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資料5

文化審議会著作権分科会審議経過報告(平成15年1月)(抜粋)

裁判外紛争解決等の在り方
   種々の情報技術の発達・普及等に伴い、著作物等の創作手段・利用手段の普及・多様化が急速に進んだことにより、従来の著作権関係業界(出版、レコード、放送、映画等)の人々に限らず、すべての人々が創作者・利用者となる時代を迎えている。これに伴い、著作権に関する紛争も、今後は、産業に重大な影響を及ぼすような侵害事例から、日常生活において無意識に他人の著作物を使ってしまったような場合まで、紛争の量的拡大と多様化が急速に進むことが予想される。
   このため、高度な専門性による解決が必要とされる紛争から、日常的な相談業務等によって解決できる紛争まで、多様なレベルの紛争の内容に即した解決手段が全国的に用意される必要がある。
   裁判所での紛争解決については、特許権等については、その専門技術性に鑑み、審理の方法に精通した裁判官等が必要であることから、東京地方裁判所及び大阪地方裁判所への専属管轄化が議論されているが、著作権の場合は、プログラムの著作物については同様に専門技術性の要請があるものの、一般の著作物については、誰もが著作物の創作者・利用者となる状況を踏まえ、専属管轄化せずに全国各地で裁判を受けることができることが必要である。
   また、厳格な裁判手続きと異なり、簡易・迅速かつ廉価で、法律上の権利義務の存否にとどまらない実情に沿った解決を図ることができるなどの観点から、いわゆる裁判外の紛争解決手段(ADR)に対する期待が高まっており、「司法制度改革推進計画」(平成14年3月19日閣議決定)においても、裁判外の紛争解決手段(ADR)の拡充・活性化を図るための措置等を講ずることとされ、現在、司法制度改革推進本部の下で具体的な検討が進められている。著作権法には、第105条以下に「あっせん」に関する規定があり、日本知的財産仲裁センターやWIPO仲裁・調停センターにおいても著作権に関する紛争を取り扱うこととされているが、これらの紛争解決手段の利用は少数に止まっており、今後とも、司法制度改革推進本部での検討状況を踏まえつつ、その活性化の在り方を検討することが必要である。
   さらに、日常生活において発生するトラブルについて当事者同士の話合いの間に入ることや、トラブルを発生させないための事前相談などについては、今後、全国の専門家の協力を得ることやネット上での対応の可能性など、簡便な手続きで迅速に対応できる方法について検討することが必要である。


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