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参考資料3

総合的なADRの制度基盤の整備について
−ADR検討会におけるこれまでの検討状況等−
(ポイント)


<「司法制度改革審議会意見」における指摘>

   ADR(裁判外の紛争解決手続)は、厳格な裁判手続と異なり、柔軟な対応が可能であるという点で意義を有する紛争解決手段であるが、わが国では、一部の機関を除いて、必ずしも十分に機能していない現状
   ADRが裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、多様なADRが、その特長を活かしつつ充実・発展していくことを促進するため、関係機関等の連携強化の促進とともに、総合的なADRの制度基盤を整備すべき。
※   ADR=Alternative Dispute Resolution
<「ADR検討会」(司法制度改革推進本部)における検討>

   総合的なADRの制度基盤を整備するために必要な方策を検討。今後、更に検討を深めるべき論点を整理

1.    基本的事項
ADRに関する基本理念やADRの健全な発展のために国、地方、ADR機関等の各主体が担うべき役割といった、「ADRに関する施策の基本を明らかにする法制」の整備が必要ではないか。

2.    一般的事項
ADRの公正性・信頼性を確保するために、「ADR機関やADRの担い手が遵守すべきルール(規律)を明らかにする法制」の整備が必要ではないか。

3.    特例的事項
ADRが裁判と並ぶ紛争解決の場として十分機能し得るようにするため、「ADRの利用促進や裁判手続との連携促進に関する特例を設けるための法制」の整備が必要ではないか。
幅広い意見(パブリック・コメント)を踏まえた上で更に検討
   ⇒ 平成16年3月までに、総合的なADRの制度基盤を整備するための所要の措置(司法制度改革推進計画)


  基本的事項の主な論点  

(ADRの基本理念)
   ADRは、社会全体の紛争解決機能の拡充と自由で公正な社会の形成に寄与する重要な役割を果たすもの

(ADRの意義)
   ・    私的自治の原則の下、国民の自主的・主体的な紛争解決を支援・促進
   ・    裁判のみでは満たしえない多様・広範な国民の紛争解決ニーズに対応
   ・    社会における紛争解決機能の基礎的な役割

(国の責務等)
    国の責務
(考えられる国の施策の例)
   ・    ADRに関する国民の理解の増進
   ・    ADR機関等の自発的な活動の促進
   ・    ADRの手続の利便性・実効性・信頼性の向上
   ・    司法型・行政型ADRの適切な運営の確保
   地方公共団体の責務
   ADR機関・担い手の役割
   国民の役割


  一般的事項の主な論点  

(ADR機関・主宰者等の努力義務)
   公正な手続運営の確保
   ADR機関に関する一般情報(紛争分野、手続種類、標準的費用等)の提供
   質の高いADRの担い手の確保

(ADR機関・主宰者等の義務)
   ADR機関への利用申込み時における重要事項(提供されるサービス内容、利用者が支払う費用、ADR機関の手続規則等)の説明
   主宰者の就任時・手続中における利害関係情報等(主宰者がその紛争について一方当事者の代理人であったという事実等)の開示
   ADRに係る業務に関して知りえた秘密の保持


  特例的事項の主な論点  

○    ADRを利用した紛争解決における時効の中断
(背景)
   ・ ADRを利用しても時効が中断しないため、時効期間の満了が迫っている場合に、交渉期間の制約を受けたり、交渉期間中に時効が完成したりしてしまうこともある。

○    ADRにおける和解に対する執行力の付与
(背景)
   ・ ADRで和解が成立しても、合意内容が任意に履行されない場合に、和解結果に基づいて強制執行を求める手段がない(ただし、和解時に、即決和解等の手続を追加的に行って、合意内容を債務名義化しておくことは可能)。
(注)   これまでの検討では、執行力の付与について、強い消極意見も出されている。

○    ADRを利用した場合の調停前置主義の不適用
(背景)
   ・ 訴え提起の前に裁判所の調停を経ることが義務付けられている事件の場合、ADRにおける和解交渉不調後に訴えを提起したときでも、改めて裁判所の調停を経る必要がある。

○    ADRの手続開始による訴訟手続の中止
(背景)
   ・ いったん訴えを提起してしまうと、当事者がADRによる和解交渉が適当であると考えても、訴えを取り下げないままにADRでの紛争解決を図ることが難しい。

○    ADR(相談)主宰者、代理人としての専門家(隣接法律専門職種等)の活用
(背景)
   ・ 現行制度では、紛争分野や紛争解決の専門家であっても、弁護士でない者は、報酬目的でADR主宰や代理等を業務として行うことは禁止(刑罰法規)されている。

○    特例の適用に当たってADRの適格性に関する要件が必要となる場合には、利用者の予測可能性の確保等のため、要件を満たしていることについて、公的に、事前に確認する制度についても検討
(注)   これまでの検討では、事前確認制度について、強い消極意見も出されている。


  (参考)  
   その他に、裁判所によるADRの利用勧奨、ADRに係る民事法律扶助等についても論点を整理


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