3 調査結果

9.商品化

 キャラクターの利用については、出版者などがキャラクターに関するライセンス業務を行っている。通常、原作者と出版者との間で一次利用である出版契約において、映像化や商品化などの二次利用に関する契約も先行して取り決める場合が多い。ただし、最初からキャラクターグッズ等の商品にキャラクターが利用されるケースはまれである。

【M出版者・Mプロダクション】

(1)管理業務の概要

 M出版者と原作者との2者間では、出版契約を締結する際に、映像化や商品化についても契約内容に含めている。この契約では、出版者が商品化・映像化等について、原作者から利用許諾手続に関する代理による委任を受けることを内容としている。

 M出版者では、関連会社であるMプロダクションとの間で商品化権業務に関する役割分担を行い、商品化に関する利用許諾窓口をMプロダクションに任せる場合が多い。
 M出版者が、商品化に関する利用許諾の窓口業務をMプロダクションに任せているのは、M出版者が利用許諾窓口権限を有するキャラクターは、非常に有名であり、多くの利用者に利用されることから、利用者からの利用許諾申請に迅速に対応するため、商品化に関する窓口業務をMプロダクションに委託させている。
 一方、あらかじめ、商品化が予定されている場合などには、出版契約締結後、作品ごとに、個別に原作者、M出版者、Mプロダクションの3者間で、商品化権原作使用契約を締結し、商品化に関する利用許諾窓口等を定めている。

 商品化の場合、漫画作品の映像化が決定し、その延長で商品化が決まっていく場合が多いが、テレビアニメ化されたキャラクターを利用する場合や原作品のキャラクターを利用する場合など、利用するキャラクターが様々であることから、同じキャラクターであっても、原作品とテレビアニメ化されたものによって関係権利者が異なる。

 例えば、原作者、原作者のプロダクション、アニメ制作会社、放送局などによる製作委員会方式によってテレビアニメ化されたキャラクターを商品化する場合には、商品化に関する窓口をMプロダクションに任せる趣旨の契約を締結しており、利用者との窓口業務は全てMプロダクションが行っている。

 通常、Mプロダクションと各利用者との間でライセンス契約を締結する際は、商品リストを別紙に列記している。なお、ライセンス契約は単年度契約とするのが一般的であり、必要に応じて、契約更新(期間延長)を行う。

 Mプロダクションでは、利用者から申請があった場合、定期的に開催している原作者との会議の際に、利用許諾の可否や使用料等の条件について原作者の意向を確認しているが、暴力的なもの、性的なもの、政治的なもの、タバコのCM、特定の地域をPRする利用などは、Mプロダクションの判断で利用許諾を断っている。
 しかし、特定の地域のPRとはいえ、原作者の出身地など原作者にゆかりの深い地域の場合や大人向けのキャラクターをタバコのCMに利用する場合など、利用内容によっては判断に迷うことがあるので、その都度、原作者の意向を確認するようにしている。

(2)利用手続の流れと使用料の決定方法

 キャラクターの商品化について、利用者からMプロダクションへ申請が行われると、MプロダクションからM出版者を通じて原作者へ商品化の申請内容を報告する。
 その後、原作者の利用許諾の可否や使用料を含めた意向が、M出版者を通じてMプロダクションへ報告され、Mプロダクションでは報告された意向を基に利用者と交渉し使用料が決定される。
 利用者から申し込まれる使用料が安いため許諾できないというケースもあるが、多くの場合は許諾が得られる。

(3)一任型管理業務を実施していない理由

 キャラクターの商品化については、商品化する前に試作品を原作者に見せた上で商品化することとしているが、例えば、キャラクターの目の位置、口の位置、色合いなど、原作者の意に沿わない場合は、何度もやり直しをし、最終的に原作者の了解が得られた後、商品として販売するようにしているため、許諾の可否や使用料の交渉の外、非常に手間のかかる作業が多い。
 このようなことから、キャラクターの商品化については、使用料の決定権も含め、原作者に判断を委ねているため、一任型管理に馴染まないようである。

(4)利用者とのトラブルについて

1事業者の意見

 利用申請の都度、原作者に確認をとっているため、利用者とのトラブルはほとんどない。

2利用者の意見

 特になし。

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