • 「×」とする理由を記述すべき。(佐々木委員)
    →記載します。
  • 技術要件の位置づけはどうなるのか。指針みたいなものであると思うが、どういう形で法令とするのか。今まではマニュアル等があまりなかったが、そのようなものが盛り込まれると理解して良いか。(丹沢委員)
    →省令として展開したいと考えています。また、指針、解説等を準備することも考えています。
  • 全体工程とあるが、終了の姿をどのように想定するのか。(1)2.に「廃止措置の開始から完了までの全体工程が明確になっていること」とあるが、放射性廃棄物の処分を終了と考えると予測が立たない。また、原子力施設として他の施設への転用という姿もある。(丹沢委員)
  • 当初はアバウトに計画し、具体的な工程がわかった段階で変更により対応しては。最終時点は、規制からの解放と定義すべき。(石川委員)
  • 保安院における計画はそのような感じである。設置許可のライセンスを切るか、つなげるかについては、議論があるかもしれない。(川上主査)
    →原子炉施設における設置許可は事業所単位であり、廃止措置は施設単位となっています。また、使用施設、加工施設、再処理施設においては、廃止は「事業廃止」という位置づけとなっています。そのあたりの整理も必要と考えております。
  • 廃止の際の記録及びその保管期間と、運転の記録及びその保管期間との整合性はどうするのか。そのあたりの見直しも必要。(丹沢委員)
    →原子炉主任技術者、保安検査、定期検査等についても併せて検討を行いたいと思っています。
  • 廃止措置段階で必要となる施設の共用についてはどのように考えればよいか。(石川委員)
    →施設の共用については、廃止措置規制の中で判断すべきものではないと考えます。
  • 設置許可からせめるのはどうか。(川上主査)
    →省令レベルではむずかしいため、設置変更許可による対応が考えられます。
  • 解体では、放射性廃棄物発生量を小さくすることは、放射線被ばくの低減と同様考慮すべき重要なポイントであるが、技術要件でふれなくて良いのか。(佐々木委員)
  • 廃棄物条約でも言われていることであるから、適宜対応してほしい。(川上主査)

(4)その他

  • 資料2‐2‐2の議論のポイントについて、提案いただきたい。(青木室長)
  • 次回は4月13日の午後(15時~)開催。

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科学技術・学術政策局原子力安全課原子力規制室

担当:川末、荒川
電話番号:03‐5253‐4111(内線3922、3923)
ファクシミリ番号:03‐6734‐4037

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