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資料4


文化審議会著作権分科会「法制問題小委員会」の検討状況について(案)


.検討事項(平成15年7月31日に決定)

 
   ○ 著作権法の単純化(「契約」に関する規定の見直し等)
保護期間について(無名・変名・団体名義の著作物の保護期間の在り方、保護期間そのものに関する考え方)
「アクセス権」の創設又は実質的保護
関係者間で協議中の事項(権利の強化、権利制限規定の拡大・縮小等)
各省庁の著作権改正要望

.「法制問題小委員会」委員名簿

      主   査    
          中山   信弘     東京大学教授
      主査代理    
  野村   豊弘   (学)学習院常務理事

  石井   亮平   日本放送協会マルチメディア局著作権センター担当部長
  入江      観   (社)日本美術家連盟理事
  上原   伸一   (社)日本民間放送連盟著作権委員会著作権専門部会法制部会    主査
  大澤   正雄   (社)日本図書館協会理事(   〜15.9.24)
  常世田   良   (社)日本図書館協会常務理事(15.9.25〜   )
  岡村      豊   玉川大学教授
  金原      優   (社)日本書籍出版協会副理事長
  上出      卓   (社)日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター参与
  児玉   昭義   (社)日本映像ソフト協会専務理事・事務局長
  後藤   幸一   (協)日本映画監督協会渉外委員会委員長
  菅原   瑞夫   (社)日本音楽著作権協会副本部長
  瀬尾   太一   (社)日本写真家協会著作権委員会委員、日本写真著作権協会    常務理事
  土肥   一史   一橋大学教授
  生野   秀年   (社)日本レコード協会常務理事
  福田   慶治   (社)日本映画製作者連盟常務理事・事務局長
  松田   政行   弁護士・弁理士
  三田   誠広   (社)日本文芸家協会常務理事・知的所有権委員会委員長
  村上   重美   (社)日本新聞協会専務理事・事務局長
  山地   克郎   (社)電子情報技術産業協会法務・知的財産権総合委員会委員長
計   20名

.小委員会の開催状況

   ○ 第1回 平成15年6月12日(木)
   ・ 主査の選任について
法制問題小委員会の概要について
著作権法制に関わる動向について
  
第2回 平成15年7月31日(木)
   ・ 法制問題小委員会審議事項(案)について
関係者間で協議中の事項の協議状況について

第3回 平成15年8月27日(水)
   ・ 著作権法の単純化について
「書籍・雑誌等の貸与」に係る暫定措置の廃止について

第4回 平成15年9月25日(木)
   ・ 保護期間について
「輸入権」の創設について

第5回 平成15年10月8日(水)
   ・ 「アクセス権」の創設又は実質的保護
各省庁の著作権改正要望について

.主な意見の概要

 
(1) 著作権法の単純化(「契約」に関する見直し)について
  1第61条第2項(「著作権のすべてを譲渡する」という契約では、「翻訳権・翻案権等」と「二次的著作物の利用に関する権利」は譲渡されていないと推定する規定)の廃止

(積極意見)
○契約で個々の権利の譲渡を明記しない限り、権利が譲渡されないという規定は、著作権法を相当に読み込んでいないと分からないような規定であり、単純化の観点から廃止すべき。

(慎重意見)
○権利の譲渡について、著作権者に一考を促すという意味で慎重に検討すべき。

  2第15条(雇用契約等に著作権に関する規定がない場合には、従業員の著作物について、一定の条件のもとに「雇用者」を「著作者」とする規定)の廃止

(慎重意見)
○法人著作の規定を廃止することにより、企業等の法人は従業員等と個々に契約をしなければならなくなり、また、契約の内容如何によっては、無効と判断されることもあるので、法人の活動に支障をきたす恐れがあるため、慎重に検討すべき。
○法人著作の規定を廃止して、個々の契約に委ねることは、一見、従業員に有利になるように見えるが、実際上は、雇用関係等で従業員に不利な契約になることが予想されるので、企業、従業員双方が納得できる契約ルールを構築する必要がある。
○契約によって、「財産権」は移転できるが、「人格権」を移転できないため、法人著作の規定の廃止によって、企業活動が成り立たなくなるという懸念がある。
○法人著作の規定を廃止することは、かえって著作権法の適用関係が複雑になるので、著作権法の単純化という観点だけで検討すべきでない。

  3第44条(放送の許諾を得た著作物について、放送事業者がこれを一時的に録音・録画することができることとする規定)の廃止
   第93条(放送の許諾を得た実演について、放送事業者がこれを録音・録画することができることとする規定)の廃止

(積極意見)
○放送番組の再利用を円滑に行うためにも、放送の許諾の段階で録音録画の許諾を得ておくべきであり、第44条、第93条の規定は廃止すべき。

(慎重意見)
○第44条、第93条を廃止すると、録音録画権と放送権の双方の契約交渉を行わなければならず、現場に混乱を招いたり、現実的にも許諾を求めることができないので、慎重に検討すべき。

(2) 保護期間について(無名・変名、団体名義の著作物の保護期間の在り方、一般の著作物等、保護期間そのものの考え方)
  (積極意見)
○インターネット環境の充実により、国際的に保護期間を平準化する必要があるので、国際的スタンダードである「70年」に合わせるべき。

(慎重意見)
○欧米諸国が保護期間を延長した理由を仔細に検討すべき。数字だけを根拠に平準化すべきでない。
○今後経済的分析を踏まえた長期的な検討が必要。

(3) 「アクセス権」の創設又は実質的保護について
   *10月8日の検討を踏まえて記述

(4) 関係者間で協議中の事項について
  1「書籍・雑誌等の貸与に係る暫定措置の廃止」について
   金原委員より、「書籍・雑誌等の貸与に係る暫定措置の廃止」に関する協議状況等について、説明が行われ、次のような意見があった。
(積極意見)
○コミック文化が成熟する中、書籍・雑誌だけが貸与権が与えられていないのは、不合理である。
○昭和59年の附則4条の2の創設時とは大きく環境が変化し、現在はレンタルコミック店の出現による著作者への経済的影響は大きいため、附則4条の2は削除すべき。
○許諾システムの見込みがたち、関係者間の協議も進捗しているというのであれば、附則4条の2は削除すべき。

  2「輸入権」の創設について
生野委員より、「輸入権」の創設に関する協議状況等について、説明が行われ、次のような意見があった。
(積極意見)
○知財立国として、日本の音楽の海外市場の進出をしやすい環境を整備するたためにも「輸入権」は必要。
○韓国における日本文化の開放等、近隣諸国における日本のレコードの需要が一層高まることが予想されるが、他方で安価なレコードが日本に還流されることで権利者の利益に支障をきたすため、「輸入権」を創設して保護すべき。

(慎重意見)
○ライセンス契約によりレコードの還流を防ぐことができるのではないか。
○「輸入権」を商業用レコードだけに限定すべきなのか、他の分野でも必要なものはないのか検討が必要。
○経済法的な観点からの検討も必要。

.今後の検討予定について

 
   第6回    平成15年11月14日(金)
   ・ 関係者間の協議事項について(審議)
第7回    平成15年11月28日(金)
審議経過の概要(案)について
第8回    平成15年12月   3日(水)
審議経過の概要(案)について




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