対人地雷の探知・除去技術に関する研究会(第5回) 議事要旨

1.日時

平成14年4月9日(火曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省分館 201・202特別会議室

3.議題

  1. 国際関係について
  2. 対人地雷の探知・除去技術に関する技術開発の進め方について
  3. 検討の進め方について
  4. その他

4.配付資料

  • 資料1 対人地雷の探知・除去技術に関する研究会(第4回)議事概要(案)
  • 資料2 武器輸出三原則等について
  • 資料3 九州大学牛島教授御説明資料
  • 資料4 東北大学佐藤教授御説明資料
  • 資料5 センシング技術について(比較整理表)
  • 資料6 対人地雷の探知・除去技術に関する技術開発の進め方について(素案)
  • 資料7 検討のスケジュール(案)

5.出席者

委員

古田委員長、浅間委員、岡本委員、柴田委員、野波委員、広瀬委員、福田委員

文部科学省

加納大臣政務官、山元科学技術・学術政策局長、井上科学技術・学術政策局次長、土屋基盤政策課長  他

オブザーバー

(説明者)
 電気通信大学 荒井 郁男 教授、九州大学 牛島 恵輔 教授、東北大学 佐藤 源之 教授
(関係省庁)
 岡村外務省軍備管理軍縮課長、進藤外務省通常兵器室長、谷経済産業省研究開発課長、久貝経済産業省安全保障貿易管理課長、中島防衛庁開発計画課長  他

6.議事要旨

  • (1)委員長より開会の挨拶があった。
  • (2)事務局より配布資料、第4回議事概要案の確認があった。
  • (3)武器輸出三原則等について、経済産業省より説明があった。その際、以下のような質疑応答があった。(○印:委員の発言、→印:説明者の発言)

○ 灌木除去機について、武器輸出三原則等との関係で審査に非常に時間がかかり、保護用の鉄板を薄くして強度を落とし武器としての要件から遠くするなどして、1年位経って許可がようやく下りたというケースがあると聞く。また、センサについて、地雷埋設国の公的機関からの要請があるにも関わらず、未だに海外に持ち出す許可がでないというケースがあると聞く。これらの事実関係はどうか。
→ 武器かどうかについては、想定される用途、技術的評価、外国政府における当該規格の判定等を踏まえて総合的に判断する必要があり、審査に時間がかかるのは事実。また、武器に該当するものについては、国際約束があるかどうかが許可の一つのポイントであり、この辺りは慎重に審査している。徒に時間を費やしていることは無い。

○ 御説明の意味は理解するが、地雷の探知・除去技術という国際貢献の趣旨に則った的確な対応をしていただきたい。
→ ご指摘はよく理解した。よく検討する。ただ、官房長官談話でも相手国との国際約束は必須要件になっており、これが早く結ばれれば審査は迅速に前進すると思う。

  • (4) アフガニスタンにおける地雷埋設状況等について、外務省及び岡本委員より説明があった。その際、以下のような質疑応答があった。(○印:委員の発言、→印:説明者の発言)

○ このままのペースで地雷を除去していくと何年くらいかかるのか。
→ 1100年と言われている。

○ 一方で、アフガニスタンの地雷処理を担当しているMAPAは7年間で除去しようという計画ではないのか。
→ 滑走路の周り、病院の周り等重要な土地からプライオリティを付けて7年で除去する計画になっている。

○ 探知については、基本的に金属探知器の利用を前提にしているのか。
→ 現状では金属探知器で金属反応を見て1個1個確認している。しかし、例えば中国製の地雷などは非常に探知が難しく、金属探知器では何度も慎重に探査しないと危ないと言われている。

○ 最後に地雷が除去されたことをきちんと確認する必要があるのではないか。その確認のための技術とか、安全性評価システムなども必要ではないのか。
→ アフガンでは、地雷除去作業後に大体取り残しはないようで、99.9何%という国際基準は満たしている模様。もちろん、100%に無限に近づけるにはそのような技術も必要ということになる。

○ 国際的な地雷探知・除去機器のカタログなどに日本製の機器が掲載されていないが、もう少し掲載されるよう努力が必要ではないか。
→ 機器のカタログについては、ドイツの資金でGICHDというNGOが作成しているものがあるが、欧州各社からの情報提供に基づき掲載しているとのこと。GICHDのトップも、日本からの機器情報についても、性能試験や実績がが公的に認知できる情報として整備されていれば掲載可能であるが、現在までにそのような情報の提供は無いと言っている。

○ クラスター爆弾については、地中ではなく、地表に散乱しているのであるから、特別な技術無しでも目視で確認して除去できるのではないか。
→ 地表に出ているものは目視で確認できるが、風雨により地中に埋まっていくこともあるので慎重に金属探知器で探す必要があるようだ。

○ アフガニスタンの地雷除去7年計画は、米軍による空爆以前の計画ではなかったか。
→ 7年計画は今も7年の計画である。7年間で全てをクリーンにするのではなく、優先度の高いところから順次除去するという計画である。

  • (5) センシング技術について、電気通信大学 荒井教授、九州大学 牛島教授、東北大学 佐藤教授より説明があった。また、「対人地雷の探知・除去技術に関する技術開発の進め方について(素案)」について、事務局より説明があった。その際、以下のような質疑応答があった。(○印:委員の発言、●印:説明者の発言)

○ 地中レーダについては、地表からの高さ、センサをスキャンする速度、センサ自体の重量等の関係で様々な条件があると思うが、対人地雷の探知の場合の条件はどうか。また、この分野での日本の貢献は可能だと考えられるのか。

● アフガニスタンの状況をお聞きした範囲では高い周波数のレーダが向いているようだが、この場合、アンテナが小さくなるため、センサは比較的小さなものが作れるのではないか。スキャン速度については、どの程度の範囲の周波数についてデータを取るのかにもよるが、ポイントとなる周波数に着目した現地に特化したような技術にすれば、効率が上がり、スキャン速度は速くなる。日本の貢献という点については、センサフュージョンのように先端技術の組合せ、一体化という、日本の非常に得意な部分を生かせる。商用のガス管探知用の地中レーダなどでは日本製のもので優れたものがでている。外国で地雷向けに行っているレーダの研究は、研究室レベルの原理的なものが多く、装置としてコンパクトにまとめていくことが重要であり、日本が果たす役割は大きい。

○ レーダを含めて、センシング技術については、米軍などがかなり関与して開発を進めている模様だが、人道目的の地雷探知・除去という観点からは使えないような技術が多い。日本が人道的な観点からの技術を開発していけば貢献できるはず。今でも、金属探知器以外のセンシング技術については、外国の技術についてもGICHDデータベースなどにも掲載されていない。

○ 航空機のような高いところから合成開口レーダのような手段でサーベイ可能と考えることはできるか。

● 地下資源探査の場合は、上空30メートルくらいからサーベイすることが多いが、地表面から浅い所のものをサーベイする場合には違う探査法が必要になるのではないか。

● 航空機等から地雷原を見つけるような場合、金属であれば地下5~10センチ程度の埋設物はレーダで探知可能と考えられている。また、レーダについては、対象物に近づいた方が分解能が上がるということは言える。

  • (6)事務局より当面のスケジュールについて説明があった。(○印:委員の発言、→印:事務局等の発言)

→ アフガニスタンで実際に状況を確認する、実証試験をすることが重要だと考えるが、試験を行うものの安全の保証等は得られるか。
→ 実証試験自体は第三国でも国内でも可能。例えば、GICHDを巻き込んで試験を実施するといった仕掛けがあり得る。

○ アフガニスタンに実際に研究者が行って調査するということを考えているのか。
→ 調査に行くことは重要だと考えており、機会があれば行きたいと考えている。

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科学技術・学術政策局基盤政策課

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