対人地雷の探知・除去技術に関する研究会(第4回) 議事要旨

1.日時

平成14年3月25日(月曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省分館 201・202 特別会議室

3.議題

  1. 対人地雷の探知・除去技術について
  2. 検討の進め方について
  3. その他

4.配付資料

  • 資料1 対人地雷の探知・除去技術に関する研究会(第3回)議事概要(案)
  • 資料2 東南アジア地雷対策協力・技術ワークショップ 出席報告書
  • 資料3 防衛庁 説明資料
  • 資料4 対人地雷の探知・除去技術への取組み方針について(論点整理)(案)
  • 資料5 当面のスケジュール(案)

5.出席者

委員

 古田委員長、浅間委員、岡本委員、柴田委員、野波委員、広瀬委員、福田委員

文部科学省

 加納大臣政務官、山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、土屋基盤政策課長 他

オブザーバー

(説明者)
 防衛庁技術研究本部技術部長 金野 晴己 氏
(関係省庁)
 中島防衛庁開発計画課長、徳増経済産業省研究開発課企画官 他

6.議事要旨

(1)委員長より開会の挨拶があった。

(2)事務局より配布資料、第3回議事概要案の確認があった。

(3)野波委員、広瀬委員、柴田委員より、東南アジア地雷対策協力・技術ワークショップへの出席報告があった。その際、以下のような質疑応答があった(○印:委員の発言、→印:事務局等の発言)。

→ワークショップで従前の予想と違っていた点は何か。センサ技術やロボット技術に対するワークショップ出席者の期待はどのようなものであったか。

○ 土地に明確な優先順位を付けて取り組んでいるというのがまず印象に残った。まず地雷除去が求められるような土地は、比較的平坦な農地等であるので、移動の手段としては比較的単純な技術でよいのではないかと思われた。一方で、現場の作業員の作業を支援するための機械については、一定の寄与は可能だと思う。

○ 安全性、効率性、コストの3つが重要とよく言われるが、UNDPの出席者からは、コストは長期間で捉えるべきであり、地雷除去を速やかに完了できることにより得られる利益は大きく、長期間で見れば、コスト面を過大に考える必要はないのではないか、と述べていた。また、ワークショップでは、センサへの技術的期待が大きかった。特に、金属に対する探知器ではなく、地雷を探知するセンサが必要との声が強かった。現場では、金属探知器に代わるものとして、やむを得ず地雷犬に注目しており、犬を上回る技術が無いというのは大きな問題であると認識されていた。ロボット等の機械の導入については、現地の雇用との関係で抵抗もある一方で、例えば、現地でメンテナンスを実施できるようにしたTEMPESTのようなやり方も考えていく必要がある。

○ 重機に付属装置を付けることで多目的化するようなアプローチはなかったか。

○ 例えば、重機に鎖を取り付け、鎖を回しながら地面を叩くことによる地雷除去技術などは、現地で使われている。但し、故障も多く、実働年間75日間程度しか使えないという事情もあるようで、信頼性向上、メンテナンスは大きな課題。

(4)対人地雷の探知・除去技術について、防衛庁の中島開発計画課長及び防衛庁技術研究本部の金野技術部長より説明があった。その際、以下のような質疑応答があった(○印:委員の発言、●印:説明者の発言、→印:事務局等の発言)。

○ 地雷原自体の発見はできるのか。

● 前提として、戦場の場合地雷原の位置はある程度特定されているという状況を想定している。地雷原の前縁を見出すのは困難な作業である。

○ 磁気センサ、電波センサ以外の手法としてはどのようなものがあるか。

● 光学的なもの、レーザーを使うようなものがある。また、合成開口レーダや赤外線センサによる手法もある。

○ 軍事技術ということで公開しにくい技術もあるのではないか。また、米軍などはもっと先を行っているのではないか。

● 装備品と直結する技術については公開できない面もあるが、研究レベルのものについては手続きを踏めば公開可能である。米軍では、例えば、四極子共鳴法、中性子、X線を使うようなかなりチャレンジングな方法も研究していると思うが、磁気センサや電波センサの分野ではそれほど技術水準に差はないだろうと思っている。

○ 地中深度に応じて周波数帯域を変えていくようなレーダー技術はないのか。

● より短い波長を用いるという話は文献等では見たことはある。

○ 弾性波を用いた探針というのはどういう原理なのか。弾性波により誘爆しないのか。

● 人間が針で突くのではなく、人間の代わりに機械的に針を地雷に押し当てて振動させ、固有の振動周波数として発信される弾性波を別の針で受けるもの。対戦車地雷を対象とした技術であるが、起爆はしない。

○ 排土の機械化とはどのような原理か。

● ブラシを回しながらバキュームするもの。

→ アフガニスタンの土壌等地雷埋設の状況についてどう考えるか。

● アフガニスタンの土壌の状況はよく分からないが、富士の周辺の砂礫に近いという印象はある。センサはある土壌に着目してピンポイントで作るとうまくいく。汎用のものというのは難しい。誘電率も土壌により大幅に異なってくる。

● 地雷の埋設ポイントというのは、軍事的な視点で分析すると、マクロな位置であれば比較的予見できると言われている。例えば、交通の要衝などは地雷原になる可能性が高い。

○ 不発弾(UXO)の探知・除去については研究開発はなされているのか。

● 戦場の技術としてUXOに絞った技術というものは今のところ無い。

(5)対人地雷の探知・除去技術への取組み方針に関する論点整理について事務局より説明があった。その際、以下のような質疑応答があった(○印:委員の発言、→印:事務局等の発言)。

○ 基本的によくまとめられていると思う。短期的技術開発課題と中期的技術開発課題が混じった技術分野もあると思うので気をつけて欲しい。また、機材間の協調制御といった観点が落ちているのではないか。

○ 先週、外務省の方がアフガニスタンの地雷の探知・除去の現場を見てこられたと思うので、一度ご報告をしていただき、本研究会の活動にインプットしていただくことが必要だと思う。アフガニスタンについてのみ言えば、国連主導の7カ年計画があり、7年目までに優先順位の高いところを地雷除去するという構想になっている。5年後に技術開発が終了し、実証試験を経て年後に現地に持ち込んでみたら技術は不要だったということでは国際貢献できない。また、アフガニスタンでは地雷が埋設されている場所はかなり特定されており、地雷原を探すための広域のセンシングをするよりも、地雷原の中で具体的な地雷埋設位置を探すような作業が中心になるはず。
 → 外務省と相談の上、次回の会合で説明してもらうことにしたい。

○ 経済産業省の考えていることと、この研究会の論点整理との関係はどうか。重複しているようなところはないか。
 → 現時点で重複があるようには思わない。経済産業省でも目下勉強しているところであり、この研究会における論点整理は参考になる。情報交換は進めていきたい。

○ テストフィールドの確保は重要な課題であるが、防衛庁の施設を使うことは可能であるか。
 → 国有施設の使用手続に則り使用することは可能である。その際、地雷探知除去については、私企業が私企業の利益のために行っているというのではなく、公共的利益のために行っているという枠組みを作ってもらえれば、防衛庁としても支援しやすくなる。

○ 良い技術を作っても国連が使わないということもあり得る。国際機関を巻き込んで協力を得られるようにする方策が必要ではないか。

○ 国連は全体の調整をしているだけであり、実際の地雷除去活動はNGOが行っている。現場の彼らはプロ意識も高く、客観的に技術の評価を行っており、よい技術であれば使われると思う。アフガニスタンでも、日本製の重機は評価されていた。

○ 有力なセンサの技術が武器輸出三原則に抵触して使えないという問題もあると聴いている。

○ 人道的な対人地雷の探知・除去に関するものについては貿易管理令の対象から外すことも検討されるべきだと思う。

○ 例えば、先方に渡してしまうのではなく、無償貸与のような形もあり得るのではないか。

(6)事務局より当面のスケジュールについて説明があった。

以上

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