我が国の著作権法制は、デジタル化・ネットワーク化への対応をねらいとしたWCT(著作権に関する世界知的所有権機関条約)やWPPT(実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約)にも適合した高い水準にある。しかし近年の急速な環境の変化に対応し、権利者の保護と公正な利用の調和を図りつつ、次のような課題を解決することが求められている。
1 新たなビジネススキームの構築を支援する
■ 著作物等の市場の健全な拡大・発展を促す
- デジタルコンテンツの特質に応じた制度の在り方
- 通信・放送の在り方の変化への対応
- 過去の著作物等の利用の円滑化方策
- ライセンシーの保護のための方策
■ 適法なビジネスを阻害する違法行為に対して、有効な施策を講じる
- 海賊版広告行為の取締りの方策
- 海外における海賊版の撲滅のための方策
2 著作物等の保護と消費者等による公正な利用の調和を図る
- 家庭内における録音録画に関する課題の解決
- ネットワークを通じた検索サービスの位置づけの明確化と法制上の課題の解決
- 文化的所産である著作物等の収集・保存と利用を円滑に進めるための方策
- 障害者福祉等の増進や教育目的の利用に関する法制上の課題の解決
- 保護期間の在り方
3 著作物等の新たな創作・発信の動きに的確に対応する
- インターネット上の著作物等の利用の円滑化(契約・意思表示システム)