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資料2−2

2003年10月3日

アクセスコントロールと整理されている技術の一部を
「技術的保護手段」とする必要性について


専門委員   児   玉   昭   義

   アクセス権、アクセスコントロールについて検討するにあたり、本来アクセスコントロールとして施されているCSSがコピーコントロールとしても機能していることで、問題提起をさせて頂きます。


第1    DVDビデオにおけるコピーコントロール

   DVDビデオのコピーコントロールは、次の3つのものがある。  
    1 CSSによる暗号化
  2 CGMS
  3 マクロビジョン

    このうち、2及び3は、著作権法上の「技術的保護手段」として保護を受けているが、1は、アクセスコントロールと認識され、著作権法における「技術的保護手段」ではないと整理されている。  

   CSSを無効化することのみを目的とする機器及びプログラムは、不正競争防止法による「技術的制限手段無効化機器及びプログラム」に該当する。
  しかし、不正競争防止法による規制には、次の弱点がある。
   ・ 技術的制限手段の無効化機器等を使用すること自体は、規制対象でない。
   (  著作権法上の技術的保護手段の回避により可能となったことを知りながら行う複製は、私的複製でも違法とされていることと比べると、大きな差がある。)
刑事罰の適用がない。
損害賠償請求は理論上可能であるが、損害の立証が極めて難しく、実際上、抑止力に欠ける。


第2    なぜCSSだけが著作権法の対象外か

   立法当時、CSSは「専用のデコーダや正規の機器を用いないと著作物等の視聴を行えないようにするものである」と理解され、「著作物等を単に視聴する行為は著作権等の対象となっていない」ことから、技術的保護手段からはずすとされた。

   しかし、CSSは「視聴制限」を目的とする技術ではなく、CGMS等と一体となるこることにより究極的な「コピー制限」を目的とする技術であり、実際にもコピー制限として機能している。
   ※      市販のDVDビデオには、原則としてCSSによる暗号化が施されている。  
     市販DVDビデオが複製できないものと認識されているのは、CSSの賜物である。
     市販DVDビデオについては、CSSによりコピーできないとされていることを前提として、権利者は、私的録画補償金の分配を受けないこととしている。

   しかし現実には、CSSやぶりによってDVDビデオをコピー可能にすることを売り物としてプログラムが流通するようになっている。


第3    提案

 
   CSSを解除し、著作権者等が容認していない複製を結果として可能にすることを専らの目的とする機器又はプログラムの譲渡等を刑事罰の対象に含める。
   上記専用機器又はプログラムを使用することによって可能となった複製であることを知りながら行う私的複製を違法とする。


  以上



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