資料1

第23回 文化審議会 著作権分科会における意見の概要

1.「デジタルコンテンツ流通促進法制」について

2.海賊版の拡大防止のための措置について

(1)海賊版の譲渡のための告知行為の防止策について

(特に発言なし)

(2)親告罪の範囲の見直しについて

  •  著作権侵害罪が非親告罪とされることには反対の意見であるが、一部を非親告罪化することについても、実効性等を考えながら慎重な検討をすべき。
  •  知的財産法全体の中で、著作権法だけが非親告罪でいいのか、10年以下の懲役という非常に重い罪の場合に親告罪として残しておくことが妥当かという問題もある。一方で、著作権法において考えなければいけないのは、特許法はどちらかというとプロだけの世界の話であるが、著作権法は現在、国民全体の問題になってきており、果たして特許法と同じように非親告罪化していいかどうか、また、著作権侵害には侵害罪をはじめ人格権侵害その他もろもろの犯罪類型が数多くあり、これを全部一律で非親告罪化していいか等の問題があり、慎重に議論をしていきたい。

3.権利制限の見直しについて

(1)薬事関係

  •  権利制限を行う方向は、患者の生命・身体を守るために薬事法上の努力義務を遂行するという、いわば公的な理由で権利制限が認められたものと高く評価している。ただ、公的な理由で権利制限を課すというベースの一方でビジネスベースの契約で補償金額を決めるのには違和感がある。ぜひ公的な理由があるということを踏まえた対応とすべき。
  •  医学専門書誌は、医療関係者への情報提供を目的としており、今回の権利制限することは、権利者の通常の利用を妨げ、ベルヌ条約に違反する可能性が非常に高い。国際的な問題にまで発展する可能性もある。
     また、管理団体と年間の基本契約を結んでいれば複写の都度の許諾手続は不要であり、許諾に時間がかかることはない。事実に反することを前提とした審議は適切ではなく、権利制限要望の根拠を再度検証すべき。
     「薬事法77条の3に基づく情報提供」のうち、どの範囲までが「患者の生命、身体に対して迅速な対応が求められる場合」なのか限定明確化すべき。
  •  これは直接的には生命・身体の安全の確保ということだが、その前提にあるのは営業的行為である。そういう営業的行為と著作者等の権利とをどうバランスしていくか、少し慎重な扱いが必要ではないか。
  •  複写権業務の立場からすると、例えば、大量に複写が行われる教育関係は、日本では完全に権利制限となっている部分があり、それによって日本での複写権事業が非常に困難な状況にある。公的な理由ということのみで権利制限をどんどん取り入れていくと、日本での健全な複写権管理事業は甚だしく阻害される。公的な理由によっての権利制限が仮にあるならば、補償金等のきちんとした議論が必要であり、公的だから最低料金でいいということにならないようにすべき。よく現状を反映した上で、かつ公平な部分にする必要がある。複写権事業に関しては今管理事業業界全体でも変化が起きているところであり、業界の変化自体も注視しつつ慎重な議論をすべき。
  •  健全な文献の複写事業と、公的な利害の必要性を調整するためには、最終的には補償金の問題が大きく出てくることになると思う。まだそのような合意が関係者間でできていないと思われるので、さらに関係者の方の話し合い、あるいは関係各省の指導により、良い方向に進むことを望む。

(2)障害者福祉関係

  •  総論として異論はないが、映画の製作側にとって、映画の複製が知らないところで行われることには、どうしても神経質になる傾向がある。権利者とユーザーとの間で、権利制限の趣旨に沿った適正なルールが作られるべき。
     また、現在、映画界では聴覚障害者に対して、日本語字幕つきの映画の上映や、聴覚障害者の団体に対して著作物を無償で提供する対応を継続的に行っている実績があるので、今後の議論の参考にしていただきたい。
  •  著作者の立場からすれば、権利制限の拡大は慎重に議論していただきたいのが前提だが、障害者の中には学習障害児童のように緊急性の高い方がおり、慎重に議論をしている間に、障害者の方が致命的な損失をこうむることのないよう、なるべく早く結論を出すべき。また、点字図書館等が録音図書を作っており、膨大なコンテンツがあるので、これらを学習障害児童にも利用できるようなシステムの変更も併せて検討すべき。
  •  図書館界としては、健常者へ障害者用のコンテンツが流れるのではないかという権利者の心配については、公共図書館がそれを管理することによって、法律に基づいた公的な行政事業として行うことにより、それを防ぐことができるのではないかと提案している。

(3)ネットオークション等関係

  •  美術品、絵画作品、彫刻、版画などをインターネットオークションに載せる場合には、必ず許諾をとってから載せていただくのが大前提だと思うので、慎重に検討すべき。
  •  写真・美術を販売するときに、画像がないと取引を妨げる可能性があることは理解できるが、販売もしくはオークションという名目をつけることによって、事実上、画像の掲載が無制限に行われてしまう可能性が非常に強い点が懸念である。要件や目的など、きちんと流通に資し、かつ、事実上の画像の無制限な掲載を許してしまうような設計にはならないようにすべき。
  •  これは直接的には公正な商取引の確保ということだが、その前提にあるのは営業的行為である。そういう営業的行為と著作者等の権利とをどうバランスしていくか、少し慎重な扱いが必要ではないか。
  •  美術家や写真家等の利益を害することがないようにということで、逆に、粗悪な画像や一部加工したような画像が利用されることで、かえって同一性保持権の問題や著作者人格権侵害の問題も出てくることも懸念される。その点についても同時に検討すべき。
  •  美術品に限らず商品を売るときにはきちんと見せるというのが通常であり、それが遠隔地であるがゆえに見ることができないでインターネットで見せる。その場合、すべて権利者の許諾を得ることは難しい。しかし、かといっていったんネットに流れてしまうと、無制限に複製されてしまう。この2つをどう調和させるかというところが課題であり、この辺りを詰めていきたい。

4.検索エンジンの法制上の課題について(デジタル対応ワーキングチーム関係)

5.ライセンシーの保護等の在り方について(契約・利用ワーキングチーム関係)

6.いわゆる「間接侵害」に係る課題等について(司法救済ワーキングチーム関係)

(特に発言なし)

7.その他の検討事項